JPH10249175A - 多孔質分離膜及びその製造方法 - Google Patents

多孔質分離膜及びその製造方法

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JPH10249175A
JPH10249175A JP5754297A JP5754297A JPH10249175A JP H10249175 A JPH10249175 A JP H10249175A JP 5754297 A JP5754297 A JP 5754297A JP 5754297 A JP5754297 A JP 5754297A JP H10249175 A JPH10249175 A JP H10249175A
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separation membrane
porous
alkoxide
silicon alkoxide
phenyl group
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JP5754297A
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Youji Seki
洋二 積
Hitohide Oshima
仁英 大嶋
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種混合流体から特定成分を分離する際、透過
率及び選択率の特性に優れ、薄膜化が容易で高い膜強度
を有し、とりわけ大気中や各種燃焼排気ガスあるいは反
応ガス中からO2 やCO2 を、特に高温のCO2 を優先
的に分離する耐熱性に優れた気体用に好適なシリカ質の
多孔質分離膜及びその製造方法を得る。 【解決手段】アルコール溶媒中でシリコンアルコキシド
と、Si原子に直接結合した1乃至2個のフェニル基を
有するシリコンアルコキシドとの混合アルコキシドを作
製し、該混合アルコキシドを加水分解して得た前駆体ゾ
ルを無機多孔質体に塗布後、酸化性雰囲気中で乾燥し、
300〜600℃の温度で焼成してSiの側鎖にフェニ
ル基が結合したシロキサン結合を有する多孔質分離膜と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種気体混合物あ
るいは液体混合物等の混合流体から特定成分を分離する
に際して透過率及び選択率の両方の特性に優れ、薄膜化
が容易で高い膜強度を有する多孔質分離膜及びその製造
方法に関するもので、とりわけ大気中や各種燃焼排気ガ
スあるいは反応ガス中から酸素(O2 )や二酸化炭素
(CO2 )を分離する、特に高温の二酸化炭素(C
2 )を優先的に分離する耐熱性に優れた気体用分離膜
に好適なシリカ質の多孔質分離膜及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種気体混合物あるいは液体
混合物等の混合流体から特定成分を濾過分離する薄膜
や、触媒等の機能性材料用担体、更には電解隔壁、各種
充填材等には有機材料をはじめとする各種材料から成る
多孔質体が用いられてきた。
【0003】しかしながら、前記多孔質体に対する耐熱
性や耐薬品性、耐衝撃性、耐摩耗性等の耐久性の要求が
更に高くなるにつれ、機械的及び熱的、化学的安定性に
より優れた各種無機多孔質体が特に注目されるようにな
り種々検討されている。
【0004】その結果、前記無機多孔質体を各種用途に
適用した場合、その性能は無機多孔質体を形成するのに
用いた材料自体が有する細孔径や細孔容積、細孔径分
布、特定の物質との親和性、反応性等の特性に大きく影
響されることが明らかとなってきた。
【0005】そこで前記無機多孔質体の要求性能を実現
する方法として、例えばシリカ膜はゾルゲル法や、CV
D法、水熱合成法等の各種製造方法が採用できるが、な
かでも金属アルコキシドを原料とするゾルゲル法は高価
な製造装置を必要とせず、比較的容易に無機多孔質体を
製造できることから多くの研究がなされている。
【0006】しかしながら、前記無機多孔質体は、例え
ば多孔質膜を用いた気体分離の分野では安全かつ簡便な
ことからその適用範囲が拡がり、特定のガス成分の分離
濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、食品工業や医療用機
器、更には廃棄物処理等の分野で注目されているが、特
定のガス成分の分離を目的に、無機多孔質体の細孔径を
制御するだけでは安定した大きな分離効率は得られず、
前記産業分野の諸要求を完全には満足していない。
【0007】かかる諸要求を満足するために、例えば多
孔質ガラス表面に特定のシランカップリング剤を反応さ
せたり、あるいは更にアミノ化合物等の塩基性化合物を
反応させた、透過速度が速く、高い選択性を有する多孔
質気体分離膜や、芳香族環上の水素の一部が特定のポリ
オルガノシロキサン鎖で置換された構造を有するポリス
ルホン系グラフト共重合体より成り、とりわけ酸素(O
2 )及び二酸化炭素(CO2 )の透過分離性に優れ、ま
た水と有機物との混合流体から有機物を効果的に分離で
きる分離膜等、有機無機複合膜が提案されている(特開
平1−90015号公報、特公平6−92483号公報
参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記分離
膜はいずれも室温から数十℃の比較的低温で反応させて
有機官能基を含有する有機無機複合膜を形成したもので
あるため、前記反応温度以下の比較的低温度域での混合
流体から特定成分を分離するには優れた特性を発揮する
ものの、例えば各種燃焼排気ガスあるいは反応ガス等、
300℃にも及ぶ環境からの高温の二酸化炭素(C
2 )の分離回収等では、シリコン−アルキル基結合が
酸化されてシロキサン結合の再配列が起こる等、高温に
より微細孔構造が変質してしまう結果、安定したガス分
離特性が得られなくなるという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は前記課題に鑑み成されたもの
で、その目的は、各種気体混合物あるいは液体混合物等
の混合流体から特定成分を分離するに際して、透過率及
び選択率の両方の特性に優れ、薄膜化が容易で高い膜強
度を有し、とりわけ大気中や各種燃焼排気ガスあるいは
反応ガス中から酸素(O2 )や二酸化炭素(CO2 )を
分離する、特に高温の二酸化炭素(CO2 )を優先的に
分離する耐熱性に優れた気体用分離膜に好適なシリカ質
の多孔質分離膜及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
に対して鋭意研究を重ねた結果、シリコンアルコキシド
と、フェニル基を有するシリコンアルコキシドとの混合
アルコキシドを加水分解して作製した一般式が
【0011】
【化1】
【0012】で表される前駆体ゾルを、一定条件で焼成
し、Siの側鎖にフェニル基が結合したシロキサン結合
を有する焼成体とすることにより、従来よりはるかに耐
熱性が向上し、かつ分離膜としての諸特性が上回ること
を見いだした。
【0013】即ち、本発明の多孔質分離膜は、シリコン
(Si)の側鎖にフェニル基が結合したシロキサン結合
を有する、シリコンアルコキシドとフェニル基を有する
シリコンアルコキシドとの混合アルコキシドから成る一
般式が
【0014】
【化1】
【0015】で表される前駆体ゾルの焼成体であること
を特徴とするものである。
【0016】また、その製造方法は、アルコール溶媒中
でシリコンアルコキシドと、Si原子に直接結合した1
乃至2個のフェニル基を有するシリコンアルコキシドを
混合して混合アルコキシドを作製し、得られた混合アル
コキシドを加水分解して前記前駆体ゾルとし、それを無
機多孔質体に塗布後、酸化性雰囲気中で乾燥し、300
〜600℃の温度で焼成することを特徴とするものであ
る。
【0017】特に、前記シリコンアルコキシドと、フェ
ニル基を有するシリコンアルコキシドとの混合割合は、
モル比で80対20から30対70の範囲内であること
がより望ましく、また前記無機多孔質支持体も、γ−ア
ルミナ膜を被覆した多孔質のα−アルミナ支持体である
ことがより望ましいものである。
【0018】
【作用】本発明の多孔質分離膜及びその製造方法によれ
ば、シリコンアルコキシドと、フェニル基を有するシリ
コンアルコキシドとの混合アルコキシドを加水分解した
前駆体ゾルの焼成体で、該焼成体はフェニル基が均一に
分散したシロキサン結合を有するものであること、即
ち、多孔質分離膜の形成時に600℃までの高温で熱処
理してもフェニル基が膜中に残存することから、それ故
に大気中または各種燃焼排気ガスや反応ガス中から、3
00℃にも及ぶ高温の二酸化炭素を優先的に分離できる
とともに、耐熱性の高い分離膜となる。
【0019】また、300〜600℃での熱処理によ
り、アルコキシル基はほとんど焼失するがフェニル基は
その大部分が残存するため、特に、フェニル基は電子供
与性の強い有機官能基のために極性分子のCO2 と親和
性があり、それ故に細孔壁にフェニル基を有する多孔質
分離膜は、表面拡散機構により優先的に高いCO2 ガス
透過性を示す。
【0020】また、前記多孔質分離膜の製造方法で得ら
れる前駆体ゾルは、一般式として
【0021】
【化1】
【0022】で表される構造となることから、フェニル
基を有するシリコンアルコキシドのみで作製される前駆
体ゾルに比べ、結合手の多いシリコンアルコキシドが含
まれる分だけ膜強度の強いゲル膜を与えることができ
る。
【0023】更に、多孔質のα−アルミナ支持体表面に
表面粗さの小さなγ−アルミナ膜を被覆し、その上に前
記前駆体ゾルを塗布することにより、厚さが極めて薄い
膜を得ることができ、高いガス透過率を示す分離膜とす
ることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多孔質分離膜及び
その製造方法について詳述する。
【0025】本発明は、シリコンアルコキシドと、Si
原子に直接結合した1乃至2個のフェニル基を有するシ
リコンアルコキシドをアルコール等の有機溶媒中で混合
し、この混合アルコキシドを室温で加水分解することに
より均質で安定な前駆体ゾルが得られ、該ゾルを乾燥
後、300〜600℃の温度で焼成することにより、S
iの側鎖にフェニル基が均一に分散され結合したシロキ
サン結合を有するシリカ質の多孔質分離膜が得られると
いうものである。
【0026】本発明における多孔質分離膜は、前記焼成
過程でシロキサン結合が過度に進むことを前駆体ゾル中
に分散させたフェニル基の立体障害により阻止して細孔
構造を形成したものである。
【0027】従って、連続した細孔の網目構造を形成す
るためにはフェニル基が十分に分散しており、かつ分離
膜としての稼働する際の各種条件下で構造変化が起こら
ない様に、細孔近傍部以外は十分にシロキサン結合が発
達して焼結した構造となっていることが望ましく、その
ためには多孔質分離膜中に残留するフェニル基の量は、
原料のフェニル基を有するシリコンアルコキシドの全フ
ェニル基の70%以上であることがより望ましいもので
ある。
【0028】また、本発明においてシリコンアルコキシ
ドと、フェニル基を有するシリコンアルコキシドの混合
アルコキシドは、両アルコキシドをアルコール溶液中で
加熱還流することにより作製できる。
【0029】更に、フェニル基をゲル中に十分に分散さ
せるためには、反応性の低いシリコンアルコキシドを予
め部分加水分解した後、フェニル基を有するシリコンア
ルコキシドを添加して複合ゾルを作製し、続いて全体を
加水分解して混合アルコキシドとしても良い。
【0030】前記シリコンアルコキシドとフェニル基を
有するシリコンアルコキシドとの混合割合は特に限定さ
れるものではなく、両アルコキシドが併存すれば良い
が、多孔質分離膜の分離特性と成膜性の点からは、モル
比で80対20から30対70の範囲内であることがよ
り好適である。
【0031】前記混合アルコキシドに用いるSi原子に
直接結合したフェニル基を有するシリコンアルコキシド
は、Si原子が飽和炭化水素のCやO、N原子等と結合
した化合物に比べ、600℃の熱処理でもフェニル基が
焼失し難く焼成体中に残存するため、例えば、大気中又
は各種燃焼排気ガスや反応ガス中から、300℃にも及
ぶ高温の二酸化炭素(CO2 )等を優先的に分離できる
耐熱性の高い分離膜を作製する上で欠くことができない
ものである。
【0032】また、前記フェニル基を有するシリコンア
ルコキシドにおいて、Si原子に直接結合する前記フェ
ニル基の数は、多孔質分離膜の成膜性の点からフェニル
基以外のアルコキシル基が少なくとも2個以上必要であ
ることから、その数は1乃至2個に限定される。
【0033】一方、前記フェニル基を有するシリコンア
ルコキシドに含有されるフェニル基の量が全アルコキシ
ドの10〜50%の範囲では、該含有量が多いほど透過
係数比は大きくなるが、含有量が50%を越えると、フ
ェニル基を有するアルコキシドの割合が多くなることに
より、成膜性が低下して膜内に微小な欠陥が生じるため
と考えられるが、透過係数比は逆に小さくなる傾向を示
す。
【0034】更に、本発明におけるシリコンアルコキシ
ドとしては、テトラメトキシシランやテトラエトキシシ
ラン、テトライソプロポキシシラン、テトラノルマルブ
トキシシラン等が挙げられ、他方のフェニル基を有する
シリコンアルコキシドとしては、フェニルトリメトキシ
シランやフェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げら
れる。
【0035】特に、ゲル膜の乾燥性及び原料の経済性の
点からは、シリコンアルコキシドはテトラエトキシシラ
ンが、フェニル基を有するシリコンアルコキシドはフェ
ニルトリエトキシシランが望ましい。
【0036】また両アルコキシドの混合溶媒のアルコー
ルとしては、メタノールやエタノール、イソプロパノー
ル、n-ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール等が挙げられ、ゲル膜の濡れ性、乾燥
性、原料の溶解性並びに人体への安全性の点からは、エ
タノールが最適である。
【0037】次に、前記混合アルコキシドの加水分解方
法は、特に限定されることなく公知あるいは周知の手段
を用いることができるが、添加する水の量は全アルコキ
シドに対し、1〜10倍モルの範囲が望ましい。
【0038】これは、加水分解用の水の量が1倍モルよ
り少ないと成膜後の焼成で十分にシロキサン結合が発達
せず、機械的強度が低い膜となる傾向があり、条件によ
っては割れ等の欠陥が発生する恐れがあり、逆に前記水
の量が10倍モルを越えると、得られた前駆体ゾルの安
定性が低下する傾向がある。
【0039】また、この加水分解は、両アルコキシドを
混合した後、同時に行っても良く、他に、シリコンアル
コキシドのみを先に部分的に加水分解し、その後、フェ
ニル基を有するシリコンアルコキシドを混合した後、全
体を加水分解しても良い。
【0040】次に、無機多孔質支持体に多孔質分離膜を
形成する方法としては、特に限定されることなく公知あ
るいは周知の各種手段を適用できるが、例えば前記前駆
体ゾルを、加水分解時に用いた溶媒で所定の濃度に希釈
した後、該希釈液中に予めγ−アルミナ膜を被覆した多
孔質α−アルミナ支持体を浸漬して引き上げて塗布する
か、あるいは前記支持体に直接塗布した後、乾燥し、次
いで酸化性雰囲気中、300〜600℃の温度で焼成す
ることで作製しても良い。
【0041】本発明の多孔質分離膜は、要求される透過
率及び選択率を満足し、実用的な強度と耐熱性を有する
ためには、膜の厚さは0.5μm以下、特に0.1〜
0.3μm程度が望ましく、無機多孔質支持体とともに
用いることが望ましい。
【0042】一方、前記無機多孔質支持体としては、特
に限定されるものではないが、分離膜を支持するに十分
な強度を有し、焼成においても前駆体ゾルと反応せず、
少なくとも膜の焼成温度範囲で十分な耐熱性を有する多
孔質体であればいかなるものでも良い。
【0043】例えば、セラミックスやガラス、金属等が
挙げられ、とりわけα−アルミナ等の多孔質セラミック
スは耐熱性、耐薬品性等の点で好ましいものであるが、
多孔質α−アルミナ自体を支持体として用いた場合、そ
の大きな孔径と表面粗さ故に割れ等の欠陥のない膜を作
製するには数μmの膜厚が必要となり、透過率の著しい
低下を招くことになる。
【0044】従って、孔径と表面粗さを制御したγ−ア
ルミナ膜を中間層としてα−アルミナ多孔質体に担持し
た支持体を採用するのが最適である。
【0045】また、前駆体ゾルを塗布した後の焼成温度
は、300℃未満の温度では乾燥ゲル膜中のアルコキシ
ル基を完全に除去し、シロキサン結合をより強固にする
ことができず、600℃を越える温度では焼結が進み、
分離に必要な細孔が消失することから、300〜600
℃の温度範囲に限定され、とりわけ分離特性の点ではそ
の温度は400〜500℃がより好ましい。
【0046】また、膜の欠陥を防ぐため、前駆体ゾルの
塗布と焼成の操作を数回繰り返しても良い。
【0047】本発明の多孔質分離膜は、分離、濃縮する
対象となる混合流体が気体の場合には、例えば酸素や二
酸化炭素は勿論、水素やヘリウム、窒素、一酸化炭素、
メタン、エタン、プロパン等の混合物が、前記混合流体
が液体の場合には、分離膜と反応あるいは溶解しないも
のであればいずれも適用可能であり、例えば水や各種有
機液体が挙げられ、更にはそれらと汚泥等の無機物質を
含む混合物等の分離にも適用可能なことは言うまでもな
い。
【0048】その上、本発明の多孔質分離膜は、300
℃を越える広い範囲の温度域で使用可能であるが、分離
膜の耐熱性や耐久性の点から室温〜400℃の温度範囲
が好適に用い得るものである。
【0049】
【実施例】以下、本発明の多孔質分離膜及びその製造方
法を以下のようにして評価した。先ず、200mlフラ
スコにテトラエトキシシランを18.7g(モル比0.
9)及びフェニルトリエトキシシランを2.4g(モル
比0.1)と、32.2gのエタノールを乾燥したグロ
ーブボックス内で攪拌して混合アルコキシドを作製し
た。
【0050】次に、前記混合アルコキシドをグローブボ
ックスから取り出して室温で撹袢しながら、HCl(モ
ル比0.05)を含む水7.2g(モル比4)とエタノ
ール4.6gの混合溶液をゆっくり滴下して加水分解
し、更に3時間攪拌した後、該溶液にエタノールを加
え、濃度を0.5mol/kgに調整して前駆体ゾルを
作製した。
【0051】その後、濃度を0.5mol/kgに調整
した前駆体ゾル溶液に、予め、外径3mm、長さ250
mmのα−アルミナ多孔質管(気孔率40%)の両端外
周面をそれぞれ110mmづつガラス被覆し、中心部3
0mmには厚さ2μmのγ−アルミナを被覆した無機多
孔質支持体を、30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引
き上げ、室温で1時間乾燥した。
【0052】続いて50℃/時間の割合で500℃まで
昇温し、1時間保持した後、室温まで冷却する操作を5
回繰り返し、γ−アルミナ層上にシリカ質の膜を被着し
て評価用試料を作製した。
【0053】また、前記テトラエトキシシランとフェニ
ルトリエトキシシランのモル比を種々変更したもの、及
びフェニルトリエトキシシランに代えてジフェニルジエ
トキシシランを用いて前記同様にして評価用試料を作製
した。
【0054】尚、フェニル基を有するシリコンアルコキ
シドを混合せず、テトラエトキシシランのみで前記同様
にして作製したものを比較例とした。
【0055】かくして得られた評価用試料をガス透過率
測定装置に取り付け、該試料の管内側に50cc/分の
ヘリウムガスを、外側には窒素及び二酸化炭素ガスの1
/1混合ガスを100cc/分の割合で流し、試料の膜
部を30℃、100℃、200℃及び300℃にそれぞ
れ加熱し、前記膜を透過してくる窒素ガス及び二酸化炭
素ガスの比率(透過係数比)をガスクロマトグラフィで
評価するとともに、試料の管内外の出口ガス流量からそ
れぞれの透過率を求めた。
【0056】また、前記評価用試料の膜がSiの側鎖に
フェニル基が結合したシロキサン結合を有することを確
認するため、拡散反射法による赤外線吸収スペクトル測
定を行ったところ、シリカの赤外線吸収スペクトルとは
別の1600〜1610cm-1の波数にフェニル基の赤
外線吸収ピークが認められ、本発明の多孔質分離膜では
いずれもフェニル基の存在が確認できた。
【0057】本発明の多孔質分離膜を代表するものとし
てシリコンアルコキシドとフェニル基を有するシリコン
アルコキシドの混合割合がモル比で70対30から成
り、500℃で焼成したバルク体試料の赤外線吸収スペ
クトル測定記録図を図1に示す。
【0058】一方、前記バルク体の細孔径をAr吸着法
により測定し、その細孔径分布を図2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表から明らかなように、比較例の試料番号
29乃至32のCO2 /N2 透過係数比は、細孔壁と透
過ガスとの相互作用が無い時の理論的透過率(クヌッセ
ン拡散による透過率)である0.8とほとんど等しい値
の0.83〜0.92を示している。
【0061】それに対して、本発明ではCO2 /N2
過係数比が300℃の高温でも5.1以上と極めて大き
な透過係数比が得られており、これはフェニル基がCO
2 ガスに対し大きな親和性を有していることに加え、図
2に示すように本発明の多孔質分離膜が1nm以下の非
常に狭い細孔径分布を有していることから、高いCO2
選択性を示したものと考えられる。
【0062】尚、本発明の多孔質分離膜及びその製造方
法は前記実施例に限定されるものではない。
【0063】
【発明の効果】叙上の如く、本発明の多孔質分離膜及び
その製造方法によれば、シリコンアルコキシドと、フェ
ニル基を有するシリコンアルコキシドを混合し、この混
合アルコキシドを加水分解することにより得た前駆体ゾ
ルを乾燥後、300〜600℃の温度で焼成して作製し
たSiの側鎖にフェニル基が結合したシロキサン結合を
有するシリカ質の多孔質分離膜は、フェニル基とSi原
子が直接結合した構造を有するため、膜形成時、600
℃までの高温で熱処理してもフェニル基は膜中に残存し
てフェニル基近傍のシロキサン結合が過度に進むことが
抑制されることから、1nm以下の微細孔構造が保持さ
れる。
【0064】その結果、各種気体混合物あるいは液体混
合物等の混合流体から特定成分を分離するに際して透過
率及び選択率の両方の特性に優れ、薄膜化が容易で高い
膜強度を有し、とりわけ大気中や各種燃焼排気ガスある
いは反応ガス中から酸素(O2 )や二酸化炭素(C
2 )を分離する、特に、300℃以上の高温の二酸化
炭素(CO2 )を優先的に分離する膜が得られ、表面粗
さの小さいγ−アルミナ膜を被覆した多孔質のα−アル
ミナ支持体を用いて分離膜を形成した場合には、0.5
μm以下の極めて厚さの薄い欠陥のない耐熱性に優れた
分離膜が得られ、高いガス透過率を要求される気体用分
離膜に好適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質分離膜の代表例について、赤外
線吸収スペクトルを測定した時の記録図である。
【図2】本発明の多孔質分離膜の代表例の細孔径分布を
示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンアルコキシドと、フェニル基を有
    するシリコンアルコキシドとの混合アルコキシドを加水
    分解して得た前駆体ゾルの焼成体から成り、該焼成体が
    シリコン(Si)の側鎖にフェニル基が結合したシロキ
    サン結合を有することを特徴とする多孔質分離膜。
  2. 【請求項2】シリコンアルコキシドと、Si原子に直接
    結合した1乃至2個のフェニル基を有するシリコンアル
    コキシドをアルコール溶媒中で混合し、得られた混合ア
    ルコキシドを加水分解し、一般式が 【化1】 で表される前駆体ゾルを作製した後、該前駆体ゾルを無
    機多孔質支持体に塗布して乾燥し、次いで酸化性雰囲気
    中、300〜600℃の温度で焼成することを特徴とす
    る多孔質分離膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記シリコンアルコキシドと、フェニル基
    を有するシリコンアルコキシドとの混合割合が、モル比
    で90対10から30対70の範囲内であることを特徴
    とする請求項2記載の多孔質分離膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記無機多孔質支持体が、γ−アルミナ膜
    を被覆した多孔質のα−アルミナ支持体であることを特
    徴とする請求項2記載の多孔質分離膜の製造方法。
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