JP4821792B2 - フェライト焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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フェライト磁石は磁気特性として、一般に、残留磁束密度及び固有保磁力(HcJ)が大きいことが望まれる。M型フェライトはAFe12O19の一般式で表され、元素Aを構成する元素としてBa、Srが一般的に適用されるが、元素Aの一部を希土類元素、典型的にはLa,Caで置換し、さらにFeの一部をCoで置換したM型フェライトは、高い磁気特性(残留磁束密度、固有保磁力)を有することが知られている(例えば、特許文献1、2)。
本発明のフェライト焼結磁石の製造方法において、粉砕に先立って上記の分散剤を添加することが、高い残留磁束密度を得る上で有効である。
また、粉砕する工程における粉砕効率が0.181〜1.00(m 2 /g)/hrであることが好ましい。
さらにまた、粉砕に供される粉末は、原料混合物を1200℃超1350℃以下の温度で仮焼きして得られた仮焼き体を乾式で解砕又は粉砕して得られたものであることが好ましい。
フェライト焼結磁石は、通常、配合工程、仮焼き工程、粉砕工程、磁場中成形工程及び焼成工程という主要な工程を経て作製される。以下、各工程順に説明する。
配合工程は、出発原料を所定の割合となるように秤量後、湿式アトライター、ボールミル等で1〜20時間程度混合、粉砕処理する。出発原料としては、フェライト構成元素(例えば、Ba、Sr、Ca、La、Fe、Co)の1種を含有する化合物(例えば、BaCO3、SrCO3、CaCO3、La(OH)3、Fe2O3及びCo3O4)又はこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。化合物としては酸化物、又は焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2.0μm程度とすることが好ましい。出発原料は、仮焼き前にすべてを配合する必要はなく、各化合物の一部又は全部を仮焼きの後に添加することもできる。
以上の配合工程を経た原料混合物は、造粒された後に仮焼きに供される。仮焼きは、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。仮焼き温度は1100〜1450℃の温度範囲で行うことが好ましく、1150〜1400℃がより好ましく、1200〜1350℃がさらに好ましい。安定時間は1秒間〜10時間、さらには1秒間〜3時間が好ましい。
仮焼き体は、一般に顆粒状、塊状等になっており、そのままでは所望の形状に成形ができないため、比表面積が0.2m 2 /g以上4.0m 2 /g未満になるように乾式で解砕又は粉砕し、仮焼き粉末とする。また、所望の最終組成に調整するための原料粉末、及び添加物等を混合するために、粉砕工程が必要である。
本発明において、この仮焼き粉末を粉砕する際の粉砕効率を0.01〜1.00(m2/g)/hrの範囲とする。粉砕効率が0.01(m2/g)/hr未満では粉砕時間が長くなり、工業的な生産に適さなくなる一方、粉砕効率が1.00(m2/g)/hrを超えると本発明による残留磁束密度向上の効果が得られにくくなる。本発明における粉砕効率は、単位時間(hr)当たりに増加した比表面積(BET法による、以下同じ)で与えられる。つまり、粉砕の対象物である仮焼き粉末の比表面積をBETs、粉砕後の成形用粉末の比表面積をBETeとすると、本発明による粉砕効率は、(BETe−BETs)/粉砕時間として求められる。粉砕効率は0.01〜0.75(m2/g)/hrとすることが好ましく、0.01〜0.50(m2/g)/hrとすることがより好ましい。
成形用粉末の比表面積を7.0〜13.0m2/gとすることにより、本発明により得られるフェライト焼結磁石の組織の平均結晶粒径を0.5〜0.7μm程度に微細にすることができる。本発明によるフェライト焼結磁石は、このような微細な組織を有することにより、高い固有保磁力を得ることができる。
なお、以上の粉砕、つまり成形用粉末を得るための粉砕は、通常、アトライター、ボールミルなどの湿式粉砕で行われ、特にアトライターが好ましい。
(1)ソルビトール及びマンニトールの1種又は2種。ただし、本願発明は、ソルビトール及びマンニトールの1種又は2種を除く、一般式Cn(OH)nHn+2(n≧4)で表される多価アルコールの使用を排除するものでない。
(2)グルコン酸Ca及びグルコノδラクトンの1種又は2種。ただし、本願発明は、グルコン酸Ca及びグルコノδラクトンの1種又は2種を除く、水酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物またはその中和塩もしくはそのラクトンであるか、ヒロドキシメチルカルボニル基を有する有機化合物であるか、酸として解離し得るエノール型水酸基を有する有機化合物またはその中和塩であって、有機化合物が、炭素数3〜20であり、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結合するものの使用を排除するものではない。
粉砕により得られる成形用粉末は、磁場中成形される。磁場中成形は、乾式成形、もしくは湿式成形のいずれの方法でも行うことができるが、磁気的配向度を高くするためには、湿式成形で行うことが好ましい。
湿式成形を行う場合、粉砕工程を湿式で行い、得られたスラリを所定の濃度に濃縮し、湿式成形用スラリとすることができる。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えば良い。この場合、成形用粉末が、湿式成形用スラリ中の30〜80wt%程度を占めることが好ましい。また、分散媒としては水が好ましいが、非水系溶媒を使用しても良い。非水系の分散媒を使用する場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが好ましい。湿式による磁場中成形の成形圧力は0.1〜0.5ton/cm2(0.98〜4.90MPa)程度、印加磁場は5〜15kOe(39.75〜119.25kA/m)程度とすれば良い。
得られた成形体を焼成し、焼結体とする。焼成は、通常、大気中等の酸化性雰囲気中で行われる。焼成温度は1050〜1270℃、好ましくは1080〜1240℃の温度範囲で行い、保持する時間は0.5〜3時間程度とすれば良い。
本発明の製造方法は、フェライト焼結磁石全般に対して効果があり、適用される組成を特に限定するものでない。例えば、AFe12O19の一般式で表される六方晶のM型フェライトに適用することにより、残留磁束密度を向上することができる。ただし、特に高い磁気特性を得たい場合には、前記一般式の元素Aの一部が希土類元素で置換され、Feの一部がCoで置換されたM型フェライトを主相とする焼結磁石に対して適用することが推奨される。この焼結磁石の一例として、特許文献1、特許文献2にその組成が示されている。
すなわち、特許文献1は、六方晶構造を有するフェライトを主相とし、かつSr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むものをAとし、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCoおよびZnをMとしたとき、A,R,FeおよびMそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:80〜95原子%、M:0.1〜5原子%である組成を開示している。好ましい組成として、下記式(1)が示されている。
式(1) A1−xRx(Fe12−yMy)zO19
ただし、0.04≦x≦0.9、0.04≦y≦0.5、0.7≦z≦1.2
式(2) Ca1−xRx(Fe12−yMy)zO19
ただし、0.2≦x≦0.8、0.2≦y≦1.0、0.5≦z≦1.2
出発原料として、Fe2O3粉末,SrCO3粉末,Co3O4粉末,La(OH)3粉末を用意し、これらを以下の組成a、組成bになるように秤量した。なお、組成aは上記特許文献1に包含される。
組成a:Sr0.7La0.3Fe11.7Co0.3O19
組成b:Sr1.0Fe12.0O19
また、上記組成a、組成bによる出発原料粉末の混合物に対して、0.6wt%のSiO2粉末、及び1.4wt%のCaCO3粉末をそれぞれ用意した。
これらを湿式アトライターで混合・粉砕し、乾燥して整粒した後、空気中において1300℃で2.5時間仮焼きして、顆粒状の仮焼き体を得た。この仮焼き体を振動ミルにより乾式粗粉砕した。この粗粉砕体の比表面積は0.8m2/gである。
湿式粉砕後、粉砕用スラリを吸引濾過して、成形用スラリとした。この成形用スラリから水を除去しながら0.4ton/cm2(3.90MPa)の圧力で圧縮成形を行った。この成形は、圧縮方向に10kOe(79.5kA/m)の磁場を印加しながら行い、直径30mm、高さ15mmの円柱状の成形体を得た。
次に、空気中において、室温から安定温度までの昇温速度を3℃/minとして1200℃に1時間保持することにより焼成を行い、室温までの降温速度を昇温速度と同じ(ただし、絶対値)に保って降温することにより、焼結体を得た。各焼結体の上下面を加工した後、残留磁束密度(以下、Br)、固有保磁力(以下、HcJ)及び磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界強度(以下、Hk)を測定し、Br及び角型比(以下、Hk/HcJ)の向上率を求めた。その結果を表1に示す。また、粉砕効率とBrの向上率との関係を図1、粉砕効率とHk/HcJの向上率との関係を図2に示す。なお、各向上率は、比較例1のBr、Hk/HcJを100として求めている。
Claims (3)
- 六方晶フェライトを主相とし、かつ比表面積が0.2m 2 /g以上4.0m 2 /g未満である粉末を粉砕する工程と、
前記粉砕により得られた成形用粉末を磁場中成形する工程と、
前記磁場中成形で得られた成形体を焼成する工程と、を備え、
前記粉砕する工程における粉砕効率が0.01〜1.00(m2/g)/hrであり、
前記粉砕により得られた前記成形用粉末の比表面積が7.0〜13.0m2/gであるとともに、
前記粉砕に先立って、ソルビトール、マンニトール、グルコン酸Ca、グルコノδラクトンから選択される少なくとも1種を分散剤として添加することを特徴とするフェライト焼結磁石の製造方法。 - 前記粉砕する工程における粉砕効率が0.181〜1.00(m 2 /g)/hrであることを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
- 前記粉砕に供される粉末は、原料混合物を1200℃超1350℃以下の温度で仮焼きして得られた仮焼き体を乾式で解砕又は粉砕して得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
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