JP2008270785A - フェライト焼結磁石の製造方法 - Google Patents

フェライト焼結磁石の製造方法 Download PDF

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【課題】M型フェライト磁石が本来有する高い磁気特性を得るために、異相の生成を抑えることのできるフェライト焼結磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】M型フェライトを主相とする焼結磁石の製造方法であって、粒径が1.5mm以下の顆粒状の原料混合物を仮焼きする工程と、仮焼きにより得られた仮焼き材を粉砕する工程と、粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、を備えることを特徴とする。粒径が1.5mm以下の顆粒状の原料混合物を仮焼きして得られる仮焼き材は、異相の生成を抑えることにより、磁化M(480℃/50℃)を0.006以下と低くできる。
磁化M(480℃/50℃):M(480℃)/M(50℃)
(50℃):50℃における磁化(emu)、M(480℃):480℃における磁化(emu)
【選択図】なし

Description

本発明は、フェライト焼結磁石の製造方法に関し、特に仮焼き工程において異相の生成を抑えたフェライト焼結磁石の製造方法に関する。
焼結磁石に用いられるフェライト磁性材料としては、六方晶系のBaフェライト又はSrフェライトが知られており、現在ではマグネトプランバイト型(M型)のBaフェライト又はSrフェライトが主に用いられている。M型フェライトはAFe1219の一般式で表され、元素Aを構成する元素としてSr,Baが適用される。元素Aの一部を希土類元素、典型的にはLaで置換し、さらにFeの一部をCoで置換したM型フェライトは、高い磁気特性(残留磁束密度、保磁力)を有することが知られている(特許文献1)。
一方で、元素AがCaのみでは六方晶フェライトを形成しないため磁石材料として用いられなかったが、元素Aの一部をLaで置換することにより、Caが元素Aを構成する元素となった場合にも六方晶フェライトが形成され、さらにFeの一部をCoで置換することで高い磁気特性が得られることが知られている(特許文献2)。
特開平11−154604号公報 特開2000−223307号公報
以上のように、元素Aの一部を希土類元素(La)で置換し、さらにFeの一部をCoで置換したM型フェライト磁石(以下、La、Co置換M型フェライト磁石と略記する)は高い磁気特性を発現する。この高い磁気特性を実際に得るためには、磁石中にM型フェライト以外の相、つまり異相が少ないことが要求される。異相の存在は、M型フェライトの存在比率を減少させ、特に残留磁束密度(Br)を低下させる要因となるからである。
そこで本発明は、La、Co置換M型フェライト焼結磁石が本来有する高い磁気特性を得るために、異相の生成を抑えることのできるフェライト焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
La、Co置換M型フェライト磁石は、Co、Laを含むことに起因して、CoFe、FeLaOが異相として生成するおそれがある。異相としては、CoFe、FeLaO以外に、Fe、Fe+Coフェライトも生成しうる。
ところで、フェライト焼結磁石は、出発原料を配合して原料混合物を得る工程、原料混合物をフェライト化させる仮焼き工程、仮焼きにより得られた仮焼き材を粗粉砕する工程、粗粉砕された粉末を微粉砕する工程、微粉砕により得られた粉末を磁場中で成形する工程、及び成形体を焼成する工程を経て得られる。この中で、異相は主に仮焼き工程において生成される。そこで本発明者等は、仮焼き工程における異相の生成について検証した。その結果、後述する実施例に示すように、仮焼きに供される原料混合物の粒径によって異相の生成が左右されることを見出した。
本発明は以上の検証結果に基づくものであり、元素A(ただしAは、Sr,Ba,Ca及びPbから選択される少なくとも一種の元素であって、Srを必ず含む)、La、Coを含むM型フェライトを主相とする焼結磁石の製造方法であって、粒径が1.5mm以下の顆粒状の原料混合物を仮焼きする工程と、仮焼きにより得られた仮焼き材を粉砕する工程と、粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、を備えることを特徴とするフェライト焼結磁石の製造方法である。
また、本発明によれば、元素A(ただしAは、Sr,Ba,Ca及びPbから選択される少なくとも一種の元素であって、Srを必ず含む)、La、Coを含むM型フェライトを主相とする焼結磁石の製造方法であって、原料混合物を仮焼きする工程と、仮焼きにより得られた仮焼き材を粉砕する工程と、粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、を備え、仮焼きにより得られた仮焼き材は、以下で特定される磁化M(480℃/50℃)が0.006以下であるフェライト焼結磁石の製造方法が提供される。
磁化M(480℃/50℃):M(480℃)/M(50℃)
(50℃):50℃における磁化(emu)、M(480℃):480℃における磁化(emu)
以上説明したように、本発明によれば、仮焼きに供される原料混合物の粒径を1.5mm以下に調整することにより、仮焼き時に異相の発生を抑え、焼結後の磁気特性を向上することができる。
以下、本発明によるフェライト焼結磁石の製造方法について詳述する。
本発明によるフェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、粒度調整工程、仮焼き工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程及び焼成工程を含む。
<配合工程>
配合工程は、出発原料を所定の割合となるように秤量後、湿式アトライタ、ボールミル等で1〜20時間程度混合、粉砕処理する。出発原料としては、フェライト構成元素(Sr,Ba、Ca、Pb、La、Fe、Co)の1種を含有する化合物(例えば、BaCO、SrCO、CaCO、La(OH)、Fe及びCo)又はこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。化合物としては酸化物、又は焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2.0μm程度とすることが好ましい。出発原料は、仮焼き前にすべてを配合する必要はなく、各化合物の一部又は全部を仮焼きの後に添加することもできる。
<粒度調整工程>
以上の配合工程を経た原料混合物は、仮焼きに供するために造粒される。この造粒によって得られる顆粒状の原料混合物の粒径を本発明は1.5mm以下とする。本発明者等の検討によれば、仮焼きに供される原料混合物の粒径が大きいほど異相が生成しやすくなる。仮焼きの対象物である顆粒状の原料混合物の粒径が大きくなると、当該粒子の中心部まで均一な熱量、雰囲気を確保するのが難しくなり、個々の顆粒内でフェライト化反応が不均一に行われる。そこで本発明では、仮焼きに供される原料混合物の粒径を1.5mm以下に制限するのである。仮焼きに供される原料混合物の粒径は、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。ただし、粒径が小さくなるほど流動性が悪く、取扱いが容易でなくなる。また、粒径が小さくなるほど、微粉が存在する割合が多くなるために、微粉が粉塵として舞うことがあり、さらに設備に付着しやすくなるといった問題が生じる。したがって、これらの問題を考慮すると、原料混合物の粒径は0.3mm以上とすることが好ましい。
ここで、本発明における粒径とは、顆粒状の原料混合物の一次粒子の粒径ではなく、顆粒としての粒径をいう。この粒径は、所定の目開きを有するメッシュを通過するか否かで特定される。例えば、本発明において粒径が1.5mm以下とは、目開きが1.5mmのメッシュを通過することを言う。なお、造粒により粒径を1.5mm以下に制御するのが難しい場合には、造粒後に粒径を調整して仮焼きに供することもできる。
<仮焼き工程>
粒径が1.5mm以下の原料混合物を仮焼きする。仮焼きは、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。仮焼き温度は1100〜1450℃の温度範囲で行うことが好ましく、1150〜1400℃がより好ましく、1200〜1350℃がさらに好ましい。安定時間は1秒間〜10時間、さらには1秒間〜3時間が好ましい。
工業的な生産工程において、仮焼きは、通常、ロータリーキルンを用いて連続的に行われる。ロータリーキルンを用いる場合、原料混合物は仮焼きの過程で転動される。したがって、原料混合物は、仮焼きの過程で不可避的に造粒され、粒径が不均一でかつ大きな顆粒が生成される。つまり、ロータリーキルンを用いると、原料混合物由来の造粒物の各々において、フェライト化反応が均一に行われない可能性が高くなる。したがって、ロータリーキルンのように転動を伴う装置により仮焼きを行う場合、本発明による原料混合物を用いる必要性が大きくなる。
仮焼きに供される原料混合物の粒径を1.5mm以下に規制することにより、仮焼き材の磁化M(480℃/50℃)を0.006以下とすることができる。この磁化M(480℃/50℃)は、50℃における磁化(emu)をM(50℃)、480℃における磁化(emu)をM(480℃)とすると、M(480℃)/M(50℃)により求められるものである。
ここで、SrFe1219、La、Coで一部が置換されたSrFe1219、CoFe、Fe、Fe+Coフェライトのキュリー温度(以下、単にTc)は、以下の通りである。なお、上記のうち、CoFe、Fe、Fe+Coフェライトは、本発明が対象とするM型フェライトにおいて異相を構成するものであり、この中ではCoFeが異相として顕著に生成されやすい。下記の各化合物のTcより、480℃(450℃と520℃の間)における磁化が小さいほど異相の存在量が少ないといえる。そこで本発明では、磁化M(480℃/50℃)を用いて異相の存在状態を評価することにしたのである。
SrFe1219:453℃
Sr・La・6Fe(La又はCo置換):≦450℃
CoFe(スピネル):520℃
Fe(スピネル):585℃
Fe+Coフェライト:520〜585℃
<粉砕工程>
仮焼き材は、一般に顆粒状、塊状等になっており、そのままでは所望の形状に成形ができないため、粉砕する。また、所望の最終組成に調整するための原料粉末、及び添加物等を混合するために、粉砕工程が必要である。粉砕工程は、通常、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれる。
<粗粉砕工程>
前述のように、仮焼き体は一般に顆粒状、塊状等であるので、これを粗粉砕することが好ましい。粗粉砕工程では、振動ミル等を使用し、平均粒径が0.5〜5.0μmになるまで処理される。なお、ここで得られた粉末を粗粉砕粉と呼ぶことにする。
<微粉砕工程>
粗粉砕粉を湿式アトライタ、ボールミル、あるいはジェットミル等によって粉砕し、平均粒径0.08〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μm程度に粉砕する。得られた微粉砕粉の比表面積(BET法により求められる)としては、7〜12m/g程度とすることが好ましい。粉砕時間は、粉砕方法にもよるが、例えば湿式アトライタでは30分間〜10時間、ボールミルによる湿式粉砕では10〜40時間程度処理すればよい。なお、ここで得られた粉末を微粉砕粉と呼ぶことにする。
<磁場中成形工程>
微粉砕粉は、磁場中成形される。磁場中成形工程は、乾式成形、もしくは湿式成形のいずれの方法でも行うことができるが、磁気的配向度を高くするためには、湿式成形で行うことが好ましい。
湿式成形を行う場合、微粉砕工程を湿式で行い、得られたスラリを所定の濃度に濃縮し、湿式成形用スラリとする。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えば良い。この場合、微粉砕粉が、湿式成形用スラリ中の30〜80wt%程度を占めることが好ましい。また、分散媒としては水が好ましく、さらに、グルコン酸及び/又はグルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤が添加されていることが好ましい。次いで、湿式成形用スラリを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすれば良い。なお、分散媒は水に限らず、非水系溶媒を使用しても良い。非水系の分散媒を使用する場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが好ましい。
<焼成工程>
得られた成形体を焼成し、焼結体とする。焼成は、通常、大気中等の酸化性雰囲気中で行われる。焼成温度は1050〜1270℃、好ましくは1080〜1240℃の温度範囲で行い、保持する時間は0.5〜3時間程度とすれば良い。
湿式成形で成形体を得た場合、成形体を充分に乾燥させないまま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生する可能性がある。その場合、室温から100℃程度まで、例えば10℃/時間程度のゆっくりとした昇温速度にすることで、成形体を充分に乾燥し、クラック発生を抑制することが好ましい。また、界面活性剤(分散剤)等を添加した場合、100〜500℃程度の範囲で、例えば2.5℃/時間程度の昇温速度とすることで脱脂処理を行い、分散剤を充分に除去することが好ましい。
本発明は、元素A(ただしAは、Sr,Ba,Ca及びPbから選択される少なくとも一種の元素であって、Srを必ず含む)、La、Coを含むM型フェライトに適用することが好ましく、AFe1219の一般式で表され、かつ元素Aの一部が希土類元素で置換され、Feの一部がCoで置換されたM型フェライトを主相とする焼結磁石に対して適用されるのが最も好ましい。異相、特にCoFeは、当該フェライト磁石がCoを含むことに基づくからである。上記焼結磁石の一例として、特許文献1、特許文献2にその組成が示されている。
すなわち、特許文献1は、六方晶構造を有するフェライトを主相とし、かつSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むものをAとし、希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCo及びZnをMとしたとき、A,R,Fe及びMそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:80〜95原子%、M:0.1〜5原子%である組成を開示している。好ましい組成として、下記式(1)が示されている。
式(1) A1−x(Fe12−yMy)19
ただし、0.04≦x≦0.9、0.04≦y≦0.5、0.7≦z≦1.2
また、特許文献2は、六方晶構造を有するフェライトを主相とし、Co,Ni及びZnから選択される1種又は2種以上の元素をMとし、希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとしたとき、Ca,R,Fe及びMを含有し、Ca,R,Fe及びMそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、Ca:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:80〜95原子%、M:1〜7原子%である組成を開示している。好ましい組成として、下記式(2)が示されている。
式(2) Ca1−x(Fe12−yMy)19
ただし、0.2≦x≦0.8、0.2≦y≦1.0、0.5≦z≦1.2
出発原料として水酸化ランタン(La(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化鉄(Fe)及び酸化コバルト(Co)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式I、II(モル比)となるように秤量した。
組成式I:La0.39Ca0.20Sr0.40Fe11.35Co0.3019
組成式II:SrFe12.019
以上の出発原料を湿式アトライタで混合、粉砕してスラリを得た。このスラリを乾燥後、造粒することにより、粒径の異なる10種類の原料混合物を作成した。各原料混合物の粒径は、以下の通りである。また、
組成式I
原料a:≦0.053mm(≦53μm)
原料b:≦0.75mm(≦750μm)
原料c:≦1mm
原料d:≦1.5mm
原料e:≦2mm
原料f:≦3mm
原料g:≦5mm
原料h:≦7mm
組成式II
原料i:≦0.75mm
原料j:≦7mm
以上の原料混合物を仮焼きした。仮焼きは、大気中、1300℃、3時間保持の条件で行った。また、仮焼きはバッチ炉を用い、原料混合物に振動を与えることなく静置した状態で行った。なお、仮焼きの温度は、原料eについては1250℃、1350℃でも行ない、原料i、jについては、1280℃で行った。
得られた10種類の仮焼き材について、振動試料型磁力計(VSM、Vibrating Sample Magnetometer)により、20〜600℃における磁化の変化を測定した。その測定結果に基づいて、磁化M(T℃/50℃)、磁化M(480℃/50℃)を求めた。磁化M(T℃/50℃)の結果を図1に示す。また、磁化M(480℃/50℃)の結果を表1に示す。なお、磁化M(T℃/50℃)は、50℃における磁化(emu)をM(50℃)、測定温度T℃における磁化(emu)をM(T℃)とすると、M(T℃)/M(50℃)により求められる。
Figure 2008270785
図1において、磁化M(T℃/50℃)の落ち込みが大きい温度は、当該温度をTcとする物質が存在することを示す。原料e(≦2mm)〜原料h(≦7mm)を用いた仮焼き材は、480℃以上の温度域で磁化M(T℃/50℃)が落ち込んでおり、CoFe(Tc:520℃)、Fe+Coフェライト(Tc:520〜585℃)を異相として相当量含んでいることを示している。このように、磁化の落ち込みが大きい温度を知ることにより、存在する物質を特定することができる。
一方で、原料a(≦0.053mm)〜原料d(≦1.5mm)を用いた仮焼き材は、上記温度域において、磁化M(T℃/50℃)の落ち込みがない。これは、原料a〜原料dを用いた仮焼き材には、異相であるCoFe、Fe+Coフェライトが含まれないことを示している。表1に示すように、原料e(仮焼温度:1300℃)〜原料hを用いた仮焼き材は、磁化M(480℃/50℃)が0.011〜0.018の範囲にあるのに対して、原料a〜原料dを用いた仮焼き材は磁化M(480℃/50℃)が0.006以下と低い。
なお、図1には示していないが、組成式Iによるいずれの原料を用いた場合も420℃近傍で磁化M(T℃/50℃)が急激に落ち込む。これは、組成式Iによる仮焼き材の主相である(La,Ca,Sr)(Fe,Co)19のTcが420℃近傍にあるためである。
ここで、La、Coを含まない組成式IIの場合には、原料i(≦0.75mm)、原料j(≦7mm)のいずれにおいても異相の発生を示唆する磁化の落ち込みはない。このことから、原料混合物の粒径を制御することによる本願発明の効果は、La、Co置換M型フェライト焼結磁石固有のものといえる。
図2に、原料a〜hの粒径と磁化M(480℃/50℃)との関係を示す。図2より、仮焼に供される原料の粒径と磁化M(480℃/50℃)とは比例関係にあり、仮焼き材の磁化M(480℃/50℃)を低くするためには、仮焼に供される原料の粒径を小さくすればよいことがわかる。なお、原料i、jから得られた仮焼き材の粒径と磁化M(480℃/50℃)との関係も図2に示しておく(図2の×印)。
図3は、原料e(≦2mm)を異なる温度で仮焼きを行なって得られた仮焼き材の磁化M(T℃/50℃)の結果を示している。図3より、仮焼き温度を高くすれば、異相の生成を抑えることにより、磁化M(T℃/50℃)を低減できることがわかった。したがって、仮焼きに供される原料の粒径を小さくするとともに、仮焼き温度を高めに設定することが本発明を実施する上で有利である。
原料b〜原料d、原料f〜原料jを用いて得られた仮焼き材をロッド振動ミルで粗粉砕して粗粉砕粉を得た。
次いで、アトライタにより、第1の微粉砕及び第2の微粉砕からなる2段階の微粉砕を行った。第1の微粉砕は粗粉砕粉に対して水を添加して6時間粉砕処理するというものである。第1の微粉砕後に、微粉砕粉を大気中、800℃で熱処理を行った。続いて、熱処理された微粉砕粉に対して、水及びソルビトールを添加し、さらに副成分としてSiOを0.60wt%、CaCOを1.40wt%添加して湿式アトライタにて10時間処理する第2の微粉砕を行った。
得られた微粉砕スラリの固形分濃度を調整し、湿式磁場成形機を使用して、12kOeの印加磁場中で直径30mm×厚み15mmの円柱状成形体を得た。成形体は大気中、室温にて充分に乾燥した後に、大気中で、組成式Iについては1160℃で1時間保持する焼成を、また、組成式IIについては1230℃で1時間保持する焼成を行った。
得られた焼結体について、残留磁束密度(Br)、最大磁化(Jm)、密度(df)、飽和磁化(σs)、保磁力(HcJ)を測定した。また、この測定結果に基づいて、Br−P、粒子配向度(Br/Jm)を求めた。結果を表2に示す。
なお、原料b〜原料d、原料f〜原料hを用いた場合のBr−P(potential)は、以下の式で求められる値である。永久磁石の磁力は、一般に残留磁束密度(以下、Br)と保磁力(以下、HcJ)とで比較評価されるが、BrとHcJのバランスは、同じ材料でも製造条件の違いで変動する。そこで、HcJをも加味したBr(Br−P)を用いて、製造条件の異なる同一組成の材料を比較する。ここでは、Br=10:HcJ=1とみなして、Br−Pを求めた。
Br−P=(HcJ−430)/10+Br
原料i、原料jを用いた場合のBr−P(potential)は、以下の式により求めた。
Br−P=(HcJ−359)/2.4+Br
図4に磁化M(480℃/50℃)とBr−Pの関係を示す(原料b〜原料d、原料f〜原料h)。
図4に示すように、磁化M(480℃/50℃)とBr−Pとは比例関係にあり、磁化M(480℃/50℃)を低くすることにより、つまり、仮焼きに供される原料の粒径を小さくすることにより、焼結磁石のBrを実質的に高くできる。
ここで、Brに影響を与える要素である粒子配向度(Br/Jm)、密度(df)、飽和磁化(σs)について表2を参照すると、原料の粒径に対して、粒子配向度(Br/Jm)及び密度(df)よりも飽和磁化(σs)の変化が大きい。図5に、磁化M(480℃/50℃)と飽和磁化(σs)の関係を示すが(原料b〜原料d、原料f〜原料h)、磁化M(480℃/50℃)を0.006以下にすることにより、高い飽和磁化(σs)が得られることがわかる。
また、表2に示される原料iと原料jとを比較すると、La、Coを含まない焼結磁石は、原料の粒径を小さくしても、磁気特性を向上できないことがわかる。これは、この組成の焼結磁石の場合、原料の粒径が大きくても、磁気特性低下の要因となる異相が生成されないからである。
Figure 2008270785
次に、原料bを転動させながら仮焼きを行った。この転動は、ロータリーキルンにより仮焼きを再現することを目的としている。得られた仮焼き材について、上記と同様にして磁化M(T℃/50℃)を求めた。その結果を図6に示す。図6には、転動させないで得られた仮焼き材の磁化M(T℃/50℃)の結果を併せて示している。なお、測定は、前述した第2の微粉砕後に行った。
図6に示すように、原料を転動させながら仮焼きすると、転動させないで仮焼きする場合に比べて、420〜500℃の温度域における磁化M(T℃/50℃)が大きい。これは、転動により造粒が行われ、仮焼きの対象物(原料混合物)の粒径が大きくなり、そのために、異相の生成量が多くなったためと解される。
なお、仮焼き材の粒径を測定したところ、以下のような結果を得た。
原料aによる仮焼き材:≦0.042mm 原料bによる仮焼き材:≦0.6mm
原料eによる仮焼き材:≦1.7mm 原料hによる仮焼き材:≦5.5mm
粒径の異なる原料混合物を仮焼きして得られた仮焼き材の測定温度と磁化M(T℃/50℃)の関係を示すグラフである。 仮焼きに供される原料混合物の粒径と得られた仮焼き材の磁化M(T℃/50℃)の関係を示すグラフである。 同じ粒径の原料混合物を異なる温度で仮焼きして得られた仮焼き材の測定温度と磁化M(T℃/50℃)の関係を示すグラフである。 磁化M(480℃/50℃)とBr−Pの関係を示すグラフである。 磁化M(480℃/50℃)と飽和磁化(σs)の関係を示すグラフである。 仮焼き時に転動させて得られた仮焼き材及び仮焼き時に転動させて得られた仮焼き材の、磁化M(T℃/50℃)と磁化の測定温度の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 元素A(ただしAは、Sr,Ba,Ca及びPbから選択される少なくとも一種の元素であって、Srを必ず含む)、La及びCoを含むM型フェライトを主相とする焼結磁石の製造方法であって、
    粒径が1.5mm以下の顆粒状の原料混合物を仮焼きする工程と、
    前記仮焼きにより得られた仮焼き材を粉砕する工程と、
    前記粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、
    前記磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、
    を備えることを特徴とするフェライト焼結磁石の製造方法。
  2. 元素A(ただしAは、Sr,Ba,Ca及びPbから選択される少なくとも一種の元素であって、Srを必ず含む)、La及びCoを含むM型フェライトを主相とする焼結磁石の製造方法であって、
    原料混合物を仮焼きする工程と、
    前記仮焼きにより得られた仮焼き材を粉砕する工程と、
    前記粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、
    前記磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、
    を備え、
    前記仮焼き材は、以下で特定される磁化M(480℃/50℃)が0.006以下であることを特徴とするフェライト焼結磁石の製造方法。
    磁化M(480℃/50℃):M(480℃)/M(50℃)
    (50℃):50℃における磁化(emu)、M(480℃):480℃における磁化(emu)
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