JP2007070603A - ナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法、並びに、発光素子組立体、発光素子組立体用の充填材料、及び、光学材料 - Google Patents

ナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法、並びに、発光素子組立体、発光素子組立体用の充填材料、及び、光学材料 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光域において、透明、且つ、1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料を提供する。
【解決手段】ナノ粒子−樹脂複合材料は、シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有し、該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、該ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無機ナノ粒子とポリマーから成り、可視光域において透明で高い屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法に関し、更には、係るナノ粒子−樹脂複合材料を用いた発光素子組立体、発光素子組立体用の充填材料、及び、光学材料に関する。
発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)といった発光素子を備えた発光素子組立体は、小型でありながら、高輝度であるため、自動車のストップランプ、信号灯、野外用大型ディスプレイ等、種々の用途で使用されている。また、消費電力が低く、長寿命であることから、最近では携帯電話用液晶ディスプレイや大型液晶テレビのバックライト等の光源としても使用されている。
一般に、発光素子組立体は、発光素子や配線が酸素や湿気、その他の腐食性ガスに直接接触することを防ぎ、更には、外的な力による発光素子の物理的な損傷を防ぐことを目的として、例えば図3に示すように、発光素子12の上あるいは上方に適当な厚さの封止部材114が配置された構造を有する。通常、封止部材114は、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の透明樹脂から作製されている。ところが、従来の発光素子組立体では、発光素子12と封止部材114との間の屈折率差が大きいことから、発光素子12から出射された光の一部が発光素子12と封止部材114との界面において全反射され、全反射された光が発光素子12に再吸収されるために、光の取り出し効率が減少するといった問題がある。尚、参照番号11は反射カップである。
このような問題を改善するために、特開2004−15063号公報には、マトリクス樹脂中に、粒径が発光波長より小さく、且つ、マトリクス樹脂よりも高い屈折率を有するナノ粒子を分散させ、材料全体の実効の屈折率を発光素子に近づける技術が開示されている。また、特開2005−5740号公報には、樹脂と、酸化チタンやガラス等のフィラーとを混合した形態の樹脂材料(封入材料)が開示されている。更には、特表2004−537767号公報には、ポリマーと無機ナノ粒子とをブレンドして屈折率が制御される光学構造体が開示されている。
発光素子組立体を構成する封止部材は、前述のようにエポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等が用いられているが、多くの場合、エポキシ系樹脂が使用されている。しかしながら、近年、益々需要が高まっている高出力の発光素子用としては、改善すべき問題が幾つか指摘されている。Phys. Stat. Sol. (a) 194, No. 2, 380-388 (2002) によれば、エポキシ系樹脂のガラス転移点Tgは100〜150゜Cであり、ガラス転移点Tg以上では線膨張係数が増大することが報告されている。そして、発光素子の発熱によってエポキシ系樹脂がガラス転移点Tg以上に加熱されると、発光素子に接続されている配線が断線する虞がある。従って、発光素子の出力は、発光素子の発熱によってもエポキシ系樹脂がガラス転移点Tgを越えないような出力に制限せざるを得ない。また、エポキシ系樹脂は青色光に暴露されると黄色に変色するため、時間の経過と共に発光素子組立体全体としての出力が低下していく。このため、エポキシ系樹脂に代わる材料として、最近ではシリコーン系樹脂が使用されるようになっている。
特開2004−15063号公報 特開2005−5740号公報 特表2004−537767号公報 Phys. Stat. Sol. (a) 194, No. 2, 380-388 (2002)
しかしながら、特開2004−15063号公報には、マトリクス樹脂とナノ粒子の組合せ例が示され、マトリクス樹脂中にナノ粒子を分散させると記載されているのみである。数ナノメートルのナノ粒子をマトリクス樹脂中に、凝集することなく、均一に分散させるためには、例えばナノ粒子とマトリクス樹脂との間の親和性を向上させるための化学的な表面処理がナノ粒子に必要とされるが、特開2004−15063号公報にはこのような技術は、何ら示されていない。また、特開2005−5740号公報においても、樹脂と酸化チタンやガラス等のフィラーとを、凝集することなく、均一に混合する技術は、何ら示されていない。特表2004−537767号公報には、ポリマー中に無機ナノ粒子を分散させるために無機ナノ粒子表面を活性化させるリンカーを用いるアイデアが示されているものの、シリコーンポリマー中で無機ナノ粒子を適切に分散させるための具体的な技術は、何ら提示されていない。
シリコーン系樹脂は、耐光性が良好であり、青色光使用時の出力低下を抑制することが可能であり、更には、適度な柔軟性を有するので、高温になったときであっても、応力の増加を抑えることができる。しかしながら、実用化されているシリコーン系樹脂の屈折率は高々1.5程度であるが故に、光取り出し効率の改善という観点からは、更なる高屈折率化が望まれている。
従って、本発明の目的は、可視光域において、透明、且つ、1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料(無機ナノ粒子及びポリマーから構成された複合材料)及びその製造方法、並びに、係るナノ粒子−樹脂複合材料を適用した発光素子組立体、発光素子組立体用の充填材料、及び、光学材料を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料は、シロキサン結合(Si−O−Si結合)を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料である。
そして、本発明の第1の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料においては、
有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であることを特徴とする。
尚、メチルフェニルポリシロキサンの一般式を下記の一般式(1)に示し、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの一般式を下記の一般式(2)に示す。ここで、一般式(1)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、aは1以上の整数であり、bは1以上の整数である。また、一般式(2)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、aは1以上の整数であり、bは1以上の整数であり、cは1以上の整数である。
1 a2 bSiO{4-(a+b)}/2 (1)
1 a2 bcSiO{4-(a+b+c)}/2 (2)
尚、本発明の第1の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料において、有機化合物とポリマーの組合せは、(6×2)×3=36通りとなるが、いずれの組合せも適用することができる。
また、本発明の第2の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料においては、
有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該メチルフェニルポリシロキサン及びメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されていることを特徴とする。
側鎖の一部が置換されたメチルフェニルポリシロキサンの一般式を下記の一般式(3)に示し、側鎖の一部が置換されたメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの一般式を下記の一般式(4)に示し、末端が置換されたメチルフェニルポリシロキサンの一般式を下記の一般式(5)に示し、末端が置換されたメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの一般式を下記の一般式(6)に示す。ここで、一般式(3)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、Xはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、wは1以上の整数であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、aは0又は1以上の整数である。また、一般式(4)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、Xはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、wは1以上の整数であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、aは0又は1以上の整数である。更には、一般式(5)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、Yはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、wは1以上の整数であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数である。また、一般式(6)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基、R2はフェニル基であり、Yはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、wは1以上の整数であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数である。
Figure 2007070603
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Figure 2007070603
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尚、本発明の第2の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料において、有機化合物とポリマーの組合せは、(6×2)×(3×3×6)=648通りとなるが、いずれの組合せも適用することができる。
更には、本発明の第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料においては、
有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アルキル基又はオレフィン鎖を含み、
ポリマーは、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、又は、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されていることを特徴とする。尚、オレフィン鎖とは、二重結合を1つ以上含む炭化水素基を意味する。
側鎖の一部が置換されたジメチルポリシロキサンの一般式を下記の一般式(7)に示し、側鎖の一部が置換されたメチルハイドロジェンポリシロキサンの一般式を下記の一般式(8)に示し、末端が置換されたジメチルポリシロキサンの一般式を下記の一般式(9)に示し、末端が置換されたメチルハイドロジェンポリシロキサンの一般式を下記の一般式(10)に示す。ここで、一般式(7)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基であり、Xはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、aは1以上の整数であり、bは1以上の整数である。また、一般式(8)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基であり、Xはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、aは1以上の整数であり、bは1以上の整数であり、cは1以上の整数である。更には、一般式(9)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基であり、Yはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、aは1以上の整数である。また、一般式(10)中、R1はフェニル基以外の一価炭化水素基であり、Yはエポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基であり、aは1以上の整数であり、bは1以上の整数である。
Figure 2007070603
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尚、本発明の第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料において、有機化合物とポリマーの組合せは、(6×2)×(3×3×6)=648通りとなるが、いずれの組合せも適用することができる。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法は、それぞれ、上述した本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料を製造する方法である。そして、本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法は、
(A)無機ナノ粒子と有機化合物とを液相中で分散処理して、有機化合物で無機ナノ粒子表面を被覆した後、
(B)有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとを混合する、
工程を備えることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の発光素子組立体は、
(a)発光素子、
(b)該発光素子を封止する封止部材、及び、
(c)該発光素子と該封止部材との間に存在する隙間に充填された充填材料、
を具備し、
該充填材料は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれかに係るナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明の発光素子組立体用の充填材料は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれかに係るナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする。
更には、上記の目的を達成するための本発明の光学材料は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれかに係るナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする。
本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料、本発明の第1の態様〜第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法、本発明の発光素子組立体、本発明の発光素子組立体用の充填材料、本発明の光学材料(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、無機ナノ粒子は、可視光域において1.9以上の屈折率を有することが望ましい。ここで、無機ナノ粒子の屈折率とは、より具体的には、無機ナノ粒子を構成する材料のバルクの屈折率を意味する。
無機ナノ粒子の屈折率(より具体的には、無機ナノ粒子を構成する材料のバルクの屈折率)、ナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、ポリマーの屈折率といった各種材料の屈折率は、アッベ屈折率計あるいはVブロック方式の屈折率計を用いて測定することができる。
また、本発明において、無機ナノ粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、ITO、酸化亜鉛(ZnO)、及び、シリコン(Si)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが望ましい。無機ナノ粒子は、これらの材料の内の1種類から構成されていてもよいし、2種類以上が混合された状態で構成されていてもよい。尚、上記の金属を含む窒化物から、無機ナノ粒子を構成することもできる。
以上の望ましい形態を含む本発明において、無機ナノ粒子の粒径(D)は、2×10-9m乃至2×10-8m、好ましくは2×10-9m乃至1.0×10-8mであることが望ましい。ここで、無機ナノ粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察された無機ナノ粒子の粒径を計測することで得ることができる。透過型電子顕微鏡にて観察された無機ナノ粒子の形状(平面形状)が円形ではない場合、観察された無機ナノ粒子の面積と同じ面積を有する円形を想定し、係る円形の直径を粒径とすればよい。無機ナノ粒子の形状(立体形状)が球形ではない場合の粒子の立体形状の例として、ロッド状、回転楕円体状、直方体を挙げることができる。ナノ粒子−樹脂複合材料内での無機ナノ粒子の粒径は、例えば、ミクロトームを用いて薄片を作製し、これを透過型電子顕微鏡で観察することで得ることができる。また、無機ナノ粒子の粒径の平均値をDave、標準偏差をσとしたとき、無機ナノ粒子の粒径(D)の上限が、上述したように、2×10-8m、好ましくは1.0×10-8mであるとは、
ave+2σ≦2×10-8
あるいは、
ave+2σ≦1.0×10-8
であることを意味する。無機ナノ粒子の粒径(D)を2×10-9m乃至2×10-8mに規定することで、レイリー散乱に起因したナノ粒子−樹脂複合材料における光透過率の低下、光の損失を抑制することができ、実用上、可視光域において透明なナノ粒子−樹脂複合材料を得ることができる。光透過率は、光路長が長くなるに伴って指数関数的に減少するので、後述するように、光路長が長くなる程、小さな無機ナノ粒子を用いることが好ましい。ナノ粒子−樹脂複合材料内において無機ナノ粒子の凝集体が形成されると、凝集体のサイズが実効の粒子径として働くので、光の散乱を抑えるためには、無機ナノ粒子が凝集体を形成しないよう分散された状態で充填されていることが必要である。
ここで、以上に説明した望ましい形態、構成を含む本発明において、ナノ粒子−樹脂複合材料を構成するポリマーは、液状(水飴状、グリース状、ゲル状とも表現することができるし、チクソ性を有しているとも云える)であることが好適である。ナノ粒子−樹脂複合材料の粘度は、ポリマーの分子量によって変化する。従って、ポリマーの分子量は、ナノ粒子−樹脂複合材料の粘度を制御する目的で適宜選択すればよい。ポリマーの分子量として、1×102乃至1×105を例示することができるし、ポリマーの粘度として1×10-2Pa・s乃至1×10Pa・sを例示することができる。また、ナノ粒子−樹脂複合材料の粘度として1Pa・s〜20Pa・sを例示することができる。尚、ポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に基づき測定することができるし、ポリマーやナノ粒子−樹脂複合材料の粘度は、例えば、コーンプレート型の回転式粘度計を用いて測定することができる。ここで、ナノ粒子−樹脂複合材料が液体状であるとは、柔軟性を有し、しかも、塑性変形しない性状であると定義される。
本発明において、有機化合物は、界面活性剤あるいは分散剤として機能し、より具体的には、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、アセチル安息香酸、ジフェニル−4−安息香酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、メチル安息香酸、ブチル安息香酸、フェノキシ酢酸、フェノキシ安息香酸、フェニルブタン酸、フェニル酪酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、デカンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオールから構成することができる。尚、これら有機化合物は、使用するポリマーに応じて複数を任意の比率で配合して用いることができる。
尚、上述した有機化合物の内、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、及び、スルホン酸は、無機ナノ粒子表面とイオン結合し、チオールは、無機ナノ粒子表面と共有結合する。あるいは又、有機化合物として、無機ナノ粒子表面と共有結合あるいはイオン結合を形成する官能基、若しくは、無機ナノ粒子表面と配位結合あるいは水素結合を形成する官能基を有し、且つ、ポリマーと親和性を示す有機基を有し、分子量は1×103以下である有機化合物を選択することが好ましい。有機化合物の分子量が1×103を超えると、ポリマーを含めた有機物の割合が相対的に多くなるため、ナノ粒子−樹脂複合材料における無機ナノ粒子の体積充填率を十分に高くすることができず、その結果、ナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率を所望の値とすることができなくなる虞がある。ここで、有機化合物の分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン換算による相対値を分子量を意味する。
本発明において、「可視光域」とは、波長380nmから750nmの光の範囲を意味する。また、「透明である」とは、あるいは又、「無機ナノ粒子がポリマー中で凝集していない」状態にあるとは、あるいは又、「無機ナノ粒子がポリマー中で均一に分散している」状態にあるとは、後述する光透過率の測定方法の測定方法に基づき、光路長0.5mmで、波長400nmにおいて測定された光透過率が、80%以上であることを意味する。
本発明にあっては、耐熱性、耐光性を維持する目的で、公知の酸化防止剤や光安定剤が、ナノ粒子−樹脂複合材料に含まれていてもよい。
本発明におけるナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率は、以下の考え方に基づいて調整することができる。即ち、高屈折率の無機ナノ粒子をマトリクス(ポリマー)中に分散させたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率は、Maxwell Garnetによって理論的に導かれている(C. F. Bohren and D. R. Huffman, "Adsorpiton and Scattering of Light by Small Particles", John Wiley & Sons, New York, 1983, pp 213 参照)。そして、ナノ粒子−樹脂複合材料全体の比誘電率は、無機ナノ粒子がポリマー中に均一に分散している場合、下記の式(1)から求めることができる。ここで、
εav:平均の比誘電率(ナノ粒子−樹脂複合材料全体の比誘電率)
εp :球状粒子(無機ナノ粒子)の比誘電率
εm :マトリクス(ポリマー)の比誘電率
η :無機ナノ粒子の体積充填率
である。
Figure 2007070603
屈折率nは、n=ε1/2で表されるので、式(1)を用いて、ナノ粒子−樹脂複合材料全体(平均)の屈折率を求めることができる。例えば、屈折率2.5のアナターゼ型の酸化チタン・ナノ粒子を無機ナノ粒子として用い、屈折率1.5のシロキサン結合を有するポリマー中に分散させた場合には、無機ナノ粒子の体積充填率ηを0.06及び0.15としたとき、ナノ粒子−樹脂複合材料全体(平均)の屈折率は、1.55及び1.63となる。従って、ナノ粒子−樹脂複合材料に含有させる無機ナノ粒子の体積充填率ηを変えることによって、ナノ粒子−樹脂複合材料全体の屈折率を調整することが可能である。それ故、予めナノ粒子−樹脂複合材料の目標の屈折率に応じて無機ナノ粒子の構成材料を選定し、更には、体積充填率ηを設定すればよい。ここで、無機ナノ粒子の体積充填率ηは、ナノ粒子−樹脂複合材料を加熱して有機成分を燃焼した後の残渣(無機ナノ粒子)の量から求めることができる。加熱重量変化は、例えば、TG測定により測定することができる。最終的に得られたナノ粒子−樹脂複合材料における無機ナノ粒子の体積充填率の値は、例えば、0.01乃至0.4であることが好ましい。
また、粒径が光の波長よりも十分に小さい場合のレイリー散乱に基づくナノ粒子−樹脂複合材料における光透過率は、以下の式(2−1)及び(2−2)から得ることができる。ここで、
sca:散乱断面積(単位:nm2
αsca:消光率(単位:nm-1
m :マトリクス(ポリマー)の屈折率
p :球状粒子(無機ナノ粒子)の屈折率
r :球状粒子(無機ナノ粒子)の半径(=Dave/2)
η :無機ナノ粒子の体積充填率
λ :空気中の光の波長
η :無機ナノ粒子の体積充填率
である。
Figure 2007070603
従って、例えば、屈折率2.5のアナターゼ型の酸化チタン・ナノ粒子を無機ナノ粒子として用い、屈折率1.5のマトリクス(ポリマー)中に分散させた場合には、体積充填率ηが0.15のとき、ナノ粒子−樹脂複合材料の光が通過する部分の厚さt=0.5mmにおいて透明であるためには、無機ナノ粒子の粒径Dを6nm以下にしなければならない。また、屈折率2.2の酸化ジルコニウム・ナノ粒子を無機ナノ粒子として用い、屈折率1.5のマトリクス(ポリマー)中に分散させた場合には、体積充填率ηが0.15のとき、ナノ粒子−樹脂複合材料の光が通過する部分の厚さt=0.5mmにおいて透明であるためには、無機ナノ粒子の粒径Dを8nm以下にしなければならない。このように無機ナノ粒子の粒径D及び充填率ηは、用いるマトリクス(ポリマー)の屈折率及び無機ナノ粒子の屈折率により、所望の透明性が得られるように適宜選択されることが望ましい。
本発明のナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法において、無機ナノ粒子表面への有機化合物の被覆は、液相中においてなされる。具体的には、先ず、無機ナノ粒子を有機溶媒中に展開し、次いで、有機化合物を添加する。有機溶媒は、有機化合物が溶解するものであればよい。有機化合物の添加量は、粒子表面を一層だけ被覆する量よりも過剰量とすることが望ましい。次いで、この混合物に対して、公知の分散機を用いた処理(分散処理)を行う。これによって、無機ナノ粒子の凝集体が解砕される。無機ナノ粒子が、液相合成されたものであって、未乾燥のものであれば、凝集が緩やかであるため、解砕が容易であり、好適である。また、有機化合物は、分散機による処理の際に無機ナノ粒子表面に吸着する。解砕及び有機化合物の吸着処理の際の温度は、室温から80゜Cまでの間であることが望ましい。その後、有機化合物で被覆された無機ナノ粒子を、無機ナノ粒子が一様に分散した分散液あるいは沈殿物として回収する。分散液、沈殿物の違いは、使用する有機溶媒の種類による。また、得られた分散液に貧溶媒を添加して再凝集させ、遠心分離により沈殿物として回収することも可能である。沈殿物として回収する場合には、遠心分離による沈殿分離、洗浄用の有機溶媒による洗浄を繰り返して余剰の有機化合物を除去した後、真空乾燥して回収すればよい。
また、本発明のナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法において、有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとの混合は、具体的には、以下の2通りの方法の何れかによって行うことができる。即ち、第1の方法は、無機ナノ粒子をポリマーと共通の良溶媒中に分散させた後、ポリマーを添加し、攪拌、混合し、係る有機溶媒のみ加熱真空下で除去する方法である。この際、ポリマーは蒸気圧が低いため、殆ど蒸発することはない。第2の方法は、無機ナノ粒子の乾燥粉を直接ポリマーと混合し、公知の混練機を用いて均一に混合する方法である。
本発明において、ナノ粒子−樹脂複合材料の線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定することができる。そして、20゜C乃至150゜Cの範囲内において、ナノ粒子−樹脂複合材料の線膨張係数の値は、1.5×10-4以下であることが好ましい。これによって、例えば、発光素子組立体の動作時、発光素子の発熱に起因してナノ粒子−樹脂複合材料が高い温度になったときにおいても、発光素子に接続されている配線が断線することを一層確実に防止することができる。
本発明の発光素子組立体における発光素子として、発光ダイオード(LED)、半導体レーザを挙げることができる。ここで、発光素子を発光ダイオードから構成する場合、例えば、赤色(例えば、波長640nm)を発光する赤色発光ダイオード、緑色(例えば、波長530nm)を発光する緑色発光ダイオード、青色(例えば、波長450nm)を発光する青色発光ダイオード、白色発光ダイオード(例えば、紫外又は青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色を発光する発光ダイオード)を例示することができる。発光ダイオードは、所謂フェイスアップ構造を有していてもよいし、フリップチップ構造を有していてもよい。即ち、発光ダイオードは、基板、及び、基板上に形成された発光層から構成されており、発光層から光が外部に出射される構造としてもよいし、発光層からの光が基板を通過して外部に出射される構造としてもよい。より具体的には、発光ダイオード(LED)は、例えば、基板上に形成された第1導電型(例えばn型)を有する化合物半導体層から成る第1クラッド層、第1クラッド層上に形成された活性層、活性層上に形成された第2導電型(例えばp型)を有する化合物半導体層から成る第2クラッド層の積層構造を有し、第1クラッド層に電気的に接続された第1電極、及び、第2クラッド層に電気的に接続された第2電極を備えている。発光ダイオードを構成する層は、発光波長に依存して、周知の化合物半導体材料から構成すればよい。本発明の発光素子組立体にあっては、発光素子からの光は、ナノ粒子−樹脂複合材料から成る充填材料及び封止部材を通過して外部に出射される。
尚、充填材料との界面における光反射を抑制するという観点から、封止部材は、高屈折率の材料から構成することが好ましい。ここで、高屈折率の材料として、例えば、セイコーオプティカルプロダクツ株式会社の商品名プレステージ(屈折率:1.74)、昭和光学株式会社の商品名ULTIMAX V AS 1.74(屈折率:1.74)、ニコン・エシロールの商品名NL5−AS(屈折率:1.74)といった高屈折率を有するプラスチック材料;HOYA株式会社製の硝材NBFD11(屈折率n:1.78)、M−NBFD82(屈折率n:1.81)、M−LAF81(屈折率n=1.731)といった光学ガラス;KTiOPO4(屈折率n:1.78)、ニオブ酸リチウム[LiNbO3](屈折率n:2.23)といった無機誘電体材料を挙げることができる。
あるいは又、封止部材を構成する材料として、具体的には、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スピロ化合物、ポリメチルメタクリレート及びその共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)、(臭素化)ビスフェノールAのモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体及びその共重合体、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂)、不飽和ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。尚、封止部材は、これらの材料の少なくとも1種類の材料から構成されていればよい。また、耐熱性を考慮した場合、アラミド系樹脂の使用も可能である。この場合、後述するフッ素系樹脂から成る防汚層を形成する際の加熱温度の上限が200゜C以上となり、フッ素系樹脂の選択自由度を高めることができる。
本発明の発光素子組立体は、光の出射を必要とする如何なる分野においても使用することができ、係る分野として、例えば、液晶表示装置のバックライト[面状光源装置を含み、直下型及びエッジライト型(サイドライト型とも呼ばれる)の2形式が知られている]、自動車、電車、船舶、航空機等の輸送手段における灯具や灯火(例えば、ヘッドライト、テールライト、ハイマウントストップライト、スモールライト、ターンシグナルランプ、フォグライト、室内灯、メーターパネル用ライト、各種のボタンに内蔵された光源、行き先表示灯、非常灯、非常口誘導灯等)、建築物における各種の灯具や灯火(外灯、室内灯、照明具、非常灯、非常口誘導灯等)、街路灯、信号機や看板、機械、装置等における各種の表示灯具、トンネルや地下通路等における照明具や採光部を挙げることができる。
また、本発明の光学材料の適用分野として、発光素子組立体用の充填材料、発光素子組立体以外にも、光学レンズ、光導波路といった分野を例示することができる。
封止部材の表面にフッ素系樹脂から成る防汚層を形成してもよい。防汚層の厚さは、特に限定はないが、透明性の関係から、5×10-10m〜5×10-8m、好ましくは1×10-9m〜2×10-8mであることが望ましい。
防汚層を構成するフッ素系樹脂は、基本的に、パーフルオロポリエーテル基と、好ましくはアルコキシシラノ基とを有していればよく、パーフルオロポリエーテル基以外の分子構造についての制限は本質的にはない。しかし、実際には或る程度の合成の行い易さ、つまり実現性の観点からの要請に基づく制限は存在する。即ち、具体的には、防汚層を構成するフッ素系樹脂として、下記の一般式(A)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を例示することができる。一般式(A)中、Rfはパーフルオロポリエーテル基を示し、R1は2価の原子又は基を示し、R2はアルキレン基を示し、R3はアルキル基を示し、jの値は1又は2である。
f{COR1−R2−Si(OR33j (A)
一般式(A)で示されるアルコキシシラン化合物の分子量は、特に制限されないが、安定性、取り扱い易さ等の点から、数平均分子量で4×102〜1×104、好ましくは5×102〜4×103である。
パーフルオロポリエーテル基Rfは、一価又は二価のパーフルオロポリエーテル基であり、このようなパーフルオロエーテル基の具体的な構造を次に示すが、これに限定するものではない。ここで、構造式(B),(C),(D),(E)中、p、qは1〜50の範囲にあることが好ましく、n,l,m,kは、それぞれ1以上の整数を示す。また、m/lの値は、0.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。
j=2において、一般式(A)におけるパーフルオロポリエーテル基Rfとして、以下の構造式(B)を例示することができる。
−CF2−(OC24p−(OCF2q−OCF2− (B)
また、j=1において、一般式(A)におけるパーフルオロポリエーテル基Rfとして、以下の構造式(C)、構造式(D)、構造式(E)を例示することができる。但し、全てのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている必要はなく、部分的に水素原子が含まれていてもよい。
F(CF3CF2CF2n (C)
CF3(OCF(CF3)CF3m(OCF2l (D)
F−(CF(CF3)CF2k (E)
また、パーフルオロポリエーテル基を含む防汚層を構成する材料として、例えば、末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテル(特開平9−127307号公報参照)、特定構造を有するパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する防汚膜形成用組成物(特開平9−255919号公報参照)、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を各種材料と組み合わせて得られる表面改質剤(特開平9−326240号公報、特開平10−26701号公報、特開平10−120442号公報、特開平10−148701号公報参照)を用いることもできる。
1は2価の原子又は基を示し、R2とパーフルオロポリエーテル基Rfとの結合基であり、特に制限はないが、合成上、炭素以外のO、NH、Sといった原子あるいは原子団が好ましい。R2は炭化水素基であり、炭素数は2〜10の範囲であることが好ましい。R2として、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基を例示することができる。R3はアルコキシ基を構成するアルキル基であり、通常は炭素数が3以下、つまり、イソプロピル基、プロピル基、エチル基、メチル基を例示することができる。但し、炭素数は4以上であってもよい。
防汚層の形成のためには、通常、フッ素系樹脂(例えば、一般式(A)で示したアルコキシシラン化合物)を、溶媒に希釈して用いる。この溶媒としては、特に限定されないが、使用に当たっては、組成物の安定性、封止部材の表面に対する濡れ性、揮発性等を考慮して決める必要がある。具体的には、エチルアルコール等のアルコール系溶剤やアセトン等のケトン系溶剤、あるいはヘキサン等の炭化水素系溶剤等を例示することができ、更には、これらの単独あるいは2種以上の混合物を溶媒として用いることができる。
あるいは又、フッ素系樹脂を溶解する溶媒は、使用にあたっての組成物の安定性、封止部材の表面に対する濡れ性、揮発性等を考慮して決定すればよく、例えば、フッ素化炭化水素系溶媒が用いられる。フッ素化炭化水素系溶媒は、脂肪族炭化水素、環式炭化水素、エーテル等の炭化水素系溶媒の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した化合物である。例えば、日本ゼオン社製の商品名ZEORORA−HXE(沸点78゜C)、パーフルオロヘプタン(沸点80゜C)、パーフルオロオクタン(沸点102゜C)、アウトジモント社製の商品名H−GALDEN−ZV75(沸点75゜C)、H−GALDEN−ZV85(沸点85゜C)、H−GALDEN−ZV100(沸点95゜C)、H−GALDEN−C(沸点130゜C)、H−GALDEN−D(沸点178゜C)等のハイドロフルオロポリエーテル、あるいは、SV−110(沸点110゜C)、SV−135(沸点135゜C)等のパーフルオロポリエーテル、住友3M社製のFCシリーズ等のパーフルオロアルカン等を挙げることができる。そして、これらのフッ素化炭化水素系溶媒の中でも、一般式(A)のフッ素系化合物を溶解する溶媒として、ムラのない、膜厚が均一な防汚層を得るために、沸点が70〜240゜Cの範囲のものを選択し、中でも、ハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)若しくはハイドロフルオロカーボン(HFC)を選択し、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。沸点が低すぎると、例えば塗布ムラになり易い傾向があり、一方、沸点が高すぎると、乾燥し難くなり、均一な防汚層の形成が困難となる傾向にある。HFPE又はHFCは、一般式(A)で表されるフッ素系化合物に対する溶解性が優れており、優れた塗布面を得ることができる。
そして、フッ素系樹脂(例えば、一般式(A)で示したアルコキシシラン化合物)を溶媒に希釈したものを、封止部材の表面に塗布し、例えば加熱することによって溶媒を揮発させると共に、封止部材を構成する材料と防汚層を構成するフッ素系樹脂との結合を生じさせることで、封止部材の表面に防汚層を形成することができる。塗布方法としては、通常のコーティング作業で用いられる各種の方法が適用可能であるが、スピン塗布、スプレー塗布等を好ましく用いることができる。また、作業性の点から紙、布等の材料に液を含浸させて、塗布する方法を採用してもよい。加熱温度は、封止部材の耐熱性等を考慮して選定すればよく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂を封止部材として用いた場合には、30〜80゜Cの範囲が適当である。
一般式(A)で示されるアルコキシシラン化合物は、フッ素系化合物を分子中に含むことにより、撥水性を有し、耐汚染性が向上している。従って、一般式(A)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する防汚層の形成によって、更に、封止部材の表面に耐摩耗性、耐汚染性等の特性を付与することができる。
尚、封止部材を構成する材料と、防汚層を構成する材料との間の反応を促進するための触媒として、酸、塩基、リン酸エステル、及び、アセチルアセトンから成る群から選択された少なくとも1種類の材料を防汚層を構成する材料に添加することが好ましい。触媒として、具体的には、塩酸等の酸、アンモニア等の塩基、あるいは、リン酸ジラウリルエステル等のリン酸エステルを例示することができる。触媒の添加量として、1×10-3ミリモル/リットル〜1ミリモル/リットルを挙げることができる。酸又は塩基を添加する場合には、アセチルアセトンのようなカルボニル化合物を添加すると、その反応性が高まることから、防汚層を形成するための組成物にカルボニル化合物を添加することが推奨される。このようなカルボニル化合物の添加量は、1×10-1ミリモル/リットル〜1×102ミリモル/リットル程度とすることができる。このように、触媒を添加することによって、加熱(乾燥)温度を低くしても、封止部材と防汚層との間に強い結合を形成することができる。その結果、製造プロセス的に有利になると共に、封止部材を構成する材料の選定範囲が広がる。
本発明のナノ粒子−樹脂複合材料あるいはその製造方法によれば、特定の有機化合物と特定のポリマーとを組み合わせ、特定の有機化合物によって無機ナノ粒子表面を被覆することにより、更には、特定のポリマーを使用することにより、無機ナノ粒子を、シロキサン結合を有するポリマー中で凝集することなく、均一に分散させることができ、透明で、高い屈折率を有し、高い温度になったときにおいても線膨張係数が小さく、耐光性の良好なナノ粒子−樹脂複合材料を提供することができる。尚、特定の有機化合物と特定のポリマーとを組み合わせない場合、無機ナノ粒子が、シロキサン結合を有するポリマー中で凝集してしまい、均一に分散させることができなくなり、ナノ粒子−樹脂複合材料の光透過率が極めて低くなる。そして、本発明にあっては、ナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率は、無機ナノ粒子の種類と体積充填率とに基づき制御が可能であり、可視光域において屈折率1.55以上を達成することができる。また、本発明の発光素子組立体によれば、透明で、高い屈折率を有し、高い温度になったときにおいても線膨張係数が小さく、耐光性の良好なナノ粒子−樹脂複合材料を充填材料(封入材料)として使用することにより、ナノ粒子−樹脂複合材料が高い温度になったときにおいても発光素子に接続されている配線が断線せず、光取り出し効率が高く、耐光性、耐久性に優れた発光素子組立体を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明を好ましい実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1は、本発明の第1の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法に関する。実施例1、あるいは後述する実施例2〜実施例9のナノ粒子−樹脂複合材料は、シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料である。そして、実施例1にあっては、有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、この選択された化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含む。一方、ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物である。また、実施例1、あるいは後述する実施例2〜実施例9のナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法は、実施例1、あるいは後述する実施例2〜実施例9のナノ粒子−樹脂複合材料を製造する方法であり、基本的に、
(A)無機ナノ粒子と有機化合物とを液相中で分散処理して、有機化合物で無機ナノ粒子表面を被覆した後、
(B)有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとを混合する、
工程を備えている。
以下、実施例1のナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法を、具体的に説明するが、より具体的には、実施例1にあっては、有機化合物を、アリール基を含むカルボン酸である4−フェニル酪酸とし、ポリマーを、下記の化学式(11)で示されるメチルフェニルポリシロキサンとした。
Figure 2007070603
ゾル−ゲル法により合成された粒径8nmのZrO2ナノ粒子1グラムをMEK/エタノール(体積比2/1)混合有機溶媒20ミリリットル中に混合し、これに、4−フェニル酪酸1グラムを添加し、ディスパーを用いて室温で攪拌することで、分散処理を行った。尚、4−フェニル酪酸は、ZrO2ナノ粒子の表面と、イオン結合を形成する。次いで、エタノールを30ミリリットル加えた後、遠心分離を行って沈殿物を採取した。そして、この沈殿物にエタノール50ミリリットルを加えてディスパーで解砕した後、再度、遠心分離にて無機ナノ粒子を沈殿させ、沈殿物として採取した。この洗浄・遠心分離作業を3回繰り返した後、沈殿物を回収し、真空下にて乾燥して、4−フェニル酪酸で表面が被覆されたZrO2ナノ粒子を得た。尚、以下の説明において、無機ナノ粒子の粒径が「D」nmであるという表現を用いるが、この表現は、無機ナノ粒子の粒径の平均値をDave、標準偏差をσとしたとき、Dave+2σの値が「D」nmを越えることは無いことを意味する。
次に、このZrO2ナノ粒子をトルエンに所定量添加し、ディスパーにてトルエン中でZrO2ナノ粒子を分散させ、更に、ZrO2ナノ粒子の体積充填率が14%となるように、ポリマーであるメチルフェニルポリシロキサン(nD=1.55、粘度=43mPa・s)を加え、脱泡攪拌機にて両者を均一に混合した。そして、この混合液からエバポレーター(設定温度40゜C)を用いてトルエンを除去して、有機化合物としての4−フェニル酪酸で表面が被覆された無機ナノ粒子としてのZrO2ナノ粒子が、ポリマーとしてのメチルフェニルポリシロキサン中に分散されて成るナノ粒子−樹脂複合材料を得た。尚、得られたナノ粒子−樹脂複合材料は、液状(より具体的には、水飴状)であった。
得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率を、周知のアッベ屈折率計(ATAGO社製:型番NAR−4T)を用いて測定した。測定波長をD線とした。また、得られたナノ粒子−樹脂複合材料の光透過率を、UV−可視分光光度計(日立ハイテク社製:型番U−3410)を用い、光路長0.5mmの石英セルを使用し、波長380nm乃至750nmの測定範囲で測定した。
ナノ粒子−樹脂複合材料のD線で測定した屈折率は1.63であった。また、ナノ粒子−樹脂複合材料の光透過率を図1に示すが、80%以上の光透過率を示した。
尚、以下に説明する実施例における屈折率もD線で測定した値であり、光透過率は、光路長0.5mmの石英セルを用いて、波長380nm乃至750nmの可視光域で測定した値である。
実施例1の変形として、以下に説明する実施例1−A〜実施例1−Fを行った。実施例1−A〜実施例1−Fにて使用した有機化合物は、以下のとおりである。尚、ポリマーは、実施例1と同じポリマーを使用した。また、実施例1−B、実施例1−E、実施例1−Fにおいては、無機ナノ粒子としてゾル−ゲル法により合成された粒径5nmのZrO2ナノ粒子を用いた。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態を表1に示す。
[有機化合物]
実施例1 :アリール基を含むカルボン酸である4−フェニル酪酸
・・・・・・・表1においては、有機化合物の欄に記号「1」と表記する。
実施例1−A:アリールオキシ基を含むカルボン酸である4−フェノキシ安息香酸
・・・・・・・表1においては、有機化合物の欄に記号「1−A」と表記する。
実施例1−B:4−フェニル酪酸(記号「1」)
実施例1−C:アリール基を含むカルボン酸である2−ナフトエ酸
・・・・・・・表1においては、有機化合物の欄に記号「1−C」と表記する。
実施例1−D:アリール基を含むカルボン酸である1−ナフトエ酸
・・・・・・・表1においては、有機化合物の欄に記号「1−D」と表記する。
実施例1−E:アリール基を含むカルボン酸である2−ナフトエ酸(記号「1−C」)
実施例1−F:アリール基を含むカルボン酸である1−ナフトエ酸(記号「1−D」)
Figure 2007070603
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2においては、ポリマーとして、以下の化学式(21)で示されるメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンを使用した。そして、実施例1、実施例1−A〜実施例1−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例1、実施例1−A〜実施例1−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
Figure 2007070603
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3においては、ポリマーとして、化学式(11)で示したメチルフェニルポリシロキサンと化学式(21)で示したメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物を使用した。そして、実施例1、実施例1−A〜実施例1−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例1、実施例1−A〜実施例1−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
実施例4は、本発明の第2の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法に関する。実施例4において、有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、この選択された化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含む。一方、ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、メチルフェニルポリシロキサン及びメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されている。
以下、実施例4のナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法を、具体的に説明するが、より具体的には、実施例4にあっては、有機化合物をカルボン酸とし、ポリマーを、以下の化学式(41)に示すSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルフェニルポリシロキサンとした。
Figure 2007070603
ゾル−ゲル法により合成された粒径5nmのZrO2ナノ粒子1グラムをトルエン10ミリリットル中に混合し、これに、オレイン酸1ミリリットルを添加し、ディスパーを用いて室温で攪拌した。次いで、エタノールを40ミリリットル加えた後、遠心分離を行って沈殿物を採取した。この沈殿物にトルエン10ミリリットルを加えてディスパーで分散させた後、エタノール40ミリリットルを加えて、再度、遠心分離にて無機ナノ粒子を沈殿させ、沈殿物として採取した。この洗浄・遠心分離作業を3回繰り返した後、沈殿物を回収し、真空下にて乾燥して、オレイン酸で表面が被覆されたZrO2ナノ粒子を得た。
次に、このZrO2ナノ粒子をトルエンに所定量添加し、ディスパーにてトルエン中でZrO2ナノ粒子を分散させ、更に、ZrO2ナノ粒子の体積充填率が14%となるように、ポリマーであるポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン(nD=1.51、粘度=500mPa・s)を加え、脱泡攪拌機にて両者を均一に混合した。そして、この混合液からエバポレーター(設定温度40゜C)を用いてトルエンを除去して、有機化合物としてのオレイン酸で表面が被覆された無機ナノ粒子としてのZrO2ナノ粒子が、ポリマーとしてのポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン中に分散されて成るナノ粒子−樹脂複合材料を得た。
得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率は1.58、光透過率は可視光域で80%以上であり、液状(より具体的には、水飴状)であった。
実施例4の変形として、以下に説明する実施例4−A〜実施例4−Fを行った。実施例4−A〜実施例4−Fにて使用した有機化合物は、以下のとおりである。尚、ポリマーは、実施例4と同じポリマーを使用した。また、実施例4−B、実施例4−E、実施例4−Fにおいては、無機ナノ粒子としてゾル−ゲル法により合成された粒径5nmのZrO2ナノ粒子を用いた。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態を表2に示す。
[有機化合物]
実施例4 :アリール基を含むカルボン酸である4−フェニル酪酸
・・・・・・・表2においては、有機化合物の欄に記号「4」と表記する。
実施例4−A:アリールオキシ基を含むカルボン酸である4−フェノキシ安息香酸
・・・・・・・表2においては、有機化合物の欄に記号「4−A」と表記する。
実施例4−B:4−フェニル酪酸(記号「4」)
実施例4−C:アリール基を含むカルボン酸である2−ナフトエ酸
・・・・・・・表2においては、有機化合物の欄に記号「4−C」と表記する。
実施例4−D:アリール基を含むカルボン酸である1−ナフトエ酸
・・・・・・・表2においては、有機化合物の欄に記号「4−D」と表記する。
実施例4−E:アリール基を含むカルボン酸である2−ナフトエ酸(記号「4−C」)
実施例4−F:アリール基を含むカルボン酸である1−ナフトエ酸(記号「4−D」)
Figure 2007070603
実施例5は、実施例4の変形である。実施例5においては、ポリマーとして、以下の化学式(51)に示すSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンを使用した。そして、実施例4、実施例4−A〜実施例4−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例4、実施例4−A〜実施例4−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
Figure 2007070603
実施例6も、実施例4の変形である。実施例6においては、ポリマーとして、化学式(41)で示したSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルフェニルポリシロキサンと、化学式(51)で示したSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物を使用した。そして、実施例4、実施例4−A〜実施例4−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例4、実施例4−A〜実施例4−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
実施例7は、本発明の第3の態様に係るナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法に関する。実施例7のナノ粒子−樹脂複合材料において、有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、この選択された化合物は、アルキル基又はオレフィン鎖を含む。一方、ポリマーは、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、又は、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されている。
以下、実施例7のナノ粒子−樹脂複合材料及びその製造方法を、具体的に説明するが、より具体的には、実施例7にあっては、有機化合物を、オレフィン鎖を含むカルボン酸であるオレイン酸とし、ポリマーを、以下の化学式(71)に示すSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンとした。
Figure 2007070603
ゾル−ゲル法により合成された粒径5nmのZrO2ナノ粒子1グラムをトルエン10ミリリットル中に混合し、これに、オレイン酸1ミリリットルを添加し、ディスパーを用いて室温で攪拌した。次いで、エタノールを40ミリリットル加えた後、遠心分離を行って沈殿物を採取した。この沈殿物にトルエン10ミリリットルを加えてディスパーで分散させた後、エタノール40ミリリットルを加えて、再度、遠心分離にて無機ナノ粒子を沈殿させ、沈殿物として採取した。この洗浄・遠心分離作業を3回繰り返した後、沈殿物を回収し、真空下にて乾燥して、オレイン酸で表面が被覆されたZrO2ナノ粒子を得た。
次に、このZrO2ナノ粒子をトルエンに所定量添加し、ディスパーにてトルエン中でZrO2ナノ粒子を分散させ、更に、ZrO2ナノ粒子の体積充填率が30%となるように、ポリマーであるポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(nD=1.45、粘度=144mPa・s)を加え、脱泡攪拌機にて両者を均一に混合した。そして、この混合液からエバポレーター(設定温度40゜C)を用いてトルエンを除去して、有機化合物としてのオレイン酸で表面が被覆された無機ナノ粒子としてのZrO2ナノ粒子が、ポリマーとしてのポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン中に分散されて成るナノ粒子−樹脂複合材料を得た。
得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率は1.57、光透過率は可視光域で80%以上であり、液状(より具体的には、水飴状)であった。
実施例7の変形として、以下に説明する実施例7−A〜実施例7−Dを行った。実施例7−A〜実施例7−Dにて使用した有機化合物は、以下のとおりである。尚、ポリマーは、実施例7と同じポリマーを使用した。また、実施例7−B、実施例7−Dにおいては、無機ナノ粒子としてゾル−ゲル法により合成された粒径5nmのZrO2ナノ粒子を用いた。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態を表3に示す。
[有機化合物]
実施例7 :オレフィン鎖を含むカルボン酸であるオレイン酸
・・・・・・・表3においては、有機化合物の欄に記号「7」と表記する。
実施例7−A:ステアリン鎖を含むカルボン酸であるステアリン酸
・・・・・・・表3においては、有機化合物の欄に記号「7−A」と表記する。
実施例7−B:オレイン酸(記号「7」)
実施例7−C:アルキル基を含むカルボン酸であるドデカン酸
・・・・・・・表3においては、有機化合物の欄に記号「7−C」と表記する。
実施例7−D:ドデカン酸(記号「7−C」)。
Figure 2007070603
実施例8は、実施例7の変形である。実施例8においては、ポリマーとして、以下の化学式(81)に示すSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルハイドロジェンポリシロキサンを使用した。そして、実施例7、実施例7−A〜実施例7−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例7、実施例7−A〜実施例7−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
Figure 2007070603
実施例9も、実施例7の変形である。実施例9においては、ポリマーとして、化学式(71)で示したSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンと、化学式(81)で示したSi原子に結合したメチル基の側鎖の一部がポリエーテル基で置換されたメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物を使用した。そして、実施例7、実施例7−A〜実施例7−Fと同様にしてナノ粒子−樹脂複合材料を製造した。得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態は、概ね、実施例7、実施例7−A〜実施例7−Fと同様にて得られたナノ粒子−樹脂複合材料の屈折率、光透過率、状態と同じであった。
[比較例1]
比較例1においては、シロキサン結合を有するポリマーとしてジメチルポリシロキサン(nD=1.4、粘度=107mPa・s)を用い、それ以外は実施例1と同じ条件で処理してナノ粒子−樹脂複合材料を得た。ここで、使用した有機化合物はアリール基を含むカルボン酸である4−フェニル酪酸であるが故に、使用に適したポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物である。然るに、比較例1においては、ジメチルポリシロキサンを使用したので、(有機化合物,ポリマー)の組合せとして、不適切な組合せである。
得られたナノ粒子−樹脂複合材料において、ZrO2ナノ粒子が著しく凝集しており、全可視光域において透過率は1%以下であり、屈折率は測定不可能であった。
実施例10は、本発明の発光素子組立体、発光素子組立体用の充填材料、及び、光学材料に関する。模式的な断面図を図2の(A)に示す実施例10の発光素子組立体は、
(a)発光素子(発光ダイオード)12、
(b)この発光素子を封止する封止部材14、及び、
(c)発光素子12と封止部材14との間に存在する隙間に充填された充填材料13、
を具備している。そして、この充填材料(発光素子組立体用の充填材料)、あるいは、光学材料は、実施例1〜実施例9のいずれかに基づくナノ粒子−樹脂複合材料13Aから成る。
より具体的には、この発光素子組立体は、凹部(隙間に相当する)を有する反射カップ11と、この反射カップ11の凹部内に配置された発光素子12と、この発光素子12を封止するように反射カップ11の凹部を満たすナノ粒子−樹脂複合材料13Aから構成された充填材料13と、発光素子12及びナノ粒子−樹脂複合材料13Aを封入するように反射カップ11の凹部の蓋として配置された砲弾型の透明な材料(例えば、屈折率1.6のポリカーボネート樹脂)から作製された封止部材14から構成されている。
このように、実施例10の発光素子組立体によれば、透明で高い屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料13Aを充填材料(封入材料)13として使用することにより、発光素子12から出射された光が発光素子12と充填材料13との界面において全反射されることを出来る限り防止でき、また、充填材料13と封止部材14との界面において全反射されることを出来る限り防止できる結果、光取り出し効率を向上させることができる。しかも、ナノ粒子−樹脂複合材料13Aは液状であるが故に、発光素子12が動作によって高い温度になったときにおいても、発光素子12に接続されている配線(図示せず)に対して断線を生じさせる力がナノ粒子−樹脂複合材料13Aによって作用することが無く、また、ナノ粒子−樹脂複合材料13Aは耐光性の良好なものであることから、発光素子組立体に高い耐久性を付与することができる。
実施例10の発光素子組立体を液晶表示装置の面状光源装置(バックライト)における光源として使用するとき、発光素子である発光ダイオードから専らz軸方向に沿って光を出射させた場合、面状光源装置に輝度ムラが発生してしまう場合がある。このような現象の発生を回避するための手段として、封止部材としての光取出しレンズを発光ダイオードに取り付けた発光ダイオード組立体を光源として使用し、発光ダイオードから出射された光が、光取出しレンズの頂面において全反射され、光取出しレンズの水平方向に主に出射される2次元方向出射構成を挙げることができる。
より具体的には、図2の(B)に概念図を示すように、発光素子(発光ダイオード)12に光取出しレンズ20を取り付けた発光素子組立体を光源として使用し、発光素子12から出射された光が、光取出しレンズ20の頂面21の一部分において全反射され、光取出しレンズ20の水平方向に主に出射される2次元方向出射構成とすることができる。尚、図2の(B)において、参照番号22は光取出しレンズ20の底面を指し、参照番号24は光取出しレンズ20の側面を指す。光取出しレンズ20の底面22には凹部(隙間)23が設けられており、この凹部23内に発光素子12が納められている。また、凹部23は、ナノ粒子−樹脂複合材料13Aから成る充填材料13によって満たされている。参照番号24は、基板であり、参照番号25は、発光素子12と基板24に設けられた配線部(図示せず)とを接続する配線である。光取出しレンズ20を構成する材料として、前述した封止部材14を構成する透明な材料を挙げることができる。
ここで、図2の(B)に示した光取出しレンズ20は、特願2005−300117における光取出しレンズであり、円形の底面22、側面24、及び、頂面21を有し、底面22の中心部に有限の大きさを有する面光源(発光素子12)を配する。そして、底面22の中心を原点とし、底面22の中心を通る法線をz軸とする円筒座標(r,φ,z)を想定したとき、
頂面21は、面光源から出射される半全立体角放射光のうち、側面24と頂面21の交わる部分における極角Θ0よりも小さい極角を有する放射光成分の一部分を全反射させるための、z軸に対して回転対称である非球面から成り、
側面24は、面光源から出射される半全立体角放射光のうち、極角Θ0よりも大きな極角を有する放射光成分、及び、頂面21によって全反射された放射光成分を透過させるための、z軸に対して回転対称である非球面から成り、
非球面から成る側面24を表すzを変数とした関数r=fS(z)において、側面24と頂面21の交わる部分のz座標をz1としたとき、0≦z≦z1の閉区間においてzが減少するとき関数r=fS(z)は単調増加し、且つ、該閉区間においてzの2階微係値の絶対値|d2r/dz2|が極大となる点を少なくとも1つ有する。
但し、光取出しレンズは、図2の(B)に示した光取出しレンズ20に限定するものではなく、如何なる構成、構造の光取出しレンズとすることもできる。
また、封止部材14や光取出しレンズ20の表面に防汚層を形成した発光素子組立体とすることもできる。
具体的には、フッ素系樹脂として、両末端にパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物(平均分子量は約4000であり、以下の化学式を有する)2重量部を、フッ素系溶剤であり、沸点が130゜Cのハイドロフルオロポリエーテル(ソルベイソレクシス社製、商品名H−GALDEN)200重量部に溶解し、更に、触媒として、リン酸のパーフルオロポリエーテルエステル0.08重量部を加えて均一な溶液とした後、更に、メンブレンフィルターで瀘過を行い、防汚層形成用の組成物を得た。そして、封止部材14の表面に、防汚層形成用の組成物をスプレーを用いて塗布した後、温度70゜Cで1時間乾燥させ、封止部材14の表面に防汚層が形成された発光素子組立体を得た。
f{CONH−C36−Si(OCH2CH332
得られた発光素子組立体の封止部材14にコーンスターチを振りかけ、エアガンでコーンスターチの除去を試みた後、光学顕微鏡にて封止部材14の表面を観察したところ、コーンスターチは完全に除去されていた。
あるいは又、フッ素系樹脂として、以下に化学式を示す樹脂(平均分子量約2000)を使用し、それ以外は上述と同様にして発光素子組立体を得た。得られた発光素子組立体の封止部材14にコーンスターチを振りかけ、エアガンでコーンスターチの除去を試みた後、光学顕微鏡にて封止部材14の表面を観察したところ、コーンスターチは完全に除去されていた。
f=−CH2CF2(OC24p(OCF2qOCF2
更には、フッ素系樹脂として、以下に化学式を示す樹脂(平均分子量約650)を使用し、それ以外は上述と同様にして発光素子組立体を得た。得られた発光素子組立体の封止部材14にコーンスターチを振りかけ、エアガンでコーンスターチの除去を試みた後、光学顕微鏡にて封止部材14の表面を観察したところ、コーンスターチは完全に除去されていた。
CF3(CF2)8CH2Si(OC253
図1は、実施例1において得られたナノ粒子−樹脂複合材料の光透過率をUV−可視分光光度計により測定した結果を示すグラフである。 図2の(A)は、実施例10の発光素子組立体の模式的な断面図であり、図2の(B)は、光取出しレンズを備えた実施例10の発光素子組立体の模式的な断面図である。 図3は、従来の発光素子組立体の模式的な断面図である。
符号の説明
11・・・反射カップ、12・・・発光素子、13・・・充填部材、13A・・・ナノ粒子−樹脂複合材料、14・・・封止部材、20・・・光取出しレンズ、21・・・光取出しレンズの頂面、22・・・光取出しレンズの底面、23・・・凹部、24・・・光取出しレンズの側面、24・・・基板、25・・・配線

Claims (13)

  1. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料であって、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
    該ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料。
  2. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料であって、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
    該ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該メチルフェニルポリシロキサン及びメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されていることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料。
  3. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有するナノ粒子−樹脂複合材料であって、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アルキル基又はオレフィン鎖を含み、
    該ポリマーは、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、又は、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されていることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料。
  4. 無機ナノ粒子は、可視光域において1.9以上の屈折率を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料。
  5. 無機ナノ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化ニオブ、五酸化タンタル、酸化インジウム、酸化スズ、ITO、酸化亜鉛、及び、シリコンから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料。
  6. 無機ナノ粒子の粒径は、2×10-9m乃至2×10-8mであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料。
  7. ポリマーは液状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料。
  8. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有し、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
    該ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であるナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法であって、
    (A)無機ナノ粒子と有機化合物とを液相中で分散処理して、有機化合物で無機ナノ粒子表面を被覆した後、
    (B)有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとを混合する、
    工程を備えることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法。
  9. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有し、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アリール基又はアリールオキシ基を含み、
    該ポリマーは、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン、又は、メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該メチルフェニルポリシロキサン及びメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されているナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法であって、
    (A)無機ナノ粒子と有機化合物とを液相中で分散処理して、有機化合物で無機ナノ粒子表面を被覆した後、
    (B)有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとを混合する、
    工程を備えることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法。
  10. シロキサン結合を有するポリマー中に無機ナノ粒子が分散されて成り、無機ナノ粒子は有機化合物で被覆されており、可視光域において透明で1.55以上の屈折率を有し、
    該有機化合物は、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、及び、チオールから成る群から選択された少なくとも1種類の化合物であり、且つ、選択された該化合物は、アルキル基又はオレフィン鎖を含み、
    該ポリマーは、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、又は、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であり、且つ、該ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンの側鎖の一部及び/又は末端は、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、又は、ビニル基で置換されているナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法であって、
    (A)無機ナノ粒子と有機化合物とを液相中で分散処理して、有機化合物で無機ナノ粒子表面を被覆した後、
    (B)有機化合物で被覆された無機ナノ粒子とポリマーとを混合する、
    工程を備えることを特徴とするナノ粒子−樹脂複合材料の製造方法。
  11. (a)発光素子、
    (b)該発光素子を封止する封止部材、及び、
    (c)該発光素子と該封止部材との間に存在する隙間に充填された充填材料、
    を具備し、
    該充填材料は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする発光素子組立体。
  12. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする発光素子組立体用の充填材料。
  13. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のナノ粒子−樹脂複合材料から成ることを特徴とする光学材料。
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