JP5110262B2 - フェライト磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、フェライト磁石の製造方法に関する。
磁石として主流となっているフェライト(焼結)磁石を製造するには、原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させ、得られた仮焼体を粗粉砕してフェライトからなる粗粉砕粉末を得る。この粗粉砕粉末をさらにサブミクロンサイズまで粉砕して微粉砕粉末を得る。次いで、微粉砕粉末を磁場中で金型によって圧縮成形して成形体を得た後、この成形体を焼結することで、フェライト磁石を得る。このようなフェライト磁石の製造方法については、例えば、特許文献1に記載がある。
成形工程には、大きく分けて、微粉砕粉末を乾燥させた後に成形を行う乾式と、微粉砕粉末を分散媒に分散させてスラリー状として成形を行う湿式とがある。成形工程を湿式で行う場合、乾式で行う場合に比べて微粉砕粉末の配向性を高めることが可能であるため、磁気特性に優れたフェライト磁石を製造することができる。
フェライト粒子が単磁区状態であれば、磁化を反転させるためには異方性磁場に逆らって磁化を反転させる必要があるから、最大の保磁力が期待される。フェライト粒子における単磁区臨界径は1μm程度である。高保磁力を得るためには、フェライト粒子を単磁区粒子化するとともに、粒度を均一にすることが重要である。
仮焼体の粉砕には、アトライタやボールミル等の機械的粉砕手段が利用される。しかし、機械的粉砕を行うと、目標とする粒度よりもはるかに小さい超微粒子や十分に粉砕されていない粗粒子が少なからず発生してしまう。フェライト磁石の磁気特性向上を目的として粗粒子の発生を防ぐために粉砕時間を延長すると、超微粒子が増加してしまう。超微粒子が増加すると、湿式成形時にフィルターの目詰まりが生じたり、粒子間を分散媒が通過するときの抵抗が大きくなって分散媒の抜けが悪化し、成形工程のサイクルタイムが長くなり、生産性が低下するという問題がある。
また、微粉砕粉末を分散媒に分散させてスラリーを作製してから成形までに相当の時間が経過すると、分散媒に溶出しているSr、Caなどのアルカリ土類金属イオンが、空気に含まれる酸素や二酸化炭素と反応して炭酸塩等の固体として析出する。これが、焼結により気化すると焼結体にピンホールが発生して、得られるフェライト磁石の強度不足の原因となる。
特許第3088236号公報
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、成形工程の時間短縮のためスラリーの分散媒の抜けを改善できるとともに、さらには焼結体のピンホール低減のため分散媒にアルカリ土類金属イオンが溶出するのを抑制できるフェライト磁石の製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者らは鋭意検討の結果、フェライト粉末に添加されるSiO粉末の粒度分布を特定して微粉砕粉末を作製し、この微粉砕粉末を分散媒に分散させたスラリーを成形すると、フェライト磁石の磁気特性を低下させずに成形時の分散媒の抜けを改善できること、さらには分散媒へのアルカリ土類金属イオンの溶出が抑えられることを見出した。本発明においては、SiO粉末の粒度を表す指標として、BET法により求めた比表面積を用いる。
したがって、本発明は、フェライト粉末と比表面積が50〜150m/gのSiO粉末とを含む組成物を粉砕して粉砕粉末を得る微粉砕工程と、粉砕粉末を分散媒に分散させたスラリーを磁場中で加圧成形することにより成形体を得る成形工程と、成形体を焼成する工程と、を備えることを特徴とするフェライト磁石の製造方法である。
本発明において、SiO粉末の比表面積は、100m/g以上であることが好ましい。
また、本発明において、前記組成物は、フェライト粉末に対しSiO粉末を0.05〜2.5wt%含むことが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、成形時のスラリーの分散媒の抜けを改善することができ、さらには分散媒にアルカリ土類金属イオンが溶出するのを抑えることができる。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程の流れの一例を示す図である。なお、本実施の形態で示すフェライト磁石の製造工程はあくまでも一例に過ぎず、適宜変更を加えることが可能なことは言うまでもない。
図1に示すように、フェライト磁石を製造するには、まず原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させる(ステップS101、S102)。原料としては、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えば良い。
次いで、得られた仮焼体を粗粉砕工程を経ることで粉砕し(ステップS103)、フェライト粗粉砕粉末(粉末)を得る。
粗粉砕は、乾式粉砕法であっても湿式粉砕法であってもよいが、仮焼体は一般に顆粒から構成されるので、粗粉砕工程は乾式で行うことが好ましい。粗粉砕はバッチ式であっても、連続式であってもよく、振動ミル、ローラーミル、アトマイザー等を用いて行えばよい。
粗粉砕工程により、平均粒径が1〜10μm程度となるまで粉砕を行うことが好ましい。
フェライト粉末は、フェライトを主体とする粉末であればよく、目的とするフェライト磁石組成を構成するためのフェライト以外の原料組成物や、仮焼工程において未反応の原料組成物等が含まれていてもよい。フェライトは、マグネトプランバイト型のM相、W相等の六方晶系のフェライトであることが好ましい。
次いでフェライト粗粉砕粉末にSiO粉末を添加し、微粉砕工程を経ることによりサブミクロンサイズまで粉砕し(ステップS104)、主としてフェライトからなる微粉砕粉末(以下、微粉砕粉末と称する)を得る。このSiO粉末は、CaCOなどの反応によってCaOを生じる化合物とともに焼成時に液相成分として焼結反応を促進して焼結体を高密度化し、同時に結晶粒子の成長を抑制する添加物として添加される。
微粉砕は、湿式で行っても乾式で行ってもよいが、湿式で行うのが好ましい。湿式による微粉砕は、所定以下の粒径となるまで粗粉砕した粗粉砕粉末と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて所定以下の粒径となるまでの微粉砕を行う。微粉砕は、ボールミル、アトライタ、振動ミル等を用いて行えばよい。
微粉砕工程では、平均粒径が0.3〜1.2μm程度となるまで粉砕を行うことが好ましい。
なお、SiO粉末を添加する対象の一例として、フェライト粗粉砕粉末について説明したが、仮焼体を粗粉砕後に熱処理したフェライト粉末や、仮焼体を粗粉砕後に微粉砕し熱処理したフェライト粉末など、種々の形態のフェライト粉末を用いることができることは言うまでもない。
この後、微粉砕粉末を分散媒に分散させることで所定濃度のスラリーを調製し、これを磁場成形する。微粉砕工程で湿式粉砕を行った場合、脱水工程(ステップS105)にてスラリーを濃縮することで、所定濃度のスラリーを調製するようにしても良い。
本発明は、フェライト粉末に添加するSiO粉末の比表面積が50m/g以上であることに特徴がある。これにより、フェライト磁石の磁気特性を低下させずに、成形時におけるスラリーの分散媒の抜けの改善ができ、分散媒にアルカリ土類金属イオンが溶出するのを抑えるという効果を得る。
スラリーから分散媒の抜けが良くなるのは、比表面積が50m/g以上のSiO粉末を添加すると、微粉砕後の微粉砕粉末全体の比表面積が低下することによる。この理由は明らかではないが、本発明者らはフェライト粒子に対するSiO粉末の吸着によるものと推測している。比表面積の大きな(粒度の細かい)SiO粉末は、比表面積の小さな(粒度の大きな)SiO粉末に比べ、SiO粉末の表面が活性で物理的な吸着能力が高い。SiOがフェライト粒子表面に吸着することでフェライト粒子表面が平滑化され、比表面積が低下していることが考えられる。また、微粉砕工程は機械的な粉砕を行うため目標とする粒度より微細な超微粒子が少なからず発生する。そのような超微粒子がSiO粉末の吸着によって会合した状態で存在することで、見かけ上は比表面積の小さな(粒度の大きな)粒子となり、微粉砕粉末全体としての見かけ上の比表面積が小さくなっていることも考えられる。これらにより、湿式成形時に粒子間を分散媒が通過するときの抵抗が小さくなることから分散媒の抜けが良くなる。
この比表面積の低減は水溶性のケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムを添加することによっても起こることから、微細なSiO粉末を用いることにより溶解度が上昇し、SiO粉末の一部がケイ酸イオンとして溶解してフェライト粒子表面で再析出しているという可能性もある。
また、従来であれば、微粉砕粉末の比表面積の低下は、フェライト粒子の粗大化を意味し、フェライト磁石の磁気特性が低下した。しかし、本発明はSiO粉末とフェライト粒子との物理的な吸着によって見かけ上の比表面積が低下するのであってフェライト粒子自体が粗大化するものではないので、磁気特性の低下は生じない。
また、50m/g以上の比表面積を有するSiO粉末を添加すると、分散媒へのアルカリ土類金属イオンの溶出が抑えられることについても、本発明者らは、表面が活性で吸着能力が高い比表面積の大きなSiO粉末が、フェライト粒子表面に吸着することでアルカリ土類金属イオンの分散媒への溶出を抑え、また、SiO粉末がアルカリ土類金属イオンを吸着することで、分散媒中のアルカリ土類金属イオンを低減していると推測している。また、SiO粉末の一部がケイ酸イオンとして溶解することにより、アルカリ土類金属イオンの溶出を抑制していることも考えられる。これにより、焼結体のピンホールを低減することができる。
SiO粉末の比表面積は、上記効果を得るために50m/g以上とするが、SiO粉末添加による分散媒の抜けの改善とアルカリ土類金属イオン溶出低減の効果を少ない添加量でも十分に得るためにはSiO粉末の比表面積は、100m/g以上であることが好ましい。また、SiO粉末は比表面積が大きくなると高価になるので、生産コストを抑えるためには150m/g以下とすることが好ましい。
SiO粉末は、0.05〜2.5wt%添加することが好ましい。0.05wt%未満の添加では、効果を得るために、比表面積がより大きなSiO粉末を用いることが必要になり生産コストが上昇するので、0.05wt%以上添加することが好ましく、0.5wt%以上添加することがより好ましい。2.5wt%を超えて添加すると、吸着に関与しないSiO粉末が、微粉砕粉末全体の比表面積を増大させる恐れがあるので、2.5wt%以下の添加とすることが好ましく、1.6wt%以下とすることがより好ましい。
上述したように、SiO粉末は、CaCOなどの反応によってCaOを生じる化合物とともに焼成時に液相成分として焼結反応を促進して焼結体を高密度化し、同時に結晶粒子の成長を抑制する添加物としての効果をも有する。SiO粉末の添加量は、0.1wt%未満では焼結体の結晶粒子が粗大化しやすく保磁力(HcJ)が低下しやすくなり、1.0wt%を超えると焼結体の密度が低下しやすく残留磁束密度(Br)が劣化してくる。したがって、分散媒の抜けの改善の効果と高い磁気特性を得るためには0.1〜1.0wt%の範囲で添加することが最も好ましい。
SiO粉末は、SiO粉末添加による分散媒の抜けの改善とアルカリ土類金属イオン溶出低減の効果を得るため、焼結助剤としての効果を十分に得るために、微粉砕工程の前に添加するが、添加すべきSiO粉末の一部を仮焼時に添加し、残部を微粉砕工程の前に添加することもできる。この場合であっても、SiO粉末によるスラリーの分散媒の抜けの改善およびアルカリ土類金属イオン溶出低減の効果を得るためには、SiO粉末0.05wt%以上を微粉砕工程の前に添加することが好ましい。
スラリーの分散媒としては、水、あるいはヘキサン、トルエン、p-キシレン、メタノール等を用いることができるが、環境への負担を軽減するためには水を用いることが好ましい。
そして、このスラリーを混練した後(ステップS106)、スラリーを金型に注入し、所定方向の磁場をかけながら圧縮成形することで成形を行う(ステップS107)。成形条件は、磁場強度を5〜15kOe程度、圧力を0.1〜0.6Ton/cm程度とすることが好ましい。
本発明では、SiO粉末の添加により、スラリーからの分散媒の抜けが改善される。分散媒の抜けが良いと、成形機の金型にスラリーを充填する時間の短縮と、金型内部でのスラリーの内圧の低減により、成形工程のサイクルタイムを短縮することができ、生産性が向上する。
この後、得られた成形体を焼成して焼結させることで、フェライト磁石を得る(ステップS108)。
焼成に先立ち、乾燥工程を実施し、成形体の水分量(成形体に含まれる分散媒の量)を、成形体の7wt%以下、より好ましくは4wt%以下にコントロールすることが好ましく、焼成は大気中1150〜1250℃、好ましくは1200〜1250℃の温度で、30分〜3時間程度行うことが好ましい。
この後、所定形状への加工を経て、製品としてのフェライト磁石が完成する(ステップS109〜S110)。
本発明が適用されるフェライト磁石は、異方性フェライト磁石であって、主にマグネトプランバイト型のM相、W相等の六方晶系のフェライトである。このようなフェライトとしては、特に、MO・nFe23(Mは好ましくはSrおよびBaの1種以上、n=4.5〜6.5)であることが好ましい。このようなフェライトには、さらに、希土類元素、Ca、Pb、Si、Al、Ga、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr等が含有されていてもよい。
また、より好ましくはSr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素をAとし、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種の元素をRとし、Coおよび/またはZnをLとしたとき、A、R、FeおよびLそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:80〜95原子%、L:0.1〜5原子%である六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライトを主相に有するものが好ましい。
この場合は、RがAサイトに存在するとし、LがFeのサイトに存在するとして表した式IA1-xx(Fe12-yyz19で表される主相を形成することが好ましい。なお、x、y、zは上記の量から計算される値である。
さらに、好ましくは、A:3〜11原子%、R:0.2〜6原子%、Fe:83〜94原子%、L:0.3〜4原子%であり、特に好ましくは、A:3〜9原子%、R:0.5〜4原子%、Fe:86〜93原子%、L:0.5〜3原子%である。
上記各構成元素において、Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むことが好ましい。Aが小さすぎると、M型フェライトが生成しないか、α−Fe23等の非磁性相が多くなってくる。Aが大きすぎるとM型フェライトが生成しないか、SrFeO3-x等の非磁性相が多くなってくる。A中のSrの比率は、好ましくは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。A中のSrの比率が低すぎると、飽和磁化向上と保磁力の著しい向上とを共に得ることができなくなってくる。
Rは、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種の元素である。Rには、La、Pr、Ndを含有することが好ましく、特にLaが必ず含まれることが好ましい。Rが小さすぎると、Lの固溶量が少なくなり、効果が得難くなる。Rが大きすぎると、オルソフェライト等の非磁性の異相が多くなってくる。R中においてLaの占める割合は、好ましくは40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの固溶量を多くすることができず、その結果、元素Lの固溶量も多くすることができなくなり、その効果が小さくなってくる。また、Biを併用すれば仮焼温度および焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。
元素Lは、Coおよび/またはZnであり、特にCoが必ず含まれることが好ましい。元素L中のCoの比率は、好ましくは10原子%以上、より好ましくは20原子%以上であることが好ましい。Coの比率が低すぎると、保磁力向上が不十分となってくる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
出発原料としてFe粉末およびSrCO粉末を準備した。FeとSrが6.2:1の比率(モル比)になるようにFe粉末およびSrCO粉末を秤量し、さらにこの混合物に対してSiOとCaCOを添加して原料組成物を得た。この原料組成物をアトライタで湿式混合した後、乾燥して整粒し、これをロータリーキルンで1200〜1310℃で2時間仮焼し、顆粒状の仮焼体を得た。
得られた仮焼体を振動ミルで粗粉砕した後に、比表面積の異なる2種のSiO粉末をそれぞれ0.31wt%となるように添加、またCaCO、Alも同時に添加し、アトライタで微粉砕することにより微粉砕粉末を得た。微粉砕は、分散媒として水を使用し、スラリー化した状態で行い、同一の条件で行った。
なお、比表面積の異なる2種のSiO粉末としては、BET法による比表面積が126m/gのSiO粉末(平均粒径1μm)、1.3m/gのSiO粉末(平均粒径5μm)を用いた。
得られた微粉砕粉末全体の比表面積(微粉砕粉末の比表面積)をBET法により測定した結果を表1に示す。
微粉砕したスラリーをフィルタープレスで脱水した後、ニーダールーダで混練した。このとき成形用スラリー中の固形分濃度が75wt%となるように調整した。
この成形用スラリーを金型に注入し、水を除去しながら圧縮成形を行った。この成形は圧縮方向に約10kOe(800kA/m)の磁場を印加しながら行った。
このようにして得られた成形体を、昇降温速度5℃/min、1200℃で1時間保持して焼成し、焼成体を得た。
得られた焼成体の組成は、Al:0.12wt%、SiO:0.31wt%、CaCO:0.57wt%、SrO:9.36wt%、残部Feであった。
表1に、得られた焼成体の磁気特性として、残留磁束密度Br(mT)、保磁力Hcj(kA/m)、Br.ポテンシャルを示す。なお、Br.ポテンシャルは、磁気特性を比較するため、Hcjを278(kA/m)に固定してBrを換算(Br:HcJ=+1(mT):−2.4(kA/m))した値である。
また、成形時に金型にスラリーを充填するのに要する時間(成形時の材料充填時間)と成形機内部のスラリーの内圧(成形時のスラリー内圧)を表2に示す。
表1より、比表面積が126m/gの微細SiO粉末を用いた本発明例の場合、比表面積が1.3m/gの従来のSiO粉末を用いた従来例に比べ、微粉砕粉末全体の比表面積が小さく(粒度が大きく)なり、磁気特性は同等以上となることがわかる。
表2より、本発明例は従来例に比べて、成形時の材料充填時間が短く、スラリー内圧が低いことがわかる。このように微粉砕粉末の比表面積が小さくなり成形時のスラリーの分散媒の抜けが改善されるので、本発明により成形工程のサイクルタイムを短縮することができる。
Figure 0005110262
Figure 0005110262
微粉砕工程の前に添加するSiO粉末の添加量を0〜3.2wt%の範囲で変えて微粉砕を行い、微粉砕粉末を得て、微粉砕粉末全体の比表面積をBET法により求めた。結果を表3および図2に示す。
なお、用いたSiO粉末のBET法による比表面積は、実施例1と同様、126m/g(微細SiO粉末)、1.3m/g(従来SiO粉末)である。
表3および図2より、比表面積が126m/gの微細SiO粉末を用いた場合、微粉砕粉末全体の比表面積が小さく、すなわち粒度が粗くなることがわかる。一方、比表面積が1.3m/gの従来SiO粉末を用いた場合、微粉砕粉末全体の比表面積はSiO粉末を添加しない場合と同等であり、従来SiO粉末では微粉砕粉末全体の比表面積を小さくする効果が得られないことがわかる。成形時の分散媒の抜けは、比表面積が小さい(粒度が粗い)方がよいから、微細SiO粉末を用いると分散媒の抜けが改善される。
また、図2の微細SiO粉末の添加量に対する微粉砕粉末の比表面積の変化に着目すると、微細SiO粉末を0.8wt%添加した時をピークに微粉砕粉末全体の比表面積が増加し、添加量2.5wt%を超えると微粉砕粉末の比表面積がSiO粉末を添加しない場合を上回る。これは微細SiO粉末の吸着により得られる微粉砕粉末の比表面積を低下させる効果が飽和して、大きな比表面積を有する微細SiO粉末自体が全体の比表面積を増加させるものと考えられる。
なお、本実施例2においては、微細SiO粉末の添加量が3.2wt%で、微粉砕粉末の比表面積がSiO粉末を添加しない場合を上回るが、用いるSiO粉末の比表面積、材料組成、微粉砕の条件等によってSiO粉末の添加量は適宜設定すればよいから、本実施例2と異なる条件の場合は3.2wt%を超えてSiO粉末を添加しても微粉砕粉末の比表面積を小さくする効果を得ることは可能である。
Figure 0005110262
微粉砕工程の前に添加するSiO粉末の添加量を0〜0.6wt%の範囲で変えて微粉砕を行い、微粉砕粉末を含むスラリーを得た。分散媒は実施例1と同様に水を用いた。用いたSiO粉末のBET法による比表面積は、実施例1と同様、本発明にかかる微細SiO粉末は126m/g、従来SiO粉末1.3m/gである。
微粉砕したスラリーに溶出したアルカリ土類金属イオン(Srイオン、Caイオン)をICP(プラズマ発光分析装置)により測定した。アルカリ土類金属イオン(Srイオン、Caイオン)溶出量を表4に示す。
表4より、比表面積が126m/gの微細SiO粉末を用いた場合、比表面積が1.3m/gの従来SiO粉末を用いた場合に比べ、アルカリ土類金属イオンの溶出量が減少することがわかる。これにより、焼結体のピンホールを減少させることが可能となる。
Figure 0005110262
微粉砕工程の前に添加するSiO粉末の比表面積を1.3m/g、41.7m/g、62.2m/g、81.3m/g、126m/g及び149m/gと変えて微粉砕を行い、焼成温度を1215℃とした以外は実施例1と同様の方法で微粉砕粉末を含むスラリーを得た。この時のSiO粉末の添加量は0.15wt%である。微粉砕粉末全体の比表面積をBET法により求めた。結果を表5に示す。
微粉砕したスラリーに溶出したアルカリ土類金属イオン(Srイオン、Caイオン)をICP(プラズマ発光分析装置)により測定した。アルカリ土類金属イオン(Srイオン、Caイオン)溶出量を表5、図3及び図4に示す。
さらに、得られた焼成体の磁気特性として、残留磁束密度Br(mT)、保磁力Hcj(kA/m)、Br.ポテンシャルを測定した。その結果を表5に示す。なお、Br.ポテンシャルは、実施例1の表1と同様にして求めた。
表5より、SiO粉末の比表面積が大きくなるほどアルカリ土類金属イオンの溶出量が減少することがわかる。これにより、焼結体のピンホールを減少させることが可能となる。一方で、SiO粉末の比表面積を大きくしても、焼結体の磁気特性を害することはまったくない。
Figure 0005110262
なお、上記実施の形態では、フェライト磁石として、ストロンチウムフェライト磁石を用いたが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程を示す図である。 微細SiO添加に対する微粉砕粉末の比表面積と従来のSiO添加に対する微粉砕粉末の比表面積を示すグラフである。 SiO粉末の比表面積とSrイオンの溶出量の関係を示すグラフである。 SiO粉末の比表面積とCaイオンの溶出量の関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. フェライト粉末と比表面積が50〜150m/gのSiO粉末とを含む組成物を粉砕して粉砕粉末を得る微粉砕工程と、
    前記粉砕粉末を分散媒に分散させたスラリーを磁場中で加圧成形することにより成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、
    を備えることを特徴とするフェライト磁石の製造方法。
  2. 前記SiO粉末の比表面積が100m/g以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石の製造方法。
  3. 前記組成物は、前記フェライト粉末に対し前記SiO粉末を0.05〜2.5wt%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト磁石の製造方法。
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