JP2000157853A - ガス分離フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

ガス分離フィルタおよびその製造方法

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JP2000157853A
JP2000157853A JP1757999A JP1757999A JP2000157853A JP 2000157853 A JP2000157853 A JP 2000157853A JP 1757999 A JP1757999 A JP 1757999A JP 1757999 A JP1757999 A JP 1757999A JP 2000157853 A JP2000157853 A JP 2000157853A
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gas
pores
gas separation
separation filter
alkoxide
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Youji Seki
洋二 積
Hitohide Oshima
仁英 大嶋
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定の分子径を有するガスを含有する混合ガス
から該特定の分子径を有するガスを選択的かつ効率的に
分離するのに好適なガス分離フィルタおよびその製造方
法を提供する。 【解決手段】多孔質支持体2の少なくとも一方の表面に
通気性を有するSiを含有し、環状のシロキサン結合に
よって形成された複数の細孔4、5を有する非晶質の酸
化物からなる分離膜3を被着形成したガス分離フィルタ
であって、前記複数の細孔4、5のうち、一部の細孔5
が、細孔5を形成する前記環状シロキサン結合の側鎖に
結合した特定の官能基によって閉塞されてなり、閉塞さ
れた細孔5以外の細孔4によってガスを透過させてガス
分離を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のガスを含有
する混合気体から特定のガスを分離するに際して、ガス
分離特性に優れるとともに、耐食性および耐熱性に優れ
たガス分離フィルタおよびその製造方法に関するもの
で、とりわけ2種以上の異なる分子径のガス中から特定
の分子径のガスを分離することができる優れたガス分離
性能を有するガス分離フィルタおよびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、各種ガスを含有する混合気体中
から特定ガスを濾過分離するフィルタを始め、触媒担持
体や電解隔壁等として多孔質体が用いられているが、安
全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がっている。中
でも、多孔質体を用いたガス分離濃縮技術は各種燃焼機
関をはじめ、食品工業や医療用機器、更には廃棄物処理
等の分野でも注目されている。
【0003】従来、この種の多孔質体としては、有機樹
脂等の高分子からなるものが使用されているが、ガスの
透過速度が遅く、また、フィルタの耐熱性および耐食性
が悪いために酸性やアルカリ性のガスを含む混合ガスや
高温のガスに対しては使用することができないものであ
り、近年、耐熱性および耐食性に優れた各種無機材料か
らなる多孔質体が特に注目されるようになり種々検討さ
れている。
【0004】ガス分離フィルタとしては、ゾルゲル法や
CVD法、水熱合成法、電極酸化等の製造方法が採用さ
れ、多くの研究がなされており、例えば、特開平8−3
8864号公報および特開平10−85568号公報で
は、多孔質支持体の表面にSiO2 膜をCVD法により
担持させたガス分離膜が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8−38864号公報および特開平10−85568号
公報に開示されたガス分離膜は、SiO2 膜中に存在す
る細孔の径を特定の範囲に制御することが困難であり、
分子ふるい効果により特定の分子径のガスのみを分離す
ることは難しかった。
【0006】また、上記の分離膜はいずれも化学メッキ
法やCVD法といった手法で製造されており、製造条件
の煩雑さ、製造設備の複雑化を避けられず、容易に製造
することができないという問題があり、また、多孔質支
持体の表面の細孔内にもガス分離用のSiO2 膜が堆積
するために、ガスが透過すべきSiO2 膜の総厚みが厚
くなり、ガス分離効率が低下するという問題があった。
【0007】本発明は上記の課題に鑑みなされたもの
で、その目的は、特定のガスを含む複数の混合ガス中か
ら該特定のガスを分離するガス分離フィルタにおいて、
透過率及び透過係数比等のガス分離特性に優れたガス分
離フィルタおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
に対して鋭意研究を重ねた結果、多孔質支持体表面にS
iを含有し、環状のシロキサン結合によって形成された
複数の細孔を有する非晶質の酸化物からなる分離膜を被
着するガス分離フィルタにおいて、前記分離膜における
大きな細孔を、下記化1
【0009】
【化1】
【0010】で表される官能基によって閉塞することに
より、分離膜内の細孔径を制御することができ、複数の
混合ガス中から特定のガスを選択的に分離することが可
能なガス分離フィルタが得られることを見出した。
【0011】即ち、本発明のガス分離フィルタは、多孔
質支持体の少なくとも一方の表面に通気性を有するSi
を含有し、環状のシロキサン結合によって形成された複
数の細孔を有する非晶質の酸化物からなる分離膜を被着
形成したガス分離フィルタであって、前記複数の細孔の
うち、一部の細孔が、該細孔を形成する前記環状シロキ
サン結合の側鎖に結合した一般式が前記化1で表される
官能基によって閉塞されてなり、前記閉塞された細孔以
外の前記細孔によってガスを透過させてガス分離を行な
うことを特徴とするものである。
【0012】なお、前記化1におけるR1 、R2 、R3
が、アルキル基、特にメチル基であることを特徴とする
ことが望ましい。
【0013】また、前記ガスを透過させる前記細孔の径
が、1nm以下であることが望ましい。さらに、前記分
離膜中にZrを含有することが望ましく、前記Siと前
記Zrとの混合比(Zr/Si)が、0.01〜0.5
の割合からなることが望ましい。
【0014】また、本発明のガス分離フィルタの製造方
法は、(a)シリコンアルコキシドを加水分解して前駆
体ゾルを作製する工程と、(b)該前駆体ゾルを多孔質
支持体の少なくとも一方の表面に塗布して乾燥した後、
350〜600℃の温度で焼成して前記多孔質支持体の
少なくとも一方の表面に、環状のシロキサン結合によっ
て形成された細孔を多数有する非晶質の酸化物膜を形成
する工程と、(c)該酸化物膜の表面に一般式が下記化
【0015】
【化2】
【0016】または化3
【0017】
【化3】
【0018】で表されるクロル基またはアルコキシル基
を有する閉塞性物質、特にトリメチルクロロシランを接
触せしめることによって、一部の前記細孔内に存在し、
かつシロキサン結合のSiの側鎖に結合した水酸基の一
部と前記閉塞性物質の前記クロル基またはアルコキシル
基とを反応させ、前記一部の細孔内を前記化1で表され
る官能基によって閉塞する工程と、を具備することを特
徴とするものである。
【0019】ここで、前記工程(c)において、前記閉
塞性物質の蒸気を分離膜中の一部の細孔内に接触させる
ために、前記分離膜表面の裏面を減圧することが望まし
い。
【0020】また、前記工程(a)において、前記シリ
コンアルコキシドがテトラアルコキシシランと一般式が
下記化4
【0021】
【化4】
【0022】および/または化5
【0023】
【化5】
【0024】で表される他のアルコキシシラン、特にプ
ロピルトリアルコキシシランおよび/またはビス(トリ
アルコキシシリル)プロパンでの混合物であることが望
ましい。
【0025】さらに、前記シリコンアルコキシド全量中
における前記他のアルコキシシランの含有量が、5〜5
0モル%であることが望ましい。
【0026】
【作用】本発明のガス分離フィルタによれば、分離膜が
Siからなる酸化物によって構成され、金属成分を含ま
ないために、酸やアルカリに対する耐食性を向上でき
る。
【0027】また、前記シロキサン結合の一部は環状体
となり、これにより細孔が形成されているが、該細孔の
うち大きな細孔径を有する一部の細孔を、該細孔内に存
在する前記シロキサン結合のSiの側鎖に前記化1で表
される官能基を結合させることに、前記一部の細孔を閉
塞することができる。
【0028】これにより、分離膜内の細孔を特定のガス
のみが透過できる大きさに制御することができ、前記細
孔径よりも小さい分子径を有するガスのみを選択的に透
過すること、すなわち分子ふるいの効果を発揮すること
ができることから、種々の分子径を有する複数のガス中
から特定の大きさの分子径を有するガスを選択的に分離
することが可能となる。
【0029】さらに、前記化1で表される官能基の大き
さを変えることにより、分離できるガス種を選択するこ
とができる。
【0030】また、分離膜中にSi−Oで表されるシロ
キサン結合間にZrを介在させることによりシロキサン
結合の安定性を高めることができ、高温下および/また
は水分の存在化においても結合状態が変化することな
く、細孔径が変化することがないことから、耐熱性を高
めることができるともに、耐水性、さらには耐食性をも
高めることができる。
【0031】また、本発明のガス分離フィルタの製造方
法によれば、複数の環状シロキサン結合からなる細孔を
有する酸化物膜に対して、特に前記酸化物膜の裏面側を
減圧することにより、前記化2または化3で表されるク
ロル基あるいはアルコキシル基を有する閉塞性物質を前
記大きな細孔径を有する一部の細孔内に挿入し、シロキ
サン結合の側鎖に結合する水酸基と前記閉塞性物質のク
ロル基あるいはアルコキシル基とを反応させ、前記一部
の細孔を前記化1で表される官能基によって閉塞するこ
とができる。
【0032】さらに、前記シリコンアルコキシドとして
テトラアルコキシシランと前記化4または化5で表され
る他のアルコキシシランとからなることにより、前記他
のアルコキシシランの炭化水素基がゾル形成時に立体的
な障害となる、すなわち加水分解によるシロキサン結合
形成時に該炭化水素基の周囲を取り囲むように環状のシ
ロキサン結合が形成されるために、ゾル中に前記炭化水
素基によって形成されるシロキサン結合の環状体、すな
わち細孔骨格を形成できる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明のガス分離フィルタの一例
について、その一部拡大図を図1に示す。本発明のガス
分離フィルタ1は、多孔質支持体(以下、支持体と略
す。)2と、支持体2の少なくとも一方の表面に形成さ
れたSiを含有する非晶質の酸化物からなる分離膜( 以
下、分離膜と略す。) 3とからなるものである。
【0034】(分離膜)分離膜3としては、基本的にS
i−O−Siで表されるシロキサン結合を有する非晶質
シリカからなることが細孔径を制御する上で重要であ
り、また、そのSiの一部をZrで置換した構造である
ことが、耐熱性および耐水性を高める上で望ましい。
【0035】なお、前記Siと前記Zrとの混合比(Z
r/Si)は、耐熱性および耐水性向上と製造時に生じ
るゾルの安定性の点で、0.01〜0.5、特に0.1
〜0.3の割合からなることが望ましい。
【0036】また、本発明によれば、前記シロキサン結
合のうちの一部は環状となり、これによりサブnm〜数
nm程度の細孔4、5が形成されているが、図2に示す
分離膜3の一部拡大図からわかるように該細孔のうち大
きな細孔径を有する一部の細孔5は、下記化1
【0037】
【化1】
【0038】で表される官能基によって閉塞されている
ことが大きな特徴である。
【0039】これにより、分離膜内の細孔径を特定のガ
スのみが透過可能な大きさに制御することができ、種々
の分子径を有する複数のガスから特定の大きさの分子径
を有するガスを選択的に分離することが可能となる。
【0040】さらに、前記化1で表される官能基は、上
述した分離膜3中の前記一部の細孔内に存在する他、分
離膜3の表面のSiとも結合し、分離膜3の表面にも存
在してもよいが、この場合、前記分離膜表面に存在する
官能基は、それ自身が高分子化し膜状になると、分離膜
3中に存在する前記一部の細孔以外の細孔上を覆うこと
になり該細孔をも閉塞する恐れがあるために、高分子化
せず単体で存在することが望ましい。
【0041】また、ガス分離特性の向上の点で、分離膜
3の平均細孔径は、分離するガス種によって制御する、
例えば、CO2 ガスと窒素ガスを分離する場合、0.3
5〜0.4nm、エタンガスとプロパンガスを分離する
場合、0.40〜0.45nm、n−ブタンとi−ブタ
ンを分離する場合、0.45〜0.50nmであること
が望ましい。また、分離膜3の膜厚は、分離効率を高め
る上で、0.01〜1μm、特に0.1〜0.5μmで
あることが望ましい。
【0042】さらに、支持体2の表面に被着形成される
分離膜3は、支持体2との界面に反応生成物を生じるこ
とがなく、支持体2の表面に層状に被覆され、平滑な表
面を形成することが望ましい。
【0043】(支持体)一方、支持体2としては、、ガ
スを透過でき、かつ構造体として必要な強度を有すると
ともに、分離膜3の成膜性を高める点で、0.05〜2
μmの細孔径を有することが望ましい。また、分離膜3
の成膜性を高める上で、支持体2は平滑な表面を有する
ことが望ましい。
【0044】また、高い圧力をかけることなく混合ガス
が支持体2中を透過するためには、支持体2は20%以
上の気孔率を有することが望ましく、また、支持体2の
強度を確保し、フィルタ1を組み立てる際に、支持体が
破損したり、操作中に支持体2を構成する粒子が脱粒す
ることを防止するためには、支持体2の気孔率が30〜
50%であることが望ましい。
【0045】支持体2としては、α−アルミナや安定化
ジルコニアを主成分とするセラミックスやシリカ系ガラ
ス( 分相ガラス) 等によって形成できるが、耐熱性が高
いこと、容易に作製できること、コストの点でα−アル
ミナを主成分とするセラミックスからなることが望まし
い。
【0046】また、分離膜3の成膜性を高める上で、支
持体2は表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmの平滑
な表面を得有することが望ましい。
【0047】(中間層)また、支持体2と分離膜3との
間には通気性を有する中間層( 以下、中間層と略す。)
6が介在することが望ましい。これにより、分離膜3の
支持体2への成膜性が向上することから、分離膜3の厚
みを薄くすることができ、ガス分離の処理速度が向上す
る。
【0048】ここで、中間層6の平均細孔径は、ガスの
透過速度および分離膜3の成膜性の点で、支持体2の平
均細孔径よりも小さく、かつ分離膜3の平均細孔径より
も大きいことが望ましく、具体的には1〜10nm、特
に2〜5nmであることが望ましい。
【0049】また、中間層6は、支持体2および分離膜
3との間に反応生成物を生じず、支持体2の表面を層状
に覆い、平滑な表面を形成するものであればよい。
【0050】かかる中間層6としては、例えば、支持体
2としてα−アルミナ質セラミックスを用いる場合、γ
−アルミナが好適である。
【0051】(フィルタ)フィルタとしての支持体2の
形状は、特に限定されるものではなく、平板状や管状体
のいずれでも良いが、ガスの分離効率およびフィルタの
取り扱いを考慮すれば管状体であることが望ましい。
【0052】上記の場合、管状体の径は、単位体積当た
りに占める分離膜3の面積割合を増し、ガスの分離効率
を高める上では、内径2mm程度が望ましく、また、取
り扱いに支障のない強度を保つため、管状体の肉厚が
0.3〜1mmであることが望ましい。また、平板形状
のフィルタの場合には、支持体2の厚みは、強度の点で
0.3mm以上であることが望ましい。
【0053】上記構成においては、分離膜3は支持体2
の内面および/または外面に被着形成されるが、分離膜
3の厚みは、ガス分離の処理速度向上の点およびピンホ
ール等の欠陥のない分離膜を作製できる点で0.1〜1
μmであることが望ましい。
【0054】本発明のガス分離フィルタ1は、フィルタ
1の一方の表面に特定のガスを含む混合ガスを流すとと
もに、フィルタ1の反対側の面で前記混合ガス中の前記
特定のガス分圧を低めることにより、該特定のガスを支
持体2および分離膜3を介して選択的に他方の表面へ透
過させることにより、前記混合ガスから前記特定のガス
を効率よく分離することができる。
【0055】ガスの透過経路としては、支持体2を透過
した後、分離膜3を透過してもよく、逆に、分離膜3を
透過した後、支持体2を透過してもよい。また、支持体
2が管状体形状からなる場合には、管状体の内に混合ガ
スを流し、管状体の外部にガスを透過させ、分離、回収
することもでき、逆に、管状体の外部に混合ガスを流し
ながら、管状体の内部にガスを透過させることもでき
る。
【0056】ガス分圧を低める方法としては、特定のガ
スの排出面側に該特定のガス以外のガスを流すこともで
きるが、該特定のガスを含む混合ガス供給面側の気圧よ
りもガス排出面側の気圧を低めることにより、より効率
的に前記特定のガスの分離が可能である。
【0057】また、上記気圧差を設ける方法としては、
ガス排出面側を減圧する方法、前記特定のガスを含む混
合ガス供給面側を加圧する方法、さらに、上記2つの方
法を併用する方法が挙げられる。
【0058】(モジュール)本発明のガス分離フィルタ
を用いて特定のガスを分離するガス分離装置の一例を図
2に示す。図2によれば、ガス分離装置11は、内径1
〜5mm、肉厚0.2〜1mm、長さ50〜500mm
の円筒形状のガス分離フィルタ12を数〜数100本
が、固定用部材13で固定され、更にハウジング14中
に接着固定されている。
【0059】固定用部材13およびハウジング14は、
塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂、ステンレス等の金
属、アルミナやジルコニア等の緻密質セラミックスまた
はガラス等のガスを透過しないものによって形成される
が、ハウジング14については、系内を加圧または減圧
する場合および/または加熱する場合には、ステンレ
ス、金属、セラミックス等の機械的強度が高いものが好
適である。
【0060】また、固定用部材13については、高温で
利用する場合、ハウジングとフィルタとの熱膨張差によ
る応力集中を防止できるような構造でハウジングに固定
されることが望ましい。
【0061】さらに、ハウジング14には、系内に混合
ガスを導入するための混合ガス導入口15、ガス分離フ
ィルタ12表面を通過した混合ガスを系外へ排出するた
めの混合ガス排出口16、および透過ガス排出口17が
形成され、上記3個所にてのみガスが出入りする。
【0062】ガス分離装置11によれば、系内に気圧差
を設けることができ、例えば、透過ガス排出口17に真
空ポンプ( 図示せず。) を接続してガス分離フィルタ1
2の外周表面の気圧を下げることができる。
【0063】(製造方法)次に、本発明のガス分離フィ
ルタを製造する方法の一例について説明する。まず、シ
リコンアルコキシドを準備する。シリコンアルコキシド
としては、テトラアルコキシシランと一般式が下記化4
【0064】
【化4】
【0065】および/または化5
【0066】
【化5】
【0067】で表される他のアルコキシシランとからな
ることが望ましい。
【0068】具体的には、テトラアルコキシシランとし
ては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランお
よびテトラプロポキシシラン等が挙げられ、原料コスト
および成膜性の点でテトラメトキシシランまたはテトラ
エトキシシランを用いることが望ましい。
【0069】また、前記他のアルコキシシランとして
は、その一部である炭化水素基がゾル形成時に立体的な
障害となり、ゾル中に所望の大きさの細孔骨格を形成で
きるが、例えばCO2 とN2 等の無機ガスの分離、また
はメタンガス等低級の有機ガスの分離を行う場合には、
プロピルトリアルコキシシランまたはビス(トリアルコ
キシシリル)プロパンを用いることが望ましい。
【0070】また、分離特性向上および欠陥のない分離
膜を作製するためには、前記テトラアルコキシシラン全
量中の前記他のアルコキシシランの含有量が、5〜50
モル%であることが望ましい。
【0071】また、上記シリコンアルコキシドに対し
て、ジルコニウムアルコキシド、具体的には、テトラエ
トキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、
テトラブトキシジルコニウム等から選ばれる少なくとも
1種を添加することが望ましいが、アルコールへの溶解
性、ゲルの成膜性の点から、中でもテトラエトキシジル
コニウム、テトラプロポキシジルコニウムが望ましく、
前記シリコンアルコキシド全量中における前記他のアル
コキシシランの含有量は、耐熱性および耐水性向上と製
造時に生じるゾルの安定性の点で、5〜50モル%、特
に10〜30モル%の割合からなることが望ましい。
【0072】次に、上記それぞれのアルコキシドを溶媒
に溶解させる。該溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノー
ル、2−エトキシエタノール等のアルコールが好適に用
いられるが、前記アルコシキドの溶解性およびゲルの支
持体への親和性および乾燥性等の成膜性の点で、メタノ
ールまたはエタノール等の低級アルコールが最適であ
る。
【0073】また、テトラアルコキシシランについて
は、溶媒とともにテトラアルコキシシラン1molに対
して1〜3molの水を酸等とともに添加し、部分的に
加水分解することが望ましく、これによりテトラアルコ
キシシランの加水分解された部分が前記他のアルコキシ
シランおよびジルコニウムアルコキシドと反応すること
によって溶液中の組成の均質性を高めることができる。
【0074】次に、上記のアルコキシド溶液を混合し、
窒素気流下で攪拌して複合アルコキシドを作製した後、
これに所定の濃度の水、酸等を添加する公知の加水分解
方法によって加水分解し、ゾルを作製する。なお、前記
加水分解のために添加する水の量としては、アルコキシ
ド溶液中のSi1モルに対して1〜20モルが望まし
い。
【0075】すなわち、前記水の量が1モルより少ない
と加水分解が十分でなく、シロキサン結合が進行しない
ために成膜性が悪く、膜内にクラックが生じたり、膜の
剥離が生じるためであり、前記水の量が20モルより多
いと、加水分解が急激に進行しすぎ、沈殿等が生じて安
定なゾルを得ることができないからである。
【0076】一方、多孔質支持体を製造するには、例え
ば、平均粒径0.1〜2.0μmのアルミナ原料に、所
定量のバインダ、潤滑剤、可塑剤、水等を添加、混合し
た後、該混合物をプレス成形、押し出し成形、射出成
形、冷間静水圧成形等の公知の成形手段によって成形す
る。その後、該成形体を大気中、1000〜1500℃
にて焼成することにより多孔質支持体を得ることができ
る。
【0077】この支持体としては、前述した材質、気孔
率、平均細孔径を有するとともに、表面粗さ(Ra)
0.1〜2μmの平坦な表面を有することが望ましく、
また、内径2mm、肉厚0.3〜1mmの管状体である
ことが望ましい。
【0078】また、中間層を形成する方法としては、例
えば、アルミニウムセカンダリーブトキシド等のアルミ
ニウムアルコキシドを加水分解することによってベーマ
イトゾルを作製し、上記の多孔質支持体の表面に前記ベ
ーマイトゾルを被着形成する。
【0079】前記支持体表面に前記ベーマイトゾルを被
着する方法としては、前記ベーマイトゾルを塗布または
注入する方法、または前記ベーマイトゾル溶液中に前記
多孔質支持体を含浸して引き上げる方法が好適に用いら
れる。
【0080】その後、前記被着形成したベーマイトゾル
を乾燥しゲル化し、これを大気中、400〜900℃、
特に400〜600℃で熱処理することにより支持体表
面に中間層を被着形成することができる。焼成温度につ
いては、400℃より低いと中間層の支持体への結合力
が弱く中間層が剥離してしまうためであり、また、90
0℃より高いと、焼結が進行しすぎてしまい中間層の細
孔径が大きくなり、所望の細孔径を得ることができない
ためである。
【0081】次に、上記の多孔質支持体または中間層の
表面に前記SiとZrとを含むゾルを中間層形成方法と
同様の方法により被着形成し、これを乾燥しゲル化す
る。
【0082】そして、前記SiとZrとを含むゲルを被
着形成した支持体を、大気中、350〜600℃、特に
400〜500℃で熱処理することによりゲル内でSi
−Oのシロキサン結合が進行し、強固な膜となるととも
に、前記有機官能基が熱処理により分解、除去され細孔
が生成する。
【0083】焼成温度を上記範囲に限定した理由は、焼
成温度が350℃より低いと、シロキサン結合を強固な
ものとすることができず、安定な膜を形成することがで
きないとともに、前記有機官能基の分解、除去が不完全
であり、所望の径の細孔を得ることができない。また、
焼成温度が600℃より高い場合には、酸化物膜が結晶
化して、膜中の細孔が消失してしまう。
【0084】本発明においては、上記のようにして得ら
れた酸化物膜に対して、乾燥雰囲気下にて一般式が下記
化2
【0085】
【化2】
【0086】または化3
【0087】
【化3】
【0088】で表されるクロル基またはアルコキシル基
を有する閉塞性物質を接触せしめ、大きな細孔径を有す
る一部の細孔内に浸透させることにより、前記一部の細
孔内に存在するシロキサン結合の側鎖に結合した水酸基
の一部と、前記閉塞性物質のクロル基またはアルコキシ
ル基とを反応させることにより、前記化1で表される官
能基を前記シロキサン結合の側鎖に結合させ、該官能基
よりも大きな前記一部の細孔を閉塞することが重要であ
る。
【0089】具体的な方法としては、前記閉塞性物質の
蒸気を前記酸化物膜の表面に吹き付ける方法、または前
記方法に加えて前記酸化物膜の反対側の面を減圧し、前
記一部の細孔内に前記閉塞性物質の蒸気を透過させる方
法、または前記閉塞性物質が液体の場合には、その液体
中に前記酸化物膜を含浸させる方法等が挙げられる。
【0090】なお、前記閉塞性物質の蒸気を得るには、
ジクロロシラン等の室温でガスとして存在する物質につ
いてはそのガスを、また、室温で液体として存在する物
質については、その物質の液体中に窒素等をバブリング
して前記閉塞性物質が気化した混合ガスを用いればよ
い。
【0091】ここで、上記反応については、前記酸化物
膜表面に存在するシロキサン結合の側鎖の水酸基とも結
合するが、前記閉塞性物質が2つ以上のクロル基または
アルコキシル基を有する場合、Siと結合する水酸基の
一部との反応により1つのクロル基が置換されるが、高
い反応性を有する他のクロル基またはアルコキシル基が
残存する。そのために水分の存在により該閉塞性物質自
体が重合反応を生じ、高分子化してしまう。そして、前
記酸化物膜の表面に前記閉塞物質からなる高分子膜が形
成され、前記分離膜内に存在する前記一部の細孔以外の
細孔をも閉塞してしまい、分離膜として機能が失われる
恐れがある。そのために、前記工程においては、乾燥状
態で行なうことが望ましい。
【0092】そして、上記工程の後に、得られた膜の表
面に水蒸気を接触させて前記酸化物膜の表面あるいは前
記閉塞性物質が反応した細孔内に残存するクロル基また
はアルコキシル基を水酸基に置換することが望ましい。
具体的な水蒸気の接触方法としては、前述した閉塞性物
質の接触方法と同様な方法を用いることができる。
【0093】さらに、前記クロル基またはアルコキシル
基1つを有する閉塞性物質についても、反応性を高める
上で乾燥状態で接触、反応させることが望ましい。
【0094】すなわち、かかる系においては、上述した
工程により分離膜中に存在する前記大きな細孔径を有す
る一部の細孔を閉塞することにより、分離膜中の細孔径
を特定の範囲に制御することができるものであり、これ
により分子径の異なる複数のガスから特定の分子径を有
するガスを優先的に透過させることができる。
【0095】
【実施例】先ず、テトラエトキシシランに対して、水
0.7molおよびHCl0.07molを含むエタノ
ール溶液を添加、混合して部分加水分解ゾルを作製し、
これに表1に示すシリコンアルコキシドのエタノール溶
液を添加し、窒素気流下で攪拌し、次いで表1 に示す量
のジルコニウムアルコキシドのエタノール溶液を添加し
て複合アルコキシドを作製した。
【0096】次に、上記複合アルコキシドに水9.3m
olとエタノールの混合溶液を添加し加水分解して、更
に3時間攪拌し、前駆体ゾルを作製した。
【0097】一方、純度99.9%、平均粒径0.1μ
mのアルミナに対し、所定量の有機バインダ、潤滑剤、
可塑剤および水を添加、混合し、押し出し成形にて管状
体に成形した後、大気中、1200℃にて焼成して、内
径2mm、肉厚0.4mm、長さ250mmの管状体
で、平均粒径0.2μm、気孔率39%を有するα−ア
ルミナ質多孔質支持体を作製した。さらに、得られた支
持体について表面粗さ(Ra)0.3μmとなるように
加工した。
【0098】また、水100molに対してセカンダリ
ーブトキシドを1mol添加して加水分解し、さらに硝
酸0.07molを添加した後、16時間還流してベー
マイトゾルを作製した。そして、上記の支持体の先端部
に栓をして、前記ベーマイトゾル溶液内に含浸して60
秒間保持し、5mm/秒の速度で排出し、室温で1時間
乾燥してベーマイトゾルをゲル化した後、前記ゲルを被
着形成した支持体を大気中、500℃で焼成する工程を
4回繰り返して前記α−アルミナ質多孔質支持体の表面
にγ−アルミナからなる中間層を被着形成した。
【0099】そして、得られた前駆体ゾル溶液中に、前
記中間層を被着形成した支持体を、30秒間浸漬し、5
mm/秒の速度で引き上げ、室温で1時間乾燥した後、
引き続いて表1に示す焼成温度で1時間保持し、その
後、室温まで冷却した。この浸漬、乾燥、焼成の一連の
操作を4回繰り返し、γ−アルミナ層上に酸化物膜を被
着形成した。
【0100】次に、上記の酸化物膜が形成された支持体
の一方の端面をシリコン樹脂で封止するとともに、他方
の端面に真空ポンプを接続して200torrに減圧し
ながら、乾燥窒素雰囲気下、200℃にて1時間保持
し、乾燥した。その後、室温に冷却後、乾燥雰囲気下で
表1に示す閉塞性物質を前記分離膜に接触させた。
【0101】なお、前記接触方法としては、分離膜の反
対側の面を200torrに減圧しながら、ジクロロシ
ランについてはそのガスを、また、その他の液体の物質
については、その液体中に窒素を100ml/secの
流速でバブリングして前記閉塞性物質が気化した混合ガ
スを酸化物膜側の面に流して前記酸化物膜の細孔内に接
触させた。
【0102】また、比較例としてシリコンアルコキシド
を添加しないもの(試料No.23)、閉塞性物質との
接触処理をしないもの(試料No.1、7、13、1
9)を上記と同様にして作製した。
【0103】得られた試料に対して、SEM観察により
外観検査を行なった。また、アルゴン吸着法により分離
膜の平均細孔径を求め、ICP分析によりSiとZrの
モル量を測定し、Zr/Si比を算出した。さらに、上
記と同様の方法により作製した20mm角の平板形状の
支持体について、その一方の表面に上記と同様にして中
間層および分離膜を形成し、分離膜のX線回折測定を行
ない、結晶相を分析した。結果は、表1に示した。
【0104】
【表1】
【0105】また、得られたフィルタ1本を用いて前述
のガス分離装置11を作製し、該フィルタを200℃に
加熱し、管内側に表2に示す2種の等モルのガスからな
る混合ガスを100cc/minの流速で流すととも
に、5×104 Paに加圧し、透過ガス排出口17で回
収されるガスについて、膜流量計によりガスの全流量
を、ガスクロマトグラフィを用いてフィルタを透過した
表2に示すガスAの濃度を測定し、それぞれの透過量を
算出し、さらに、ガスAの透過量/(膜面積×差圧×時
間)で表されるガスAの透過率を算出した。
【0106】また、同様にしてガスBの透過率を求め、
ガスAの透過係数比α(ガスAの透過率/ガスBの透過
率)を求めた。
【0107】なお、上記の測定に際しては、測定前に各
温度のHeガスを1時間流してフィルタが200℃とな
った状態で、評価を行なった。結果は、表2に示した。
【0108】
【表2】
【0109】表1、表2から明らかなように、閉塞性物
質を反応させなかった試料No.1、7、13、19
は、平均細孔径を所望の範囲に制御することができず、
ガスAの透過係数比αは低いものであった。また、分離
膜が結晶化してしまった試料No.4では、細孔が消失
してしまい、ガスを透過することができなかった。さら
に、Siを含有しない試料No.23では、分離膜内に
クラックが発生し、ガス分離を行うことができなかっ
た。
【0110】これに対して、本発明の範囲内のガス分離
フィルタは、ガスAの透過係数比αが18以上の優れた
ガス分離特性を示した。
【0111】さらに、試料No.14と試料No.22
のガス分離フィルタについて、350℃の温度にて上記
と同様のエタンガスとプロパンガスのガス分離特性を評
価したところ、それぞれのエタンガスの透過係数比αが
610、3.0となり、Zrを添加することにより耐熱
性が向上することがわかった。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明のガス分離
フィルタによれば、大きな細孔径を有する一部の細孔を
特定の官能基によって閉塞することにより、細孔径を制
御することができ、特定の分子径を有するガスの分離特
性が向上する。
【0113】また、Siの酸化物からなるために、耐食
性に優れるとともに、分離膜内にZrを含有させること
により、耐熱性および耐水性に優れたガス分離フィルタ
を作製することができる。
【0114】さらに、本発明のガス分離フィルタの製造
方法によれば、シリコンアルコキシドとして有機官能基
を有するトリアルコキシシランを含有することから、ゾ
ル形成時に複数の環状のシロキサン結合体を形成でき、
これを所定の温度で熱処理することによりnmオーダー
の細孔径を有する微細な細孔を残存させることができ
る。
【0115】また、前記細孔のうち、大きな細孔径を有
する一部の細孔については、該細孔内で閉塞性物質を反
応させることにより閉塞することができ、これにより分
離膜の細孔径を制御することができることから特定の分
子径を有するガスを優先的に透過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス分離フィルタの一部拡大図であ
る。
【図2】本発明のガス分離フィルタにおける分離膜の一
部拡大図である。
【図3】本発明のガス分離フィルタを組み込んだガス分
離装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガス分離フィルタ 2 多孔質支持体 3 分離膜 4、5 細孔 6 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA41 HA26 HA41 JA13A JA25A KA12 KE06Q KE16R KE30R MA02 MA07 MA22 MA31 MB04 MB15 MC03X MC65X NA46 NA49 NA54 NA62 PB18 PB19 PB63 PB64 PB68

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質支持体の少なくとも一方の表面に、
    通気性を有するSiを含有し、環状のシロキサン結合に
    よって形成された複数の細孔を有する非晶質の酸化物か
    らなる分離膜を被着形成したガス分離フィルタであっ
    て、前記複数の細孔のうち、一部の細孔が、該細孔を形
    成する前記環状シロキサン結合の側鎖に結合した、一般
    式が下記化1 【化1】 で表される官能基によって閉塞されてなり、前記閉塞さ
    れた細孔以外の前記細孔によってガスを透過させてガス
    分離を行なうことを特徴とするガス分離フィルタ。
  2. 【請求項2】前記化1におけるR1 、R2 、R3 が、ア
    ルキル基であることを特徴とする請求項1記載のガス分
    離フィルタ。
  3. 【請求項3】前記アルキル基が、メチル基であることを
    特徴とする請求項2記載のガス分離フィルタ。
  4. 【請求項4】前記ガスを透過させる前記細孔の径が1n
    m以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か記載のガス分離フィルタ。
  5. 【請求項5】前記分離膜中にZrを含有することを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか記載のガス分離フィル
    タ。
  6. 【請求項6】前記Siと前記Zrとの混合比(Zr/S
    i)が、0.01〜0.5の割合からなることを特徴と
    する請求項5記載のガス分離フィルタ。
  7. 【請求項7】テトラアルコキシシランと、プロピルトリ
    アルコキシシランまたはビス(トリアルコキシシリル)
    プロパンと、ジルコニウムアルコキシドとから成る複合
    アルコキシドを加水分解した前駆体ゾルの焼結体により
    多孔質支持体を被覆して成る無機多孔質膜が、該無機多
    孔質膜の細孔内壁にトリメチルクロロシランを置換反応
    させて形成したシロキサン結合体を具備してなることを
    特徴とするガス分離フィルタ。
  8. 【請求項8】(a)シリコンアルコキシドを加水分解し
    て前駆体ゾルを作製する工程と、(b)該前駆体ゾルを
    多孔質支持体の少なくとも一方の表面に塗布して乾燥し
    た後、350〜600℃の温度で焼成して前記多孔質支
    持体の少なくとも一方の表面に環状のシロキサン結合に
    よって形成された細孔を多数有する非晶質の酸化物膜を
    形成する工程と、(c)該酸化物膜の表面に一般式が下
    記化2 【化2】 または化3 【化3】 で表されるクロル基またはアルコキシル基を有する閉塞
    性物質を接触せしめることによって、一部の前記細孔内
    に存在し、かつシロキサン結合のSiの側鎖に結合した
    水酸基の一部と、前記閉塞性物質の前記クロル基または
    アルコキシル基とを反応させ、前記一部の細孔内を下記
    化1 【化1】 で表される官能基によって閉塞する工程と、を具備する
    ことを特徴とするガス分離フィルタの製造方法。
  9. 【請求項9】前記閉塞性物質がトリメチルクロロシラン
    であることを特徴とする請求項8記載のガス分離フィル
    タの製造方法。
  10. 【請求項10】前記工程(c)において、前記酸化物膜
    表面の裏面を減圧することにより、前記閉塞性物質の蒸
    気を酸化物膜中の一部の細孔内に接触させて反応させる
    ことを特徴とする請求項8または9記載のガス分離フィ
    ルタの製造方法。
  11. 【請求項11】前記工程(a)における前記シリコンア
    ルコキシドがテトラアルコキシシランと、一般式が下記
    式化4 【化4】 および/または化5 【化5】 で表される他のアルコキシシランとの混合物からなるこ
    とを特徴とする請求項8乃至10のいずれか記載のガス
    分離フィルタの製造方法。
  12. 【請求項12】前記他のアルコキシシランがプロピルト
    リアルコキシシランおよび/またはビス(トリアルコキ
    シシリル)プロパンであることを特徴とする請求項11
    記載のガス分離フィルタの製造方法。
  13. 【請求項13】前記シリコンアルコキシド全量中におけ
    る前記他のアルコキシシランの含有量が5〜50モル%
    であることを特徴とする請求項11または12記載のガ
    ス分離フィルタの製造方法。
  14. 【請求項14】前記工程(a)において、シリコンアル
    コキシドとジルコニウムアルコキシドをアルコール溶媒
    中で混合し、複合アルコキシドを調製する工程を具備す
    ることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか記載の
    ガス分離フィルタの製造方法。
  15. 【請求項15】テトラアルコキシシランと、プロピルト
    リアルコキシシランまたはビス(トリアルコキシシリ
    ル)プロパンと、ジルコニウムアルコキシドとから成る
    複合アルコキシドを加水分解して前駆体ゾルを作製した
    後、多孔質支持体に前記前駆体ゾルを塗布して乾燥し、
    次いで焼成して前記多孔質支持体に無機多孔質膜を被覆
    した後、該無機多孔質膜の一方の面にトリメチルクロロ
    シランを接触させるとともに、他方の面と差圧を生ぜし
    めて前記無機多孔膜が有する細孔内にトリメチルクロロ
    シランを透過させ、透過時に、細孔内のOH基と置換反
    応させて前記細孔内壁にシロキサン結合体を形成して一
    体化することを特徴とするガス分離フィルタの製造方
    法。
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