JP2007090295A - 水素分離用部材、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素を混合する混合ガス中の水素ガスを選択的に透過し分離するのに用いうる水素分離用部材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】通気可能な多孔性の金属焼結体でなる筒状の受け部材と、該受け部材を被包し、かつ水素混合ガスから水素ガスを選択的に透過させる水素分離金属でなる水素透過膜と、さらに前記水素透過膜の外側に配置され、該水素透過膜を覆って保護する外装多孔体とを具える水素分離用部材であり、また更に前記水素透過膜と外装多孔体との間に微細粉末による中間層を備えた水素分離用部材を含むものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素を混合する混合ガス中の水素ガスを選択的に透過し、高純度で精製分離するのに用いうる水素分離用部材、及びその製造方法に関する。
水素は次世代のエネルギー源として、その生成のための技術が種々提案され、例えば水の電気分解による方法、あるいはメタノール、液化天然ガス、都市ガスなどの各種原料ガスから水蒸気改質によって水素ガスをうる方法などがあるが、特に後者においては、それらのガスの改質、変成によって水素ガスを混合する水素混合ガスが得られる。しかし、水素ガスを発電燃料等として利用するには、その水素混合ガスから水素ガスのみを99.99%以上の高純度で分離することが必要となる。
従来、原料ガスから水素をうる方法として、例えば図12に天然ガスの場合を示すように、350゜Cの脱硫器aで脱硫したのち、改質用の水蒸気を導入する800゜Cでの改質器b、400゜Cでの高温CO変成器c、250゜Cでの低温CO変成器dをへて、100゜C以下の温度のPSA(触媒吸着による水素精製装置)eで水素を生成して取り出す水素分離プロセスが用いられている。
しかしながらこのPSAを用いるプロセスでは、反応が平衡反応で800℃程度の高温加熱となり、また装置自体の複雑化・大型化とともに、処理工程及び機器数が多くなる他、設備費も高額で装置メンテナンスにも困難を要し、しかも得られる水素ガスもその純度は満足できないなど、水素ガスの精製効率の面からも改善が望まれ、十分な普及は見なれていない。
こうした問題を改善するものとして、近年、図13に示すように、脱硫器aの下流に水蒸気とともに導入される原料ガスの改質、変性と同時に、水素分離をともになしうるメンブレンリアクターfを用いることが試みられている。このシステムは非平衡反応であることから、加熱温度も例えば550゜C程度の低い温度で動作し、またメンブレンリアクターは原料ガス(例えばメタン)と水蒸気との取入れ口と、オフガスの吐出口を有するタンクに水素ガス取出し口を有する水素分離エレメントを設けたもので、さらに改質,変成のための触媒jを装填することも一部で検討されている。
従って、導入される原料ガスと水蒸気から水素を2つの工程で精製分離でき、空間に残留するオフガスは取り出されて燃料ガス、又はその温度が活用され再利用される。また、このメンブレンリアクターfを用いる水素分離装置は、低温処理が可能なことから、前記従来のプロセスの装置に比して大幅に小型化、簡易化でき、家庭用、スタンド用などのオンサイトの装置として利用できる他、燃料電池用の高純度水素発生装置としての利用も期待されている。
またこの水素分離エレメントiは、水素ガスを選択的に透過する金属として知られているPd又はその合金からなる薄膜状の水素透過膜を原料ガス側に向けて多孔質の受け部材で支持した水素分離用部材を用い、水素透過膜に作用する圧力を受け部材で担持しながら多孔質がなす流体流路から水素ガスを分離して取り出す。
このような水素分離用部材については、多孔質の受け部材上へのめっきや真空蒸着、イオンプレーティング、CVC法などによる方法が示されている(例えば特許文献1、特許文献2)。さらにこれらの提案では、多孔質の受け部材の表面上に薄膜を形成するにあたり、表面上の微小な空孔や凹凸間を有する表面に気密に水素透過膜をブリッジして形成する方法として、多孔性の受け部材の外表面を、予めシリカゲルやアルミナゲルなどの空孔充填剤を練り込んで平滑表面にした後に水素透過膜を形成することを提案している。なお前記空孔充填材はその後の加熱処理によって最終的には除去される。
又水素透過膜を予め箔状としたものを用いる提案もなされている(例えば特許文献3,特許文献4)。
特許2955062号公報 特開2002−336664号公報 特許33277640号公報 特許3174668号公報
しかしながら、特許文献1,2で用いる前記空孔充填剤は一般的に高粘性のゲル状体であり、充填剤の表層部空孔内への均一充填、余剰充填剤の完全かつ均一な除去には高度の技術を必要とし、多大の手間を要することから生産性にも劣る。又空孔充填剤の不均一な塗布は、水素透過膜の厚さを変動させてピンホールを発生させ製品歩留まりを低下させる他、使用時での水素の吸蔵と拡散放出、あるいは加熱と冷却との繰返しによる熱膨張と熱収縮による亀裂発生の原因になるなどの問題がある。また、こうした問題を防ぐ為に水素透過膜自体を厚くすることもできるが、その場合には水素ガスの透過効率が低下するばかりでなく、高価なPd材料の使用量が増すなどの問題がある。
また特許文献3による提案は、水素透過性金属箔を、Ag,Au,Pt,Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれかの金属層を介して金属多孔体表面に接合させるもので、その方法として、金属多孔体の表面にこれらの金属を真空蒸着や乾式コーティング法あるいは電気メッキなどの湿式コーティング法によりコーティングしておき、金属箔と合わせて加熱、加圧するものであり、又特許文献4の提案は金属不織布を受け部材として用いている。
しかしながら、これらの提案の水素分離用部材は、微細厚さの水素透過膜が原料ガス側、即ち、例えば筒体の外周面に形成されるため、不用意な取扱によって損傷を受けやすく、水素分離機能を損なうことから、その取扱いには多大の注意が必要である。
またこうした装置では、前記説明した水素の吸蔵と放出、乃至その使用に伴う装置のオン・オフによる該リアクターfの所定温度(例えば500゜C程度)への昇温や停止による温度の昇降によって、リアクターfを構成する水素透過膜には、例えば支持体に含有するFe等の元素が拡散して透過膜に侵入してその特性を低下させたり、図11に拡大して示すように、水素透過膜7自体が膨張や収縮によって収縮し応力歪によって亀裂や剥離孔q(ピンホール)が発生するなど、その解決が求められている。
そこで本発明は、多孔性の金属焼結体からなり通気可能な受け部材と、受け部材の外表面に配される箔状の水素透過膜と、さらに水素透過膜を覆って保護する外装多孔体とを具えるサンドイッチ構造にすることを基本として、前記課題を解決しうる水素分離用部材、及びその製造方法の提供を課題としている。
本件請求項1に係る発明は、通気可能な多孔性の金属焼結体からなる筒状の受け部材と、該受け部材を被包し、かつ水素混合ガスから水素ガスを選択的に透過させる水素分離金属からなる水素透過膜と、前記水素透過膜の外側に配置され、該水素透過膜を覆って保護する外装多孔体とを具えることを特徴とする水素分離用部材である。
又請求項2に係る発明は、通気可能な多孔性の金属焼結体からなる筒状の受け部材と、該受け部材を被包し、かつ水素混合ガスから水素ガスを選択的に透過させる水素分離金属からる水素透過膜と、前記水素透過膜の外側に配置され、該水素透過膜を保護する外装多孔体とを具えるとともに、前記水素透過膜と前記外装多孔体との間に充填され微細粉末からなる中間層を具えたことを特徴とする水素分離用部材である。
さらに請求項3に係る発明は、前記中間層の微細粉末が、Co金属又は40〜60質量%のCoを含有するCo合金のいずれかの金属からなること、請求項4に係る発明は、前記水素透過膜が、前記水素分離金属を引き延ばし、かつ厚さが2〜30μmである箔状体からなること、請求項5に係る発明は、前記水素透過金属が、Pd金属、又はPd−Cu若しくはPd−AgによるPd合金から選択されるいずれかであること、請求項6に係る発明は、前記受け部材が、多孔質の焼結体からなり通気可能な筒状の支持体に、該支持体の外面を覆い該支持体よりも微細な空孔を有する微細層を配して焼結一体化した複合構造の筒状体で形成されたものであること、請求項7に係る発明は、前記微細層が、繊維径dが0.1〜20μm、繊維長さLと繊維径dとの平均アスペトク比L/dが1.5〜20である金属短繊維、又は粒子径0.5〜30.0μmの金属アトマイズド粉からなる球形状又は非球形状の微細粒子のいずれか焼結体で形成されたものであることをそれぞれ特徴としている。
請求項8に係る発明は、多孔性の金属焼結体からなり通気可能な筒状の受け部材を、水素分離金属からなる厚さ2〜30μmの水素透過金属箔を用いた水素透過膜で包んで被包体を形成するとともに、
この被包体を、筒状の成形型内に、その内壁との間に隙間を保って配置し、かつこの隙間内に焼成素材を充填して加圧成形することにより、前記水素透過膜を保護する外装多孔体を前記被包体の外面に形成することを特徴とする水素分離用部材の製造方法である。
又請求項9に係る発明は、前記水素透過膜が、前記成形型内への組み込みに先立ち、該水素透過膜の端部の継ぎ部を金属ロウを用いて接合することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、多孔性の金属焼結体からなり通気可能な筒状の受け部材を、水素分離金属からなる厚さ2〜30μmの水素透過金属箔を用いた水素透過膜で包んで被包体を形成するとともに、この被包体を、多孔性の筒状の金属焼結体からなる外装多孔体内に、その内壁との間に隙間を保って配置し、かつこの隙間内に微細粉末を充填して加圧成形することにより、水素透過膜と外装多孔体との間に中間層を形成することを特徴とする。
請求項1に係る発明は、薄い水素透過膜の表面は外装多孔体によって保護され、直接打傷等を受けることが防止できることから、その取扱いを容易とし、かつ水素透過膜の厚さを減じることができる。
しかも水素透過膜は、前記受け部材と、該透過膜の外面に設けた外装多孔体との間で保持される為、使用温度の昇降や水素の吸蔵及び拡散放出に伴う透過膜の膨張や収縮による動きを抑制し、また、前記水素透過膜は受け部材や他の部材に結合する必要がないことから、前記温度変化による疲労破壊や剥離孔、ピンホールなどの欠陥が防止でき、また請求項2に係わる発明のように、透過膜と外装多孔体との間に、微細粉末でなる中間層を配置することで、前記効果をさらに促進し特に中間層を非拡散物質により形成することによって、特性低下のない長寿命の性能を得ることができる。
さらに請求項8及び請求項10に係る本発明の製造方法では、前記した顕著な作用効果を奏しうる本発明の水素分離用部材を効率よく製造できる。
以下、本発明の好ましい形態を図面を用いて説明する。図1及び図2は本発明の水素分離用部材1の実施例を示し、多孔性の金属焼結体からなる通気可能な筒状の受け部材5と、その表面を覆う水素透過膜7と、この水素透過膜7の外側に配され、該水素透過膜7を覆って保護する外装多孔体9を具えるとともに、水素分離用部材1を有底のキャップ型に成形している場合を例示する。なお、図3〜図5は前記水素透過膜7と外装多孔体9との間、即ち水素透過膜7の一次側(水素混合ガスが流入する側)にさらに微細粉末8Aを充填してなる中間層8を設けた水素分離用部材1の他の実施例を示し、この形態の場合には端部を封止金具10Bである端金具10を用いた有底筒状体としている。
なお以下、中間層8を有する複合構造にした水素分離用部材1を“間接型”、中間層8を備えることなく外装多孔体9で水素透過膜7を覆うものを“直接型”ということがある。
図1.2において、前記受け部材5は、多孔質の金属焼結体からなり、本形態では、通気可能な筒状の支持体2と、該支持体2の外面を覆い該支持体2よりも微細な空孔を有する微細層3とを焼結一体化してなる積層構造の筒状体として構成される。又受け部材5はその底部4が例えばキャップ型に成形され封止されるとともに、さらにその開口側13の端部には、これを機械装置に取付するための継手金具10Aである端金具10を設けることにより水素分離エレメント11を構成している。
前記受け部材5は、例えばその全体を単一の層で形成するものの他、本形態のように2以上の層を積層した積層構造体、さらにその厚さ方向に空孔分布を徐々に変化させた構造体など、種々の構造体とすることができる。
なお、受け部材5は、水素分離用部材1、水素分離エレメント11としての形状維持と、水素透過膜7の支持でき、しかも処理された水素ガスを円滑に流通させる程度の空孔精度を具える。
そのため前記支持体2には例えば♯140/200〜200/250程度の比較的粗大な金属粉末、繊維径5〜50μm程度の金属繊維、金属短繊維金属からなる支持素材2Aを所定厚さの筒状体に成形し焼結した種々焼結体を用いている。また支持素材2Aとして、例えばステンレス鋼、インコネルやハステロイ(登録商標)などのニッケル及びニッケル合金、チタン及びチタン合金など耐食性と耐熱性に優れた金属材料によるものが任意に選択され、又は組み合わせて用い得る。
例えばステンレス鋼については、SUS304L,SUS316L、SUS317L等の低Cのオーステナイト系材料が好適するが、本形態では水素ガスを対象とすることから、望ましくは水素脆化を考慮して、Ni当量が例えば26%以上(好ましくは27.0〜30.0%)のオーステナイト系ステンレス鋼が用いることも好ましく、またその形状についても、例えばアトマイズド粉末による球形状や異形状、短繊維状にしたものなど種々利用できる。
このNi当量はオーステナイトの安定性を示すものとして知られており、例えば次式から求められるNi当量を26.0以上とする。
Ni当量=Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
一方、前記微細層3は、前記支持体2の場合と同様の金属材料による微細粒子3Aが用いられる。この微細粒子3Aの平均空孔径は好ましくは、該支持体2の空孔径の1/5以下の微細空孔(例えば0.1〜20μm)を有するものを用いる。このような微細空孔を持つ微細層3を一体に結合することにより、水素透過膜7の支持を良好にし、かつ水素ガスの流通特性を高めコストの低減を図ることが可能となる。なお、空孔径は、例えばJIS Z8901による試験ダクトを用いる方法、通気抵抗による方法、JIS B8356に基づくバブルポイント圧による方法,さらに水銀圧入法などの方法を採用できるが、バブルポイント圧による方法が推奨される。
この微細層3に用いる微細粒子3Aとして、図2は、柱状の金属短繊維3A1を用いている。又図5は、金属アトマイズ粉3A2を用いる場合を例示している。
例えば前者の金属短繊維3A1では、繊維径dが0.1〜20.0μmで、繊維長さLが前記繊維径dの1.5〜20倍程度を有する平均アスペトク比L/dを有するものを用いうる。微薄な厚さの水素透過膜7に破損等の影響を及ぼさず良好に支持する必要から、前記繊維径とアスペクト比を持つものが選択される。繊維径が20.0μmを超えるものでは空孔が粗大になって透過膜の支持が良好に行われ難く、0.1μm以下のものでは微細に過ぎ、水素ガスの通過を妨げる場合が生じる。またアスペクト比についてもその平均値が20を越えるものでは、多孔体とした場合に表面凹凸を大きくして孔径分布の幅を広げ、しかもその分布も平面的になりやすく、逆に1.5を下回るものでは、その形状は一般的な粉末に近いことからガスの流路が十分に得られ難い。ゆえに、より好ましくは繊維径2〜10μm、アスペクト比2〜8とする。なお、微細粒子3Aとして金属アトマイズ粉3A2を用いるときには、粒径30以下程度(好ましくは粒子径10μm以下、さらに好ましくは0.5〜4μm程度)の球形、非球形粒子からる微細粒子3Aが用いられる。
特に前記金属短繊維3Aを用いた微細層3では、例えば図2に示すように各金属短繊維3Aが方向自由に分布して立体空孔が形成されることから、微細空孔でありながらも高空孔率を有する多孔質構造体とすることができる。更に特公昭63−63645号公報による、熱処理によって結晶粒の大きさを調整しながら粒界腐食する方法による短繊維の場合には、その切断端部にはダレのない直棒状の柱状片であり、成形時での各短繊維同士の絡み合いを防ぎ均一分布できる利点がある。この場合、前記オーステナイト系ステンレス鋼を用いるものでは、各短繊維は単結晶粒で形成でき、耐食性、機械的特性に優れ好ましく採用できる。このような金属短繊維3Aによる微細層3は、その表面上で水素分離膜7を良好に支持しかつ水素ガスの円滑な流通が可能となる。
なお、前記繊維径dについては、その短繊維が断面円形の柱状体である場合はその直径を意味し、周面に微小凹凸を持つ不定形断面を有する非円形の短繊維では、その断面における最大寸法と最小寸法との平均値として定義する。
またこの場合、繊維径、アスペクト比のばらつきの変動係数(CV)を30%以下程度にすることも好ましい。変動係数(CV)は、次式による標準偏差(S)を試料数で除した係数でもって求めることができる。
標準偏差(S)=√{(A1−A)2 +(A2−A)2 + … +(An−A)2 }/n
変動係数(CV)=S/n×100(%)
ここで、A1,A2,Anは各短繊維毎の繊維径、またはアスペクト比の測定値であり、Aはその平均値、またnは測定試料数であって、任意に例えば20点の繊維素を取出し算出される。
微細層3は、多孔質の焼結体からなる前記筒状の支持体2の外面を覆い、かつ支持体2と焼結一体化することで複層筒状体の受け部材5を形成している。このような複層筒状体の製造には、例えば本出願人が提案した国際公開第WO93/06912号パンフレットによる懸濁吸引法が採用できる。この方法は、支持体2を、金属短繊維3A1を混和した懸濁液中で真空引きすることよりその外面に金属短繊維3A1を比較的薄くしかも均一厚さで堆積させることができ、さらに焼結一体化することで受け部材5を形成する。
他方、受け部材5が100mmを越えるような大型品では、例えば図6に示すような粉末成形法による方法も可能である。この方法は、外筒金型m内に、筒状に焼結した前記支持体2を中子として挿入し、さらに両者の隙間内に所定の微細粒子3Aを充填し、かつ縮径用ダイスnを用いて加圧して縮径して保形可能に充てん密度を高めて全体を焼結し、最終的に外筒金型mを溶解除去することにより複層筒状体とする。
この成形法では、各金属の微細粒子3Aが充填に際して絡まりが生じやすい短繊維3A1よりも図5に示すように球形状のアトマイズド粉末3A2を好適に用いうる。
これら成形法の内、前者の懸濁吸引法では、支持体2の部分的な空孔特性のバラツキを緩和して全体として均一空孔が得られ、また形状的にも単なる筒状品以外にも図1のようなカップ形状や不規則形状品を容易に成形しうる他、作業性や設備面からも好ましい。これに対し、後者の粉末成形法では、受け部材5が大型乃至長尺品の場合に採用できる。
なお、受け部材5の寸法や形状、各層の厚さ及び空孔特性等は、水素分離用として使用する装置の仕様に応じて任意に設定でき、例えば外径5〜100mm、長さ20〜1000mm程度の円筒状とすることができる。また前記該微細層3の厚さについても、例えば1mm以下(例えば0.05〜0.5mm)の比較的薄くして通気性能の低下を図ることが好ましい。
本発明では、多孔焼結体からなる前記受け部材5の外表面を強圧して、水素透過膜7を支持する表面側の金属の微細粒子を扁平化した仕上げ層5Aを形成することも好ましく、これによって、前記水素透過膜7を良好に支持できる。この仕上げ層5Aでは、少なくとも表面上に位置する前記金属の微細粒子3Aには、図7に示すように、この強圧加工によって、その端部の一面が平坦部分3Fが形成される。
この強圧加工は、例えば図8に示す鍛圧装置21で実施できる。鍛圧装置21は、本例では筒状の保持器24に設けた受け穴に、複数個の鍛圧ローラ22を所定の送り角度で傾けて配置し、鍛圧ローラ22の外周を、ヘッド25の内周面でその中心方向に向けて強圧するように構成している。尚、前記鍛圧ローラ22は、一端から他端に向かって径を減じたテーパ状にすることで、受け部材5の送り込みを可能にしており、受け部材5は、ヘッド25の回転によって所定径に鍛圧され、均一に押圧縮径されて前記仕上げ層5Aされて装置出側から排出される。この方法は、鍛圧加工(スパロール加工)とも呼ばれている。
またこのような加工方法に代えて、従来から実施されているスエージング加工、その他ローラーダイスによる圧延加工、あるいは所定ダイス内を押出す方法等の他、プレス加工、圧縮加工などの種々方法が採用できるが、特に前記鍛圧加工、スエージング加工は、加工の衝撃が少なく割れなどの問題が生じにくく、品質的、かつ作業的に好適に採用できる。
このような強圧加工によって、受け部材5の外表面には、図2,図5に示すように緻密な平滑表面の前記仕上げ層5Aが形成される。
なお、 前記平坦部分3Fの単位面積当たりの面積率を20〜85%としている。この面積率とは、前記受け部材5の任意外表面を拡大して検査した場合の、例えば所定面積(A0)当たりにおける前記平坦部分の合計面積(A1)の割合を意味し、A1/A0×100%で示される。
またその測定は、400〜1000倍に拡大した表面状態を例えば金属顕微鏡やレーザー顕微鏡等の画像解析法などにより検査する。
平坦部分3Fとは、微細粒子の最大径部分まで平坦化されていないときには、顕微鏡による測定において、平坦部分3Fが該微細粒子の外周面と交わる縁部と見なしうる境界の内側領域をいい、微細粒子の最大径部分まで前記内側領域と同じと認識しうるときには、その全体を平坦部分3Fとする。
なお該面積率を前記範囲にすることにより、水素透過膜7との接触面積を有しつつ、十分なガス通路を備えることができるが、例えば前記メッキ法で水素透過膜を形成する場合、この面積率が20%未満のものでは水素透過膜7の支持間隔が拡大して確実な支持ができずブリッジ現象を発生させ、膜厚さのバラツキを大きくし、一方、85%を越える程大きく偏平化したものでは水素ガスの流路が十分に確保されず、水素精製効率が低下する。より好ましくは35〜50%とする。
前記加工率として例えば2〜25%で設定される。通常は冷間加工で行われるが、大きな加工状態を得る場合は例えば100〜400℃程度に加熱しながら行う温間加工も有効である。ここで加工率とは、該受け部材を中実なものと仮定し、その加工前後の寸法(本形態では外径)で各々描かれる各中実円同士の横断面面積の減少率を意味し、次式で求めることができる。
加工率%={(加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積}×100%
また前記受け部材5については、前記金属材料の他、少なくともその表面上に配置される前記水素透過膜7と接する面、例えば前記微細層3を、500℃程度の高温加熱状態でも該透過膜7と拡散し難い難拡散金属の多孔体で形成することも好ましい。この構成によって、受け部材5中に含まれる例えばFeなどの金属元素が水素透過膜7に拡散することが防止でき、透過膜7の透過性能の低下を防いで耐久性に優れた水素分離用部材となる。したがって、例えば前記受け部材5の全体又は前記微細層3をこの難拡散金属粉末の多孔体で形成することもできる。
この難拡散金属材料には、例えばCo金属又は質量で例えばCr:20〜35%とW:3〜20%、及び前記Coを含むCrWCo合金や更にC,Niを添加したものなどあり、好ましくは、C≦4%、Mn≦3%、Si≦2%、Cr:20〜35%、Ni≦5%、Fe≦5%、W:3〜20%を含有し、残部Co(40〜60%)と不可避不純物で構成した40〜60質量%含有するCo基合金が用いられ、これを所定形状の粉末や短繊維等の粒子にして用いられる。
さらにこのような難拡散金属の焼結体では、例えばその内部に微細な炭化物(複炭化物)や窒化物などの化合物粒子を分布させることで、拡散を阻止することも有効である。該化合物粒子としては、例えば粒子径0.01〜10μm程度の微細かつ硬質なもので、例えばこれを5〜50%程度の分布率で分布させ、元素拡散を防ぐバリアとして機能させることもでき、前記Co合金は加熱条件によってこのような化合物粒子(複炭化物)を容易に析出することができる。
次に、前記受け部材5上に配置される水素透過膜7は、本形態では、Pd金属、又はPd−Cu若しくはPd−AgによるPd合金のいずれかの水素分離金属から選択された薄膜材料であって、その厚さは例えば2〜30μm程度、好ましくは5〜20μmを有する。
これら前記Pd及びPd合金が水素を選択的に透過する機能を有することは従来から知られており、例えば、水素分子がPd膜に接触すると水素原子に解離してイオン化し、プロトンとエレクトロンに分かれてPd膜の表面から裏面に移動して、その到達した瞬間に再結合して水素分子になるものと考えられている。
こうした原理から前記Pdが用いられるが、更に水素の透過性能や耐久性、あるいは加工性などを改善する為に、種々元素を添加したPd合金が用いられる。その添加元素としては、例えばPt,Rh,Ru,In,Fe,Ni,CoなどのVIII族元素や、Cu,Ag、Auなどの1b族元素、更にはMo等のVIa族元素から選択される1種以上で、添加量は求める特性によって適宜認定される。例えばAgを20〜45%含有するPd−Ag合金では水素透過性能を高め、同様にCuを35〜45%含有するPd−Cu合金では水素透過性とともに耐久性を高めることができる。
またこの水素透過膜7について、図1のキャップ状の場合には底部4が球頭状であることから、めっき、蒸着などの表面処理方法により受け部材5を水素透過膜7で覆った被包体12を形成する。Pd金属などのめっき膜を形成して加熱処理で合金化することももできる。この状態、即ち、めっき法による水素透過膜の表面状態を図9(A)に示す。又図9(B)は、その断面を示す顕微鏡断面図であり、前記平滑表面にした微細層上に形成していることから、均一厚さの透過膜であることが分かる。
又図3,図5のように単なる筒状の受け部材5を用いるときには、前記のように、所定組成のPd材料の板材,塊体などを圧延した箔状体を用いることもできる。
特に後者の機械的方法で延伸した膜材料は、前者めっき法等による膜材料に比して組織的に安定し、またピンホールなどの欠陥発生もないことから好適する。
この延伸した透過膜7を用いる場合は、例えば図3、5に示すように、受け部材5の外表面5aを被包して巻き付け、その重なり部12同士の縁部を銀ロウ等でロウ付し、該水素透過箔6が破通しない微力なビーム溶接などによってリークなく被包し被包体12を形成する。また、この方法では、該水素透過膜7は受け部材5に結合一体化されず、単に接触するものであることから、使用中での温度の昇降や水素の吸蔵/拡散放出に伴う膨張及び収縮が生じてもその動きに追従してクラックなどの発生を減じるとともに、水素分離用部材を解体廃棄する場合にも、高価なPd金属だけを取り出してリサイクルできるなどのメリットもある。
このように前記水素透過膜7で覆われた被包体12は、図1〜5に示すように、その外表面に更に前記水素透過膜7を保護する為の外装多孔体9が設けられる。図1,2は、前記直接型を示し、図3〜5では該外装多孔体9と前記水素透過膜7との間に更に微細粉末8Aを用いた中間層8を具える前記間接型を示す。
外装多孔体9は、前記受け部材5(支持体2)と同様に通気可能な多孔質焼結体が用いられ、水素透過膜7を保持しながらその表面保護を図る。この外装多孔体9は、例えば、前記受け部材5と同種又は異種の材料を用いた各種形態の微細な粒子、短繊維粉末、金属繊維等など焼成素材9A(必ず焼結する必要はなく、粉末、粒子ともいえないため、この名前としています)を、例えば焼結した多孔体が用いられる。
またその材料についても、前記受け部材5について説明したステンレス鋼の他、ニッケル、ニッケル合金、チタン及びチタン合金を用い、更にセラミックなどの非金属材料による多孔体も用い得るが、特に前記金属焼結体からなるものでは、強度と通気特性にすぐれ、また加工性もあることから本発明には好適に採用できる。また前記Co合金の粉末を用いることで、受け部材5と同様に水素透過膜7への金属拡散による特性低下を防止することも好ましい。
この外装多孔体9を形成するには、例えば既に説明した前記受け部材5と同様な、図6による粉末成形法が利用できる。この場合、受け部材5の表面に水素透過膜7を被覆した被包体12と、その外側に配置する外側部材13との間の形成した隙間を形成する。
前記外側部材13を、最終的に除去される金型mとするときには、前記間隙に外装多孔体9を形成する焼成素材9Aを充填し、かつ必要により前記金型mを必要により前記強圧処理して縮径させ、かつ例えば焼結することにより、焼成素材9Aからなる外装多孔体9を成形できる(前記直接法)。
他方、前記外側部材13として、予め焼結などにより成形した外装多孔体7を用いて、その被包体12との間の間隙に、中間層8形成用の微細粉末8Aを用いるときには、その例えば焼結によって、前記「間接法」による中間層8を介して外装多孔体9を具えた水素分離用部材1を形成できる。なお、中間層8形成用の微細粉末8Aの充填後に、スエージングなどの強圧加工を行い、中間層8の密度を高めることができる。
また該外装多孔体9は、例えばその厚さが0.3mm以上のものが設定されるが、必要以上に厚さを増すことはコストアップ、重量化の原因となる為、好ましくは0.5〜5mm程度の厚さである。またその空孔特性についても特に限定するものではないが、前記受け部材5の前記支持体2の場合と同程度の空孔径(例えば2〜50μm)を持つものが採用でき、例えば微細空孔を持つものでは、水素混合ガス中に含まれる微細異物をあらかじめ除去するプレフィルター用としても利用することができる。その場合は例えば空孔量20μm以下程度のものが用いられる。
更に外装多孔体9は、他の形成方法として、例えば焼成素材(微細小片)9Aを予めゲル状に懸濁した液剤中に、前記被包体12を浸漬して塗布膜を形成し、乾燥、焼結で形成することもできる。そのとき、塗着処理を施しておくこともできる。又焼成素材9Aが金属繊維(長尺体)を用いるものでは、焼成素材9A自体を被包体12に、繊維不織布状のものとして巻装、ウェブ状態で包み、乃至巻付けて形成するのもよい。
このように、外装多孔体9は、例えば支持体2,微細層3,外装多孔体9を各々異なる材質、形態のもので形成したり、その全体又は水素透過膜7と接する一部だけを前記Co合金で形成して金属拡散を防止することもできるが、好ましくは前記水素透過膜7とは非結合状態で形成配置される。
前記のように、図3〜5の水素分離用部材1の前記中間層8には、その微細粉末8Aとして、例えば前記Co合金などの難拡散金属による粉末の他、融点が2000℃以上の高融点金属材料(例えばモリブデン、クロム、ニオプ、タンタル、バナジュウムなど)による粉末、その他セラミック等の無機製焼成素材を用い得るが、更に例えば原料ガスを改質する為の改質用触媒粉末を用いることもできる。
この中間層8は前記したような成形方法で焼結一体化したものを用いることができるが、焼結一体化することなく、微細粉末を充填し、焼結などによる結合、固定などの一体化することなく使用してもよい。
あるいはその場合、前記難拡散金属粉末、高融点金属粉末、無機製焼成素材はこれと接触する前記透過膜7との拡散を防止し、かつ良好に保護するとともに、供給ガスの流通特性を高める観点から、例えば0.5〜500μm程度の粒子径のものが採用され、またその厚さは例えば1mm以下とする。
一方、微細粉末8Aが触媒粉末からなるか、それを一部に含む場合においては、原料ガスの改質反応によって原料ガス中の水素ガス成分のみを分離し易いように該原料ガスを改質する。例えば原料ガスが炭化水素ではCH4 +2H2 O→4H2 +CO2 に、またメタノールでは、CH3 OH+H2 O→4H2 +CO2 に反応させ、このH2ガスを次段の透過膜7で分離するもので、例えばFe,Co,Ni,Ru,Rh,Ptなどの第VIII族金属を含有するもの、NiOなどが用いられる。その充填量や粉末形態などは、原料ガスや触媒粉末の種類、供給処理条件などを勘案して調整され。またその大きさについても例えば数μmから数mm程度を有する。特に中間層が前記触媒粉末である場合は水素透過膜との接触による性能への影響を確実に排除する為に、前記モリブデンなどの高融点金属でなるメッシュをその間に配置することが好ましい。
このように構成されてなる水素分離用部材1は、図1に示すように、その一方の端部に例えば機械装置への取付や接続の為のねじ部を設けた継手金具10Aである端金具10をシール効果を有して固着する。また図3の場合には、他方の端部に、端金具10である封止用の封止金具10Bを固定している。これにより水素分離用部材エレメント11を形成している。なおこの水素分離用部材エレメント11は、図示しない容器内に必要により連続して多数個が収容して外部機器に配管接続されることにより水素ガスが取出し可能な装置を構成する。なお、本形態では、原料供給ガスはエレメント11の外方から外装多孔体9をへて水素透過膜7に至り、前記受け部材5内部流路を流れて次工程に供給される。
また、これら端金具10の前記水素分離用部材1への取り付けについては、例えばその接合界面に銀ロウなどのロウ材17を介在して加熱結合するロウ付け法、特許第3215501号が開示するような、端金具10のフランジ10f面に前記水素分離用部材1を密に接合し、その反対面を溶融する時の加熱で拡散結合する方法、その他通常の電子ビーム溶接による方法など種々可能である。
さらに、他端を球頭状のエンドキャップ(図1)として封止し、又は予め他端を端金具10(図3)で閉じて、その表面上に水素分離膜7、外装多孔体9を設けもの、例えば特開2000−185209号公報に記載するように、その外周面をプリーツや波状のひだなどを設けることで表面積を増し、水素透過効率を向上することができる他、各端金具10の一方をネジ穴付きの端金具として、複数本の水素分離用部材1を連結した大容量の装置を形成することもできる。
また、図10は前記端金具10についての他の形態を示すものであって、筒状の水素分離用部材1(例えば間接型)の両端をそれぞれロウ付けにより気密に閉じかつ予め結合されるリング状の予備金具10aと、端部の使用状態によって、継手用端金具10A形成用の追加継手金具10b、又は封止用金具10b形成用の追加封止金具10cとからなる端金具10を用いることもできる。なお予備金具10aを付設したものを標準品とすることでシール性が求められるロウ付け工程を標準化し、生産性を高めて在庫管理を簡素化することができる。
表1の組成を有するCo基合金のアトマイズド粉末(平均粒子径60μm)と、平均繊維径8μm、平均アスペクト比10の短繊維とを各々準備し、該Co基合金のアトマイズト粉末によって平均空孔径25μmを有する筒状の焼結支持体(外径15mm,厚さ2mm,長さ80mm)を作成した。
この支持体を、他方のCo合金による短繊維を懸濁した懸濁液中に浸漬し、その内面側から減圧吸引することで、厚さ0.3mmの前記短繊維による微細層を形成した。そして、これを所定の焼結炉内にセットして焼結し、得られた焼結体からなる外径15mm、長さ80mmの受け部材をえた。前記微細層の空孔径は前記支持体の空孔径より微細な4μmを有するものであった。
一方、水素透過箔6には、Ag25質量%を含有するPd−Ag合金帯材を冷間圧延し、最終厚さ20μmの箔膜材とした。この薄膜材は、前記冷間加工によって加工硬化しているが、顕微鏡組織を調査した結果でもピンホールなどの欠陥はなく、靭性にも優れるものであった。
そこで、この薄膜材を前記受け部材の外周に沿って1層巻きし、かつその重なり縁辺部間に銀ろう材を介在させ、ロウ付け処理によって前記Pd−Agを用いた薄膜材である水素透過膜で覆った被包体とした。そして、前記支持体で用いたのと同様のCo基合金のアトマイズド粉末(平均粒子径20μm)からなる焼結成形パイプ(肉径16mm、肉厚2mm)を外装してスエージング加工機にセットし、加工率5%の絞り加工を行い、前記水素透過膜の両面に前記Co合金でなる外装多孔体を持つ積層構造の水素分離部材を得た。
こうして得られた筒状の水素分離用部材について、次の各試験を行った。
(試験1)熱サイクル試験
試験用の水素分離用部材エレメントを加熱温度600℃に設定した炉内に入れて加熱した後、これを取り出して十分に冷却し、再度前記温度に加熱する、加熱冷却の繰返し試験を100サイクルにわたって行ない、温度の昇降に伴う水素透過膜の亀裂発生を調べた。試験は該エレメント内に一定圧力のArガスを注入し、その圧力減少量の変化で確認したものであり、特に圧力減少は見られず、したがって、透過膜自体にはクラック等の欠陥発生はなく、長期にわたって使用可能なものであることが確認された。
(試験2)拡散発生の確認試験
また、この試験後の水素分離用部材エレメントを分解して内部の水素透過膜の小片を取り出し、その表面側から深さ方向における各金属元素のオージェ分析を行った。測定対象の金属元素は、該透過膜と接触していた受け部材及び外装多孔体に含まれる、Co,Fe,Cr,Siの主要元素と、透過膜を構成しているPd及びAg元素について行ったが、特に拡散は認められなかった。
(試験3)水素分離性能試験
水素分離エレメントを両端に継手のついたステンレス製ケース内に組込み、加熱炉内にセットし、原料ガスの供給配管を接続して、その一次側からN2:20%含む混合水素ガスを供給しながら温度550℃に加熱した。試験はこのセットに、前記混合ガスを3Kg/cm2 Gの条件で供給しながら、その下流2次側から流出するガス中のN2成分をガスクロで分析することで行ったものであり、結果的にN2は全く検出されず水素ガスの分離性能も良好で安定した結果が得られた。
受け部材が一端キャップ形状に形成され、中間層を有しない場合の水素分離用部材を備えた水素分離エレメントの一形態を例示する断面図である。 図1の要部を示す拡大断面図である。 外装多孔体と水素透過膜との間に中間層を有する場合の他の形態の水素分離用部材を備えた水素分離エレメントの断面図である。 図3のA−A′断面図である。 図3の要部の端金具との取付け状態を合わせて示す拡大断面図である。 受け部材の成形方法を示す部分断面図である。 金属短繊維の扁平部を例示する斜視図である。 鍛圧装置の要部を例示する一部破断斜視図である。 (A)は、めっき法による水素透過膜の表面状態を示す顕微鏡拡大平面図、(B)は、その断面を示す顕微鏡断面図である。 水素分離部材エレメントの他構造を例示する一部断面図である。 受け部材にメッキされた水素透過膜が、繰り返しの温度昇降により剥離孔が生じる状態を例示する仮想断面図である。 従来の水素製造プロセスを例示するブロック図である。 メンブレンリアクターによる水素製造プロセスを例示するブロック図である。
符号の説明
1 水素分離用部材
2 支持体
3 微細層
3A 金属短繊維
3F 平坦部分
5 受け部材
5a 外表面
7 水素透過膜
8 中間層
9 外装多孔体
10 端金具
10A 継手金具
10B 閉止金具

Claims (10)

  1. 通気可能な多孔性の金属焼結体からなる筒状の受け部材と、
    該受け部材を被包し、かつ水素混合ガスから水素ガスを選択的に透過させる水素分離金属からなる水素透過膜と、
    前記水素透過膜の外側に配置され、該水素透過膜を覆って保護する外装多孔体とを具えることを特徴とする水素分離用部材。
  2. 通気可能な多孔性の金属焼結体からなる筒状の受け部材と、
    該受け部材を被包し、かつ水素混合ガスから水素ガスを選択的に透過させる水素分離金属からる水素透過膜と、
    前記水素透過膜の外側に配置され、該水素透過膜を保護する外装多孔体とを具えるとともに、
    前記水素透過膜と前記外装多孔体との間に充填され微細粉末からなる中間層を具えたことを特徴とする水素分離用部材。
  3. 前記中間層の微細粉末は、Co金属又は40〜60質量%のCoを含有するCo合金のいずれかの金属からなることを特徴とする請求項2に記載の水素分離用部材。
  4. 前記水素透過膜は、前記水素分離金属を引き延ばし、かつ厚さが2〜30μmである箔状体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素分離用部材。
  5. 前記水素透過金属は、Pd金属、又はPd−Cu若しくはPd−AgによるPd合金から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素分離用部材。
  6. 前記受け部材は、多孔質の焼結体からなり通気可能な筒状の支持体に、該支持体の外面を覆い該支持体よりも微細な空孔を有する微細層を配して焼結一体化した複合構造の筒状体で形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水素分離用部材。
  7. 前記微細層は、繊維径dが0.1〜20μm、繊維長さLと繊維径dとの平均アスペトク比L/dが1.5〜20である金属短繊維、又は粒子径0.5〜30.0μmの金属アトマイズド粉からなる球形状又は非球形状の微細粒子のいずれか焼結体で形成されたものである請求項6に記載の水素分離用部材。
  8. 多孔性の金属焼結体からなり通気可能な筒状の受け部材を、水素分離金属からなる厚さ2〜30μmの水素透過金属箔を用いた水素透過膜で包んで被包体を形成するとともに、 この被包体を、筒状の成形型内に、その内壁との間に隙間を保って配置し、かつこの隙間内に焼成素材を充填して加圧成形することにより、前記水素透過膜を保護する外装多孔体を前記被包体の外面に形成することを特徴とする水素分離用部材の製造方法。
  9. 前記水素透過膜は、前記成形型内への組み込みに先立ち、該水素透過膜の端部の継ぎ部を金属ロウを用いて接合することを特徴とする請求項8に記載の水素分離用部材の製造方法。
  10. 多孔性の金属焼結体からなり通気可能な筒状の受け部材を、水素分離金属からなる厚さ2〜30μmの水素透過金属箔を用いた水素透過膜で包んで被包体を形成するとともに、 この被包体を、多孔性の筒状の金属焼結体からなる外装多孔体内に、その内壁との間に隙間を保って配置し、かつこの隙間内に微細粉末を充填して加圧成形することにより、水素透過膜と外装多孔体との間に中間層を形成することを特徴とする水素分離用部材の製造方法。
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