JP2007065286A - 高分子分散型液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動電圧が低く、長期的な信頼性に優れた高分子分散型液晶表示素子、特に低駆動電圧であって、電圧保持率の低下、N−I転移点の低下、焼き付きの発生がなくアクティブ駆動に好適に使用することのできる高分子分散型液晶表示素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも電極層を有する一対の対向した基板の間を実質的に液晶組成物と高分子物質からなる調光層が満たしており、該調光層の基板と接する界面における液晶組成物部分の面積と高分子物質部分の面積との割合が式(1)
【数1】

(式中、SLCは液晶部分を合計した面積、SPLは高分子物質部分を合計した面積を表す。)を満たすことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は高分子分散型液晶表示素子に関し、特に信頼性に優れると同時に低い駆動電圧特性を有する高分子分散型液晶表示素子に関する。
高分子分散型液晶表示素子は、偏光板を必要としないため、従来の偏光板を用いた、TN、STN、IPS又はVAモードの液晶表示素子に比べ、明るい表示が実現できるメリットがあり、素子の構成も単純であることから、非特許文献1に見られるような調光ガラス等の光シャッター用途、時計等セグメント表示用途に応用されている。また、高精細表示を実現する為、非特許文献2及び非特許文献3に見られるように、アクティブ駆動素子と組み合わせて、プロジェクター用途、反射型ディスプレイ用途等への応用も検討されている。
高分子分散型液晶表示素子をアクティブ駆動で動作させる為には、低い電圧により駆動できると共に、高い電圧保持率を有することが必要となり、さらに実用的な表示素子においてはこれらの特性が幅広い温度範囲で達成されなければならない。低電圧駆動の技術として、特許文献1に液晶の連続相中に透明性固体物質を3次元網目状構造に形成した技術が開示されており、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4には側鎖型ラジカル重合性化合物を用いて、低駆動電圧を達成する技術が開示されているが、これらの発明においては液晶材料としてシアノ系化合物をを用いているため信頼性に問題があり、特にアクティブ駆動素子への応用はできないものであった。
また、特許文献5にはフッ素系の液晶組成物を用いて高電圧保持率及び低駆動電圧を達成した例が開示されている。しかし、当該引用文献においては透明性電極層上に直接、液晶材料と透明性固体物質よりなる調光層が接触する素子構成が開示されており、このように液晶材料が直接電極層に接する構成になっていると、経時により素子の電圧保持率が低下したり、液晶材料のN―I転移点が低下したり、焼き付きが発生するなど素子の信頼性に問題があった。
さらに特許文献6には、高分子分散型液晶表示素子の基板上にポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂より成る保護膜を形成することが開示されている。このような保護膜が形成されていれば、上記した信頼性の問題は解決される。しかしながら、電極層と液晶材料の間にポリアミド樹脂やポリイミド樹脂等が介在すると高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧が高くなってしまうという問題があった。
特開平1−198725号公報(請求項1) 特開平6−32761号公報(9から12頁) 特開平11−29527号公報(19から22頁) 特開2002−293827号公報(17から18頁) 特開平9−255954号公報(16から24頁) 特開平8−106082(請求項2から3、及び3頁) ディスプレイ国際ワークショップ(IDW)’’97ダイジェスト、1997年 (156ページ) 1991年 ソサイエティー・フォオ・インフォメーション・ディスプレイ (SID) インターナショナル・シンポジウム ダイジェスト・オブ・ テクニカル・ペーパー (251頁) 2001年 ソサイエティー・フォオ・インフォメーション・ディスプレイ (SID) インターナショナル・シンポジウム ダイジェスト・オブ・ テクニカル・ペーパー (264頁)
本発明の課題は、駆動電圧が低く、長期的な信頼性に優れた高分子分散型液晶表示素子、特に低駆動電圧であって、電圧保持率の低下、N−I転移点の低下、焼き付きの発生がなくアクティブ駆動に好適に使用することのできる高分子分散型液晶表示素子を提供することである。
少なくとも電極層を有する一対の対向した基板の間を実質的に液晶組成物及びと高分子物質により形成されたからなる調光層を有しが満たしており、該調光層のが基板と接する界面において、基板とおける液晶組成物が接する部分の面積:SLCと及び基板と高分子物質が接する部分の面積:SPLとがの割合が下式(1)を満たすことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子
(式中、SLCは液晶部分を合計した面積、SPLは高分子物質部分を合計した面積を表す)の関係を満たすことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子により上記課題は解決される。
本発明によれば、低い駆動電圧であって、長期間にわたり電圧保持率の低下、N−I転移点の低下、焼き付きの発生がなく、高い信頼性を有する高分子分散型表示素子を提供できる。
以下に本発明の一例について説明する。本発明の高分子分散型液晶表示素子は、液晶材料からなる液晶組成物と重合性化合物を主な構成成分とする高分子分散型液晶表示素子用組成物を、少なくとも電極層を有し、少なくとも片側は実質的に透明である一対の対向した基板の間に注入し、熱、又は紫外線等の活性エネルギー線を作用させることによって重合性化合物を重合させ、液晶組成物と相分離させることによって作製される。
このようにして作製された高分子分散型表示素子の調光層は一般的に、高分子のマトリックス中に液晶組成物の微小液滴が分散した形態(いわゆるPDLC)となるか、液晶組成物の連続相中にポリマーネットワークが張りめぐされた形態(いわゆるPNLC)となる。いずれの場合も一断面を切り出すと、その面には液晶組成物が露出した部分と高分子物質が露出した部分とがあり、該面における両者の存在比は概略、用いた高分子分散型液晶表示素子用組成物中に含まれていた液晶組成物と重合性化合物の含有量比率により決まる。一般的に高分子分散型液晶表示素子用組成物中に含まれる液晶組成物と重合性化合物の比率は、相分離のしやすさ、作製された素子の特性から、液晶組成物が59〜89%となる範囲が好ましい。このため、高分子分散型液晶表示素子の任意の一断面における液晶組成物露出部分の面積は、全体の過半数を占めることが通常である。
ここで高分子分散型液晶表示素子の調光層と電極の界面状態が高分子分散型液晶表示素子の信頼性に与える影響について説明する。高分子分散型液晶表示素子の電極に調光層の液晶組成物部分が直接接触すると、高分子分散型液晶表示素子の電圧保持率、N−I転移点等が低下しやすく、焼き付きなどの不具合が起こりやすくなる。特に高分子分散型表示素子に熱や光等の外的ストレスを与えるとこのような不具合が顕著に起こりやすい。この理由については完全には分からないが、電極から液晶へのイオン成分の移行、電極表面での電気化学的反応、電極表面への特定の液晶化合物の吸着等が考えられる。また、アクティブ駆動の高分子分散型液晶表示素子の場合は、TFTが液晶組成物が直接接触することも好ましくなく、上記したような不具合の他にTFT素子の特性低下も引き起こされる。
以上のように、高分子分散型液晶表示素子の信頼性を確保するためには、電極やTFT素子に対する液晶組成物の直接的な接触を避ける必要がある。その手段としては、ポリマーからなる保護層を電極と調光層の間に設けると良い。このポリマーとしてはポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース等を用いることができる。特徴としては、絶縁性の薄膜を形成できるポリマーが好ましい。
上記のポリマーのうち、一般的な液晶表示素子に広く用いられているポリイミドは本発明においても特に好適に用いることができ、絶縁性、耐久性も高いことから好ましい。
ポリイミドとしては、その前駆体として、一般色(1)
(式中、R1は4価の、脂環式、芳香族または複素環式の炭化水素残基を示し、基中にハロゲン等の基を有することもでき、R2は2価の炭化水素残基を示し、基中に−O−、−S−、またはハロゲン原子またはシアノ基を有することもできる。)で示される構造単位を有するポリアミック酸を用いて製造された物が用いられる。すなわち、ポリアミック酸としては、ピロメリット酸二無水物のような芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物や、シクロブタン酸テトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物にジアミノ化合物を反応させて得られるポリアミック酸等が好ましく用いられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、メチルピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕オクチルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕トリデカンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕トリデカンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、4,4’ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド、4,4’ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’ジフェニルメタンジカルボン酸クロライド、イソフタル酸、イソフタル酸クロライド、アジピン酸、アジピン酸クロライド、ステアリン酸、ステアリン酸クロライド、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸二無水物を、また、脂環式テトラカルボン酸としては、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ビシクロオクタン等の環を有する脂環式テトラカルボン酸の二無水物や下記の構造式の物をあげることができる。
また、ポリアミック酸のもう一方の原料であるジアミノ化合物としては、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノターフェニル、1,1−メタキシリレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジブトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−ジアミノ−1−オクチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1−オクチルオキシベンゼン、2,4−ジアミノ−1−メトキシメチレンベンゼン、2,4−ジアミノ−1−ブトキシメチレンベンゼン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕オクタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕デカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕トリデカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタデカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ビフェニル、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕メチルシクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロピルシクロヘキサン、
ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ペンタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕オクタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕エタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕デカン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕シクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メチルシクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(p−アミノメチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノエチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕オクタデカン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ヘプタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)プロパン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)エタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ブタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ペンタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ヘキサン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ヘプタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)オクタン、ビス(p−アミベンゾイルオキシ)ノナン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)デカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ドデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ドデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)テトラデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)オクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、
4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、ジアミノシロキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−プロピルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−ペンチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−ヘキシルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−4−オクチルシクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘプタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕オクタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ノナン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕デカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ドデカン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕−4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕−4−プロピルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕−4−ペンチルシクロヘキサン、1,1−ビス〔4−(4−アミノベンジル)フェニル〕メタン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(メタ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−(パラ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、ベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2’−プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサメチルプロパン等の芳香族ジアミノ化合物、ならびに1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミノ化合物がある。しかし、本発明で用いられる保護層の原料であるテトラカルボン酸二無水物およびジアミノ化合物は、これらに限定されるものではない。また、酸無水物およびジアミノ化合物はそれらの二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に関わるポリイミド保護膜を電極等を含む基板上に設けるには、一般にポリイミド化合物は溶媒に不溶であるため、この前駆体であるテトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物の縮合によって得られるポリアミック酸を溶媒に溶かして、基板上に塗布した後、加熱してイミド化する方法が用いられる。具体的には、ポリアミック酸をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ブチルセルソルブ(BC)、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノールなどの溶剤に溶解し、ポリアミック酸の0.1〜30重量%溶液、好ましくは1〜10重量%溶液に調製し、この溶液を刷毛塗り法、浸積法、回転塗布法、スプレー法、印刷法などにより塗布し、基板上に塗膜を形成する。塗膜形成後、50℃〜150℃、好ましくは80℃〜120℃で溶媒を蒸発させた後、150℃〜400℃、好ましくは180℃〜280℃で加熱処理を行ない、脱水閉環反応をさせてポリベンジルイミド系高分子膜からなる液晶配向膜を設ける。
得られた高分子膜の基板への密着性が良好でない場合には、事前に基板表面上にシランカップリング剤で表面処理を行なった後、高分子膜を形成すれば接着性は改善される。
次に、液晶組成物とこれが接する界面とのアンカリングエネルギーと、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧の関係について説明する。
高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6-222320号公報において次式の関係が示されている。
(Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物とこれが接する界面との間に働くアンカリングエネルギーを表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
これによると、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物とこれが接する界面とのアンカリングエネルギーによって決定される。すなわち、液晶組成物とこれが接する界面とのアンカリングエネルギーが大きいほど、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧は高くなる。
このアンカリングエネルギーは、液晶組成物と接する界面が何であるかによって大きく変化する。例えば、液晶組成物とポリイミドとの組み合わせの場合、アンカリングエネルギーは強い。このためポリイミドは液晶分子に対して強い配向規制力を有する。一方、高分子分散型液晶表示素子の調光層を構成する高分子物質は、液晶分子に対する配向規制力があまり強くない。該高分子物質と液晶組成物との間に働くアンカリングエネルギーは、ポリイミドと液晶組成物との間に働くアンカリングエネルギーと比較すると数桁低く設定されている。これは、高分子分散型液晶表示素子中には、該高分子物質と液晶組成物との界面が無数に存在するため、この両者の間のアンカリングエネルギーを低くしないと、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧が極端に高くなってしまうからである。
ここで、高分子分散型液晶表示素子の調光層と電極の間に設けられた前述の保護層が素子の駆動電圧に与える影響について説明する。既に述べたように、保護層として用いるポリマーと調光層中の液晶組成物との間に働くアンカリングエネルギーは高いため、保護層に接している液晶組成物は高い電圧を印加しないと動作しない。このような状況下に置かれた液晶組成物のドメインは全体から見て数が少ないので、素子全体に対する影響は少ないようにも思われる。しかし実際はこの保護層との接触が原因で素子全体の駆動電圧が上昇してしまうことが多い。すなわち、素子の信頼性を確保する目的で電極と調光層との間に保護層を設けると、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧が増大する。
この原因としては、特にポリマーネットワーク型の高分子分散型液晶表示素子の場合には、液晶ドメインが連続相を形成しており、保護層による配向規制力が界面から離れた液晶分子にも作用しているものと考えられる。また、高分子分散型液晶表示素子の厚みが薄い場合は、相対的に保護層界面の影響度合いが大きくなるので、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧が高くなりやすい。
このように、高分子分散型液晶表示素子の信頼性を確保するためには電極と調光層の間に保護層を設ける必要があったが、その結果として素子の駆動電圧が上昇するという問題を解決する必要があった。本発明者らは、これまでに説明してきた保護層の影響による駆動電圧上昇のメカニズムを解明し、さらに鋭意検討することにより保護層が設けられていても駆動電圧の上昇を抑制できる条件を見出した。
すなわち、高分子分散型液晶表示素子の調光層と基板(この基板とは、電極層又はその上に設けられた保護層をも含む。)との界面において、該調光層が基板と接する界面において、基板と液晶組成物が接する部分の面積:SLC及び基板と高分子物質が接する部分の面積:SPLが式(1)を満たす条件とすれば、素子の駆動電圧を低く抑えられることを見出したのである。
式(1)は、調光層の基板との界面に露出した液晶組成物のドメインの面積が全体の40%以下であることを示している。この条件とすることにより、保護層と液晶組成物との間に働く強いアンカリングエネルギーの影響が緩和され、高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧を低く抑えることができる。
式(1)の右辺は、小さければ小さいほど好ましい。具体的には、この値が0.2であればなお好ましく、0.1であればさらに好ましく、0.05であれば一層好ましい。さらにこの右辺の値が0.01になると実質的には基板表面全てを、調光層を構成する高分子物質が被覆することになる。この状態が実現すると該高分子物質が保護層の役割を兼ねるため、電極上に予め保護層を設ける必要がない。すなわち、保護層を持たない電極上に直接、調光層を形成して構わないので工程上の短縮を行うことができ、なおかつ駆動電圧も最も低くなるため、最も好ましい。
上記した式(1)の左辺を求めるには、作製した高分子分散型液晶表示素子の調光層と基板とを剥離し、基板から剥離した調光層の表面を顕微鏡で観察すればよい。この時、電子顕微鏡を用いると高い倍率と解像度が得られるため好ましい。具体的な手順を説明すると、まず高分子分散型液晶表示素子の調光層と基板を剥離するには通常特段の工夫は必要なく、多くの場合は基板を剥離すると調光層との界面で自然に剥がれる。ポリイミド等の保護層がある場合は、多くの場合保護層と調光層の界面で剥がれる。得られた調光層表面を電子顕微鏡で観察するには、ヘキサンあるいはアセトン等の有機溶剤で調光層の表面を洗浄し、液晶組成物を洗い流す。これを必要であれば導電化処理し、走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察する。調光層表面に液晶ドメインが存在していた部分は孔が開いているのが観察できる。高分子物質で被覆されている部分は平滑であって孔が観察されない。この様子を写真等に撮影し、調光層表面を代表しうる画像を得る。この時、孔の大きさや数が面内のバラつきの影響を受けない程度に、充分に広い面積の画像を得ることが好ましい。具体的には70×70μm以上の面積の画像とすることが好ましい。勿論これより大きな面積の画像であってもよく、むしろより好ましい。重要なことは、同一の調光層表面上に液晶ドメインが多い部分と少ない部分がある場合、このいずれかに偏った情報ではなく、該調光層表面全体の状況を反映しうる平均的な画像を得ることである。
上記のようにして調光層の、基板との界面の画像を得たら、画像処理等により液晶ドメインが露出していた部分(孔の開いている部分)の面積と、高分子物質が基板界面を被覆していた部分(平滑な部分)の面積を算出し、式(1)の左辺を算出する。
本発明の高分子分散型液晶表示素子の調光層を構成する液晶組成物と高分子物質とは、相互のアンカリングエネルギーが低く、駆動電圧を低くできるもの同士の組み合わせが好ましい。具体的には、高分子物質は下記一般式(I−a)で表される重合性化合物を含む重合性組成物を重合してなるものが好ましい。
一般式(I−a)
(式中、A及びAはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基、エチル基で置換されていても良く、A及びAはそれぞれ独立して炭素原子数2から25のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子又は炭素原子数1から24のアルキル基で置換されていても良く、A及びAはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1から25のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子又は炭素原子数1から24のアルキル基で置換されていても良く、Aは炭素原子数1から40のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基、エチル基で置換されていても良い。)
一般式(I−a)で表される化合物のより好ましい構造として、A、Aはいずれも水素原子であることが好ましい。メチル基でも使用可能であるが、水素原子の場合の方が重合速度が速くなるためである。A、Aはそれぞれ独立して単結合であるか、炭素原子数1〜8のアルキレン基であることが好ましい。さらには、それぞれ独立して単結合であるか、炭素原子数1〜3のアルキレン基であることが最も好ましい。
次に側鎖であるAとA、及びAとAの長さの関係について、
≧A、及びA≧Aが成り立っていると定義づける。この場合長い方の側鎖であるAとAはそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い炭素原子数2から18のアルキル基であるとより好ましいが、酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い炭素原子数3から14のアルキル基であるとさらに好ましい。さらにAとAついてはそれぞれ独立に水素原子、及び炭素原子数1から10のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1から3のアルキル基である場合が特に好ましい。
二つの側鎖間に位置するAは酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、メチル基、エチル基を分岐構造として有していても良い炭素原子数2から35のアルキレン基であることがより好ましいが、酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、メチル基、エチル基を分岐構造として有していても良い炭素原子数3から32のアルキレン基であるとさらに好ましい。
一般式(I−a)で表される化合物は、Tetrahedoron Letters,Vol.30,pp4985、Tetrahedoron Letters,Vol.23,No6,pp681−684、及び、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.34,pp217−225等の公知の方法で合成することができる。
例えば、一般式(I−a)において、A、Aが水素である化合物は、エポキシ基を複数有する化合物と、エポキシ基と反応し得る活性水素を有するアクリル酸やメタクリル酸等の重合性化合物とを反応させ、水酸基を有する重合性化合物を合成し、次に、飽和脂肪酸とを反応させることにより得ることができる。
更に、複数のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物とを反応させることにより得ることができる。
またラジカル重合性化合物が、例えば、一般式(I−a)のA、Aがアルキル基であり、A、Aが炭素原子数1であるメチレン基である場合は、オキセタン基を複数有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法や、オキセタン基を一つ有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法等により得ることができる。
また、一般式(I−a)のA、Aが炭素原子数3であるプロピレン基の場合は、オキセタン基の代わりにフラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。更に、一般式(I−a)のA、Aが炭素原子数4であるブチレン基の場合は、オキセタン基の代わりにピラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。
一般式(I−a)の化合物を含む重合性組成物を硬化させた透明性高分子物質の表面エネルギーが20から40mN/m2となることが好ましく、27から37mN/m2となることがより好ましい。
一般式(I−a)の化合物、あるいは重合性組成物は不純物等を除去する、又は比抵抗値を大きくする目的で、シリカ、アルミナ等による精製処理を施しても良い。比抵抗値としては1011Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましく、1013Ω・cm以上が最も好ましい。
高分子分散型液晶表示素子中に形成される調光層内の液晶組成物を形成する化合物としては、幅広い液晶温度範囲を有するのみならず、高い比抵抗値、高い誘電率異方性、高い屈折率異方性、低い粘性を有することが好ましい。更に、液晶組成物としての、耐熱性、耐光性に優れることも好ましい条件である。特にアクティブ素子で駆動させるためには、高い比抵抗値、高い誘電率異方性を有することは必須条件である。
この化合物としては、一般式(II−a)
(式中、Rは炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
、は1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、又はインダン−2,5−ジイル基、を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、インダン−2,5−ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−C≡C−、又は−CFO−、−COO−、又は−OCO−を表し、
はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基、CFH基、又はイソシアネート基を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、n=2の場合、複数存在する各C及び各Zはそれぞれ同じあっても、異なっていてもでなくて良い。)
で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(II−a)は具体的には以下に記載する、一般式(III−a)、一般式(IV−a)、一般式(IV−b)、一般式(V−a)、一般式(V−b)、一般式(VI−a)、又は一般式(VII−a)で表される化合物が好ましく、一般式(III−a)、一般式(IV−a)、一般式(IV−b)、一般式(V−a)、又は一般式(V−b)、で表される化合物は相溶性が高いため幅広い液晶温度範囲、特に低温域でのネマティック安定性に優れ、且つ高誘電率、高い比抵抗値を有する化合物である。
一般式(III−a)
(式中、R11は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
11は1,4−フェニレン基又は1,4−-シクロヘキシレン基を表し、該1,4−-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
11は単結合又は−CH−CH−を表し、
11は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又は一般式(III−b)を表し、
(式中、C12は1,4−フェニレン基又は1,4−-シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
18は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、又はジフルオロメトキシ基基を表す。)
12からX17はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、メチル基、メトキシ基又はエチル基を表し、
11は0又は1を表す。)
で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(III−a)においてR11としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基がより好ましい。
11としては、単結合が好ましく、
11としては、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基又はフッ素原子が好ましく、
12からX17は、水素原子、フッ素原子又はメチル基が好ましく、X12からX17のうち少なくとも1つ以上、4つ以下が、フッ素原子又はメチル基であることがより好ましく、1つ以上、3つ以下がフッ素原子、又はメチル基であるものが特に好ましい。
具体的には、一般式(III-c)から一般式(III-i)
(式中R31、R32、及びR33はそれぞれ独立して、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基を表し、
X61からX66はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表し、
X71からX76はそれぞれ独立して、水素原子、又はフッ素原子を表す。)
で表される化合物が好ましく、これらの中でも、X61からX66の少なくとも1つ以上、3つ以下がフッ素原子、又はメチル基であるもの、及びX71からX76の少なくとも1つ以上、3つ以下がフッ素原子であるものがより好ましく。具体的には一般式(IV-j)から一般式(I-r)
(式中、R35、R36及びR37はそれぞれ独立して、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基基を表し、
X81、X84、X85及びX86はそれぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表し、X82及びX83はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表すが、式(I-55)及び式(I-56)中のX82からX86の少なくとも1つ以上、3つ以下がフッ素原子、又はメチル基を表し、
X87及びX88はそれぞれ独立して、水素原子、又はフッ素原子を表す。)
で表される化合物が更により好ましい。
一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)
(式中、R21及びR31はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
21及びC31はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
21フェニル基又は、シクロヘキシル基を表し、
31は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
21及びX31はそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
22からX26及びX32からX36はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
21及びZ31はそれぞれ独立して、単結合又は−CH−CH−を表し、
22及びZ32はそれぞれ独立して、単結合、−CH−CH−又は−CFO−を表し、
21及びn31は0又は1を表す。)
で表される化合物群から選ばれた化合物である高分子分散型液晶表示素子用組成物を用いて上記した高分子分散型液晶表示素子を得ることが好ましい。
また、一般式(II−a)で表される化合物のうち、少なくとも1種類以上が一般式(V−a)及び一般式(V−b)
(式中、R41及びR51はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
41及びC51はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
41はフェニル基又は、シクロヘキシル基を表し、
51は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
41及びX51はそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
42からX45及びX52からX55はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
41及びZ51はそれぞれ独立して、単結合又は−CH−CH−を表し、
42及びZ52はそれぞれ独立して、単結合、−CH−CH−又は−CFO−を表し、
41及びn51は0又は1を表す。)
で表される化合物群から選ばれた化合物を含有することが好ましい。
一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)においてR21及びR31としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、該アルケニル基は式(IV-c)
(構造式は右端で直接もしくは酸素原子を介して環に連結しているものとする。)で表されるものが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基がより好ましい。
21及びC31としては、1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、
21 及びZ31としては、単結合が好ましく、
21及びX31としては、フッ素原子もしくはトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
具体的には一般式(IV-1)から一般式(IV-33)で表される化合物が好ましい。
(式中、R11は炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
一般式(V−a)及び一般式(V−b)においてR41及びR51としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、該アルケニル基は式(IV-c)
(構造式は右端で直接もしくは酸素原子を介して環に連結しているものとする。)で表されるものが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基がより好ましい。
41及びC51としては、1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、
41 及びZ51としては、単結合が好ましく、
41及びX51としては、フッ素原子もしくはトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
具体的には一般式(V-1)から一般式(V-42)で表される化合物が好ましい。
(式中、R11は炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
また、更なる液晶温度領域の拡大、高誘電率、又は低粘性を得るため、一般式(VI−a)
(式中、R61及びR62はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
61、C62及びC63はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
61及びZ62はそれぞれ独立して、単結合又は−CHCH−を表し、
61は、0、1又は2を表す。ただし、n61=2の場合、各C61及び各Z61は同じでなくて良い。)
又は一般式(VII−a)
(式中、R71は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
71、C72及びC73はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又はインダン−2,5−ジイル基、を表し、該1,4−フェニレン基、インダンー2,5−ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
71及びZ72はそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
71はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基、CFH基、イソシアネート基を表し、
71は、0、1又は2を表す。ただし、n71=2の場合、各C71及び各Z71は同じでなくて良い。)で表される化合物を含有することも好ましい。
一般式(VI−a)においてR61及びR62としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、該アルケニル基は式(IV-c)で表されるものが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又はアルコキシ基が更により好ましい。
また、特に低粘性を得たい場合は、n61が0であり、C62及びC63が、1,4-シクロへキシレン基であり、Z62が単結合であることが好ましく、
特に液晶温度範囲を拡大するには、n61が0又は1であり、C61及びC62が、1,4-シクロへキシレン基であり、C63が1,4フェニレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、Z61が単結合又は−CHCH−であり、Z62が単結合であることが好ましく、
特に高屈折率を得るためには、n61が1でありC61が1,4-シクロへキシレン基、又は1,4フェニレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、C62及びC63が、1,4フェニレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子又はメチル基を有することができる。)であることが好ましい。
具体的には一般式(VI-1)から一般式(VI-5)で表される化合物が好ましい。
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基、(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、X21からX26はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。)
一般式(VII−a)のR71としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、該アルケニル基は式(IV-c)で表されるものが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が更により好ましい。
71としては、フッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
また、特に高誘電率を得たい場合は、n71が0又は1であり、C71が1,4-シクロへキシレン基であり、C72が1,4-シクロへキシレン基、又は1,4-フェニレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、C73が2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基であり、Z71及びZ72が単結合であることが好ましい。
特に液晶温度範囲を拡大するには、n71が2であり、C71が1,4-シクロへキシレン基であり、C72が、1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基であり、C73が2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基であり、Z71及びZ72が単結合又は−CHCH−であることが好ましい。
具体的には一般式(VII-1)から一般式(VII-4)で表される化合物が好ましい。
(式中、R14は炭素原子数1から5のアルキル基又はアルコキシ基を表し、X31からX34は水素原子又はフッ素原子を表し、Z11は単結合、又は−CHCH−を表す。)
これら一般式(VII-1)から一般式(VII-4)の中でも一般式(VII-5)から一般式(VII-8)で表される化合物がより好ましい。
(式中、R15は炭素原子数1から5のアルキル基を表し、X35からX37はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
これらの液晶組成物は不純物等を除去する、又は比抵抗値を更に高くする目的で、シリカ、アルミナ等による精製処理を施しても良い。比抵抗値としては1012Ω・cm以上が好ましく、1013Ω・cm以上がより好ましい。
更に、目的に応じて液晶組成物中に、キラル化合物、染料等のドーパントを添加することもできる。
更に一般式(VIII−a)で表される化合物の好ましい構造について説明する。これまで述べてきたような高分子分散型液晶表示素子用組成物中に一般式(VIII−a)で表される構造の化合物が含まれると、式(1)の左辺であるSLC/(SLC+SPL)が小さくなり高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧を一層低くすることができるため好ましい。一般式(VIII−a)で表される化合物において、Bは水素原子であることが好ましい。メチル基である化合物においても本願発明の効果は発現するが、水素原子である化合物は重合速度がより速くなる点で有利である。またBは単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基であることが好ましい。さらにB及びBはそれぞれ独立して炭素原子数3から11のアルキル基であることが好ましい。
一般式(VIII−a)の化合物に見られるような単官能モノマーの場合、分子量が低すぎると真空注入時に揮発するという問題が起こる。このため、分子量として280以上であることが好ましい。このためB、B及びBの関係は完全に独立ではない。例えばBが水素原子であり、Bがメチレン基、Bがオクチル基である場合、Bはペンチル基以上の長さを持ったアルキル基が好ましいということになる。
一般式(VIII−a)で表される化合物は、二分岐構造であることが好ましい。二分岐構造とはB及びBが同じ構造か、若しくは近い構造という意味である。従ってB及びBの長さが極端に違いすぎるのは好ましくない。B及びBの長さの差は原子数にして8以内とする必要があるが、好ましくは6以内であり、4以内であればより好ましい。B及びBの長さの差が原子数で2以内であればさらに好ましい。最も好ましくはB及びBの長さが同じ場合である。さらにB及びBは炭素原子数4から10のアルキル基であるとより好ましく、炭素原子数5から9のアルキル基である場合が最も好ましい。
一方、B及びB上にアルキル基やアルキルエーテル基、エステル基などが分岐した構造とするのは好ましくない。
以上、一般式(VIII−a)で表される化合物について、好ましい構造の具体例として下記一般式(VIII−b)を示す。
(式中、Bは単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基を表し、B及びBはそれぞれ独立して炭素原子数4から10のアルキル基を表す。)
一般式(VIII−a)で表される化合物は市販品を容易に入手することができる。合成する場合にはエポキシ基を有する化合物と、アクリル酸等エポキシ基と反応しうる重合性化合物とを反応させるなど既に述べた方法を応用することができる。
本発明の高分子分散型液晶表示素子を作製するために高分子分散型液晶表示素子用組成物を重合させる際の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’’,4,4’’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4’’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。
この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
本発明の高分子分散型液晶表示素子を作製するために用いる高分子分散型液晶表示素子用組成物は、一般式(II−a)、一般式(III−a)、一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)、一般式(V−a)、一般式(V−b)及び一般式(VI−a)、一般式(VII−a)で表される化合物を含む液晶組成物を59から89質量%含有し、一般式(I−a)で表される化合物を含む重合性組成物あるいは一般式(I−a)で表される化合物と一般式(VIII−a)で表される化合物を含む重合性組成物を10から40量%含有し、重合開始剤を0.1から2質量%含有することが好ましく、該液晶組成物を63から77質量%含有し、該重合性組成物を22から36質量%含有し、重合開始剤を0.1から2質量%含有することが更に好ましい。液晶組成物としては、一般式(III−a)で表される化合物の含有率が5から90%、一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)、一般式(V−a)及び一般式(V−b)、で表される化合物群の含有率が5から70%であるものが好ましく、一般式(III−a)で表される化合物の含有率が10から80%、一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)、一般式(V−a)及び一般式(V−b)、で表される化合物群の含有率が10から50%であるものがより好ましい。重合性組成物としては一般式(I−a)で表される化合物の重合性組成物中に占める割合が5から100%であることが好ましく、20から100%であることがより好ましく、30から100%であることが一層好ましい。一般式(VIII−a)で表される化合物については重合性組成物中に占める割合が0から90%であることが好ましく、10から80%であることがより好ましく、20から70%であることが一層好ましい。
その他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、非反応性のオリゴマーや無機充填剤、有機充填剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤等を適宜添加しても良い。
本発明の高分子分散型液晶表示素子の作製方法について説明する。本発明の高分子分散型液晶表示素子は、電極を有する2枚の基板であって、少なくとも一方が透明電極を有する透明基板である2枚の基板間に、アイソトロピック相である高分子分散型液晶表示素子用組成物を狭持した後、熱、又は活性エネルギー線を照射することによって重合性化合物を重合させ、液晶組成物との相分離を誘発させることにより、液晶組成物と透明性高分子物質からなる調光層が形成されることによって得られる。
2枚の基板はガラス、プラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムチンオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。また、低波長分散の透明性基板を用いることにより本発明のデバイスの光散乱能が高まり反射率やコントラストが向上してより好ましい。低波長分散の透明性基板としては、ホウケイ酸硝子や、ポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネート等のプラスチック透明フィルム、1/4λの光干渉条件を使用した誘電体多層膜をコートした透明性基板が挙げられる。
また、該基板上には、前述したように信頼性確保のための保護層としてのポリマー膜が設けられ、この他にカラーフィルターを配置することもできる。高分子分散型液晶表示素子の、調光層との基板(電極等を含む)との界面において、基板と液晶組成物が接する部分の面積:SLC及び基板と高分子物質が接する部分の面積:SPLが式(2)の関係を満たす場合は保護層はなくても良く、むしろ好ましい。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。中でも2〜50μmが好ましく、2から30μmがより好ましく、2から10μmが更に好ましく、3から6μmが最も好ましい。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板間に高分子分散型液晶表示素子用組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。この時、高分子分散型液晶表示素子用組成物は均一なアイソトロピック状態であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物を重合させる方法としては、紫外線照射が好適である。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、高分子分散型液晶表示素子用組成物に含有されている光重合開始剤の吸収波長領域であり、且つ含有されている液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、具体的には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプを使用して330nm以下の紫外線をカットして使用することが好ましく、350nm以下の紫外線をカットして使用することがより好ましい。
照射する紫外線の強度は、目的とする調光層を得るため適宜調整することができるが、1から200mW/cm2が好ましく、2から100mW/cm2がより好ましい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10から600秒が好ましい。
また、紫外線照射の時の温度は、調光層の特性を決める重要な要素となるが、高分子分散型液晶表示素子用組成物のアイソトロピック−ネマティック転移点よりわずかに高い温度が好ましく、具体的には転移点+0.1から10℃が好ましく、転移点+0.1℃から3℃がより好ましい。
上述の手法、又はそれ以外の手法で作製された、高分子分散型液晶表示素子内の調光層は、液晶組成物が透明性高分子物質でカプセル状に閉じ込められた構造、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造、又は両者が混在した構造等を有しているが、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造であることが好ましく、紫外線照射によって、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造がより好ましい。
ネットワーク構造の平均空隙間隔は高分子分散型液晶表示素子の特性に大きく影響し、平均空隙間隔としては、0.2から2μmが好ましく、0.2から1μmがより好ましく、0.3から0.7μmが最も好ましい。
また、アクティブ駆動である上記した高分子分散型液晶表示素子であることが好ましい。
本発明の高分子分散型液晶表示素子は長期的な信頼性が高く、駆動電圧が低いことを特徴とするが、セル厚5μmにおけるV90が7.5V以下であることが好ましく、6.5V以下であることがより好ましい。
また、本発明の液晶デバイスの裏面側に光吸収層や、拡散反射板等を配置することもでき、反射率とコントラストの高い反射型高分子分散型液晶表示素子が得られる。また、シアン・マゼンタ・イエロー等の光吸収波長の異なる光吸収層を各色別に分割した画素電極の位置に一致するように配置すると、カラー表示が可能である。鏡面反射、拡散反射、再帰性反射、ホログラム反射等の機能を付加することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)
液晶組成物(A)が70%、ラジカル重合性化合物M−1が29.4%、光重合開始剤イルガキュア651(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が0.6%からなる高分子分散型液晶表示素子用組成物(A)を調合した。
次に厚さ1.1mmのコーニング社製のガラス板「1737」上にスパッタリング法でITOを100nm製膜した。この上に日産化学(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるSE−5291をスピンコート法で塗布し、260℃で1時間加熱処理して膜厚20nmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜付ITO基板を用いてセル組みし、セルギャップ4μmのガラスセル(A)を作製した。
高分子分散型液晶表示素子用組成物(A)を真空注入法でガラスセル(A)内に注入した。この時、調光層形成材料が常に均一状態となるよう、真空注入装置内の温度をコントロールした。また真空度は2パスカルとなるよう設定した。注入後ガラスセル(A)を取り出し、注入口を封口剤3026E(スリーボンド社製)で封止した後、調光層形成材料のアイソトロピック−ネマチック転移点より1から2℃高い温度にコントロールし、紫外線カットフィルターUV−35(東芝硝子社製)を介した照射強度が10mW/cmとなるように調整された高圧水銀ランプを60秒間照射して、高分子分散型液晶表示素子を得た。
得られた高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧V90、及びV99を測定し、表1に示した。
なお、V90とは次のように定義される。高分子分散型液晶表示素子に電圧無印加状態から60Hzの交流電圧を0.2V/3秒の速度で加えていき、印加電圧を高めてもそれ以上透過率が変化しなくなった時の透過率をT100、電圧無印加状態での透過率をT0とする。この時T90を下式(3)のように定義する。
V90は電圧無印加状態から上記交流電圧を上記速度で加えていった時、T90の透過率が得られる印加電圧を示す。
V99は、同様に下式(4)のように定義されるT99が得られる印加電圧である。
次にこの高分子分散型液晶表示素子の電圧保持率(VHR)を測定後、80℃の環境下で1000時間エージングし、再度電圧保持率(VHR)を測定した。この結果も表1に示す。
なお、電圧保持率(VHR)の測定は液晶電圧保持率測定システムVHR-A1(東陽テクニカ社製)を用いて行い、パルス幅64μsec、フレーム周期200msec、印加電圧5Vにおける、電圧低下がない場合の理想的波形との面積比(%)を電圧保持率とした。
さらに、上記の評価終了後、該高分子分散型液晶表示素子を調光層とポリイミド界面で剥離した。調光層表面をヘキサン:アセトン=1:1の混合溶剤で洗浄し、液晶組成物を洗い流した。液晶組成物を洗い流した調光層にスパッタリング法で金を製膜して導電化処理した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で表面形状を観察した。この時得られた表面観察写真を図1に示す。図1において孔が開いて内部が見える部分はポリイミド膜との界面に露出していた液晶ドメイン痕を表し、それ以外の部分は高分子物質によりポリイミド界面が被覆されていた部分を表す。図1に示すような電子顕微鏡写真を画像処理することにより、下式(5)を計算した。
(式中、SLCは基板と液晶組成物が接する部分の面積を表し、SPLは基板と高分子物質が接する部分の面積を表す。)
本実施例の高分子分散型液晶表示素子について計算された式(5)の値を表1に示す。
(実施例2)
日産化学(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるSE−5291のかわりに、同社の配向膜用ポリイミド材料であるSE−1410を用いたこと以外は全て実施例1と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(実施例3)
日産化学(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるSE−5291のかわりに、同社の配向膜用ポリイミド材料であるSE−7992を用いたこと以外は全て実施例1と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(実施例4)
ITO膜上にポリイミド膜を設けなかったこと以外は全て実施例1と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(実施例5)
高分子分散型液晶組成物(A)のかわりに、液晶組成物(A)が70%、ラジカル重合性化合物M−1が17.6%、ラジカル重合性化合物M−2が11.8%、光重合開始剤イルガキュア651(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が0.6%からなる高分子分散型液晶表示素子用組成物(B)を用いたこと以外は全て実施例3と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(比較例1)
日産化学(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるSE−5291のかわりに、同社の配向膜用ポリイミド材料であるSE−150を用いたこと以外は全て実施例1と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(比較例2)
日産化学(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるSE−5291のかわりに、JSR(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるAL−1051を用いたこと以外は全て実施例1と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
(比較例3)
ラジカル重合性化合物M−1の代わりに、M−3を用いたこと以外は全て実施例4と同様にして高分子分散型液晶表示素子を作製した。駆動電圧V90、V99、80℃エージング試験1000時間前後のVHR、及びSEM観察画像より計算したSLC/(SLC+SPL)の値を表1に示す。
表1に示すように、実施例1から3の高分子分散型液晶表示素子は、調光層中の液晶ドメインが、保護層であるポリイミド膜との界面に露出している面積の割合であるSLC/(SLC+SPL)が0.4以下であった。これらの高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧は低く、V90が4V未満であり、V99が5.8V未満であった。これらの高分子分散型液晶表示素子の信頼性は高く、80℃、1000時間のエージング試験を経ても99%以上の電圧保持率を示した。また、実施例4の高分子分散型液晶表示素子は、ITO膜と調光層の間に保護層を有していないが、SLC/(SLC+SPL)が0.01以下と、実質的にITO膜に直接接触している液晶ドメインがないため80℃、1000時間のエージング試験を経ても99%以上の電圧保持率を維持していた。この高分子分散型液晶表示素子のV90、V99はともに極めて低かった。更に実施例5の高分子分散型液晶表示素子は保護層であるポリイミド膜を設けているにもかかわらず、SLC/(SLC+SPL)が非常に低い値になっており、V90、V99とも非常に低い値になっていた。
これら実施例に対して、比較例に示す高分子分散型液晶表示素子はいずれもSLC/(SLC+SPL)が0.4より大きかった。このためV90が4.1V以上、V99が6.7V以上と駆動電圧が高かった。さらに中でも比較例3においては、ITO膜に直接接触している液晶ドメインの面積が、ITO膜と接触している調光層界面全体に対して45%あるため信頼性が低かった。この高分子分散型液晶表示素子は80℃、1000時間のエージング試験を経ると電圧保持率が82.5%にまで低下していた。
本発明の高分子分散型液晶表示素子用組成物から得られる高分子分散型液晶表示素子は、低い駆動電圧と高い信頼性を有している。このため、駆動回路として低価格のICドライバーを使用することができ、光散乱モードの高表示品位ディスプレイとして好適に使用することができ、特にアクティブ駆動で良好な表示を行うことができる。具体的には携帯電話、PDA、携帯ゲーム機、時計、コンピューターなどの情報端末の表示素子や光散乱型の直視・反射型ペーパーライクディスプレイに使用することができる。また、採光コントロールのカーテン、文字や図形を表示し高速応答性で電気的に表示を切り換える広告板や装飾表示板としても有用である。さらにプロジェクション等の表示装置、デジタルペーパー、電子ブックや、時計、ICカードの情報表示、光シャッターなどの光学素子としても有用である。
実施例1の高分子分散型液晶表示素子のポリイミド膜と接していた調光層表面の、走査型電子顕微鏡による観察像である。

Claims (14)

  1. 少なくとも電極層を有する一対の対向した基板の間に液晶組成物及び高分子物質により形成された調光層を有し、該調光層が基板と接する界面において、基板と液晶組成物が接する部分の面積:SLC及び基板と高分子物質が接する部分の面積:SPLが式(1)
    の関係を満たすことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子。
  2. 調光層が、一般式(I−a)
    (式中、A及びAはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基、エチル基で置換されていても良く、A及びAはそれぞれ独立して炭素原子数2から25のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子又は炭素原子数1から24のアルキル基で置換されていても良く、A及びAはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1から25のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子又は炭素原子数1から24のアルキル基で置換されていても良く、Aは炭素原子数1から40のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基、エチル基で置換されていても良い。)で表される化合物及び、
    一般式(II−a)
    (式中、Rは炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    、は1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、又はインダン−2,5−ジイル基、を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、インダン−2,5−ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−C≡C−、又は−CFO−、−COO−、又は−OCO−を表し、
    はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基、CFH基、又はイソシアネート基を表し、
    は、0、1又は2を表す。ただし、n=2の場合、複数存在する各C及び各Zはそれぞれ同じあっても、異なっていてもでなくて良い。)で表される化合物を含有する組成物を重合させてなる請求項1記載の高分子分散型液晶表示素子。
  3. 一般式(II−a)で表される化合物のうち、少なくとも1種類以上が一般式(III−a)
    (式中、R11は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    11は1,4−フェニレン基又は1,4−-シクロヘキシレン基を表し、該1,4−-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    11は単結合又は−CH−CH−を表し、
    11は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又は一般式(III−b)を表し、
    (式中、C12は1,4−フェニレン基又は1,4−-シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    18は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、又はジフルオロメトキシ基基を表す。)
    12からX17はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、メチル基、メトキシ基又はエチル基を表し、
    11は0又は1を表す。)
    で表される化合物である請求項2記載の高分子分散型液晶表示素子。
  4. 一般式(II−a)で表される化合物のうち、少なくとも1種類以上が一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)
    (式中、R21及びR31はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    21及びC31はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    21フェニル基又は、シクロヘキシル基を表し、
    31は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
    21及びX31はそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
    22からX26及びX32からX36はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
    21及びZ31はそれぞれ独立して、単結合又は−CH−CH−を表し、
    22及びZ32はそれぞれ独立して、単結合、−CH−CH−又は−CFO−を表し、
    21及びn31は0又は1を表す。)
    で表される化合物群から選ばれた化合物である請求項2又は、3記載の高分子分散型液晶表示素子。
  5. 一般式(II−a)で表される化合物のうち、少なくとも1種類以上が一般式(V−a)及び一般式(V−b)
    (式中、R41及びR51はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    41及びC51はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    41はフェニル基又は、シクロヘキシル基を表し、
    51は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
    41及びX51はそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
    42からX45及びX52からX55はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
    41及びZ51はそれぞれ独立して、単結合又は−CH−CH−を表し、
    42及びZ52はそれぞれ独立して、単結合、−CH−CH−又は−CFO−を表し、
    41及びn51は0又は1を表す。)
    で表される化合物群から選ばれた化合物である請求項2、3又は、4記載の高分子分散型液晶表示素子。
  6. 調光層が、一般式(VI−a)
    (式中、R61及びR62はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    61、C62及びC63はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    61及びZ62はそれぞれ独立して、単結合又は−CHCH−を表し、
    61は、0、1又は2を表す。ただし、n61=2の場合、各C61及び各Z61は同じでなくて良い。)
    で表される化合物を含有する組成物を重合させてなる請求項1、2、3、4、又は5記載の高分子分散型液晶表示素子。
  7. 調光層が、一般式(VII−a)
    (式中、R71は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよく、
    71、C72及びC73はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又はインダン−2,5−ジイル基、を表し、該1,4−フェニレン基、インダンー2,5−ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができ、
    71及びZ72はそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
    71はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基、CFH基、イソシアネート基を表し、
    71は、0、1又は2を表す。ただし、n71=2の場合、各C71及び各Z71は同じでなくて良い。)
    で表される化合物を含有する組成物を重合させてなる請求項1、2、3、4、5、又は6記載の高分子分散型液晶表示素子。
  8. 一般式(III−a)において、X12からX17のうち少なくとも1つ以上、4つ以下が、フッ素原子又はメチル基である請求項3、4、5、6、又は7記載の高分子分散型液晶表示素子。
  9. 基板の調光層に接する側にポリイミド膜を配置した請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8記載の高分子分散型液晶表示素子。
  10. 調光層が基板と接する界面において、基板と液晶組成物が接する部分の面積:SLC及び基板と高分子物質が接する部分の面積:SPL式(2)
    の関係を満たす請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の高分子分散型液晶表示素子。
  11. 電極層が、基板の調光層と接する側に配置され、調光層が直接電極層に接している請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8記載の高分子分散型液晶表示素子。
  12. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11記載のアクティブ駆動高分子分散型液晶表示素子。
  13. 調光層が液晶の連続相中に透明性高分子物質の3次元網目構造を形成して成る、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  14. 一般式(VIII−a)
    (式中、Bは水素原子又はメチル基を表し、Bは単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良く、B及びBはそれぞれ独立して炭素原子数3から11のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)
    で表される化合物を少なくとも1種類含有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13に記載の高分子分散型液晶表示素子。

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