JP3532090B2 - 二酸化炭素分離膜及びその製造方法 - Google Patents

二酸化炭素分離膜及びその製造方法

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JP3532090B2 JP01277098A JP1277098A JP3532090B2 JP 3532090 B2 JP3532090 B2 JP 3532090B2 JP 01277098 A JP01277098 A JP 01277098A JP 1277098 A JP1277098 A JP 1277098A JP 3532090 B2 JP3532090 B2 JP 3532090B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気中や各種燃焼
排気ガスあるいは反応ガス中から二酸化炭素(CO2
を分離するに際して透過率及び透過係数比の両方の特性
に優れ、薄膜化が容易な二酸化炭素分離膜及びその製造
方法に関するもので、とりわけ常温から350℃の範囲
内の環境下においても効率よく二酸化炭素(CO2 )を
分離することができる耐熱性に優れた分離膜として好適
なシリカ質の二酸化炭素分離膜及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種気体混合物の混合流体か
ら特定成分を濾過分離する薄膜や、触媒等の機能性材料
用担体、更には電解隔壁、各種充填材等には有機材料を
はじめとする各種材料から成る多孔質体が用いられてき
た。
【0003】しかしながら、前記多孔質体に対する耐熱
性や耐薬品性、耐衝撃性、耐摩耗性等の耐久性に対する
要求が更に高くなるにつれ、機械的及び熱的、化学的安
定性により優れた各種無機多孔質体がとりわけ注目さ
れ、種々検討されるようになっている。
【0004】その結果、前記無機多孔質体を各種用途に
適用した場合、その性能は、無機多孔質体を形成するの
に用いた材料自体が有する細孔径や細孔容積、細孔径分
布、特定の物質との親和性、反応性等の特性に大きく影
響されることが明らかとなってきた。
【0005】そこで前記無機多孔質体の要求性能を実現
する方法として、例えば、シリカ質の膜はゾルゲル法や
CVD法、水熱合成法等の各種製造方法が採用できる
が、なかでも金属アルコキシドを原料とするゾルゲル法
は高価な製造装置を必要とせず、比較的容易に無機多孔
質体を製造できることから多くの研究がされている。
【0006】しかしながら、前記無機多孔質体は、例え
ば、多孔質膜を用いた気体分離の分野では安全かつ簡便
なことからその適用範囲が拡がり、特定のガス成分の分
離濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、食品工業や医療用
機器、更には廃棄物処理等の分野でも注目されている
が、特定のガス成分の分離を目的に、無機多孔質体の細
孔径を制御するだけでは安定した大きな分離効率は得ら
れず、前記産業分野の諸要求を完全には満足していない
のが現状であった。
【0007】かかる諸要求を満足するために、例えば無
機多孔体の上に金属アルコキシドと金属イオンを塗布し
た無機キセロゲル膜や、多孔質ガラス表面に特定のシラ
ンカップリング剤を反応させたり、あるいは更にアミノ
化合物等の塩基性化合物を反応させた透過率が大きく、
高い分離効率を有する多孔質気体分離膜や、芳香族環上
の水素の一部が特定のポリオルガノシロキサン鎖で置換
された構造を有するポリスルホン系グラフト共重合体よ
り成る、とりわけ二酸化炭素(CO2 )の分離性に優れ
た各種分離膜が提案されている(特開平7−21387
7号公報、特開平1−90015号公報、特公平6−9
2483号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記分
離膜は、いずれも室温から100℃までの比較的低温で
反応、熟成させた無機キセロゲル膜、もしくは有機官能
基を含有する有機無機複合膜であるため、前記反応温度
以下の比較的低温度域での混合流体から特定成分を分離
するには優れた特性を発揮するものの、例えば、各種燃
焼排気ガスあるいは反応ガス等の100℃以上の高温環
境下で二酸化炭素(CO2 )を分離する場合、もしくは
前記膜が100℃以上の環境に曝される場合には、高温
によりシリコン−アルキル基結合が酸化されてシロキサ
ン結合の再配列が起こること等から、微細孔構造が変質
してしまう結果、100℃以上の高温環境下、もしくは
一旦、前記100℃以上の高温環境下に曝された後では
安定した二酸化炭素(CO2)の分離特性が得られなく
なるという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、前記課題に鑑み成されたもの
で、その目的は、各種気体混合物の混合流体から二酸化
炭素(CO2 )を分離するに際して、透過係数比(CO
2 /N2 )及び二酸化炭素(CO2 )の透過率の両方の
特性に優れ、薄膜化が容易で、とりわけ100℃以上の
高温環境下においても、大気中や各種燃焼排気ガスある
いは反応ガス中から二酸化炭素(CO2 )を優先的に分
離することができる耐熱性に優れた分離膜として好適な
シリカ質の二酸化炭素分離膜及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
に対して鋭意研究を重ねた結果、シリコンのアルコキシ
ドとジルコニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属も
しくはアルカリ土類金属のアルコキシドとの複合アルコ
キシドを加水分解して作製した前駆体ゾルを一定条件で
焼成して得た焼成体が、従来の分離膜より耐熱性が向上
し、二酸化炭素(CO2 )の分離に最適であることを見
いだし、本発明に至った。
【0011】即ち、本発明の二酸化炭素分離膜は、ジル
コニウム及びアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を
含むシリカを材質とする、シリコンのアルコキシドとジ
ルコニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属のアルコキシドとの複合アルコキシド
から作製した前駆体ゾルの焼成体から成り、前記シリコ
ンのアルコキシドは、テトラアルコキシシランと、有機
官能基を有するトリアルコキシシランとして一般式が
【化1】 で表されるものとの混合物であることを特徴とするもの
である。
【0012】
【0013】また、前記アルカリ金属もしくはアルカリ
土類金属のアルコキシドは、NaもしくはMg又はCa
のアルコキシドであることがより好ましいものである。
【0014】更に、その製造方法は、シリコンのアルコ
キシドと全シリコン1モルに対して0.1〜0.5モル
の範囲内のジルコニウムのアルコキシド、及び全シリコ
ン1モルに対して0.1〜0.5モルの範囲内のアルカ
リ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドとをア
ルコール溶媒中で複合化し、得られた複合アルコキシド
を加水分解して前駆体ゾルを作製した後、それを無機多
孔質体に塗布して乾燥後、350℃〜600℃の温度で
焼成することを特徴とするものである。
【0015】特に、前記製造方法において適用するシリ
コンのアルコキシドは、テトラアルコキシシランと一般
式が
【0016】
【化1】
【0017】で表される有機官能基を有するトリアルコ
キシシランとの混合物であることが、又、前記アルカリ
金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドは、Na
もしくはMg又はCaのアルコキシドであることがより
好ましいものである。
【0018】
【作用】本発明の二酸化炭素分離膜及びその製造方法に
よれば、該二酸化炭素分離膜は、シリコンのアルコキシ
ドとジルコニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属も
しくはアルカリ土類金属のアルコキシドとの複合アルコ
キシドを加水分解した前駆体ゾルの焼成体から成るジル
コニアを含むシリカを材質とする複合無機分離膜である
ことから、100℃以上の高温環境下においても二酸化
炭素(CO2 )の分離特性が劣化しない耐熱性の高い分
離膜であると共に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類
金属を含む複合無機分離膜であることから、二酸化炭素
(CO2 )を効率よく分離することのできる分離膜とな
る。
【0019】また、350〜600℃での熱処理によ
り、得られた二酸化炭素分離膜はÅオーダーの細孔径を
有するものとなり、かつアルカリ金属もしくはアルカリ
土類金属の添加により膜材質は塩基性を呈し、表面拡散
機構による二酸化炭素(CO2)のガス透過が優先的に
起こる。
【0020】更に、サブミクロンの細孔径を有する、例
えば、多孔質のα−アルミナ支持体表面に数nmの細孔
を有するγ−アルミナ膜を被覆することで、前記前駆体
ゾルを塗布する際に厚さが極めて薄い膜を、クラックや
剥離等を発生することなく得ることができ、高い二酸化
炭素(CO2 )の透過率を示す分離膜とすることが可能
となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の二酸化炭素分離膜
及びその製造方法について詳述する。
【0022】本発明は、シリコンのアルコキシドとジル
コニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属もしくはア
ルカリ土類金属のアルコキシドとをアルコール溶媒中で
複合化し、この複合アルコキシドを水で加水分解するこ
とにより均質で安定な前駆体ゾルが得られ、該ゾルを乾
燥後、350〜600℃の温度で焼成することにより、
ジルコニア及びアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属
を含むシリカを材質とする二酸化炭素分離膜が得られる
というものである。
【0023】本発明における二酸化炭素分離膜は、前記
焼成過程でシロキサン結合が過度に進むことを阻止して
Åオーダーの均一な細孔構造を形成し、かつ塩基成分の
添加により二酸化炭素(CO2 )との親和性を改善した
ものである。
【0024】従って、二酸化炭素(CO2 )との親和性
が有効に作用するようなÅオーダーの細孔径に制御し、
かつ均一な連続した細孔の網目構造を形成するために
は、前駆体ゾル作製時に用いるシリコンのアルコキシド
がテトラアルコキシシランに加え、一般式が
【0025】
【化1】
【0026】で表される有機官能基を有するトリアルコ
キシシランの混合物であることがより望ましく、350
〜600℃での熱処理により有機官能基の一部分が熱処
理中、又は熱処理後にも残存するため、焼成過程でのシ
ロキサン結合の過度の進行を抑制することになる。
【0027】更に、二酸化炭素分離膜として稼動する際
の各種条件下、特に100℃以上の高温に曝されても特
性劣化が起こらないように、前記シリコンの複合アルコ
キシドと、一般式が
【0028】
【化2】
【0029】で表されるジルコニウムのアルコキシドと
が均一に複合化されていることがより望ましいものであ
る。
【0030】更に、本発明においては、酸性ガスである
二酸化炭素(CO2 )との親和性を向上させるために、
塩基性酸化物の前駆体であるLi、Na、K、Rb等の
アルカリ金属、もしくはMg、Ca、Sr、Ba等のア
ルカリ土類金属のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基を有するアルコキシドが必要であり、と
りわけゲル膜の溶解性及び安定性の点からは、前記アル
カリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドは、
NaもしくはMg又はCaのエトキシド、もしくはプロ
ポキシドであることがより望ましい。
【0031】また、本発明においてシリコンのアルコキ
シドとジルコニウムのアルコキシドとの複合化、及び前
記複合アルコキシドとアルカリ金属もしくはアルカリ土
類金属のアルコキシドとの複合化は、これら全てのアル
コキシドをアルコール存在下で加熱還流することにより
作製できるが、該複合化を確実に行うためには、一般式
【0032】
【化3】
【0033】で表される予め部分加水分解したシリコン
のアルコキシドを用いることがより望ましいものであ
る。
【0034】また、前記部分加水分解したシリコンのア
ルコキシドは、シリコンのアルコキシドのアルコール溶
液に該シリコンのアルコキシド1モルに対し、1〜3倍
モル量の水と少量の酸をアルコール存在下で添加するこ
とにより作製することができる。
【0035】また、テトラアルコキシシランと、有機官
能基を有するシリコンのアルコキシドの複合化もアルコ
ール存在下で加熱還流することで作製できるが、該複合
化を確実に行うためにも、一般式が
【0036】
【化3】
【0037】で表される予め部分加水分解したシリコン
のアルコキシドを用いることがより望ましいものであ
る。
【0038】次に、前記シリコンのアルコキシドと一般
式が
【0039】
【化2】
【0040】で表わされるジルコニウムのアルコキシド
との複合割合は、両アルコキシドが併存すれば良いが、
前記ジルコニウムのアルコキシドの添加の割合が0.1
モルより少ないと、高温雰囲気下もしくは高温雰囲気に
曝された後の分離特性が低下し、耐熱性が劣化すること
になり、0.5モルより多いとゾルの安定性の低下を招
き、欠陥のない膜を成膜することが不可能となる。
【0041】従って、二酸化炭素分離膜としての耐熱性
と成膜性の点からは、全シリコン1モルに対して0.1
〜0.5モルの範囲が必要であり、特に二酸化炭素分離
膜の分離特性からは0.1〜0.3モルの範囲がより望
ましい。
【0042】一方、前記複合アルコキシドとアルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドとの複合割
合は、前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のア
ルコキシドの添加の割合が全シリコン1モルに対して
0.1モルより少ないと、二酸化炭素との親和性の向上
が実現できず、分離特性の低下をもたらし、0.5モル
より多いとゾルの安定性の低下を招き、欠陥のない膜を
成膜することが不可能となる。
【0043】従って、二酸化炭素分離膜としての分離特
性と成膜性の点からは、全シリコン1モルに対して0.
1〜0.5モルの範囲が必要であり、特に二酸化炭素分
離膜の成膜性からは0.1〜0.3モルの範囲がより望
ましい。
【0044】又、前記シリコンのアルコキシドは、テト
ラアルコキシシランと一般式が
【0045】
【化1】
【0046】で表される有機官能基を有するトリアルコ
キシシランとの混合物であることが望ましく、 それらの
複合割合は、前記有機官能基を有するトリアルコキシシ
ランが0.1より少ないと分離膜の細孔制御に効果を示
さず、二酸化炭素(CO2 )の分離特性が向上せず、他
方、モル比で0.5より多いとゾルの安定性の低下を招
き、欠陥のない膜を成膜することが困難となる傾向があ
り、二酸化炭素分離膜の分離特性と成膜性の点からは、
0.1〜0.5モルの範囲内であることがより望ましい
ものである。
【0047】更に、本発明におけるシリコンのアルコキ
シドとしては、テトラメトキシシランやテトラエトキシ
シラン、テトライソプロポキシシラン等が挙げられ、好
ましくは前記テトラアルコキシシランと有機官能基を有
するトリアルコキシシランの混合物であることが好まし
く、前記有機官能基を有するシリコンのアルコキシドと
しては、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基を
それぞれ有するトリメトキシシランやトリエトキシシラ
ン等が挙げられ、他方のジルコニウムのアルコキシドと
しては、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキ
シジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等が挙げ
られる。
【0048】また、各アルコキシドの混合溶媒のアルコ
ールとしては、メタノールやエタノール、プロパノー
ル、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノール等が挙げられ、ゲル膜の濡れ性、乾燥性、
安全性の点からは、メタノールやエタノール等の低級ア
ルコールが最適である。
【0049】次に、前記複合アルコキシドの加水分解方
法は、特に限定されるものではなく、公知あるいは周知
の各種手段を用いることができるが、添加する水の量
は、多量であれば良く、全アルコキシドに対して1〜2
0倍モル量の範囲がより望ましい。
【0050】即ち、加水分解用の水の量が1〜20倍モ
ル量の範囲の場合、成膜後の焼成で十分にシロキサン結
合が発達して機械的強度が充分な膜を得易く、いかなる
条件でも膜の割れや膜の剥離等の欠陥は全く発生せず、
得られた前駆体ゾルも安定であり、該ゾルが白濁化した
り沈殿が生成したりすることもない。
【0051】また、この加水分解は、各アルコキシドを
複合化した後、同時に行っても良いが、好ましくはシリ
コンのアルコキシドのみを先に部分的に加水分解し、そ
の後、有機官能基を有するシリコンのアルコキシドとジ
ルコニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属のアルコキシドを複合化した後、全体
を加水分解して前駆体ゾルを作製する方が良い。
【0052】次に、無機多孔質支持体に二酸化炭素分離
膜を形成する方法としては、特に限定されるものではな
く、公知あるいは周知の各種手段を適用できるが、例え
ば、前記前駆体ゾルを、前駆体ゾル作製に用いた溶媒で
所定の濃度に希釈した後、該希釈液中に予めγ−アルミ
ナ膜を被覆した多孔質α−アルミナ支持体を浸漬して引
き上げて塗布するか、あるいは前記支持体に直接塗布し
た後、乾燥し、次いで350〜600℃の温度で焼成す
ることで作製しても良い。
【0053】本発明の二酸化炭素分離膜は、要求される
透過係数比(CO2 /N2 )及び二酸化炭素(CO2
の透過率を満足し、実用的な強度を有するためには、膜
の厚さは1μm以下、特に0.1〜0.5μm程度が望
ましく、無機多孔質支持体と共に用いることが望まし
い。
【0054】一方、前記無機多孔質支持体としては、特
に限定されるものではないが、分離膜を支持するに十分
な強度を有し、焼成においても前駆体ゾルと反応せず、
少なくとも膜の焼成温度範囲で十分な耐熱性を有する多
孔質体であればいかなるものでも良い。
【0055】例えば、多孔質なセラミックスやガラス、
金属等が挙げられ、とりわけα−アルミナ等の多孔質セ
ラミックスは耐熱性、耐薬品性等の点で好ましいもので
あるが、多孔質α−アルミナ自体を支持体として用いた
場合、その大きな孔径と表面粗さ故に割れ等の欠陥のな
い膜を作製することが困難となり、例え欠陥のない膜を
作製できたとしても数μmの膜厚が必要となり、透過率
の著しい低下を招くことになる。
【0056】従って、孔径と表面粗さを制御したγ−ア
ルミナ膜を中間層としてα−アルミナ多孔質体に担持し
た支持体を採用するのが最適となる。
【0057】また、前駆体ゾルを塗布した後の焼成温度
は、350℃未満の温度では乾燥ゲル膜中のアルコキシ
ル基を完全に除去し、シロキサン結合をより強固にする
ことができず、600℃を越える温度では焼結が進み、
分離に必要な細孔が消失することから、350〜600
℃の温度範囲に限定され、とりわけ二酸化炭素(C
2 )の透過性能、分離特性の点ではその温度は400
〜500℃がより好ましい。
【0058】また、膜の欠陥を防ぐため、前駆体ゾルの
塗布、乾燥、焼成の一連の操作を数回繰り返すことがよ
り好ましい。
【0059】本発明の二酸化炭素分離膜は、二酸化炭素
(CO2 )と粉塵等の無機物質を含む混合物等の分離に
も適用可能であり、更に、室温から100℃以上の広範
囲の温度域まで使用可能であるが、分離膜の耐熱性や耐
久性の点からは室温から350℃の温度範囲がより好適
に用い得るものである。
【0060】
【実施例】以下、本発明の二酸化炭素分離膜及びその製
造方法を以下のようにして評価した。
【0061】先ず、窒素ガスをフローさせた乾燥雰囲気
下でテトラエトキシシラン7.292g(モル比0.
7)に、エタノール23.05g(モル比10)、水
0.63g(モル比0.7)、HCl(モル比0.0
7)の混合溶液を添加して部分加水分解ゾルを作製し、
これにビニルトリエトキシシラン2.855g(モル比
0.3)とエタノール23.05g(モル比10)の混
合溶液を添加し、その後、ジルコニウムのアルコキシド
4.095g(モル比0.25)とエタノール23.0
5g(モル比10)の混合溶液を添加し、次いでジエト
キシマグネシウム0.573g(モル比0.1)を添加
し、加熱還流して複合アルコキシドを作製した。
【0062】次に、前記複合アルコキシドに水3.7g
(モル比4.3)とエタノール115.18g(モル比
50)の混合溶液を添加して加水分解し、更に3時間攪
拌した後、前駆体ゾルを作製した。
【0063】その後、前記前駆体ゾル溶液に、予め、気
孔率が40%で3mmの外径を有するα−アルミナ多孔
質管に厚さ2μmのγ−アルミナを被覆した無機多孔質
支持体を30秒間浸漬し、5mm/秒の速度で引き上
げ、室温で1時間乾燥した後、引き続いて表1に示す焼
成温度で1時間保持し、その後、室温まで冷却した。
【0064】前記浸漬、乾燥、焼成の一連の操作を4回
繰り返し、γ−アルミナ層上にシリカ質の膜を被着して
評価用試料を作製した。
【0065】また、前記評価用試料の他に、前記全シリ
コンのアルコキシドとジルコニウムのアルコキシドのモ
ル比、全シリコンアルコキシドとジエトキシマグネシウ
ムのモル比、また全シリコンアルコキシド中のテトラエ
トキシシランとビニルトリエトキシシランのモル比を種
々変更したもの、及びジエトキシマグネシウムに代えて
エトキシナトリウム、ジエトキシカルシウムを用いたも
の、及びビニルトリエトキシシランに代えてメチルトリ
エトキシシラン、フェニルトリエトキシシランを用いて
前記同様にして各種評価用試料を作製した。
【0066】尚、ジルコニウムのアルコキシドを混合せ
ず、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン
及びジエトキシマグネシウムのみで前記同様にして作製
したもの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコ
キシドを混合せず、シリコンのアルコキシド及びテトラ
プロポキシジルコニウムのみで前記同様にして作製した
もの、ジルコニウムのアルコキシド及びアルカリ金属又
はアルカリ土類金属のアルコキシドを混合しないもの
を、前記同様にして作製してそれぞれ比較例とした。
【0067】また、表1では全シリコン1モルに対する
ジルコニウムのアルコキシドのモル数、及びアルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドのモル数
を、それぞれモル比として表示した。
【0068】
【表1】
【0069】かくして得られた評価用試料をガス透過率
測定装置に取り付け、該試料の管内側に10〜20cc
/min.のヘリウムガスを、外側には窒素(N2 )及
び二酸化炭素(CO2 )ガスの1対1の混合ガスを10
0cc/min.の割合で流し、試料の膜部を30〜3
50℃に保ち、前記膜を透過する窒素(N2 )及び二酸
化炭素(CO2 )ガスの比率、即ち、透過係数比(CO
2 /N2 )をガスクロマトグラフィで評価すると共に、
試料の管内外の出口ガス流量からそれぞれの透過率を求
めた。
【0070】なお、測定に際し、前記評価試料はそれぞ
れ350℃のHeガス流通の雰囲気下で1時間前処理
し、該試料を30℃まで冷却した後、前記各温度での透
過係数比(CO2 /N2 )及びCO2 の透過率を求め
た。
【0071】
【表2】
【0072】表から明らかなように、本発明の請求範囲
外である試料番号1、4、5、8、9、12及び比較例
の試料番号19、20、21では、30℃で透過係数比
(CO2 /N2 )18以下、100℃で7.2以下、2
00℃で2.2以下、350℃で1.3以下と低い値で
あり、特に、試料番号4及び8では、膜表面の電子顕微
鏡観察により微細なクラックが発生していることが確認
され、その故、前記透過係数比はいずれの温度でも3を
下回る低い値となっている。
【0073】また、試料番号9は焼成温度が低く、膜の
シロキサン結合が強固とならず、逆に試料番号12では
焼成温度が高過ぎ、細孔の肥大化が進行して透過係数比
(CO2 /N2 )が細孔壁と透過ガスとの相互作用がな
い理論的透過係数比に近い値でしかないことが分かる。
【0074】それに対して、本発明では透過係数比(C
2 /N2 )が30℃で24以上、100℃で10以
上、200℃で5.0以上、350℃で2.7以上と各
温度で大きな値が得られており、これはシリコンのアル
コキシドの利用により本発明の二酸化炭素分離膜が1n
m以下の非常に狭い細孔径分布を有し、かつアルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属を利用することから、高い
CO2 選択性を示したものと考えられ、ジルコニウムの
アルコキシドの添加により、耐熱性の高い二酸化炭素分
離膜になったものと考えられる。
【0075】尚、本発明の二酸化炭素分離膜及びその製
造方法は、何等、前記実施例に限定されるものではな
い。
【0076】
【発明の効果】叙上の如く、本発明の二酸化炭素分離膜
及びその製造方法によれば、シリコンのアルコキシドと
ジルコニウムのアルコキシド、及びアルカリ金属もしく
はアルカリ土類金属のアルコキシドとを複合し、この複
合アルコキシドを加水分解することにより得た前駆体ゾ
ルを乾燥後、350〜600℃の温度で焼成して作製し
たシリカ質の二酸化炭素分離膜であることから、膜材質
の二酸化炭素に対する親和性が向上し、更に、有機官能
基を有するシリコンのアルコキシドをゾル合成時に添加
することから、この有機官能基の焼失温度が高いために
近傍のシロキサン結合が過度に進むことが抑制されて1
nm以下の微細孔構造が得られる。
【0077】従って、各種気体混合物等の混合流体か
ら、二酸化炭素(CO2 )を分離するに際して、常温か
ら350℃の温度範囲において透過係数比(CO2 /N
2 )及び二酸化炭素(CO2 )の透過率の両方の特性に
優れ、更に添加されたジルコニアにより、100℃以上
の高温雰囲気に曝されても特性の劣化が見られない高い
耐熱性を有する分離膜が得られる。
【0078】更に、本発明の二酸化炭素分離膜は薄膜化
が容易で、とりわけ大気中や各種燃焼排気ガスあるいは
反応ガス中から常温から350℃の範囲の二酸化炭素
(CO2 )を優先的に分離する分離膜として最適であ
る。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンのアルコキシドとジルコニウムの
    アルコキシド、及びアルカリ金属もしくはアルカリ土類
    金属のアルコキシドとをアルコール溶媒中で複合化した
    複合アルコキシドを加水分解して得た前駆体ゾルの焼成
    体から成り、前記シリコンのアルコキシドが、テトラア
    ルコキシシランと一般式が 【化1】 で表される有機官能基を有するトリアルコキシシランと
    の混合物であることを特徴とする二酸化炭素分離膜。
  2. 【請求項2】前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金
    属のアルコキシドが、ナトリウム(Na)もしくはマグ
    ネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)のアルコキシ
    ドであることを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素
    分離膜。
  3. 【請求項3】シリコンのアルコキシドと全シリコン1モ
    ルに対して0.1〜0.5モルの範囲内のジルコニウム
    のアルコキシド、及び全シリコン1モルに対して0.1
    〜0.5モルの範囲内のアルカリ金属もしくはアルカリ
    土類金属のアルコキシドとをアルコール溶媒中で複合化
    し、得られた複合アルコキシドを加水分解して前駆体ゾ
    ルを作製した後、該前駆体ゾルを無機多孔質支持体に塗
    布して乾燥し、次いで350〜600℃の温度で焼成す
    ることを特徴とする二酸化炭素分離膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記シリコンのアルコキシドが、テトラア
    ルコキシシランと一般式が 【化1】 で表される有機官能基を有するトリアルコキシシランと
    の混合物であることを特徴とする請求項に記載の二酸
    化炭素分離膜の製造方法。
  5. 【請求項5】前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金
    属のアルコキシドが、ナトリウム(Na)もしくはマグ
    ネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)のアルコキシ
    ドであることを特徴とする請求項又は請求項のいず
    れかに記載の二酸化炭素分離膜の製造方法。
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