JP2007214510A - ボンド磁石用フェライト磁性粉およびその製造方法、並びにボンド磁石 - Google Patents
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Abstract
【手段】ボンド磁石用フェライト磁性粉の原料粉を焼成して粉砕し、平均粒子径を2.5μm以下、比表面積を1.25m2/g以上とした後、アニールし、さらに圧縮して、当該圧縮された焼成粉において、乾式空気分散レーザー回折法により測定される平均粒子径をRa(μm)とし、空気透過法により計測される比表面積径をDa(μm)としたとき、Ra<2.5μm、且つ、Ra−Da<0.5μmとした。
【選択図】図1
Description
ボンド磁石の製造に用いられるフェライト磁性粉であって、
当該フェライト磁性粉の乾式空気分散レーザー回折法により測定された平均粒子径をRa(μm)とし、空気透過法により計測された比表面積径をDa(μm)としたとき、Ra<2.5μm、且つ、Ra−Da<0.5μmであることを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉である。
ボンド磁石の製造に用いられるフェライト磁性粉の製造方法であって、
当該フェライト磁性粉の原料粉を焼成して焼成粉を得る工程と、
当該焼成粉を粉砕する工程と、
前記粉砕された焼成粉を、アニールする工程と、
前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程と、を有することを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法である。
第2の手段に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法であって、
前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程とは、
水平に対し所定角度をもって傾けて設置された中空円柱構造を有する外筒と、当該外筒内に内接して設置され自由回転可能な円柱形状の内筒と、を用い、
前記外筒を、当該外筒の円柱の軸を回転軸として回転させて、前記内筒を、当該内筒の円柱の軸を回転軸として自由回転させ、
前記外筒の上位側から、前記アニールされたフェライト磁性粉を投入し、前記外筒の内面と内筒の外面との間を通過させて外筒の下位側から取り出すものであることを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法である。
前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程における、圧縮の圧力が0.1N/mm以上、80N/mm以下であることを特徴とする第2または第3の手段に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法である。
第1の手段に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉を含むことを特徴とするボンド磁石である。
当該フェライト磁性粉は、乾式空気分散レーザー回折法により測定された平均粒子径をRa(μm)とし、空気透過法により計測された比表面積径をDa(μm)としたとき、Ra<2.5μm、且つ、Ra−Da<0.5μmである。
本発明に係るフェライト磁性粉の製造工程は、配合工程、混合工程、造粒工程、焼成工程、粉砕工程、アニール工程、圧縮工程等の諸工程を有する。
以下、各工程毎に説明する。
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比でSrCO3: Fe2O3=1: 5.20〜6.00の範囲となるよう評量し、混合して混合物を得る。
得られた混合物へ5〜15wt%の水を添加して混合して、φ3〜10mmの球状に造粒し造粒粉を得る。
造粒工程で得られた造粒粉を、乾燥後電気炉で900℃〜1350℃の範囲で10分間〜2時間の範囲で焼成して焼成粉を得る。ここで、焼成温度は900℃以上あれば、フェライト化反応が進行する。一方、焼成温度が1350℃以下であれば、当該焼成粉において、結晶の粗大成長や粒子間焼結を回避することが出来る。
粉砕工程においては、焼成工程で得られた焼成粉を、平均粒子径が2.5μm以下となるまで粉砕を行い、フェライト磁性粉を製造する。当該焼成粉の粉砕方法としては湿式、乾式など適宜選択すればよい。
アニール工程は、上述した焼成粉の粉砕時または乾燥後の解砕時に、フェライト磁性粉の結晶に発生する結晶歪を除去する為のものである。アニール温度としては1000℃〜850℃の範囲とすることが好ましい。これは、当該アニール工程の温度を850℃以上にすることにより当該結晶歪みが除去されてHcをより高めることができるからである。一方、当該アニール温度が1000℃以下であれば、フェライト磁性粉の凝集の発生を抑制し、当該フェライト磁性粉の分散性を保つことが出来るからである。
圧縮工程は、アニールされたフェライト磁性粉に所定の圧縮力を附加して弱く物理凝集させて、微粒子化しながら凝集が抑制され、高い分散状態を維持しながら弱く物理凝集したフェライト磁性粉粒子を得る工程である。そして、当該圧縮力としては0.1〜80N/mm、さらに好ましくは0.1〜50N/mmを附加することが望ましい。
これは、当該圧縮力が0.1N/mm以上とすると、所定の特性を得るのに1分間以下の圧縮時間で可能となるためである。一方、当該圧縮力が80N/mm以下、さらに好ましくは50N/mm以下であれば、得られるフェライト磁性粉の粒子において粉砕がおこらず、保持力の低下が所定内に抑えられて好ましいからである。
また、圧縮を加えるときのフェライト磁性粉の厚みとしては3mm以下とすることが望ましい。3mm以上では所定の空気の透過し易さを改善する効果が得られない。
図1は、フェライト磁性粉の粒子に圧縮力を附加する装置の一例の斜視図である。ここで、符号1は中空円柱構造を有する外筒である。外筒1は、例えば内径194mm、長さは600mmであり、水平に対して、例えば15°傾けて設置される。このとき、当該外筒1の上位に位置する端部を外筒上位側1(a)、下位に位置する端部を外筒下位側1(b)とする。また外筒1は図示していない回転装置に接続されており、当該円柱の軸を中心としての回転が可能である。
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比でSrCO3: Fe2O3=1:5.75となるよう評量する。そして、当該秤量物をサンプルミルで混合し混合粉とする。次に、当該混合粉に10Wt%の水を加えて混練してから造粒し平均粒子径8mmの造粒粉とし、乾燥した。当該乾燥した造粒粉を電気炉内に設置し、大気雰囲気中にて1200℃、2時間焼成して焼成物を得た。当該焼成物を、まずサンプルミルで粗砕し、さらにウエットミルで150分間湿式粉砕した後、乾燥し、焼成粉である平均粒子径1.89μmのストロンチウムフェライト粉とした。
ここで、当該圧縮力附加装置は、外径215mm、内径194mm、長さ600mmの外筒を水平から15°傾斜させた中に、外径112mm、長さ600mm、重量29kgの内筒を設置し(圧縮力0.483N/mm)、当該外筒を60rpmで回転させたものを用いた。
当該圧縮力附加装置へ混合ストロンチウムフェライト粉を投入したところ、当該混合ストロンチウムフェライト粉は、外筒上位側から外筒下位側までを4秒間で通過させることが出来た。そこで、外筒下位側で回収した圧縮済みの混合ストロンチウムフェライト粉を再度、外筒上位側から投入して圧縮処理を行い、当該圧縮処理を6回繰り返して実施例1に係るフェライト磁性粉を製造した。
また、メルトフローレート (MFR)は、87.5g/10minと高い流動性を示していた。
磁気特性の測定を行ったところ、Brは3037Gauss(以下Gとする)、iHcは2384Oe、BHmaxは2.26MGOe、SQxは0.980であった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が良いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も高く、さらには、高い磁気特性を有していた。
以上、実施例1に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
湯浅アイオニクス(株)製、MS-17を用いて測定した。
フェライト磁性粉単体の平均粒子径測定は乾式法によって行われるのが好ましい。これは、一般的にフェライト磁性粉が水溶液中では凝集し易いためである。そこで、本実施例における平均粒子径測定は、測定値の再現性に優れる乾式のレーザー回折法で行った。測定装置は、日本電子株式会社製、“HELOS&RODOS” MODEL No. DESK JET 660Cのレーザー回折式粒度分布計を使用した。ここで、測定条件はpressure5Bar、Feed rate 55%, injector depression 130 mbar,rotation rate 30%, focal length 20mm, time resol. 1000ms, measuring time/timeout 3.00s, start/stop with 0.5% on channel 27, density 5.10g/ccmで行った。そして、当該測定で得られるメディアン径(x50)の値を平均粒子径とした。
測定装置は、島津製作所(株)製、粉体比表面積測定装置SS-100を用いて行った。
当該粉体比表面積測定装置に付属のプレス機を用い、フェライト粉試料を、断面積2cm2、厚さ1cmにプレス成形する。一方、当該粉体比表面積測定装置の試料筒にワセリンを少量塗り、プレス成形されたフェライト粉試料をセットする。
そして、空気が、当該プレス成形されたフェライト粉試料内を2cm3透過する時間tを計測し、この計測時間tから下記の換算式を用いて、フェライト粉試料の比表面積を算出した。
Sw=(14/ρ)・((ΔP・A・t・ε3)/(η・L・Q・(1−ε)2))0.5
但し、Swは比表面積である。ρはフェライトの密度であり本実施例においては5.1g/cm3である。ΔPは圧力差であり本実施例においては40g/cm2である。Aは試料層の断面積であり本実施例においては2cm2である。ηは水の粘性係数であり180×10−6g/cm2である。Lは試料の厚さであり本実施例においては1cmである。Wは試料の重量であり本実施例においては5gである。Qは空気の透過量であり本実施例においては2cm3である。tは空気の透過所要時間である。εは試料層の空隙率(1−W/(ρ・A・L))である。
圧縮密度は、測定に係るフェライト磁性粉を1ton/cm2で成形した時の密度値を測定し、当該測定値を圧縮密度の値とした。
流動性の指標であるMFRは、以下の様に測定した。
(1)フェライト磁性粉3000gを採取し、シランカップリング剤(日本ユニカ株式会社製、商品名A-1122)30g、水15g、メタノール30gと伴にハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、FS−GC−5JD)内に装填し、周速8m/sec、処理時間5分間で混合し、混合物を得る。
(2)得られた混合物を100℃×90分間乾燥し、乾燥粉を得る。
(3)得られた乾燥粉3075gと、6−ナイロン(宇部興産株式会社製、P-1010)408.8gとをハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、FS−GC−5JD)内に装填し、周速8m/sec、処理時間5分間で混合し、混合物を得る。
(4)得られた混合物を230℃で混練し、平均径がほぼ2mmのペレットにする。尚、当該混練には、KCK株式会社製の連続混練押し出し式装置(KCK70-22VEX(6))を用いた。
(5)得られたペレットに270℃で荷重10kgを掛け、10分間で当該連続混練押し出し式装置から押し出された重量を測定し、この値をメルト・フロー・レイト(MFR)とした。尚、測定に用いたメルトインデクサーは、東洋精機株式会社製のC-5059D2を用いた。この装置の構造はJIS−K7210に準拠したものである。
磁気特性は、以下の様に測定した。
(1)上記「5.メルト・フロー・レイト(MFR)の測定」で説明した(1)〜(4)と同様にして、平均径がほぼ2mmのペレットを得る。
(2)得られたペレットを、当該射出成形機(住友重機製)を用い10KOeの磁場中にて、温度290℃、成形圧力8.5N/mm2で射出成形し、直径15mm×高さ8mmの円柱状の成形品を得た。尚、当該円柱状の成形品において、磁場の配向方向は円柱の中心軸に沿う方向となっている。
(3)得られた円柱状の成形品のBr、iHc、BHmax、SQx(Br/4πI)を、BHトレーサー(東英工業製、BHトレーサー)で測定した。
実施例1と同様にしてストロンチウムフェライト粉を製造した。
次に、当該ストロンチウムフェライト粉の4Kgを、3.6Kgと0.4Kgとに2分割した。そして、前者の3.6Kgのストロンチウムフェライト粉を電気炉内に設置し、大気雰囲気下にて900℃で20分間アニールした。一方、後者の0.4Kgのストロンチウムフェライト粉を電気炉内に設置し、大気雰囲気下にて600℃で20分間アニールした。そして、前者および後者にてアニールされたストロンチウムフェライト粉を、ハイスピードミキサーで混合し、混合ストロンチウムフェライト粉を得た。当該ストロンチウムフェライト粉の粉体特性を測定したところ、比表面積1.52m2/g、空気透過法により計測された比表面積径1.39μm、平均粒子径2.07μm、圧縮密度3.49g/cm3であった。尚、当該比表面積、等の測定方法の態様は、実施例1と同様である。
得られたフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、平均粒子径(Ra)2.07μm、比表面積1.53m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.65μm、Ra−Daは0.42μm、圧縮密度3.49g/cm3であった。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、90.5g/10minと高い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは3030G、iHcは2091Oe、BHmaxは2.24MGOe、SQxは0.977であった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が良いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も高く、さらには、高い磁気特性を有していた。
以上、実施例2に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例2において圧縮行程のパス数を6回から3回に変えて、実施例3に係るフェライト磁性粉を得た。
得られたフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、平均粒子径(Ra)2.07μm、比表面積1.53m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.57μm、Ra−Daは0.50μm、圧縮密度3.49g/cm3であった。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、87.1g/10minと高い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは3022G、iHcは2294Oe、BHmaxは2.23MGOe、SQxは0.977であった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が良いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も高く、さらには、高い磁気特性を有していた。
以上、実施例3に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例1と同様だが、ウェットミルによる湿式粉砕工程を250分間おこなって粉砕した後、乾燥して焼成粉とし、平均粒子径1.69μmのストロンチウムフェライト粉を製造した。
当該平均粒子径1.69μmのストロンチウムフェライト粉と、実施例1で製造した平均粒子径1.89μmのストロンチウムフェライト粉とを、30:70で秤量し、ハイスピードミキサーで混合して混合ストロンチウムフェライト粉を得た。
得られた混合ストロンチウムフェライト粉へ、実施例1と同様にアニール処理および圧縮処理を行い、実施例4に係るフェライト磁性粉を製造した。
製造されたフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、平均粒子径(Ra)1.80μm、比表面積2.23m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.39μm、Ra−Daは0.41μm、圧縮密度3.51g/cm3であった。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、105.3g/10minと高い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは3033G、iHcは2583Oe、BHmaxは2.25MGOe、SQxは0.973であった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が良いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も高く、さらには、高い磁気特性を有していた。
以上、実施例4に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例1と同様にしてストロンチウムフェライト粉を製造し、圧縮工程前のストロンチウムフェライト粉を、比較例1に係るボンド磁石用フェライト磁性粉として、粉体特性、流動特性、および磁気特性を実施例1と同様にして測定した。
すると、平均粒子径(Ra)2.17μm、比表面積1.46m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.51μm、Ra−Daは0.66μm、圧縮密度3.49g/cm3であり、Ra−Daが0.5μmを超えていた。
また、MFRを測定したところ、65.2g/10minと、実施例と比較して低い流動性を示した。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは3000G、iHcは2392Oe、BHmaxは2.19MGOe、SQxは0.965あった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が低いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も低く、さらには、磁気特性も低かった。
以上、比較例1に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例2と同様にしてストロンチウムフェライト粉を製造し、圧縮工程前のストロンチウムフェライト粉を比較例2に係るボンド磁石用フェライト磁性粉として、粉体特性、流動特性、および磁気特性を実施例1と同様にして測定した。
すると、平均粒子径(Ra)2.07μm、比表面積1.52m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.39μm、Ra−Daは0.68μm、圧縮密度3.49g/cm3であり、Ra−Daが0.5μmを超えていた。
また、MFRを測定したところ、60.3g/10minと、実施例1、2と比較して低い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは2996G、iHcは2270Oe、BHmaxは2.13MGOe、SQxは0.964あった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が低いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も低く、さらには、磁気特性も低かった。
以上、比較例2に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例1と同様にしてストロンチウムフェライト粉を製造し圧縮工程を行うことなく、このストロンチウムフェライト粉の全量を電気炉内に設置し、1050℃で20分間アニールして比較例3に係るフェライト磁性粉を得た。
得られた比較例3に係るフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、
すると、平均粒子径(Ra)2.33μm、比表面積1.16m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.70μm、Ra−Daは0.63μm、圧縮密度3.47g/cm3であり、Ra−Daが0.5μmを超えていた。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、57.9g/10minと、実施例1、2と比較して低い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは2963G、iHcは2371Oe、BHmaxは2.16MGOe、SQxは0.969あった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が低いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も低く、さらには、磁気特性も低かった。
以上、比較例3に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例1において、ウェットミルによる湿式粉砕工程を250分間として粉砕した後、乾燥し、焼成粉である平均粒子径1.69μmのストロンチウムフェライト粉を得た。
次に、圧縮工程を行うことなく、このストロンチウムフェライト粉の全量を電気炉内に設置し、1050℃で20分間アニールして比較例4に係るフェライト磁性粉を得た。
得られた比較例4に係るフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、
すると、平均粒子径(Ra)1.78μm、比表面積2.03m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.16μm、Ra−Daは0.62μm、圧縮密度3.47g/cm3であり、Ra−Daが0.5μmを超えていた。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、57.2g/10minと、実施例と比較して低い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは2968G、iHcは2353Oe、BHmaxは2.16MGOe、SQxは0.967あった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が低いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も低く、さらには、磁気特性も低かった。
以上、比較例4に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
実施例1と同様にしてストロンチウムフェライト粉を製造し、圧縮工程を行うことなく、このストロンチウムフェライト粉の全量を電気炉内に設置し、1080℃で20分間アニールして比較例5に係るフェライト磁性粉を得た。
得られた比較例5に係るフェライト磁性粉の粉体特性を測定したところ、
すると、平均粒子径(Ra)2.42μm、比表面積1.02m2/g、空気透過法により計測された比表面積径(Da)1.82μm、Ra−Daは0.6μm、圧縮密度3.47g/cm3であり、Ra−Daが0.5μmを超えていた。
さらに実施例1と同様にMFRを測定したところ、57.6g/10minと、実施例と比較して低い流動性を示していた。
また、実施例1と同様に磁気測定を行ったところ、Brは2960G、iHcは2298Oe、BHmaxは2.12MGOe、SQxは0.952あった。即ち、フェライト磁性粉の流動性が低いことから、配向性の指標の一つであるSQx値も低く、さらには、磁気特性も低かった。
以上、比較例5に係るフェライト磁性粉について測定した、粉体特性、流動特性、および磁気特性の測定値を表1に記載した。
表1の結果から明らかなように、本発明に係るフェライト磁性粉において、Ra<2.5μm、且つ、Ra−Da<0.5μmとすることで、フェライト磁性粉の流動性を示すMFRを大きく向上させることが出来た。そして、当該MFRの向上により、当該フェライト磁性粉とバインダーとの混練の際において、当該フェライト磁性粉の分散性が向上する結果、フェライト磁性粉とバインダー中へ均一に分散されて、成型時の流動性が向上する。この結果、当該混練物において、バインダー量を増やすことなく流動性を保つことが可能となり、フェライト磁性粉の配合量を保持または増量できることになる。そして、当該混練物を成形したボンド磁石において、成形性を保ちながら、フェライト磁性粉が高充填でき、磁気特性に優れたボンド磁石を製造することが出来た。
1(a).外筒上位側
1(b).外筒下位側
2.内筒
3.自由接触線
4.スコップ
5(a).フェライト磁性粉
5(b).圧縮済みのフェライト磁性粉
Claims (5)
- ボンド磁石の製造に用いられるフェライト磁性粉であって、
当該フェライト磁性粉の乾式空気分散レーザー回折法により測定された平均粒子径をRa(μm)とし、空気透過法により計測された比表面積径をDa(μm)としたとき、Ra<2.5μm、且つ、Ra−Da<0.5μmであることを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉。 - ボンド磁石の製造に用いられるフェライト磁性粉の製造方法であって、
当該フェライト磁性粉の原料粉を焼成して焼成粉を得る工程と、
当該焼成粉を粉砕する工程と、
前記粉砕された焼成粉を、アニールする工程と、
前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程と、を有することを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法。 - 請求項2に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法であって、
前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程とは、
水平に対し所定角度をもって傾けて設置された中空円柱構造を有する外筒と、当該外筒内に内接して設置され自由回転可能な円柱形状の内筒と、を用い、
前記外筒を、当該外筒の円柱の軸を回転軸として回転させて、前記内筒を、当該内筒の円柱の軸を回転軸として自由回転させ、
前記外筒の上位側から、前記アニールされたフェライト磁性粉を投入し、前記外筒の内面と内筒の外面との間を通過させて外筒の下位側から取り出すものであることを特徴とするボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法。 - 前記アニールされた焼成粉を圧縮する工程における、圧縮の圧力が0.1N/mm以上、80N/mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉の製造方法。
- 請求項1に記載のボンド磁石用フェライト磁性粉を含むことを特徴とするボンド磁石。
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