JP2005095851A - 流体分離フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分に対して化学的に安定で、分離特性に対する耐水性に優れた流体分離フィルタを提供する。
【解決手段】多孔質支持体表面に、Si−C―O結合を含有する流体分離膜を被着形成してなること、また、多孔質支持体表面に、Si−C−O結合を含有する流体分離膜を被着形成してなることを特徴とし、特に前記流体分離膜の厚みが、0.05μm〜1μmであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、石油精製における特定のガスを濃縮するプラント、混合溶剤からの特定物質の濃縮するプラント、アルコールからの脱水を行うプラント、水の純度を高める水処理プラントや淡水化プラント、工場排ガスや発電所から酸素や二酸化炭化水素等の特定ガスの分離を行う装置、石油や天然ガス油田から二酸化炭化水素や硫化水素、メタン等特定のガスの分離を行うプラント、食品関係又は医療関係の分離装置、水素ガスと酸素ガスを燃料として発電する燃料電池の酸素流体分離膜や水素流体分離膜として好適に使用できる流体分離フィルタの製造方法および流体フィルタに関するものである。
従来から、各種ガスを含有する混合気体中から特定ガスを濾過分離するフィルタを始め、触媒担持体や電解隔壁等として多孔質体が用いられているが、安全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がり、多孔質体を用いた特定のガスの分離濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、食品工業や医療用機器、更には廃棄物処理等の分野でも注目されている。しかし一方で、膜材質は一般に高分子を用いることが多いため耐熱性の問題があった。そのため最近では無機膜を使ったフィルタが注目されてきている。
このような無機膜は、例えば、シリコンアルコキシドを用い、シロキサン結合(−Si−O−Si−)による骨格内にガス分子径と同程度の細孔を形成することによって、SiOを基本としたネットワークを構築し、COなどの各種ガスの透過に対する選択性を高め、ガス分離性能を向上したガス分離フィルタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−249175号公報
しかしながら、特許文献1に記載のフィルタでは、膜中にシロキサン結合が残留し、大気中放置で水蒸気の影響を受け透過特性が劣化するという問題があった。特に、100℃の水蒸気を透過させると、ガス透過率が急激に低下するとともに分離係数も大幅に低下し、高温で再度熱処理をしても、分離特性は元に戻らないという問題があった。
従って、本発明の目的は、水分に対して化学的に安定で、分離特性に対する耐水性に優れた流体分離フィルタ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の流体分離フィルタは、多孔質支持体表面に、Si−C−O結合を含有する流体分離膜を被着形成してなることを特徴とする。
本発明の他の流体分離フィルタは、多孔質支持体表面に、Si−C−O結合を含有する流体分離膜を被着形成してなることを特徴とする
前記流体分離膜の厚みが、0.05μm〜1μmであることが好ましい。
前記流体分離膜が、Tiを含むことが好ましい。
前記多孔質支持体が、酸化物セラミックスからなることが好ましい。
前記多孔質支持体と前記流体分離膜との間に、中間層を形成していることが好ましい。
前記中間層の厚みが0.5〜10μmであることが好ましい。
前記中間層が、酸化物セラミックスからなることが好ましい。
本発明の流体分離フィルタの製造方法は、ポリカルボシランを含有する溶液に、多孔質支持体を含浸させ、不融化処理を行った後、熱処理を行って前記多孔質支持体の表面に流体分離膜を形成することを特徴とする。
前記ポリカルボシランの少なくとも一部を、ポリチタノカルボシランで置換したことが好ましい。
本発明の流体分離フィルタの他の製造方法は、液状の有機ケイ素化合物と、熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物とこれらの重合触媒を加え、重合をさせた前駆体物質を非酸化性雰囲気中の高温で熱処理して、流体分離膜を前記多孔質支持体の表面に形成することを特徴とする。
前記有機ケイ素化合物が、メチルシリケート、エチルシリケート等のアルキルシリケートであることが好ましい。
前記熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物が、フェノール樹脂、フルフリルアルコールであること好ましい。
従来のシリカ膜では、残存しているシラノール基(Si−OH)にHOが吸着し、分子篩いの穴を塞いでしまい、分離特性を劣化させてしまう。さらに、この吸着した水とシロキサン結合との間で、下記の反応が簡単に起こってしまう。
Si−O−Si + HO → {Si−OH・・・・Si−OH}
この反応により、表面にあるシロキサン結合が水蒸気により切断され、高温で吸着水を飛ばしても、分子篩の穴が潰れ、分離特性が戻らないと考えらた。
そこで、本発明は、Si−Oより共有結合性が大きいSi−C結合をガス流体分離膜に含有させることによって、化学的安定性と、分離特性の経時変化と、を改善できるとの新規な知見に基づきなされたものであり、水分に対して構造的に安定で、分離特性に対して耐水性に優れた流体分離フィルタを実現したものである。
また、Si−Oより共有結合性が大きいSi−C−O結合をガス流体分離膜に含有させることによっても、化学的安定性と、分離特性の経時変化と、を改善できるとの新規な知見に基づきなされたものであり、水分に対して構造的に安定で、分離特性に対して耐水性に優れた流体分離フィルタを実現したものである。
特に、前記流体分離膜の厚みが0.05μm〜1μmである場合、特にガス分離性能を高めることができる。
また、前記流体分離膜がTiを含むので、分子篩いの穴径が小さくなり、分離特性が向上する。
さらに、前記多孔質支持体が、酸化物セラミックスからなる場合、耐熱性が高く、大気焼成できるため、安価に、そして、容易に支持体を作製できる。
さらにまた、前記多孔質支持体と前記流体分離膜との間に、中間層を形成している場合、流体分離膜の多孔質支持体への成膜性が向上することから、流体分離膜の厚みを薄くすることができ、ガス分離の処理速度が向上する。
また、前記中間層の厚みが0.5〜10μmである場合、ガスの透過速度が向上する。
さらに、前記中間層が、酸化物セラミックスからなる場合、多孔質支持体と近い熱膨張率に設定することが可能となり、剥離の発生を抑制し、また、大気で焼成できるため、安価に、そして、容易に作成できる。
また、本発明の流体分離フィルタの製造方法を用いると、Si−C結合を有する本発明の流体分離フィルタを作製することができる。
さらに、ポリカルボシランの少なくとも一部を、ポリチタノカルボシランで置換した場合、Tiを含有させることが容易にできる。
また、本発明の流体分離フィルタの他の製造方法を用いると、Si−C−O結合を有する本発明の流体分離フィルタを作製することができる。
特に、前記有機ケイ素化合物が、メチルシリケート、エチルシリケート等のアルキルシリケートである場合、分子量が小さく、Si−C―O結合ができやすい。
また前記熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物が、フェノール樹脂、フルフリルアルコールである場合、炭化率が大きくSi−C―O結合ができやすい。
本発明のガス分離フィルタ1は、図1に示したように、多孔質支持体2と、多孔質支持体2の少なくとも一方の表面に形成された多数の細孔4を有するSi−C結合、Si−C―O結合、又はこれらの両結合を有する流体分離膜3とからなるものであり、所望により多孔質支持体2と流体分離膜3との間に、気孔径が多孔質支持体2よりも小さく、流体分離膜3よりも大きな中間層5を設けることができる。
本発明の流体分離フィルタによれば、流体分離膜3は、Si−C結合を含有することが重要である。即ち、流体分離膜3は、(−Si−C−Si−)で表される結合によってネットワークが構築され、このネットワークによって形成される細孔4を複数有している。このような結合のネットワークによって形成される細孔の例を図2に示した。図2は、珪素(Si)、炭素(C)、酸素(O)及び有機官能基(R)によって環状に結合した環状結合体を形成し、その内部に形成された細孔によって流体分離を行うことができる。
この結合におけるSi−C結合は、非晶質の化合物からなることが好ましい。非晶質で存在することにより、分子篩いのための穴径を小さいままで維持することができる。
また、本発明の他の流体分離フィルタによれば、流体分離膜3は、Si−C―O結合を含有することが重要である。即ち、流体分離膜3は、(−Si−C−O−)で表される結合によってネットワークが構築され、このネットワークによって形成される細孔4を複数有している。このような結合のネットワークによって形成される細孔の例を図3に示した。図3は、珪素(Si)、炭素(C)、酸素(O)及び有機官能基(R)によって環状に結合し、環状体の内部に形成された細孔が流体分離を行うことができる。
この結合におけるSi−C−O結合は、非晶質の化合物からなることが好ましい。非晶質で存在することにより、分子篩いのための穴径を小さいままで維持ができる。
Si−C結合及びSi−C−O結合は、いずれもSi−Oより共有結合性が大きいため、化学的な安定性に優れ、分離特性の経時変化を小さくする点で同様の効果があり、両者が流体分離膜3に含まれていても良い。
流体分離膜3は、Si、C、O及びRに加えて、Tiを含むことが好ましい。TiはSiよりイオン半径が大きく、Siと置換したところでは結合角がゆがみ、これにより、分子篩いの穴径が小さくなり、分離特性が向上する。
このように、Siの一部をTiで置換し、Si、Ti、C、O及びRを基本構成とするネットワークを構築する場合、流体分離膜のTi/Si比を0.01〜0.04、特に0.02〜0.03にすることが好ましい。このような範囲でTiを含有させることで、環状結合体のネットワークを維持したまま分離特性をより向上し、且つ耐水性をより高めることができる。
流体分離膜3の厚みは、0.05〜1μm、特に0.1〜0.5μmであることが望ましい。このような厚み範囲を設定することにより、複数のガスが含まれる混合ガスから特定のガスを分離することが可能で、しかも分離ガスの透過速度を高めることができる。
この流体分離膜3は多孔質支持体2の表面に被着形成されるが、多孔質支持体2との界面に生じる反応生成物が少ないことが好ましく、層状に被覆され、流体分離膜3が平滑な表面を形成することが望ましい。
多孔質支持体2は、ガスを透過でき、かつ構造体として必要な強度を有することから、酸化物セラミックスからなることが好ましい。これにより、耐熱性が高く、大気焼成できるため、安価に、そして、容易に支持体を作製することも可能となる。
また、多孔質支持体2は、流体分離膜3の成膜性を高める点で、0.05〜2μmの細孔径を有することが望ましい。また、流体分離膜3の成膜性を高める上で、多孔質支持体2は表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmの平滑な表面を有することが望ましい。
多孔質支持体2の気孔率は20%以上であることが望ましく、特に、高い圧力をかけることなく混合ガスが多孔質支持体2中を透過することができ、しかも多孔質支持体2の強度を確保し、フィルタ1を組み立てる際に、多孔質支持体が破損することや、操作中に多孔質支持体2を構成する粒子が脱粒することを防止するために、多孔質支持体2の気孔率が30〜50%であることが望ましい。
多孔質支持体2としては、α−アルミナや安定化ジルコニアを主成分とするセラミックスやシリカ系ガラス(分相ガラス)を用いることができるが、耐熱性が高いこと、容易に作製できること、コストの点でα−アルミナを主成分とする酸化物セラミックスからなることが望ましい。
中間層5を、多孔質支持体2と流体分離膜3との間に設けることが好ましい。この中間層5の平均細孔径は、多孔質支持体2の平均細孔径よりも小さく、かつ流体分離膜3の平均細孔径よりも大きくなるように設定することにより、流体分離膜3の多孔質支持体2への成膜性を向上させることができる。その結果、流体分離膜3の厚みを薄くしてもピンホールの発生を抑制することができる。また、細孔径の小さな流体分離膜3の厚みを小さくできるため、ガス分離の処理速度を向上させることが可能となる。
中間層5の厚みが0.5〜10μm、特に0.5〜6μmであることが好ましい。このように厚みを設定することで、ガス透過速度を高く維持するとともに、流体分離膜3にピンホールが形成されるのを抑制し、リーク発生を効果的に防止することができる。
中間層5は、多孔質支持体2および流体分離膜3との間に生じる反応生成物が少なく、多孔質支持体2の表面を層状に覆い、平滑な表面を形成するものが良い。さらに、中間層5が、酸化物セラミックスにすることで、多孔質支持体2との熱膨張率差を小さくすることが容易であり、熱応力を低減して剥離が生じにくくなるとともに、大気焼成が可能となるため、安価に、そして、容易に作製することができる。
かかる中間層5としては、例えば、多孔質支持体2としてα−アルミナセラミックスを用いる場合、同じアルミナセラミックス、特にγ−アルミナを採用することが好適である。
このような本発明の流体分離フィルタは、水蒸気による分離特性の劣化が小さいという特徴を有し、石油精製における特定のガスを濃縮するプラント、混合溶剤からの特定物質の濃縮するプラント、アルコールからの脱水を行うプラント、水の純度を高める水処理プラントや淡水化プラント、工場排ガスや発電所から酸素や二酸化炭化水素等の特定ガスの分離を行う装置、石油や天然ガス油田から二酸化炭化水素や硫化水素、メタン等特定のガスの分離を行うプラント、食品関係又は医療関係の分離装置、水素ガスと酸素ガスを燃料として発電する燃料電池の酸素流体分離膜や水素流体分離膜の分野において用いることができ、例えば二酸化炭素とメタンの混合ガスからメタンを分離するために好適に用いることができる。
次に、本発明のガス分離フィルタを製造する方法について、中間層を設けた場合を例にとって説明する。
まず、最初に、多孔質支持体として、上述した材質、気孔率、平均細孔径を有するものを準備する。特に、表面粗さ(Ra)0.1〜2μmの平坦な表面を有すること、また、内径1〜5mm、肉厚0.3〜1mmの管状体であることが望ましい。
次いで、この多孔質支持体の表面に中間層を形成する。多孔質支持体が管状体の場合、外側の表面に中間層を形成しても良いし、内壁に中間層を形成しても良い。
中間層の形成方法としては、例えば、アルミニウムセカンダリーブトキシド等のアルミニウムアルコキシドを加水分解することによって膜形成ゾルとしてベーマイトゾルを作製し、上記の多孔質支持体の表面に前記ベーマイトゾルを被着形成する。なお、多孔質支持体表面にベーマイトゾルを被着する方法としては、ベーマイトゾルを塗布または注入する方法、またはベーマイトゾル溶液中に多孔質支持体を含浸して引き上げる方法が好適に用いられる。
その後、被着形成したベーマイトゾルを乾燥しゲル化し、これを大気中、400〜900℃、特に400〜600℃で熱処理することにより多孔質支持体表面に中間層を被着形成することができる。焼成温度については、400℃より低いと中間層の多孔質支持体への結合力が弱く中間層が剥離してしまうためであり、また、900℃より高いと、焼結が進行しすぎてしまい中間層の細孔径が大きくなり、所望の細孔径を得ることができないためである。
最後に、流体分離膜を作製する。
まず、Si−C結合を含有する流体分離膜を製造する場合について説明する。ポリカルボシランを含有する溶液に、多孔質支持体を含浸させる。多孔質支持体が管状体の場合、外側の表面に流体分離膜を形成する際には、管の内壁に溶液が侵入しないように、管の端部に栓をする等の処置を行う。また、管の内壁に流体分離膜を形成する際には、管の一端を封止して、管の外側に溶液がかからないように、管の内部に溶液を充満させれば良い。
流体分離膜の膜厚の調整方法は、含浸回数で制御するのが良い。また、溶液の濃度でも微調整ができ、希釈剤としてキシレンなどの溶液を使用することができる。
このように含浸した後、100〜300℃、特に、150℃〜200℃で不融化処理を行う。不融化処理を行うことで、−Si−H結合が熱酸化し、−Si−O−Si−結合ができ、構造が安定化し、さらに次に説明する熱処理を施すことで、Si−C結合を含む非晶質膜を形成することができる。
次いで、400〜900℃、特に400℃〜700℃の温度で熱処理して流体分離膜を多孔質支持体の表面に形成する。熱処理は、酸化防止のため、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中、あるいは、水素ガスを混合した雰囲気中で行うのが良い。
このようにポリカルボシランを用いて、Si−C結合を有する本発明の流体分離フィルタを作製することができる。
また、流体分離膜にTiを含有させる場合、SiとCとを含む上記のポリカルボシランを含有する溶液に、Ti、Si及びCを含むポリチタノカルボシランを加えることにより、Si−C結合を持つ流体分離膜中にTiを含有させることができる。また、ポリカルボシランの代わりにポリチタノカルボシランを用いても良い。
このように、ポリカルボシランの少なくとも一部をポリチタノカルボシランで置換することで、Si−C結合を主体とする環状結合体の結合の中にTiを容易に含有させることができる。
次に、Si−C−O結合を含有する流体分離膜を製造する場合について説明する。分離膜を作製する。まず、メチルシリケート、エチルシリケート等のアルキルシリケートである液状の有機ケイ素化合物と、フェノール樹脂、フルフリルアルコール等の熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物の混合し、溶液を作製する。
得られた溶液に対して、塩酸、硫酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸等の酸性重合触媒を加え、重合をさせる。この重合を行った溶液に、多孔質支持体を含浸させる。多孔質支持体が管状体の場合、外側の表面に流体分離膜を形成する際には、管の内壁に溶液が侵入しないように、管の端部に栓をする等の処置を行う。また、管の内壁に流体分離膜を形成する際には、管の一端を封止して、管の外側に溶液がかからないように、管の内部に溶液を充満させれば良い。なお、流体分離膜の膜厚の調整方法は、上記Si−C結合を含有する流体分離膜の場合と同様に、含浸回数で制御するのが良い。
このように含浸した後、100〜300℃、特に、150℃〜200℃で不融化処理を行う。不融化処理を行うことで、−Si−H結合が熱酸化し、−Si−O−Si−結合ができ、構造が安定化し、さらに次に説明する熱処理を施すことで、Si−C結合を含む非晶質膜を形成することができる。
次いで、400〜900℃、特に400℃〜700℃の温度で熱処理して流体分離膜を多孔質支持体の表面に形成する。熱処理は、酸化防止のため、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中、あるいは、水素ガスを混合した雰囲気中で行うのが良い。
このようにポリカルボシランを用いて、Si−C結合を有する本発明の流体分離フィルタを作製することができる。
このようにして、Si−C―O結合を有する本発明の流体分離フィルタを作製することができる。
なお、Si−C結合及びSi−C―O結合を含有する流体分離フィルタを作製する場合、上記の2種類の両方の溶液に多孔質支持体を含浸して表面に流体分離フィルタを形成しても良く、また、上記2種類の溶液の混合液に含浸しても良い。
まず、多孔質支持体を作製した。即ち、内径2.3mm、肉厚0.4mm、長さ250mmの管状体で、平均粒径0.2μm、気孔率39%、表面粗さ(Ra)が0.3μm以下のα−アルミナ質多孔質支持体を作製した。
次いで、中間層を形成した。即ち、水110モルに対してアルミニウムセカンダリーブトキシドを1モル添加して加水分解し、さらに硝酸を添加した後、16時間還流してベーマイトゾルを作製した。
そして、上記の多孔質支持体の先端部に栓をして、前記ベーマイトゾル溶液内に含浸して60秒間保持し、5mm/秒の速度で取り出し、室温で2時間乾燥してベーマイトゾルをゲル化した後、前記ゲルを被着形成した多孔質支持体を大気中、500℃で焼成する工程を繰り返して前記α−アルミナ質多孔質支持体の外表面にγ−アルミナからなる中間層を被着形成した。
最後に、上記中間層の上に流体分離膜を作製した。即ち、日本カーボン製ポリカルボシラン(Type S)及び/又は宇部興産製ポリチタノカルボシラン(チタノワニス)を含む溶液に、前記中間層を被着形成した多孔質支持体を30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥した後、170℃で不融化処理を行って、しかる後に表1に示す温度で熱処理を行って被膜化した。また、この浸漬、乾燥、熱処理の一連の操作を繰り返し、γ−アルミナ層上にSi−C結合を有する皮膜を形成した。
なお、試料No.1は、比較例として、テトラエトキシシランとフェニルトリエトキシシランをエタノールに溶解させ、水およびHClを含むエタノール溶液を添加、混合して前駆体ゾルを作製した。
そして、作製された前駆体ゾル溶液中に、前記中間層を被着形成した多孔質支持体を30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥した後、引き続いて50℃/時間の割合で500℃まで昇温し、1時間焼成し、またこの浸漬、乾燥、焼成の一連の操作を4回繰り返し、γ−アルミナ層上にシリカ質の膜を被着形成した。
流体分離膜に含まれる結合は、赤外吸収法で分析し、本発明の試料は全てSi−Cを含有することを確認した。
流体分離膜、中間層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて求めた。
得られたフィルタ1本を用いて前述のガス分離モジュールを作製し、焼成後の分離膜特性を評価した。即ち、モジュール内を100℃に加熱すると共に、管内側を大気開放として100kPa(大気圧)にした状態で、管外側に二酸化炭化水素200kPa(2.0気圧)を100ml/分の割合で流し、透過ガス排出口で回収されるガスについて、透過流量を測定し、さらに、二酸化炭素の透過量/(膜面積×差圧×時間)で表される透過率を算出した。
また、上記と同様にしてメタンガスの透過率を求め、透過係数比α(二酸化炭化水素の透過率/メタンの透過率)を選択率として算出した。
次に、100℃で5モル%の水蒸気を2時間導入し、水蒸気処理を行った後に流体分離膜特性を評価した。評価方法は、焼成後の特性評価と同様に、透過率と選択率を測定した。
さらに、Heガスを流しながら、350℃で12時間乾燥するという熱処理を行ない、この熱処理後の流体分離膜特性を評価した。評価方法は、焼成後の特性評価と同様であった。結果を表1に示した。
Figure 2005095851
試料No.1は、水蒸気を透過させると透過率、選択率ともに低下し、350℃処理でも透過率、選択率は回復しなかった。
一方、本発明の流体分離膜は、水蒸気を透過させることで、透過率は低下するものの、その低下率は低く、更に350℃の処理で、ほとんど焼成直後の透過率まで回復しており、水分の影響を受けにくい、耐水性の高い膜になっていた。
流体分離膜は、実施例1と同じ方法を用いて、多孔質支持体の表面に被着形成した。
得られた中間層の上に、下記の方法にて流体分離膜を作製した。即ち、液状有機ケイ素化合物(表2中、Si化合物と表示)として、SiO含有量が40%のテトラエチルオルソシリケート、メチルシリケート及びエチルシリケートと、熱分解により炭素を精製する液状の有機化合物(表2中、有機物と表示)として含水率20%のレゾール型フェノール樹脂及びフルフリルアルコールを表2示した組み合わせ及び割合で混合した。重合は、水と硝酸溶液をエタノールで希釈して添加した。この溶液に、前記中間層を被着形成した多孔質支持体を30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥した後、100℃で乾燥し、表1に示す温度で熱処理を行って被膜化した。また、この浸漬、乾燥、熱処理の一連の操作を繰り返し、γ−アルミナ層上にSi−C―O結合を有する皮膜を形成した。
そして、得られた前駆体ゾル溶液中に、前記中間層を被着形成した多孔質支持体を30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥した後、引き続いて50℃/時間の割合で500℃まで昇温し、1時間焼成し、またこの浸漬、乾燥、焼成の一連の操作を4回繰り返し、γ−アルミナ層上にシリカ質の膜を被着形成した。
流体分離膜に含まれる結合は、赤外吸収法で分析し、本発明の試料は全てSi−C−Oを含有することを確認した。
得られたフィルタ1本を用いて実施例1と同様にしてガス分離モジュールを作製し、分離膜特性を評価した。結果を表2に示した。
Figure 2005095851
本発明の流体分離膜は、水蒸気を透過させることで、僅かに、透過率は低下するが、350℃の処理で、もとの透過率までもどっており、水分の影響を受けにくい、耐水性の高い膜になっていた。
本発明の流体分離フィルタの拡大断面図である。 本発明の流体分離フィルタの流体分離膜の化学構造を示す説明図である。 本発明の流体分離フィルタの他の流体分離膜の化学構造を示す説明図である。
符号の説明
1・・・ガス分離フィルタ
2・・・多孔質支持体
3・・・流体分離膜
4・・・細孔
5・・・中間層

Claims (13)

  1. 多孔質支持体表面に、Si−C結合を含有する流体分離膜を被着形成してなることを特徴とする流体分離フィルタ。
  2. 多孔質支持体表面に、Si−C−O結合を含有する流体分離膜を被着形成してなることを特徴とする流体分離フィルタ。
  3. 前記流体分離膜の厚みが、0.05μm〜1μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の流体分離フィルタ。
  4. 前記流体分離膜が、Tiを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体分離フィルタ。
  5. 前記多孔質支持体が、酸化物セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の流体分離フィルタ。
  6. 前記多孔質支持体と前記流体分離膜との間に、中間層を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体分離フィルタ。
  7. 前記中間層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体分離フィルタ。
  8. 前記中間層が、酸化物セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の流体分離フィルタ。
  9. ポリカルボシランを含有する溶液に、多孔質支持体を含浸させ、不融化処理を行った後、熱処理を行って前記多孔質支持体の表面に流体分離膜を形成することを特徴とする流体分離フィルタの製造方法。
  10. 前記ポリカルボシランの少なくとも一部を、ポリチタノカルボシランで置換したことを特徴とする請求項9記載の流体分離フィルタの製造方法。
  11. 液状の有機ケイ素化合物と、熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物とこれらの重合触媒を加え、重合をさせた前駆体物質を非酸化性雰囲気中の高温で熱処理して、流体分離膜を前記多孔質支持体の表面に形成することを特徴とする流体分離フィルタの製造方法。
  12. 前記液状の有機ケイ素化合物が、アルキルシリケートであることを特徴とする請求項11記載の流体分離フィルタの製造方法。
  13. 前記熱分解により炭素を生成する液状の有機化合物が、フェノール樹脂、フルフリルアルコールであることを特徴とする請求項11又は12記載の
    流体分離フィルタの製造方法。
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