JP2007063345A - 二次加工用光学物品及びその二次加工光学物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二次加工用光学物品、及び該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品を提供すること。
【解決手段】 層構成、最外層を構成するメタクリル樹脂成分の分子量、平均粒子径、各層の(共)重合体組成及び屈折率を制御したアクリル系多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)とからなる組成物を溶融成形してなる、縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上である二次加工用光学物品、及び該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特定の多層構造重合体粒子及び特定のメタクリル系樹脂からなる透明性、耐候性に優れる組成物を溶融成形してなる、縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上である二次加工用光学物品、並びに該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品に関するものである。
ポリカーボネート、アクリル系樹脂及びポリスチレン等の高分子材料を溶融成形してなる光学物品は、ガラスに比べて耐衝撃性が大幅に優れ、さらに成形性や染色性のような他の性能においても優れていることから広範囲に用いられている。中でも、これらの光学物品に部分的な溶融成形を施してなる二次加工物品は、ガラスの代替品として近年その需要が増大している。
しかしながら、軟質ポリ塩化ビニルを除く高分子材料からなる光学物品は加工性に乏しく、二次加工後の曲面部では応力歪みにより耐衝撃性が低下したり、二次加工の際に変形や破断が生じ易いという問題がある。また、アクリル系樹脂を除く高分子材料からなる光学物品は、一般的にその耐候性が良好とは言えない。これらの問題を解決する手段として、特定のアクリル系多層構造重合体粒子を溶融成形してなる柔軟で室温において屈曲可能な光学物品が提案されている(特許文献1参照)が、近年の二次加工物品の用途の多様化に伴い、光学物品における二次加工性のさらなる向上が求められているのが現状である。
特開2002−277601号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、特定の多層構造重合体粒子及び特定のメタクリル系樹脂からなる透明性、耐候性に優れる組成物からなり、アクリル系高分子材料の優れた透明性及び耐候性を損なうことなく、曲げ加工後の厚み変化が小さく、かつ曲げ部分の破断延伸のおきない二次加工用光学物品、及び該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を行い、特定の多層構造重合体粒子とメタクリル系樹脂とからなる特定の要件を満たす組成物を溶融成形してなる二次加工用光学物品が、優れた透明性、耐候性、二次加工性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
多層構造重合体粒子(A)およびメタクリル系樹脂(B)からなる組成物を溶融成形してなる縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上である二次加工用光学物品であって、該多層構造重合体粒子(A)が、
(1)少なくとも1つの下記のゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2以上の層からなり;
(2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり;
(3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される重合体層であり;
(4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置する層を構成する重合体について、GPC法で測定された数平均分子量は30,000以下であり;
(5)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)において30/70〜90/10の範囲であり;
(6)平均粒子径が150nm以下であり;及び
(7)ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する共重合体の屈折率n(I)と熱可塑性樹脂成分層(II)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(II)とのすべての組合せにおいて次式の関係が成り立つ;
|n(I)−n(II)|<0.005
ことを特徴とし、該組成物が以下の要件(イ)及び(ロ):
要件(イ) 多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との質量比が30:70〜70:30であること;
要件(ロ) ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(I)とメタクリル系樹脂(B)の屈折率n(B)とのすべての組合せにおいて次式の関係が成り立つこと;
|n(I)−n(B)|<0.005
を満足する二次加工用光学物品に関する。
また、本発明は上記した光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品に関する。
本発明により、アクリル系高分子材料の優れた透明性及び耐候性を備え、曲げ加工後の厚み減少が小さく、かつ曲げ部分の破断延伸のおきない二次加工用光学物品、及び該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)は、ゴム成分層(I)を内部に少なくとも1層有し、かつ熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外層として有する。多層構造重合体粒子(A)を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層で構成されていても4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の構成であり、3層構造の場合は、層(I)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)、層(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層(II)(最外層)又は層(II)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構成であり、4層構造の場合には、例えば、層(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構成を有することができる。これらの中でも、取扱性に優れる点において、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の2層構造;又は層(I)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の3層構造が好ましい。
また、層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/(II)において30/70〜90/10の範囲内である。層(I)の割合がこの範囲より小さいと二次加工用光学物品における柔軟性が不十分となり、反対に層(I)の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため成形及び他の成分との混練が困難となる。層(I)と層(II)との総質量比は(I)/(II)において50/50〜90/10の範囲内であるのが好ましく、60/40〜80/20の範囲内であるのがより好ましい。なお、層(I)の総質量とは、多層構造重合体粒子(A)中の層(I)が1層のみの場合には該層の質量であり、層(I)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。同様に、層(II)の総質量とは、多層構造重合体粒子(A)中の層(II)が1層のみの場合には該層の質量であり、層(II)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)の層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。
層(I)を形成するために用いるアクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート等のアクリル酸と脂肪族アルコールとのエステル、例えばC〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC又はCの脂環式アルコールとのエステル;フェニルアクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどが挙げられる。アクリル酸エステルは、層(I)(多層構造重合体粒子(A)が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いる単量体混合物(i)に対して50〜99.99質量%の範囲において、単独で又は2種以上混合して用いられる。アクリル酸エステルの量が50質量%より少ないと二次加工用光学物品のゴム弾性が低下することになり、また、99.99質量%を超えると多層構造重合体粒子(A)の構造が形成されなくなるので、いずれも好ましくない。
層(I)を形成するために用いる多官能性単量体は、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸とアリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエステル;前記の不飽和モノカルボン酸とエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコールとのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好ましい。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。多官能性単量体は、層(I)(多層構造重合体粒子(A)が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いる単量体混合物(i)に対して0.01〜10質量%の範囲において、単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。多官能性単量体の量が、10質量%より多いと、二次加工用光学物品がゴム弾性を示さなくなり、柔軟性が不十分となるので好ましくない。また、多官能性単量体の量が0.01質量%より少ないと、層(I)が粒子構造として形成されなくなるので好ましくない。
層(I)を形成するためには、アクリル酸エステル及び多官能性単量体以外に、アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体を併用することができる。該他の単官能性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等のメタクリル酸と脂肪族アルコール、例えばC〜C22の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸とC又はCの脂環式アルコールとのエステル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどのメタクリル酸エステルが代表的であるが、他にも、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。これらの単量体は、必要に応じて、層(I)(多層構造重合体粒子(A)が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いられる単量体混合物(i)に対して49.99質量%以下の割合において、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上記の他の単官能性単量体の割合が49.99質量%を超える場合は、二次加工用光学物品の耐候性が不十分となるので好ましくない。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)の層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%、好ましくは60〜99質量%、さらに好ましくは80〜99質量%、及びそれと共重合可能な他の単量体60〜0質量%、好ましくは40〜1質量%、さらに好ましくは20〜1質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される熱可塑性を有する重合体層である。メタクリル酸エステルの量が40質量%未満であると二次加工用光学物品の耐候性が不十分となる。
層(II)を形成するために用いるメタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられ、好ましくはメチルメタクリレートである。
層(II)を形成するために用いる共重合可能な他の単量体の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート等のアクリル酸と脂肪族アルコール、例えばC〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC又はCの脂環式アルコールとのエステル;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体;前記例で示した多官能性単量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
層(I)はゴム弾性を有する重合体成分から構成され、層(II)は熱可塑性を有する重合体成分から構成されるように、それぞれ、上記した単量体の種類及び使用割合の範囲内で適宜条件を選択すればよい。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)は、その中に含有される層(II)のうち少なくとも粒子の最外層を構成する重合体の数平均分子量がGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法での測定に基づいて30,000以下であることが重要である。数平均分子量が30,000を超える場合、二次加工用光学物品における柔軟性が不十分となり、さらに溶融流動性が低下する場合もある。数平均分子量の下限については、必ずしも厳密な制限はないが、生産工程における多層構造重合体粒子(A)の通過性の点からは、数平均分子量は1,000を下回らないことが好ましい。柔軟性及び生産工程での通過性の両立の点からは、数平均分子量を3,000〜20,000の範囲内とすることが特に好ましい。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径は150nm以下である。150nmより大きいと柔軟性が不十分となり、また、溶融流動性が良くない場合もある。平均粒子径の下限値については特に限定されるものではないが、多層構造重合体粒子(A)の所定の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は30nm以上であることが好ましい。該平均粒子径はさらに好ましくは80〜120nmである。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)は、その中に含有される層(I)の任意の1つの層を構成する共重合体の屈折率n(I)と層(II)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(II)とのすべての組合せにおいて次式の関係を成り立たせるよう各層を形成する単量体混合物を構成する単量体の種類及び質量分率を選択する必要があり、これにより、極めて透明性の良好な二次加工用光学物品を得ることができる。
|n(I)−n(II)|<0.005
(I)−n(II)の絶対値は、0.001以下であるのが特に好ましい。n(I)−n(II)の絶対値が0.005以上である場合、二次加工用光学物品における透明性が低下する。
層(I)及び層(II)を形成する単量体の組成は、層(I)がゴム弾性を有する重合体成分から構成され、層(II)が熱可塑性を有する重合体成分から構成されるように、それぞれ、上記した単量体の種類及び使用割合の範囲内で適宜条件を選択すればよい。また、本発明に用いられる多層構造重合体粒子(A)が3層以上の場合、層(I)を構成する相互に隣接し相互に組成が異なる少なくとも2層のゴム成分層は、ゴム成分層のうちの最外部に存在する層の屈折率を、その内側に隣接するゴム成分層の屈折率とその外側に隣接する熱可塑性樹脂成分層の屈折率との中間になるように、形成する単量体の種類及び量を相異させておくと、二次加工用光学物品の透明性の点から好ましい。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)は、物性面及び製造簡便性の点から、上記した各条件に加え、さらに、最内部にゴム成分層(Ia)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する隣接部にゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部に熱可塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の多層構造重合体粒子が好ましい。
本発明に用いることのできる3層構造の多層構造重合体粒子(A)の層(Ia)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。また、層(Ib)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。層(Ia)及び(Ib)を形成するためには前述の層(I)を形成するのに用いた単量体を使用することができる。
3層構造の多層構造重合体粒子(A)において、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、30/70〜90/10の範囲内である。層(Ia)及び層(Ib)の質量の和の割合がこの範囲より小さいと二次加工用光学物品における弾性回復性及び柔軟性が不十分となり、一方層(Ia)及び層(Ib)の重量の和の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうためメタクリル系樹脂(B)との混練及び溶融成形が困難となる。本発明の効果をより顕著なものとする目的においては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、50/50〜90/10の範囲内であることが好ましく、60/40〜80/20の範囲内であることが好ましい。
また、3層構造の多層構造重合体粒子においては、ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)において、5/95〜95/5、好ましくは20/80〜80/20の範囲内である。ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比が5/95〜95/5の範囲を外れる場合、一般に、柔軟性とその他の機械的物性(引張り物性等)とを両立させることが困難となる。
本発明の二次加工用光学物品において、良好な柔軟性とこれ以外の他の機械的物性とを両立させるためには、3層構造の多層構造重合体粒子(A)の層(Ia)及び層(Ib)について、単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)が、単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)より高いことが重要である。単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)が、単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)以下である場合、二次加工用光学物品において、良好な柔軟性とこれ以外の他の機械的物性とを並立させることが一般に困難となる。本発明の効果をより顕著なものとする目的においては、単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差〔(ia)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量%)〕が3質量%以上の値、好ましくは4〜30質量%の範囲内の値となることが望ましい。
3層構造の多層構造重合体粒子(A)は、ゴム成分層(Ia)を構成する共重合体の屈折率n(Ia)又はゴム成分層(Ib)を構成する共重合体の屈折率n(Ib)と、熱可塑性樹脂成分層(II)を構成する重合体の屈折率n(II)との間に次式の関係を成り立たせるよう、各層を形成する単量体混合物を構成する単量体の種類及び質量分率を選択することにより、極めて透明性の良好な二次加工用光学物品を得ることができる。
|n(Ia)−n(II)|<0.005
|n(Ib)−n(II)|<0.005
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)は、ゴム成分層を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重合反応工程とを所定の順序で行うことによって、中心部から外部に向かって順次層を形成させることからなる、少なくとも1つのゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2つ以上の層からなる多層構造重合体粒子を製造するための公知の製造方法に準じて、製造することができる。ただし、その際、以下の点に留意する必要がある。
(1)ゴム成分層(I)を形成させるための重合反応工程(a)において、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(i)を共重合させること。
(2)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程(b)において、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)を重合させること。
(3)該重合反応工程(b)のうち、少なくとも、最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤を単量体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割合で使用して重合反応を行うこと。
(4)ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する共重合体の屈折率n(I)と熱可塑性樹脂成分層(II)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(II)とのすべての組合せにおいて次式の関係を成り立たつよう、単量体混合物を構成する単量体の種類及び量を選択すること。
|n(I)−n(II)|<0.005
(5)全重合反応工程で使用する単量体混合物(i)の総質量と単量体(ii)の総質量との比を、単量体混合物(i)/単量体(ii)において30/70〜90/10の範囲内とすること。
(6)全ての重合反応工程が終了した時点における多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径が150nm以下となるように制御すること。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)の製造のための重合法については特に制限はなく、例えば、通常の多層構造重合体粒子を製造するための公知の重合法に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、又はこれらの組み合わせを採用することができる。
例えば、乳化重合では公知の手段に従い、各層を形成させるための重合を行うことにより、本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)を得ることができる。乳化重合の温度としては、必ずしも限定されないが一般的な範囲は0〜100℃である。ここで使用する乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪アルコールの硫酸エステル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸;芳香族あるいは脂肪族のリン酸モノエステル、リン酸ジエステル等のリン酸エステル等が挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組み合わせで用いられる。乳化重合で使用する重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始剤として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類と、遷移金属塩等の還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤を使用することができる。
上記のとおり、公知の乳化重合法に従って所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることにより、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かって段階的に形成させることができるが、本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)を製造するためには、少なくとも最外層を形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤を、その工程で使用する単量体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割合で使用することが特に重要である。通常の多層構造重合体粒子を製造する場合、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重合反応において使用される分子量調節剤の使用量は、一般に単量体に対して0〜0.3質量%程度であるが、このように0.4質量%未満の場合には、その層を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子量が高くなり過ぎ、二次加工用光学物品の柔軟性が不十分となり、さらに成形流動性が不十分となる場合もある。本発明の目的においては分子量調節剤の量は上記基準において高々10質量%あれば十分であり、それ以上の量を使用しても、もはやそれ以上の柔軟性付与効果の向上はなく、寧ろ多層構造重合体粒子(A)における分子量調節剤の残存量が多くなるので望ましくない。分子量調節剤は、単量体(ii)に対して0.4〜5質量%、より好ましくは0.6〜2質量%の範囲となるよう用いることが好ましい。
分子量調節剤の具体例としては、例えばn−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが好ましい。
乳化重合によって得られる多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径は乳化剤の添加量等の重合条件によって影響されるので、それらの条件を適宜選択することによって、容易に最終的な多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径を150nm以下に制御することができる。
乳化重合後、生成した多層構造重合体粒子(A)の重合反応系からの分離取得も、公知の手法に従って行うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレードライ法、凍結凝固法などを採用することができる。なお、分離取得された多層構造重合体粒子(A)は、熱可塑性樹脂成分からなる最外層において粒子間相互で部分的に融着していても差し支えない。
本発明に用いるメタクリル系樹脂(B)は、その特徴である優れた透明性及び耐候性を確保する観点から、メタクリル酸メチル単位を60〜99.9質量%及びこれと共重合可能な単量体単位0.1〜40質量%から構成されていることが好ましく、メタクリル酸メチル単位を70〜99.9質量%及びこれと共重合可能な単量体単位0.1〜30質量%であるのがより好ましく、メタクリル酸メチル単位を80〜99.9質量%及びこれと共重合可能な単量体単位0.1〜20質量%であるのが特に好ましい。
ここでメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル単量体;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル単量体;酢酸ビニル;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;などが挙げられ、これらは単独又は2種以上を併用することができる。
本発明に用いるメタクリル系樹脂(B)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合など公知の方法で製造することができる。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)及びメタクリル系樹脂(B)は、以下の要件(イ)及び(ロ):
要件(イ) 多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との質量比が30:70〜70:30であり、好ましくは40:60〜70:30であること;
要件(ロ) ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(I)とメタクリル系樹脂(B)の屈折率n(B)とのすべての組合せにおいて次式;
|n(I)−n(B)|<0.005、
好ましくは
|n(I)−n(B)|<0.003、
の関係が成り立つこと、又は、多層構造重合体粒子(A)が3層構造である場合は、ゴム成分層(Ib)を構成する重合体の屈折率n(Ib)とメタクリル系樹脂(B)の屈折率n(B)とにおいて次式;
|n(Ib)−n(B)|<0.005、
好ましくは
|n(Ib)−n(B)|<0.003、
の関係が成り立つことが必要である。多層構造重合体粒子(A)及びメタクリル系樹脂(B)がこれらの要件を満足することにより、二次加工用光学物品に優れた透明性、及び二次加工性を付与することができる。
本発明の二次加工用光学物品には、本発明の効果を損なわない範囲内において、物性を改善するための物性改善剤の1種又は2種以上を溶融成形に際して配合してもよい。かかる物性改善剤としては、特に制限はなく、例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、フィラー(ガラス繊維等の繊維補強剤、無機充填剤等)等が挙げられる。
該ゴムとしては、例えばアクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系TPE(熱可塑性エラストマー);IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴム等を使用することができる。該滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油等を使用することができる。酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート等のフェノール系化合物;N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物等を使用することができる。該可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸系エステル;リン酸系エステル;アジピン酸系エステル;ポリエチレングリコール等を使用することができる。該光安定剤としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等を使用することができる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、その他の無機、有機顔料等を使用することができる。帯電防止剤としては、例えば、ステアロアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニトレート等を用いることができる。該難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキシド、臭素化ポリカーボネート等の有機ハロゲン系難燃剤;酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、トリクレジルホスフェート等の非ハロゲン系難燃剤などを使用することができる。
本発明の二次加工用光学物品は、透明性の観点から、JIS K7105に準じて測定した全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましい。該二次加工用物品を加工してなる光学物品は、例えば、棒状物品の端面に位置する光源から長光路で光を入射させて、棒状物品の横方向へ光を出射させる用途で好ましく使用される。このような使用形態で横方向への光の出射を効果的にするために、本発明の二次加工用光学物品には、全光線透過率を低下させない範囲内で光出射面の粗面化や光拡散剤の添加といった光拡散手段を加えることができる。これらの光拡散手段のうちで、光拡散剤は、例えば、無機系又は合成樹脂系で平均粒径1〜20μmのものを、二次加工用物品に対し1質量%以下の添加量で使うことができる。光拡散剤が合成樹脂系である場合、光拡散剤を添加していない二次加工用光学物品の屈折率と添加する光拡散剤の屈折率との差の絶対値は、例えば、0.01〜0.2程度とすることができる。
本発明の二次加工用光学物品は、二次加工性の観点から、0℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が6×10〜2×10Paであり、かつ、100℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が5×10〜5×10Paであることが好ましく、0℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が7×10〜1×10Paであり、かつ、100℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が1×10〜5×10Paであることがより好ましい。
本発明の二次加工用光学物品は、多層構造重合体粒子(A)、メタクリル系樹脂(B)、及び必要に応じて物性改善剤の1種又は2種以上からなる組成物を混合及び/又は混練した後、溶融成形することにより得られる。
本発明の二次加工用光学物品を得るための組成物の混合及び/又は混練方法については特に制限はなく、例えば、混合はタンブラー、ミキサー、ブレンダー等、混練はスクリュー押出機、ロール等を用いて行うことができる。また、本発明の二次加工用光学物品を得るための組成物の溶融成形方法についても特に制限はなく、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形等の成形法を挙げることができる。
本発明の二次加工用光学物品の大きさは、縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上であり、6mm以上であることが好ましい。縦、横、高さのうちの最小長さが5mm未満であると、本発明の特徴が効果的に発揮されない。なお、本発明の二次加工用光学物品は、採用した成形条件により、板状、シート状、パイプ状、直方体状、円柱状、角柱状、棒状等の比較的単純な形状を有するものである。
本発明の二次加工用光学物品は、さらに二次加工、すなわち、部分的な溶融成形を施すことで、より複雑な形状を有する二次加工物品とすることができる。二次加工としては、少なくとも加熱曲げ加工を含むものであれば特に制限されず、さらに接着加工等を行ってもよい。本発明の二次加工物品としては、例えば、ネオンサイン状の表示器具、LEDライトガイド、広告表示看板、道路標識、照明付きゲーム機のハウジング及びカバー、装飾用キーホルダー等を挙げることができる。
以下に本発明を参考例、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、参考例、実施例及び比較例における物性値の測定、算出、及び評価は、以下の方法により行った。
(1)屈折率
多層構造重合体粒子(A)の各層の屈折率、及びメタクリル系樹脂(B)の屈折率は、「POLYMER HANDBOOK」(Wiley Interscience社)から、20℃又は23℃におけるホモポリマーの屈折率(ポリメチルメタクリレート1.4893、ポリn−ブチルアクリレート1.466、ポリスチレン1.59、ポリメチルアクリレート1.472等)を引用し、共重合組成に応じて加成則により計算した。
(2)数平均分子量
多層構造重合体粒子(A)の最外層を構成する重合体成分の数平均分子量は、多層構造重合体粒子(A)の試料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠心分離して得られた溶液を用いて、GPC法により測定し、これにより得られた数平均分子量を、本発明においては最外層を構成する重合体成分の数平均分子量とみなした。
(3)平均粒子径
多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて、レーザー粒径解析装置PAR−III(大塚電子社製)を用いて動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し求めた。
(4)全光線透過率
二次加工用光学物品の全光線透過率は、JIS K7105に準じて、厚さ3mmの試験片で測定した。
(5)貯蔵弾性率
二次加工用光学物品の100℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率は、厚さ2mmのシート状の測定用試料について、縦振動型動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(UBM製)を用い、周波数1Hz、振幅3μm、昇温速度5℃/min、雰囲気温度範囲−50℃〜200℃の条件下で測定した。
(6)二次加工性
二次加工用光学物品の測定用試料(長さ200mm×幅20mm×厚さ10mmのシート状物)について、棒状ヒーターを用い、加熱温度100℃、接触圧0.5MPa、接触時間5分の条件下で接触加熱した。その後、すぐに該試料の棒状ヒーター接触部分に対して0.5MPaの応力をかけ、90度の曲げ加工を施し、23℃の雰囲気下で1分間無荷重により放置冷却した。得られた曲げ加工品の曲げ部分について、厚み〔t1(mm)〕を測定して曲げ部分の厚み減少〔10−t1(mm)〕を算出すると共に、破断延伸の有無を目視観察し、二次加工用光学物品の二次加工性について以下の評価基準にしたがって評価した。
◎:曲げ部分の厚み減少が2mm未満、かつ曲げ部分の破断延伸がない(二次加工性が特に良好)。
○:曲げ部分の厚み減少が4mm未満、かつ曲げ部分の破断延伸がない(二次加工性が良好)。
×:曲げ部分の厚み減少が4mm以上か、又は曲げ部分の破断延伸がある(二次加工性が不良)。
本発明に用いる多層構造重合体粒子(A)について説明する。
参考例1 多層構造重合体粒子(A−1)の製造
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部及び乳化剤としてのエマール20C(花王社製)1.0質量部及びポイズ520(花王社製)1.0質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.07質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート54.6質量部、メチルメタクリレート2.8質量部、スチレン12.32質量部、アリルメタクリレート0.28質量部及びフォスファノールRA−600(東邦化学社製)0.35質量部からなる混合物を60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.03質量部を加えた後、メチルメタクリレート28.5質量部、メチルアクリレート1.5質量部、及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を滴下ロートより30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子の平均粒子径は95nmであった。また、該多層構造重合体粒子の1層目と2層目の屈折率の差は、0.0005であった。
このラテックスを−20℃に24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の2層型の多層構造重合体粒子(A−1)を得た。多層構造重合体粒子(A−1)について得られた測定結果を表1に示す。
参考例2 多層構造重合体粒子(A−2)の製造
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部及び乳化剤としてのエマール20C(花王社製)1.0質量部及びポイズ520(花王社製)1.0質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.05質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート39質量部、メチルメタクリレート1.5質量部、スチレン9.3質量部、アリルメタクリレート0.2質量部、及びフォスファノールRA−600(東邦化学社製)0.25質量部からなる混合物を60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、80℃において、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート18.5質量部、メチルメタクリレート2.15質量部、スチレン4.25質量部、アリルメタクリレート0.1質量部、及びフォスファノールRA−600(東邦化学社製:界面活性剤)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
次いで、80℃において、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、メチルメタクリレート23.75質量部、メチルアクリレート1.25質量部、及びn−オクチルメルカプタン0.25質量部を滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃でさらに30分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子の平均粒子径は100nmであった。該多層構造重合体粒子の1層目と3層目の屈折率の差は、0.0015であり、2層目と3層目の屈折率の差は0.0009であった。
このラテックスを−20℃で24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の2層型の多層構造重合体粒子(A−2)を得た。多層構造重合体粒子(A−2)について得られた測定結果を表1に示す。
参考例3 多層構造重合体粒子(A−3)の製造
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部及び乳化剤としてのエマール20C(花王社製)1.0質量部及びポイズ520(花王社製)1.0質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.045質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート36.45質量部、スチレン8.325質量部、アリルメタクリレート0.225質量部及びフォスファノールRA−600(東邦化学製)0.225質量部からなる混合物を60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、80℃において、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート19.25質量部、メチルメタクリレート1質量部、スチレン4.625質量部、アリルメタクリレート0.125質量部、及びフォスファノールRA−600(東邦化学社製:界面活性剤)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
次いで、80℃において、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、メチルメタクリレート28.5質量部、メチルアクリレート1.5質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃でさらに30分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子の平均粒子径は105nmであった。該多層構造重合体粒子の1層目と3層目の屈折率の差は、0.0008であり、2層目と3層目の屈折率の差は、0.0017であった。
このラテックスを−20℃に24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の2層型の多層構造重合体粒子(A−3)を得た。多層構造重合体粒子(A−3)について得られた測定結果を表1に示す。
参考例4 多層構造重合体粒子(4)の製造
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部及び乳化剤としてのエマール20C(花王社製)1.0質量部及びポイズ520(花王社製)1.0質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.07質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート69.65質量部、アリルメタクリレート0.35質量部、及びフォスファノールRA−600(東邦化学社製)0.35質量部からなる混合物を60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.03質量部を加えた後、メチルメタクリレート28.5質量部、メチルアクリレート1.5質量部、及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を滴下ロートより30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃でさらに60分間反応を続け、単量体が消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子の平均粒子径は100nmであった。該多層構造重合体粒子の1層目と2層目の屈折率の差は、0.0222であった。
このラテックスを−20℃に24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の2層型の多層構造重合体粒子(4)を得た。多層構造重合体粒子(4)について得られた測定結果を表1に示す。
次に、本発明に用いるメタクリル系樹脂(B)について説明する。
[メタクリル系樹脂(B−1)]
パラペットGH−1000S(クラレ社製、屈折率1.4878)
[メタクリル系樹脂(B−2)]
メチルメタクリレート70質量%及びメチルアクリレート30質量%からなる単量体混合物を重合してなる共重合体(屈折率1.4841)の凝集粉末
実施例1〜6及び比較例4〜8
参考例1〜4で得られた粉末状の多層構造重合体粒子(A−1)〜(A−3)及び(4)、並びにメタクリル系樹脂(B−1)及び(B−2)を、表2に示した割合でドライブレンドし、該ブレンド物を射出成形機(住友重機械工業社製SG−150)に投入し、シリンダー温度190℃、金型温度50℃で射出成形し、二次加工用光学物品の測定用試料を得た。該試料について、上記の方法で全光線透過率、貯蔵弾性率、及び二次加工性について測定及び評価した。各測定及び評価に対する結果を表2に示す。
比較例1
参考例1で得られた粉末状の多層構造重合体粒子(A−1)のみを射出成形機(住友重機械工業社製SG−150)に投入し、シリンダー温度190℃、金型温度50℃で射出成形し、二次加工用光学物品の測定用試料を得た。該試料について、上記の方法で全光線透過率、貯蔵弾性率、及び二次加工性について測定及び評価した。各測定及び評価に対する結果を表2に示す。
比較例2
参考例2で得られた粉末状の多層構造重合体粒子(A−2)のみを射出成形機(住友重機械工業社製SG−150)に投入し、シリンダー温度190℃、金型温度50℃で射出成形し、二次加工用光学物品の測定用試料を得た。該試料について、上記の方法で全光線透過率、貯蔵弾性率、及び二次加工性について測定及び評価した。各測定及び評価に対する結果を表2に示す。
比較例3
上記メタクリル系樹脂(B−1)のみを射出成形機(住友重機械工業社製SG−150)に投入し、シリンダー温度250℃、金型温度50℃で射出成形し、二次加工用光学物品の測定用試料を得た。該試料について、上記の方法で全光線透過率、貯蔵弾性率、及び二次加工性について測定及び評価した。各測定及び評価に対する結果を表2に示す。
比較例9
参考例1で得られた粉末状の多層構造重合体粒子(A−1)、ペレット状の硬質塩化ビニル樹脂(TH−1000、大洋塩ビ社製;屈折率1.54;以下PVC)、及びジオクチル錫メルカプト系安定剤(ONZ−82BF、三共有機社製)を、表2に示した割合でドライブレンドし、該ブレンド物を射出成形機(住友重機械工業社製SG−150)に投入し、シリンダー温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、二次加工用光学物品の測定用試料を得た。該試料について、上記の方法で全光線透過率、貯蔵弾性率、及び二次加工性について測定及び評価した。各測定及び評価に対する結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の構成要件を全て満たす実施例1〜6の二次加工用光学物品は、多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との質量比の点で本発明の構成要件を満たしていない比較例1〜3、5、及び6の二次加工用光学物品に対し、貯蔵弾性率が適切な範囲であり、二次加工性が向上している。
表2の結果より、本発明の構成要件を全て満たす実施例1の二次加工用光学物品は、多層構造重合体粒子(A−1)の代わりに、多層構造重合体粒子を構成するゴム成分層(I)と熱可塑性樹脂成分層(II)との屈折率差の点で本発明の構成要件を満たしていない多層構造重合体粒子(4)を用いた比較例4の二次加工用光学物品に対し、全光線透過率及び二次加工性が向上している。
表2の結果より、本発明の構成要件を全て満たす実施例3、4の二次加工用光学物品は、メタクリル系樹脂(B−1)の代わりにメタクリル系樹脂(B−2)を用いることで多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との屈折率差の要件を満たさなくなった比較例7、8の二次加工用光学物品に対し、全光線透過率及び二次加工性が向上している。
同様に、本発明の構成要件を全て満たす実施例6の二次加工用光学物品は、多層構造重合体粒子(A−1)の代わりに多層構造重合体粒子(A−2)又は(A−3)を用いることで多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との屈折率差の要件を満たさなくなった比較例7、8の二次加工用光学物品に対し、全光線透過率及び二次加工性が向上している。
表2の結果より、本発明の構成要件を全て満たす実施例3の二次加工用光学物品は、本発明で規定したメタクリル系樹脂(B)の代わりにPVCを用いた比較例9に対し、全光線透過率及び二次加工性が向上している。
本発明により、アクリル系高分子材料の優れた透明性及び耐候性を備える二次加工用光学物品、及び該光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工物品が提供される。また、該二次加工光学物品は、LEDライトガイド、広告表示看板、道路標識、照明付きゲーム機のハウジング及びカバー、装飾用キーホルダー等に好適に使用される。
実施例2の組成で直径2cmの丸棒状光学物品を曲げ加工し、上記(6)に記載の曲げ加工方法に準じて縦約0.5m、横約2mの大きさのネオンサイン状表示器具を作成し、端面に位置する光源から光を入射させた、本発明により得られる二次加工光学物品の使用例を示す図である。

Claims (6)

  1. 多層構造重合体粒子(A)およびメタクリル系樹脂(B)からなる組成物を溶融成形してなる縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上である二次加工用光学物品であって、該多層構造重合体粒子(A)が、
    (1)少なくとも1つの下記のゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2以上の層からなり;
    (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり;
    (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される重合体層であり;
    (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置する層を構成する重合体について、GPC法で測定された数平均分子量は30,000以下であり;
    (5)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)において30/70〜90/10の範囲であり;
    (6)平均粒子径が150nm以下であり;及び
    (7)ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する共重合体の屈折率n(I)と熱可塑性樹脂成分層(II)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(II)とのすべての組合せにおいて次式の関係が成り立つ;
    |n(I)−n(II)|<0.005
    ことを特徴とし、該組成物が以下の要件(イ)及び(ロ):
    要件(イ) 多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との質量比が30:70〜70:30であること;
    要件(ロ) ゴム成分層(I)の任意の1つの層を構成する重合体の屈折率n(I)とメタクリル系樹脂(B)の屈折率n(B)とのすべての組合せにおいて次式の関係が成り立つこと;
    |n(I)−n(B)|<0.005
    を満足する二次加工用光学物品。
  2. 多層構造重合体粒子(A)およびメタクリル系樹脂(B)からなる組成物を溶融成形してなる縦、横、高さのうちの最小長さが5mm以上である二次加工用光学物品であって、該多層構造重合体粒子(A)が、
    (1)最内部に下記のゴム成分層(Ia)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する隣接部に下記のゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部に下記熱可塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造であり;
    (2)ゴム成分層(Ia)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によって形成される重合体層であり;
    (3)ゴム成分層(Ib)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合によって形成される重合体層であり;
    (4)ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比が(Ia)/(Ib)において5/95〜95/5の範囲内であり;
    (5)単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差[(ia)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量%)]が3質量%以上であり;
    (6)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される重合体層であり;
    (7)熱可塑性樹脂成分層(II)を構成する重合体について、GPC法で測定された数平均分子量は30,000以下であり;
    (8)ゴム成分層の総質量((Ia)+(Ib))と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、[層(Ia)+層(Ib)]/層(II)において30/70〜90/10の範囲であり;
    (9)平均粒子径が150nm以下であり;及び
    (10)ゴム成分層(Ia)を構成する共重合体の屈折率n(Ia)又はゴム成分層(Ib)を構成する共重合体の屈折率n(Ib)と、熱可塑性樹脂成分層(II)を構成する重合体の屈折率n(II)との間に次の関係が成り立つ;
    |n(Ia)−n(II)|<0.005
    |n(Ib)−n(II)|<0.005
    ことを特徴とし、該組成物が以下の要件(イ)及び(ロ):
    要件(イ) 多層構造重合体粒子(A)とメタクリル系樹脂(B)との質量比が30:70〜70:30であること;
    要件(ロ) ゴム成分層(Ib)を構成する重合体の屈折率n(Ib)とメタクリル系樹脂(B)の屈折率n(B)とにおいて次式の関係が成り立つこと;
    |n(Ib)−n(B)|<0.005
    を満足する請求項1に記載の二次加工用光学物品。
  3. 溶融成形に際して物性改善剤を配合する請求項1又は2記載の二次加工用光学物品。
  4. JIS K7105に準じて測定した全光線透過率が85%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の二次加工用光学物品。
  5. 0℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が6×10〜2×10Paであり、かつ、100℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率が5×10〜5×10Paである請求項1〜4のいずれかに記載の二次加工用光学物品。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学物品を加熱曲げ加工してなる二次加工光学物品。

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