JP2007188570A - 磁気ヘッドスライダ及びその製造方法、磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ヘッドスライダ及びその製造方法、磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気ヘッドスライダの低浮上化には、ロールしても最小浮上位置が記録再生素子部分から大きく変化せず、一時的に潤滑膜と接触してもメニスカス力が小さく不安定振動に結びつかないように、素子パッドを凸曲面で構成することが望ましい。しかしながら、凸曲面を形成する現実的な方法が見つかっていない。
【解決手段】薄膜抵抗体から成る研磨用ヒータ4を、記録再生素子2,3の近傍、例えば両側あるいは周囲に形成し、空気軸受面5の研磨中に通電して周囲の物質を膨張させる。研磨と通電を終了すると、研磨用ヒータ4が設置された部分はすり鉢状の凹部となり、記録再生素子2,3は相対的に突出した凸曲面上に位置する。その後、空気軸受面5に浅溝7,深溝8からなるステップ軸受を形成することにより、記録再生素子2,3が位置する素子パッド6aが凸形状の曲面を有する磁気ヘッドスライダ1が得られる。
【選択図】図5

Description

本発明は、磁気ヘッドと磁気ディスク媒体間の距離を小さくできる、低浮上の磁気ヘッドスライダ及びその製造方法に関する。また、このような磁気ヘッドスライダを搭載した高信頼性の磁気ディスク装置に関する。
磁気ディスク装置では、記録再生素子(磁気ヘッド)を搭載した磁気ヘッドスライダが、空気のくさび膜効果によって磁気ディスクから浮上し、ディスク上に記録された磁気情報を読み書きする。磁気ディスク装置の高記録密度化と、それによる装置の大容量化あるいは小型化を実現するためには、磁気ヘッドと磁気ディスク媒体の距離(ヘッド浮上量)を縮め、線記録密度を上げることが有効である。近年、前記ヘッド浮上量は10nm程度あるいは10nm以下まで縮められている。
磁気ヘッドスライダの空気軸受面には、空気のくさび膜効果を高める浮上パッドと呼ばれる凸部が複数形成されている。記録再生素子は前記浮上パッドのうち、空気流出端側にある、稼動時にディスクに最も近接する一つの上に形成されている。この記録再生素子が位置する浮上パッドは素子パッドとも呼ばれる。
今後さらにヘッド浮上量を5nm以下まで低減するためには、特許文献1に記載されているように、前記素子パッドを凸曲面で構成するのが有効である。その理由は、第一に、素子パッドを平面あるいは凹曲面で構成した場合は、記録再生素子を素子パッドの隅部ぎりぎりに形成しない限り、スライダ傾きに対して浮上量のロスが生じるが、ステップ軸受の形成誤差を考慮すると、隅部ぎりぎりに記録再生素子を形成するのは現実的には不可能である。一方、素子パッドを凸曲面で構成した場合は、スライダが多少傾いても、記録再生素子位置が浮上量の最下点であり続けることができる。
第二に、素子パッドを平面あるいは凹曲面で構成した場合は、一時的にスライダとディスクが近づいてディスク上の潤滑剤が架橋した時に、その液体膜の形状から、大きなメニスカス力が生じ、記録再生を妨げる不安定振動の原因となる。一方、素子パッドを凸曲面で構成した場合は、一時的にスライダが潤滑剤やディスクに接触した際にも、不安定振動の原因となる大きなメニスカス力あるいはファンデルワールス力が発生しない。従って、ヘッド浮上量を5nm以下まで低減しても、安定した記録再生を続けることができる。
特開平7−254248号公報
空気軸受面に、ナノメートルオーダで、なめらかな凸曲面を形成する現実的な方法が見当たらないことが、本発明が解決しようとする課題である。微小電気機械システム(MEMS)プロセスの光学応用分野には、レンズなどの球面を形成するプロセスも存在するが、磁気ヘッドスライダの空気軸受面上に形成するには、そのプロセスは複雑かつ困難である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ナノメートルオーダで滑らかな凸曲面の素子パッドを有する磁気ヘッドスライダと、その製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、磁気ヘッドスライダの低浮上状態において安定した記録再生を行うことができる磁気ディスク装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の磁気ヘッドスライダにおいては、空気流入端面と空気軸受面と空気流出端面を有するスライダと、スライダの空気流出端面に形成された磁気ヘッドと、磁気ヘッドの近傍に設けられた研磨用ヒータとを有し、前記空気軸受面には空気流入端側と空気流出端側にレール面が形成され、前記磁気ヘッドは前記空気流出端側のレール面に位置し、前記研磨用ヒータを用いた前記空気軸受面の研磨加工を経ることにより前記磁気ヘッドが位置する部分が前記スライダの幅方向に凸形状の曲面を成していることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の磁気ヘッドスライダの製造方法においては、
セラミック材のウエハの上部に磁気ヘッドを形成するステップと、
前記磁気ヘッドの上部で両端部よりも外側の位置に研磨用ヒータを形成するステップと、
前記ウエハをローバーに切断するステップと、
前記研磨用ヒータに通電し、前記ローバーの空気軸受面となる面を研磨するステップと、
前記研磨用ヒータの通電を停止し、前記空気軸受面となる面の空気流入端側に流入側レール面を、空気流出端側で前記磁気ヘッド素子を含む領域に流出側レール面を形成するステップと、
前記ローバーを前記磁気ヘッド素子単位に切り離すステップと、を含むことを特徴とする。
上記他の目的を達成するために、本発明の磁気ディスク装置においては、
磁気ディスク媒体と、
空気流入端面と空気軸受面と空気流出端面を有するスライダと、スライダの空気流出端面に形成された磁気ヘッドと、磁気ヘッドの近傍に設けられた研磨用ヒータとを有し、前記空気軸受面には空気流入端側と空気流出端側にレール面が形成され、前記磁気ヘッドは前記空気流出端側のレール面に位置し、前記研磨用ヒータを用いた前記空気軸受面の研磨加工を経ることにより前記磁気ヘッドが位置する部分が前記スライダの幅方向に凸形状の曲面を成している磁気ヘッドスライダと、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、ナノメートルオーダで滑らかな凸曲面の素子パッドを有する磁気ヘッドスライダ及びその製造方法を提供することができる。また、磁気ヘッドスライダの低浮上状態において安定した記録再生を行うことができる磁気ディスク装置を提供することができる。
本発明の実施例による磁気ヘッドスライダおよびその製造方法、この磁気ヘッドスライダを搭載した磁気ディスク装置について、以下図面を用いて詳細に説明する。図1は磁気ディスク装置の概略構成を示す。磁気ディスク装置13は、磁気情報が格納されスピンドルモータによって回転する磁気ディスク10と、記録再生素子から成る磁気ヘッドを搭載しロードビーム15によって支持および径方向位置決めされる磁気ヘッドスライダ(単にスライダとも呼ぶ)1を有し、スライダ1が相対的に磁気ディスク10上を走行して磁気ディスク上に記録された磁気情報を読み書きする。前記スライダ1は空気潤滑軸受として空気のくさび膜効果によって浮上し、磁気ディスク10とスライダ1が直接は固体接触しないようになっている。磁気ディスク装置13の高記録密度化と、それによる装置の大容量化あるいは小型化を実現するためには、スライダ1と磁気ディスク10の距離、すなわちスライダ浮上量を縮め、線記録密度を上げることが有効である。近年、スライダ浮上量は10nm程度あるいは10nm以下まで縮められている。
スライダ1は、板ばね状のロードビーム15に取り付けられており、ロードビーム15によって磁気ディスク面への押し付け荷重を与えられ、ロードビーム15とともにボイスコイルモータ16によって磁気ディスク10の径方向にシーク動作し、磁気ディスク面全体で記録再生を行う。スライダ1は、装置の停止時あるいは読み書き命令が一定時間無い時に、磁気ディスク10上からランプ14上に待避する。なお、ここではロード・アンロード機構を備えた装置を示したが、装置停止中は磁気ヘッドスライダ1が磁気ディスク10のある特定の領域で待機するコンタクト・スタート・ストップ方式の磁気ディスク装置であっても良い。
図2は磁気ヘッドスライダ1の斜視図である。スライダ1は、アルミナ/チタンカーバイド焼結体の基板(ウエハ)部分1aと、薄膜ヘッド部分1bから成る。ウエハ状態で、スパッタリング、めっき、研磨などの工程を繰り返して、薄膜ヘッド部分1bを基板1a上に積層した後に、ダイシングによってウエハを複数のローバーに切断し、ローバーの状態で浮上面研磨及びレール加工を行い、個々のスライダ1に切り離す。スライダ1は例えば長さ1.25mm、幅1.0mm、厚さ0.3mmのほぼ直方体形状をしており、空気軸受面5、空気流入端面11、空気流出端面12、両側の側面、背面の計6面から構成される。空気軸受面5は研磨によって平滑に仕上げる。なお、スライダの寸法は前記以外に、更に小型で長さ0.85mm、幅0.7mm、厚さ0.23mmであっても良い。
空気軸受面5にはイオンミリングやエッチングなどのプロセスによって微細な段差(ステップ軸受)が設けられており、図示されていないディスクと対向して空気圧力を発生し、背面に負荷される荷重を支える空気軸受の役目を果たしている。なお、段差は強調して表示されている。空気軸受面5の段差は、実質的に平行な3種類の面に分類される。最もディスクに近いレール面6、レール面6より約100nm乃至200nm深いステップ軸受面である浅溝面7、レール面6より約1μm深くなっている深溝面8の3種類である。ディスクが回転することで生じる空気流が、空気流入端面11側のステップ軸受である浅溝面7から流入側レール面6へ進入する際に、先すぼまりの流路によって圧縮され、正の空気圧力を生じる。一方、流入側レール面6や浅溝面7から深溝面8へ空気流が進入する際には流路の拡大によって、負の空気圧力が生じる。
磁気ヘッドスライダ1は空気流入端11側の浮上量が空気流出端側12の浮上量より大きくなるような姿勢で浮上するように設計されている。従って流出端近傍の浮上パッドがディスクに最も接近する。流出端近傍では、流出側レール面6(素子パッド6a)が周囲の浅溝面7、深溝面8に対して突出しているので、スライダピッチ姿勢およびロール姿勢が一定限度を超えて傾かない限り、レール面6(素子パッド6a)が最もディスクに近づくことになる。磁気ヘッドを構成する記録素子2および再生素子3は、レール面6(素子パッド6a)の薄膜ヘッド部分1bに属する部分に形成されている。ロードビームから押し付けられる荷重と、空気軸受面5で生じる正負の空気圧力とがうまくバランスし、記録素子2および再生素子3からディスクまでの距離を10nm程度あるいはそれ以下の適切な値に保つよう、ステップ軸受の形状が設計されている。なお、ここでは空気軸受面5が実質的に平行な3種類の面6、7、8から形成される二段ステップ軸受のスライダについて説明したが、4種類以上の平行な面から形成されるステップ軸受のスライダであっても良い。
背景技術として述べたように、今後さらにヘッド浮上量を低減するためには、前記素子パッド6aの、最もディスク10に近づく部分を、凸曲面で構成し、スライダ1が多少傾いても記録再生素子位置が浮上量の最下点であり続けるように、また一時的にスライダ1が潤滑剤に接触した際にも不安定振動の原因となる大きなメニスカス力が発生しないようにする必要がある。従来のスライダの空気軸受面でも、完全な平面ではなく、クラウンもしくはキャンバーと呼ばれる僅かな曲率が設けられていることがある。しかしこのような僅かな曲率では、上述した、スライダの傾きに対して浮上最下点を安定させる効果と、スライダの接触に伴う不安定振動を抑制する効果は期待できない。
そこで本発明の実施例では、素子パッド6aの流出端側の終端部で、記録再生素子が形成された近傍を、曲率のより大きな凸曲面で構成する。図3は実施例による、凸曲面で構成された素子パッド6aを備えたスライダ1が、ロール方向に傾いた様子を示す。また、図4は従来の、平面で構成された素子パッド6bを備えたスライダが、ロール方向に傾いた様子を示す。図3、図4とも、磁気ヘッドスライダを流出端側から見た図である。従来の構成ではスライダがロール方向に傾くと、浮上最下点は素子パッド6bのどちらかの端点となり、記録再生素子位置で浮上量ロスが発生するが、実施例の凸曲面構成の素子パッド6aでは、多少のロール方向のスライダ傾きがあっても、浮上最下点は記録再生素子位置のままほとんど変わらない。また、素子パッド6aと磁気ディスク10の間に液体膜が一時的に形成された場合のメニスカス力が従来の構成に比べて小さい。
上記素子パッド6aの流出端側の一部を凸曲面で構成するため、本実施例の磁気ヘッドスライダ1は次に述べる加工用ヒータ4を、薄膜ヘッド部分1bの内部に備える。加工用ヒータ4の、空気軸受面5への投影位置を、図2において記号4pで示した。
凸曲面を形成するプロセスを、図5を用いて説明する。図5は磁気ヘッドスライダ1を、流出端側から見た図である。空気軸受面5の研磨時に作用する加工用ヒータ4は、記録再生素子2および3を挟んで、スライダ幅方向に関して両側に一つずつあり、空気流出端面12上の電気接続端子4tに、直列または並列に配線されている。加工用ヒータ4は、磁気ヘッドを形成する薄膜プロセスの途中で、薄膜抵抗体(たとえば、厚さ0.2μmのNiCr合金膜)をスパッタリングして、ミリングによる除去加工で図のような形状に整えたものである。電気接続端子4tを通じて加工用ヒータ4に通電すると、ヒータが電気抵抗で発熱して周囲の物質を温め、図5(b)に示すように熱膨張させる。この状態で空気軸受面5を平滑に研磨すると、通電を止めた状態では図5(c)に示すように記録再生素子2および3の両側にすり鉢状の凹部ができる。この後、空気軸受面5に浅溝7、深溝8から成るステップ軸受を形成すべく、除去加工を行うと、図5(d)に示すように、記録再生素子近傍だけ凸部が残された形状が完成する。磁気ディスク装置10の出荷後、実際に稼動する時には、加工用ヒータ4は使われない。
加工用ヒータ4の、空気軸受形状との位置関係について、図6および図7を用いて説明する。図6は磁気ヘッドスライダ1の斜視図で、流出端付近の拡大図である。複数の加工用ヒータ4が同一層上に(スライダ長手方向に関して同位置に)形成されている場合、それらは下記3点の条件を満たす位置にあることが望ましい。
第一に、加工用ヒータ4を空気軸受面に投影した位置4pは、レール面6aの上ではなく、浅溝面7や深溝面8など、記録再生素子が設置された以外の面上にある。
第二に、加工用ヒータ4を空気軸受面に投影した位置4pは、レール面6aの終端より後方にある(図6の位置関係R2)。
第三に、加工用ヒータ4を空気軸受面に投影した位置4pは、スライダ幅方向に関して記録再生素子設置面の両側で、レール面6aの終端幅よりも外側にある(図6の位置関係R3)。
図7は、2つのすり鉢状の凹部形状が合成された高低形状を示す。中心部Cは、馬の鞍の形であり、スライダ幅方向には凸形状であるが、スライダ長手方向には凹形状となる。記録再生素子が設置された素子パッド6a終端が、スライダ長手方向に関して凹面ではなく凸面になるためには、加工用ヒータ投影位置4pが、スライダ長手方向に関して素子パッド6a終端よりも後方である必要がある。また、素子パッド6aがスライダ幅方向に関して完全な凸形状になるためには、加工用ヒータ投影位置4pが、スライダ幅方向に関してレール幅よりも外側にある必要がある。
上記実施例の変形例を図8に示す。図6の場合と違って、複数の加工用ヒータ4が同一層上に全て形成されている訳ではなく、別の層に形成されたものである。この例では、加工用ヒータ4が記録再生素子の両側と流出端側に3個設けられている。この場合、前述し、図7で示した空気軸受形状との位置関係は、必ずしも必要ない。更には、図9に示すように、記録再生素子の前方にも配置して、前後左右を囲んでも良い。また、図10に示すように、記録再生素子の両側及び後方を囲むリング状あるいはコの字型の大きなヒータを形成しても良い。もっとも、形成の簡単さを考慮すると、図6に示した実施例が最も現実的である。
さらに磁気ヘッドスライダの他の実施例を図11に示す。図11に示した磁気ヘッドスライダ1は、浮上量制御機能を持つものである。浮上量制御機能とは、磁気ヘッドを形成する薄膜プロセスの途中で、薄膜抵抗体から成るヒータを、薄膜ヘッド部分1bの内部に形成し、磁気ディスク装置の稼動中に通電して、浮上量の個体ばらつき吸収、環境温度変化による浮上量変動の補償、記録時と再生時の浮上量差の補正などを行うものである。記録素子2および再生素子3を磁気ディスク10に近づけるよう熱膨張によって動かすことが目的であるため、浮上量制御用ヒータ4aの位置は、記録素子2および再生素子3の極めて近くである。今後の低浮上化のためには、浮上量制御機能は極めて重要である。
加工用ヒータ4bおよび4cは、空気軸受面5の研磨時に用いられ、装置稼動時には使われない。一方、浮上量制御用ヒータ4aは、空気軸受面5の研磨時には用いられず、装置稼動時に用いられる。スライダ外への電気接続端子4tに関しては、加工用ヒータも浮上量制御用ヒータもそれぞれ独立に持っても良いが、スライダ流出端12の面積が限られており、記録再生素子用にも4つの電気接続端子が必要であることを考えると、加工用ヒータの端子と、浮上量制御用ヒータの端子は、共用するのが効果的である。これらを共用しないと空気流出端に最低でも7端子が必要となり、小型スライダの幅0.7mm、厚さ0.23mm規格では実装が困難となる。これらを共用すれば合計6端子となり、小型スライダでも実装可能となる。
前記浮上量制御用ヒータ4aの抵抗値は、前記加工用ヒータ4b,4cの抵抗値の合計に比べて大きくすると良い。例えば、加工用ヒータは一つ20Ω、二つで40Ω、浮上量制御用ヒータ4aは400Ωとする。そうすれば、図11(a)に示すように浮上量制御用ヒータ4aと加工用ヒータ4b,4cを並列に接続した場合、加工時は加工用ヒータ4b,4cにおける発熱量が、浮上量制御用ヒータ4aにおける発熱量の10倍となり、浮上量制御用ヒータ4aによる突出は無視できる。
その後のステップ軸受の形成工程において、図11(b)に示すように加工用ヒータ配線はイオンミリング等で切断され、磁気ディスク装置の稼動時には端子に通電しても加工用ヒータ4b,4cは発熱しなくなる。なお、加工用ヒータ配線の切断は、レーザ照射によって、ステップ軸受形成工程とは別に行っても良い。
加工用ヒータ配線の他の例を図12に示す。浮上量制御用ヒータ4aの回路にはコンデンサが挿入されず、加工用ヒータ4b、4cの回路には、コンデンサ9が挿入されている。図12では端子4tと重なる電極形状を持つコンデンサ9を示したが、回路のどの部分に挿入されていても良い。空気軸受面5の研磨時に加工用ヒータ4b,4cに通電する際には、高周波の交流電源を印加する。前述したように浮上量制御用ヒータ4aの抵抗値を、前記加工用ヒータの抵抗値合計に比べて何倍にも大きくしておけば、浮上量制御用ヒータ4aによる加工時の突出は無視できる。磁気ディスク装置の稼動時には、端子間に直流電圧を印加すれば、コンデンサ9がハイパスフィルタとして作用し、加工用ヒータ4b,4cには通電されず、発熱しない。従って、本実施例においても、加工用ヒータ4b,4cの端子と、浮上量制御用ヒータ4aの端子を、共用することができる。
以上述べたように、本発明の実施例によれば、ナノメートルオーダでなめらかな凸曲面を磁気ヘッドスライダの素子パッド上に形成することができる。その結果、磁気ヘッドスライダの低浮上化と、更には磁気ディスク装置の高記録密度化を実現することができる。
本発明の実施例による磁気ヘッドスライダを搭載する磁気ディスク装置の概略構成を示す上面図である。 本発明の実施例による磁気ヘッドスライダの浮上面側から見た斜視図である。 ロール姿勢を与えられた状態で、実施例の磁気ヘッドスライダを流出端側から見た概念図である。 ロール姿勢を与えられた状態で、従来の磁気ヘッドスライダを流出端側から見た概念図である。 実施例の磁気ヘッドスライダを加工するプロセスを示す図である。 実施例の磁気ヘッドスライダの、流出端近傍の拡大斜視図である。 実施例の磁気ヘッドスライダの、流出端近傍の空気軸受面の高低を示す図である。 変形例による磁気ヘッドスライダの、流出端近傍の拡大斜視図である。 他の変形例による磁気ヘッドスライダの、流出端近傍の拡大斜視図である。 さらに他の変形例による磁気ヘッドスライダの、流出端近傍の拡大斜視図である。 本発明の他の実施例による磁気ヘッドスライダを加工するプロセスを示す図である。 他の実施例の変形例による磁気ヘッドスライダを加工するプロセスを示す図である。
符号の説明
1…磁気ヘッドスライダ、1a…基板(ウエハ)部分、1b…薄膜ヘッド部分、2…記録素子、3…再生素子、4…ヒータ、4p…ヒータの空気軸受面への投影位置、4a…浮上制御用ヒータ、4b,4c…加工用ヒータ、4t…電気接続端子、5…空気軸受面、6…レール面、6a…素子パッド、7…浅溝面、8…深溝面、9…コンデンサ、10…磁気ディスク、11…空気流入端面、12…空気流出端面、13…磁気ディスク装置、14…ランプ、15…ロードビーム、16…ボイスコイルモータ。

Claims (20)

  1. 空気流入端面と空気軸受面と空気流出端面を有するスライダと、該スライダの空気流出端面に形成された磁気ヘッドと、該磁気ヘッドの近傍に設けられた研磨用ヒータとを有し、前記空気軸受面には空気流入端側と空気流出端側にレール面が形成され、前記磁気ヘッドは前記空気流出端側のレール面に位置し、前記研磨用ヒータを用いた前記空気軸受面の研磨加工を経ることにより前記磁気ヘッドが位置する部分が前記スライダの幅方向に凸形状の曲面を成していることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  2. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側に設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  3. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側で、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドよりも空気流出側に設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  4. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側と、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドよりも空気流出側に設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  5. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側と、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドの前後に設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  6. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側を、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドの空気流出側を囲むように設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  7. 請求項1記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    さらに、前記研磨用ヒータよりも前記磁気ヘッドに近接して浮上制御用ヒータが設けられていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  8. 請求項7記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータの配線が接続される電気接続端子と前記浮上制御用ヒータの配線が接続される電気接続端子が共用されていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  9. 請求項8記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータの配線と前記浮上制御用ヒータの配線が前記共用電気接続端子に並列に接続され、前記浮上制御用ヒータの抵抗値は前記研磨用ヒータの抵抗値の合計よりも大きいことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  10. 請求項9記載の磁気ヘッドスライダにおいて、
    前記研磨用ヒータの配線と前記共用電気接続端子との間にコンデンサが接続されていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  11. セラミック材のウエハの上部に磁気ヘッドを形成するステップと、
    前記磁気ヘッドの上部で両端部よりも外側の位置に研磨用ヒータを形成するステップと、
    前記ウエハをローバーに切断するステップと、
    前記研磨用ヒータに通電し、前記ローバーの空気軸受面となる面を研磨するステップと、
    前記研磨用ヒータの通電を停止し、前記空気軸受面となる面の空気流入端側に流入側レール面を、空気流出端側で前記磁気ヘッド素子を含む領域に流出側レール面を形成するステップと、
    前記ローバーを前記磁気ヘッド素子単位に切り離すステップと、
    を含むことを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方法。
  12. 請求項11記載の磁気ヘッドスライダの製造方法において、
    前記磁気ヘッドを形成するステップの前に、前記ウエハの上部に浮上制御用ヒータを形成するステップをさらに含み、
    前記研磨用ヒータの配線と前記浮上制御用ヒータの配線は共用電気接続端子に並列に接続され、前記浮上制御用ヒータの抵抗値は前記研磨用ヒータの抵抗値の合計よりも大きく設定されていることを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方法。
  13. 請求項12記載の磁気ヘッドスライダの製造方法において、
    前記ローバーの空気軸受面となる面を研磨するステップの後、前記研磨用ヒータの配線を切断することを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方法。
  14. 請求項12記載の磁気ヘッドスライダの製造方法において、
    前記研磨用ヒータの配線と前記共用電気接続端子との間にコンデンサを接続し、前記ローバーの空気軸受面となる面を研磨するステップにおいて前記共用電気接続端子に交流電流を供給することを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方法。
  15. 磁気ディスク媒体と、
    空気流入端面と空気軸受面と空気流出端面を有するスライダと、該スライダの空気流出端面に形成された磁気ヘッドと、該磁気ヘッドの近傍に設けられた研磨用ヒータとを有し、前記空気軸受面には空気流入端側と空気流出端側にレール面が形成され、前記磁気ヘッドは前記空気流出端側のレール面に位置し、前記研磨用ヒータを用いた前記空気軸受面の研磨加工を経ることにより前記磁気ヘッドが位置する部分が前記スライダの幅方向に凸形状の曲面を成している磁気ヘッドスライダと、
    を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
  16. 請求項15載の磁気ディスク装置において、
    前記磁気ヘッドスライダの研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側に設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  17. 請求項15記載の磁気ディスク装置において、
    前記磁気ヘッドスライダの研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側で、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドよりも空気流出側に設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  18. 請求項15記載の磁気ディスク装置において、
    前記磁気ヘッドスライダの研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側と、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドよりも空気流出側に設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  19. 請求項15記載の磁気ディスク装置において、
    前記磁気ヘッドスライダの研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側と、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドの前後に設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  20. 請求項15載の磁気ディスク装置において、
    前記磁気ヘッドスライダの研磨用ヒータは、前記スライダの幅方向に関して前記磁気ヘッドの両側を、前記スライダの長手方向に関して前記磁気ヘッドの空気流出側を囲むように設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
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