JP5544819B2 - エポキシ基含有接着剤樹脂組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤 - Google Patents
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Description
このうち(1)電気伝導性および(2)室温接着力は、LEDをリードフレームに固定し、電気を流せる状態にするために必要な特性である。また、(3)高温接着力は、製造工程中の半製品や、完成したLED製品が、ハンダや樹脂の硬化時に再加熱されるため、そのような状況下においても求められている強い接着力である。(4)室温貯蔵安定性は、製造工程で、導電性接着剤の樹脂成分の硬化反応が極力進行せず、一定の粘度を長く保ちつつ、安定した塗布性を保つために必要な特性である。(5)保冷貯蔵安定性は、使用しないときに保冷したまま保存している導電性接着剤が、数ヶ月以上特性を変化することなく保存できる特性である。さらに、(6)塗布性においては、先に述べた一定の粘度を長く保ちつつ、所望の塗布形状を長時間保つことができる特性である。
ところが、近年の技術革新によって、GaN系の半導体化合物が緑色より短い波長を多く放出することが見出された。これらのGaN系の半導体化合物は、およそ550nm以下の波長を放出することができ、緑色や青色、また紫外線等の波長を放出できる。
そこで、GaN系の光半導体化合物に使用される導電性接着剤やエポキシ樹脂組成物には、先に述べたGaP系の光半導体の導電性接着剤と比べて新たな要求特性として、(7)変色の抑制、及び(8)光の反射性もしくは透過性が求められる。
この場合、透過性が良い透明な硬化物が得られ、またエポキシ樹脂中に芳香族6員環を含まないため、変色の抑制も可能となる。しかしながら、一液型の配合では室温貯蔵安定性に欠け、室温では徐々に硬化反応が進行して粘度の上昇が生じてしまうため、作業性の点で問題があった。また、ジシアンジアミドやフェノール系硬化剤などを使用することにより、一液型の配合も可能となるが、脂環式エポキシ樹脂の場合、硬化物は着色してしまい、500〜450nm以下の波長を吸収し、発光した光の反射率が低下するという点で問題がある。水素添加型エポキシ樹脂においても、フェノール樹脂を硬化剤として使用した場合は着色が生じ、ジシアンジアミドを硬化剤として使用した場合は、透明な硬化物が得られるが、熱により変色が生じてしまう不具合が生じる。
このようなことから、水素添加型エポキシ樹脂、カチオン重合開始剤、芳香族オニウム塩、フェノール系酸化防止剤、リン化合物からなるエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これを用いれば、樹脂の着色および熱履歴による着色の問題が回避され、耐候性、靭性に優れた硬化物が得られると考えられる。
この樹脂組成物は、シルセスキオキサンからなるため、その硬化物もシルセスキオキサン樹脂となり、透明性に優れており、耐候性にも優れたものになると考えられる。しかしながら、シルセスキオキサン樹脂のみでは、光半導体用接着剤に必要な接着力が得られない点が指摘されている。その点を鑑みて、エポキシ樹脂を混合しても良いことが明記されているが、エポキシ樹脂の種類は特に限定されておらず、使用される硬化剤も特に限定されていない。ところがエポキシ樹脂の中には耐候性を低下するものがある。さらに、硬化剤にアミン化合物が含まれる実施例では、耐候性が明らかに低下している。一方、酸無水物系やカチオン重合剤を用いた場合は、上述のとおり一液型の配合では室温貯蔵安定性に欠け、室温では徐々に硬化反応が進行して粘度の上昇が生じてしまうため、作業性が悪く、カチオン重合剤を用いた場合は、電子材料としては好ましくない元素が含有されているなどの問題点があり、フェノール系硬化剤の場合は着色してしまう点が問題となる。
しかしながら、近年のGaN系光半導体の高出力化に伴い、半導体から生ずる紫外線をはじめとする短波長の光線量が増え、そのような状況に長時間放置すると樹脂成分が変色して、光反射性が低下することがあり、より優れた耐変色性を有し反射性の低下を抑制できるエポキシ基含有樹脂組成物の出現が切望されていた。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、シラン化合物(C)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とするエポキシ基含有接着剤樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、2価の有機錫化合物(d1)と4価の有機錫化合物(d2)との混合量は、重量比率で(d2)/(d1)=1〜20であることを特徴とするエポキシ基含有接着剤樹脂接着組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、光反射性の無機フィラー(E)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上である酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、フッ化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、又は二酸化珪素から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とするエポキシ基含有接着剤樹脂組成物が提供される。
さらに本発明の第6の発明によれば、第1又は5の発明において光反射性無機フィラー(E)はAg,Pt又はAlのいずれか1種以上の金属粉末であることを特徴とするエポキシ基含有接着剤樹脂組成物が提供される。
本発明のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)とエポキシ基、アルコール性水酸基、加水分解性を有するアルコキシシラン基のいずれかを構造の末端に2個以上含有するシルセスキオキサン化合物(B)、珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(C)、有機錫化合物(D)、および光反射性の無機フィラー(E)をそれぞれ特定の割合で含んでなる光反射性に優れたエポキシ基含有接着剤樹脂組成物である。また、この他に粘度調整が必要であれば、溶剤、希釈剤、粘度調整剤などの成分(F)を添加することができる。
脂環式エポキシ化合物は、シクロヘキサンなどの脂環部分とエポキシ基部分とを有する熱硬化性樹脂である。以下、脂環式エポキシ化合物を脂環式エポキシ樹脂という場合がある。
シルセスキオキサン化合物は、化合物の骨格部分が一般式(R−SiO3/2)n(Rは水素原子やアルキル基、フェニル基など珪素と結合できる有機物)からなり、三官能珪素化合物の加水分解や重縮合などにより得られる化合物で、ランダム構造、ラダー構造、閉塞かご型構造や一部開裂した部分解裂かご型構造、さらに最近ではかご型構造の一部になるがダブルデッカー型構造などが知られている。
性状としては固体でも液体でも良いが、用途が接着剤であるから液状の方が望ましい。しかしながら、固体状であっても、溶剤などの溶解性の液体成分(F)を配合することで、使用可能である。
具体的には、脂環式エポキシ樹脂中のエポキシ基は、シラン化合物、有機スズ化合物の存在下でシルセスキオキサン化合物中のエポキシ基、アルコール性水酸基、加水分解性を有するアルコキシシラン基と反応を生じやすく、脂環式エポキシ樹脂とシルセスキオキサン化合物が反応して結合することや、脂環式エポキシ樹脂同士が反応し、シルセスキオキサン化合物同士が反応して混合体の硬化物を形成することが可能となる。
これに対して、シラン化合物、有機スズ化合物を含まず、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系硬化剤を使用すると、脂環式エポキシ樹脂存在下では、透明な硬化物体も得られるが、酸無水物系硬化剤を使用した場合、室温でも硬化反応が進行してしまい、粘度の上昇が見られ、塗布などを行う際に、安定した塗布形状が得られなくなってしまう。
また、アルコール性水酸基を構造の末端に2個以上含有するシルセスキオキサン化合物は、本発明で使用するシルセスキオキサン化合物の他の代表例であって、シラノール結合を有するために、本組成物の一部を触媒として脂環式エポキシ樹脂の硬化促進に寄与し、さらにシルセスキオキサン化合物も縮合反応により硬化する。具体的には、小西化学工業社製の商品名:PPSQ−Eが挙げられる。
さらに、加水分解性を有するアルコキシシラン基のいずれかを構造の末端に2個以上含有するシルセスキオキサン化合物は、加水分解後にシラノール結合を有するために、本発明の組成物の一部を触媒として脂環式エポキシ樹脂の硬化促進に寄与し、さらにシルセスキオキサン化合物も縮合反応により硬化する。
本発明において、珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物とは、加水分解によってシラノール基を生じさせる基を含有した化合物を言う。ここでシラノール基とは、珪素原子に直接結合した水酸基を意味する。
このうち、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物が特に好ましい。炭素数4以上の加水分解性基を含有するアルコキシシラン化合物、あるいは、これらの低縮合物では、大きなカップリング効果が期待できない。また、これらの珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物は、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
本発明において有機錫化合物は、2価の有機錫化合物と4価の有機錫化合物の混合物であり、脂環式エポキシ樹脂を硬化させるための触媒として作用する。
本発明において2価の有機錫化合物としては、特に制限されず、市販されている有機化合物が使用できる。具体的な例としては、スズジアセテート、スズジブチレート、スズジオクテート、スズジラウレート、スズジステアレート、スズジナフテネートなどが挙げられる。これらは2種類以上を混合しても差し支えない。
本発明で使用する4価の有機錫化合物としては、市販されている有機化合物が使用できる。具体的な例としては、スズテトラアセテート、スズテトラオクテート、スズテトララウレート、ブチルスズトリアセテート、ブチルスズトリブチレート、ブチルスズトリオクテート、ブチルスズトリラウレート、オクチルスズトリアセテート、オクチルスズトリブチレート、オクチルスズトリオクテート、オクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジブチレート、ジオクチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、フェニルスズトリブチレート、フェニルスズトリラウレート、ブチルスズトリメトキシ、ブチルスズトリブトキシ、オクチルスズトリメトキシ、フェニルスズトリメトキシ、ジブチルスズジメトキシ、ジオクチルスズジメトキシ、ジオクチルスズジバーサテート、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズビスアセチルアセトネート、ジブチルスズビス(o−フェニルフェノキサイド)、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイドなどが挙げられる。これらは2種類以上を混合しても差し支えない。
しかしながら、2価の有機錫化合物と4価の有機錫化合物とを特定の割合で組み合せて本エポキシ樹脂組成物を調製した場合、上記の問題点が解決され、貯蔵安定性にも優れ、120〜150℃の低温で硬化し、高強度な接着性を有する硬化物が得られる。
これらの現象は、反応性の劣る4価の有機錫化合物が、2価の有機錫化合物と適宜の組成で混合され、かつ加熱されることにより、反応性に富む2価の有機錫化合物へ変化しやすくなるものと推測される。
本発明で使用する無機フィラーは、光反射性の無機粒子である。
光反射性の無機粒子は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上であるものが好ましい。無機粒子のバンドギャップエネルギーが2.8eV以上であると、発光した波長の光は無機粒子によって、より効果的に反射させることができる。一般に無機化合物における波長の吸収は、主に半導体化合物の励起吸収に起因し、このエネルギーに相当するものが無機化合物のバンドギャップエネルギーである。このバンドギャップエネルギーが2.8eV未満であると、その粒子のもつ波長吸収域が440nm以上となり、発光したLED等で光の反射率の低下を招く。
このような無機粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、フッ化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素等が挙げられる。なかでも好ましいのは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウムである。これらの粒子(粉末)は、単独で用いることができるが、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
上記の無機粉末および金属粉末などの無機フィラーは、その粒径などを特に限定するものではないが、最大粒径が40μm以下、特に20μm以下であり、平均粒径が0.5〜10μm程度、特に0.5〜5μmのものが望ましい。また、半導体の接着などに使用されることから、水に対して溶解しないものや、Na、K、或いはClなどのイオン性不純物を発生しないものを選定することが望ましい。
無機粒子もしくは金属粉末の添加量は、3〜90重量%とする。これは3重量%未満の場合、無機フィラーとして求められる反射率が低下し、一方、90重量%より多いと、相対的にエポキシ樹脂および硬化剤の量が少なくなり、接着剤として機能しなくなるためである。好ましい含有量は、無機粒子であれば、8〜85重量%、さらには10〜80重量%の範囲である。一方、金属粉末であれば、好ましい含有量は、10〜90重量%、さらには20〜85重量%の範囲である。
前記の特許文献2では、有機錫化合物を配合しているが、特に4価の化合物を1種のみ用いることが好ましいとしており、無機フィラーの具体的な例示はない。そのため、本発明が必要とする120〜150℃での低温硬化性能が不十分であり、かつ無機フィラーから得られる特性が不明確であり、光反射性の接着剤としての特性を期待することができない。
本発明では、必要に応じて、粘性調整のために脂環式エポキシ以外のエポキシ化合物やその他の樹脂成分、溶剤、希釈剤、粘度調整剤などを特性に影響のない範囲で添加しても構わない。
エポキシ樹脂と反応しない溶剤としては、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシジペンタンイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−イソブチレート、イソブチルブチレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、或いは2−ヒドロオキシプロパン酸エチル等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(A)とシルセスキオキサン化合物(B)は、他の成分を配合する前に、混合してもよいし、全ての成分を同時に混合することもできる。
上記のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物は、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類を接着するのに好適である。
これらの特性の評価方法(条件)は、下記の実施例にて説明するが、接着性が40N以上、熱間強度が5N以上、反射率が45%以上、耐熱変色性(ΔR)が5未満、耐紫外変色性(ΔR)が12未満という優れたものである。
脂環式エポキシ樹脂(a):3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−シクロヘキサンカルボキシレート
エポキシ樹脂(b):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
シルセスキオキサン化合物(a):エポキシ基含有ダブルデッカー型シルセスキオキサン(チッソ社製、商品名:PSQ055)
シルセスキオキサン化合物(b):エトセル基含有ラダー構造型シルセスキオキサン(小西化学工業社製、商品名:PPSQ−E)
シラン化合物(b):3−アミノプロピルトリメトキシシラン
2価の有機錫化合物:スズジオクテート
4価の有機錫化合物:ブチルスズトリアセテート
有機アルミニウム化合物:アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
酸無水物硬化剤:新日本理化株式会社製、MH−700
硬化触媒:第4級ホスホニウムブロマイド
無機粒子(酸化亜鉛):市販の粉末(バンドギャップエネルギー 3.2eV)、平均粒径0.7μmの白色粉末
金属粉末(銀):導電性接着剤用のフレーク状粉末、平均粒径1.3μmの粉末
無機粒子(酸化銅):市販の酸化銅粉末(バンドギャップエネルギー 2.1eV)、平均粒径0.6μmの赤褐色の粉末
添加物(a):エポキシ樹脂組成物の粘度調整のための、硬化反応時に構造中に取り込まれず揮発してしまう、ブチルカルビトール
添加物(b):エポキシ樹脂組成物の粘度調整剤、硬化反応時に一部が構造中に取り込まれる、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
接着強度:ステンレス基板の上にエポキシ樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に200℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、上記ステンレス基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。接着強度は40N以上であれば合格とした。
熱間強度:ステンレス基板の上にエポキシ樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に200℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、250℃に加熱してあるホットプレート上に上記ステンレス基板を20秒間放置し、その後加熱したまま、該ステンレス基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を熱間強度として測定した。熱間強度は5N以上であれば合格とした。
反射率:エポキシ樹脂組成物を120℃のオーブン中に60分間放置し、次に200℃のオーブン中に60分間放置して硬化した後、15×30×0.5mmの帯状に形成し、反射率測定サンプルを作製した。このサンプルを日立製作所製分光光度計U−4001にセットして、460nmの光反射率を測定した。反射率は45%以上であれば合格とした。
耐紫外変色性:ガラス基板上にエポキシ樹脂組成物を20×20×0.1mmとなるように印刷し、120℃のオーブン中に60分間放置し、次に200℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、分光光度計にて460nmの光反射率R1を測定した。次に、試料に365nm中心の紫外線ランプを2時間当てた後、再び分光光度計でR2を測定した。一般的に紫外線照射後は変色する場合、茶色に変色し光反射率が低下するので、これらの値から、ΔR=R1−R2の式でΔRを計算し、ΔRの値が12未満の場合は変色が少ないとして「○」、12以上の場合は変色が多いとして「×」とした。
貯蔵安定性:エポキシ樹脂組成物を軟膏瓶に入れ密閉し、30℃に5日間放置した。放置前後の粘度を粘度計で測定し、放置後の粘度が放置前の粘度に比べ1.2倍以内であれば「○」、1.2倍を超えた場合には「×」とした。
総合評価:得られた試料について、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱変色性、耐紫外変色性、塗布性、貯蔵安定性について調べた結果、接着強度は40N以上、熱間強度は5N以上、反射率は45%以上、耐熱変色性、耐紫外変色性、塗布性、貯蔵安定性は「○」となったものについて、全てが合格したもののみ総合評価を「○」とし、どれか一つでも満たさない特性があった場合は、「×」とした。
表1の重量割合に従って、まずはエポキシ樹脂とシルセスキオキサン化合物と添加物を50℃で加熱混合した。さらに残りの原料を配合し、撹拌機で予備の混練をした後、3本ロール型混練機で混練することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の試料を作製した。
実施例1〜3は、エポキシ樹脂(a)、シルセスキオキサン化合物(a)、シラン化合物、2価の有機錫化合物、4価の有機錫化合物、平均粒径0.7μmの酸化亜鉛からなるもので、エポキシ樹脂とシルセスキオキサン化合物の混合比を変えたものである。
実施例4は、シルセスキオキサン化合物の種類を変えたもの、実施例5は、実施例1のシラン化合物を増やし、さらに2価と4価の有機スズの比率を変更したもの、実施例6は、本発明の範囲内で無機粉末を増やしたもの、実施例7は、シラン化合物の種類を変えたもの、実施例8は、無機粉末を電気導電性が得られる銀粉末に変更したもの、実施例9は、本発明の範囲内の組成で、かつ必須成分でない添加剤の成分を変更したものである。また、実施例10は、実施例1のシルセスキオキサン化合物の割合を増やしたものである。
得られた結果を表1に併記した。なお、表1中の組成表は、本発明の必須成分に関しては重量%で表し、必須成分でない添加物(a)(b)に関しては、エポキシ樹脂組成物を100重量部とした場合の重量部で表している。また組成表中の「B/(A+B)」は、エポキシ樹脂(a)とシルセスキオキサン化合物の比率を示し、「d2/d1」は、2価の有機スズ化合物と4価の有機スズ化合物の比率を表す。
実施例1〜10と同様に表2の重量割合にしたがって、まずはエポキシ樹脂とシルセスキオキサン化合物と添加物を50℃で加熱混合した。さらに残りの各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、比較用のエポキシ樹脂組成物の試料を作製した。得られた評価結果は、同様に表2に併記した。
比較例1は、実施例1の有機錫化合物を有機アルミニウム化合物に変えたものである。
比較例2は、シルセスキオキサン化合物を含まないもの、比較例3は、有機錫化合物を含まずに、公知の酸無水物硬化剤および硬化触媒を用いたエポキシ樹脂硬化系を使用したものである。
比較例4は、実施例1の酸化亜鉛粉末を本発明の範囲外である、バンドギャップエネルギーが2.8eV未満で、平均粒径が0.6μmである酸化銅粉末を使用したものである。
比較例5は、実施例2のエポキシ樹脂成分を本発明の範囲から外れた脂環式でないビスフェノールA型エポキシ樹脂に置換えたものである。
比較例6は、実施例1の有機錫化合物に対して2価の有機錫化合物のみを使用した場合のものである。
比較例7は、実施例1の有機錫化合物に対して4価の有機錫化合物のみを使用した場合のものである。
比較例8は、無機粒子である酸化亜鉛の量を少なくし、本発明の範囲外としたものである。
表1から明らかなように、実施例1〜9は、接着剤としての接着力が優れ、低波長の光の反射率、熱や紫外線に対する劣化、変色性だけでなく、塗布性、貯蔵安定性にも優れた硬化物が得られている。なお、実施例8は、電気伝導性にも優れることを確認している。実施例10は、シルセスキオキサン化合物の割合を増やしたために、他の実施例よりも接着強度が若干低下しているが、低波長の光の反射率、熱や紫外線に対する劣化、変色性だけでなく、塗布性、貯蔵安定性は優れた硬化物になっている。
比較例2は、シルセスキオキサン化合物を含まない場合であるが、比較例1同様、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱変色性、塗布性、貯蔵安定性は優れているものの、耐紫外変色性に劣り、総合評価は「×」となった。
比較例3では、公知の硬化剤成分として酸無水物および硬化触媒を使用したが、接着強度、熱間強度、反射率、耐熱および耐紫外変色性、塗布性においては問題ないが、他と比べて貯蔵安定性が大幅に劣り、総合評価としては「×」であった。
比較例4は、無機粉末フィラーのバンドギャップエネルギーが2.8eV未満で、平均粒径が0.6μmである酸化銅を使用したため、硬化物の色も黒くなり反射率も低くなってしまった。また、耐熱および耐紫外変色性は「○」であるが、これは、もともと黒いため樹脂成分が変色しても、それほど目立たなかったためと考えられる。
比較例5は、実施例2のエポキシ樹脂成分を本発明の範囲から外れた脂環式でないビスフェノールA型エポキシ樹脂に置換えたものであるが、接着強度低く、耐熱変色性、耐紫外変色性も劣り、総合評価として「×」であった。接着強度が弱い理由としては、脂環式エポキシ樹脂を使用したときにくらべ、硬化物は得られているものの、硬化反応が十分に進行していないためであると思われる。
比較例6は、有機錫化合物として、2価の有機錫化合物のみを使用したものであるが、接着強度、透過率、変色性等は十分であったものの、粘度が初期値の1.5倍となり貯蔵安定性に劣るために総合評価は「×」であった。
比較例7は、有機錫化合物として、4価の有機錫化合物のみを使用したものであるが、硬化温度が本試験条件では十分でなかったため、硬化不足と推測され、そのために接着強度、熱間強度が所望の数値を得られず、総合評価は「×」であった。
比較例8では、光反射性の無機粉末である酸化亜鉛の量を少なくして、本発明の範囲外としたものであるが、熱間強度の値が小さく、更に光を反射させる酸化亜鉛が少ないことにより、反射率も低い値となったため、総合評価は「×」であった。
Claims (7)
- 脂環式エポキシ化合物(A)、シルセスキオキサン化合物(B)、珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシラン化合物(C)、有機錫化合物(D)、および光反射性の無機フィラー(E)を必須成分として含有する光反射性に優れたエポキシ基含有接着剤樹脂組成物であって、
シルセスキオキサン化合物(B)は、エポキシ基、アルコール性水酸基、又は加水分解性を有するアルコキシシラン基から選ばれる1以上の官能基を末端に2個以上含有し、有機錫化合物(D)は、2価の有機錫化合物(d1)と4価の有機錫化合物(d2)との混合物であり、また、光反射性の無機フィラー(E)は、白色系か発光ダイオード発光波長と同色の無機粒子又は銀色の金属粉末であり、
かつ、前記各成分の含有量は、脂環式エポキシ化合物(A)がシルセスキオキサン化合物(B)との混合比(B)/{(A)+(B)}で0.1〜0.8であり、また、組成物全量基準で、(A)と(B)を合わせた含有量が1〜90重量%、(C)が0.1〜15重量%、(d1)が0.01〜5重量%、(d2)が0.01〜5重量%、及び(E)が3〜90重量%であることを特徴とするエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。 - シラン化合物(C)は、窒素元素を含まないシラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。
- シラン化合物(C)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個又は3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。
- 2価の有機錫化合物(d1)と4価の有機錫化合物(d2)との混合量は、重量比率で(d2)/(d1)=1〜20であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。
- 光反射性の無機フィラー(E)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上である酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、フッ化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、又は二酸化珪素から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。
- 光反射性の無機フィラー(E)は、Ag、PtまたはAlのいずれか1種以上の金属粉末であることを特徴とする請求項1又は5に記載のエポキシ基含有接着剤樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ基含有接着剤樹脂接着組成物を用いてなる光半導体用接着剤。
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