JP2941485B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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Description
衝撃性の優れた新規な熱可塑性樹脂組成物に関する。更
に詳しくは、本発明は、ビフェニル誘導体或いはナフタ
レン誘導体からなる芳香族多環ビニル系単量体を共重合
成分とした、屈折率が高くかつガラス転移温度の低いブ
タジエン系ゴムを幹成分としたグラフト共重合体と、α
−メチルスチレン−メチルメタクリレート−アクリロニ
トリル系共重合体と、からなる耐熱性、透明性、耐衝撃
性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物に関する。
重合体組成物(以下、「ABS樹脂」と略記することが
ある)は、良好な加工性と優れた耐衝撃性を有している
ことから広く利用されているが、耐熱性(熱変形温度)
が低く、透明性が悪い等の欠点を有している。この欠点
を改良するために種々の方法が提案されている。
ゴムへのグラフト成分であるスチレン(以下、「St」
と略記することがある)およびアクリロニトリル(以
下、「AN」と略記することがある)のうち、Stの代
わりにα−メチルスチレン(以下、「αMS」と略記す
ることがある)を用いる方法(米国特許第2,908,
661号明細書);(2)ABS樹脂にαMS/AN共
重合体をブレンドする方法(特公昭35−18194号
公報);(3)ゴムに、StとANをグラフトした後、
更にαMSとANをグラフトする二段グラフト方法(特
公昭42−13616号公報);(4)ABS樹脂にα
MS/メチルメタクリレート(以下MMAと略記)/A
N共重合体をブレンドする方法(特公昭45−1801
6号、同45−33304号、同44−15902号各
公報);(5)αMS−MMA−AN共重合体と、ゴム
にMMA,StおよびANをグラフト重合したグラフト
共重合体とをブレンドする方法(特公昭46−3741
5号公報)などがある。しかし、このようにαMS,M
MAを、従来の樹脂構成成分であるStおよびANの少
なくとも一部の代りに用いることにより耐熱性は向上す
るものの、透明性の良好な組成物は得られていなかっ
た。
でも種々の方法が提案されている。その基本的な考え方
は、ABSのゴム成分と樹脂成分の屈折率を近付ける事
である。一般的には樹脂相が高屈折率であるので、これ
にMMAを導入する事によりその屈折率を低下させ、低
い屈折率を有するゴム相にその値を近付ける方法が多く
とられている(特公昭33−9797号、同35−59
96号、同35−13235号各公報)。しかし、これ
だけでは透明性を改良できても、耐熱性の向上は実現し
難い。
折率に近付ける考え方により、ゴムとしてブタジエン−
スチレン共重合体を用い、スチレン量を高める方法もと
られている(特公昭40−1931号公報)。しかし、
この方法では、ゴム相のガラス転移温度が高くなり、耐
衝撃性の優れたABS樹脂とはなり難い欠点がある。
折率を低くし、かつゴム相の屈折率を高くする方法もと
られているが、透明性、耐衝撃性は良好でも、更に耐熱
性も兼ね備えた組成物を得るためには、未だ不十分であ
った。
の耐熱型ABS樹脂と同等の耐熱性を有し、かつ透明
性、耐衝撃性、加工性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を
提供することにある。
ば、αMSにより耐熱性を付与し、MMAにより屈折率
を低下させたαMS/MMA/AN系共重合体(A)を
樹脂成分として用い、他方、Stに代りビフェニル誘導
体および/またはナフタレン誘導体からなる多環芳香族
ビニル系単量体を用いてブタジエンと共重合させて得ら
れる、屈折率が高くガラス転移温度が低いゴム状共重合
体にビニル系単量体をグラフト共重合させることにより
得られるグラフト共重合体(B)からなるゴム成分と組
合せることが極めて有効であることが見出された。ここ
で、グラフト成分であるビニル系単量体の選択によりグ
ラフト共重合体(B)の屈折率を共重合体(A)の屈折
率に容易に近付けることができ、得られる組成物は、耐
熱性、透明性、耐衝撃性、更には加工性のバランスが優
れていることが見出された。
0〜75重量%、メチルメタクリレート10〜60重量
%、アクリロニトリル5〜35重量%およびこれらと共
重合可能な単量体0〜20重量%を共重合して得られる
共重合体(A)50〜95重量%と、ブタジエン50〜
98重量%、下記一般式(I)で表わされる芳香族多環
ビニル系単量体2〜50重量%およびこれらと共重合可
能な単量体0〜20重量%を共重合して得られるブタジ
エン系ゴム重合体50〜85重量部の存在下に、ビニル
系単量体15〜50重量部(ゴム重合体とビニル系単量
体との和を100重量部とする)を添加重合して得られ
るグラフト共重合体(B)5〜50重量%と、からなる
熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。 一般式(I) ここでRは、置換基を有してもよいビフェニリル基ま
たはナフチル基、すなわち
を表わす。以下、本発明を更に詳細に説明する。
熱可塑性樹脂組成物の、主たる構成成分であるαMS−
MMA−AN系共重合体(A)について述べる。該共重
合体(A)は本発明の組成物に耐熱性、硬さ、引張強度
等を付与するが、これら物性は、もちろん構成単量体の
組成によって変化し得る。
り、耐熱性の点から可及的に多い方が望ましいが、多す
ぎると共重合時の収率の低下を招いたり、共重合体の屈
折率が高くなりすぎたりするので、共重合体(A)を与
える全単量体中10〜75重量%、好ましくは20〜7
0重量%が用いられる。10重量%より少ないと、耐熱
性付与効果が不十分であり、75重量%より多いと収率
低下を招いたり、共重合体(A)の屈折率が高くなり過
ぎる。
させるために、10〜60重量%の割合で用いられる。
共重合体(A)の25℃における屈折率n D 25 は、グ
ラフト共重合体(B)のそれと合せるべく1.52〜
1.56の範囲とすることが好ましい。
ける、重合性を高め、又、共重合体の衝撃強度、耐熱分
解性を高くする効果があるが、多量に用いると耐熱性の
低下をまねくので5重量%以上35重量%以下の範囲、
好ましくは10〜30重量%の範囲が用いられる。
ちαMS、MMAおよびANと共重合し得る単量体とし
ては、St、メタクリロニトリル、メタクリル酸、アク
リル酸、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミドのようなマレイミド
類等があり、重合速度の改良、その他の性質の付与のた
めに0〜20重量%の範囲で、必要に応じて少量で用い
られる。
の重合法は、基本的には任意であるが、耐熱性に寄与す
るαMSを可及的に多くし且つ重合速度、重合収率を向
上するために乳化重合法が最も好ましく用いられる。乳
化重合法は、必要に応じて過酸化物、乳化剤、重合促進
剤等を用いて、公知の方法により実施できる。また、単
量体混合物を一括して重合系に添加して重合せしめるこ
と、単量体混合物を分割して添加重合すること、及び一
種類又はそれ以上の単量体混合物を連続的に重合系に添
加しながら重合することもできる。共重合体の分子量を
調節する意味で、メルカプタン類などの重合度調節剤も
使用できる。
組成物のもう一つの主要成分であるグラフト共重合体
(B)は、低いガラス転移温度と高められた屈折率とを
併せ有する衝撃強度付与剤として機能する。
しては、ブタジエン50〜98重量%、好ましくは60
〜95重量%と、前記一般式(I)で表わされる芳香族
多環ビニル系単量体2〜50重量%、好ましくは5〜4
0重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜20重量
%とからなる混合物を、好ましくは公知の乳化重合法に
より重合したブタジエン系ゴム状重合体が用いられる。 一般式(I) ここでRは、置換基を有してもよいビフェニリル基ま
たはナフチル基を表わし、R1 は水素原子またはメチル
基を表わす。またビフェニリル基またはナフチル基が有
してもよい置換基の例としては、炭素数が1〜3のアル
キル基、及びフッ素、塩素等のハロゲン原子などが挙げ
られる。
合する芳香族多環ビニル系単量体としては、例えば、4
−イソプロペニルビフェニル、3−イソプロペニルビフ
ェニル或いは4−ビニルビフェニル等のビニルビフェニ
ル化合物およびそのアルキル置換誘導体;2−イソプロ
ペニルナフタレンおよび2−ビニルナプタレン等のビニ
ルナフタレンおよびそのアルキル置換誘導体が好ましく
用いられる。
イソプロペニルビフェニルは常温で液体であり、取り扱
い易さの点で最も好ましい。前記芳香族多環ビニル系単
量体の割合が、ゴム状重合体を与える単量体混合物の2
重量%未満では、ゴム状重合体の屈折率を高めることが
できない。又、50重量%を越えると、得られるゴム状
重合体のガラス転移温度が高くなりすぎゴム的特性が失
われるので好ましくない。
折率nD25 は1.52〜1.56の範囲とすることが好
ましく、屈折率が1.52未満ではポリブタジエンと差
がなく、これから得られるグラフト共重合体(B)を共
重合体(A)と組成物としたとき、耐衝撃性は良好であ
っても耐熱性、透明性を維持する事が困難となる。ま
た、屈折率が1.56を越えると、ガラス転移温度が高
くなりすぎ衝撃強度付与効果が低下する。本発明に用い
るブタジエン−芳香族多環ビニル系単量体系共重合体ゴ
ムと従来のブタジエン−スチレン系共重合体ゴムとを比
較すると、前者は、芳香族多環ビニル系単量体の添加効
果により屈折率が高いゴムとなり、同じ屈折率では前者
がガラス転移温度がより低いゴムとなる特徴がある。従
ってこれから得られるグラフト共重合体は後者からのグ
ラフト共重合体に比べ、同じ屈折率のところで比較する
と衝撃強度付与効果が大きい特徴がある。
ブタジエンと共重合可能な他のビニル系単量体、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化
合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニ
ルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びア
クリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステルを、本
発明の目的を損なわない範囲において、前記芳香族多環
ビニル系単量体とともに用いることができる。これら、
他のビニル系単量体は、前記芳香族多環ビニル系単量体
の下限量を維持しつつその一部を置き換えるべく、単量
体合計量(ブタジエン+芳香族多環ビニル系単量体+他
のビニル系単量体)の0〜20重量%の割合で使用され
る。
系単量体及びブタジエンと共重合可能な多官能性単量体
を用いて、ゴム状重合体を重合するときに架橋してもよ
い。多官能性単量体は、該多官能性単量体を除く単量体
の合計量に対して、10重量%以下、好ましくは0.1
〜5重量%の範囲で用いられる。しかし、10重量%よ
り多く用いるとゴム状重合体のガラス転移温度を高め、
弾性的性質が低下し、得られるグラフト共重合体(B)
の耐衝撃性付与性能の低下を招き好ましくない。多官能
性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニ
ルトルエン等の芳香族多官能性ビニル化合物、エチレン
グリコールジメタクリレート、トリエチレングリコール
ジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレ
ート等の多価アルコールのジ−およびトリ−メタクリレ
ートやジ−およびトリ−アクリレート、ジアリルマレエ
ート、ジアリルフタレート、アリルメタクリレート等の
アリル化合物等があるが、これらに限定されるものでは
なく、分子内にラジカル重合可能な二重結合を二つ以上
有し、前記芳香族多環ビニル系単量体と共重合しうるも
のが使用できる。また、連鎖移動剤を、単量体合計量に
対して、5重量%位まで用いてゴム状重合体のゲル分率
を調整することも出来る。連鎖移動剤としては、例え
ば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ラ
ウリルメルカプタン等、乳化重合法において通常用いら
れる公知のものが使用できる。
般の重合法が用いられるが、特に乳化重合法が望まし
い。これに対応して、上記ゴム状重合体も乳化重合法に
より製造することが望ましく、特に組成物の耐衝撃性を
良好なものとするために、比較的大きな150〜800
nmの平均粒径を有するゴムラテックスとして調製する
ことが好ましい。このような大粒径ゴムラテックスは、
乳化重合における乳化剤や重合開始剤の種類、量、重合
温度の選択、或いは単量体の添加方法等で調整したり、
小粒径のゴムラテッスをミクロ凝集する公知の方法によ
り得られる。ミクロ凝集のためには、塩酸等の無機酸、
酒石酸、リンゴ酸、酢酸等の有機酸からなる酸;ポリエ
チレンオキサイド、ポリビニルアルコール等の水溶性高
分子;食塩、塩化マグネシウム等の金属塩;或いは過酸
化物とホルムアルデヒドスルホキシル酸塩の組合せ等か
らなる凝集剤の添加等、公知の方法が用いられる。
得られるグラフト共重合体(B)が添加配合される共重
合体(A)中に、該ゴム状重合体が容易に、かつ均一に
分散し、共重合体(A)相とゴム状重合体相の相間結合
が十分に高められるように、共重合体(A)との相溶性
が良好なものが選ばれる。グラフト重合される単量体成
分は、以下に例示する単量体群から選択することができ
る。すなわち、例えば、スチレン及びα−メチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル及びメタ
クリロニトリル等のビニルシアン化合物、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及
びアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、マレイミ
ド及びN−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量
体、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの化合物の
誘導体、更には、前記一般式(I)で表わされる芳香族
多環ビニル系単量体から選ばれる少なくとも1種の単量
体が単独で又は混合物として用いられる。上記単量体の
中で、芳香族ビニル化合物としてはスチレンが最も好ま
しく、ビニルシアン化合物としてはアクリロニトリルが
最も好ましく、メタクリル酸アルキルエステルとしては
メチルメタクリレートが好ましく、アクリル酸アルキル
エステルとしてはブチルアクリレートが最も好ましい。
また、芳香族多環ビニル系単量体は、グラフト成分を通
じて屈折率の高いグラフト共重合体を与えるのに有効で
あり、特に、3−イソプロペニルビフェニルが好ましく
用いられる。また、他の共重合可能な単量体として、前
述したゴム状重合体に用いられると同じ多官能性単量体
が含まれる。更に必要に応じて、前述したと同様の少量
の連鎖移動剤を用いることもできる。
98重量%と、芳香族多環ビニル系単量体2〜50重量
%と、これらと共重合可能な単量体0〜20重量%とか
らなるゴム状重合体50〜85重量部の存在下に、ビニ
ル系単量体(混合物)15〜50重量部(但し、ゴム状
重合体との合計量を100重量部とする)をグラフト重
合して製造する。上記量範囲は、大きな耐衝撃性付与効
果および塩(酸)析、乾燥などの後処理の容易性の観点
で好ましく用いられる。グラフト重合に際しては、上記
単量体(混合物)を1段階で重合してもよいし、また多
段階的に分割してもよい。或いは連続的に添加重合して
もよい。
耐熱性、透明性、耐衝撃性等の適切なバランスを保つた
めに、共重合体(A)50〜95重量%と、グラフト共
重合体(B)5〜50重量%とを混合することにより得
られる。共重合体(A)と(B)の混合は公知の方法で
行なわれる。例えば、各々の重合体の粉末あるいはペレ
ットを、ロール、スクリューニーダー、バンバリーミキ
サーなどで混合して行なう。また、各々のラテックスを
混合後、塩(酸)析する方法等も用いられる。必要に応
じて混合時、抗酸化剤、安定剤、充填材、顔料、可塑剤
などの助剤を添加することも出来る。更に、ポリ塩化ビ
ニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチ
ルメタクリレート、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、
スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート共
重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポ
リエステル、ポリカーボネート等の他の熱可塑性樹脂
を、本発明の組成物の特性を阻害しない範囲において配
合することもできる。
性、透明性、耐衝撃性、機械的特性、加工性を有してお
り射出成形、押出成形用材料として種々の用途に有用で
ある。
を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実
施例のみに限定されるものではない。以下の記載におけ
る各成分量を表わす「%」、「部」はすべて重量%、重
量部である。また、各合成実験例における仕込み量は、
断りの無い限り純分で表示した。また、各合成例におい
て、単量体の仕込比と、得られた共重合体の組成比には
概ね良好な対応が得られた。また以下の例における物性
の測定方法は次のとおりである。
トについて、DSC(示差走査熱量計、メトラー社製D
SC25)で窒素雰囲気中、10℃/分の昇温速度で測
定して、温度−熱流量曲線における低温側のベースライ
ンと変曲点接線との交点をガラス転移温度とした。 ii)グラフト共重合体B:約200℃で熱プレスして
形成した約200μmのシートを用い、レオバイブロン
DDV−II−EA型(オリエンテック社製)で周波数
110Hz、昇温速度2℃/分の条件で損失弾性率の温
度依存性を測定した時の極大となる温度をガラス転移温
度とした。
Bの上記プレスシートにつき、アツベの屈折計を用い2
5℃で測定した。
サブミクロン粒子径分析装置コールターカウンターN4
(コールターエレクトロニクス社製)を用いて測定し
た。
合体Bとからなる混合物を、表面温度約200℃の混練
ロールで3分間混練し、熱板温度約220℃でプレス成
形し、得られた棒状成形物(6.4×12.7×130
mm)について、ASTM D−648に準じて荷重1
8.5Kg/cm2 にて測定した。
と同様にして成形した板状成形物から、ASTM D−
256に準じた試験片(Vノッチ付き、R=0.25、
ノッチ深さ2.5mm)を作成し、23℃で測定した。
に、混練し、加圧成形して、厚さ3mmの板状成形物と
し、該成形物から50×50mmの試験片を切りだし、
JIS K7105に準じてヘイズメーター(東京電色
社製 TCH3DP型)を用いて測定した。
反応器に、イオン交換水250部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ1.5部を仕込み、十分撹拌しながら窒
素置換し、窒素気流中で60℃に昇温した。60℃に昇
温後、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム(以下、「EDTA」と略記)0.0
1部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド(以
下、「SFS」と略記)0.05部を添加した。これ
に、α−メチルスチレン(以下、「αMS」と略記)3
5部、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と略
記)45部、アクリロニトリル(以下、「AN」と略
記)20部、クメンハイドロパーオキサイド(以下、
「CHP」と略記)0.3部、t−ドデシルメルカプタ
ン(以下、「TDM」と略記)0.2部の混合物と、
0.0075%SFS水溶液20部とを、それぞれ別の
ラインから同時に、8時間にわたり連続的に添加した。
添加終了後更に60℃にて2時間撹拌を続けた。得られ
たエマルジョンを、硫酸アルミニウムで塩析後、ピロリ
ン酸ナトリウム(以下、「TEPY」と略記)で中和
し、更に水洗濾過後、未反応単量体をメタノールで抽出
除去し、次いで乾燥し、共重合体A−1を得た。
Sを44部、MMAを46部、ANを10部とした以外
は合成実験例−1と同様にして、共重合体A−2を得
た。
反応器に、イオン交換水250部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ1.5部、αMS44部を仕込み、十分
撹拌しながら窒素置換し、窒素気流中で60℃に昇温し
た。60℃昇温後、硫酸第一鉄0.0025部、EDT
A0.01部、SFS0.05部、CHP0.3部、T
DM0.2部を添加した。これに、MMA43部、AN
13部の混合物と0.0075%SFS水溶液20部と
をそれぞれ別のラインから同時に、6時間にわたり連続
的に添加した。添加終了後、更に60℃にて1時間撹拌
を続けた。得られたエマルジョンを合成実験例−1と同
様に後処理して共重合体A−3を得た。
反応器に、イオン交換水250部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ1.5部、αMS50部、MMA30
部、AN20部を仕込み、十分撹拌しながら窒素置換
し、窒素気流中で60℃に昇温した。60℃昇温後、硫
酸第一鉄0.00042部、EDTA0.002部、S
FS0.008部、CHP0.05部、TDM0.03
部を、2時間間隔で3分割して添加した。添加終了後、
更に60℃にて2時間撹拌を続けた。得られたエマルジ
ョンを合成実験例−1と同様に後処理して共重合体A−
4を得た。
反応基に、イオン交換水250部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ1.5部、αMS25部を仕込み、十分
撹拌しながら窒素置換し、窒素で60℃に昇温した。6
0℃昇温後、硫酸第一鉄0.0025部、EDTA0.
01部、SFS0.05部、CHP0.3部、TDM
0.2部を添加した。これにαMS31部、MMA33
部、AN11部の混合物と0.0075%SFS水溶液
20部とを、それぞれ別のラインから同時に、6時間に
わたり連続的に添加した。添加終了後更に60℃にて1
時間撹拌を続けた。得られたエマルジョンを、合成実験
例−1と同様に後処理して共重合体A−5を得た。
反応器に、イオン交換水250部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダ1.5部、αMS70部を仕込み、十分
撹拌しながら窒素置換し、窒素気流中で60℃に昇温し
た。60℃昇温後、硫酸第一鉄0.0025部、EDT
A0.01部、SFS0.05部、CHP0.3部、T
DM0.2部を添加した。これに、AN30部と0.0
075%SFS水溶液20部とを、それぞれ別のライン
から同時に、6時間にわたり連続的に添加した。添加終
了後更に60℃にて1時間撹拌を続けた。得られたエマ
ルジョンを、合成実験例−1と同様に後処理して共重合
体A−6(比較用)を得た。
Sを75部、ANを25部とした以外は合成実験例−6
と同様にして共重合体A−7(比較用)を得た。上記で
得られた共重合体A−1〜A−7の組成、重合収率、ガ
ラス転移温度ならびに屈折率を後記表−1にまとめて示
す。
1)撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、以下の
組成の原料を仕込み、窒素置換した後に、脱気して、8
0℃に昇温した。 3−イソプロペニルビフェニル 8.4 部 (純度99.5%、以下「3−IPB」と略記) TDM 0.2 部 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.15 部 (純度50%、以下「HPO」と略記) TEPY 0.125 部 EDTA 0.00375 部 硫酸第一鉄 0.00225 部 オレイン酸カリウム(以下「OLK」と略記) 0.0775 部 イオン交換水 200 部
後に、1,3−ブタジエン(以下「BD」と略記)5
6.6部を添加混合した。その後、0.03部のSFS
を添加して乳化重合を開始させた。重合開始15時間後
に、OLK0.33部を添加した。更に、5時間後(重
合開始20時間後)以降、0.09部のHPO及び0.
09部のSFSを間欠的に添加した。重合開始35時間
後の重合転化率はほぼ100%で、得られたゴム重合体
ラテックスの平均粒径は79nmであった。得られたラ
テックスを60℃に冷却し、8.8%SFS水溶液5
部、35%過酸化水素水0.65部を添加し、5分間撹
拌した。更に2.5時間後に3%水酸化ナトリウム9
部、OLK0.5部、イオン交換水100部を添加し
て、ラテックス中のゴム粒子を凝集肥大化し、平均粒子
径を190nmとした。
℃にて、以下の単量体ならびに重合助剤を加え、4時間
グラフト重合反応を行なった。 MMA 12.25 部 St 5.25 部 TDM 0.0875 部 HPO 0.15 部 SFS 0.15 部 イオン交換水 1 部
え、60℃で4時間グラフト重合反応を行なった。 MMA 12.25 部 St 5.25 部 TDM 0.0875 部 HPO 0.15 部 SFS 0.15 部 イオン交換水 1 部 得られたラテックスに抗酸化剤エマルジョンを添加した
後、塩酸水により酸析し、脱水水洗後、乾燥して粉体状
グラフト共重合体B−1を得た。
2)撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、以下の
組成の原料を仕込み、窒素置換した後に、脱気して、8
0℃に昇温した。 3−IPB 10.3 部 TDM 0.25 部 HPO 0.15 部 TEPY 0.125 部 EDTA 0.00375 部 硫酸第一鉄 0.00225 部 OLK 0.4 部 イオン交換水 200 部
後に、BD69.7部を添加混合した。その後、0.0
3部のSFSを添加して乳化重合を開始させた。重合開
始2時間後に、OLK0.37部を添加した。更に15
分後(重合開始2時間15分後)以降、0.25部のH
PO及び0.25部のSFSを間欠的に添加した。重合
開始5時間後の重合転化率はほぼ100%であった。
下の単量体ならびに重合助剤を加え、3時間グラフト重
合反応を行なった。 MMA 7.0 部 St 3.0 部 TDM 0.05 部 HPO 0.15 部 SFS 0.15 部 イオン交換水 1 部
え、、60℃で4時間グラフト重合反応を行なった。 MMA 7.0 部 St 3.0 部 TDM 0.05 部 HPO 0.15 部 SFS 0.15 部 イオン交換水 1 部 得られたラテックスを合成実験例−9と同様に後処理し
てグラフト共重合体B−2を得た。
−3)撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、以下
の組成の原料を仕込み、窒素置換した後に、脱気して、
80℃に昇温した。 4−イソプロペニルビフェニル 15.0 部 (純度99.5%、以下「4−IPB」と略記) ジビニルベンゼン(純度57.2%、以下「DVB」と略記) 0.15 部 HOP 0.15 部 TEPY 0.125 部 EDTA 0.00375 部 硫酸第一鉄 0.00225 部 OLK 0.45 部 イオン交換水 200 部
後に、BD60.0部を添加混合した。その後、0.0
3部のSFSを添加して乳化重合を開始させた。重合開
始4時間後に、OLK0.39部を添加した。更に、1
時間後(重合開始5時間後)以降、0.375部のHP
O及び0.375部のSFSを間欠的に添加した。重合
開始11時間後の重合転化率はほぼ100%であった。
下の単量体ならびに重合助剤を加えて、3時間グラフト
重合反応を行なった。 MMA 10.5 部 アクリル酸ブチル(以下「BA」と略記) 2.0 部 HPO 0.15 部 SFS 0.15 部 イオン交換水 5.7 部
え、60℃で4時間グラフト重合反応を行なった。 St 12.5 部 HPO 0.2 部 SFS 0.2 部 イオン交換水 7.6 部 得られたラテックスを、合成実験例−8と同様に後処理
してグラフト共重合体B−3を得た。
−4)BD量を55.0部、3−IPBをStに代えて
10.0部とした以外は合成実験例−8と同様にしてグ
ラフト共重合体B−4(比較用)を得た。
−5)BD量を45.0部、4−IPBをStに代えて
30.0部とした以外は合成実験例−10と同様にして
グラフト共重合体B−5(比較用)を得た。
−6)BD量を60.6部、3−IPBを4.4部、第
一及び第二グラフト成分のMMAを10.5部、Stを
5.0部、3−IPBを2.0部とした以外は合成実験
例−8と同様にしてグラフト共重合体B−6を得た。上
記で得られたグラフト共重合体B−1〜B−5の組成、
ガラス転移温度、屈折率、平均粒子径をまとめて後記表
2に示す。
共重合体A−1 80部と合成実験例−8で得られたグ
ラフト共重合体B−1 20部からなる本発明組成物の
物性を前記測定法により測定した。
験例−9で得られたゴム量を80重量%に増量したB−
2に変更しその混合量もA−1 84部に対し16部と
した以外は実施例−1と同様にして得られた混合物の物
性を測定した。
に、αMSを増量したA−2(実施例−3)及びA−2
に比べANを若干増量したA−3(実施例−4)を用い
た以外は、実施例−1と同様にして得られた混合物の物
性を測定した。
に代えた以外は実施例−2と同様にして得られた混合物
の物性を測定した。
共重合体をゴム重合体として得られたグラフト共重合体
B−4を用い、これと共重合体A−1(比較例−1)お
よびA−3(比較例−2)と、それぞれ混合して得られ
た混合物の物性を実施例−1と同様にして測定した。
折率を高めたグラフト共重合体B−3 30部を、αM
Sの割合を増やして屈折率を高めた共重合体A−4(実
施例−6)及びA−5(実施例−7)の各70部とそれ
ぞれ混合して得られた混合物の物性を実施例−1と同様
にして測定した。
−7で用いたグラフト共重合体B−3の代りに、ST量
を増やして屈折率を高めたBD−ST共重合体から得ら
れたグラフト共重合体B−5を用いた以外は、それぞれ
実施例−6及び実施例−7と同様にして得られた混合物
の物性を測定した。
ら除いた高屈折率共重合体A−6と、グラフト共重合体
B−1(比較例−5)、B−3(比較例−6)との混合
物、及びA−6と同様にして屈折率を高めた共重合体A
−7とグラフト共重合体B−3(比較例−7)との混合
物について実施例−7と同様にして物性を測定した。
重合体とグラフト共重合体の混合割合をA−1/B−1
=60/40部(実施例−8)及び70/30部(実施
例−9)とした以外は同様にして得られた混合物につい
て実施例−1と同様にして物性を測定した。
にも含むグラフト共重合体B−6を用い、それ以外は実
施例−1と同様にして物性を測定した。上記実施例1〜
10、比較例1〜7で得られた組成物についての組成比
ならびに物性値をまとめて後記表3にまとめて記す。
環ビニル系単量体とブタジエンとの共重合体をゴム成分
として得られた本発明によるグラフト共重合体(B−1
〜B−3およびB−6)は、従来のスチレンとブタジエ
ンとの共重合体をゴム成分として得られるグラフト共重
合体(B−4およびB−5)に比べて、ゴム成分中にお
いて少ない芳香族多環ビニル系単量体量で同じ屈折率が
得られ、その結果、ゴム成分のガラス転移温度を低くす
ることが可能になる。その結果、表3に示すようにこの
ような芳香族多環ビニル系単量体/ブタジエン共重合体
をゴム成分として得られたグラフト共重合体B−1〜B
−3およびB−6を本発明の共重合体A−1〜A−5と
ともに含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱変形温度
が高く、透明で、しかも耐衝撃性に優れていることがわ
かる。共重合体(A)の組成が本発明の範囲外であると
きには、重合収率が低下し(表1、共重合体A−7)、
あるいは耐衝撃性ならびに透明性の低下(共重合体A−
6およびA−7を用いる比較例5〜7)が著しいことも
示されている。
とMMAとANとの組合せにより耐熱性と屈折率とを調
整した共重合体(A)と、芳香族多環ビニル系単量体と
ブタジエンとの組合せからなる屈折率が高くガラス転移
温度が低いゴム状共重合体にビニル系単量体をグラフト
重合してなるグラフト共重合体(B)とを混合すること
により、透明性、耐熱性および耐衝撃性のバランスが極
めて優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】α−メチルスチレン10〜75重量%、メ
チルメタクリレート10〜60重量%、アクリロニトリ
ル5〜35重量%およびこれらと共重合可能な単量体0
〜20重量%を共重合して得られる共重合体(A)50
〜95重量%と、ブタジエン50〜98重量%、下記一
般式(I)で表わされる芳香族多環ビニル系単量体2〜
50重量%およびこれらと共重合可能な単量体0〜20
重量%を共重合して得られるブタジエン系ゴム重合体5
0〜85重量部の存在下に、ビニル系単量体15〜50
重量部(ゴム重合体とビニル系単量体との和を100重
量部とする)を添加重合して得られるグラフト共重合体
(B)5〜50重量%と、からなる熱可塑性樹脂組成
物。 一般式(I) ここでRは、置換基を有してもよいビフェニリル基ま
たはナフチル基を表わし、R1 は水素原子またはメチル
基を表わす。 - 【請求項2】共重合体(A)およびグラフト共重合体
(B)の屈折率n D 25 が1.52〜1.56である請
求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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