JP2007111691A - タングステンの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タングステン触媒の存在下に有機化合物と過酸化水素とを反応させた後、得られる反応混合物にガスを吹き込むことによりタングステン酸を析出させ、析出したタングステン酸を分離するタングステンの回収方法。本発明によれば、安価なガスを用いた簡便な操作により、良好な回収率でタングステンを回収することができる。すなわち、金属資源の有効利用が図られ、かつ廃棄物が削減されるため、工業的に有利である。
【選択図】なし
Description
シクロヘキサンを液相酸化し、水洗浄し、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を得るとともに、ヒドロキシカプロン酸含量が7.5重量%である排水を得た。
該排水には、ヒドロキシカプロン酸以外に、アジピン酸、グルタル酸、ε−カプロラクトン、アジピン酸のエステル、ヒドロキシカプロン酸のエステル等が含まれていた。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物26g、水30g及び69重量%硝酸68gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、上記のヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水248gを6時間かけて滴下した後、2時間保温攪拌した。この反応液に、80℃で攪拌しながら、窒素ガスを150ml/分で24時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。該反応液を、内温70℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:74%)
得られた黄色粉末を乾燥させた後、粉末X線回折法にて分析したところ、全量がタングステン酸(WO3・H2O)であり、酸化タングステン(WO3)は含まれていなかった。
回収タングステン酸量:19.5g、回収率:99.0%。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物26g、水30g及び69重量%硝酸68gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、実施例1で用いたと同じヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水248gを6時間かけて滴下した後、4時間保温攪拌した。反応混合物のpHは2.1であった。この反応液に、80℃で攪拌しながら、水素ガスを150ml/分で12時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。このときの反応混合物のpHは2.0であった。該反応液を、内温70℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:70%)
得られた黄色粉末を乾燥させた後、粉末X線回折法にて分析したところ、全量がタングステン酸(WO3・H2O)であり、酸化タングステン(WO3)は含まれていなかった。
回収タングステン酸量:19.3g、回収率:98.0%。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、実施例1で回収したタングステン酸9.9gと実施例2で回収したタングステン酸9.8g、水30g及び69重量%硝酸58gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、実施例1で用いたと同じヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水271gを6時間かけて滴下した後、4時間保温攪拌した。この反応液に、80℃で攪拌しながら、窒素ガスを150ml/分で8時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。該反応液を、内温70℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:75%)
得られた黄色粉末を乾燥させた後、粉末X線回折法にて分析したところ、全量がタングステン酸(WO3・H2O)であり、酸化タングステン(WO3)は含まれていなかった。
回収タングステン酸量:19.6g、回収率:99.5%。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物26g、水30g及び69重量%硝酸68gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、実施例1で用いたと同じヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水271gを6時間かけて滴下した後、4時間保温攪拌した。この反応液を、80℃で攪拌しながら、さらに24時間保温した。該反応液を、内温70℃で静置すると淡黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに淡黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、淡黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:82%)
得られた淡黄色粉末を乾燥させた後、粉末X線回折法にて分析したところ、タングステン酸(WO3・H2O)が66%、酸化タングステン(WO3)が34%、それぞれ含まれていた。
回収淡黄色粉末重量:15.0g、
回収率:タングステン酸(WO3・H2O)50.3%、
酸化タングステン(WO3)27.9%。
還流冷却管を付した500mL四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物3.0g、水350g及び98重量%硫酸5.0gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。この混合液を90℃に昇温し、テトラヒドロ無水フタル酸100gをすこしづつ仕込み、完溶させた。同温度で、60重量%過酸化水素水188.1gを3時間かけて滴下した後、5時間保温攪拌した。この反応液に、80℃で攪拌しながら、窒素ガスを100ml/分で24時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。該反応液を、内温60℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水10gとアセトン10gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸含量を分析し収率を算出した。(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸収率:85.2%)
得られた黄色粉末を乾燥させた後、粉末X線回折法にて分析したところ、全量がタングステン酸(WO3・H2O)であり、酸化タングステン(WO3)は含まれていなかった。
回収タングステン酸量:2.26g、回収率:99.6%。
実施例4において、窒素ガスのバブリングを行わないこと以外は、実施例4と同様に操作をして、タングステン酸の回収を行った。
淡黄色粉末が回収され、重量は980mgであった。
シクロヘキサンを液相酸化し、水洗浄し、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を得るとともに、ヒドロキシカプロン酸含量が7.5重量%である排水を得た。
該排水には、ヒドロキシカプロン酸以外に、アジピン酸、グルタル酸、ε−カプロラクトン、アジピン酸のエステル、ヒドロキシカプロン酸のエステル、バレロラクトン、ギ酸等が含まれていた。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物26.1g、水100g及び60重量%硝酸78.2gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、上記のヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水270.4gを6時間かけて滴下した後、2時間保温攪拌した。この反応液に、80℃で攪拌しながら、窒素ガスを150ml/分で12時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。該反応液を、内温70℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:33%)
回収タングステン酸量:18.8g、回収率:95.4%。
還流冷却管を付した2L四つ口フラスコに、タングステン酸ナトリウム・2水和物22.5g、水100g及び60重量%硝酸78.2gを仕込み、タングステン触媒懸濁液を調製した。これに、実施例5で用いたと同じヒドロキシカプロン酸を含む排水(ヒドロキシカプロン酸含量:7.5重量%)1200gを仕込み、内温80℃に調整した。同温度で、30重量%過酸化水素水270.4gを6時間かけて滴下した後、2時間保温攪拌した。この反応液に、80℃で攪拌しながら、空気を150ml/分で12時間吹き込み、黄色粉末を析出させた。該反応液を、内温70℃で静置すると該黄色粉末が沈降したため、デカンテーションにて上澄み液を分離し、さらに該黄色粉末の沈降したスラリー液をろ過処理し、黄色粉末を、ろ別し、水20gとアセトン20gで洗浄した。得られた上澄み液と、ろ液を合一して、アジピン酸含量を分析し収率を算出した。(アジピン酸収率:36%)
回収タングステン酸量:16.2g、回収率:95.2%。
Claims (7)
- タングステン触媒の存在下に有機化合物と過酸化水素とを反応させた後、得られる反応混合物にガスを吹き込むことによりタングステン酸を析出させ、析出したタングステン酸を分離するタングステンの回収方法。
- 水の存在下、水層のpHが0〜6の範囲でガスの吹き込みを実施する請求項1に記載のタングステンの回収方法。
- ガスが、窒素又は空気である請求項1に記載のタングステンの回収方法。
- ガスの吹き込み温度が、20〜130℃の範囲である請求項1に記載のタングステンの回収方法。
- ガスを吹き込む時間が、1〜30時間の範囲である請求項1に記載のタングステンの回収方法。
- タングステン触媒が、タングステン金属、ホウ化タングステン、炭化タングステン、硫化タングステン、酸化タングステン、タングステン酸及びタングステン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のタングステン類又は該タングステン類と過酸化水素とを反応させてなるタングステン酸化物である請求項1〜5のいずれかに記載のタングステンの回収方法。
- タングステン触媒の存在下に、有機化合物を過酸化水素で酸化する有機化合物の酸化方法において、得られる反応混合物にガスを吹き込み、タングステン酸を析出させ、析出したタングステン酸を分離することを特徴とする有機化合物の酸化方法。
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