JP2007142295A - 積層コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】積層コンデンサにおいて、低ESL化および高ESR化を図りながら、共振周波数を高周波側または低周波側に容易に設定できるようにする。
【解決手段】コンデンサ本体8において、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とを積層方向に並ぶように配置する。第1のコンデンサ部11の共振周波数を、第2のコンデンサ部12の共振周波数より高くして、第1のコンデンサ部11が低ESL化に寄与するようにしながら、第2のコンデンサ部12の1層あたりのESRを、第1のコンデンサ部11の1層あたりのESRより高くなるようにして、第2のコンデンサ部12が高ESR化に寄与するようにする。さらに、第1のコンデンサ部11の合成ESRを、第2のコンデンサ部12の合成ESRより低くしたり、高くしたりする。
【選択図】図2

Description

この発明は、積層コンデンサに関するもので、特に、高周波回路において有利に適用される積層コンデンサに関するものである。
数GHzのような高周波領域において、MPU(マイクロプロセッシングユニット)等のための電源回路に用いられるデカップリングコンデンサとして、たとえば特開平11−144996号公報(特許文献1)に記載のような構造の積層コンデンサが知られている。この積層コンデンサによれば、多端子構造にしながら、隣り合う端子を逆極性にすることによって、正極から負極への電流の流れを短くし、電流の流れを多様にし、さらに、電流の方向を互いに逆方向に向けるようにして磁束の相殺を行ない、それによって、ESL(等価直列インダクタンス)の低減が図られている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の積層コンデンサによれば、ESLの低下に伴って、ESR(等価直列抵抗)も低下するため、周辺回路のインダクタンスによって共振現象を引き起こしたとき、電圧降下、リンギング等の減衰現象を招きやすくなるという問題を有している。
他方、特開2001−284170号公報(特許文献2)では、コンデンサ本体の内部に静電容量を形成するために設けられる内部電極の各々について、コンデンサ本体の表面にまで引き出されかつ外部端子電極に電気的に接続される引き出し部の数を単に1つとすることによって、積層コンデンサのESRを高めることが提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載の構造によれば、ESRを高くすることができるものの、それに伴って、ESLが高くなり、特許文献1に記載のものに比べて、高周波側の特性が劣化して、帯域が狭くなるという問題がある。
また、特許文献1および2に記載の構造では、積層コンデンサの共振周波数を変化させるためには、材料や内部電極設計を変更する必要があり、静電容量を同程度に維持したまま、共振周波数を高周波側に設定したり、低周波側に設定したりすることが困難である。
特開平11−144996号公報 特開2001−284170号公報
そこで、この発明の目的は、低ESL化を図りながらも、高ESR化を図ることができるとともに、共振周波数を高周波側に、あるいは低周波側に変化させることが容易である、積層コンデンサを提供しようとすることである。
この発明に係る積層コンデンサは、積層された複数の誘電体層をもって構成される積層構造を有するコンデンサ本体を備えている。この発明では、上述した技術的課題を解決するため、積層コンデンサが、次のように構成されることを特徴としている。
すなわち、積層コンデンサに備えるコンデンサ本体は、第1および第2のコンデンサ部を構成している。
第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含む。
第1のコンデンサ部の共振周波数は、第2のコンデンサ部の共振周波数より高くされ、また、第2のコンデンサ部に含まれる1組の第3および第4の内部電極ならびにその間の誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗は、第1のコンデンサ部に含まれる1組の第1および第2の内部電極ならびにその間の誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗より高くされる。
そして、第1のコンデンサ部に含まれるすべての第1および第2の内部電極ならびにそれらの各間の誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗と、第2のコンデンサ部に含まれるすべての第3および第4の内部電極ならびにそれらの各間の誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗との関係について、この発明の第1の局面では、前者が後者より低くされ、第2の局面では、後者が前者より低くされることを特徴としている。
この発明に係る積層コンデンサによれば、第1のコンデンサ部の共振周波数を第2のコンデンサ部の共振周波数より高くしているので、第1のコンデンサ部によって低ESL化を図ることができる。他方、第2のコンデンサ部の1層あたりのESRを第1のコンデンサ部の1層あたりのESRよりも高くしているので、第2のコンデンサ部によって高ESR化を図ることができる。
これらのことから、積層コンデンサの特性は、第1のコンデンサ部による低ESL特性と第2のコンデンサ部による高ESR特性とを複合した特性となり、その結果、低ESL化および高ESR化の双方を満足させる積層コンデンサを得ることができる。
また、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とで共振周波数が異なり、かつ、第1のコンデンサ部により与えられる合成ESRと、第2のコンデンサ部により与えられる合成ESRとの関係について、この発明の第1の局面では、前者が後者より低くされるので、同程度の静電容量を維持したまま、共振周波数を高周波側に変化させた特性を得ることができ、第2の局面では、後者が前者より低くされるので、同程度の静電容量を維持したまま、共振周波数を低周波側に変化させた特性を得ることができる。
図1ないし図4は、この発明の一実施形態による積層コンデンサ1を示している。ここで、図1は、積層コンデンサ1の外観を示す斜視図であり、図2は、積層コンデンサ1の内部構造を示す正面図である。なお、図2において、積層コンデンサ1は、後述する図3および図4の線II−IIに沿う断面をもって示されている。
積層コンデンサ1は、相対向する2つの主面2および3ならびにこれら主面2および3間を連結する4つの側面4、5、6および7を有する直方体状のコンデンサ本体8を備えている。コンデンサ本体8は、主面2および3の方向に延びる、たとえば誘電体セラミックからなる積層された複数の誘電体層9をもって構成される積層構造を有している。
コンデンサ本体8は、図2に示すように、第1および第2のコンデンサ部11および12を構成している。この実施形態では、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とは、積層方向に並ぶように配置され、しかも、第2のコンデンサ部12が2つの第1のコンデンサ部11によって積層方向に挟まれるように配置されている。その結果、第1のコンデンサ部11は、コンデンサ本体8における積層方向での両端に位置される。
第1のコンデンサ部11は、静電容量を形成するように所定の誘電体層9を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極13および14を備えている。他方、第2のコンデンサ部12は、静電容量を形成するように所定の誘電体層9を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極15および16を備えている。
この実施形態では、より大きな静電容量を得るため、第1および第2の内部電極13および14の対の数ならびに第3および第4の内部電極15および16の対の数は、複数とされる。
図3は、第1のコンデンサ部11の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第1の内部電極13が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極14が通る断面を示している。
図3(a)に示すように、第1の内部電極13には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面4〜7にまで引き出される複数、たとえば7つの第1の引出し部17が形成されている。また、図3(b)に示すように、第2の内部電極14には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面4〜7にまで引き出される複数、たとえば7つの第2の引出し部18が形成されている。
コンデンサ本体8の側面4〜7の各々上には、第1の引出し部17にそれぞれ電気的に接続される複数、たとえば7つの第1の外部端子電極19、ならびに第2の引出し部18にそれぞれ電気的に接続される複数、たとえば7つの第2の外部端子電極20が形成されている。第1および第2の外部端子電極19および20は、図1および図2に示されるように、側面4〜7上から主面2および3の各々の一部上にまで延びるように形成されている。
第1の引出し部17がそれぞれ引き出される側面4〜7上での各位置は、第2の引出し部18がそれぞれ引き出される各位置と異なっており、したがって、第1の外部端子電極19が設けられる側面4〜7上での各位置は、第2の外部端子電極20の各位置と異なっている。そして、第1の外部端子電極19と第2の外部端子電極20とは、側面4〜7上において、交互に配置されている。
図4は、第2のコンデンサ部12の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第3の内部電極15が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極16が通る断面を示している。
図4(a)に示すように、第3の内部電極15には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面5および7にまで引き出される少なくとも1つ、たとえば2つの第3の引出し部21が形成されている。また、図4(b)に示すように、第4の内部電極16には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面5および7にまで引き出される少なくとも1つ、たとえば2つの第4の引出し部22が形成されている。
この実施形態では、第3の引出し部21は、前述した第1の外部端子電極19に電気的に接続され、第4の引出し部22は、前述した第2の外部端子電極20に電気的に接続されている。すなわち、第1の外部端子電極19のいくつかは、第3の引出し部21に電気的に接続されるべき第3の外部端子電極と共通であり、第2の外部端子電極20のいくつかは、第4の引出し部22に電気的に接続されるべき第4の外部端子電極と共通である。
上述のように、第3および第4の引出し部21および22が、それぞれ、第1および第2の引出し部17および18と共通する第1および第2の外部端子電極19および20に電気的に接続されていると、積層コンデンサ1自身において、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とを並列に接続した状態とすることができる。
なお、第3および第4の引出し部21および22にそれぞれ接続されるべき第3および第4の外部端子電極を、第1および第2の外部端子電極とは別に設けてもよい。
以上説明した実施形態では、各々1つの第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部21および22の各々の数は、各々1つの第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の各々の数より少ない。すなわち、前者が2つであり、後者が7つである。そのため、内部電極13〜16の材料等の他の条件が同じであれば、第1のコンデンサ部11のESLを、第2のコンデンサ部12のESLよりも低くすることができ、その結果、第1のコンデンサ部11の共振周波数を、第2のコンデンサ部12の共振周波数よりも高くすることができる。
他方、前述したように、第3および第4の引出し部21および22の各々の数が、第1および第2の引出し部17および18の各々の数より少ないため、内部電極13〜16あるいは引出し部17、18、21および22がESRに及ぼす影響が第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とで変わらないとすれば、第2のコンデンサ部12に含まれる1組の第3および第4の内部電極15および16ならびにその間の誘電体層9により与えられる1層あたりのESRを、第1のコンデンサ部11に含まれる1組の第1および第2の内部電極13および14ならびにその間の誘電体層9により与えられる1層あたりのESRより高くすることができる。
以上のようなことから、積層コンデンサ1の特性は、第1のコンデンサ部11による低ESL特性が有効に働くとともに、第1のコンデンサ部11のESR特性と第2のコンデンサ部12のESR特性とが反映された高ESR特性となる。したがって、積層コンデンサ1によれば、低ESL化および高ESR化の双方を実現することができる。
また、積層コンデンサ1において、前述したように、第1のコンデンサ部11の共振周波数は、第2のコンデンサ部12の共振周波数より高く、かつ、第1のコンデンサ部11に含まれるすべての第1および第2の内部電極13および14ならびにそれらの各間の誘電体層9により与えられる合成ESRは、第2のコンデンサ部12に含まれるすべての第3および第4の内部電極15および16ならびにそれらの各間の前記誘電体層9により与えられる合成ESRとは異ならされている。
そのため、この積層コンデンサ1全体の特性としては、第1および第2のコンデンサ部11および12の両者の特性が合成され、合成ESRがより低い側のコンデンサ部の共振点近傍で特にインピーダンスを低くするような特性を得ることができる。より具体的には、図5において、第1のコンデンサ部11の合成ESRの方が小さい場合には、実線Aで示した特性が得られ、第2のコンデンサ部12の合成ESRの方が小さい場合には、破線Bで示した特性が得られる。なお、図5では、周波数およびインピーダンスをそれぞれ示す各軸の目盛および数値は省略しているが、図5は、周波数‐インピーダンス特性の一般的な傾向を示していると理解すればよい。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他種々の変形例が可能である。
たとえば、内部電極に形成される引出し部の位置や数あるいは外部端子電極の位置や数については、種々に変更することができる。
また、図示の実施形態では、第1および第2の内部電極13および14が第1のコンデンサ部11を構成するためだけに設けられ、かつ第3および第4の内部電極15および16が第2のコンデンサ部12を構成するためだけに設けられたが、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部との境界部に位置する内部電極が、第1および第2のコンデンサ部の双方のための内部電極として、すなわち、第1または第2の内部電極と第3または第4の内部電極とを兼ねる内部電極として設けられてもよい。
また、第1のコンデンサ部11の共振周波数を第2のコンデンサ部12の共振周波数より高くするため、前述した実施形態では、第1および第2の引出し部17および18の数(あるいは対の数)を第3および第4の引出し部21および22の数(あるいは対の数)より多くしたが、このような方法に代えて、あるいはこのような方法に加えて、内部電極13〜16の材料、パターンおよび/または積層数の変更による方法を採用してもよい。
また、前述した実施形態では、第2のコンデンサ部12における1層あたりのESRを第1のコンデンサ部11における1層あたりのESRより高くするため、第3および第4の引出し部21および22の数を第1および第2の引出し部17および18の数より少なくしたが、このような方法に代えて、あるいはこのような方法に加えて、第3および/または第4の内部電極15および/または16の材料を比抵抗のより高いものにしたり、第3および/または第4の内部電極15および/または16の厚みをより薄くしたり、第3および/または第4の引出し部21および/または22の幅または厚みを小さくしたりする方法を採用してもよい。
また、コンデンサ本体における第1および第2のコンデンサ部の配置については、以下に、いくつかの例を示すように、種々に変更することができる。
図6は、コンデンサ本体において採用され得る第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部の積層配置状態についてのいくつかの例を図解的に示す図である。図6において、図2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、図6において、参照符号「41」を付した部分は、いずれの内部電極も形成されない外層部を示している。また、図6において、(a)〜(d)の各図面の下側に配線基板等によって与えられる実装面が位置しているものとする。
図6(a)〜(d)に示した各例では、共通して、コンデンサ本体8において、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とは積層方向に並ぶように配置されている。
図6(a)に示した例では、2つの第1のコンデンサ部11が1つの第2のコンデンサ部12を積層方向に挟むように配置されている。なお、この積層配置状態は、図2に示した実施形態の場合と同様である。
図6(b)に示した例では、2つの第2のコンデンサ部12が1つの第1のコンデンサ部11を積層方向に挟むように配置されている。
図6(c)に示した例では、第1のコンデンサ部11が実装面側に位置され、その上に第2のコンデンサ部12が配置されている。
図6(d)に示した例では、第2のコンデンサ部12が実装面側に位置され、その上に第1のコンデンサ部11が配置されている。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
この実験例では、周知のように、複数のセラミックグリーンシートを用意し、特定のセラミックグリーンシート上に、引出し部を有する内部電極を導電性ペーストの印刷によって形成し、内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層体を焼成してコンデンサ本体を得、このコンデンサ本体の外表面上に外部端子電極を導電性ペーストの焼付けによって形成するという各工程を経て、表1に示した各試料に係る積層コンデンサを作製した。
各試料に係る積層コンデンサについて、コンデンサ本体の寸法は2.0mm×1.25mm×0.5mmとし、内部電極の総積層数を64とし、静電容量の設計値を0.68μFとし、図1等に示した実施形態の場合と同様、外部端子電極の数を14とし、第1のコンデンサ部における各1つの第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の各々の数を7とし、第2のコンデンサ部における各1つの第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の各々の数を2とした。また、内部電極の厚みを1μmとし、引出し部の厚みを1μmとし、引出し部の幅を100μmとした。
Figure 2007142295
表1において、「第1のコンデンサ部」および「第2のコンデンサ部」の各欄には、「積層数」、「共振周波数」、「1層あたりESR」および「全体合成ESR」が示されている。
ここで、「全体合成ESR」は、第1のコンデンサ部については、そこに含まれるすべての第1および第2の内部電極ならびにそれらの各間の誘電体層により与えられる合成ESRであり、第2のコンデンサ部については、そこに含まれるすべての第3および第4の内部電極ならびにそれらの各間の誘電体層により与えられる合成ESRである。
「1層あたりESR」は、次のように求めたものである。コンデンサのESRは、電極1層あたりの抵抗をR、積層数をNとしたとき、以下の式で表すことができる。
コンデンサのESR=R(4N−2)/N2
たとえば、第1のコンデンサ部では、第1のコンデンサ部全体のESRをコンデンサのESRとして逆算して、電極1層あたりの抵抗Rを算出し、このRの値を上記数式に代入し、かつN=2(コンデンサ1層は内部電極2枚が対向して形成される。)を上記数式に代入することにより、「1層あたりESR」を算出している。
また、「積層コンデンサの共振周波数」は、第1および第2のコンデンサ部を含めた積層コンデンサ全体としての共振周波数を示している。
「積層コンデンサの静電容量」は、静電容量の実測値を示している。
なお、表1において、試料1および9は、比較例である。ここで、試料1は、引出し部の数が7とされた第1のコンデンサ部のみを備えるもので、前述した特許文献1に記載の構造に対応している。他方、試料9は、引出し部の数が2とされた第2のコンデンサ部のみを備えるもので、前述した特許文献2に記載の構造に対応している。
試料2〜8については、「第1のコンデンサ部」の「共振周波数」が、「第2のコンデンサ部」の「共振周波数」より高いという条件と、「第2のコンデンサ部」の「1層あたりESR」が、「第1のコンデンサ部」の「1層あたりのESR」より高いという条件とを満たしている。
また、「積層コンデンサの静電容量」の欄を参照すればわかるように、試料2〜8と試料1および9との間において、静電容量は同等か近似している。
このような状況の下、試料2〜5では、「第1コンデンサ部」の「全体合成ESR」は、「第2のコンデンサ部」の「全体合成ESR」より低くなっており、その結果、「積層コンデンサの共振周波数」は、「全体合成ESR」の低い側のコンデンサ部、すなわち「第1のコンデンサ部」の「共振周波数」と比較的近似した値となり、「第1のコンデンサ部」のみを備える試料1に比べて、「積層コンデンサの共振周波数」を高周波側へ変化させることができる。
他方、試料6〜8では、「第2のコンデンサ部」の「全体合成ESR」が、「第1のコンデンサ部」の「全体合成ESR」より低くなっている。その結果、「積層コンデンサの共振周波数」は、「全体合成ESR」の低い側のコンデンサ部、すなわち「第2のコンデンサ部」の「共振周波数」と比較的近似した値となり、「第1のコンデンサ部」のみを備える試料1に比べて、「積層コンデンサの共振周波数」を低周波側へと変化させ、「第2のコンデンサ部」のみを備える試料9の「積層コンデンサの共振周波数」へと近づけることができる。
図7〜図15には、試料1〜9の各々についての周波数‐インピーダンス特性がそれぞれ示されている。なお、図7〜図15に示したグラフにおいて、横軸の周波数および縦軸のインピーダンスは、ともに対数目盛で示されている。また、図7〜図15の各々に表示された各目盛によって表される数値は、図7〜図15の間で互いに同じである。
まず、図7と図8〜図11とを比較してインピーダンスの極小点について見ると、図7に示した試料1に比べて、図8に示した試料2、図9に示した試料3、図10に示した試料4、図11に示した試料5の順で、より高周波側へシフトしていることがわかる。
他方、図12〜図14と図15とを比較すれば、図12に示した試料6、図13に示した試料7、図14に示した試料8の順で、インピーダンスの極小点が、わずかずつではあるが、より低周波側へシフトし、図15に示した試料9へとより近づいていることがわかる。
この発明の一実施形態による積層コンデンサ1の外観を示す斜視図である。 図1に示した積層コンデンサ1の内部構造を示す正面図であり、図3および図4の線II−IIに沿う断面をもって示している。 図2に示した第1のコンデンサ部11の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第1の内部電極13が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極14が通る断面を示している。 図2に示した第2のコンデンサ部12の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第3の内部電極15が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極16が通る断面を示している。 この発明に従って変化される積層コンデンサの共振周波数を図解する、周波数‐インピーダンス特性図である。 この発明に係る積層コンデンサに備えるコンデンサ本体8における第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12との積層配置状態についてのいくつかの例を示す図である。 この発明による効果を確認するために実施した実験例において作製した試料1についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料2についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料3についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料4についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料5についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料6についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料7についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料8についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。 上記実験例において作製した試料9についての周波数‐インピーダンス特性を示す図である。
符号の説明
1 積層コンデンサ
2,3 主面
4〜7 側面
8 コンデンサ本体
9 誘電体層
11 第1のコンデンサ部
12 第2のコンデンサ部
13 第1の内部電極
14 第2の内部電極
15 第3の内部電極
16 第4の内部電極

Claims (2)

  1. 積層された複数の誘電体層をもって構成される積層構造を有するコンデンサ本体を備え、
    前記コンデンサ本体は、第1および第2のコンデンサ部を構成していて、
    前記第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、
    前記第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、
    前記第1のコンデンサ部の共振周波数は、前記第2のコンデンサ部の共振周波数より高く、
    前記第2のコンデンサ部に含まれる1組の前記第3および第4の内部電極ならびにその間の前記誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗は、前記第1のコンデンサ部に含まれる1組の前記第1および第2の内部電極ならびにその間の前記誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗より高くされ、かつ、
    前記第1のコンデンサ部に含まれるすべての前記第1および第2の内部電極ならびにそれらの各間の前記誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗は、前記第2のコンデンサ部に含まれるすべての前記第3および第4の内部電極ならびにそれらの各間の前記誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗より低くされている、
    積層コンデンサ。
  2. 積層された複数の誘電体層をもって構成される積層構造を有するコンデンサ本体を備え、
    前記コンデンサ本体は、第1および第2のコンデンサ部を構成していて、
    前記第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、
    前記第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、
    前記第1のコンデンサ部の共振周波数は、前記第2のコンデンサ部の共振周波数より高く、
    前記第2のコンデンサ部に含まれる1組の前記第3および第4の内部電極ならびにその間の前記誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗は、前記第1のコンデンサ部に含まれる1組の前記第1および第2の内部電極ならびにその間の前記誘電体層により与えられる1層あたりの等価直列抵抗より高くされ、かつ、
    前記第2のコンデンサ部に含まれるすべての前記第3および第4の内部電極ならびにそれらの各間の前記誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗は、前記第1のコンデンサ部に含まれるすべての前記第1および第2の内部電極ならびにそれらの各間の前記誘電体層により与えられる合成等価直列抵抗より低くされている、
    積層コンデンサ。
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