JP2002284822A - 自動車用外部部材 - Google Patents

自動車用外部部材

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JP2002284822A
JP2002284822A JP2001082985A JP2001082985A JP2002284822A JP 2002284822 A JP2002284822 A JP 2002284822A JP 2001082985 A JP2001082985 A JP 2001082985A JP 2001082985 A JP2001082985 A JP 2001082985A JP 2002284822 A JP2002284822 A JP 2002284822A
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mass
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polymer particles
acrylate
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JP2001082985A
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Takashi Yamashita
山下  隆
Ryotaro Kuribayashi
亮太郎 栗林
Yuichi Kato
雄一 加藤
Masahiro Yoshino
昌宏 吉野
Tatsuya Naruse
達也 成瀬
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、弾性回復性及び耐候性に優れ、か
つ可塑剤の滲出しのない自動車用外部部材の提供。 【解決手段】 アクリル酸エステル及び多官能性単量体
を含む単量体混合物の共重合によって形成されるゴム成
分層(I)とメタクリル酸エステル及び他の単量体から
なる単量体混合物の共重合によって形成される熱可塑性
樹脂成分層(II)とを有し、以下の条件(1)〜
(3)を満足する多層構造重合体粒子を熱成形して得ら
れる自動車用外部部材: (1)最外層を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子
量は30,000以下、(2)層(I)/層(II)の
質量比は30/70〜90/10、(3)平均粒子径は
150nm以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は.多層構造重合体粒
子を用いて得られる柔軟性、弾性回復性及び耐候性に優
れ、かつ可塑剤の滲出し等による物性変化のない自動車
用の外部部材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の外部部材として不透明用途で
はオレフィン系樹脂とエラストマーとのブレンド物等が
使用されており、オープンカーの幌の窓等の柔軟性と透
明の両方が必要である用途においては軟質ポリ塩化ビニ
ル樹脂等が用いられている。しかしながら、一般に、オ
レフィン系樹脂とエラストマーとのブレンド物において
は、エラストマーを大量に配合する必要があり、外部部
材として十分な耐候性および耐熱性が得られないことが
ある。これらの問題を解決するために、各種添加剤が配
合されるが経済性の点で改良の余地がある。また、軟質
ポリ塩化ビニル樹脂においては、可塑剤の滲み出しによ
る物性の経時変化等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は.このような
従来技術の有する問題に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、柔軟性、耐熱性及び耐候性に優
れ、また可塑剤の滲出しによる物性変化の無い自動車用
外部部材を提供することにある。また、本発明は、透明
用途においても、上記性能を有すると共にさらに透明性
に優れた自動車用外部部材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決することを目的に鋭意検討を行った結果.最外層
を構成する熱可塑性樹脂成分の分子量及び該粒子の平均
粒子径を特定範囲に制御した多層構造重合体粒子を使用
することにより.柔軟性、弾性回復性及び耐候性に優
れ、さらに透明用途においては透明性に優れたものとす
ることも可能とする自動車用外部部材を得ることができ
ることを見出し、本発明に至った。
【0005】本発明によれば、上記課題は、 (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層(I)を内部に
有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑性樹脂成分層
(II)を少なくとも最外部に有する、2以上の層から
なる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能
性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体(ii)の重合によって形成される重合体層であり; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量は30,000以下であり; (5)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層
(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
いて30/70〜90/10の範囲内であり; (6)平均粒子径が150nm以下である;多層構造重
合体粒子を熱成形して得られる自動車用外部部材により
達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用する多層構造重合体
粒子は、ゴム成分層(I)を内部に少なくとも1層有
し、かつ熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外
層として有する。本発明の多層構造重合体粒子を構成す
る層の数は、2層以上であればよく、3層で構成されて
いても4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場
合は、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の構
成であり、3層構造の場合は、層(I)(最内層)/層
(I)(中間層)/層(II)(最外層)、層(I)
(最内層)/層(II)(中間層)/層(II)(最外
層)又は層(II)(最内層)/層(I)(中間層)/
層(II)(最外層)の構成であり、4層構造の場合に
は、例えば、層(I)(最内層)/層(II)(中間
層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構
成を有することができる。これらの中でも、取扱い性に
優れる点において、層(I)(中心層)/層(II)
(最外層)の2層構造;又は層(I)(最内層)/層
(I)(中間層)/層(II)(最外層)若しくは層
(II)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)
(最外層)の3層構造が好ましい。
【0007】また、層(I)と層(II)の総質量比
は、(I)/(II)において30/70〜90/10
の範囲内にあることが必要である。層(I)の割合がこ
の範囲より小さいと多層構造重合体粒子単独又はそれと
他の合成樹脂との樹脂組成物を成形して得られる成形品
における弾性回復性が不十分となり、一方層(I)の割
合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成
しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため
成形及び他の合成樹脂との混練が困難となる。なお、層
(I)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の層(I)
が1層のみの場合には該層の質量であり、層(I)が2
層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。同様
に、層(II)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の
層(II)が1層のみの場合には該層の質量であり、層
(II)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和で
ある。層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/
(II)において50/50〜90/10の範囲内にあ
ることが好ましく、60/40〜80/20の範囲内に
あることがより好ましい。
【0008】本発明の多層構造重合体粒子における層
(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量
%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エ
ステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜
0質量%、好ましくは44.9〜0質量%及び多官能性
単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質
量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成
されるゴム弾性を有する重合体層である。
【0009】層(I)を形成するために用いられるアク
リル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t
−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデ
シルアクリレート等のアクリル酸とアルコールとのエス
テル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエ
ステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸と
5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニル
アクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステ
ル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アル
コールとのエステルなどが挙げられる。アクリル酸エス
テルは、層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層
(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成
するために用いられる単量体混合物(i)に対して50
〜99.99質量%の範囲において、単独で又は2種以
上混合して用いられる。アクリル酸エステルの量が50
質量%より少ないと多層構造重合体粒子のゴム弾性が低
下することになり、また、99.99質量%を超えると
多層構造重合体粒子の構造が形成されなくなるので、い
ずれも好ましくない。
【0010】層(I)を形成するために用いられる多官
能性単量体は、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上
有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸とアリルアルコー
ル、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエス
テル;前記の不飽和モノカルボン酸とエチレングリコー
ル、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール
とのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコ
ールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル
酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、
メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリ
ル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタ
ル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官
能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好まし
い。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジ
アクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味
する。多官能性単量体は、層(I)(多層構造重合体粒
子が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層
(I))を形成するために用いられる単量体混合物
(i)に対して0.01〜10質量%の範囲において、
単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。多官能
性単量体の量が、10質量%より多いと、多層構造重合
体粒子がゴム弾性を示さなくなり、弾性回復性が不十分
となるので好ましくない。また、多官能性単量体の量が
0.01質量%より少ないと、層(I)が粒子構造とし
て形成されなくなるので好ましくない。
【0011】層(I)を形成するためには、アクリル酸
エステル及び多官能性単量体以外に、アクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単官能性単量体を併用することが
できる。該他の単官能性単量体としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタク
リレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメ
タクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パル
ミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベ
ヘニルメタクリレート等のメタクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C22の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタ
クリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステ
ル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノ
ール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタ
クリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどのメタク
リル酸エステルが代表的であるが、他にも、スチレン、
α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチ
ルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシ
ルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−
ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、
ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系
単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブ
タジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3
−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、
2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジ
エン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジ
メチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエ
ン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オク
タジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセ
ン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。これらの単
量体は、必要に応じて、層(I)(多層構造重合体粒子
が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層
(I))を形成するために用いられる単量体混合物
(i)に対して49.99質量%以下の割合において、
単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上
記の他の単官能性単量体の割合が49.99質量%を超
える場合は、多層構造重合体粒子の耐候性が不十分とな
るので好ましくない。
【0012】本発明の多層構造重合体粒子における層
(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量
%、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは80
〜99質量%及びそれと共重合可能な他の単量体60〜
0質量%、好ましくは40〜1質量%、より好ましくは
20〜1質量%からなる単量体(ii)の重合によって形
成される熱可塑性を有する重合体層である。メタクリル
酸エステルの量が40質量%未満であると多層構造重合
体粒子の耐候性が不十分となる。
【0013】層(II)を形成するために用いられるメ
タクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミ
リスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、
ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、
オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等が挙げられ、好ましくは
メチルメタクリレートである。
【0014】層(II)を形成するために用いられる共
重合可能な他の単量体の具体例としては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オ
クタデシルアクリレート等のアクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリ
ル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;ス
チレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、
3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シク
ロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチ
ル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)ス
チレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量
体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、
N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフ
ェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミ
ド等のマレイミド系単量体;前記例で示した多官能性単
量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等
のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0015】層(I)はゴム弾性を有する重合体成分か
ら構成され、層(II)は熱可塑性を有する重合体成分
から構成されるように、それぞれ、上記した単量体の種
類及び使用割合の範囲内で適宜条件を選択すればよい。
さらに、層(I)及び層(II)を構成する各重合体の
屈折率を相互に近似した値となるように単量体の種類及
び使用割合を調整することにより、本発明の自動車用外
部部材を透明性に優れたものとすることも可能である。
【0016】本発明の多層構造重合体粒子においては、
その中に含有される層(II)のうち少なくとも粒子の
最外層を構成する重合体の数平均分子量がGPC(ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー)法での測定に基
づいて30,000以下であることが重要である。数平
均分子量が30,000を超える場合、多層構造重合体
粒子単独又はそれと合成樹脂との樹脂組成物を成形して
得た成形品における弾性回復性が不十分となり、さらに
溶融流動性が低下する場合もある。数平均分子量の下限
については、必ずしも厳密な制限はないが、生産工程に
おける多層構造重合体粒子の通過性の点からは、数平均
分子量は1,000を下回らないことが好ましい。弾性
回復性及び生産工程での通過性の両立の点からは、数平
均分子量を3,000〜20,000の範囲内とするこ
とが特に好ましい。
【0017】本発明の多層構造重合体粒子の平均粒子径
は、150nm以下である。150nmより大きいと弾
性回復性が不十分となる。また、溶融流動性が良くない
場合もある。平均粒子径の下限値については特に限定さ
れるものではないが、多層構造重合体粒子の所定の層構
造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は30nm
以上であることが好ましい。平均粒子径はさらに好まし
くは80〜120nmである。
【0018】本発明の多層構造重合体粒子は、ゴム成分
層を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹脂成分
層を形成させるための重合反応工程とを所定の順序で行
うことによって、中心部から外部に向かって順次層を形
成させることからなる、少なくとも1つのゴム成分層を
内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層
を少なくとも最外部に有する、2以上の層からなる多層
構造重合体粒子を製造するための公知の製造方法に準じ
て、製造することができる。その際、以下の点に留意す
る。
【0019】(1)ゴム成分層(I)を形成させるため
の重合反応工程(a)において、アクリル酸エステル5
0〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合
可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多
官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合
物(i)を共重合させること。 (2)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための
重合反応工程(b)において、メタクリル酸エステル4
0〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合
可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)
を重合させること。
【0020】(3)該重合反応工程(b)のうち、少な
くとも、最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成さ
せるための重合反応工程において、分子量調節剤を単量
体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割
合で使用して重合反応を行うこと。 (4)全重合反応工程で使用する単量体混合物(i)の
総質量と単量体(ii)の総質量との比を、単量体混合物
(i)/単量体(ii)において30/70〜90/10
の範囲内とすること。 (5)全ての重合反応工程が終了した時点における多層
構造重合体粒子の平均粒子径が150nm以下となるよ
うに制御すること。
【0021】本発明の多層構造重合体粒子は、特に物性
面および製造の簡便性の点から最内部にゴム成分層(I
a)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する
隣接部にゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部に熱可
塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の多層構造重
合体粒子が好ましい。層(Ia)および(Ib)を形成
するために用いられるアクリル酸エステル、多官能性単
量体およびその他のアクリル酸エステルと共重合可能な
多の単官能性単量体としては、前述の層(I)を形成す
るために用いられる単量体を使用することができる。
【0022】本発明の好ましい態様の多層構造重合体粒
子単独又はこれと他の合成樹脂との樹脂組成物を成形し
て得た成形品において、優れた弾性回復性、良好な柔軟
性及びこれ以外の機械的物性を並立させるには、単量体
混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率
(質量%)と単量体混合物(ib)におけるアクリル酸
エステルの含有率(質量%)との差〔(ia)(単位:
質量%)−(ib)(単位:質量%)又は(ib)(単
位:質量%)−(ia)(単位:質量%)〕が3質量%
以上の値となることが好ましい。
【0023】本発明の好ましい態様の多層構造重合体粒
子において、層(Ia)及び層(Ib)がゴム弾性を有
する重合体成分から構成され、層(II)が熱可塑性を
有する重合体成分から構成されるように、それぞれ上記
したような単量体の種類及び使用割合の範囲内で適宜条
件を選択すればよい。ただし、多層構造重合体粒子から
なる成形品について透明性が重視される場合には、多層
構造重合体粒子中の相互に隣接する重合体層の間〔例え
ば、多層構造重合体粒子が3層構造である場合、層(I
a)と層(Ib)の間、及び層(Ib)と層(II)の
間〕における屈折率の差が小さくなるように、各層を形
成させるための単量体の種類及び使用割合を適宜選択す
ることが好ましい。
【0024】本発明の好ましい態様の多層構造重合体粒
子においては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量
の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、
〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、30/7
0〜90/10の範囲内である。層(Ia)及び層(I
b)の質量の和の割合がこの範囲より小さいと多層構造
重合体粒子単独又はこれと他の合成樹脂との樹脂組成物
を成形して得られる成形品における弾性回復性及び柔軟
性が不十分となり、一方層(Ia)及び層(Ib)の質
量の和の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形
態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下して
しまうため成形及び他の合成樹脂との混練が困難とな
る。本発明の効果をより顕著なものとする目的において
は、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱可
塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)+
(Ib)〕/(II)において、50/50〜90/1
0の範囲内であることが好ましく、60/40〜80/
20の範囲内であることがより好ましい。
【0025】また、本発明の好ましい態様の多層構造重
合体粒子においては、ゴム成分層(Ia)の質量とゴム
成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)に
おいて、5/95〜95/5、好ましくは20/80〜
80/20の範囲内である。ゴム成分層(Ia)の質量
とゴム成分層(Ib)の質量との比が5/95〜95/
5の範囲を外れる場合、一般に、優れた弾性回復性、適
度な柔軟性及び優れたその他の機械的物性を並立させる
ことが困難となる。
【0026】なお、本発明の好ましい態様の多層構造重
合体粒子は、最内部のゴム成分層(Ia)、その隣接部
のゴム成分層(Ib)及び最外部の熱可塑性樹脂成分層
(II)の3層を基本構成とするが、層(Ib)と層
(II)との間に1つ以上の任意の重合体層が介在して
いてもよい。ただし、本発明の効果を特に顕著に発揮さ
せる目的においては、ゴム成分層(Ia)、ゴム成分層
(Ib)及び熱可塑性樹脂成分層(II)の質量の和が
多層構造重合体粒子全体の質量に対して80%以上であ
ることが好ましく、多層構造重合体粒子がゴム成分層
(Ia)、ゴム成分層(Ib)及び熱可塑性樹脂成分層
(II)のみから構成されることがより好ましい。
【0027】本発明の好ましい態様の多層構造重合体粒
子の平均粒子径も150nm以下である。150nmよ
り大きいと弾性回復性が不十分となり、さらには、溶融
流動性がよくない場合もある。平均粒子径の下限値につ
いては特に限定されるものではないが、多層構造重合体
粒子の所定の層構造を形成させやすい観点からは、平均
粒子径は30nm以上であることが好ましい。該平均粒
子径はさらに好ましくは80〜120nmである。
【0028】本発明の好ましい態様の多層構造重合体粒
子は、多層構造重合体粒子を製造するための公知の製造
方法に準じ、ゴム層成分(Ia)を形成させるための重
合反応操作、ゴム層成分(Ib)を形成させるための重
合反応操作及び熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させ
るための重合反応操作を含む、所定の重合体層を形成さ
せるための重合反応操作を所定の順序で行うことによ
り、中心部から外部に向かって順次層を形成させること
によって製造することができる。その際、以下の点に留
意する。
【0029】(1)ゴム成分層(Ia)及び(Ib)を
それぞれ形成させるための重合反応操作(a)及び
(b)において、アクリル酸エステル50〜95質量
%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性
単量体49.99〜0質量%、及び該アクリル酸エステ
ルと共重合可能な多官能性単量体0.01〜10質量%
からなる単量体混合物(ia)及び(ib)をそれぞれ
共重合させること。 (2)単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステ
ルの含有率(質量%)の値と単量体混合物(ib)にお
けるアクリル酸エステルの含有率(質量%)の値との差
の絶対値を3以上となるよう設定すること。 (3)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための
重合反応操作(c)において、メタクリル酸エステル4
0〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合
可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(i
i)を重合させること。 (4)上記重合反応操作(c)において、層(II)を
構成する重合体の数平均分子量が30,000以下とな
るように反応条件を制御すること。 (5)単量体混合物(ia)と単量体混合物(ib)の
質量の和と単量体混合物(ii)の質量との比が、
〔(ia)+(ib)〕/(ii)において30/70
〜90/10の範囲内となるよう設定すること。 (6)単量体混合物(ia)の質量と単量体混合物(i
b)の質量との比が、(ia)/(ib)において5/
95〜95/5の範囲内となるよう設定すること。 (7)すべての重合反応操作が終了した時点における多
層構造重合体粒子の平均粒子径が150nm以下となる
ように制御すること。
【0030】本発明で使用する多層構造重合体粒子製造
のための重合法については特に制限はなく、例えば、通
常の多層構造重合体粒子を製造するための公知の重合法
に準じて、乳化重合法、懸濁乳化重合法、溶液重合法、
又はこれらの組み合わせを採用することができる。
【0031】例えば、乳化重合では公知の手段に従い、
各層を形成させるための重合を行うことにより、多層構
造重合体粒子を得ることができる。乳化重合の温度とし
ては、必ずしも限定されないが一般的な範囲は0〜10
0℃である。ここで使用する乳化剤としては、オレイン
酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナ
トリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナ
トリウム等の脂肪アルコールの硫酸エステル塩;ロジン
酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン
酸等のアルキルアリールスルホン酸等;ポリオキシエチ
レンアルキルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩が
挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組合せ
で用いられる。乳化重合で使用する重合開始剤として
は、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合
開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチ
ロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を
単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始剤
として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイ
ドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類
と、遷移金属塩等の還元剤との組合せによるレドックス
系開始剤も使用することができる。
【0032】上記のとおり、公知の乳化重合法に従って
所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることによ
り、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かっ
て段階的に形成させることができるが、本発明の多層構
造重合体粒子を製造するためには、少なくとも最外層を
形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤
を、その工程で使用する単量体混合物(ii)に対して
0.4〜10質量%、好ましくは0.4〜5質量%、よ
り好ましくは0.6〜2質量%の範囲内となる割合で使
用することが重要である。通常の多層構造体粒子を製造
する場合、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成させるた
めの重合反応において使用される分子量調節剤の使用量
は、一般に単量体に対して0〜0.3質量%程度である
が、このように0.4質量%未満の場合には、その層を
構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子量が高くなり過
ぎ、多層構造重合体粒子を成形して得られる成形品の弾
性回復性が不十分となり、さらに成形流動性が不十分と
なる場合もある。本発明の目的においては分子量調節剤
の量は上記基準において高々10質量%あれば十分であ
り、それ以上の量を使用しても、もはやそれ以上の弾性
回復性付与効果の向上はなく、むしろ多層構造重合体粒
子における分子量調節剤の残存量が多くなるので望まし
くない。
【0033】分子量調節剤の具体例としては、n−オク
チルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メル
カプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレ
ン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テ
ルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩
化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。こ
れらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキル
メルカプタンが好ましい。
【0034】乳化重合によって得られる多層構造重合体
粒子の平均粒子径は乳化剤の添加量等の重合条件によっ
て影響されるので、それらの条件を適宜選択することに
よって、容易に最終的な多層構造重合体粒子の平均粒子
径を150nm以下に制御することができる。
【0035】乳化重合後、生成した多層構造重合体粒子
の重合反応系からの分離取得も、公知の手法に従って行
うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレードラ
イ法、凍結凝固法などを採用することができる。なお、
分離取得された多層構造重合体粒子は、熱可塑性樹脂成
分からなる最外層において粒子間相互で部分的に融着し
ていても差し支えない。本発明の多層構造重合体粒子
は、最外層が熱可塑性を有し、かつ溶融流動性に優れる
ために熱成形に付することが可能である。
【0036】本発明の自動車用外部部材は本発明で使用
する多層構造重合体粒子のみから構成されていも良い
が、それに加え、他の合成樹脂や物性改善剤を含有して
いても良い。かかる本発明の自動車用外部部材は、本発
明で使用する多層構造重合体粒子と、任意成分としての
他の合成樹脂、任意成分としての物性改善剤、又は他の
合成樹脂及び物性改善剤とを混合し、好ましくは混練又
は混合後混練し、ついで熱成形することにより得ること
ができる。混練は、少なくとも該多層構造重合体粒子の
溶融下、好ましくは該多層構造重合体粒子及び他の合成
樹脂の溶融下に行われるのが望ましい。なお、自動車用
外部部材が本発明で使用する多層構造重合体粒子のみか
ら構成される場合には、該粒子を直ちに熱成形すれば良
い。
【0037】他の合成樹脂は、必要に応じて、本発明の
効果を損なわない範囲内で、使用することができる。他
の合成樹脂としては、特に制限はなく、熱可塑性樹脂を
使用することができる。熱可塑性樹脂の具体例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、
ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等の
ポリオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリ
スチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイイ
ンパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AC
S、MBS等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレ
ート、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、他の
アクリル系多層構造重合体粒子等のアクリル樹脂;ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポ
リアミドエラストマー等のポリアミド類;ポリカーボネ
ート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニ
ルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;
ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタ
ン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスル
フィド;シリコーンゴム変性樹脂等が挙げられる。
【0038】他の合成樹脂の配合割合は、一般に、多層
構造重合体粒子100質量部に対し40質量部以下が適
当であり、30質量部以下が好ましい。他の合成樹脂の
配合割合が40質量部を超えると柔軟性が低下する場合
がある。
【0039】物性改善剤は、本発明で使用する多層構造
重合体粒子又はそれと他の合成樹脂との混合物及び/又
は混練物の成形性等の物性、又はそれを成形して得られ
る、本発明の自動車用外部部材としての、成形品の種々
の物性を改善するために使用するものであって、必要に
応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、使用する
ことができる。かかる物性改善剤としたは、特に制限は
なく、例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、光安
定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、フィラー(ガラス
繊維等の繊維補強剤、無機充填剤等)等が挙げられる。
【0040】該ゴムとしては、例えばアクリル系ゴム;
シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のス
チレン系TPE(熱可塑性エラストマー);IR、EP
R、EPDM等のオレフィン系ゴム等を使用することが
できる。該滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘ
ニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミ
ド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィ
ンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬
化油等を使用することができる。酸化防止剤としては、
例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレング
リコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオネート等のフェノー
ル系化合物;N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレ
ンジアミン等のアミン系化合物等を使用をすることがで
きる。
【0041】可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ−2
−エチルヘキシル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸系
エステル;リン酸系エステル;アジピン酸系エステル;
ポリエチレングリコール等を使用することができる。光
安定剤としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリ
シレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール等を使用することがで
きる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボン
ブラック、その他の無機、有機顔料等を使用することが
できる。帯電防止剤としては、例えば、ステアロアミド
プロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム
ニトレート等を用いることができる。難燃剤としては、
例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジ
フェニルオキシド、臭素化ポリカーボネート等の有機ハ
ロゲン系難燃剤;酸化アンチモン、水酸化アルミニウ
ム、ホウ酸亜鉛、トリクレジルホスフェート等の非ハロ
ゲン系難燃剤などを使用することができる。
【0042】上記混合に使用する混合機としてはタンブ
ラー、ミキサー、ブレンダー等、混練機としてはスクリ
ュー押出機、ロール等が挙げられる。上記熱成形は押出
成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、
真空成形、発泡成形等の公知の熱成形方法を用いて行う
ことができる。熱成形温度は一般に180〜280℃が
適当である。
【0043】成形品は、粉末状、ペレット状、板状、フ
ィルム状、シート状、パイプ状、中空状、箱状等の任意
の形状であることができ、このものはそのまま又はさら
に形を整えて本発明の自動車用外部部材として用いるこ
とができる。成形品が、粉末状やペレット状の場合に
は、再び熱成形し、必要に応じて形を整えて本発明の自
動車用外部部材として用いることができる。本発明の自
動車用外部部材としては、特に制限はなく、例えば、バ
ンパー部材、エンブレム等が挙げられる。
【0044】
【実施例】以下.本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが.これらは本発明を具体的に説明する
ためのものであり.本発明は.これらの実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例及び比較例の中の各測
定値は以下の評価法に従った。数平均分子量は、多層構
造重合体粒子の試料を室温下にTHF中で十分に攪拌し
た後、遠心分離して得られた溶液を用いて、GPC法に
よりスチレンを指標として測定した。これにより得られ
た数平均分子量を、本発明においては最外層を構成する
重合体成分の数平均分子量とみなして、その数値を表中
のシェル数平均分子量の欄に示した。多層構造重合体粒
子の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取し
た試料を用いて、レーザー粒径解析装置PAR−III
(大塚電子製)を用いて動的散乱法により測定し、キュ
ムラント法により解析し求めた。
【0045】成形品(シート)の引張破断強度、引張破
断伸度、100%伸長時の応力(100%モジュラス)
及び引張永久伸びは、オートグラフAG−2000B
(島津製作所製)を用いて、JIS K 6301に準
じて測定した。成形品(シート)の硬度は、A型硬度計
(オスカー製)を用いて、JIS K6301に準じて
測定した。成形品(シート)の全光線透過率及びヘイズ
は、全自動直読ヘイズコンピューター(スガ試験機株式
会社製、HGM−2DP)を用いてJIS K 710
5に準拠して測定した。
【0046】ブリード試験 平板状試験片を70℃のオーブン中に10日間放置し、
目視にて試験片表面にブリード物の発生があったものを
×、発生のなかったものを○とした。 耐候性試験 耐候性は、サンシャインウェザーメーターS80(スガ
試験機製)を用い、ブラックパネル温度63℃、湿度5
0%、スプレーサイクル18分/2時間の条件で200
0時間放置前後のb値の変化量を評価した。なお、b値
はSMカラーコンピューター(スガ試験機製)で測定し
た。
【0047】実施例1 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水2800質量部、乳化剤としてのド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8.4質量部、炭
酸ナトリウム1.7質量部を加え、80℃に加熱して均
一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ
二硫酸カリウム0.7質量部を加えた後、n−ブチルア
クリレート420質量部、メチルメタクリレート198
質量部、スチレン82質量部、アリルメタクリレート
2.8質量部及びポリオキシエチレンアルキルリン酸ナ
トリウム3.5質量部からなる混合物を滴下ロートより
60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、
80℃で、さらに1時間反応を続け、各単量体が99%
以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し
た。
【0048】次いで、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、n
−ブチルアクリレート280質量部、メチルメタクリレ
ート14質量部、スチレン56質量部、アリルメタクリ
レート1.4質量部及びポリオキシエチレンアルキルリ
ン酸ナトリウム1.8質量部からなる混合物を滴下ロー
トより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終
了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、各単量体が
99%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで
確認した。次いで、得られた共重合体ラテックスにペル
オキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、メチ
ルメタクリレート334質量部、メチルアクリレート1
8質量部、n−オクチルメルカプタン3.5質量部及び
ポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム1.8質
量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下
し、3層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに
1時間反応を続け、各単量体が99.9%以上消費され
たことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了
した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子
の平均粒子径は100nmであった。
【0049】このラテックスを−30℃に24時間冷却
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。これを50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の
3層型の多層構造重合体粒子を得た。最外層を構成する
重合体成分の数平均分子量は、10,000であった。
得られた粉末状の多層構造重合体粒子から、圧縮成形機
を用いて、200℃にて厚さ3mmのシートを作製し、
各種測定を行った。得られた測定結果を表1に示す。
【0050】実施例2 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水2800質量部、乳化剤としてのド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8.4質量部、炭
酸ナトリウム1.7質量部を加え、80℃に加熱して均
一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ
二硫酸カリウム0.7質量部を加えた後、n−ブチルア
クリレート560質量部、メチルメタクリレート28質
量部、スチレン112質量部、アリルメタクリレート
2.8質量部及びポリオキシエチレンアルキルリン酸ナ
トリウム3.5質量部からなる混合物を滴下ロートより
60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、
80℃で、さらに1時間反応を続け、各単量体が99%
以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し
た。
【0051】次いで、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、n
−ブチルアクリレート210質量部、メチルメタクリレ
ート99質量部、スチレン41質量部、アリルメタクリ
レート1.4質量部及びポリオキシエチレンアルキルリ
ン酸ナトリウム1.8質量部からなる混合物を滴下ロー
トより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終
了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、各単量体が
99%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで
確認した。次いで、得られた共重合体ラテックスにペル
オキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、メチ
ルメタクリレート334質量部、メチルアクリレート1
6質量部、n−オクチルメルカプタン3.5質量部及び
ポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム1.8質
量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下
し、3層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに
1時間反応を続け、各単量体が99.9%以上消費され
たことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了
した。得られたラテックスにおける多層構造重合体粒子
の平均粒子径は110nmであった。
【0052】このラテックスを−30℃に24時間冷却
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。これを50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の
3層型の多層構造重合体粒子を得た。最外層を構成する
重合体成分の数平均分子量は、11,000であった。
得られた粉末状の多層構造重合体粒子から、圧縮成形機
を用いて、200℃にて厚さ3mmのシートを作製し、
各種測定を行った。得られた測定結果を表1に示す。
【0053】比較例1 市販されている軟質ポリ塩化ビニル樹脂であるビニカコ
ンパウンドCG65EB(三菱MKV)を用いて、圧縮
成形機により200℃で3.0mmシートを作製し、各
種測定を行った。得られた測定結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】上記の表1から、特定量の分子量調節剤を
使用した場合に得られた本発明に従う多層構造重合体粒
子を熱成形して得られるシートは、柔軟性や弾性回復性
等のエラストマーに必要な力学物性に優れるだけでなく
耐候性にも優れることが判る。また軟質ポリ塩化ビニル
樹脂で問題となる可塑剤の滲出しの問題が無く自動車用
の外部部材として好適であることが判る。上記の表2か
ら、現在自動車用の外部部材として用いられている軟質
ポリ塩化ビニル樹脂を熱成形して得られるシートは、柔
軟性や弾性回復性等のエラストマーに必要な力学物性に
は優れるものの、耐候性において劣り、さらに可塑剤の
滲出しの問題があることが判る。
【0057】実施例3 バンパー部材の作製 実施例1で得られた粉末状の多層構造重合体粒子から、
圧縮成形機を用いて、金型温度230℃にて20mm×
1500mm×10mmのバンパー部材を成形した。得
られた成形品は優れた柔軟性、表面平滑性及び透明性を
有していた。図1に成形品形状を示す。 実施例4 エンブレムの作製 実施例1で得られた実施例1で得られた粉末状の多層構
造重合体粒子から、圧縮成形機を用いて、金型温度23
0℃にて内径50mm、外径70mm、高さ5mmの円
柱状のエンブレムを成形した。得られた成形品は優れた
柔軟性、表面平滑性及び透明性を有していた。図2に成
形品形状を示す。
【0058】
【発明の効果】本発明の自動車用外部部材は柔軟性.弾
性回復性、 耐候性に優れ、かつ可塑剤の滲出し等によ
る物性変化の問題がない。また、透明用途の自動車用外
部部材の場合には透明性にも優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する多層構造重合体粒子を成形し
て得られたバンパー部材を示す。
【図2】本発明で使用する多層構造重合体粒子を成形し
て得られたエンブレムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 (72)発明者 加藤 雄一 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 (72)発明者 吉野 昌宏 東京都東村山市諏訪町2丁目11番22号 (72)発明者 成瀬 達也 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 3D023 AB17 AD05 AD06 4F071 AA01 AA22X AA33 AA33X AA77 AA81 AD02 AD06 AF14 AF20 AF57 AH07 BA01 BB03 BC07 4J002 AA002 BB032 BB122 BB162 BB232 BC032 BC072 BD032 BD102 BD142 BE022 BE032 BG062 BK002 BN072 BN102 BN121 BN122 BN142 BN152 BN162 CB002 CF062 CF072 CG002 CH072 CK022 CL012 CL032 CL072 CN012 CP032 FD026 FD046 FD076 FD096 FD136 FD176 GN00 4J026 AA45 AC09 AC32 BA04 BA05 BA06 BA27 BA31 BA38 BB01 BB03 DA07 DA12 DA13 DA16 DB04 DB08 DB12 DB13 DB16 DB26 FA03 FA07 GA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層
    (I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑
    性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2
    以上の層からなる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
    99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
    な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能
    性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
    (i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
    ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
    と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
    体(ii)の重合によって形成される重合体層であり; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
    た数平均分子量は30,000以下であり; (5)ゴム成分層(I)の総重量と熱可塑性樹脂成分層
    (II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
    いて30/70〜90/10の範囲内であり; (6)平均粒子径が150nm以下である;多層構造重
    合体粒子を熱成形して得られる自動車用外部部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多層構造重合体粒子と、
    他の合成樹脂及び/又は物性改善剤とを混合して熱成形
    することにより得られる自動車用外部部材。
  3. 【請求項3】 自動車用外部部材がバンパー部材又はエ
    ンブレムである請求項1又は2記載の自動車用外部部
    材。
JP2001082985A 2001-03-22 2001-03-22 自動車用外部部材 Pending JP2002284822A (ja)

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