JP4433876B2 - エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた光半導体用接着剤 - Google Patents
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ところが、近年の技術革新によって、GaN系の半導体化合物が緑色より短い波長を多く放出することが見出された。これらのGaN系の半導体化合物は、およそ550nm以下の波長を放出することができ、緑色や青色、また紫外線等の波長を放出できる。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)の反応条件は、50〜200℃で0.1〜10時間であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が提供される。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物とヒドラジド系硬化剤を特定の重量比率で混合し、加熱し反応させて得られる液状エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、および光反射性の無機フィラー(C)をそれぞれ特定の割合で含んだエポキシ樹脂組成物である。また、この他に粘度調整が必要であれば、溶剤、希釈剤、粘度調整剤などの成分(D)を添加することができる。
液状エポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物の主成分であり、脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)を特定の重量比率で混合し、加熱し反応させて得られる液状のエポキシ樹脂である。液状とは、室温(25℃)で液体であり、ゲル化していない状態であることを意味している。
しかしながら、これらの物質をある特定の範囲内で反応させると、液状のままの樹脂状物質が得られる。これはエポキシ樹脂に含有されているエポキシ基が全てのヒドラジド系硬化剤と反応しても、未反応のエポキシ基が残っているため、分子同士が結合できない部分が生じ、全体としては完全な固体状になれないためである。
本発明で使用する硬化剤は、上記の液状エポキシ樹脂(A)と反応し、透明な硬化物が得られるものであれば何ら制限は無い。前記ヒドラジド系硬化剤の他に、一般的な酸無水物類やジシアンジアミドおよびその変性物など様々な硬化剤を使用でき、それらは単独でも複数種で使用しても差し支えない。
本発明で使用する無機フィラーは、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上の無機粒子または金属粉末である。これらの無機フィラーは、エポキシ樹脂硬化物の強度を向上し、粘性を調整するのに寄与し、さらにLEDなどから発光した光や波長を反射させる機能を有している。
このような無機粒子としては、酸化亜鉛、フッ化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素等が挙げられる。これらの粒子(粉末)は、単独で用いることができるが、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
本発明では、必要に応じて、粘度調整のために溶剤、希釈剤、粘度調整剤などを添加しても構わない。
エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しない溶剤としては、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシジペンタンイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−イソブチレート、イソブチルブチレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、或いは2−ヒドロオキシプロパン酸エチル等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(1)予め、脂環式エポキシ化合物とヒドラジド系硬化剤を混合し、加熱し反応させてエポキシ樹脂を調製し、(2)得られた液状エポキシ樹脂に、さらに硬化剤、および光反射性の無機フィラーを添加することで製造される。
まず、脂環式エポキシ化合物とヒドラジド系硬化剤とを所定量採取する。ここで、脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)は、重量比率で、(a1):(a2)が97:3〜80:20、好ましくは95:5〜85:15とする必要がある。
これは(a2)が3未満の場合は、反応生成物の粘度が低いままで、粘ちょうな液状樹脂物質とはならず、(a2)が20より多い場合は硬化反応が進行しすぎて液状とならない場合があるためである。
次に、得られた液状エポキシ樹脂に対して、硬化剤、無機フィラーを混合する。液状エポキシ樹脂は5〜70重量%として、未反応状態で存在するエポキシ基が実質的に全て反応するのに十分な量の硬化剤を添加することが必要である。
無機フィラー(無機粒子もしくは金属粉末)の添加量は、3〜90重量%とする。
上記のエポキシ樹脂組成物は、光半導体チップをマウントする半導体装置のアッセンブリーや各種部品類を接着するのに好適である。
エポキシ樹脂(a’):ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素添加して得られた脂環式エポキシ樹脂95重量%と、ヒドラジド系硬化剤(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボジヒドラジド)5重量%を混合し、150℃で1時間加熱して得られた、やや粘ちょうな透明液状エポキシ樹脂。
エポキシ樹脂(a”):ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素添加して得られた脂環式エポキシ樹脂79重量%と、ヒドラジド系硬化剤(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボジヒドラジド)21重量%を混合し、150℃で1時間加熱して得られた、透明な固体状エポキシ樹脂。
エポキシ樹脂(b):ビスフェノールA型エポキシ樹脂に水素添加して得られた粘度の低い液体状脂環式エポキシ樹脂。
エポキシ樹脂(c):ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
ヒドラジド系硬化剤:7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボジヒドラジド。
ジシアンジアミド:平均粒径7μmの硬化剤。
硬化促進剤:エポキシ樹脂にアミン化合物を付加したアミンアダクト系硬化促進剤。
溶剤:エポキシ樹脂とは反応しないブチルカルビトールアセテート。
無機粒子(酸化亜鉛):市販の粉末でバンドギャップエネルギーが3.2eVであり、平均粒径1.2μmの白色粉末。
金属粉末(銀):導電性接着剤でよく用いられるフレーク状の粉末で、その平均粒径が1.3μmの粉末。
無機粒子(酸化銅粉末):バンドギャップエネルギーが2.1eVであり、平均粒径2.5μmの赤褐色の粉末。
接着強度:Cu基板の上にエポキシ樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、150℃のオーブン中に90分間放置し硬化させた。室温まで冷却した後、上記Cu基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。
熱間強度:Cu基板の上にエポキシ樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、150℃のオーブン中に90分間放置し硬化させた。室温まで冷却した後、250℃に加熱してあるホットプレート上に上記Cu基板を20秒間放置し、その後加熱したまま、該Cu基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を熱間強度として測定した。
反射率:エポキシ樹脂組成物を150℃×90分で硬化した後、15×30×0.5mmの帯状に形成し、反射率測定サンプルを作製した。このサンプルを日立製作所製分光光度計U−4001にセットして、450nmの光反射率を測定した。
変色性:ガラス基板上にエポキシ樹脂組成物を20×20×0.1mmとなるように印刷し、150℃×90分で硬化させた。室温まで冷却した後、色差計にてL1、a1、b1の各値を測定した。次に、365nm中心の紫外線ランプを1時間当てた後、再び色差計でL2、a2、b2の各値を測定した。これらの値から、ΔE=√{(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2}の式でΔEを計算し、ΔEの値が5未満の場合は変色が少ないとして「○」、5以上の場合は変色が多いとして「×」とした。
塗布性:シリンジ中に充填したエポキシ樹脂組成物を、シリンジの吐出口に取り付けた内径0.2mmのニードルから1000点連続で吐出した。その際、円錐状もしくは半球状になっているものは「○」、糸を引いて隣の点とくっついたり、隣の点に線状で伸びてしまったり、また円錐状の角が高くなって2mm以上になるものが3点以上あった場合は「×」とした。
総合評価:得られた試料について、接着強度、熱間強度、反射率、変色性、塗布性について調べた結果、接着強度は40N以上、熱間強度は5N以上、反射率は35%以上、変色性、塗布性は「○」となったものについてのみ、総合評価を「○」とし、どれか一つでも満たさない特性があった場合は、「×」とした。
表1の重量割合に従って各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の試料を作製した。
実施例1はエポキシ樹脂(a)、ヒドラジド系硬化剤、酸化亜鉛、溶剤からなるもの、実施例2は実施例1のエポキシ樹脂成分の一部を本発明の範囲内でエポキシ樹脂(c)に置換え、さらに硬化剤においてもジシアンジアミドを使用したものである。
実施例3は使用している樹脂、硬化剤、溶剤は実施例1と同じであるが、無機粉末を銀粉として、導電性を有しているものである。
実施例4は実施例1のエポキシ樹脂(a)を本発明の範囲内でエポキシ樹脂(a’)に置換えたものである。得られた結果を表1に併記した。なお、表1中の組成は重量%で表している。
下記以外は実施例1〜4と同様にして各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、比較用のエポキシ樹脂組成物の試料を作製した。得られた評価結果は、表1に併記した。
比較例5は、実施例1のエポキシ樹脂成分を本発明の範囲から外れた固体のエポキシ樹脂(a”)に置換えたものである。
表1から明らかなように、実施例1〜4は接着剤としての接着力が優れ、低波長の反射性、紫外線に対する劣化、変色性だけでなく、塗布性にも優れた硬化物が得られている。
一方、比較例1は、酸化亜鉛粉末と汎用のビスフェノールA型エポキシ樹脂との組み合わせであるが、接着強度、熱間強度、反射性は優れているものの、紫外線照射後の変色性に劣り、総合評価は「×」となった。
比較例2は、液状エポキシ樹脂とその他のエポキシ樹脂の重量比率が本発明の範囲外のものであるため、変色性が「×」となり、総合評価も「×」となっている。これは、その他のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂の重量比率が多すぎるために、紫外線照射後の変色性が劣るものと思われる。
比較例3では、脂環式エポキシ樹脂を樹脂成分として使用したが、接着強度、熱間強度、反射率、変色性においては問題ないが、粘ちょうな液状ではないため塗布性については円錐状の形状の高さが2mm以上となってしまい、評価としては「×」であった。よって総合評価でも「×」となった。
比較例4は、無機粉末フィラーのバンドギャップエネルギーが2.1eVである酸化銅(I)を使用したものである。この例では硬化物の色も黒くなり反射率が低くなってしまった。また、変色性は「○」であるが、これは、もともと黒いため樹脂成分が変色しても、それほど目立たなかったためと考えられる。
さらに、比較例5ではエポキシ樹脂が固体状であったため、全ての原料が混合することができなかった。そのため各評価は測定できず、総合評価でも「×」となった。
Claims (10)
- 脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)を混合し、加熱し反応させて得られる液状エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、および光反射性の無機フィラー(C)を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物であって、光反射性の無機フィラー(C)は、白色系か発光ダイオード発光波長と同色の無機粒子又は銀色の金属粉末であり、各成分の含有量は、組成物全量基準で、(A)が5〜70重量%、(B)が0.5〜45重量%、(C)が3〜90重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)の使用量は、重量比率で(a1):(a2)=97:3〜80:20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 脂環式エポキシ化合物(a1)とヒドラジド系硬化剤(a2)の反応条件は、50〜200℃で0.1〜10時間であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 樹脂成分として、さらにその他のエポキシ樹脂(A’)を含有し、液状エポキシ樹脂(A)とその他のエポキシ樹脂(A’)との含有割合(A)/(A’)は、重量基準で1以上であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤(B)は、ヒドラジド系硬化剤であり、その含有量は、組成物全量基準で、3〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤成分として、さらに硬化促進剤(B’)を含有し、硬化剤(B)とおよび硬化促進剤(B’)との含有割合(B)/(B’)は、重量基準で1以上であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 光反射性の無機フィラー(C)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上である酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、又は二酸化珪素から選ばれる少なくとも1種以上を含む無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 光反射性の無機フィラー(C)は、Ag、Pt、又はAlのいずれか1種以上の金属粉末であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いてなる光半導体用接着剤。
- 光半導体が、GaN系発光ダイオードであることを特徴とする請求項9に記載の光半導体用接着剤。
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