JP4605920B2 - ガス分離フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数種のガスを含有する被処理ガス中から特定ガスを分離できる耐水性、耐熱性及び信頼性に優れたガス分離フィルタに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、ガス分離膜としての複数のガス、蒸気を含有する混合流体から特定成分のみを選択的に透過、分離することのできる分離膜を備えたガス分離フィルタが知られており、かかるガス分離フィルタは、各種燃焼機関をはじめ、食品工業や医療用機器、更には廃棄物処理等の分野でも注目されている。
【0003】
近年では、耐熱性、耐食性に優れた各種無機材料からなる多孔質体が特に注目されるようになり種々検討され、中でも特開平11−19458号公報に記載のガラスの溶融、酸処理を利用した方法、特開平4−63119号公報に記載のゾルゲル法、特開平8−38864号公報に記載のCVD法等によって作製されるシリカ質ガス分離膜は、微細でガスの分子径に近似する細孔を有するとともに、多孔質支持体の表面になじみよく、かつ薄く被着形成できることが開示されている。
【0004】
しかしながら、微細に細孔が制御された無機多孔質体は特に上記シリカ質分離膜やγ−アルミナ質分離膜では、乾燥雰囲気下での作動では、時間の経過によらず高いガス分離性能を維持するものの、被処理ガスとして水蒸気を含むガスを処理する場合、特にその処理温度が100℃よりも低くなる場合には、被処理ガス中の水分がガス分離膜に吸着または反応してガス分離膜の細孔径が変化してしまい、また、かかるガス分離フィルタを大気中等の水分を含んだ環境下に放置した場合にも、ガス分離膜の細孔内へ水分が侵入、吸着して細孔径が変化してしまうという問題があり、さらに、かかるガス分離膜内の吸着水はガス分離膜の細孔径が変わらない温度範囲で単に温度を上げただけでは完全に離脱させることができないことから、ガス分離フィルタのガス分離性能が変化してしまい特性の信頼性を損なう要因となっていた。
【0005】
一方、本出願人は、特開平11−226368号公報にて、ガス分離膜を撥水性の高い材料にて形成することにより、ガス分離膜への液体あるいは液状物質の透過を抑制して特定ガスの分離性能を向上できることを提案した。
【0006】
また、特開2000−288367号公報では、多孔質膜の表面に撥水剤を塗布して撥水膜を形成した疎水性多孔質膜が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−226368号公報のガス分離膜自体を撥水性材料にて形成すると、ガス分離膜中の細孔径が大きくなってしまうことから、分離可能なガス種が限定されてしまい、例えば、窒素と水素等の分子径の小さいガスを分離することが困難であるという問題があった。
【0008】
また、特開2000−288367号公報の多孔質膜の表面に撥水膜を形成したフィルタにおいても、同号公報の実施例に記載されるように、撥水膜の被着形成によってガスの透過係数が低下するとあるように、撥水膜を被着形成することによってガス分離効率が大幅に低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、その目的は、耐水性に優れるとともに、種々の特定ガスの分離が可能であり、高いガス分離効率を有するガス分離なガス分離フィルタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に対してガス分離フィルタを構成する各層の構成について検討した結果、多孔質支持体の表面に小さい細孔径を有するガス分離膜を被着形成するとともに、該ガス分離膜の表面に、ガス分離膜の細孔径よりも大きい細孔径を有する撥水膜を被着形成し、さらに、多孔質支持体内にガス分離膜に沿って層状に他の撥水膜を形成することによって、ガス分離フィルタの耐水性を高めることができるとともに、ガス分離膜の細孔径をガス種に合わせて制御することが可能であり、かつ撥水膜の被着形成によってもガス分離効率の低下を小さくすることができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明のガス分離フィルタは、多孔質支持体の表面に、特定のガスのみを選択的に透過しうる多数の細孔を有するガス分離膜を被着形成するとともに、該ガス分離膜の表面に撥水性を有し、かつ前記ガス分離膜の平均細孔径より大きい平均細孔径を有する撥水膜を被着形成し、さらに、前記多孔質支持体内に前記ガス分離膜に沿って層状に他の撥水膜を形成したことを特徴とするものである。
【0013】
また、前記ガス分離膜の平均細孔径(r1)と前記ガス分離膜の表面の前記撥水膜の平均細孔径(r2)との比(r2/r1)が1.1〜5であることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のガス分離フィルタの一例について、その模式図である図1を基に説明する。
図1によれば、ガス分離フィルタ1は、多孔質支持体2の表面に、複数種のガスを含む被処理ガスから特定のガスのみを選択的に透過しうる細孔3aを有するガス分離膜3を被着形成するとともに、該ガス分離膜3の表面に撥水膜4を被着形成した構造からなる。
【0017】
本発明によれば、撥水膜4は多数の細孔4aを有する多孔質体からなり、該撥水膜4の平均細孔径(r2)が、ガス分離膜3の平均細孔径(r1)よりも大きいことが重要であり、これによって、ガス分離膜3に水分が侵入することを防止してガス分離膜3の細孔3a径が吸着水によって変化することを防止できることから、ガス分離フィルタ1の耐水性を高めることができるとともに、ガス分離膜3の細孔3aの細孔径をガス種に合わせて変化、制御することが可能であり、かつ撥水膜4の被着形成によってもガス分離フィルタ1のガス分離効率の低下を小さくすることができる。
【0018】
すなわち、撥水膜4を被着形成しない場合には、ガス分離膜3の表面および細孔3a内へ水分が侵入してガス分離膜3の細孔3a内に吸着水が付着するか、または水分によってガス分離膜3自体が反応して変質してしまい、ガス分離膜3の細孔径が変化する結果、ガス分離フィルタ1のガス分離性能が低下してしまう。また、撥水膜4自体をガス分離膜として使用しガス分離膜3を形成しない場合には、撥水膜4の細孔径を所望の範囲に制御することが困難となってしまう。さらに、撥水膜4の平均細孔径がガス分離膜3の平均細孔径以下である場合には、ガス分離性能が撥水膜4により律速されてしまい、結果的にガス分離フィルタ1のガス分離効率が低下してしまう。
【0019】
また、本発明における撥水膜4は、ガス分離膜3よりも大きな撥水性を示す材質を指し、より具体的には、大きな細孔径に制御されたフッ素系有機質高分子や金属酸化物を例示することができるが、細孔径制御の点で、シリコン、アルミニウム、チタンおよびジルコンの群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシドを原料としてゾルゲル法により作製される加水分解化合物等を用いることが望ましく、また、強い撥水効果を有する有機鎖が残存して撥水性を向上させるために、撥水膜4がゲル膜からなることが望ましい。
【0020】
また、ガス分離フィルタ1を、特に50〜300℃の高温にて使用しても撥水膜4の細孔径が変化することなく耐熱性の高いものとするため、および高い撥水性を維持するために、撥水膜4は50〜300℃にて熱処理されたものであることが望ましい。
【0021】
さらに、撥水膜4として、耐熱性および撥水性の点で、シリコンとフッ素とを含有することが望ましく、特に下記化1にて表されるようなフッ素を含有するシリコンアルコキシド溶液から作製されたものであることが望ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
なお、撥水膜4を形成する方法としては、撥水膜4を形成するための溶液中に多孔質支持体をディッピングする浸漬法やスピンコーティング法等の塗布法にて成膜した後、該膜を乾燥して所望により熱処理する方法、CVD法やスパッタリング法等の薄膜形成法等が好適に採用でき、また、撥水膜4を形成するための溶液としては、フッ素系撥水水性エマルジョンやフッ素系撥水撥油剤エマルジョン等の有機質高分子を含有する溶液や、ジメチルポリシロキサン等を含有する溶液、アルキルアルコキシシラン等のアルコキシド溶液が望ましい。
【0024】
また、上記溶液の中でも、アルキルアルコキシシラン等のアルコキシド溶液を用い、これを用いて加水分解した溶液を作製する方法としては、例えば、前記アルコキシドのアルコール溶液のアルコキシド1モルに対し、加水分解ゾルの安定性、細孔径の制御の点で、1〜10倍モル量の水と少量の酸をアルコール存在下で添加することにより作製することができる。
【0025】
また、高いガス透過率およびガス分離効率を維持しつつ、ガス分離膜3への水分の侵入を効果的に抑制する点で、ガス分離膜3の平均細孔径(r1)と撥水膜4の平均細孔径(r2)との比(r2/r1)が1.1〜5、特に1.5〜3であることが望ましく、例えば、撥水膜4の平均細孔径(r2)は0.4〜1.5nm程度であることが望ましい。
【0026】
なお、撥水膜4の膜厚は、ガス分離膜3の表面に欠陥等の発生なく均一に被着形成されてガス分離膜3の透過率およびガス分離効率を低下させることなく、かつガス分離膜3への水分(水蒸気)の接触を防止する点で、0.01〜1μm、特にガス分離膜3の膜厚より薄い膜厚であることが望ましい。
【0027】
一方、ガス分離膜3は、有機高分子膜も使用可能であるが、ガスの透過性能、耐熱性の点で、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、ゼオライト等の無機酸化物やカーボン等の無機多孔質体からなることが望ましく、特に細孔径の制御が容易であり、ガスの分離性能、耐食性、信頼性に優れている点で非晶質な無機酸化物多孔体からなることが望ましい。さらに、ガス分離膜3の細孔径を1nm以下の低分子のガス分離に必要な細孔径に制御可能なシリカ、ジルコニアおよびチタニアの群から選ばれる少なくとも1種からなること、特に、上記理由に加えて撥水膜4とのなじみの点で、シリカを含有する非晶質体からなることが望ましい。なお、ガス分離膜3の平均細孔径は、ガスの選択的な透過性の点で、例えば0.2〜2.0nm、特に0.3〜1.0nmであることが望ましく、例えば、窒素と水素を分離する場合には、0.29〜0.50nm、窒素とSF6とを分離する場合には、0.35〜0.60nmであることが望ましい。
【0028】
また、ガス分離膜3の膜厚は、ピンホール等の欠陥がなく、かつ特定ガスの透過効率を高めるために、0.05〜1μm、特に0.1〜0.5μmであることが望ましい。
【0029】
他方、多孔質支持体2は、管形状、平板形状、モノリス形状、ハニカム形状等の形状からなる、例えば、平均細孔径が0.05〜2μmとガス分離膜3の細孔径よりも大きな平均細孔径を有する多孔質体からなり、かつ構造体として必要な強度を有するために、気孔(細孔)率が20〜40%であることが望ましい。また、多孔質支持体2の耐熱性、耐薬品性の点で、多孔質支持体2は、α−アルミナ、ジルコニア、コージェライト、窒化ケイ素等のセラミックスであることが望ましい。
【0030】
さらに、多孔質支持体2へのガス分離膜3の成膜性を高めて、薄く、均一なガス分離膜3を形成し、ガス透過性能を高める目的から、多孔質支持体2とガス分離膜3の間に、例えば、平均細孔径が1〜20nmと両者の間の平均細孔径を有する中間層(図示せず。)を形成することが望ましい。なお、中間層としては、多孔質支持体2とガス分離膜3とのなじみ、耐熱性の点で、γ−アルミナ、チタニア、ジルコニアおよびシリカ等の無機酸化物からなることが望ましい。
【0031】
また、上述したように、撥水膜4はガス分離膜3の表面に被着形成されていれば耐水性を向上させることができるが、さらなる耐水性の向上のためには、他の撥水膜5が多孔質支持体2内にガス分離膜3に沿って層状に形成されることが望ましい。
【0032】
なお、他の撥水膜5は耐水性の向上および製造の容易性の点で、撥水膜4と同じ材質からなることが望ましい。また、他の撥水膜5は多孔質支持体2の細孔2a内を侵入してガス分離膜3または中間層形成面までにわたる多孔質支持体2の細孔2a内に形成されることが撥水膜5の耐水性を高める点で望ましい。
【0034】
また、上述したガス分離フィルタ1を用いてガス分離を行うには、多孔質支持体2側表面側または撥水膜4表面側に特定ガスを含む複数種のガスからなる被処理ガスを接触せしめることによって、ガス分離膜3の細孔径により分子径の小さい特定ガスのみが選択的にガス分離膜3を透過して、ガス分離フィルタ1の反対面側に放出されることにより、被処理ガス中から特定ガスを分離することができる。
【0035】
さらに、本発明のガス分離フィルタ1は、特に、室温から100℃以上の広範囲の温度域まで使用可能であるが、ガス分離膜3の耐熱性やガス分離フィルタ1を収容したガス分離モジュールの耐久性の点からは室温から300℃の温度範囲においてより好適に使用しうるものである。
【0036】
【実施例】
(参考例1)
先ず、純度99.9%、平均粒径0.1μmのアルミナ粉末に対して、所定の有機バインダ、潤滑剤、可塑剤および水を添加、混合し、押出成形にて管状の成形体を作製した後、1200℃にて焼成して、外径2.0mm、内径1.1mm、長さ10cmで、平均粒径0.2μm、気孔率39%を有するαアルミナ多孔質管を作製した。
【0037】
また、窒素気流下でテトラエトキシシラン2.55g(モル比1)とエタノール56.48g(モル比100)とを混合し、この溶液に水0.17g(モル比1)とHCl0.09g(モル比0.07)とを添加して環流撹拌した後、これにテトラn−プロポキシジルコニウム2.01g(モル比0.5)を添加して複合アルコキシドを作製し、これにアセチルアセトン0.25g(モル比0.02)、水2.00g(モル比9)、エタノール56.48g(モル比100)の混合溶液を添加し加水分解して、ガス分離膜用のシリカ−ジルコニア質複合アルコキシドの加水分解ゾル溶液を作製した。
【0038】
一方、水110molに対してアルミニウムセカンダリーブトキシドを1mol添加して加水分解し、さらに、硝酸を加えて環流して中間層形成用のアルミナベーマイトゾルを作製した。
【0039】
次に、上記α−アルミナ質多孔質支持体の一端に栓をした状態で、上記中間層用の前駆体ゾル溶液およびガス分離膜用のゾル溶液中に順次多孔質支持体の栓をした端側から浸漬して、引き上げ、乾燥後、500℃にて焼成する工程を4回繰り返して多孔質支持体の外表面に中間層およびガス分離膜を順次被着形成した。
中間層の膜厚2μm、ガス分離膜の膜厚0.4μmであった。
【0040】
他方、(トリデカフルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン6.28g(モル比1)とエタノール56.73g(モル比100)とを混合した溶液に、水0.08g(モル比1)、塩酸0.04g(モル比0.07)およびエタノール56.73g(モル比100)の混合溶液を添加して加水分解することによって、撥水膜用の加水分解ゾル溶液を作製した。
【0041】
そして、上記多孔質支持体のガス分離膜形成面(外面)に浸漬法によって撥水膜を被着形成しガス分離フィルタを作製した。なお、撥水膜の形成条件は、多孔質支持体の端部に栓をしない状態で、該支持体を上記撥水膜用の前駆体ゾル溶液に浸漬して引き上げ、乾燥してゲル化した後、表1に示す温度にて焼成することにより形成した。撥水膜の膜厚は0.1μmであった。
【0042】
得られたガス分離フィルタおよび撥水膜を研磨したガス分離フィルタについて、アルゴン吸着法により撥水膜およびガス分離膜の平均細孔径を測定した。結果は表1に示した。
【0043】
(参考例2)
参考例1のガス分離フィルタに対して、撥水膜の材質をアクリルトリエトキシシラン(ATES)、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代える以外は参考例1と同様にガス分離フィルタおよびガス分離モジュールを作製し、同様に評価した。結果は表1に示した(試料No.5〜8)。
【0044】
(参考例3)
参考例1のシリカ−ジルコニア質複合アルコキシドを用いたガス分離膜の材質を、原料としてポリイミド溶液を用いて550℃で焼成したカーボンからなるガス分離膜を用いる以外は参考例1と同様にしてガス分離フィルタおよびガス分離モジュールを作製し、同様に評価した。結果は表1に示した(試料No.9)。
【0045】
(比較例)
参考例1のガス分離膜を被着形成せず、参考例1の試料No.4の撥水膜をガス分離膜として使用する以外は参考例1と同様にガス分離フィルタおよびガス分離モジュールを作製し、同様に評価した。結果は表1に示した(試料No.10)。
【0046】
【表1】
【0047】
また、図2に示すように、表1のガス分離フィルタ1の37本について、その両端を、内部に37個の貫通孔を有する2つの支持板7の貫通孔内にそれぞれ差し込んで収束固定してフィルタ収束体8を作製し、該フィルタ収束体8を被処理ガス供給口9と透過ガス排出口10と残部ガス排出口11とを有するハウジング12内に収容して、フィルタ収束体8を固定用冶具13にて固定するとともに、ハウジング12内を密閉してガス分離モジュール14を作製した。
【0048】
そして、ガス分離モジュール14を100℃に加温した状態で、ガス分離モジュール14の被処理ガス供給口9から、水素ガス(H2)50%と窒素ガス(N2)50%との混合ガスを流速3リットル/minでガス分離モジュール14内に供給し、透過ガス排出口10から排出されたガスについて、その流量と各ガスの含有比率を流量計とガスクロマトグラフィにて測定し、各ガスのガス透過率(pN2、pH2)および透過係数比α(pH2/pN2)を算出した。結果は表2に示した。
【0049】
また、上記各ガス分離モジュール14に対して、上記測定後、被処理ガス供給口9および透過ガス排出口10から、温度20℃、相対湿度100%の大気(1気圧)を導入して48時間放置した後、系内の温度を100℃に加温して、系内を乾燥ガス置換した。その後、上記のガス分離試験と同様の条件にて水素ガスと窒素ガスとのガス分離特性を評価した。結果は表2に示した。
【0050】
さらに、上記ガス分離フィルタの撥水膜を形成しないものを用いて図2の構成のガス分離モジュール14を作製し、上記のガス分離試験と同様の条件にて水素ガスと窒素ガスとのガス分離特性を評価し撥水膜形成によるガス透過効率の変化を測定した。結果は表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
表1、2の結果から明らかなように、撥水膜を形成しない試料No.1では、耐水試験後のガス分離特性が著しく低下し、また、撥水膜自体をガス分離膜として使用し、ガス分離膜を別途形成しなかった試料No.10では、窒素ガスと水素ガスとのガス分離性能が低いものであった。また、撥水膜の平均細孔径がガス分離膜の平均細孔径と同じである試料No.5および撥水膜の平均細孔径が小さい試料No.8では、撥水膜の形成によってガス透過率が大きく低下してしまい、ガス分離効率が低下した。
【0053】
これに対して、多孔質支持体の表面にガス分離膜と、該ガス分離膜の平均細孔径よりも大きい細孔径の撥水膜を順次被着形成した試料No.2〜4、6、7、9では、特に水素(H2)ガスの透過率の比b/a(撥水膜あり(b)/撥水膜なし(a))が0.6以上、かつ透過係数比αの比α3/α2(水蒸気処理後(α3)/水蒸気処理前(α2))が0.75以上と高いガス透過率と高い耐水性を有することが確認された。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明のガス分離フィルタによれば、多孔質支持体の表面に小さい細孔径を有するガス分離膜を被着形成するとともに、該ガス分離膜の表面に、ガス分離膜の細孔径よりも大きい細孔径を有する撥水膜を被着形成し、さらに、多孔質支持体内にガス分離膜に沿って層状に他の撥水膜を形成することによって、ガス分離フィルタの耐水性を高めることができるとともに、ガス分離膜の細孔径をガス種に合わせて制御することが可能であり、かつ撥水膜の被着形成によってもガス分離効率の低下を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス分離フィルタの一例を示す模式図である。
【図2】本発明のガス分離フィルタを備えたガス分離モジュールの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガス分離フィルタ
2 多孔質支持体
3 ガス分離膜
4 撥水膜
5 他の撥水膜
2a、3a、4a 細孔
Claims (2)
- 多孔質支持体の表面に、特定のガスのみを選択的に透過しうる多数の細孔を有するガス分離膜を被着形成するとともに、該ガス分離膜の表面に撥水性を有し、かつ前記ガス分離膜の平均細孔径より大きい平均細孔径を有する撥水膜を被着形成し、さらに、前記多孔質支持体内に前記ガス分離膜に沿って層状に他の撥水膜を形成したことを特徴とするガス分離フィルタ。
- 前記ガス分離膜の平均細孔径(r1)と前記ガス分離膜の表面の前記撥水膜の平均細孔径(r2)との比(r2/r1)が1.1〜5であることを特徴とする請求項1記載のガス分離フィルタ。
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