JP4292357B2 - アルキル置換安息香酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキル置換安息香酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
アルキル置換安息香酸の産業分野での利用は、非常に広範囲にわたっている。例えば、p−エチル安息香酸は有用な農薬の中間体として、また、p−イソプロピル安息香酸、p−イソブチル安息香酸は重要な医薬原料として、利用されている。
【0003】
従来より、アルキル置換安息香酸を提供する方法としては、例えば、出発物質としてアルキル置換ベンズアルデヒドを用い、これを酸化剤によって酸化して対応するアルキル置換安息香酸を得る方法がある。
【0004】
その従来からの典型的な方法として、クロム酸酸化、または過マンガン酸アルカリ塩による試薬酸化が知られている。また、これらの方法以外にも、例えば、アルカリ性水溶液中で、酸化剤として過酸化水素を用いてクミンアルデヒドからクミン酸を製造する方法(特開昭63-264551号公報)、または塩基性有機溶媒中で過酸を用いて酸化する方法(特開平3-157345号公報)が知られている。さらには、ジクロロメタン−酢酸溶媒またはDMSO−ナトリウムメチラート溶媒中において、塩素酸ソーダを酸化剤として使用してアルデヒドから対応する安息香酸を得る方法が報告されている(Bull.Soc.Chim.Fr.(1990),565)。
【0005】
また、酸化の方法とは異なり、アルデヒドの誘導体であるアルドキシムを出発原料とする合成方法も報告されている(特開平8-134013号公報)。
【0006】
さらに、出発物質は異なるものの、空気酸化によりアルキル置換安息香酸を得る方法も報告されている。これは、p−シメンを低級脂肪酸中でコバルト系触媒を使用して液相空気酸化してp−クミン酸を得る方法である(特公昭46-30501号公報)。
【0007】
しかしながら、上記した従来法には、以下に示すような問題点がある。
【0008】
例えば、クロム酸酸化の方法は、選択率が高いという長所を備える一方、反応後のクロムの回収、再生に多大な設備を要し、固定費コストの高い方法である。また、過酸化水素の反応は、クリーンな酸化剤として環境への適応性は高いものの、反応そのものの誘導期が、温度、撹拌等の操作条件に影響される割合が多く、突発的な暴走の危険性が高い。しかも、わずかの金属イオンの存在でも過酸化水素自体の誘発分解によって、結果的に無効な酸素の消費が起こる上に、反応器の材質が限られる等の問題点を内含しており、工業規模での製造法としては極めて困難な方法である。また、過酸の方法は、過酸そのものが危険性の高い物質であり、しかも、使用溶媒の回収に課題の残る方法である。塩素酸ソーダを使用する方法は、塩素系溶媒を使用するために、環境への配慮に欠ける方法である。
【0009】
次に、アルドキシムを出発原料とする反応は、含窒素系化合物を使用する反応であり、しかも、濃硫酸に近い硫酸濃度領域での高温反応であり、反応後の廃液処理に問題のある方法である。
【0010】
次に、低級脂肪酸溶媒中における空気酸化による方法は、無尽蔵に存在する空気を使用し、しかも、触媒除去が比較的簡単な点で利便性を有する。しかしながら、可燃性溶媒を使用した非水系での反応であり、しかも、酸性系における反応であるために反応が激しく、安全上と選択性の点から、反応率が一定となった段階で反応を止める必要がある。そのために、未反応物回収、溶媒回収という付随的操作と副次的設備に費用のかかる方法である。
【0011】
本発明の課題は、簡便な装置を用いて、容易かつ安全に、しかも環境負荷の少ない、アルキル置換安息香酸の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルキル置換ベンズアルデヒドを、アルカリ水溶液中においてコバルト化合物触媒の存在下、酸素または酸素含有気体と反応させることにより、アルキル置換安息香酸がほぼ定量的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのアルキル置換安息香酸の製造方法を提供するものである。
項1. 式(1)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルキル置換ベンズアルデヒドを、アルカリ水溶液中においてコバルト化合物触媒の存在下、酸素または酸素含有気体と反応させることを特徴とする式(2)
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Rは前記と同様である。)で表されるアルキル置換安息香酸の製造方法。
項2. アルカリ水溶液が、アルカリ金属の重炭酸塩水溶液、炭酸塩水溶液または水酸化物水溶液である項1に記載の方法。
項3. コバルト化合物が、有機酸コバルト塩、無機酸コバルト塩、ハロゲン化コバルトまたは水酸化コバルトである項1または2に記載の方法。
項4. 式(1)および式(2)のRが、p−メチル基、p−エチル基、p−イソプロピル基またはp−イソブチル基である項1〜3のいずれかに記載の方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
上記式(1)および式(2)におけるRは、炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基が好ましく、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。Rの置換位置としては、特に限定されないが、パラ位に置換しているものが好ましい。
【0019】
本発明においては、反応溶媒として水を使用する。水の使用量は、出発原料のアルキル置換ベンズアルデヒドに対して重量比で、5〜30倍、好ましくは10〜20倍である。
【0020】
本発明においては、酸化反応の進行に伴って生成するアルキル置換安息香酸を中和して水に溶解させるに見合う量のアルカリを予め添加しておき、酸化反応をアルカリ水溶液中において行う。このアルカリとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の重炭酸塩が好ましい。
【0021】
本発明において使用するコバルト化合物触媒としては、酢酸コバルト、安息香酸コバルトなどの有機酸コバルト塩、硫酸コバルト、炭酸コバルトなどの無機酸コバルト塩、臭化コバルトなどのハロゲン化コバルト、水酸化コバルトなどが挙げられる。
【0022】
コバルト化合物触媒は、出発原料のアルキル置換ベンズアルデヒド1モルに対して、コバルト原子換算で、好ましくは3×10-4グラム原子〜6×10-3グラム原子、より好ましくは8×10-4グラム原子〜4×10-3グラム原子使用する。
【0023】
また、コバルト化合物触媒の反応溶媒中の濃度としては、触媒効果の発現および選択性(副生成物の抑制)の点から、コバルト原子換算で、10〜100mg/Lが好ましく、40〜80mg/Lがより好ましい。
【0024】
本発明においては、酸化剤として酸素を使用するが、酸素単独でもよく、他の不活性ガスで希釈された酸素含有気体、例えば空気でもよい。工業的には、空気の使用が有利である。反応系への供給は、気体のまま吹き込んでもよく、また液状で供給してもよい。
【0025】
空気を使用する場合、空気の使用量は、反応溶液中に溶解しているコバルトイオンにも影響されるが、通常、3当量〜30当量の空気を使用すると反応は完結する。アルカリとしてアルカリ金属の重炭酸塩を使用した場合には、3当量〜5当量の空気使用量で反応は完結する。
【0026】
反応圧力は、常圧でも加圧でもよい。
【0027】
反応温度は、通常0〜70℃程度であり、好ましくは4〜52℃程度である。
【0028】
反応時間は、15〜60時間程度を要するが、この時間は、使用するアルカリの種類によって大きく影響される。アルカリとしてアルカリ金属の重炭酸塩を使用した場合には、導入空気の効率が高く、反応時間が短くなり、15〜20時間程度でほとんど未反応アルデヒドが消失する。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明をさらに詳述するが、これにより本発明は限定されるものではない。
【0030】
実施例1
温度計、撹拌装置、空気導入管および還流冷却器を備えた反応器に、水1425ml、硫酸コバルト(CoSO4・7H2O)272mgおよび炭酸水素ナトリウム55gを仕込み、温度を4〜6℃に保持し、クミンアルデヒド95g(0.64mol)を加えた。この中に7リットル/時間で空気を吹き込むと、反応液は緑色を呈するようになった。19時間後、未反応のクミンアルデヒドはほとんど消失し、反応液は若干泡だった状態で淡赤色に変化していた。
【0031】
触媒を除去し、酸性亜硫酸ナトリウム10gを加えた後、酸析濾過し、ケーキを500mlの水で洗浄した後、再び濾過、乾燥して、クミン酸98.5g(LC純度99.3%、収率93.5%)を得た。
【0032】
実施例2
実施例1と同様の装置に、水1425ml、水酸化コバルト(Co(OH)2)135mgおよび炭酸水素ナトリウム55gを仕込み、温度を4〜6℃に保ち、クミンアルデヒド95g(0.64mol)を加え、7リットル/時間で空気を吹き込んだ。19時間後、実施例1と同様の処理を施し、クミン酸95.8g(LC純度98.9%、収率91.0%)を得た。
【0033】
実施例3〜6
実施例1と同様の装置を用いて、表1に示す原料、反応条件で反応を行い、反応終了後に実施例1と同様の処理を施した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例7
実施例1と同様の装置に、水1200ml、炭酸水素カリウム61gおよび水酸化コバルト114mgを仕込み、温度を5〜6℃に保ち、p−エチルベンズアルデヒド80g(0.59mol)を加え、7リットル/時間で空気を吹き込んだ。20時間後、実施例1と同様の処理を施し、p−エチル安息香酸82.3g(LC純度98.0%、収率91.8%)を得た。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な装置を用いて、容易かつ安全に、しかも環境負荷が少なく、高収率、高選択的に、アルキル置換安息香酸を製造できる。
Claims (4)
- アルカリ水溶液が、アルカリ金属の重炭酸塩水溶液、炭酸塩水溶液または水酸化物水溶液である請求項1に記載の方法。
- コバルト化合物が、有機酸コバルト塩、無機酸コバルト塩、ハロゲン化コバルトまたは水酸化コバルトである請求項1または2に記載の方法。
- 式(1)および式(2)のRが、p−メチル基、p−エチル基、p−イソプロピル基またはp−イソブチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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