JP4895570B2 - 高分子電解質 - Google Patents
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Description
連なる特定構造のスルホン酸基非含有側鎖を有し、かつ主鎖にスルホン酸基を有する、高分子スルホン酸からなる高分子電解質がその目的に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.少なくとも下記一般式(1A)で表される繰り返し単位と下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を有する事を特徴とする燃料電池用高分子電解質。
Z=−(X1Ar1(B1))−(X2Ar2(B2))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn) ・・・(2)
上記一般式(2)中のB1〜Bn-1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
B1=−〔(X2Ar2(B2))−(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn)〕f
B2=−〔(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn)〕f
・
・
・
Bn-1=−〔XnArn〕f
上記一般式(2)中
nは各々独立に1〜5の整数、
fは各々独立に0〜2の整数であり、少なくとも一つのfが1または2であり、
Ar1〜Arnは各々独立に芳香族残基であって、
X1〜Xnは各々独立に−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−から選ばれる連結基である。
そして、Zは−SO3H基が導入されていない。]
3.fが0または1であり、少なくとも一つのfが1であることを特徴とする前項1又は2記載の燃料電池用高分子電解質。
7.下記一般式(6A)で表される繰り返し単位を有する高分子と、下記一般式(6B)で表される側鎖導入剤を反応させることを特徴とする、前項6記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
Z’は、下記一般式(5)で表される。
Z’=−(Ar1(B1))−(X2Ar2(B2))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn) ・・・(5)
上記一般式(5)中、Ar1〜Arn、B1〜Bn-1、nは上記一般式(1)に記載のものと同様であり、かつ、X1〜Xnは −S−、−CH2−、−CX”2−(X”は非フッ素ハロゲン原子)、−C(OR”)2−(R”はアルキル基)、−C(OR”)2−O−(R”はアルキル基)、−(C(OR”)2)p−(R”はアルキル基)から選ばれる連結基前駆体、及び上記一般式(1)に記載の連結基から選ばれる。]
9.スルホン酸基の代わりにスルホン酸前駆体を用い、その後にスルホン酸前駆体をスルホン酸に変換することにより上記一般式(1A)および(1B)で表される繰り返し単位を有する燃料電池用高分子電解質を得ることを特徴とする、前項6〜8のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
11.前項6〜9のいずれかに記載の方法により製造された高分子電解質を用いることを
特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
12.前項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
13.前項6〜9のいずれかに記載の方法により製造された高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
上記一般式(1)中、Yは(k+2)価の芳香族残基を、Y’は(t+2)価の芳香族残基を表し、同一であっても異なっていても良く、例えば、下記一般式(7)に示す3価の芳香族残基、下記一般式(8)に示す4価の芳香族残基、下記一般式(9)に示す5価の芳香族残基などが挙げられる。これら芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO2 、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SOR、−SO2 Rで置換されていてもよく、F、パーフルオロアルキル、−CN、−NO2 、−COR、−COOR、−CONRR’、−SOR、−SO2 R等の電子吸引基が置換していることが好ましい。
上記一般式(1)中、Pは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−C(CF3)2−、−CR2−(Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基)単結合から選ばれる連結基であり、好ましくは、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、−C(CF3)2−から選ばれる連結基であり、さらに好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO2−から選ばれる連結基である。
Z=−(X1Ar1(B1))−(X2Ar2(B2))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XnArn) (2)
上記一般式(2)中のB1〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
B1=−〔(X2Ar2(B2))−(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XnArn)〕f
B2=−〔(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XnArn)〕f
・
・
・
Bn−1=−〔XnArn〕f
上記一般式(2)において、fが1以上である場合、上記一般式(2)で表される側鎖は芳香族残基Ar1 〜Arn−1 において分岐構造をとるが、その際、各分岐鎖は各々異なった鎖長および分岐構造をとることもできる。すなわち、本発明の上記一般式(2)で表される側鎖は、例えば、下記一般式(10)に示す構造をとることができる。
ていることが好ましい。また、Ar1〜Arn-1 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式(2)において、fが1以上である場合、上記一般式(2)で表される側鎖は芳香族残基Ar1〜Arn−1 において分岐構造をとるが、その際、各分岐鎖は各々異なった鎖長および分岐構造をとることもできる。すなわち、本発明の上記一般式(2)で表される側鎖は、例えば、上記一般式(10)に示す構造をとることができる。
本発明の高分子電解質の重量平均分子量は、1000〜100万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは2万〜80万、特に好ましくは3万〜40万の重合体である。
また、本発明の高分子電解質は、芳香環が電子吸引基で連結された側鎖構造を有しており、高い耐酸化性を有する。
また、本発明の高分子電解質は、側鎖前駆体に予めスルホン酸またはスルホン酸前駆体を導入する必要がない。したがって、従来の高分子電解質と比較して、より簡便な方法で製造することができる。
<方法1>少なくとも側鎖を有するモノマーを重合させて製造する方法:
(i)少なくとも,繰り返し単位(1A)に対応するモノマーおよび繰り返し単位(1B)に対応するモノマーを重合することによっても得られるし、
(ii)繰り返し単位(1A)に対応するモノマーおよび繰り返し単位(1B)に対応するモノマーおよび他の繰り返し単位に対応するモノマーからまずオリゴマーを合成し、次に当該オリゴマー同士または当該オリゴマーとモノマーを反応させることにより製造することもできるし、
(iii)繰り返し単位(1A)および繰り返し単位(1B)と一つのまたは複数の他の繰り返し単位が連結した構造に対応するモノマーを予め合成し、このものの単独重合や、このものと他の繰り返し構造に対応するモノマーとの重合によって製造することもできる
。
(i)一般式(1A)においてZが置換していない構造に相当する、−Y−P−(Yは2価の芳香族残基、Pは前記のとおり)および一般式(1B)を繰り返し単位として有する高分子へ側鎖導入剤を反応しZを導入させて製造しても良いし、
(ii)予め反応性の置換基を導入した−Y(U)−P−(Yは3価の芳香族残基、Uは反応性基、Pは前記のとおり)および一般式(1B)を繰り返し単位として有する高分子に、反応基Uと反応する側鎖導入剤を反応しZを導入させて製造しても良いし、
(iii)−Y(U’)−P−[U’はスルホン酸へ転化可能な反応性基、Yおよびは前記のとおり]と側鎖導入剤を反応させた後に未反応のU’をスルホン酸へ転化することによりZを導入させて製造することもできるし、
(iv)−Y−P−(YおよびPは前記のとおり)を繰り返し単位として有する高分子へ側鎖導入剤を反応させてZを導入させた後に、選択的に主鎖のみスルホン化することにより製造することもできる。
方法2の好ましい具体例を次に示す。すなわち、下記一般式(6A)で表される繰り返し単位を有する高分子と下記一般式(6B)で表される側鎖導入剤を反応させ、必要ならば加水分解することにより、上記一般式(1)で示される高分子電解質を製造することができる。なお、この場合には、上記一般式(2)におけるX1は−SO2−である。
連結基前駆体とは、連結基に変換することのできる基をいう。連結基前駆体を連結基に変換する方法としては公知の方法を用いることができる。表1に例を示す。
上記一般式(11)で示される残基から選ばれる2価芳香族残基と、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−C(CF3)2−、単結合から選ば
れる連結基Pの組み合わせからなる高分子に−SO2X’を導入したものが通常用いられ、好ましくは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる2価芳香族残基と−CO−、−O−、−S−、−SO2−から選ばれる連結基Pの組み合わせの高分子に−SO2X’を導入したものが用いられ、より好ましくはポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンに−SO2X’を導入したものが用いられ、さらに好ましくは、下記一般式(14)および(15)で表される高分子においてZが−SO2X’のものが用いられる。
上記一般式(6B)で表される側鎖導入剤Z’−Hの例を下記一般式(16)および式(17)に示す。
前記フリーデル・クラフツ型スルホニル化反応を用いる場合の通常の反応条件を次に述べる。AlCl3、FeCl3、硫酸、酸性ゼオライト等の酸触媒存在下、ハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン、スルホラン等の溶媒を用い、反応温度は特に制限はないが、通常、−60〜200℃、好ましくは−30〜150℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
スルホン酸基の−SO2X’基への変換方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、X’=Clの場合には、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で五塩化リン、三塩化リン、塩化チオニル等と反応させることにより変換できる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは0〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜500時間、好ましくは1〜100時間である。
て以下に述べる。
(i)PEEKを濃硫酸でスルホン酸化してスルホン化PEEKを製造し、
(ii)スルホン化PEEKを塩化チオニルでクロロスルホニルPEEKへ変換し、
(iii)フリーデルクラフツ反応によりクロロスルホニルPEEKとトリスチオフェノキシベンゼンを反応させて、PEEK主鎖へ側鎖を導入し、
(iv)過酸化水素で側鎖のスルフィド基をスルホンに変換する。
次に、本発明の高分子電解質は、上記スルホン酸基含有重合体からなるが、上記スルホン酸基含有重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用しても良い。
本発明の高分子電解質の構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルや核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により確認することができる。また、組成比は元素分析によっても測定でき、スルホン酸の含量は中和滴定によって測定することができる。
[重量平均分子量]スルホン酸化前の前駆体ポリマーの数平均分子量,重量平均分子量は、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
[イオン交換容量]得られたポリマーの水洗水が中性になるまで充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、イオン交換容量(スルホン酸化当量)を求めた。
[プロトン伝導度の測定]100%相対湿度下に置かれた厚み40〜60μmのフィルム状試料を、白金電極に挟み、複素インピーダンス測定を行い、プロトン伝導度を算出した。
容器に200gのフェントン試薬を採取し、3cm×4cm、膜厚40〜60μmに切削した高分子電解膜を投入後、密栓後、50℃の恒温水槽に浸漬させ、6時間のフェントン試験を行った。フェントン試験後、フィルムを取り出し、イオン交換水にて水洗後、25℃・50%RH24時間保持して調湿を行い、重量測定を行った。フェントン試験における重量保持率は、下記の数式により算出した。
フェントン試験における重量保持率(%)=(フェントン試験後のフィルム重量/フェントン試験前のフィルム重量)×100
また、フェントン試験前後のイオン交換容量から、次式によりイオン交換容量保持率を求めた。このイオン交換容量保持率が高いほど脱SO3性が低いことを示す。
フェントン試験におけるイオン交換容量保持率(%)=(フェントン試験前のイオン交換容量/フェントン試験後のイオン交換容量)×100
(1)高分子電解質の合成
(1−1)スルホン化ポリエーテルエーテルケトン[下記式(18)]の合成
ヴィクトレックス社製ポリエーテルエーテルケトン Victrex PEEK450PF10.0gを三口フラスコにとり、テフロン(登録商標)製羽根を備えたメカニカルスターラーで撹拌しながら97%硫酸100gをゆっくり注いで溶解し、室温にて96h撹拌した。撹拌した反応溶液をイオン交換水中に注ぎ、ポリマーを析出させた。このポリマーを水洗した。洗浄したポリマーを加熱真空乾燥し、10.8g(収率88%)のスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを得た。1H−NMRより、このポリマーのスルホン化率は83%であった。
上記(1)で得られたスルホン化ポリエーテルエーテルケトン4.27g(10mmol)を温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、窒素置換した。塩化チオニル50mlを滴下ろうとにて滴下し、70℃、3hで撹拌した。撹拌後、過剰の塩化チオニルを減圧留去し、赤褐色のポリマー4.45g(収率100%)を得た。IRスペクトルより、スルホン酸基がクロロスルホニル基に変換していることを確認した。
上記(1−2)で得られたクロロスルホニルポリエーテルエーテルケトン4.45g(10mmol)を温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、窒素置換した。脱水精製したスルホラン(テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)200mlを注ぎ入れ、90℃で撹拌してポリマーを溶解した。この溶液に1,3,5−トリ
スチオフェノキシベンゼン20.1g(50mmol)を加えて溶解した後、塩化アルミニウム1.60g(12mmol)を少しずつ添加した。全ての塩化アルミニウムを添加した後、90℃、40h撹拌した。撹拌した反応混合物を1N塩酸水溶液に投入し、生成物を析出させた。この生成物を水洗し、さらにエタノールにて1回洗浄した後、2wt%アセチルアセトン/トルエン混合溶液で室温にて洗浄し、その後同様の混合溶液で80℃にて溶液の色が消えるまで洗浄を繰り返した。生成物を真空乾燥し、所望のポリマー[下記式(20)]6.02g(収率95%)を得た。
上記(1−3)で得られたポリマー[上記式(20)]4.0gを2リットルのガラス反応容器へ入れ酢酸を0.2リットル、および34%過酸化水素水溶液40gを加え、攪拌しながら徐々に昇温し、90℃で6時間反応を続けた。反応後、放冷し、ポリマーを濾別水洗後、真空乾燥して、所望の高分子電解質[下記式(21)]3.9g(92%)を得た。構造解析により、スルフィド基がスルホン基へ変換されていることを確認した。このポリマーの中和滴定により算出したイオン交換容量は0.69ミリグラム当量/gであることから、スルホン酸あたりの1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼンの導入率は53%であった。
上記の高分子電解質の固形分量が10wt%となるように、高分子電解質10gおよびNMPをフラスコに入れて、攪拌しながら80℃で加熱溶解させてポリマーワニスを得た。バーコーター(200μm用)を用い、ガラス基板上に貼り付けたPET薄膜上に塗布後、乾燥器にて80℃、0.5時間予備乾燥させ、塗膜をPET薄膜から剥がした。剥がした塗膜を真空乾燥器で100℃、3時間乾燥した。さらに、塗膜重量の1,000倍量のイオン交換水中に室温で2日間浸漬させることで、NMPを除去したフィルムを得た。
次に、フィルムを25℃・50%RH環境に24時間静置することで調湿後、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示し、高いプロトン伝導性を示した。この結果は、本発明の高分子電解質が、燃料電池用電解質材料として必要な、高い耐酸化性と高プロトン伝導性及び低脱SO3性を兼ね備えていることを示す。
(1)高分子電解質の合成
反応温度を90℃とし、攪拌時間を80hとした他は、実施例1の(1−3)および(1−4)における方法と同様の方法にて高分子電解質を合成した。イオン交換容量は0.44ミリグラム当量/g、スルホン酸基あたりの1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼン導入率は、75%であった。
(2)高分子電解質膜としての評価
上記で得た高分子電解質を用いたほかは実施例1と同様の方法を用い、調湿した高分子電解質フィルムを得、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示し、高いプロトン伝導性及び低脱SO3性を示した。
(1)高分子電解質の合成
加えた1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼンの量を4.0g(10mmol)とし、反応温度を80℃とし、攪拌時間を20hとした他は、実施例1の(1−3)および(1−4)における方法と同様の方法にて高分子電解質を合成した。イオン交換容量は1.9ミリグラム当量/g、スルホン酸基あたりの1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼン導入率は、10%であった。
(2)高分子電解質膜としての評価
上記で得た高分子電解質を用いたほかは実施例1と同様の方法を用い、調湿した高分子電解質フィルムを得、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示し、高いプロトン伝導性及び低脱SO3性を示した。
(1)高分子電解質の合成
室温で24h撹拌したことの他は、実施例1の(1−1)と同様の方法でスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを合成した。スルホン化率は37%であった。このスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを用い、実施例1の(1−2)と同様の方法でクロロスルホニルポリエーテルエーテルケトンを合成した。このポリマーを用い、加えた1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼンの量、反応温度および撹拌時間を実施例3と同様にした他は、実施例1の(1−3)および(1−4)における方法と同様の方法にて高分子電解質を合成した。イオン交換容量は0.47ミリグラム当量/g、スルホン酸基あたりの1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼン導入率は、49%であった。
(2)高分子電解質膜としての評価
上記で得た高分子電解質を用いたほかは実施例1と同様の方法を用い、調湿した高分子電解質フィルムを得、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示し、高いプロトン伝導性及び低脱SO3性を示した。
(1)高分子電解質の合成
反応温度を105℃とし、攪拌時間を100hとした他は、実施例1の(1−3)およ
び(1−4)における方法と同様の方法にて高分子電解質を合成した。イオン交換容量は0.03ミリグラム当量/g、スルホン酸基あたりの1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼン導入率は89%であった。
(2)高分子電解質膜としての評価
上記で得た高分子電解質を用いたほかは実施例1と同様の方法を用い、調湿した高分子電解質フィルムを得、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。この結果は、繰り返し構造単位が存在していても、スルホン酸基が0.6モル%と極めて少ない場合にはプロトン伝導性が低いことを示す。
実施例1で中間体として合成した、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン[式(18)]の高分子電解質膜としての評価を行った。結果を表2に示す。この結果を実施例3と比較すると、本発明の高分子電解質は、繰り返し構造(1A)を有することにより、高いプロトン伝導度や高い酸化安定性を示すことがわかる。
(1)高分子電解質の合成
(1−1)クロロスルホニルポリエーテルエーテルケトンへのジフェニルスルフィドの導入反応
1,3,5−トリスチオフェノキシベンゼンの代わりにジフェニルスルフィド4.4 g(40mmol)を用いたほかは、実施例1の(1−3)と同様の方法を用いて目的物[式(22)]を収率86%で得た。NMRおよびIRスペクトルで構造を確認した。
上記で得たポリマー[式(22)]を用いたほかは、実施例1の(1−4)と同様の方法を用いて目的物[式(23)]を収率99%で得た。NMRおよびIRスペクトルで構造を確認した。イオン交換容量は1.2ミリグラム当量/g、スルホン酸基あたりのジフェニルスルフィド導入率は、38%であった。
上記で得た高分子電解質を用いたほかは実施例1と同様の方法を用い、調湿した高分子電解質フィルムを得、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。得られた高分子電解質フィルムはフェントン試験に高い耐性を示し、高いプロトン伝導性及び低脱SO3性を示した。
特開2003−201403号公報の参考例2に記載の方法で下式(24)に示すポリマーBのスルホン酸化物を得、このものの高分子電解質膜としての評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (13)
- 少なくとも下記一般式(1A)で表される繰り返し単位と下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を有する事を特徴とする燃料電池用高分子電解質。
Z=−(X1Ar1(B1))−(X2Ar2(B2))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn) ・・・(2)
上記一般式(2)中のB1〜Bn-1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
B1=−〔(X2Ar2(B2))−(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn)〕f
B2=−〔(X3Ar3(B3))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn)〕f
・
・
・
Bn-1=−〔XnArn〕f
上記一般式(2)中
nは各々独立に1〜5の整数、
fは各々独立に0〜2の整数であり、少なくとも一つのfが1または2であり、
Ar1〜Arnは各々独立に芳香族残基であって、
X1〜Xnは各々独立に−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−から選ばれる連結基である。
そして、Zは−SO3H基が導入されていない。] - PおよびP’が −CO−、−O−、−S−、−SO2−、−C(CF3)2−から選ばれる連結基であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用高分子電解質。
- fが0または1であり、少なくとも一つのfが1であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池用高分子電解質。
- 高分子に側鎖導入剤を反応させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
- 下記一般式(6A)で表される繰り返し単位を有する高分子と、下記一般式(6B)で表される側鎖導入剤を反応させることを特徴とする、請求項6記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
Z’は、下記一般式(5)で表される。
Z’=−(Ar1(B1))−(X2Ar2(B2))−・・・−(Xn-1Arn-1(Bn-1))−(XnArn) ・・・(5)
上記一般式(5)中、Ar1〜Arn、B1〜Bn-1、nは上記一般式(1)に記載のものと同様であり、かつ、X1〜Xnは −S−、−CH2−、−CX”2−(X”は非フッ素ハ
ロゲン原子)、−C(OR”)2−(R”はアルキル基)、−C(OR”)2−O−(R”はアルキル基)、−(C(OR”)2)p−(R”はアルキル基)から選ばれる連結基前駆体、及び上記一般式(1)に記載の連結基から選ばれる。] - 前記一般式(6A)で表される繰り返し単位を有する高分子と前記一般式(6B)で表される側鎖導入剤を反応させるに際し、側鎖導入剤のX1〜Xnが、電子供与性の連結基前駆体であって、該高分子と反応後、続いて連結基前駆体を電子吸引性の連結基に変換することにより、上記一般式(1A)および(1B)で表される繰り返し単位を有する燃料電池用高分子電解質を得ることを特徴とする、請求項7記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
- スルホン酸基の代わりにスルホン酸前駆体を用い、その後にスルホン酸前駆体をスルホン酸に変換することにより上記一般式(1A)および(1B)で表される繰り返し単位を有する燃料電池用高分子電解質を得ることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造された高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造された高分子電解質を用いることを特徴とする燃料電池。
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