JPH11279366A - 耐衝撃性に優れたメタクリレート系樹脂板 - Google Patents

耐衝撃性に優れたメタクリレート系樹脂板

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JPH11279366A
JPH11279366A JP8627998A JP8627998A JPH11279366A JP H11279366 A JPH11279366 A JP H11279366A JP 8627998 A JP8627998 A JP 8627998A JP 8627998 A JP8627998 A JP 8627998A JP H11279366 A JPH11279366 A JP H11279366A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層構造共重合体粒子の含量が低く、耐衝撃
性と剛性の物性バランスに優れたメチルメタクリレート
系樹脂の提供。 【解決手段】 メチルメタクリレート系樹脂中に、少な
くとも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層である
多層構造共重合体粒子が分散されてなり、アセトン可溶
部の極限粘度が0.05(l/g)以上であり、かつアセト
ン可溶部のメタノール再沈殿物中に有機性イオウが20
〜300ppm含有されたメチルメタクリレート系樹脂
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れた
メチルメタクリレート系樹脂板およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】メチルメタクリレート系樹脂板は、その
優れた透明性および表面光沢、良好な耐候性、機械的性
質等により、照明器具、看板、各種建材、遮音板などに
広く利用されているが、耐衝撃強度については必ずしも
十分でなく、むしろ脆弱なものとされ、その向上が強く
望まれている。
【0003】メチルメタクリレート系樹脂板に耐衝撃性
を付与する方法としては、架橋グラフト共重合体を含有
させる方法が近年では一般的である。代表的には(1)
メチルメタクリレート系樹脂と特定のグラフト共重合体
をブレンドし、ブレンド物を押出機により溶融混練して
ペレットとし、さらにTダイ押出し法によりペレットか
ら耐衝撃性押出し板を得る方法、(2)特許26481
79号公報に記載されているように、架橋構造を有する
ゴム状共重合体を分散させたメチルメタクリレート系シ
ラップ中に重合開始剤等の種々の添加剤を加えて得られ
た混合物を鋳型中に流し込み、重合させ耐衝撃性キャス
ト板を得る方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】耐衝撃性メチルメタク
リレート系樹脂板としては耐衝撃性と剛性の物性バラン
スに優れたものが好ましい。上記の方法で得られたメチ
ルメタクリレート系樹脂板では、比較的良好な物性バラ
ンスを有するものの、看板用途、遮音板用途としては十
分ではなく、さらなる向上が要求されている。優れた耐
衝撃性を得るには樹脂板に含有される架橋グラフト共重
合体の割合を高くすることが一般的とされているが、こ
の方法では優れた耐衝撃性は得られるものの、曲げ弾性
率の低下が見られ、耐衝撃性と剛性の物性バランスに優
れた樹脂板を得ることは困難であった。
【0005】本発明の目的は、メチルメタクリレート系
樹脂板特有の良好な機械的特性、外観、その他の物性を
維持しつつ、低ゴム含量においても極めて優れた耐衝撃
性を付与したメチルメタクリレート系樹脂板およびその
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】メチルメタクリレート系
のみならず、一般に樹脂板の耐衝撃強度はその樹脂板を
構成するポリマーの極限粘度に大きく影響され、極限粘
度が小さなものほど耐衝撃強度が低くなることが知られ
ている。特に、メチルメタクリレート系樹脂板のような
脆い材料を設計する場合には極めて重要なポイントとな
り、用途に応じた最適の極限粘度に制御することが必要
不可欠となる。架橋グラフト共重合体を含有させたメチ
ルメタクリレート系樹脂板においても同様に、樹脂板を
構成するポリマーの極限粘度が高いほど耐衝撃性が向上
することが知られている。
【0007】しかしながら、アセトン可溶部の極限粘度
が0.05(l/g)以上であり、かつアセトン可溶部をメ
タノールで再沈殿させて得られた化合物のR1−S−R2
構造(R1、R2は同一でも異なってもよい炭化水素基ま
たはメチルメタクリレート単位を含む有機基を表す)に
由来するイオウが20〜300ppm含有されたメチルメ
タクリレート系樹脂板では、従来の知見に反してマトリ
クスポリマーの極限粘度が低い板ほど優れた耐衝撃強度
を発現するという極めて特異的な結果が得られることが
分かった。すなわち、メチルメタクリレート系樹脂板中
の架橋グラフト共重合体の割合を高くすることなく、低
ゴム含量においても極めて耐衝撃性と剛性の物性バラン
スに優れた板が得られることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、メチルメタクリレー
ト単位を50重量%以上含むメチルメタクリレート系樹
脂中に、少なくとも一層が架橋構造を有するゴム状共重
合体層である多層構造共重合体粒子が分散されてなり、
アセトン可溶部の極限粘度が0.05(l/g)以上であ
り、かつアセトン可溶部をメタノールで再沈殿させ得ら
れた化合物のR1−S−R2構造(R1、R2は同一でも異
なってもよい炭化水素基またはメチルメタクリレート単
位を含む有機基を表す)に由来するイオウが20〜30
0ppm含有されたメチルメタクリレート系樹脂板であ
る。
【0009】また、本発明は、メチルメタクリレート5
0〜100重量%とこれと共重合可能な単量体0〜50
重量%とからなる単量体混合物またはその部分重合体中
に、少なくとも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体
層である多層構造共重合体粒子を分散させて得られた混
合物を、連鎖移動剤の存在下で重合させることを特徴と
するメチルメタクリレート系樹脂板の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のメチルメタクリレート系
樹脂板を構成するマトリクスポリマーは、メチルメタク
リレート単位を50重量%以上含むメチルメタクリレー
ト系樹脂である。すなわち、メチルメタクリレート50
〜100重量%とこれと共重合可能な単量体0〜50重
量%とからなる単量体混合物またはその部分重合体を重
合させることにより得られるものである。ここで、部分
重合体とは、メチルメタクリレートまたはメチルメタク
リレートとこれと共重合可能な単量体とからなる単量体
混合物の一部が重合したものであって、重合率が35重
量%以下のものをいう。
【0011】本発明において、メチルメタクリレートと
組み合わせて用いられる共重合可能な単量体としては、
エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレ
ート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト等のメタクリレート類、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート等のアクリル酸エステル類、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和
カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無
水物、N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマ
レイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド誘
導体、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート等のヒドロキシ基含有単量体、(メタ)ア
クリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトン
アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート
等の窒素含有単量体、アリルグリシジルエーテル、グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエ
ポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン等
のスチレン系単量体、エチレングリコールジアクリレー
ト、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタク
リレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、
トリメチロールプロパントリアクリレート等の架橋剤な
どその構造中にS(イオウ)を含まないものが挙げられ
る。
【0012】本発明でアセトン可溶部の極限粘度とは、
多層構造共重合体粒子を含んでなるメチルメタクリレー
ト系樹脂板のマトリクスポリマーの極限粘度を意味す
る。優れた耐衝撃性を発現するメチルメタクリレート系
樹脂板のアセトン可溶部の極限粘度は0.05(l/g)以
上である。0.05(l/g)未満では相当多量の多層構造
共重合体粒子を添加しないと耐衝撃性が発現しない。一
方、極限粘度が余り高すぎると、製造自体が困難になる
問題点が生じる。好ましくは0.08〜0.15(l/g)
であり、さらに好ましくは0.08〜0.10(l/g)で
ある。
【0013】また、本発明のメチルメタクリレート系樹
脂板のアセトンに可溶なポリマーのメタノール再沈殿化
合物におけるR1−S−R2構造に由来する(すなわち、
遊離のイオウを含まない)イオウ含量としては、20〜
300ppmであることが耐衝撃性の発現条件であるが、
好ましくは30〜200ppmであり、さらに好ましくは
40〜150ppmである。
【0014】本発明で用いる多層構造共重合体粒子は、
少なくとも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層か
らなるものである。架橋構造を有するゴム状共重合体層
を有するものであれば、各層の組成、粒径については限
定を受けない。
【0015】代表的な多層構造共重合体粒子としては、
架橋構造を有するゴム状共重合体に、硬質樹脂成分をグ
ラフト重合させたものが挙げられる。架橋構造を有する
ゴム状共重合体としては、ブタジエン、イソプレン、ク
ロロプレン等のジエン系単量体およびブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル基
の炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステル系単
量体から選ばれた単量体の一種以上とこれらと共重合可
能な単量体との共重合体が挙げられる。共重合可能な単
量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香
族ビニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート等のメタクリル酸エステル、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が1
〜8のアクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル化合物、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレー
ト、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジ(メタ)ア
クリレート等の架橋剤が挙げられる。特にアルキル基の
炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステル系共重
合体においては、上記の架橋剤成分が少なくとも1種必
須成分として含まれる。 硬質成分の単量体としては、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタ
クリルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート等のアクリルエステル類、(メタ)アクリロニト
リル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α−メチル
スチレンなどの芳香族ビニル化合物類等が挙げられる。
これらの単量体は単独または2種以上用いて使用され
る。
【0016】多層構造共重合体粒子は、メチルメタクリ
レート系樹脂板を構成するマトリクスポリマー100重
量部に対して3〜20重量部含まれることが好ましく、
5〜15重量部含まれることがより好ましい。多層構造
共重合体粒子が多量に含まれると、曲げ弾性率の低下が
見られ従来のものと変わらなくなる。一方、少量では耐
衝撃性の向上が認められない。
【0017】本発明の耐衝撃性に優れたメチルメタクリ
レート系樹脂板は、メチルメタクリレート50〜100
重量%とこれと共重合可能な単量体0〜50重量%とか
らなる単量体混合物またはその部分重合体中に、少なく
とも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層である多
層構造共重合体粒子を分散させて得られた混合物を、連
鎖移動剤の存在下で重合させることにより製造すること
ができる。重合法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合の
いずれでもよい。
【0018】連鎖移動剤は、多層構造共重合体粒子の製
造時に添加してもよいし、メチルメタクリレートを主と
する単量体混合物の重合段階で添加してもよいし、また
その両時点でもよいが、重合段階で添加することが好ま
しい。
【0019】本発明のメチルメタクリレート系樹脂板
は、多層構造共重合体粒子を含むメチルメタクリレート
系樹脂組成物をTダイ押出法により押出して得ることも
できるが、塊状重合法の一つである鋳込重合法により製
造することが特に好ましい。
【0020】鋳込重合法では、メチルメタクリレートを
主成分とする単量体混合物またはその部分重合体中に多
層構造共重合体粒子を分散させて得られた混合物にラジ
カル重合開始剤および連鎖移動剤を添加して鋳込原料と
する。
【0021】連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に
用いられるものの中から選択して用いればよいが、好ま
しくは炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカ
プト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物など
のメルカプタン系連鎖移動剤である。さらには好ましく
は、n−オクチルメルカプタンやn−ドデシルメルカプ
タンのようなアルキル鎖の短いメルカプタンである。
【0022】この鋳込原料を周辺のガスケットでシール
した対向させた2枚の無機ガラス板または金属板の間に
注入して加熱するセルキャスト法か、または同一方向に
同一速度で進行する片面鏡面研磨された2枚のステンレ
ス製エンドレスベルトとガスケットでシールされた空間
の上流から連続的に上記の鋳込原料を注入して加熱する
ことによって連続的に重合する。
【0023】上述した重合性鋳込原料を重合させるに
は、アゾ化合物あるいは有機過酸化物等のラジカル重合
開始剤を用いるのが好ましい。アゾ化合物の具体例とし
ては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシ
バレロニトリル)等を挙げることができ、他方、有機過
酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。また、レド
ックス系の重合開始剤、例えば有機過酸化物とアミン類
との組み合わせも用いることができる。
【0024】本発明の樹脂板を重合によって製造する際
の重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によ
って異なるが、一般には10〜150℃である。
【0025】鋳込重合法によって得られる樹脂板の厚み
は特に制限はないが、0.2〜150mmの範囲内である
ことが好ましい。
【0026】さらに、本発明の製造方法においては、い
ずれかの好都合な工程において着色剤、紫外線吸収剤、
熱安定剤、他の帯電防止剤、充てん剤等を添加すること
ができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例によってさらに具体的に本発明
を説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。各実施例において、特記の無い限り「部」は
重量部、「%」は重量%を意味する。
【0028】また、実施例において、各略号は以下の化
合物を示す。 MMA:メチルメタクリレート MA:メチルアクリレート BA:n−ブチルアクリレート AMA:アリルメタクリレート DAM:ジアリルマレート St:スチレン EDMA:エチレングリコールジメタクリレート BDMA:1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト n−OM:n−オクチルメルカプタン n−DM:n−ドデシルメルカプタン t−DM:t−ドデシルメルカプタン KPS:過硫酸カリウム CHP:クメンハイドロパーオキサイド t−BH:t−ブチルハイドロパーオキサイド t−HH:t−ヘキシルハイドロパーオキサイド AIBN:アゾビスイソブチロニトリル PHPV:t−ヘキシルパーオキシビバレート EAP:エチルアシッドフォスフェート EDTA・2Na:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウ
ム2水和物 SFS:ソディウムフォルムアルデヒドスルホキシレー
ト 乳化剤(1):モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル)リン酸40%とジ(ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル)リン酸60%の水酸化ナトリウ
ムの混合物の部分中和物。
【0029】また、実施例および比較例中の物性評価は
下記の方法に準拠して行った。 [アイゾット衝撃強度] JIS−K7110(23℃ノ
ッチ付き、ノッチ無し) [ダインシュタット衝撃強度] DIN53453(23
℃) [ハイドロショット高速面衝撃強度] 樹脂板を100
×100mmの大きさに切り出し、高速衝撃試験機(島津
ハイドロショット、島津製作所(株)製)により、撃芯
径:1/2インチ、打ち抜き速度:2m/sec、測定温度
23℃の条件下で面衝撃強度を測定した。
【0030】[曲げ弾性率] JIS−K7203 また、実施例に示した諸特性は下記方法に従って測定し
た。
【0031】[イオウ含有量]樹脂板のアセトン可溶部を
メタノールで再沈殿させ得られたポリマー中のR1−S
−R2構造に由来するイオウ含量を全塩素・硫黄分析シ
ステム(TOX-10Σ、三菱化学(株)製)および熱分解
クロマトグラフィー(検出器FPD)を用いて測定し
た。
【0032】[極限粘度]樹脂板のアセトン可溶部をメタ
ノールで再沈殿させ得られたポリマーを、クロロホルム
に溶解し、25℃にてオストワルド型細管式粘度計を用
いて測定した。
【0033】実施例1 (1)架橋グラフト共重合体の製造 還流冷却器付き反応容器にイオン交換水300部を加
え、80℃に昇温し、硫酸鉄(II)7水和物4×10-5
部、EDTA・2Na1.2×10-4部、SFS0.4
部を添加して10分保持し、その後表1に記載した組成
の単量体混合物(a−1)(以下、参照番号を付した単
量体混合物は、同様に表1に記載したものである。)4
0部、重合開始剤t−BH0.07部と乳化剤(1)
1.2部の混合物の1/10を加えて15分保持し、そ
の後残りの単量体混合物、重合開始剤、乳化剤の混合物
を20部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間
保持して最内層の重合を行った。
【0034】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.2部を加えて15分保持し、単量体混合物(b−
1)60部、重合開始剤CHP0.17部、乳化剤
(1)1.8部の混合物を、20部/時間の速度で連続
的に添加し、その後2時間保持して中間層の重合を行っ
た。
【0035】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.2部を加えて15分保持し、単量体混合物(c−
1)60部、重合開始剤t−BH0.1部の混合物を、
30部/時間の速度で連続的に添加し、その後2時間保
持して最外層の重合を行い、多層構造アクリル重合体ラ
テックスを得た。
【0036】次いで、このラテックスを酢酸カルシウム
水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多層構造ア
クリル重合体(以下、重合体Aと記す。)を得た。 (2)メチルメタクリレート板の製造 重合体A12.8部をメチルメタクリレートの部分重合
体(粘度100センチポイズ、重合率10%)100部
中に充分に分散させた。さらにこの混合体に重合開始剤
AIBN0.008部、PHPV0.32部、EAP
0.01部、連鎖移動剤n−DM0.06部を添加し鋳
込用原料とした。この混合体を減圧にして溶存空気を除
去した後、ガスケットおよび2枚の強化ガラスによりあ
らかじめ厚さ3mmになるように形成されたセル中に流
し込んだ。重合は76℃の温水雰囲気下で60分間、1
30℃の空気雰囲気下で60分間行った。得られたメチ
ルメタクリレート樹脂板の分析および物性評価結果を表
3に示した。
【0037】実施例2〜5 メチルメタクリレート板の製造で、表2に記載するよう
に連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と全く同様に操
作してメチルメタクリレート板を得、評価結果を表3に
示した。
【0038】比較例1 メチルメタクリレート板の製造で、連鎖移動剤を使用し
なかったこと以外は実施例1と同様に操作してメチルメ
タクリレート樹脂板を得、評価結果を表3に示した。
【0039】実施例6 還流冷却器付き反応容器に、イオン交換水300部を加
え、80℃に昇温し、硫酸鉄(II)7水和物6×10-5
部、EDTA・2Na1.5×10-4部、SFS0.3
部を添加し、その後単量体混合物(a−2)40部、重
合開始剤t−HH0.1部と乳化剤(1)1.2部の混
合物の1/10を加えて15分保持し、その後残りの単
量体、重合開始剤、乳化剤混合物を水に対する単量体混
合物の増加率で8%/時間の速度で連続的に添加し、そ
の後1時間保持して最内層の重合を行った。
【0040】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.3部を加え、単量体混合物(b−2)60部、重合
開始剤t−HH0.2部と乳化剤(1)1部の混合物
を、水に対する単量体混合物の増加率で4%/時間の速
度で連続的に添加し、その後2時間保持して中間層の重
合を行った。
【0041】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.2部を加えて15分保持し、単量体混合物(c−
2)60部、重合開始剤t−HH0.1部を、水に対す
る単量体混合物の増加率で10%/時間の速度で連続的
に添加し、1時間保持して最外層の重合を行い、多層構
造アクリル重合体ラテックスを得た。
【0042】次いで、このラテックスを酢酸カルシウム
水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多層構造ア
クリル重合体(以下、重合体Bと記す。)を得た。
【0043】メチルメタクリレート板の製造は、添加す
る架橋グラフト共重合体として重合体Bを用いる以外は
実施例1と同様な操作で行い、メチルメタクリレート系
樹脂板を得、評価結果を表3に示した。
【0044】比較例2 メチルメタクリレート板の製造で、連鎖移動剤を使用し
なかったこと以外は実施例6と同様に操作してメチルメ
タクリレート系樹脂板を得、評価結果を表3に示した。
【0045】実施例7 還流冷却器付き反応容器に、イオン交換水190部、炭
酸ナトリウム0.06部、ホウ酸0.6部を加えた後、
単量体混合物(a−3)25部を乳化剤(1)0.06
部と共に加え80℃に昇温した。昇温後、重合開始剤K
PS 0.03部を添加し、1時間保持して最内層の重
合を行った。
【0046】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.1部を加えた後、単量体混合物(b−
3)37.5部と乳化剤(1)0.3部の混合物を1
2.5部/時間の速度で連続的に添加した後、2時間保
持して中間層の重合を行った。
【0047】次いで、このラテックスの存在下、硫酸鉄
(II)7水和物2.5×10-5部、EDTA・2Na
7.5×10-5部、SFS0.1部を加え、レドックス
反応を誘起しうる状態にした後、単量体混合物(c−
3)37.5部と重合開始剤CHP0.06部の混合物
を18.8部/時間の速度で連続的に添加した後、1時
間保持して最外層の重合をおこない多層構造アクリル重
合体ラテックスを得た。
【0048】次いで、このラテックスを酢酸カルシウム
水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多層構造ア
クリル重合体(以下、重合体Cと記す。)を得た。
【0049】メチルメタクリレート板の製造は、添加す
る架橋グラフト共重合体として重合体Cを用いる以外は
実施例1と同様な操作で行い、メチルメタクリレート系
樹脂板を得、評価結果を表3に示した。
【0050】比較例3 メチルメタクリレート板の製造で連鎖移動剤を使用しな
かったこと以外は実施例7と同様に操作してメチルメタ
クリレート板を得、評価結果を表3に示した。
【0051】比較例4 メチルメタクリレート板の製造で重合体Aを添加しなか
ったこと以外は実施例7と同様に操作してメチルメタク
リレート板を得、評価結果を表3に示した。
【0052】比較例5 メチルメタクリレート板の製造で重合体Aを21.1部
添加した以外は比較例1と同様に操作してメチルメタク
リレート板を得、評価結果を表3に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明のメチルメタクリレート系樹脂板
は、従来のメチルメタクリレート系樹脂板に比べて耐衝
撃性に極めて優れたものであり、看板、各種パネル、カ
バー、建材、遮音板等様々な分野での利用範囲が拡大さ
れる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メチルメタクリレート単位を50重量%
    以上含むメチルメタクリレート系樹脂中に、少なくとも
    一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層である多層構
    造共重合体粒子が分散されてなり、アセトン可溶部の極
    限粘度が0.05(l/g)以上であり、かつアセトン可溶
    部をメタノールで再沈殿させ得られた化合物のR1−S
    −R2構造(R1、R2は同一でも異なってもよい炭化水
    素基またはメチルメタクリレート単位を含む有機基を表
    す)に由来するイオウが20〜300ppm含有されたメ
    チルメタクリレート系樹脂板。
  2. 【請求項2】 メチルメタクリレート50〜100重量
    %とこれと共重合可能な単量体0〜50重量%とからな
    る単量体混合物またはその部分重合体中に、少なくとも
    一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層である多層構
    造共重合体粒子を分散させて得られた混合物を、連鎖移
    動剤の存在下で重合させることを特徴とするメチルメタ
    クリレート系樹脂板の製造方法。
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