JP2007131677A - エポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤 - Google Patents

エポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】短波長吸収性を抑制でき、耐紫外線性、耐候性、反射性及び貯蔵安定性に優れ、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類の接着に使用しうる、優れた塗布性を有する光反射性のエポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤。
【解決手段】脂環式エポキシ化合物(A)と珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(B)と2価の有機錫化合物(c1)、4価の有機錫化合物(c2)および光反射性の無機フィラー(D)を必須成分として含有する光反射性のエポキシ樹脂接着組成物であって、各成分の含有量は、組成物全量基準で、(A)が1〜90重量%、(B)が0.1〜15重量%、(c1)が0.01〜5重量%、(c2)が0.01〜5重量%、(D)が3〜90重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物などによって提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤に関し、さらに詳しくは、短波長吸収性を抑制でき、耐紫外線性、耐候性、耐熱性、反射性および貯蔵安定性に優れ、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類の接着に使用しうる、優れた塗布性を有する光反射性のエポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤に関する。
発光ダイオード(LED)やレーザーダイオードなどをはじめとする光半導体は、GaP系やGaAlAs系、GaInAlAs系、GaInAlP系などの化合物からなり、その構造上、半導体の上面と下面から電気を流す必要がある。
これらのLEDなどをリードフレームや基板に接合する際には、導電性接着剤と呼ばれるエポキシ樹脂組成物が電気を流す接着剤として使用され、LED等の下面とリードフレームや基板等とを接着することで、光の反射、電気的および熱的導通を得ている。また、LEDなどの上面には、ファインワイヤーと呼ばれる金などを材料とした細い導線を使用して、LEDとリードフレームや基板と接合し、電気的導通を得ている。
これら従来のLEDは、赤外から緑色程度までの波長を放出することが出来るが、緑色より低い波長を多く放出することが難しいとされていた。
ところが、近年の技術革新によって、GaN系の半導体化合物が緑色より短い波長を多く放出することが見出された。これらのGaN系の半導体化合物は、およそ550nm以下の波長を放出することができ、緑色や青色、また紫外線等の波長を放出できる。
GaN系の半導体化合物は、上記のGaP系LEDなどとは構造が異なり、下面から導通を得るものと導通を必要としないものがあるため、リードフレームや基板に接合する際には、上記の導電性接着剤や導電性を持たないエポキシ樹脂組成物を使用して接着している。
しかしながら、従来の導電性接着剤やエポキシ樹脂組成物では、主にビスフェノールA型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂など、汎用のエポキシ樹脂を使用しているため、長時間使用していると変色してしまう問題が生じている。変色の原因は、汎用のエポキシ樹脂では500〜450nm以下の波長を吸収してしまい、その吸収エネルギーがエポキシ樹脂の構造を変化させてしまうためと考えられている。さらに波長エネルギーを吸収してしまうために、LEDなどから発光した光が減衰してしまい、明るく出来ないという問題もある。
さらに、GaN系の半導体化合物が発した波長を、外部に多く取り出すためには、導電性接着剤やエポキシ樹脂組成物で、波長をより多く反射する、もしくはエポキシ樹脂組成物で波長を透過させ、接着している基板部分で多く反射させる必要がある。
一方、これらの問題を解決するために、脂環式エポキシ樹脂や水素添加型エポキシ樹脂を使用することもあるが、一般的にはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸やナジック酸無水物などの酸無水物系硬化剤を使用することになる。
この場合、透明な硬化物がえられ、透過性が良いものが得られるが、一液型の配合ではポットライフが短くなり、作業性の点で問題があった。また、ジシアンジアミドやフェノール系硬化剤などを使用することにより、一液型の配合も可能となるが、硬化物は着色してしまい、500〜450nm以下の波長を吸収し、発光した光の反射率が低下するという点で問題があった。
また、赤色から青色までの全ての色を発色するLEDが実用化され、これが信号機や情報板などとして屋外で盛んに使用されるものと予想される。そのため、エポキシ樹脂組成物には耐候性の向上も強く望まれている。
このようなことから、水素添加型エポキシ樹脂、カチオン重合開始剤、芳香族オニウム塩、フェノール系酸化防止剤、リン化合物からなるエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これを用いれば、樹脂の着色および熱履歴による着色の問題が回避され、耐候性、靭性に優れた硬化物が得られると考えられる。
しかし、カチオン重合開始剤には、硫黄化合物、リン化合物、ハロゲン化物、アンモニウムイオンのような電子材料としては好ましくない元素が含有されている。芳香族オニウム塩は、樹脂への溶解性が十分に高くなく反応性が均一でないこと、金属イオンが樹脂硬化物中に残存すること等が問題となりうる。また、フェノール系酸化防止剤は、耐候性の向上に効果はあるが、時間と共に黄色く変色してしまう問題がある。さらに、リン化合物は、ある条件の下でイオン化し、半導体と化合物を形成して不具合を発生する可能性がある。
このような問題点を解決するために、脂環式エポキシを含むエポキシ基含有化合物とシラノール基および、または珪素原子に直接結合した加水分解基を含有する化合物、及び有機錫系化合物を含有してなるエポキシ樹脂組成物が提案されている。(特許文献2参照。)
このエポキシ樹脂組成物の硬化物は、透明性にも優れるので塗料用に適しているが、脂環式エポキシ化合物を用いることで、耐候性にも優れ、なおかつ貯蔵安定性にも優れたものになると考えられる。ところが、120〜150℃程度の硬化物では接着力が得られない点、また接着力を得るためには200℃以上に加熱せねばならないことから、有機基板を使用する電子部品には使用できないことが指摘されていた。
また、有機バインダー、溶剤及び/又はモノマー、並びに導電性粉末からなるとともに、該導電性粉末として銀系粉末を含む導電性ペーストにおいて、分子内にベンゾトリアゾール骨格を1個以上含み、かつ官能基としてメタクリロイル基又はヒドロキシル基を持つ化合物を、樹脂固形分に対し0.1〜10%含有させた導電性ペーストが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、これに関連した絶縁性ペーストとして、耐紫外線性、耐候性に優れた絶縁性ペーストが提案され(特許文献4参照)、成分のベンゾトリアゾール骨格を含む化合物が紫外線吸収剤として作用し、耐紫外線性、耐候性の向上に寄与するとしている。しかしながら、光半導体の波長光の反射率を向上させるためには、紫外線を吸収せずに耐紫外線性、耐候性を一層向上する必要がある。
そのため、本発明者は、先に脂環式エポキシ樹脂、ヒドラジド系硬化剤、および光反射性の無機フィラーを必須成分とするエポキシ樹脂組成物を開発した(特許文献5参照)。これにより、従来のものよりも短波長吸収性を抑制でき、光の反射性、耐紫外線性、耐候性に優れた接着剤を得ることができた。
しかしながら、100℃を上回るような高温に長時間放置すると樹脂成分が変色して、光反射性が低下することがあり、より優れた耐熱性を有し、反射性の低下を抑制できるエポキシ樹脂組成物の出現が切望されていた。
特開2001−342240(特許請求の範囲) 特開平8−3452(特許請求の範囲) 特開2001−332124(特許請求の範囲) 特開2001−316596(特許請求の範囲) 特開2004−256603(特許請求の範囲)
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点に鑑み、短波長吸収性を抑制でき、接着性、耐紫外線性、耐候性、反射性、耐熱性および貯蔵安定性に優れ、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類の接着に使用しうる、優れた塗布性を有する光反射性のエポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、脂環式エポキシ化合物に、珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物と、2価の有機錫化合物、4価の有機錫化合物および光反射性の無機フィラーを必須成分として特定量配合すると、得られたエポキシ樹脂組成物は、100〜120℃のような高温に放置しても変色しないことを見出すとともに、さらには、これを光半導体用接着剤として用いれば、短波長吸収性を抑制でき、波長の反射性、耐紫外線性、耐候性、耐熱性及び貯蔵安定性、接着性に優れることから、最近の技術開発の進展がめざましいGaN系のLEDに好ましく適用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、脂環式エポキシ化合物(A)と珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(B)と有機錫化合物(C)、および光反射性の無機フィラー(D)を必須成分として含有するエポキシ樹脂接着組成物であって、有機錫化合物(C)は2価の有機錫化合物(c1)と4価の有機錫化合物(c2)との混合物であり、各成分の含有量は、組成物全量基準で、(A)が1〜90重量%、(B)が0.1〜15重量%、(c1)が0.01〜5重量%、(c2)が0.01〜5重量%、(D)が3〜90重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、シラン化合物(B)は、窒素元素を含まないシラン化合物であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、シラン化合物(B)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、2価の有機錫化合物(c1)と4価の有機錫化合物(c2)との混合量は、重量比率で(c2)/(c1)=1〜20であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、光反射性の無機フィラー(D)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上の無機粒子であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、光反射性の無機フィラー(D)は、Ag、Pt、又はAlのいずれか1種以上の金属粉末であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物が提供される。
一方、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかのエポキシ樹脂接着組成物を用いてなる光半導体用接着剤が提供される。
本発明のエポキシ樹脂接着組成物は、これを用いることで、接着性、短波長吸収性の抑制性、耐紫外線性、耐候性、反射性、耐熱性に優れ、しかも塗布性に優れた硬化物が得られる。また、これを用いた光半導体用接着剤は、特に550nm以下の低波長を発するGaN系光半導体の光特性と信頼性を大幅に向上できることから、この発明の工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のエポキシ樹脂接着組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤について詳細に説明する。
1.エポキシ樹脂接着組成物
本発明のエポキシ樹脂接着組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(B)と2価の有機錫化合物(c1)、4価の有機錫化合物(c2)、および光反射性の無機フィラー(D)をそれぞれ特定の割合で含んでいることを特徴とする。また、この他に粘度調整が必要であれば、脂環式以外のエポキシ化合物、溶剤、希釈剤、粘度調整剤などの成分(E)を添加することができる。
(A)脂環式エポキシ化合物
脂環式エポキシ化合物は、シクロヘキサンなどの脂環部分とエポキシ部分とを有する熱硬化性樹脂である。以下、脂環式エポキシ化合物を脂環式エポキシ樹脂という場合がある。
この脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセン環の二重結合を過酢酸で酸化してエポキシ化した、脂肪族環状エポキシ樹脂などが使用できる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−シクロヘキサンカルボキシレート、ポリ(エポキシ化シクロヘキセンオキサイド)などが挙げられる。ここで記載していない脂環式エポキシ樹脂でも使用できる。これらの脂環式エポキシ化合物は、単独で用いても、混合して使用しても差し支えない。
本発明において、脂環式エポキシ化合物含有量は、1〜90重量%であることが必要である。脂環式エポキシ化合物の含有量が、1重量%未満では接着剤として必要な接着力が得られず、また、90重量%を超えると、本発明の含有成分である無機フィラー(無機粒子や金属粉末)の量が相対的に少なくなり、それらのフィラーが果たす効果が得られなくなる。脂環式エポキシ樹脂の好ましい含有量は5〜85重量%、さらには10〜80重量%の範囲である。
(B)シラン化合物
本発明で使用するシラン化合物とは、加水分解によってシラノール基を生じうる基が珪素原子に直接結合した化合物を言う。またここでシラノール基とは珪素原子に直接結合した水酸基を意味する。
このようなシラン化合物の例としては、一般的にビニル基を含有したビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシ基を含有する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシ基を含有する3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランや、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシランや、クロロシランとしてメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどが挙げられ、ここに記載していない物質でも加水分解によってシラノール基を生じることができれば使用できる。
このうち、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物が特に好ましい。炭素数4以上の加水分解性基を含有するアルコキシシラン化合物、あるいは、これらの低縮合物では、所望とする接着効果が期待できないので好ましくない。また、これらの珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物は、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
本発明で、シラン化合物は、脂環式エポキシ樹脂を硬化させるための触媒の一部として作用するため、その含有量を0.1〜15重量%とする。この組成の範囲であれば、エポキシ樹脂の量に応じ、硬化触媒として有効に機能する。一方、0.1重量%以下であると、触媒としては作用せず、脂環式エポキシ樹脂を硬化できない。15重量%以上であると、過剰なシラン化合物が硬化物中に存在し、接着力の低下を招く。
また、本発明においては、上記シラン化合物として窒素元素を含まないシラン化合物を使用すると、より紫外線による変色性および熱による変色性が抑制されることがわかった。その理由は、必ずしも明確ではないが、紫外線や熱によるエネルギーが窒素元素周辺の分子結合を破壊し、着色性を生じるものと考えられる。
(C)有機錫化合物
本発明において、有機錫化合物は、2価の有機錫化合物(c1)と、4価の有機錫化合物(c2)から構成され、特定の比率で配合される。
(c1)2価の有機錫化合物
本発明において2価の有機錫化合物は、特に制限されず、市販されている有機化合物であれば使用できる。具体的な例としては、スズジアセテート、スズジブチレート、スズジオクテート、スズジラウレート、スズジステアレート、スズジナフテネートなどが挙げられる。これらは2種類以上を混合しても差し支えない。
2価の有機錫化合物は、前記シラン化合物と同様に、脂環式エポキシ樹脂を硬化させるための触媒の一部として作用する。このため2価の有機錫化合物の含有量を0.01%〜5重量%とする。この範囲であれば、2価の有機錫化合物のどれでも触媒として作用できる。一方、0.01重量%未満であると含有量が少なすぎるために、触媒としての作用は発揮されず、5重量%以上であると含有量が多すぎるために、反応性が上昇し、貯蔵性に問題が生じてしまう。
(c2)4価の有機錫化合物
本発明で使用する4価の有機錫化合物としては、市販されている有機化合物であれば使用できる。具体的な例としてはスズテトラアセテート、スズテトラオクテート、スズテトララウレート、ブチルスズトリアセテート、ブチルスズトリブチレート、ブチルスズトリオクテート、ブチルスズトリラウレート、オクチルスズトリアセテート、オクチルスズトリブチレート、オクチルスズトリオクテート、オクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジブチレート、ジオクチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、フェニルスズトリブチレート、フェニルスズトリラウレート、ブチルスズトリメトキシ、ブチルスズトリブトキシ、オクチルスズトリメトキシ、フェニルスズトリメトキシ、ジブチルスズジメトキシ、ジオクチルスズジメトキシ、ジオクチルスズジバーサテート、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズビスアセチルアセトネート、ジブチルスズビス(o−フェニルフェノキサイド)、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイドなどが挙げられる。これらは2種類以上を混合しても差し支えない。
4価の有機錫化合物も脂環式エポキシ樹脂を硬化させるための触媒の一部として作用するため、4価の有機錫化合物の含有量を0.01%〜5重量%とする。この範囲であれば、4価の有機錫化合物のどれでも触媒として作用できる。一方、0.01重量%未満であると含有量が少なすぎるために、触媒としての作用は発揮されず、5重量%以上であると含有量が多すぎるために、反応性が上昇し、貯蔵性に問題が生じてしまう。
本発明では、2価の有機錫化合物と4価の有機錫化合物を必須成分とし、これらを混合して使用する。2価の有機錫化合物や4価の有機錫化合物を単独で用いると、接着性のある硬化物は得られるが、2価の有機錫化合物の場合、室温での貯蔵安定性が劣り、使用中に増粘してしまい、一方、4価の有機錫化合物の場合、2価の有機錫化合物と同様に室温での貯蔵安定が劣るものがあり、あるいは貯蔵安定性に優れるが、十分な接着性を有するためには硬化温度が200℃以上の高温が必要となるものがあり、有機材料の基板等で構成される電子部品には使用できないという問題がある。
これに対して、本発明によれば、2価の有機錫化合物と4価の有機錫化合物とを特定の割合で組み合せて本エポキシ樹脂組成物を調製するので、かかる問題はなく、貯蔵安定性にも優れ、120〜150℃の低温で硬化し高強度な接着性を有する硬化物を得ることができる。
2価の有機錫化合物(c1)と4価の有機錫化合物(c2)の比率は、本発明では特に限定されないが、(c2)/(c1)の重量比率が1〜20、特に1〜10の範囲が望ましい。これは2価の有機錫化合物(c1)が多くなりすぎて、(c2)/(c1)の重量比率が1未満になると2価の有機錫化合物の欠点である貯蔵安定性が徐々に劣る場合がある。一方、4価の有機錫化合物(c2)が多くなりすぎて、この重量比率が20を越えると反応性が徐々に低下してしまう場合がある。
これらの現象は、4価の有機錫化合物は、2価の有機錫化合物に比べるとエポキシ樹脂に対して反応性が劣るものの、2価の有機錫化合物と特定の比率で混合されていると、接着の際に加熱されることにより、反応性に富む2価の有機錫化合物へ変化するためと推測される。なお、4価の有機錫化合物は、この程度の反応性であり適度の貯蔵性を有するため、十分な保存特性を具備することとなる。
(D)無機フィラー
本発明で使用する無機フィラーは、光反射性の無機粒子であることを特徴とする。そのバンドギャップエネルギーは、特に限定されないが、2.8eV以上であることが好ましい。無機粒子または金属粉末の形態である無機フィラーは、エポキシ樹脂硬化物の強度を向上し、粘性を調整するのに寄与し、さらにLEDなどから発光した光や波長を反射させる機能を有している。
このうち2.8eV以上の無機粒子は、LED等のチップの下面から導通を得る必要のない場合に用いる。バンドギャップエネルギーが2.8eV以上の無機粒子を用いれば、発光した波長の光を無機粒子によって、より効果的に反射させることができる。一般に無機化合物における波長の吸収は、主に半導体化合物の励起吸収に起因し、このエネルギーに相当するものが無機化合物のバンドギャップエネルギーである。このバンドギャップエネルギーが2.8eV未満であると、その粒子のもつ波長吸収域が440nm以上となり、発光したLED等で光の反射率の低下を招くことがある。
また、無機粒子の色は、特に限定されないが、反射率を向上させるためには白色系の粉末か、その接着するLED等が発光する波長と同色をした粉末が望ましい。
このような無機粒子としては、酸化亜鉛、フッ化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素等が挙げられる。なかでも好ましいのは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウムである。これらの粒子(粉末)は、単独で用いることができるが、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
一方、無機フィラーとしての金属粉末は、LED等のチップの下面から導通を得る必要のある場合、導通を得る必要の無い場合のどちらで用いてもよい。金属粉末を使用すれば、上記の無機粒子と同様に、発光波長の光を反射する機能を持ち合わすと同時に、電気的導通を得る機能が付与される。反射の機能をより一層向上させるためには、Ag、Pt、Al等のように銀色をした金属粉末が望ましい。
さらに形状は、各種形状のものであってよいが、フレーク状のものであれば更なる反射率の向上および導電性の向上(例えば、1×10−3Ω・cm以下)が望める。これらは単独で使用できるが、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
上記の無機粉末および金属粉末などの無機フィラーは、その粒径などを特に限定するものではないが、最大粒径が40μm以下、特に20μm以下であり、平均粒径が1〜10μm程度、特に1〜5μmのものが望ましい。また、半導体の接着などに使用されることから、水に対して溶解しないものや、Na、K、或いはClなどのイオン性不純物を発生しないものを選定することが望ましい。
また、上記の無機粒子と金属粉末は、無機フィラーとしていずれかを単独で用いてもよいし、求められる特性に応じて互いに混合しても差し支えない。
無機粒子もしくは金属粉末の添加量は、3〜90重量%とする。これは3重量%未満の場合、無機フィラーとして求められる反射率が低下し、一方、90重量%より多いと、相対的にエポキシ樹脂および硬化剤の量が少なくなり、接着剤として機能しなくなるためである。好ましい含有量は、無機粒子であれば、8〜85重量%、さらには10〜80重量%の範囲である。一方、金属粉末であれば、好ましい含有量は、10〜90重量%、さらには20〜85重量%の範囲である。
前記の特許文献2では、有機錫化合物を配合しているが、特に4価の化合物を1種のみ用いることが好ましいとしており、無機フィラーの具体的な例示はない。そのため、本発
明が必要とする120〜150℃での低温硬化性能が不十分であり、かつ無機フィラーか
ら得られる特性が不明確であり、光反射性の接着剤としての特性を期待することができない。
(E)その他
本発明では、必要に応じて、粘性調整のために脂環式以外のエポキシ化合物やその他の樹脂成分、溶剤、希釈剤、粘度調整剤などを特性に影響のない範囲で添加しても構わない。
これらの添加物は、硬化反応時にエポキシ樹脂と添加物もしくは添加物自身が反応して硬化物中に取り込まれるものと取り込まれないものに分けられるが、取り込まれるものに関しては、その構造中にベンゼン環を有しないものが望ましい。ベンゼン環を有するものの場合、過剰に添加しすぎるとベンゼン環がLEDの発光により生じた波長を吸収してしまい、反射率の低下等を招くので含有量には注意が必要である。
また、硬化物中に取り込まれ得る添加物としては、構造中の片末端にエポキシ基を含有するフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルや、構造中に2個以上のエポキシを含有しているネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、脂環式以外のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの公知のエポキシ樹脂等が挙げられる
一方、硬化物中に取り込まれないものの場合は、硬化時に全て揮発するものであれば、どのような構造を有していても差し支えない。
エポキシ樹脂と反応しない溶剤としては、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシジペンタンイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−イソブチレート、イソブチルブチレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、或いは2−ヒドロオキシプロパン酸エチル等が挙げられる。
2.光半導体用接着剤
上記のエポキシ樹脂接着組成物は、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類を接着するのに好適である。
本発明の光半導体用接着剤は、例えばLED、フォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトカプラー、CCD(電荷結合素子)、EPROM(イレーザブルプログラマブルリードオンリーメモリー)、フォトセンサーなどの受光素子や発光素子等の光半導体に対して、従来のエポキシ樹脂接着組成物にない優れた接着性、熱間強度、反射率、変色性を有する。特に、GaN系のLEDを接着する際に用いると大きな効果を期待できる。
これらの特性の評価方法(条件)は、下記の実施例にて説明するが、接着性が40N以上、熱間強度が5N以上、反射率が45%以上、変色性(ΔE)が5未満という優れたものである。
この接着剤を使用する方法は、特に限定されず組成によっても異なるが、例えば、基板の上にこのエポキシ樹脂組成物を滴下し、光半導体チップを載せてから、50〜250℃のオーブン中に20〜300分間放置するか、150〜300℃のホットプレート上で10〜300秒放置し硬化させればよい。
オーブン中で硬化させる場合、50℃未満或いは20分間未満では接着剤の硬化が不十分となり、250℃以上で300分間を超えると樹脂成分が分解する恐れが生じる。また、同様にホットプレート上での硬化の場合、150℃以下では硬化反応が十分進行せず、硬化不十分となり、300℃以上で300秒を超えると樹脂成分が分解する恐れが生じる。
以下、実施例、比較例を用いて、本発明を具体的に示すが、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。なお、用いた原材料は次のとおりである。
エポキシ化合物
脂環式エポキシ樹脂(a):3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−シクロヘキサンカルボキシレート 。
エポキシ樹脂(b):ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
シラン化合物
シラン化合物(a):3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
シラン化合物(b):3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
シラン化合物(c):3−アミノプロピルトリメトキシシランシラン。
有機金属化合物
2価の有機錫化合物:スズジオクテート
4価の有機錫化合物:ブチルスズトリアセテート
有機アルミニウム化合物:アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
有機ジルコニウム化合物:ジルコニウムアセチルアセトナート
無機フィラー
無機粒子(酸化亜鉛):市販の粉末(バンドギャップエネルギー:3.2eV)
平均粒径1.2μmの白色粉末。
金属粉末(銀):導電性接着剤でよく用いられるフレーク状の粉末、
平均粒径が1.3μmの粉末。
無機粒子(酸化銅粉末):バンドギャップエネルギー:2.1eV
平均粒径2.5μmの赤褐色の粉末。
その他配合物
酸無水物硬化剤:新日本理化株式会社製、MH−700。
硬化触媒:第4級ホスホニウムブロマイド
添加物(a):エポキシ樹脂接着組成物の粘度調整剤、
硬化反応時に構造中に取り込まれず揮発してしまう、ブチルカルビトール。
添加物(b):エポキシ樹脂接着組成物の粘度調整剤、
硬化反応時に構造中に取り込まれる、ビスフェノールF型エポキシ樹脂。
また、評価項目、評価方法は次のとおりである。
接着強度:Cu基板の上にエポキシ樹脂接着組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に150℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、上記Cu基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。接着強度は40N以上であれば合格とした。
熱間強度:Cu基板の上にエポキシ樹脂接着組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に150℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、250℃に加熱してあるホットプレート上に上記Cu基板を20秒間放置し、その後加熱したまま、該Cu基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を熱間強度として測定した。熱間強度は5N以上であれば合格とした。
反射率:エポキシ樹脂接着組成物を120℃のオーブン中に60分間放置し、次に150℃のオーブン中に60分間放置して硬化した後、15×30×0.5mmの帯状に形成し、反射率測定サンプルを作製した。このサンプルを日立製作所製分光光度計U−4001にセットして、460nmの光反射率を測定した。反射率は45%以上であれば合格とした。
耐熱変色性:ガラス基板上にエポキシ樹脂接着組成物を20×20×0.1mmとなるように印刷し、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に150℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、色差計にてL、a、bの各値を測定した。次に、試料を120℃のオーブン中に500時間放置した後、再び色差計でL、a、bの各値を測定した。これらの値から、ΔE=√{(L−L+(a−a+(b−b}の式でΔEを計算し、ΔEの値が5未満の場合は変色が少ないとして「○」、5以上の場合は変色が多いとして「×」とした。なお、L、a、bおよびL、a、b各値は、それぞれ、加熱前と500時間加熱後のL 表色系の測定値でLは明度、a、bは色度を意味する。
耐紫外変色性:ガラス基板上にエポキシ樹脂接着組成物を20×20×0.1mmとなるように印刷し、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に150℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、色差計にてL、a、bの各値を測定した。次に、試料に365nm中心の紫外線ランプを1時間当てた後、再び色差計でL、a、bの各値を測定した。これらの値から、ΔE=√{(L−L+(a−a+(b−b}の式でΔEを計算し、ΔEの値が5未満の場合は変色が少ないとして「○」、5以上の場合は変色が多いとして「×」とした。なお、L、a、bの各値は、上記と同様である。
塗布性:シリンジ中に充填したエポキシ樹脂接着組成物を、シリンジの吐出口に取り付けた内径0.2mmのニードルから1000点連続で吐出した。その際、円錐状もしくは半球状になっているものは「○」、糸を引いて隣の点と触れたり、隣の点に線状で伸びてしまったり、また円錐状の角が高くなって2mm以上になるものが3点以上あった場合は「×」とした。
貯蔵安定性:エポキシ樹脂接着組成物を軟膏瓶に入れ密閉し、30℃に5日間放置した。放置前後の粘度を粘度計で測定し、放置後の粘度が放置前の粘度に比べ1.2倍以内であれば「○」、1.2倍を超えた場合には「×」とした。
総合評価:得られた試料について、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱変色性、耐紫外変色性、塗布性、貯蔵安定性について調べた結果、接着強度は40N以上、熱間強度は5N以上、反射率は45%以上、耐熱変色性、耐紫外変色性、塗布性、貯蔵安定性は「○」となったものについてのみ、総合評価を「○」とし、どれか一つでも満たさない特性があった場合は、「×」とした。
(実施例1〜9)
表1の重量割合に従って各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、本発明のエポキシ樹脂接着組成物の試料を作製した。
実施例1〜3はエポキシ樹脂(a)、シラン化合物、2価の有機錫化合物、4価の有機錫化合物、酸化亜鉛、溶剤からなるもので、シラン化合物の種類を変えたもの、実施例4は、実施例2よりも酸化亜鉛量を減らしたもの、実施例5は、実施例2よりもシラン化合物を増やし、2価と4価の有機錫化合物の比率を増やしたもの、実施例6は、実施例2よりも無機粉末を減らし、エポキシ樹脂等からなる有機成分を増やしたもの、実施例7は、無機粉末として銀粉末を使用し、導電性が得られているもの、実施例8は、実施例7よりも銀粉末を減らしたものであり、実施例9は、実施例2において、添加物(b)として硬化反応時に構造中に取り込まれるビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用したものである。
得られた結果を表1に併記した。なお、表1中の組成表は、本発明の必須成分を配合した組成物に関しては重量%で表し、それに対して、必須成分でない添加物(a)、添加物(b)に関しては、エポキシ樹脂接着組成物を100重量部とした場合の重量部で表している。
Figure 2007131677
(比較例1〜9)
実施例1〜9と同様にして各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、比較用のエポキシ樹脂接着組成物の試料を作製した。得られた評価結果は、表2に併記した。
比較例1は、実施例2の有機錫化合物を有機アルミニウム化合物に変えたもの、比較例2は、実施例2の有機錫化合物を有機ジルコニウム化合物に変えたものである。
比較例3は、公知の脂環式エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤および硬化触媒を用いた硬化系を使用し、そこに酸化亜鉛を混合したものである。
比較例4は、実施例2の酸化亜鉛粉末に代えて、バンドギャップエネルギーが2.1eVである酸化銅粉末を使用したものである。
比較例5は、実施例2の脂環式エポキシ樹脂成分を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に置換えたものである。
比較例6は、比較例5と同様にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、酸無水物硬化剤および硬化触媒を使用したものである。
比較例7は、実施例2の酸化亜鉛量を大幅に減らした場合のものである。
比較例8は、有機金属化合物として2価の有機錫化合物のみを使用した場合のものである。
比較例9は、有機金属化合物として4価の有機錫化合物のみを使用した場合のものである。
Figure 2007131677
「評価と考察」
表1から明らかなように、実施例1〜9の接着剤は、接着力が優れ、低波長の反射率、熱や紫外線に対する劣化、変色性だけでなく、塗布性、貯蔵安定性にも優れた硬化物が得られている。
一方、比較例1は、有機錫化合物の代わりに有機アルミニウム化合物を用いた場合であるが、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱および耐紫外変色性、塗布性は優れているものの、貯蔵安定性に劣り、総合評価は「×」となった。
比較例2は、有機錫化合物の代わりに有機ジルコニウム化合物を用いた場合であるが、比較例1同様、接着強度、熱間強度、反射性、耐熱および耐紫外変色性、塗布性は優れているものの、貯蔵安定性に劣り、総合評価は「×」となった。
比較例3では、公知の硬化剤成分として酸無水物および硬化触媒を使用したため、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱および耐紫外変色性、塗布性においては問題ないが、貯蔵安定性に劣り、総合評価としては「×」であった。
比較例4は、無機粉末フィラーが光反射性に乏しい酸化銅(I)を使用したため、硬化物の色も黒くなり反射率が低くなった。また、耐熱および耐紫外変色性は「○」であるが、これは、もともと黒いため樹脂成分が変色しても、それほど目立たなかったためと考えられる。
比較例5は、本発明として好ましくないビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたため、接着強度、熱間強度が低く、耐紫外変色性も劣り、総合評価として「×」であった。接着強度が弱い理由としては、脂環式エポキシ樹脂を使用したときにくらべ、硬化物は得られているものの、硬化反応が十分に進行していないためと思われる。
比較例6は、比較例5と同様にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、酸無水物硬化剤および硬化触媒を使用したものである。これらは公知の樹脂成分であるが、硬化反応は十分進行しており、接着強度および熱間強度も十分得られている。しかし、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用しているために、耐紫外変色性に劣り、また、酸無水物硬化剤と硬化触媒を用いているために貯蔵安定性に劣り、総合評価は「×」であった。
比較例7は、接着強度は十分なものの、熱間強度が劣り、また酸化亜鉛量が少なすぎるために反射率も低く、総合評価では「×」であった。
比較例8は、有機錫化合物として、2価の有機錫化合物のみを使用したものであるが、接着強度、反射率、変色性等は十分であったものの、粘度が初期値の1.5倍となり貯蔵安定性に劣るために総合評価は「×」であった。
比較例9は、有機錫化合物として、4価の有機錫化合物のみを使用したものであるが、硬化温度が本試験条件では十分でなかったため、硬化不足と推測され、そのために接着強度、熱間強度が所望の数値を得られず、総合評価は「×」であった。

Claims (7)

  1. 脂環式エポキシ化合物(A)、珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(B)、有機錫化合物(C)、および光反射性の無機フィラー(D)を必須成分として含有するエポキシ樹脂接着組成物であって、
    有機錫化合物(C)は、2価の有機錫化合物(c1)と4価の有機錫化合物(c2)との混合物であり、かつ、前記各成分の含有量は、組成物全量基準で、(A)が1〜90重量%、(B)が0.1〜15重量%、(c1)が0.01〜5重量%、(c2)が0.01〜5重量%、及び(D)が3〜90重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂接着組成物。
  2. シラン化合物(B)は、窒素元素を含まないシラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂接着組成物。
  3. シラン化合物(B)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂接着組成物。
  4. 2価の有機錫化合物(c1)と4価の有機錫化合物(c2)との混合量は、重量比率で(c2)/(c1)=1〜20であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂接着組成物。
  5. 光反射性の無機フィラー(D)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上の無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂接着組成物。
  6. 光反射性の無機フィラー(D)は、Ag、Pt、又はAlのいずれか1種以上の金属粉末であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂接着組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂接着組成物を用いてなる光半導体用接着剤。
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