JP2648179B2 - 耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂キャスト板及びその製造方法 - Google Patents

耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂キャスト板及びその製造方法

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JP2648179B2 JP17915188A JP17915188A JP2648179B2 JP 2648179 B2 JP2648179 B2 JP 2648179B2 JP 17915188 A JP17915188 A JP 17915188A JP 17915188 A JP17915188 A JP 17915188A JP 2648179 B2 JP2648179 B2 JP 2648179B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂キャスト
板およびその製造方法に関する。
メタクリル樹脂キャスト板は、その優れた透明性およ
び表面光沢、良好な耐候性、機械的性質等により、照明
器具、看板、各種建材等に広く利用されているが、衝撃
強度については必ずしも充分でなく、むしろ脆弱なもの
とされ、その向上が強く望まれている。
〔従来の技術〕
メタクリル樹脂キャスト板の耐衝撃性を改良するため
に、ゴム成分をメチルメタクリレートまたはメチルメタ
クリレートを主成分とする単量体混合物に溶解させ、適
当な開始剤を用いてキャスト重合させる方法はすでに提
案されている。
例えば、特公昭52−1759号に記載されているように、
オレフィン−アクリル酸エステルゴム状共重合体をメチ
ルメタクリレート単量体に膨潤溶解させて溶液とし、つ
いでこの混合物を2枚のガラスセル中で重合させる方
法、特開昭60〜144308号に記載されているように酢酸ビ
ニル−エチレン共重合体を溶解させたメチルメタクリレ
ート単量体溶液を部分重合させ、相転換を起こさしめ
て、酢酸ビニル−エチレン共重合体含有部分重合体を調
製し、次いでこれをキャスト重合する方法等が提案され
ている。
上記特公昭52−1759号に記載されている方法では、メ
タクリル樹脂とゴム成分との相溶性が乏しく、十分な耐
衝撃性が発現しない。特開昭60−144308号に記載されて
いる方法ではメタクリレート樹脂中に分散させ得るゴム
成分の量に限界があり、その結果、耐衝撃性にも限界が
あり高衝撃強度を発現するまでには至っていない。
メチルメタクリレートとゴム成分の相溶性を改良した
例として、特公昭47−16186号に記載されているよう
に、酢酸ビニル−エチレン共重合体にメチルメタクリレ
ート等の単量体をグラフト重合せしめ、得られたグラフ
ト共重合体をメチルメタクリレート単量体に溶解し、次
いで、得られた溶液をキャスト重合する方法が提案され
ている。この方法によれば、耐衝撃性は向上するもの
の、得られた板がキャスト板特有の優れた透明性および
表面光沢を損ねるという欠点がある。
耐衝撃性を発現させるためには、メタクリル樹脂中に
ゴム成分が適当な粒径で分散していることが必要であ
る。上記のいずれの方法においても、ゴム源として粒子
状でない共重合体を用いているため、キャスト重合後に
粒子化しているゴム成分の粒径を重合条件等で制御する
必要がある。そのため、重合条件が著しく限定され、得
られた板の透明性、表面光沢その他の衝撃強度以外の物
性を損ねる結果となっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のようにキャスト板特有の良好な機械的性質、外
観その他の特性を損ねることなく、高度の耐衝撃性を付
与することのできる耐衝撃性キャスト板の製造方法は従
来提供されていない。本発明の目的はこのような耐衝撃
性キャスト板の製造方法を提供するにある。
〔課題を解決するための手段(1)〕 本発明は、メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
タクリレート単位を50重量%以上含むメチルメタクリレ
ート系樹脂100重量部中に、架橋構造を有し平均粒子径
が0.1μm〜1μmであるゴム状共重合体〔II〕に硬質
樹脂成分〔III〕をグラフト重合せしめて得たグラフト
共重合体〔IV〕がゴム状共重合体の量として2〜30重量
部分散されてなることを特徴とする耐衝撃性に優れたメ
タクリル樹脂キャスト板を提供する。
本発明は、さらに、メチルメタクリレートもしくはメ
チルメタクリレート50重量%以上と他のメチルメタクリ
レートと共重合性の少なくとも1種の単量体50重量%以
下とからなる単量体混合物またはその部分重合体もしく
はそれらの混合物〔I〕100重量部中に、平均粒子径が
0.1μm〜1μmである架橋構造を有するゴム状共重合
体〔II〕に、硬質樹脂成分〔III〕をグラフト重合せし
めたグラフト共重合体〔IV〕を、前記ゴム状共重合体
〔II〕の量として2〜30重量部分散させ、得られた混合
物〔V〕を鋳型中で重合させることを特徴とする耐衝撃
性に優れたメタクリル樹脂キャスト板の製造方法を提供
する。
〔作用および発明の効果〕
本発明の最大の特徴は、メチルメタクリレート単量体
もしくはメチルメタクリレートを主成分とする単量体の
混合物またはその部分重合体またはそれらの混合物に分
散させるゴム源として架橋構造を有するゴム状共重合体
を用いることにある。従来の方法(特公昭52−1759号、
特公昭60−144308号等)において使用されるゴム源はメ
チルメタクリレート単量体に可溶であるものに限られた
が、本発明において、メチルメタクリレート単量体に不
溶である架橋構造を有するゴム状共重合体をゴム源とし
て用いており、該ゴム状共重合体に、メチルメタクリレ
ート等の硬質樹脂成分をグラフト重合せしめることによ
り、メチルメタクリレート単量体またはその部分重合体
に対して容易に粒子状に分散させることが可能になっ
た。その結果、ポリブタジエンに代表されるようなTg
(ガラス転移温度)の低いゴムをゴム源として用いるこ
とが可能となり、ひいては、高い衝撃強度を有するメタ
クリル樹脂キャスト板を製造することが可能になった。
その他、本発明の特徴および利点としては次の事項が
あげられる。
(イ)従来技術ではメチルメタクリレート系単量体中に
溶解していたゴム成分が、重合の進行とともに相分離す
る条件を制御することにより粒子化させるプロセスをと
るため、適当な粒径をもつように制御することは容易な
ことではない。一方、本発明ではゴム粒子が架橋されて
いるため、ゴム粒子が重合後までその形態を保持される
ため、キャスト板中のゴム粒子径制御が容易である。
(ロ)従来の方法によれば、ゴム粒子の粒子径を1μm
以下に制御するのは困難であり、さらに該ゴムが非架橋
であるため、得られたキャスト板を延伸成形した際透明
性を損ねる結果となる。他方、本発明においては、粒子
径0.1μm〜1μmの架橋ゴムを用いるため得られたキ
ャスト板は延伸成形した後も透明性を保持している。
特に、メチルメタクリレート樹脂相とゴム相との屈折
率差が一定値以下となるようにゴム相の組成を選定すれ
ば優れた透明性が得られる。
(ハ)メチルメタクリレート等の硬質樹脂成分をグラフ
ト重合せしめたゴム状共重合体を分散させて重合させる
ため、得られたキャスト板は、ゴム相とメタクリル樹脂
相との接着性(相溶性)が良く、高い衝撃強度を発現す
る。
この耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂キャスト板は、
特に、看板用途、照明器具用途、窓用途、サニタリー用
途等の透明性の良さと耐衝撃性の両方を必要とされる分
野で有用である。
〔課題を解決するための手段(2)〕 本発明においては、メチルメタクリレートもしくはメ
チルメタクリレート50重量%以上と少なくとも一種の共
重合性単量体50重量%以下との混合物、または、それら
の部分重合体またはそれらの混合物を用いる。好ましい
単量体混合物はメチルメタクリレート90重量%以上と少
なくとも一種の共重合性単量体10重量%以下とからな
る。ここで「部分重合体」とは、メチルメタクリレート
またはメチルメタクリレートと共重合性単量体とからな
る単量体混合物の重合物であって、重合率が35%以下の
ものを指す。重合率が35%を超えるメチルメタクリレー
トの部分重合体を用いた場合、グラフト共重合体を均一
に分散させるのが非常に困難になるうえ、得られた部分
重合体とグラフト共重合体〔IV〕との混合物の粘度が極
端に高くなり、キャスト重合を行ううえで取扱いが困難
である。また、部分重合体はメチルメタクリレートもし
くはそれを主成分とする単量体混合物との混合物として
用いることもできる。メチルメタクリレートの部分重合
体を調製する方法は特に限定されず、例えば、メチルメ
タクリレート単量体またはそれを主成分とする単量体混
合物に公知のラジカル重合開始剤0.01〜1重量%を添加
して50〜120℃、好ましくは70〜120℃で一定時間加熱す
る方法があげられる。
本発明において、メチルメタクリレート単量体と組合
せて用いられる共重合可能な単量体としては、エチルメ
タクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フ
ェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメ
タクリル酸エステル類、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート等のアクリル酸エステル類、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カル
ボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水
物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導
体、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の
ヒドロキシ基含有単量体、アクリルアミド、メタクリル
アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジア
セトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート等の窒素含有単量体、アリルグリシジルエーテ
ル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト等のエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルス
チレン等のスチレン系単量体、エチレングリコールジア
クリレート、アリルアクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、アリルメタクリレート、ジビニルベ
ンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート等の
架橋剤等が挙げられる。
共重合可能な単量体の種類と添加量は、目的とするキ
ャスト板の性質により適宜選ぶことができる。特に、透
明性に優れたメタクリル樹脂キャスト板を得るには、メ
タクリル系樹脂相とゴム相との屈折率の微妙なずれを補
正するために、共重合可能な単量体としてフェニルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、イソプロピルメ
タクリレート等を10重量%以下の割合で使用することが
好ましい。
本発明において使用するゴム状共重合体〔II〕として
は、架橋構造を有し平均粒子径が0.1μm〜1μmのも
のが用いられ、その共重合体は架橋アクリル酸アルキル
エステル系共重合体〔II−a〕、ブタジエン系共重合体
〔II−b〕および架橋エチレン・αオレフィン系共重合
体〔II−c〕に大別される。
架橋アクリル酸アルキルエステル系共重合体〔II−
a〕は、アルキル基の炭素数2〜8のアクリル酸アルキ
ルエステルの少なくとも1種及び多官能性単量体の少な
くとも1種を必須成分として含み、その他必要に応じて
スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル等の
共重合性単量体を含む単量体混合物を重合することによ
って得られる。アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル
酸アルキルエステルとしてはエチルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート
等が適している。ここで多官能性単量体としては、エチ
レングリコールジメタクリレート、エチレングリコール
ジアクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、テ
トラエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベン
ゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート、アリルアクリレ
ート、アリルメタクリレート等があげられる。
架橋アクリル酸アルキルエステル系共重合体〔II−
a〕の好ましいものは、ブチルアクリレート69.9〜89.9
重量%とスチレン単独またはスチレンとその誘導体混合
物10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性の多官能単
量体0.1〜10重量%から構成される架橋ゴム状共重合体
である。
ブタジエン系共重合体〔II−b〕とは、1,3−ブタジ
エン5重量%以上と1,3−ブタジエンと共重合性の少な
くとも1種の単量体95重量%以下とから構成される共重
合体を指す。1,3−ブタジエンと共重合性の単量体とし
てはスチレン、アクリロニトリルおよびアルキル基の炭
素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル等があげら
れる。この共重合に際し、ブタジエン系共重合体は、必
要に応じて、多官能性単量体を併用することもできる。
ここで多官能性単量体としてはジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジメタクリレート、ブチレングリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が
あげられる。ブタジエン系共重合体を用いた場合最終的
に得られるキャスト板は特に高い衝撃強度を発現するこ
とが確認されている。
高い衝撃強度とともに優れた透明性をもつキャスト板
を製造するには、ブタジエン40〜55重量%とブチルアク
リレート60〜45重量%から構成されるブタジエン系共重
合体〔II−b〕が望ましい。この組成の範囲では、得ら
れるキャスト板中のメタクリル系樹脂相とゴム相の屈折
率差が0.005以下となる。
また、高い衝撃強度とともに優れた透明性をもつキャ
スト板を製造するのに好適な他のブタジエン系共重合体
〔II−b〕としては、ブタジエン40〜55重量%とブチル
アクリレート60〜45重量%からなるゴムラテックス10〜
90重量部の存在下に、ブチルアクリレート69.9〜89.9重
量%とスチレン単独またはスチレンとその誘導体混合物
10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性の多官能単量
体0.1〜10重量%から構成される単量体混合物90〜10重
量部を重合して得られるものが挙げられる。
ここで2段目の単量体混合物の組成が上記範囲外の場
合、ゴムラテックスと単量体混合物から構成される共重
合体の屈折率差が0.005を越えるため透明性が低下す
る。
また、ここで使用する共重合性の多官能単量体として
は、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイヒ酸
アリルより選ばれた1種とエチレングリコールジメタク
リレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−
ブチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコール
ジアクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレートより選ばれた1種との併用が好ましい。
架橋エチレン・α−オレフィン系共重合体〔II−c〕
は、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとからな
る単量体混合物を共重合したものを多官能性単量体で架
橋することによって得られる。α−オレフィンとしては
炭素数3〜10のα−オレフィンが適しており、特にプロ
ピレンが好ましい。
非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5
−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4
−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン等の
一種以上が用いられる。エチレン−プロピレン−非共役
ジエンターポリマー(以下、EPDMと略称することがあ
る)中の非共役ジエン成分として、ジシクロペンタジエ
ンおよび/またはエチリデンノルボルネンを用いたもの
は特に好ましい。
EPDMのエチレンとプロピレンのモル比は、5:1から1:3
の範囲であることが好ましく、またはEPDM中の不飽和基
の割合は、沃素価に換算して4〜50の範囲であることが
好ましい。EPDMのラテックスの製法に関しては特に制限
はないが、乳化剤の存在下にEPDM〔II〕に機械的剪断力
を与え水中に微細に分散安定化させてラテックス化する
のが一般的である。
本発明で用いるEPDMは架橋されている必要がある。架
橋されていないものを用いた場合には、衝撃強度の発現
性に劣り、また高温で成形した場合に成形品の外観に著
しい欠陥を生じる。架橋の程度をゲル含有率で表現する
と50〜95%の範囲にあることが好ましい。50%未満のも
のを用いた場合には透明性が不良となり、かつ成形品の
光沢に劣ることになり、95%を越えるものでは衝撃強度
発現性に劣る。架橋方法は特に限定されないが、多官能
性単量体を有機過酸化物とともにラテックスに含浸され
たのち、昇温することによって架橋反応を行なう方法な
どが挙げられる。多官能性単量体としては、ジビニルベ
ンゼン、テトラメチレンジアクリレート、グリセリルト
リアクリレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、テトラアリロ
キシエタン等があげられる。
本発明において使用するゴム状共重合体〔II〕は、平
均粒子径0.1μm〜1μmであることが必須である。平
均粒子径が0.1μm未満であるゴム状共重合体を用いた
場合得られたキャスト板が耐衝撃性を発現しないか発現
しても極く微かにすぎない。平均粒子径が1μmを超え
るゴム状共重合体を用いた場合、得られたキャスト板を
延伸成形する際に表面光沢が極端に低下する。
本発明において使用するゴム状共重合体〔II〕は公知
の乳化重合法によって製造することが好ましい。公知の
乳化重合法によって平均粒子径が0.1μm以上のゴム状
共重合体を直接製造することが困難な場合、乳化重合法
により平均粒子径が、0.1μm未満であるゴム状共重合
体ラテックスを製造し、次いでこのゴム状共重合体ラテ
ックスを平均粒子径0.1μm〜1μmとなるよう肥大化
する方法を用いることが可能である。この肥大化法によ
り平均粒子径を0.1μm〜1μmに増大せしめたゴム状
共重合体〔II〕を用いて、本発明の方法に従って製造さ
れるメタクリル樹脂キャスト板は低ゴム含量でも高い衝
撃強度を発現することが確認されており、肥大化法は最
終組成物に耐衝撃性を付与するうえで非常に有効である
ことが明らかになった。
肥大化の方法については、特に制限はないが、ゴム状
共重合体ラテックスに、特定の重合性不飽和酸単位の特
定量と特定のアクリル酸アルキルエステル単位の特定量
を主要構成単位とする酸基含有共重合体ラテックスおよ
び特定の構造を有する酸素酸塩のいずれか片方、又は双
方の特定量を添加して肥大化する方法が挙げられる。そ
の好ましい方法は本出願人がさきに提案した特開昭60−
229911号に記載されている。この方法によれば、ゴム状
共重合体ラテックスに、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ
酸、ソルビン酸およびp−スチレンスル酸の中から選ば
れた重合性不飽和酸単位とアルキル基中の炭素数1〜12
のアクリル酸アルキルエステル単位を主要構成単位とす
る酸基含有共重合体ラテックスおよび特定の構造を有す
る酸素酸塩のいずれか片方又は双方の特定量、を添加し
て肥大化する。上記酸素酸塩としては、周期律表III A
〜IV A族の第2および第3周期に属する元素の中から選
ばれた元素を中心とする酸素酸の、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、亜鉛、ニッケルおよびアルミニウムの中
から選ばれた金属の塩が挙げられる。
本発明において使用するゴム状共重合体〔II〕は、架
橋構造を有していることが必須である。
本発明において使用するグラフト共重合体〔IV〕は、
ゴム状共重合体〔II〕のラテックス100重量部の存在下
に硬質樹脂成分の単量体10〜1000重量部、好ましくは10
〜400重量部を一段階または2段階以上でグラフト重合
せしめて得られる。硬質樹脂成分の単量体が10重量部未
満では分散性が著しく不良であり、また、多過ぎるとグ
ラフト共重合体中のゴム含量が少なくなるため、メチル
メタクリレート系樹脂に対するグラフト共重合体の量を
増大せねばならず、これは粘度の増大による操作性の低
下を招くもので好ましくない。
硬質樹脂成分の単量体としてはスチレン、メチルメタ
クリレート、スチレン−アクリロニトリル混合物、スチ
レン−アクリル酸エステル混合物、メチルメタクリレー
ト−スチレン混合物、メチルメタクリレート−アクリロ
ニトリル混合物等があげられる。特に、硬質樹脂成分の
単量体としては、メチルメタクリレートまたはメチルメ
タクリレート90重量%以上と共重合性単量体10重量%以
下とからなる単量体混合物が好ましい。ここで使用され
る共重合性単量体としてはメチルアクリレート、エチル
アクリレート、スチレン、フェニルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、
アクリロニトリル等が挙げられる。耐衝撃性とともに高
い透明性を有するキャスト板を得るには硬質樹脂成分の
重合体(グラフトポリマー)とメチルメタクリレート系
樹脂との屈折率の差が0.005以下、好ましくは0.002以下
となるようにする。
本発明において、メチルメタクリレート単量体もしく
はメチルメタクリレートを主成分とする単量体混合物、
またはその部分重合体混合物中に分散させるグラフト共
重合体〔IV〕の量は、メチルメタクリレート単量体もし
くはメチルメタクリレートを主成分とする単量体混合物
またはその部分重合体混合物100重量部に対して、グラ
フト共重合体〔IV〕中のゴム状共重合体〔II〕の量とし
て、2〜30重量部であることが必須である。ゴム状共重
合体〔II〕の量が2重量部未満の場合は最終組成物とし
てのキャスト板が耐衝撃性を発現しないかまたは微かに
発現するに過ぎない。ゴム状共重合体〔II〕の量が30重
量部を超えると分散させて得られた混合物の粘度が非常
に高いため、キャスト重合を行ううえで取扱いが困難で
ある。
本発明のメタクリル樹脂キャスト板において、その耐
候性を向上させるため、メチルメタクリレート系樹脂
に、該樹脂重量に基づき、ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤0.1〜1.0重量%を含有せしめることが好ましい。
さらに、メチルメタクリレート系樹脂〔A〕、該樹脂重
量に基づき、ヒンダードアミン系化合物0.05〜1.0重量
%及び/またはヒンダードフェノール化合物0.05〜1重
量%及び/または亜リン酸エステル系化合物0.1〜1.0重
量%を含有せしめることが好ましい。
ここで、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(ヒドロキシ
−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2
−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェ
ノール〕等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としてはビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4
−ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチル−
1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられ
る。
ヒンダードフェノール系化合物としてはオクタデシル
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−S−トリアジン−
2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕等が挙げられる。
亜リン酸エステル系化合物としてはトリス(ノニルフ
ェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ
−フォスファイト、トリス{(モノまたはジ)−ノニル
フェニル}フォスファイト(マーク329:商品名、アデカ
・アーガス化学)等が挙げられる。
本発明の耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂キャスト板
は普通に行われている鋳込重合法によって製造するのが
好ましい。すなわち、メチルメタクリレート単量体もし
くはその部分重合体混合物あるいはメチルメタクリレー
トを主成分とする単量体混合物もしくはその部分重合体
混合物中にグラフト共重合体〔IV〕を分散させて得られ
た混合物〔V〕にさらにラジカル重合開始剤を添加して
鋳込原料とする。この鋳込原料を周辺のガスケットでシ
ールした対向させた2枚の無機ガラス板または金属板の
間に注入して加熱するセルキャスト法か、または同一方
向に同一速度で進行する片面鏡面研摩された2枚のステ
ンレス鋼製エンドレスベルトとガスケットとでシールさ
れた空間の上流から連続的に上記の鋳込原料を注入して
加熱する連続キャスト法が具体的な重合方法として挙げ
られる。
上述した本発明の重合性鋳込原料を重合させるには、
アゾ化合物あるいは有機過酸化物等のラジカル重合開始
剤を用いるのが好ましい。
アゾ化合物の具体例としては、2,2′−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2′アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル)等を挙げることができ、他方、
有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。ま
た、レドックス系の重合開始剤、例えば有機過酸化物と
アミン類との組み合わせも用いることができる。
本発明のメタクリル樹脂キャスト板を重合によって製
造する際の重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の
種類によって異なるが、一般には10〜150℃である。
鋳込重合法によって得られるキャスト板の厚みは特に
制限はないが、通常市販されている厚み、すなわち0.2
〜65mmの範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明方法のいずれかの好都合な工程におい
て着色剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、他の帯電防止剤、
各種充てん剤等の添加剤を混合して用いることができ
る。
〔実施例〕
次に、実施例によってさらに具体的に本発明を説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。各実施例において部は重量部を意味する。
なお、実施例および比較例中の物性評価は下記の方法
に準拠して行なった。
アイゾット衝撃強度:ASTM−D−256(23℃ノッチ付) ダインシュタット衝撃強度:BS−1330(23℃) 全光線透過率:ASTM−D−1003(23℃) 曇価:ASTM−1003(23℃) 実施例1 (1)ゴム状共重合体の製造 n−ブチルアクリレート 4.0kg 1,3−ブタジエン 6.0kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム 100 〃 N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50 〃 ピロリン酸ナトリウム 50 〃 硫酸第一鉄 0.5〃 デキストローズ 30 〃 脱イオン水 20 kg 上記組成割合の組成物の中で1,3−ブタジエンを除く
物質については、その中に含まれる酸素を窒素で置換
し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その後、
全ての物質を40オートクレーブに仕込み、50℃で重合
した。9時間でほぼ重合は完了し、転化率97%、粒子径
0.07μmのゴムラテックスが得られた。
(2)肥大化用酸基含有共重合体ラテックスの合成 上記組成の混合物を5のガラス製丸底フラスコによ
り、70℃で1.5時間重合させた後、引続き70℃で からなる混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間撹
拌を続けて転化率98%の共重合体ラテックスを得た。
(3)肥大化ゴム状共重合体〔II〕の調製 ポリマー固型分10kgを含む上記ゴム状共重合体ラテッ
クスの入った60オートクレーブをかき混ぜながら、10
%硫酸ナトリウム水溶液1.5kgを、内温50℃で加えて15
分間保持した後、上記肥大化用酸基含有共重合体ラテッ
クス152gを加えて30分間保持した。得られた肥大化ゴム
状共重合体〔II〕の平均粒子径は0.148μmであった。
(4)グラフト共重合体〔IV〕ラテックスの製造 肥大化ゴム状共重合体〔II〕のポリマー固型分10kgを
含む肥大化ラテックスの入った、肥大化を行った反応容
器に、脱イオン水9kg、ナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレート20g、N−ラウロイルザルコシン酸ナト
リウム50gを加え内温を75℃に昇温し、下記の原料を90
分間にわたり連続的に添加し重合した。
メチルメタクリレート 4320 g エチルアクリレート 180 g n−オクチルメルカプタン 6.75g クメンヒドロパーオキサイド 16 g 添加終了後、さらに60分間重合を継続したメチルメタ
クリレートの添化率はほぼ100%であった。
得られた重合体ラテックスに、スチレン化フェノール
58g、ジラウリルチオジプロピオネート44g、トリフェニ
ルフォスファイト58gを加え、50℃の温度条件下、0.25
%の硫酸水により、ラテックス/水=1/2で凝集させ
て、さらに85℃で5分間保持した。
得られたスラリ状ポリマーを洗浄・脱水して、65℃で
36時間乾燥し白色の粉末(グラフト共重合体〔IV〕)を
得た。
(5)鋳込用原料(混合物〔V〕)の調製 メチルメタクリレートの部分重合体(粘度100センチ
ポイズ、重合率10%)100部に上記グラフト共重合体〔I
V〕(白色粉末)を10部添加し、ホモミキサーを用いて
約1時間混合撹拌することにより均一分散せしめた後、
重合開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)0.06部を溶解させ鋳込用原料(混合物〔V〕)と
した。
(6)キャスト板の製造 前記鋳込用原料(混合物〔V〕)を減圧にして溶存空
気を除去した。この原料を、ガスケット及び2枚の強化
ガラスにより形成されあらかじめ厚さ3mmになるよう形
成されたセル中に注いだ。重合は82℃の温水雰囲気下で
60分間、130℃の空気雰囲気下で30分間行った。
得られたメタクリル樹脂キャスト板(3mm厚)はアイ
ゾット(ノッチ付)衝撃強度が4.8kg・cm/cm2、ダイン
シュタット衝撃強度が20kg・cm/cm2であった。
比較例1 メチルメタクリレート樹脂のみからなるキャスト板の製
造 メチルメタクリレートの部分重合体(粘度100センチ
ポイズ、重合率10%)に重合開始剤としてアゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)0.06重量部を溶解させ鋳
込用原料とし、これを実施例1−(6)と同様の手法に
よりキャスト重合してメタクリル樹脂キャスト板を得
た。その物性を評価した結果を表1に示す。
実施例2 重合条件を70℃の温水雰囲気下で60分間、130℃の空
気雰囲気下で30分間と変更した他は実施例1と全く同様
にしてメタクリル樹脂キャスト板を得た。その物性を評
価した結果を表1に示す。
実施例3 鋳込重合用重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブ
チロニトリル0.04部を用いた他は実施例1と全く同様に
してメタクリル樹脂キャスト板を得た。その物性を評価
した結果を表1に示す。
実施例4 メチルメタクリレート部分重合体(粘度100センチポ
イズ、重合率10%)100部に対する、実施例1−(2)
で調製したグラフト共重合体〔IV〕(白色粉末)の添加
量を15部に変更した他は実施例1と全く同様にしてメタ
クリル樹脂キャスト板を得た。その物性を評価した結果
を表1に示す。
実施例5 (1)ゴム状共重合体の製造 1,3−ブタジエン 10 kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム 100 〃 N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50 〃 ピロリン酸ナトリウム 50 〃 硫酸第一鉄 0.5〃 デキストローズ 30 〃 脱イオン水 20 kg 上記組成割合の組成物の中で、1,3−ブタジエンを除
く物質については、その中に含まれる酸素を窒素で置換
し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その後全
ての物質を40オートクレーブに仕込み、50℃で重合し
た。9時間でほぼ重合は完了し、転化率97%、粒子径0.
07μmのゴムラテックスが得られた。
(2)肥大化用酸基含有共重合体ラテックスの合成 上記構成の混合物を5のガラス製丸底フラスコによ
り、70℃で1.5時間重合させた後、引続き70℃で からなる混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間撹
拌を続けて転化率98%の共重合体ラテックスを得た。
(3)肥大化ゴム状共重合体〔II〕の調製 ポリマー固型分10kgを含む上記ゴム状共重合体ラテッ
クスの入った60オートクレーブをかき混ぜながら、10
%硫酸ナトリウム水溶液1.5kgを、内温50℃で加えて15
分間保持した後、上記肥大化用酸基含有共重合体ラテッ
クス152gを加えて30分間保持した。得られた肥大化ゴム
状共重合体〔II〕の平均粒子径は0.148μmであった。
(4)グラフト共重合体〔IV〕ラテックスの製造 肥大化ゴム状共重合体〔II〕のポリマー固型分10kgを
含む肥大化ラテックスの入った、肥大化を行った反応容
器に、脱イオン水9kg、ナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレート20g、N−ラウロイルザルコシン酸ナト
リウム50gを加え内温を75℃に昇温し、下記の原料を90
分間にわたり連続的に添加し重合した。
メタクリル酸メチル 2700 g スチレン 1800g n−オクチルメルカプタン 6.75g クメンヒドロパーオキサイド 16 g 添加終了後、さらに60分間重合を継続したメチルメタ
クリレートの添加率はほぼ100%であった。
得られた重合体ラテックスに、スチレン化フェノール
58g、ジラウリルチオジプロピオネート44g、トリフェニ
ルフォスファイト58gを加え、50℃の温度条件下、0.25
%の硫酸水により、ラテックス/水=1/2で凝集させ
て、さらに85℃で5分間保持した。
得られたスラリ状ポリマーを洗浄・脱水して、65℃で
36時間乾燥し白色の粉末(グラフト共重合体〔IV〕)を
得た。
(5)鋳込用原料(混合物〔V〕)の調製 メチルメタクリレート部分重合体(粘度100センチポ
イズ、重合率10%)100部に上記グラフト共重合体〔I
V〕(白色粉末)を10部添加し、ホモミキサーを用いて
約1時間混合撹拌することにより均一分散せしめた後、
重合開始剤としてアゾビス−2,4−ジメチルバレロニト
リル0.06部を溶解させ鋳込用原料(混合物〔V〕)とし
た。
(6)キャスト板の製造 前記鋳込用原料(混合物〔V〕)を減圧にして溶存空
気を除去した。この原料を、ガスケット及び2枚の強化
ガラスにより形成され、あらかじめ厚さ3mmになるよう
形成されたセル中に注いだ。重合は70℃の温水雰囲気下
で60分間、130℃の空気雰囲気下で30分間行った。
得られたメタクリル樹脂キャスト板(3mm厚)はアイ
ゾット衝撃強度が6.1kg・cm/cm2、ダインシュタット衝
撃強度20kg・cm/cm2であった。
実施例6 ゴム状共重合体〔II〕にグラフト重合せしめる硬質樹
脂成分原料を アクリロニトリル 788 g スチレン 3712 g n−オクチルメルカプタン 67.5g クメンヒドロパーオキサイド 16 g と変更した他は実施例5と全く同様にしてメタクリル樹
脂キャスト板を得た。その物性を評価した結果、アイゾ
ット衝撃強度4.5kg・cm/cm2、ダインシュタット衝撃強
度16kg・cm/cm2であった。
実施例7 ゴム状共重合体〔II〕の原料組成を ブチルアクリレート 9 kg 1,3−ブタジエン 1 kg ジビニルベンゼン 30 g ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 20 g ピロリン酸ナトリウム 50 g 硫酸第一鉄 0.5g デキストローズ 30 g オレイン酸カリウム 100 g 脱イオン水 20 kg と変更した他は、実施例5と全く同様にしてメタクリル
樹脂キャスト板を得た。その物性を評価した結果、マイ
ゾット衝撃強度3.8kg・cm/cm2、ダインシュタット衝撃
強度17kg・cm/cm2であった。
実施例8 (1)ゴム状共重合体〔II〕の製造 上記の原料についてはその中に含まれる酸素を窒素で
置換し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。上記
(a)の原料を40オートクレーブに仕込み、80℃にお
いて上記(b)の原料を90分かけて滴下し、その後60分
間撹拌を続けて転化率98%の共重合体ラテックスを得
た。得られたゴム状共重合体〔II〕の平均粒子径は0.43
μmであった。
(2)上記ゴム状共重合体ラテックスの入った反応容器
に、脱イオン水11kg、硫酸第一鉄4g、ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレート24g、エチレンジアミン−
4酢酸−2ナトリウム17gを加え、内温を80℃に昇温
し、下記の原料を60分間連続的に滴下した。
添加終了後、さらに60分間重合を継続したメチルメタ
クリレートの転化率はほぼ100%であった。得られたグ
ラフト共重合体〔IV〕ラテックスを50℃において樹脂成
分に対して5重量%の硫酸マグネシウムによりラテック
ス/水=1/2で凝集させて、さらに85℃で5分間保持し
た。さらに洗浄・脱水及び乾燥を行ない白色の粉末(グ
ラフト共重合体〔IV〕)を得た。上記グラフト共重合体
〔IV〕を用いて、実施例1−(5),1−(6)と全く同
様な手法により、メタクリル樹脂キャスト板を得た。そ
の物性を評価した結果、アイゾット衝撃強度3.8kg・cm/
cm2、ダインシュタット衝撃強度12kg・cm/cm2であっ
た。
実施例9 エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重
合ゴム(エチレン単位含有72モル%、ポリエン成分とし
て5−エチリデンノルボルネン単位をヨウ素価で15含
有、135℃デカリン中での極限粘度〔η〕が1.0dl/g)10
0gをn−ヘキサン900gに溶解した。次いで、オレイン酸
カリウム5gを水900gに分散させた後、ホモミキサーを用
いて前記溶液と混合した。得られた乳化液を60〜80℃の
温度でn−ヘキサンを蒸留除去し、ラテックスを得た。
このラテックスにp−ジビニルベンゼンとジ−t−ブチ
ルパーオキシトリメチルシクロヘキサンを適量添加し、
十分分散させた後、ラテックスをオートクレーブに移
し、窒素で3kg/cm2G加圧した状態で120℃2時間加熱
し、架橋した。このラテックス〔II〕(以下、EPDMラテ
ックスという)は平均粒子径が0.5μmであった。
次に、下記の組成物を反応釜中で70℃に昇温した。
EPDMラテックス(固形分として) 50部 不均化ロジン酸カリウム 1 〃 ピロリン酸ナトリウム 0.5 〃 硫酸第一鉄 0.005〃 デキストローズ 0.6 〃 イオン交換水 200 〃 別に調製したアクリロニトリル15部、スチレン35部、
クメンハイドロパーオキサイド0.25部およびtert−ドデ
シルメルカプタン0.2部の溶液を撹拌下2時間に渡って
滴下した。滴下終了後更に1時間撹拌を続けグラフト共
重合体〔IV〕を得た。
得られたグラフト共重合体〔IV〕のラテックスを希硫
酸にて凝固し、脱水・乾燥して白色粉体を回収した。
上記グラフト共重合体〔IV〕を用い、かつ、重合条件
を70℃の温水雰囲気下で60分間、130℃の空気雰囲気下
で30分間と変更した他は実施例1−(5),1−(6)と
全く同様な手法によりメタクリル樹脂キャスト板を得
た。その物性を評価した結果、アイゾット衝撃強度3.5k
g・cm/cm2、ダインシュタット衝撃強度12kg・cm/cm2
あった。
実施例10 メチルメタクリレート部分重合体(粘度100センチポ
イズ、重合率10%)100重量部に前記EPDMグラフト共重
合体の添加量を20部と変更した他は実施例9と全く同様
にして、メタクリル樹脂キャスト板を得た。その物性を
評価した結果、アイゾット衝撃強度7.0kg・cm/cm2、ダ
インシュタット衝撃強度21kg・cm/cm2であった。
実施例11 実施例1と同様な方法によりメタクリル樹脂キャスト
板を製造した。但し、ゴム状共重合体の製造に際してブ
チルアクリレートと1,3−ブタジエンの使用量をそれぞ
れ5.5kgおよび4.5kgに変え、且つ、鋳込用原料(混合物
〔V〕)の調製に際して、メチルメタクリレート部分重
合体100重量部に対しグラフト共重合体〔IV〕10部の他
に、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール0.2部、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)セバケート0.3部、オクタデシル−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート0.2部、およびトリス{(モノまたは
ジ)−ノニルフェニル}フォスファイト(マーク329、
商品名アデカ・アーガス化学)0.3部を加えた。
得られたメタクリル樹脂キャスト板の物性評価結果を
表2に示す。
実施例12 グラフト共重合体〔IV〕(白色粉末)の添加量を15部
と変更した他は実施例11と全く同様にしてメタクリル樹
脂キャスト板を得た。その物性評価結果を表2に示す。
実施例13 メチルメタクリレート部分重合体を粘度1000センチポ
イズ、重合率20%と変更し、且つ、グラフト共重合体
〔IV〕(白色粉末)の添加量を5部と変更した他は実施
例11と全く同様にしてメタクリル樹脂キャスト板を得
た。その物性評価結果を表2に示す。
実施例14 メチルメタクリレート部分重合体をメチルメタクリレ
ート単量体に変え、且つ、グラフト共重合体〔IV〕(白
色粉末)の添加量を20部と変更した他は実施例11と全く
同様にしてメタクリル樹脂キャスト板を得た。その物性
評価結果を表2に示す。
実施例15 転化率97%、粒子径0.07μmのゴムラテックスを下記
組成割合の組成物から製造した他は実施例1と全く同様
にしてメタクリル樹脂キャスト板を得た。
ブチルアクリレート 5.0kg 1,3−ブタジエン 5.0kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム 100 〃 N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50 〃 ピロリン酸ナトリウム 50 〃 硫酸第一鉄 0.5〃 デキストローズ 30 〃 脱イオン水 20 kg 得られたキャスト板の物性評価結果を表2に示す。
実施例16 メチルメタクリレート部分重合体を、メチルメタクリ
レート単位97重量%及びベンジルメタクリレート単位3
重量%からなるメチルメタクリレート系部分重合体(粘
度100センチポイズ、重合率10%)と変更した他は実施
例15と全く同様にしてメタクリル樹脂キャスト板を得
た。その物性評価結果を表2に示す。
比較例1 前記比較例1で得たメタクリル樹脂キャスト板の物性
評価結果を表2に示す。
比較例4 ゴム状共重合体〔II〕およびそれから得られるグラフ
ト共重合体〔IV〕を次のように製造した他は実施例11と
全く同様に鋳込用原料の調製およびキャスト板の製造を
行った。
(1)ゴム状共重合体〔II〕の製造 ブチルアクリレート 5.5kg 1,3−ブタジエン 4.5kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム 100 〃 N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50 〃 ピロリン酸ナトリウム 50 〃 硫酸第一鉄 0.5〃 デキストローズ 30 〃 脱イオン水 20 kg 上記組成割合の組成物の中で、1,3−ブタジエンを除
く物質については、その中に含まれる酸素を窒素で置換
し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その後全
ての物質を40オートクレーブに仕込み、50℃で重合し
た。9時間でほぼ重合は完了し、転化率97%、粒子径0.
07μmのゴムラテックスが得られた。
(2)グラフト共重合体〔IV〕ラテックスの製造 ゴム状共重合体〔II〕のポリマー固型分10kgを含むゴ
ムラテックスの入った反応容器に、脱イオン水9kg、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート20g、N−
ラウロイルザルコシン酸ナトリウム50gを加え内温を75
℃に昇温し、下記の原料を90分間にわたり連続的に添加
し重合した。
メチルメタクリレート 4320 g エチルアクリレート 180 g n−オクチルメルカプタン 6.75g クメンヒドロパーオキシド 16 g 添加終了後、さらに60分間重合を継続したメタクリル
酸メチルの転化率はほぼ100%であった。
得られた重合体ラテックスに、スチレン化フェノール
58g、ジラウリルチオジプロピオネート44g、トリフェニ
ルフォスファイト58gを加え、50℃の温度条件下、0.25
%の硫酸水により、ラテックス/水=1/2で凝集させ
て、さらに85℃で5分間保持した。
得られたスラリ状ポリマーを洗浄・脱水して、65℃で
36時間乾燥し白色の粉末(グラフト共重合体〔IV〕)を
得た。
得られたメタクリル樹脂キャスト板の物性評価結果を
表2に示す。
実施例17 (1)ゴムラテックスの製造 n−ブチルアクリレート 5.5kg 1,3−ブタジエン 4.5kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム(TK−1) 120 g N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム(ザルコシネー
トLN) 80 g ピロリン酸ナトリウム 50 g 硫酸第一鉄 0.5g デキストローズ 30 g 脱イオン水 20 kg 上記組成割合の組成物の中で、1,3−ブタジエンを除
く物質については、その中に含まれる酸素を窒素で置換
し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その後全
ての物質を40オートクレーブに仕込み、50℃で重合し
た。9時間でほぼ重合は完了し、転化率97%、粒子径0.
07μmのゴムラテックスが得られた。
(2)肥大化用酸基含有共重合体ラテックスの合成 上記組成の混合物を5のガラス製丸底フラスコによ
り、70℃で1.5時間重合させた後、引続き70℃で からなる混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間撹
拌を続けて転化率98%の共重合体ラテックスを得た。こ
れの粒子径は0.09μmであった。
(3)肥大化ゴム状共重合体〔II〕′の調製 ポリマー固型分10kgを含むゴムラテックスの入った60
オートクレーブをかき混ぜながら、酸基含有共重合体
(A)ラテックス152gを加えて30分間保持した後、10%
硫酸ナトリウム水溶液1.5kgを、内温50℃で加えて15分
間保持した。得られた肥大化ゴム状共重合体の平均粒子
径は0.188μmであった。
(4)架橋ゴム状共重合体〔II〕の製造 肥大化ゴム状共重合体のポリマー−固型分10kgを含む
ラテックス、および脱イオン水5kg、ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレート7g、ザルコシネートLN10g
を100オートクレーブに仕込み、かきまぜながら窒素
ガスを吹き込んで実質上、酸素の影響のない状態とした
後、内温を80℃に上昇し、これに下記の組成割合の単量
体混合物を170分にわたって連続的に添加し、添加終了
後、更に180分間重合を継続して、ゴム状共重合体を粒
子内部に含有し、架橋アクリル酸エステル系共重合体が
その外層を構成する架橋ゴム状共重合体〔II〕′のラテ
ックスを得た。
この時のブチルアクリレートの重合収率は97%、スチ
レンの重合収率は99.5%であった。
得られたラテックスの粒子径は0.21μmであった。
(5)グラフト共重合体〔IV〕の製造 上記で得られた架橋ゴム状共重合体〔II〕の固型分1
2.5kgに相当するラテックスを入れた上記の容器内に、
ザルコシネートLN20gおよび脱イオン水1kgを添加して撹
拌した後、下記の単量体混合物を60分間にわたって連続
的に添加した。
単量体混合物〔IV〕の組成 メチルメタクリレート(96%) 4.8kg エチルアクリレート(4%) 0.2kg n−オクチルメルカプタン 11 g パーブチルH 7.5g メチルメタクリレートの転化率は、ほぼ100%であっ
た。
得られた重合体ラテックス30kgに、スチレン化フェノ
ール58g、ジラウリルチオジプロピオネート44g、トリフ
ェニルフォスファイト58gを加え、50℃の温度条件下、
0.25%の硫酸水により、ラテックス/水=1/2で凝集さ
せて、さらに85℃で5分間保持した。
得られたスラリ状ポリマーを洗浄・脱水して65℃で36
時間乾燥して白色のグラフト共重合体〔IV〕の樹脂粉末
を得た。
(6)鋳込用原料(混合物〔V〕)の調製 メチルメタクリレート部分重合体(粘度100センチポ
イズ、重合率10%)100部に上記グラフト共重合体〔I
V〕(白色粉末)を10部添加し、ホモミキサーを用いて
約1時間混合撹拌することにより均一分散せしめた後、
重合開始剤としてアゾビス−2,4−ジメチルバレロニト
リル0.06部を溶解させ鋳込用原料(混合物〔V〕)とし
た。
(7)キャスト板の製造 前記鋳込用原料(混合物〔V〕)を減圧にして溶存空
気を除去した。この原料を、ガスケット及び2枚の強化
ガラスにより形成され、あらかじめ厚さ3mmになるよう
形成されたセル中に注いだ。重合は80℃の温水雰囲気下
で60分間、130℃の空気雰囲気下で30分間行った。
得られたメタクリル樹脂キャスト板(3mm厚)の物性
評価結果を表3に示す。
実施例18 ゴムラテックスの製造における原料を下記の組成に変
更した他は実施例17と同様にしてゴムラテックスを製造
した。
n−ブチルアクリレート 5 kg 1,3−ブタジエン 5 kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパオーキシド 20 g 牛脂脂肪酸カリウム(TK−1) 120 g N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム(ザルコシネー
トLN) 80 g ピロリン酸ナトリウム 50 g 硫酸第一鉄 0.5g デキストローズ 30 g 脱イオン水 20 kg さらに、各段階におけるグラフト重合の原料組成及び
量を下記のように変更した他は、実施例1と同様にして
メタクリル樹脂キャスト板を得た。その物性評価結果を
表3に示す。
実施例19 40の重合釜に上記原料(b)を仕込み、70℃に昇温
したのち、上記原料(a)を2時間にわたって滴下重合
した。1時間保持後、重合を完了し、粒子径0.08μmの
ゴムラテックスを得た。
(2)肥大化ゴム状共重合体の調製 ゴム状共重合体ラテックスの入った100の釜を撹拌
しながら10%硫酸ナトリウム水溶液1.5kg及び10%水酸
化ナトリウム水溶液0.1kgを内温50℃で加えて15分間保
持したのち、肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(実
施例17におけると同様に合成した)152gを加えて30分間
保持した。こうして得られた肥大化ゴム状共重合体〔I
I〕の平均粒子径は0.19μmであった。
(3)グラフト共重合体〔IV〕の製造 前記の肥大化ゴム状共重合体〔II〕ラテックスへ、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート20g、ペレ
ックスOTP 50g、硫酸第1鉄30mg、エチレンジアミン4
酢酸ナトリウム90mgを脱イオン水9kgに溶解したものを
加えて内温を75℃にした。次に下記の原料を90分間にわ
たり連続的に添加して重合を行なった。
メチルメタクリレート 4410 g メチルアクリレート 90 g n−オクチルメルカプタン 4.5 g クメンヒドロパーオキサイド 13.5 g 添加終了後、さらに60分間重合を継続した。メチルメ
タクリレートの重合率はほぼ100%であった。次にラテ
ックスの2倍量の水に硫酸マグネシウム500gを溶解し、
50℃に昇温したのち、前記ラテックスを投入し、さらに
95℃に昇温し5分間保持した。得られたスラリ状重合体
を洗浄、脱水して、70℃で24時間乾燥し白色の粉末を得
た。
以下、実施例17と同様に鋳込用原料の調製およびキャ
スト板の製造を行った。得られたキャスト板の物性評価
結果を表4に示す。
実施例20 (1)グラフト共重合体〔IV〕の調製 EPDM(ゴム状共重合体〔II〕ラテックス 5 kg(固形
分) イオン交換水 30 kg ラテムルASK*1 0.1 kg ホウ酸 35 g 炭酸ナトリウム 65 g 硫酸第1鉄 0.01 g エチレンジアミン四酢酸2−ナトリウム 0.03 g ロンガリット 20 g *1 アルケニルコハク酸カリ塩(花王(株)製品) から成る混合物を60反応釜中に仕込み、70℃に昇温し
た。窒素置換を行なったのち、 t−ブチルハイドロパーオキサイド 15g n−オクチルメルカプタン 5g メチルメタクリレート 5kg を2時間にわたって滴下し重合した。その後、さらに1
時間撹拌を続け、グラフト共重合体〔IV〕ラテックスを
得た。ラテックス全量を60kgのイオン交換水に500gの硫
酸マグネシウムを溶解したものに投入して90℃に昇温し
凝固させた。脱水、乾燥したのち、白色粉体を回収し
た。
(2)鋳込用原料(混合物〔V〕)の調製 メチルメタクリレート部分重合体(粘度100センチポ
イズ、重合率10%)10kgに上記グラフト共重合体〔IV〕
(白色粉末)を1kg添加し、ホモミキサーを用いて約1
時間撹拌することにより均一分散せしめた後、重合開始
剤としてアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル6gを
溶解させ鋳込用原料(混合物〔IV〕)とした。
(3)キャスト板の製造 前記鋳込用原料(混合物〔VI〕)を減圧にして溶存空
気を除去した。この原料を、ガスケット及び2枚の強化
ガラスにより形成され、あらかじめ厚さ3mmになるよう
形成されたセル中に注いだ。重合は80℃の温水雰囲気下
で60分間、130℃の空気雰囲気下で30分間行った。
得られたメタクリル樹脂キャスト板(3mm厚)の物性
評価結果を表5に示す。
なお、上記EPDMラテックスの特性中、ゲル含有率は沸
騰トルエンにて6時間リフラックス後、不溶分を100メ
ッシュ金網にて濾別し、乾燥後秤量して不溶分含有率を
ゲル含有率とした。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
    タクリレート単位を50重量%以上含むメチルメタクリレ
    ート系樹脂100重量部中に、架橋構造を有し平均粒子径
    が0.1μm〜1μmであるゴム状共重合体〔II〕に硬質
    樹脂成分〔III〕をグラフト重合せしめて得たグラフト
    共重合体〔IV〕がゴム状共重合体〔II〕の量として2〜
    30重量部分散されてなることを特徴とする耐衝撃性に優
    れたメタクリル樹脂キャスト板。
  2. 【請求項2】メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
    タクリレート単位を90重量%以上含むメチルメタクリレ
    ート系樹脂100重量部中に、ブタジエン40〜55重量%と
    ブチルアクリレート60〜45重量%からなり、平均粒子径
    が0.1μm〜1μmである架橋ゴム状共重合体〔II〕に
    メチルメタクリレートを90重量%以上含有する硬質樹脂
    成分〔III〕をグラフト重合せしめて得たグラフト共重
    合体〔IV〕が架橋ゴム状共重合体〔II〕の量として2〜
    30重量部分散している請求項1記載のメタクリル樹脂キ
    ャスト板。
  3. 【請求項3】メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
    タクリレート単位を90重量%以上含有するメチルメタク
    リレート系樹脂100重量部中に、ブタジエン40〜55重量
    %とブチルアクリレート60〜45重量%からなるゴムラテ
    ックス10〜90重量部の存在下に、ブチルアクリレート6
    9.9〜89.9重量%とスチレン単独またはスチレンとその
    誘導体混合物10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性
    の多官能単量体0.1〜10重量%から構成される単量体混
    合物90〜10重量部を重合して得られた平均粒子径が0.1
    μm〜1μmである架橋ゴム状共重合体〔II〕100重量
    部に対し、メチルメタクリレートを90重量%以上含む硬
    質樹脂成分〔III〕を10〜400重量部グラフト重合して得
    られたグラフト共重合体〔IV〕が架橋ゴム状共重合体の
    量として2〜30重量部分散しているメタクリル樹脂キャ
    スト板。
  4. 【請求項4】メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
    タクリレート単位を90重量%以上含有するメチルメタク
    リレート樹脂100重量部中に、ゲル含有量が50〜95%で
    あり、かつ平均粒子径が0.1μm〜1μmであるエチレ
    ン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム〔II〕100
    重量部に対し、メチルメタクリレートを90重量%以上含
    む硬質樹脂成分〔III〕を10〜400重量部グラフト重合せ
    しめて得たグラフト共重合体〔IV〕が共重合体ゴム〔I
    I〕の量として2〜30重量%分散している請求項1記載
    のメタクリル樹脂キャスト板。
  5. 【請求項5】メチルメタクリレート樹脂またはメチルメ
    タクリレート単位を90重量%以上含有するメチルメタク
    リレート系樹脂100重量部中に、ブチルアクリレート69.
    9〜89.9重量%とスチレン単独またはスチレンとその誘
    導体混合物10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性の
    多官能単量体0.1〜10重量%を重合して得られた平均粒
    子径が0.1μm〜1μmである架橋ゴム状共重合体〔I
    I〕100重量部に対し、メチルメタクリレートを90重量%
    以上含む硬質樹脂成分〔III〕を10〜400重量部グラフト
    重合せしめて得たグラフト共重合体〔IV〕が架橋ゴム状
    共重合体〔II〕の量として2〜30重量部分散している請
    求項1記載のメタクリル樹脂キャスト板。
  6. 【請求項6】メチルメタクリレート系樹脂がベンゾトリ
    アゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0重量%含有している
    請求項1記載のメタクリル樹脂キャスト板。
  7. 【請求項7】メチルメタクリレート系樹脂が、ヒンダー
    ドアミン系化合物を0.05〜1.0重量%及び/またはヒン
    ダードフェノール系化合物を0.05〜1.0重量%及び/ま
    たは亜リン酸エステル系化合物を0.1〜1.0重量%含有し
    ている請求項1記載のメタクリル樹脂キャスト板。
  8. 【請求項8】メチルメタクリレートもしくはメチルメタ
    クリレート50重量%以上とメチルメタクリレートと共重
    合性の少なくとも1種の単量体50重量%以下とからなる
    単量体混合物またはその部分重合体もしくはそれらの混
    合物〔I〕100重量部中に、平均粒子径が0.1μm〜1μ
    mである架橋構造を有するゴム状共重合体〔II〕に、硬
    質樹脂成分〔III〕をグラフト重合せしめたグラフト共
    重合体〔IV〕を、前記ゴム状共重合体〔II〕の量として
    2〜30重量部分散させ、得られた混合物〔V〕を鋳型中
    で重合させることを特徴とする耐衝撃性に優れたメタク
    リル樹脂キャスト板の製造方法。
  9. 【請求項9】メチルメタクリレートもしくはメチルメタ
    クリレート90重量%以上とメチルメタクリレートと共重
    合性の少なくとも1種の単量体10重量%以下とからなる
    単量体混合物またはその部分重合体もしくはそれらの混
    合物〔I〕100重量部中に、ブタジエン40〜55重量%と
    ブチルアクリレート60〜45重量%からなり、平均粒子径
    が0.1μm〜1μmである架橋ゴム状共重合体〔II〕
    に、メチルメタクリレートを90重量%以上含有する硬質
    樹脂成分〔III〕をグラフト重合せしめたグラフト共重
    合体〔IV〕を架橋ゴム状共重合体〔II〕の量として2〜
    30重量部分散させる請求項8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】メチルメタクリレートまたはメチルメタ
    クリレート90重量%以上とメチルメタクリレートと共重
    合性の少なくとも一種の単量体10重量%以下とからなる
    単量体混合物またはその部分重合体もしくはそれらの混
    合物〔I〕100重量部中に、ブタジエン40〜55重量%と
    ブチルアクリレート60〜45重量%からなるゴムラテック
    ス10〜90重量部の存在下に、ブチルアクリレート69.9〜
    89.9重量%とスチレン単独またはスチレンとその誘導体
    混合物10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性の多官
    能単量体0.1〜10重量%から構成される単量体混合物90
    〜10重量部を重合して得られた平均粒子径が0.1μm〜
    1μmである架橋ゴム状共重合体〔II〕100重量部に対
    し、メチルメタクリレートを90重量%以上含む硬質樹脂
    成分〔III〕を10〜400重量部グラフト重合して得られた
    グラフト共重合体〔IV〕を架橋ゴム状共重合体〔II〕の
    量として2〜30重量部分散させる請求項8記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】メチルメタクリレートまたはメチルメタ
    クリレート90重量%以上とメチルメタクリレートと共重
    合性の少なくとも一種の単量体10重量%以下とからなる
    単量体混合物またはその部分重合体もしくはそれらの混
    合物〔I〕100重量部中に、ゲル含有量が50〜95%であ
    り、かつ平均粒子径が0.1μm〜1μmであるエチレン
    −プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム〔II〕100重
    量部に対し、メチルメタクリレートを90重量%以上含む
    硬質樹脂成分〔III〕を10〜400重量部グラフト重合せし
    めて得たグラフト共重合体〔IV〕を共重合体ゴム〔II〕
    の量として2〜30重量部分散させる請求項8記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】メチルメタクリレートまたはメチルメタ
    クリレート90重量%以上とメチルメタクリレートと共重
    合性の少なくとも一種の単量体10重量%以下とからなる
    単量体混合物またはその部分重合体もしくはそれらの混
    合物〔I〕100重量部中に、ブチルアクリレート69.9〜8
    9.9重量%とスチレン単独またはスチレンとその誘導体
    混合物10〜30重量%、ならびにこれらと共重合性の多官
    能単量体0.1〜10重量%とからなり、平均粒子径が0.1μ
    m〜1μmである架橋ゴム状共重合体〔II〕100重量部
    に対し、メチルメタクリレートを90重量%以上含む硬質
    樹脂成分〔III〕を10〜400重量部グラフト重合せしめて
    得たグラフト共重合体〔IV〕を架橋ゴム状共重合体〔I
    I〕の量として2〜30重量部分散させる請求項8記載の
    製造方法。
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