JP2007115476A - 燃料電池用電解質 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホン酸が置換した芳香環がリン原子で連なる特定構造の側鎖を有する高分子スルホン酸からなる高分子電解質である。側鎖は、分岐側鎖でも非分岐側鎖でもよいが、分岐側鎖が好ましい。主鎖と側鎖をつなぐ連結基は、−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−から選ばれるものである。そして、少なくともスルホン酸基を2個以上導入された側鎖を有する。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する事を特徴とする燃料電池用高分子電解質。
Z=−L−(Ar1T1(B1))−(Ar2T2(B2))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn ・・・(2)
B1=−〔(Ar2T2(B2))−(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
B2=−〔(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
・
・
・
Bn−1=−〔Arn〕f
nは各々独立に2〜5の整数、
fは各々独立に0または1、
Ar1〜Arnは各々独立に芳香族残基、
T1〜Tn−1は連結基POx(xは0〜4の整数)であり、
Lは−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−から選ばれる連結基である。
そして、−SO3H基が二個以上導入されたZを有する。)
3.kが1〜2の整数であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用高分子電解質。
4.nが2、fが1である請求項1記載の燃料電池用高分子電解質
5.請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
6.請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
本発明の高分子電解質は下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
上記一般式(1)中、Yは(k+2)価の芳香族残基であり、例えば、下記一般式(7)に示す3価の芳香族残基、下記一般式(8)に示す4価の芳香族残基、下記一般式(9)に示す5価の芳香族残基などが挙げられる。これら芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO2 、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SO3 R、−SOR、−SO2 Rで置換されていてもよい。
、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる)、単結合から選ばれ、好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO2 −から選ばれる。
上記一般式(1)中、Wは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−C(CF3)2−、単結合から選ばれる連結基であり、好ましくは、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、−C(CF3)2−から選ばれる連結基であり、さらに好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO2−から選ばれる連結基である。
Z=−L−(Ar1T1(B1))−(Ar2T2(B2))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn (2)
上記一般式(2)中のB1〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
B1=−〔(Ar2T2(B2))−(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
B2=−〔(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
・
・
・
Bn−1=−〔Arn〕f
上記一般式(2)において、fが1である場合、上記一般式(2)で表される側鎖は芳香族残基Ar1 〜Arn−1 において分岐構造をとるが、その際、各分岐鎖は各々異なった鎖長および分岐構造をとることもできる。
上記一般式(2)におけるT1〜Tn-1は(f+2)価のPOx(xは0〜4の整数)を表し、x=0はホスフィン、x=1はホスフィンオキシド、x=3はホスファイト、x=4はホスフェイトである。T1〜Tn-1 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式(2)におけるAr1〜Arn-1は2価の芳香族残基を表し、例えば下記一般式(11)に示す2価の芳香族残基が挙げられる。これら芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO2 、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SO3 R、−SOR、−SO2 Rで置換されていてもよい。
さらに上記一般式(1)におけるArnは側鎖末端のアリール基を表し、例えば、下記一般式(12)に示すアリール基が挙げられ、当該アリール基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO2 、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SO3 R、−SOR、−SO2 Rで置換されていてもよく、Arnは互いに同じであっても異なっていてもよい。
(1)耐酸化性が高い理由:燃料電池運転時には過酸化水素や・OOHラジカルのような酸化性物質が生成することが知られている。そのため、高分子電解質としては化学的に安定な高分子パーフルオロスルホン酸が用いられてきた。従来の炭化水素系高分子スルホン酸では耐酸化性が不十分であるため、例えば特許文献6および7においては、耐酸化性を補うために酸化防止剤を併用することも行われている。しかし、酸化防止剤を添加剤として加える方法ではポリマーとの相溶性の問題があり、添加量には制限がある。加えて加工時や燃料電池運転時に脱落するおそれもある。対して本発明の電解質は主鎖に結合する側鎖自身がホスフィン、ホスファイト、ホスフェイトなどの酸化防止効果を有する構造を持つので、実用上十分な量の酸化防止剤の導入が可能となる。さらに加工時や電池運転時にも実質的に脱落しない。それゆえ、耐酸化性が高いものと考えられる。
ばれる側鎖が用いられ、好ましくは分岐型側鎖が用いられる。分岐型側鎖は、(i)スルホン化が容易な末端芳香環の数が多く、高分子(主鎖)までの距離が同じスルホン酸基を同一側鎖に複数導入することが可能であり、プロトン伝導性に必要なイオンクラスター構造を形成し易く、それゆえプロトン伝導性が高いものと考えられる。また、(ii)側鎖の形状が嵩高くなるので異なる高分子鎖間の側鎖が互いに絡み合うものと推察され、その結果、電解質膜の強度が高く、寸法安定性も高いものと考えられる。
前記方法で通常用いられる具体例を次に示す。すなわち、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有する高分子と下記一般式(4)で表される側鎖導入剤を反応させることにより、上記一般式(1)で示される高分子電解質を製造することができる。なお、この場合には、上記一般式(2)におけるXは−CO−および−SO2−から選ばれる。
Z’−V (4)
上記一般式(3)のUが水素原子の場合、Vは−COX、−SO2Xから選ばれる反応性基であり、Uが−COX、−SO2Xから選ばれる反応性基である場合には、Vは水素原子であり、Z’は下記一般式(5)で表される。
Z’=−(Ar1T1(B1))−(Ar2T2(B2))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn (5)
Uが水素原子のもの:上記一般式(11)で示される残基から選ばれる2価芳香族残基と、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−C(CF3)2−、単結合から選ばれる連結基Wの組み合わせからなる高分子が通常用いられ、好ましくは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる2価芳香族残基と−CO−、−O−、−S−、−SO2−から選ばれる連結基Wの組み合わせが用いられ、より好ましくはポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンが用いられ、さらに好ましくは、下式で表される高分子においてZが水素原子のものが用いられる。
側鎖導入剤がスルホン酸基またはその前駆体を有し、かつ、側鎖導入剤のXが電子吸引性の連結基であり、さらに、Vが−COX、−SO2Xから選ばれる反応性基である場合の、好ましいZ’−Vの例を下記式(13)に示す。(式中、−SO3Rはスルホン酸基またはその前駆体を表し、Rは水酸基、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる。)
Vが水素原子である場合の好ましいZ’−Vの例を下記式(15)に示す。
高分子に側鎖導入剤を反応させる際の反応の種類は、特に制限されない。上記一般式(
3)で表される高分子と上記一般式(4)で表される側鎖導入剤を反応させる際の好ましい方法としては次の方法が挙げられる。
(ii)上記一般式(3)のUが水素原子で、上記一般式(4)のVが−SO2X(Xがハロゲン原子または水酸基)であるか、または、上記一般式(3)のUが−SO2X(Xがハロゲン原子)で、上記一般式(4)のVが水素原子である場合:フリーデル・クラフツ型スルホニル化反応を用いることができる。
(iii)上記一般式(3)のUが水素原子で、上記一般式(4)のVが−COOHまたは−SO3Hであるか、または、上記一般式(3)のUが−COOHまたは−SO3Hで、式(4)のVが水素原子である場合:脱水縮合反応を用いることができる。
次に、本発明の高分子電解質は、上記スルホン酸基含有重合体からなるが、上記スルホン酸基含有重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用しても良い。
を溶剤に溶解したのち、塗布によりフィルム状に成形するキャスト法や、溶融成形法などが挙げられる。ここで、キャスト法における溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤やメタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。
本発明の高分子電解質の構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルや核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により確認することができる。また、組成比は元素分析によっても測定でき、スルホン酸の含量は中和滴定によって測定することができる。
[イオン交換容量]得られたポリマーの水洗水が中性になるまで充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、イオン交換容量(スルホン酸化当量)を求めた。
[プロトン伝導度の測定]100%相対湿度下に置かれた厚み40〜60μmのフィルム状試料を、白金電極に挟み、複素インピーダンス測定を行い、プロトン伝導度を算出した。
フェントン試験における重量保持率(%)=(フェントン試験後のフィルム重量/フェントン試験前のフィルム重量)×100
(1)ポリエーテルエーテルケトンのスルホン化
ポリエーテルエーテルケトン(ヴィクトレックス社製ポリエーテルエーテルケトン Victrex PEEK450PF)20.0gを0.5リットルの反応溶液に入れ、96%硫酸0.25リットルを加え、窒素下室温で2日間攪拌を続けた。得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることでポリマーを沈殿させた。洗浄液のpHが5になるまでポリマーの水洗を繰り返した。乾燥して、23.7g(95%)のスルホン酸化ポリエーテルエーテルケトン[S−PEEK(下記式(16))]を得た。
S−PEEK4.5gを三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃で塩化チオニル50mlを加えて3時間反応させた。過剰の塩化チオニルを減圧留去してスルホニルクロリド化したPEEKを得た。これにスルホラン200mlを加えて溶解した後、
トリフェニルホスフィンオキシド13.9g(50mmol)および塩化アルミニウム2.67g(20mmol)を加えて、90℃で30時間攪拌した。反応溶液を希塩酸(塩酸/水=10:1)1リットルに投入して、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過した後、水およびエタノールで洗浄し、さらにアセチルアセトン2%を含有する酢酸エチル300ml、次いで80℃のトルエン300mlで2回洗浄した後、50℃で5時間真空乾燥してトルフェニルホスフィンオキシドを側鎖として導入したPEEK5.25gを得た。
トルフェニルホスフィンオキシドを側鎖として導入したPEEK5.00gを三口フラスコに入れ、100mlの96%硫酸を加えて窒素雰囲気下室温で20時間攪拌して得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることでポリマーを沈殿させた。洗浄液のpHが5になるまでポリマーの水洗を繰り返した。乾燥してトルフェニルホスフィンオキシドを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化物(下記式(17))4.50gを得た。
上記の高分子電解質の固形分量が30wt%となるように、高分子電解質15gおよびNMPをフラスコに入れて、攪拌しながら80℃で加熱溶解させてポリマーワニスを得た。バーコーター(200μm用)を用い、ガラス基板上に貼り付けたPET薄膜上に塗布後、乾燥器にて80℃、0.5時間予備乾燥させ、塗膜をPET薄膜から剥がした。剥がした塗膜を真空乾燥器で100℃、3時間乾燥した。さらに、塗膜重量の1,000倍量のイオン交換水中に室温で2日間浸漬させることで、NMPを除去したフィルムを得た。次に、フィルムを25℃・50%RH環境に24時間静置することで調湿後、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示した。この結果は、本発明の高分子電解質が燃料電池用電解質材料として必要な高い耐酸化性と高プロトン伝導性を兼ね備えていることを示す。
(1)トリフェニルホスファイトのS−PEEKへの導入反応
実施例1で得たS−PEEK4.5gを三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃で塩化チオニル50mlを加えて3時間反応させた。過剰の塩化チオニルを減圧留去してスルホニルクロリド化したPEEKを得た。これにスルホラン200mlを加えて溶解した後、トリフェニルホスファイト15.5g(50mmol)および塩化アルミニウム2.67g(20mmol)を加えて、90℃で30時間攪拌した。反応溶液を希塩酸(塩酸/水=10:1)1リットルに投入して、析出した固体を粉砕しながら撹拌した
。この固体をろ過した後、水およびエタノールで洗浄し、さらにアセチルアセトン2%を含有する酢酸エチル300ml、さらに80℃のトルエン300mlで2回洗浄した後、50℃で5時間真空乾燥してトルフェニルホスファイトを側鎖として導入したPEEK5.78gを得た。
(2)トルフェニルホスファイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化
トルフェニルホスファイトを側鎖として導入したPEEK5.00gを三口フラスコに入れ、100mlの96%硫酸を加えて窒素雰囲気下室温で20時間攪拌して得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることでポリマーを沈殿させた。洗浄液のpHが5になるまでポリマーの水洗を繰り返した。乾燥してトルフェニルホスファイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化物(下記式(18))4.55gを得た。
実施例1と同様にして上記の高分子電解質のフィルムを得て、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示した。この結果は、本発明の高分子電解質が燃料電池用電解質材料として必要な高い耐酸化性と高プロトン伝導性を兼ね備えていることを示す。
(1)トリフェニルホスフェイトのS−PEEKへの導入反応
実施例1で得たS−PEEK4.5gを三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃で塩化チオニル50mlを加えて3時間反応させた。過剰の塩化チオニルを減圧留去してスルホニルクロリド化したPEEKを得た。これにスルホラン200mlを加えて溶解した後、トリフェニルホスフェイト16.3g(50mmol)および塩化アルミニウム2.67g(20mmol)を加えて、90℃で30時間攪拌した。反応溶液を希塩酸(塩酸/水=10:1)1リットルに投入して、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過した後、水およびエタノールで洗浄し、さらにアセチルアセトン2%を含有する酢酸エチル300ml、さらに80℃のトルエン300mlで2回洗浄した後、50℃で5時間真空乾燥してトルフェニルホスフェイトを側鎖として導入したPEEK6.12gを得た。
(2)トルフェニルホスフェイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化
トルフェニルホスファイトを側鎖として導入したPEEK5.00gを三口フラスコに入れ、100mlの96%硫酸を加えて窒素雰囲気下室温で20時間攪拌して得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることでポリマーを沈殿させた。洗浄液の
pHが5になるまでポリマーの水洗を繰り返した。乾燥してトルフェニルホスフェイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化物(下記式(19))4.65gを得た。
実施例1と同様にして上記の高分子電解質のフィルムを得て、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示した。この結果は、本発明の高分子電解質が燃料電池用電解質材料として必要な高い耐酸化性と高プロトン伝導性を兼ね備えていることを示す。
(1)テトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイトのS−PEEKへの導入反応
実施例1で得たS−PEEK4.5gを三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃で塩化チオニル50mlを加えて3時間反応させた。過剰の塩化チオニルを減圧留去してスルホニルクロリド化したPEEKを得た。これにスルホラン200mlを加えて溶解した後、テトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイト27.1gおよび塩化アルミニウム2.67g(20mmol)を加えて、90℃で30時間攪拌した。反応溶液を希塩酸(塩酸/水=10:1)1リットルに投入して、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過した後、水およびエタノールで洗浄し、さらにアセチルアセトン2%を含有する酢酸エチル300ml、さらに80℃のトルエン300mlで2回洗浄した後、50℃で5時間真空乾燥してテトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイトを側鎖として導入したPEEK8.31gを得た。
(2)テトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化
テトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイトを側鎖として導入したPEEK5.00gを三口フラスコに入れ、100mlの96%硫酸を加えて窒素雰囲気下室温で20時間攪拌して得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることでポリマーを沈殿させた。洗浄液のpHが5になるまでポリマーの水洗を繰り返した。乾燥してテトラフェニル−p−フェニレン−ジフォスファイトを側鎖として導入したPEEKのスルホン酸化物(下記式(20))4.60gを得た。
実施例1と同様にして上記の高分子電解質のフィルムを得て、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示した。この結果は、本発明の高分子電解質が燃料電池用電解質材料として必要な高い耐酸化性と高プロトン伝導性を兼ね備えていることを示す。
特開2003−201403号公報の参考例2に記載の方法で下記式(21)に示すポリマーBのスルホン酸化物を得て、このものの高分子電解質膜としての評価を行った。結果を表1に示す。
WO2005−76397号の実施例に記載の方法で下記式(22)に示す高分子電解
質を得て、このものの評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2で得られた高分子電解質をNMP(N−メチルピロリドン)溶液とし、キャスト法でそれぞれ膜厚50μmのフイルムを作製した。このフイルムの両面を触媒付電極(エレクトロケム製EC−20−10−7)ではさみ、ホットプレスしてMEA(膜電極接合体)を作製した。このMEAを純水に2時間浸漬し吸水させ、評価セル(エレクトロケム製FC−05−01−SP:25cm2)に組み込んだ。
[発電特性評価]
80℃に保った上記セルのアノード側へ水素(相対湿度30%)を、カソード側へ空気(相対湿度50%)を供給し、電流密度0.3A/cm2で長時間稼動試験を行った。出力電圧が初期電圧の90%になるまでの時間は8000時間であった。
比較例1で得られた高分子電解質を用いたほかは、実施例5と同様に発電特性評価を行った。出力電圧が初期電圧の90%になるまでの時間は、280時間であった。この結果は、実施例2で得た電解質膜の耐久性が非常に高いことを示す。
[比較例4]
比較例2で得られた高分子電解質を用いたほかは、実施例5と同様に発電特性評価を行った。出力電圧が初期電圧の90%になるまでの時間は、7000時間であった。この結果は、実施例2で得た電解質膜の耐久性が非常に高いことを示す。
[実施例6]
実施例4で得られた高分子電解質を用いたほかは、実施例5と同様にして発電特性評価を行った。出力電圧が初期電圧の90%になるまでの時間は10000時間以上であった。この結果は、実施例4で得た、より長い耐酸化性側鎖を導入した高分子電解質膜ではさらに高い耐久性を示すことがわかる。
Claims (6)
- 少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する事を特徴とする燃料電池用高分子電解質。
Z=−L−(Ar1T1(B1))−(Ar2T2(B2))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn ・・・(2)
上記一般式(2)中のB1〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
B1=−〔(Ar2T2(B2))−(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
B2=−〔(Ar3T3(B3))−・・・−(Arn−1Tn−1(Bn−1))−Arn〕f
・
・
・
Bn−1=−〔Arn〕f
上記一般式(2)中
nは各々独立に2〜5の整数、
fは各々独立に0または1、
Ar1〜Arnは各々独立に芳香族残基、
T1〜Tn−1は連結基POx(xは0〜4の整数)であり、
Lは−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−から選ばれる連結基である。
そして、−SO3H基が二個以上導入されたZを有する。) - Wが −CO−、−O−、−S−、−SO2−、−C(CF3)2−から選ばれる連結基であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用高分子電解質。
- kが1〜2の整数であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用高分子電解質。
- nが2、fが1である請求項1記載の燃料電池用高分子電解質。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
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