JP2010107669A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での画像濃度とともに、保存性に優れる電子写真用トナー、及び該トナーに用いられるトナー用結着樹脂を提供すること。
【解決手段】水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分と、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸から選ばれる少なくとも1種のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂、並びに該結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有する電子写真用トナーに関する。
近年、マシンの高速化、省エネ化に伴い、低温定着性に優れたトナーが要求されている。そこで、トナー用結着樹脂として、従来使用されてきた芳香族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂に代わり、脂肪族多価アルコールを使用した縮重合系樹脂が提案されている。
特許文献1には、1,3-プロパンジオールと、特定の他の多価アルコールとを必須の構成成分として含有するアルコール成分と、多塩基酸成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂を、結着樹脂として用いた、定着性、耐オフセット性に優れ、且つ連続印刷した際も安定した帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる耐久性に優れた静電荷現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、低温定着性と粉砕性のバランスに優れ、定着後の光沢性に優れるトナーを提供することを課題として、ポリオール成分が30〜100モル%の、炭素数2〜6の脂肪族ジオール(該脂肪族ジオールの少なくとも一部が1,2-プロピレングリコールである)からなり、テトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量が1000〜9500のポリエステル樹脂を用いたトナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献3には、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染を低減することのできるトナーを提供することを課題として、アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであって、加熱脱着−ガスクロマトグラフ−質量分析において6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が各々0.5ppm以下であるトナー用ポリエステルが開示されている。
特開2002−169331号公報 特開2006−154686号公報 特開2007−163682号公報
しかしながら、脂肪族多価アルコールを用いて得られた縮重合系樹脂は、低温定着性に優れるものの、保存性が不十分であり、また吸湿性が高いことから、高温高湿下での画像濃度が不十分である。
本発明の課題は、優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での画像濃度とともに、保存性に優れる電子写真用トナー、及び該トナーに用いられるトナー用結着樹脂を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分と、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸から選ばれる少なくとも1種のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
本発明の結着樹脂を含有した電子写真用トナーは、優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での画像濃度とともに、保存性にも優れるという効果を奏するものである。
本発明の電子写真トナー用結着樹脂は、アルコール成分として、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコールが、カルボン酸成分として、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸から選ばれる少なくとも1種のコハク酸誘導体が、それぞれ用いられている点に特徴を有している。脂肪族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂は、一般的に使用されているビスフェノールAのアルキレンオキサイド等の芳香族多価アルコールを使用した場合と比較してエステル価が高くなる傾向があり、紙との親和性が高くなり、低温定着性の向上に有効である。一方で、分子骨格が柔らかく、分子量をあまり上げない状態ではガラス転移点を上げることが困難であるため保存性の低下や、吸湿性が高いために高温高湿下での画像濃度の低下を招く原因となる。しかしながら、本発明では、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールを用いることにより、保存性を損なうことなく、低温定着性を向上させることが可能となった。これは、水酸基が結合する第二級炭素に結合しているアルキル基が分子の運動性を束縛するため、同程度の軟化点の樹脂と比べて、高いガラス転移点を有することがその要因の一つと推定される。さらに、高温高湿下での画像濃度低下が改善されるのは、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールが末端にアルキル基を有することで、エステル基近傍の親水性を抑制するとともに、疎水性の高い、長鎖炭化水素基を有するコハク酸誘導体を用いているため吸湿性が低下することによるものと推定される。
水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)としては、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコールAの炭素数は、エステル価を高くし、トナーの低温定着性とともに保存性を高める観点から、4〜8が好ましく、4〜5がより好ましく、4がさらに好ましい。また、樹脂の主鎖骨格をリジッドにして保存性を高める観点から、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する脂肪族多価アルコールがより好ましい。これらの観点から、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール等の水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数4〜8の脂肪族多価アルコールがより好ましい。
アルコールAの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、アルコール成分中、10〜100モル%が好ましく、12〜80モル%がより好ましく、25〜75モル%がさらに好ましい。
また、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量は、トナーの低温定着性、保存性及び高温高湿下での画像濃度の観点から、縮重合系樹脂の原料モノマーである、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、15〜80重量部がさらに好ましい。
本発明においては、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分は、さらに、アルコールA以外の炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6の脂肪族ジオール(アルコールB)を含有していることが好ましい。アルコールBとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらの中では、トナーの保存性の観点から、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオールが好ましい。
アルコールBの含有量は、トナーの低温定着性を高める観点から、アルコール成分中、0〜90モル%が好ましく、0.5〜90モル%がより好ましく、20〜88モル%がさらに好ましく、25〜75モル%がよりさらに好ましい。
また、アルコールA 1モルに対するアルコールBの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、10モル以下が好ましく、0.1〜5モルが好ましく、0.3〜3モルがより好ましい。
アルコールA及びアルコールB以外のアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
Figure 2010107669
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
芳香族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分中、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、芳香族ジオールは実質的に用いないことが好ましい。ここで、実質的に用いないとは、含有量が、アルコール成分中、0モル%又は含有されていたとしても1モル%以下であることをいう。
また、カルボン酸成分は、トナーの低温定着性及び高温高湿下での画像濃度を高める観点から、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸から選ばれる少なくとも1種のコハク酸誘導体を含有する。なお、コハク酸誘導体は、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸の無水物や炭素数1〜3の低級アルキルエステルであってもよい。
アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸におけるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、トナーの低温定着性、保存性及び高温高湿下での画像濃度を高める観点から、9〜14であり、好ましくは10〜12である。それらのアルキル基及びアルケニル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、高温高湿下での画像濃度を高める観点から、分岐鎖であることが好ましい。
さらに、トナーの低温定着性及び高温高湿下での画像濃度を高める観点から、コハク酸誘導体は、炭素数9〜14の分岐鎖のアルキル基を有するアルキルコハク酸及び炭素数9〜14の分岐鎖のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸からなる群から選ばれる2種以上からなるものが好ましい。従って、コハク酸誘導体は、炭素数9〜14の分岐鎖のアルキル基を有するアルキルコハク酸の2種以上からなるもの、炭素数9〜14の分岐鎖のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の2種以上からなるもの、又は前記アルキルコハク酸及び前記アルケニルコハク酸の各々1種以上からなるものが好ましい。
炭素数の異なる、分岐鎖のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸誘導体を併用することにより、得られる樹脂は、示差走査熱量分析(DSC)におけるガラス転移点付近の吸熱ピークがブロードとなるため、トナー用結着樹脂として、非常に広範囲な定着領域を有するものとなる。
ここでいう「種類」は、アルキル基又はアルケニル基に由来するもので、アルキル基又はアルケニル基の炭素数の鎖長が異なるものや構造異性体は異なる種類のアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸として扱う。
分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基及びアルケニル基としては、具体的には、イソドデセニル基、イソドデシル基等が挙げられる。
トナーの保存性及び低温定着性、高温高湿下での画像濃度を向上させる観点から、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸は、アルキレン基を有する化合物(アルキレン化合物)と、マレイン酸、フマル酸及びそれらの酸無水物から選ばれる少なくとも1種とから得られるものであることが好ましい。
アルキレン化合物としては、炭素数が9〜14のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ノルマルブチレン等から得られるもの、例えばこれらのトリマー、テトラマー等が好ましく用いられる。アルキレン化合物の合成に使用される好適な原料としては、構造異性体数を増やす観点から、分子量の小さいプロピレンが好ましい。また、アルキレン化合物は、コハク酸誘導体を用いて得られる縮重合系樹脂が、トナー用結着樹脂として、非常に広範囲な定着領域を有する観点から、ガスクロマトグラフィー質量分析において、後述の測定条件で、炭素数9〜14のアルキレン化合物に相当するピークを2以上有することが好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましく、30以上がよりさらに好ましい。
アルキレン化合物の合成に使用される好適な触媒としては、液体リン酸、固体リン酸、タングステン、三フッ化ホウ素錯体等が挙げられる。なお、構造異性体の数の制御容易性の観点から、ランダム重合した後に、蒸留により調整する方法が好ましい。
一方、マレイン酸、フマル酸及びそれらの酸無水物のなかでは、反応性の観点から、無水マレイン酸が好ましい。
アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸は、公知の製造方法により得ることができるが、例えば、アルキレン化合物と、マレイン酸、フマル酸及びそれらの酸無水物から選ばれる少なくとも1種とを混合し、加熱することで、エン反応を利用することにより得られる(特開昭48−23405号公報、特開昭48−23404号公報、米国特許3374285号明細書等参照)。
コハク酸誘導体の含有量は、トナーの低温定着性、保存性及び高温高湿下での画像濃度の観点から、カルボン酸成分中、3〜50モル%が好ましく、4〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
カルボン酸成分には、コハク酸誘導体以外に、ジカルボン酸化合物や3価以上の多価カルボン酸化合物が含有されていてもよい。
ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。本発明において、上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
その他のカルボン酸化合物として、ロジン;フマル酸、マレイン酸、アクリル酸等で変性されたロジン等も挙げられる。
本発明において、カルボン酸成分は、樹脂の分子量を上げ、トナーの低温定着性及び保存性を高める観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくはトリメリット酸化合物、より好ましくは無水トリメリット酸を含有していることが望ましい。3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、0.1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、樹脂の分子量調整やトナーの耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、180〜250℃が好ましい。
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、縮重合系樹脂中での分散性が良好である観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、総炭素数2〜28のアルケニルオキシ基又は総炭素数1〜28のアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手できる。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ-n-ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることができ、又は、ニッソー社等の市販品としても入手できる。
上記錫(II)化合物及びチタン化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
本発明において、縮重合系樹脂としては、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられるが、これらの中では、トナーの耐久性及び帯電性の観点から、ポリエステルが好ましい。
なお、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
ポリエステル・ポリアミドは、前記のアルコール成分及びカルボン酸成分に加えてアミド成分を形成するための原料モノマーを用い、これらの原料モノマーを縮重合させて得られる。アミド成分を形成するための原料モノマーとしては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸類、アミノアルコール等が挙げられる。
また、結着樹脂は、縮重合系樹脂とビニル系樹脂等の付加重合系樹脂とを含む複合樹脂であってもよく、複合樹脂は、縮重合系樹脂と付加重合系樹脂との混合物であってもよいが、縮重合系樹脂の原料モノマー及び付加重合系樹脂の原料モノマーを同一反応容器中で重合させることにより得られる樹脂が好ましい。
さらに、複合樹脂は、縮重合系樹脂の原料モノマー及び付加重合系樹脂の原料モノマーに加えて、それらのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを用いることにより、縮重合系樹脂成分中に付加重合系樹脂成分がより微細に、かつ均一に分散したハイブリッド樹脂であることが好ましい。両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシル基、より好ましくはカルボキシル基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物であり、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸等が挙げられる。なお、アルコールA以外のアルコール成分とカルボン酸成分の総量に対するアルコールAの含有量を算出する際、両反応性モノマーの量は、縮重合系樹脂の原料モノマーとしてのアルコール成分及びカルボン酸成分の総量に含める。
本発明の結着樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、115〜150℃がさらに好ましい。
一般に、樹脂の軟化点とガラス転移点は相関している。しかし、本発明の結着樹脂は、同程度の軟化点を有する樹脂に比べると、ガラス転移点を高くすることができるため、1種類の樹脂でも、トナーの低温定着性、保存性等を満足することができるが、軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用することで、前記の点において、より優れる。具体的に、結着樹脂は、上記観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは20〜60℃異なる高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とからなることが好ましい。高軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは125〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
また、縮重合系樹脂のガラス転移点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、58〜75℃がさらに好ましい。トナーの帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜90mgKOH/gが好ましく、5〜90mgKOH/gがより好ましく、5〜88mgKOH/gがさらに好ましい。
本発明の結着樹脂を用いることにより、互いに相反する性能である低温定着性と保存性のいずれにも優れ、高温高湿下でも良好な画像濃度を有する、本発明の電子写真用トナーが得られる。
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の結着樹脂以外の公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよいが、本発明の結着樹脂の含有量は、全結着樹脂中、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。一方、トナーの小粒径化の観点からは、重合法によるトナーが好ましい。トナーの表面には、疎水性シリカ等の外添剤が添加されていてもよい。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
トナーの表面には、外添剤が添加されていてもよい。外添剤としては、トナーには、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等が挙げられ、これらの表面には疎水化処理が施されていてもよい。外添剤の添加量は、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔アルキレン化合物の質量分析ガスクロマトグラフィーによる分析〕
質量分析ガスクロマトグラフ(GC/MS)にCIイオンソースと下記分析カラムを取り付け、立上げを行う。なお、CI反応ガス(メタン)を流し、MS部の真空排気作業から24時間経過後にチューニングを行う。
(1) GC
ガスクロマトグラフ : Agilent社 HP6890N
分析カラム : HP社製 Ultra1(カラム長50m、内径0.2mm、膜厚0.33μm)
GCオーブン昇温条件: 初期温度 100℃(0min)
第1段階昇温速度 1℃/min(150℃まで)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(10min)
サンプル注入量 : 1μL
注入口条件 : 注入モード スプリット法
スプリット比 50:1
注入口温度 300℃
キャリアガス : ガス ヘリウム
流量 1ml/min(定流量モード)
(2) 検出器
質量分析器 : Agilent社製 5973N MSD
イオン化法 : 化学イオン化法
反応ガス : イソブタン
温度設定 : 四重極 150℃
イオン源 250℃
検出条件 : スキャン
スキャン範囲 : m/z 75〜300
検出器ON時間 : 5min
キャリブレーション(質量校正及び感度調整)
: 反応ガス メタン
キャリブラント PFDTD(ペルフルオロ−5,8-ジメチル
-3,6,9-トリオキシドデカン)
チューニング法 オートチューニング
(3) 試料調製
プロピレンテトラマーを、5重量%の濃度でイソプロピルアルコールに溶解させる。
(データ処理法)
炭素数が9〜14の範囲にある各炭素数のアルケン成分について、それぞれ分子イオンに該当する質量数によるマスクロマトグラムを抽出し、S/N(シグナル/ノイズ比)>3の条件下で、成分毎の積分条件に従い積分を実行する。表1〜5の各々に示す検出結果から、特定アルキル鎖長成分の割合を以下の式により計算する。
Figure 2010107669
Figure 2010107669
(4)積分条件
918
Figure 2010107669
1020
Figure 2010107669
1122、C1224及びC1326
Figure 2010107669
1428
Figure 2010107669
本発明において、炭素数9〜14に相当するアルキレン化合物とは、ガスクロマトグラフィー質量分析において、分子イオンに対応するピークのことをいう。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
アルキレン化合物の製造例
新日本石油株式会社製のプロピレンテトラマー(商品名:ライトテトラマー)を用いて、183〜208℃の加熱条件で分留してアルキレン化合物Aを得た。得られたアルキレン化合物Aは,ガスクロマトグラフィー質量分析において、40個のピークを有していた。アルキレン化合物の分布は、C9:0.5重量%、C10:4重量%、C11:20重量%、C12:66重量%、C13:9重量%、C14:0.5重量%であった。
アルケニル無水コハク酸の製造例
1Lの日東高圧製オートクレーブにアルキレン化合物A 542.4g、無水マレイン酸157.2g、チェレックス-O 0.4g(堺化学工業(株)社製)、ブチルハイドロキノン0.1gを仕込み、加圧窒素置換(0.2MPaG)を3回繰り返した。60℃で撹拌開始後、230℃まで1時間かけて昇温して6時間反応を行った。反応温度到達時の圧力は、0.3MPaGであった。反応終了後、80℃まで冷却し、常圧(101.3kPa)に戻して1Lの4つ口フラスコに移しかえた。180℃まで撹拌しながら昇温し、1.3kPaにて残存アルキレン化合物を1時間で留去した。ひきつづき、室温(25℃)まで冷却後、常圧(101.3kPa)に戻して目的物のアルケニル無水コハク酸A 406.1gを得た。酸価より求めたアルケニル無水コハク酸の平均分子量(Mw)は268であった。
樹脂製造例1〔樹脂A〜G、I〕
表6、7に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温を行った。その後230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、210℃まで冷却後、表6、7に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
樹脂製造例2〔樹脂H〕
表7に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8kPaにて1時間反応を行った後、210℃まで冷却し、表7に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
Figure 2010107669
Figure 2010107669
実施例1〜9及び比較例1〜3
表8に示す結着樹脂100重量部、シアン顔料「Toner Cyan BG」(クラリアント社製、C.I.ピグメントブルー15:3)6重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及び離型剤「HNP-9」(日本精鑞社製、融点:75℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、表8に示す体積中位粒径(D50)を有するトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル(株)製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
実施例10
着色剤としてシアン顔料の代わりにカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着画像の定着試験を行った。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ロールに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ロールの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表8に示す。なお、定着試験に用いた紙は、シャープ(株)製のCopyBond SF-70NA(75g/m2)であった。
〔評価基準〕
A:最低定着温度が150℃未満である。
B:最低定着温度が150℃以上、170℃未満である。
C:最低定着温度が170℃以上である。
試験例2〔保存性〕
20ml容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表8に示す。
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間以内で凝集が認められる。
試験例3〔高温高湿下での画像濃度〕
ステンレス製の現像ロールを装備した非磁性一成分現像装置「ページプレストN-4」(カシオ計算機社製)にトナーを実装し、温度40℃、相対湿度90%の環境下で500枚の画像を連続して印刷した。50枚目と500枚目の画像を透過型マクベス濃度計「TR-927」を用いて画像濃度を測定し、50枚目と500枚目の画像濃度の比(500枚目の画像濃度の値/50枚目の画像濃度の値)を算出して、以下の評価基準に従って、高温高湿下での画像濃度を評価した。結果を表8に示す。
〔評価基準〕
A:画像濃度の比が、0.90以上
B:画像濃度の比が、0.70以上0.90未満
C:画像濃度の比が、0.70未満
Figure 2010107669
以上の結果より、実施例1〜10のトナーと対比して、アルコールA以外の脂肪族多価アルコールを使用した結着樹脂を含有した比較例1のトナーは、低温定着性は良好であるものの、保存性に欠けており、芳香族多価アルコールを使用した結着樹脂を含有した比較例2のトナーは、保存性は良好であるものの、低温定着性に欠けていることが分かる。また、アルコールAもコハク酸誘導体も使用していない結着樹脂を含有した比較例3のトナーは、保存性に欠け、高温高湿下での画像濃度の低下も顕著であることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分と、アルキル(炭素数9〜14)コハク酸及びアルケニル(炭素数9〜14)コハク酸から選ばれる少なくとも1種のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂。
  2. アルコールAが、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接してなる第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数が4〜8の脂肪族多価アルコールである、請求項1記載の結着樹脂。
  3. アルコールAの含有量が、アルコール成分中、10〜100モル%である、請求項1又は2記載の結着樹脂。
  4. コハク酸誘導体の含有量が、カルボン酸成分中、3〜50モル%である、請求項1〜3いずれか記載の結着樹脂。
  5. アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量が、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部である、請求項1〜4いずれか記載の結着樹脂。
  6. アルコール成分が、さらに、アルコールA以外の炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有してなる、請求項1〜5いずれか記載の結着樹脂。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
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