JP2002241574A - 加工熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
加工熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物Info
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Abstract
成物であって、成形品が該組成物本来の透明性を保持
し、成形品の着色及び該組成物における熱劣化による樹
脂の流動不良を生じない該組成物の提供。 【解決手段】 アクリル酸エステル及び多官能性単量体
を含む単量体混合物の共重合によって形成されるゴム成
分層(I)とメタクリル酸エステル及び他の単量体から
なる単量体混合物の共重合によって形成される熱可塑性
樹脂成分層(II)とを有し、以下の条件(1)〜
(3)を満足する多層構造重合体粒子(A)とヒンダー
ドフェノール系熱安定剤単独またはヒンダードフェノー
ル系熱安定剤とイオウ系熱安定剤との混合物からなる熱
安定剤(B)とを溶融条件下に混合して得られる熱可塑
性樹脂組成物: (1)最外層を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子
量は30,000以下、(2)層(I)/層(II)の
質量比は30/70〜90/10、(3)平均粒子径は
150nm以下。
Description
子及び熱安定剤からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
さらに詳細には、本発明は、内部に少なくとも1つのゴ
ム成分層(I)を含有し、少なくとも最外部に熱可塑性
を有する樹脂層(II)を含有し、最外部の樹脂層(I
I)の分子量が特定値以下である多層構造重合体粒子と
特定の熱安定剤とからなる熱可塑性樹脂組成物に関す
る。該熱可塑性樹脂組成物は加工熱安定性に優れ、さら
に、それから得られる成形品は弾性回復性、柔軟性、透
明性に優れる。
(core−shell)型重合体とも称され、内部に
ゴム成分からなる層を含有し、最外部に熱可塑性樹脂成
分からなる層を含有する構造を有しており、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエステル、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂
の改質などに用いられており、特にそれから得られる成
形品への靭性付与に有用であることが知られている。
塑性樹脂との溶融混練性を良好なものとする目的から、
該多層構造体粒子の最外層を構成する熱可塑性樹脂成分
の数平均分子量は通常35,000〜50,000程度
に制御されており、その分子量制御のため、該最外層を
形成させるための重合反応工程においては、アルキルメ
ルカプタン等の分子量調節剤を全く使用しないか、使用
する場合であっても、その使用量を単量体に対して0.
3質量%以下の少割合に止めるのが一般的である。
成形品を与えることが可能な多層構造重合体粒子を提供
するために種々の検討を行った結果、多層構造重合体粒
子の最外層を構成する熱可塑性樹脂成分の分子量、及び
該粒子の平均粒子径を特定の組成範囲に制御した、少な
くとも2層からなる多層構造重合体粒子を提供すること
により、弾性回復性に優れる成形品が選られることを見
出し、先に特許出願を行った(特開平11−29294
0号公報参照)。
熱処理を行うことから、その処理温度によっては、樹脂
の変質、変色が生じ得る。これらを改善する方法とし
て、従来より各種熱安定剤を使用する方法が知られてい
る。
の熱安定剤を添加した熱可塑性樹脂組成物を用いた場
合、溶融混練性、成形品の着色、成形品の透明性などの
バランスについてみると、多くの場合、いずれかの性能
が不足している。さらに、ゴム成分を含有する多層構造
重合体粒子は、熱劣化により、樹脂の流動不良(ゲル
化)により、成形欠陥及び機械的物性の低下を生じやす
い。
なる熱可塑性樹脂組成物を成形する際に成形品が該熱可
塑性樹脂組成物本来の透明性を損なわず、成形品の着色
及び該熱可塑性樹脂組成物における熱劣化による樹脂の
流動不良を生じない、多層構造重合体粒子からなる熱可
塑性樹脂組成物を提供することにある。
を解決するために種々の検討を行い、特定の熱安定剤を
配合することにより、成形品が該熱可塑性樹脂組成物本
来の透明性を保持し、かつ成形品の着色及び該熱可塑性
樹脂組成物における熱劣化による樹脂の流動不良を生じ
ない、多層構造重合体粒子からなる熱可塑性樹脂組成物
が得られることを見出し、さらに検討を重ねた結果、本
発明を完成するに至った。
(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑
性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2
以上の層からなる多層構造重合体粒子であって;
ステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステル
と共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量
%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単
量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層
であり;
タクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリ
ル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%
からなる単量体混合物(ii)の共重合によって形成され
る重合体層であり;
最外部に位置する層を構成する重合体について、GPC
法で測定された数平均分子量は30,000以下であ
り;
性樹脂成分層(II)の総質量との比は、層(I)/層
(II)において30/70〜90/10の範囲内であ
り;
る;
(A)と、ヒンダードフェノール系熱安定剤単独又はヒ
ンダードフェノール系熱安定剤とイオウ系熱安定剤との
混合物からなる熱安定剤(B)とを溶融条件下に混合し
て得られるアクリル樹脂組成物であって、熱安定剤
(B)の配合量が、多層構造重合体粒子(A)100質
量部に対して0.01〜2質量部からなる熱可塑性樹脂
組成物によって達成される。
する。
ム成分層(I)を内部に少なくとも1層有し、かつ熱可
塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外層として有す
る。本発明の多層構造重合体粒子(A)を構成する層の
数は、2層以上であればよく、3層で構成されていても
4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、
層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の構成であ
り、3層構造の場合は、層(I)(最内層)/層(I)
(中間層)/層(II)(最外層)、層(I)(最内
層)/層(II)(中間層)/層(II)(最外層)又
は層(II)(最内層)/層(I)(中間層)/層(I
I)(最外層)の構成であり、4層構造の場合には、例
えば、層(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層
(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構成を有す
ることができる。これらの中でも、取扱い性に優れる点
において、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)
の2層構造;又は層(I)(最内層)/層(I)(中間
層)/層(II)(最外層)若しくは層(II)(最内
層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の3
層構造が好ましい。
は、(I)/(II)において30/70〜90/10
の範囲内にあることが必要である。層(I)の割合がこ
の範囲より小さいと多層構造重合体粒子単独又はそれと
他の合成樹脂との樹脂組成物を成形して得られる成形品
における弾性回復性が不十分となり、一方層(I)の割
合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成
しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため
成形及び他の合成樹脂との混練が困難となる。なお、層
(I)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の層(I)
が1層のみの場合には該層の質量であり、層(I)が2
層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。同様
に、層(II)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の
層(II)が1層のみの場合には該層の質量であり、層
(II)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和で
ある。層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/
(II)において50/50〜90/10の範囲内にあ
ることが好ましく、60/40〜80/20の範囲内に
あることがより好ましい。
る層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質
量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸
エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99
〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び多官
能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜
2質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって
形成されるゴム弾性を有する重合体層である。
リル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t
−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデ
シルアクリレート等のアクリル酸とアルコールとのエス
テル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエ
ステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸と
C5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニル
アクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステ
ル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アル
コールとのエステルなどが挙げられる。アクリル酸エス
テルは、層(I)(多層構造重合体粒子(A)が2以上
の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を
形成するために用いられる単量体混合物(i)に対して
50〜99.99質量%の範囲において、単独で又は2
種以上混合して用いられる。アクリル酸エステルの量が
50質量%より少ないと多層構造重合体粒子(A)のゴ
ム弾性が低下することになり、また、99.99質量%
を超えると多層構造重合体粒子(A)の構造が形成され
なくなるので、いずれも好ましくない。
能性単量体は、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上
有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸とアリルアルコー
ル、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエス
テル;前記の不飽和モノカルボン酸とエチレングリコー
ル、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール
とのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコ
ールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル
酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、
メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリ
ル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタ
ル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官
能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好まし
い。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジ
アクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味
する。多官能性単量体は、層(I)(多層構造重合体粒
子(A)が2以上の層(I)を有する場合には、それぞ
れの層(I))を形成するために用いられる単量体混合
物(i)に対して0.01〜10質量%の範囲におい
て、単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。多
官能性単量体の量が、10質量%より多いと、多層構造
重合体粒子(A)がゴム弾性を示さなくなり、弾性回復
性が不十分となるので好ましくない。また、多官能性単
量体の量が0.01質量%より少ないと、層(I)が粒
子構造として形成されなくなるので好ましくない。
エステル及び多官能性単量体以外に、アクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単官能性単量体を併用することが
できる。該他の単官能性単量体としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタク
リレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメ
タクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パル
ミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベ
ヘニルメタクリレート等のメタクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C22の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタ
クリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステ
ル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノ
ール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタ
クリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどのメタク
リル酸エステルが代表的であるが、他にも、スチレン、
α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチ
ルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシ
ルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−
ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、
ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系
単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブ
タジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3
−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、
2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジ
エン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジ
メチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエ
ン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オク
タジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセ
ン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。これらの単
量体は、必要に応じて、層(I)(多層構造重合体粒子
(A)が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれ
の層(I))を形成するために用いられる単量体混合物
(i)に対して49.99質量%以下の割合において、
単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上
記の他の単官能性単量体の割合が49.99質量%を超
える場合は、多層構造重合体粒子(A)の耐候性が不十
分となるので好ましくない。
る層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質
量%、好ましくは60〜99質量%、さらに好ましくは
80〜99質量%、及びそれと共重合可能な他の単量体
60〜0質量%、好ましくは40〜1質量%、さらに好
ましくは20〜1質量%からなる単量体混合物(ii)の
共重合によって形成される熱可塑性を有する重合体層で
ある。メタクリル酸エステルの量が40質量%未満であ
ると多層構造重合体粒子の耐候性が不十分となる。
タクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミ
リスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、
ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、
オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等が挙げられ、好ましくは
メチルメタクリレートである。
重合可能な他の単量体の具体例としては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オ
クタデシルアクリレート等のアクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリ
ル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;ス
チレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、
3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シク
ロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチ
ル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)ス
チレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量
体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、
N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフ
ェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミ
ド等のマレイミド系単量体;前記例で示した多官能性単
量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等
のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
ら構成され、層(II)は熱可塑性を有する重合体成分
から構成されるように、それぞれ、上記した単量体の種
類及び使用割合の範囲内で適宜条件を選択すればよい。
ては、その中に含有される層(II)のうち少なくとも
粒子の最外層を構成する共重合体の数平均分子量がGP
C(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法での
測定に基づいて30,000以下であることが重要であ
る。数平均分子量が30,000を超える場合、多層構
造重合体粒子単独又はそれと合成樹脂との樹脂組成物を
成形して得た成形品における弾性回復性が不十分とな
り、さらに溶融流動性が低下する場合もある。数平均分
子量の下限については、必ずしも厳密な制限はないが、
生産工程における多層構造重合体粒子(A)の通過性の
点からは、数平均分子量は1,000を下回らないこと
が好ましい。弾性回復性及び生産工程での通過性の両立
の点からは、数平均分子量を3,000〜20,000
の範囲内とすることが特に好ましい。
粒子径は、150nm以下である。150nmより大き
いと弾性回復性が不十分となる。また、溶融流動性が良
くない場合もある。平均粒子径の下限値については特に
限定されるものではないが、多層構造重合体粒子の所定
の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は3
0nm以上であることが好ましい。平均粒子径はさらに
好ましくは80〜120nmである。
性面および製造簡便性の点から最内部にゴム成分層(I
a)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する
隣接部にゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部に熱可
塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の多層構造重
合体粒子が好ましい。
る層(Ia)は、アクリル酸エステル50〜99.99
質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル
酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.9
9〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び多
官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1
〜2質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によ
って形成されるゴム弾性を有する重合体層である。ま
た、層(Ib)は、アクリル酸エステル50〜99.9
9質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリ
ル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.
99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%、及び
多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.
1〜2質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合に
よって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。層
(Ia)および(Ib)を形成するためには前述の層
(I)を形成するのに用いた単量体を使用することがで
きる。
の多層構造重合粒子(A)においては、ゴム成分層(I
a)及び(Ib)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(I
I)の質量との比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(I
I)において、30/70〜90/10の範囲内であ
る。層(Ia)及び層(Ib)の質量の和の割合がこの
範囲より小さいと多層構造重合体粒子単独又はそれと合
成樹脂との樹脂組成物を成形して得られる成形品におけ
る弾性回復性及び柔軟性が不十分となり、一方層(I
a)及び層(Ib)の質量の和の割合がこの範囲より大
きいと層構造を完全な形態では形成しにくくなり、溶融
流動性が極端に低下してしまうため成形及び他の合成樹
脂との混練が困難となる。本発明の効果をより顕著なも
のとする目的においては、ゴム成分層(Ia)及び(I
b)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量と
の比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、
50/50〜90/10の範囲内であることが好まし
く、60/40〜80/20の範囲内であることがより
好ましい。
においては、ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層
(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)におい
て、5/95〜95/5、好ましくは20/80〜80
/20の範囲内である。ゴム成分層(Ia)の質量とゴ
ム成分層(Ib)の質量との比が5/95〜95/5の
範囲を外れる場合、一般に、良好な柔軟性とこれ以外の
他の機械的物性とを両立させることが困難となる。
樹脂との樹脂組成物を成形して得た成形品において、良
好な柔軟性とこれ以外の他の機械的物性とを両立させる
には、本発明の多層構造重合体粒子(A)の層(Ia)
及び層(Ib)について、単量体混合物(ia)におけ
るアクリル酸エステルの含有率(質量%)が、単量体混
合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質
量%)より高いことが重要である。単量体混合物(i
a)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)
が、単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステル
の含有率(質量%)以下である場合、成形品において、
良好な柔軟性とこれ以外の他の機械的物性とを両立させ
ることが一般に困難となる。本発明の効果をより顕著な
ものとする目的においては、単量体混合物(ia)にお
けるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混
合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質
量%)との差〔(ia)(単位:質量%)−(ib)
(単位:質量%)〕が3質量%以上の値、好ましくは4
〜30質量%の範囲の値となることが望ましい。
ム成分層を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹
脂成分層を形成させるための重合反応工程とを所定の順
序で行うことによって、中心部から外部に向かって順次
層を形成させることからなる、少なくとも1つのゴム成
分層を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂
成分層を少なくとも最外部に有する、2以上の層からな
る多層構造重合体粒子を製造するための公知の製造方法
に準じて、製造することができる。ただし、その際、以
下の点に留意する必要がある。
の重合反応工程(a)において、アクリル酸エステル5
0〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合
可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多
官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合
物(i)を共重合させること。
させるための重合反応工程(b)において、メタクリル
酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エス
テルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる
単量体混合物(ii)を共重合させること。
くとも、最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成さ
せるための重合反応工程において、分子量調節剤を単量
体混合物(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内と
なる割合で使用して重合反応を行うこと。
合物(i)の総質量と単量体混合物(ii)の総質量との
比を、単量体混合物(i)/単量体混合物(ii)におい
て30/70〜90/10の範囲内とすること。
における多層構造重合体粒子の平均粒子径が150nm
以下となるように制御すること。
例えば、通常の多層構造重合体粒子を製造するための公
知の重合法に準じて、乳化重合法、懸濁乳化重合法、溶
液重合法、またはこれらの組み合わせを採用することが
できる。
各層を形成させるための重合を行うことにより、本発明
の多層構造重合体粒子(A)を得ることができる。乳化
重合の温度としては、必ずしも限定されないが一般的な
範囲は0〜100℃である。ここで使用する乳化剤とし
ては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、
ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;
ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪アルコールの硫酸エス
テル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベ
ンゼンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸等が
挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組み合
わせで用いられる。乳化重合で使用する重合開始剤とし
ては、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重
合開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブ
チロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物
を単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始
剤として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロ
ピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハ
イドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド
類と、遷移金属塩等の還元剤との組み合わせによるレド
ックス系開始剤を使用することもできる。
所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることによ
り、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かっ
て段階的に形成させることができるが、本発明の多層構
造重合体粒子(A)を製造するためには、少なくとも最
外層を形成させるための重合反応工程において、分子量
調節剤を、その工程で使用する単量体混合物(ii)に対
して0.4〜10質量%の範囲内となる割合で使用する
ことが特に重要である。通常の多層構造重合体粒子を製
造する場合、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成させる
ための重合反応において使用される分子量調節剤の使用
量は、一般に単量体に対して0〜0.3質量%程度であ
るが、このように0.4質量%未満の場合には、その層
を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子量が高くなり
過ぎ、多層構造重合体粒子又はそれと合成樹脂との樹脂
組成物を成形して得られる成形品の柔軟性が不十分とな
り、さらに成形流動性が不十分となる場合もある。本発
明の目的においては分子量調節剤の量は上記基準におい
て高々10質量%あれば十分であり、それ以上の量を使
用しても、もはやそれ以上の柔軟性付与効果の向上はな
く、むしろ多層構造重合体粒子における分子量調節剤の
残存量が多くなるので望ましくない。分子量調節剤を単
量体混合物(ii)に対して0.4〜5質量%、より好ま
しくは0.6〜2質量%の範囲内となる割合で使用する
ことが望ましい。
−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタ
ン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ターピ
ノーレン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の
環状テルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホル
ム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げら
れる。これらの中でも、n−オクチルメルカプタン等の
アルキルメルカプタンが好ましい。
粒子の平均粒子径は乳化剤の添加量等の重合条件によっ
て影響されるので、それらの条件を適宜選択することに
よって、容易に最終的な多層構造重合体粒子の平均粒子
径を150nm以下に制御することができる。
の重合反応系からの分離取得も、公知の手法に従って行
うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレードラ
イ法、凍結凝固法などを採用することができる。なお、
分離取得された多層構造重合体粒子は、熱可塑性樹脂成
分からなる最外層において粒子間相互で部分的に融着し
ていても差し支えない。
ェノール系熱安定剤単独又はヒンダードフェノール系熱
安定剤とイオウ系熱安定剤との混合物である。すなわ
ち;a)ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、ト
リエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−
5−メチル−4―ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、1,6―ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5
―ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、2,4−ビス−(n―オクチルチオ)―6−
(4―ヒドロキシ−3,5―ジ−t―ブチルアニリノ)
―1,3,5―トリアジン、ペンタエリスリチル−テト
ラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチ
レンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミ
ド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、
2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾ
ール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど;が挙げ
られ、b)イオウ系熱安定剤としては、ペンタエリスリ
トール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネ
ート)、3,3’−チオビスプロピオン酸ジドデシルエ
ステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシ
ルエステル、ジステアリル−3,3’−メチル−3,
3’−チオジプロピオネートなど;が挙げられる。
系熱安定剤単体であっても、得られる成形品の着色や成
形欠陥が少なく、十分な効果は得られるが、加熱滞留時
間の長い成形条件の場合、ヒンダードフェノール系熱安
定剤とイオウ系熱安定剤との混合物である方がより十分
な効果を得ることができ望ましい。さらに、該混合物を
使用する場合、ヒンダードフェノール系熱安定剤/イオ
ウ系熱安定剤の質量比は1/1〜1/10の範囲内であ
るのが好ましい。
層構造重合体粒子(A)と上記の熱安定剤(B)とを溶
融条件下に混合することによって得られる。この際上記
の熱安定剤(B)は多層構造重合体粒子(A)100質
量部に対して0.01〜2質量部、好ましくは0.05〜
1質量部となるように配合する。熱安定剤(B)の配合
量が、0.01質量部より少ないと熱安定効果に乏し
く、2質量部を超えても配合量に見合う効果は得られず
経済的ではなく、熱安定剤がブリードしたりするので好
ましくない。
形に付することが可能であり、例えば、180〜280
℃での押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、
圧縮成形、真空成形、発泡成形等の成形方法により、ペ
レット状、板状、フィルム又はシート状、パイプ状、中
空状、箱状等の任意の形状の成形品に成形することが出
来る。成形品は弾性回復性に優れるため、自動車内装用
の軟質部材、包装フィルム、デスクマット等の用途に好
適に使用される。
該組成物又はそれを成形して得られる成形品の物性を改
善するための種々の物性改善剤の1種又は2撞以上を、
所望に応じて、本発明の効果を損わない程度において、
配合してもよい。かかる物性改善剤としては、特に制限
はなく、例えば、顔料、流動調整剤、ブロッキング防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、合成樹脂等が
挙げられる。これらのうち、例えば紫外線吸収剤として
は、各種の置換レゾルシノール、サリチル酸塩、ベンゾ
トリアゾール、ベンゾフェノン等の1種または2種以上
を使用することができる。また合成樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系樹脂;ポリスチレン、AES、AAS、MBS等のス
チレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート−スチレン共
重合体、他のアクリル系多段階重合体粒子等のアクリル
系樹脂などを使用することができる。物性改善剤の配合
は、通常、多層構造重合体粒子(A)と熱安定剤(B)
とを溶融条件下で混合する際に行われる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例の中の各測定値は以下の評価方法に従った。
完了後のラテックスから採取した試料を用いて、レーザ
ー粒径解析装置PAR−III(大塚電子製)を用いて
動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析
し求めた。
製)を用いて、JIS K 6301に準じて測定し
た。
料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠心分離
して得られた溶液を用いて、GPC法により測定した。
これにより得られた数平均分子量を、本発明においては
最外層を構成する重合体成分の数平均分子量とみなし
て、その数値を示した。
IS K 7105に準じて測定した。
(寸法:縦×横×厚み=50×50×3.2mm)を横
方向から長光路で観察して、下記の判断基準にて判断し
た。 ○:成形品に着色が見られない。 ×:成形品に着色が見られる。
験片(寸法:縦×横×厚み=50×50×3.2mm)
の表面または金型を下記の判断基準にて判断した。 ○:熱安定剤がブリードしていない。 ×:熱安定剤がブリードしている。
構造重合体粒子の試料を島津製作所製島津フローテスタ
CFT−500形のシリンダ内に230℃の条件下で5
分間、10分間および15分間加熱滞留させた後、溶融
粘度を測定した。5分間、10分間および15分間加熱
滞留時の溶融粘度を比較し、下記の判断基準にて判断し
た。 ○:15分間加熱滞留においても、ゲル化による溶融粘
度の上昇がみられない。 △:10分間加熱滞留においては、ゲル化による溶融粘
度の上昇はみられないが、15分間加熱滞留において
は、溶融粘度の上昇がみられる。 ×:10分間加熱滞留において、ゲル化による溶融粘度
の上昇がみられる。
層構造重合体粒子(A1))の製造例>窒素雰囲気下、
攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸
留水150質量部、乳化剤としてのネオペレックスF−
25(花王製)0.6質量部及び分散剤としてのポイズ
520(花王製)0.8質量部を加え、80℃に加熱し
て均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオ
キソ二硫酸カリウム0.045質量部を加えた後、n−
ブチルアクリレート39.15質量部、スチレン5.8
5質量部、アリルメタクリレート0.225質量部及び
アデカコールCS−141E(旭電化製:界面活性剤)
0.225質量部からなる混合物を滴下ロートより80
分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80
℃で、さらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィ
ーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
n−ブチルアクリレート20.5質量部、メチルメタク
リレート1.0質量部、スチレン3.5質量部、アリル
メタクリレート0.125質量部及びアデカコールCS
−141E(旭電化製)0.125質量部からなる混合
物を滴下ロートより50分かけて滴下し、2層目を形成
した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続
け、単量体が99%以上消費されたことをガスクロマト
グラフィーで確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.03質量部を加えた後、メ
チルメタクリレート26.1質量部、n−ブチルアクリ
レート3.9質量部及びn−オクチルメルカプタン0.
3質量部からなる混合物を滴下ロートより40分かけて
滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さ
らに1時間反応を続け、単量体が99.9%以上消費さ
れたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終
了した。得られたラテックスにおける粒子の平均粒子径
は100nmであった。
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型
の重合体粒子(A1)を得た。最外層を構成する重合体
成分の数平均分子量は、10,000であった。
層構造重合体粒子(A2))の製造例>窒素雰囲気下、
攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸
留水200質量部、乳化剤としてのネオペレックスF−
25(花王製)0.6質量部及び炭酸ナトリウム0.1
質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。そ
の後、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.
05質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート30質
量部、メチルメタクリレート14.1質量部、スチレン
5.9質量部、アリルメタクリレート0.2質量部及び
アデカコールCS−141E(旭電化製)0.25質量
部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下
し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに
1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体
が99%以上消費されたことを確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
n−ブチルアクリレート20質量部、メチルメタクリレ
ート1.03質量部、スチレン3.97質量部、アリル
メタクリレート0.1質量部及びアデカコールCS−1
41E(旭電化製)0.125質量部からなる混合物を
滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成し
た。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、
単量体が99%以上消費されたことをガスクロマトグラ
フィーで確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
メチルメタクリレート23.75質量部、メチルアクリ
レート1.25質量部、n−オクチルメルカプタン0.
25質量部及びアデカコールCS−141E(旭電化
製)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより
30分かけて滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、
80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99.9
%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認
して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子
の平均粒子径は100nmであった。
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型
の重合体粒子(A2)を得た。最外層を構成する重合体
成分の数平均分子量は、10,000であった。
層構造重合体粒子(A3))の製造例>窒素雰囲気下、
攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸
留水200質量部、乳化剤としてのネオペレックスF−
25(花王製)0.6質量部及び炭酸ナトリウム0.1
質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。そ
の後、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.
05質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート40質
量部、メチルメタクリレート2質量部、スチレン8質量
部、アリルメタクリレート0.2質量部及びアデカコー
ルCS−141E(旭電化製)0.25質量部からなる
混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を
形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を
続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上
消費されたことを確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
n−ブチルアクリレート15質量部、メチルメタクリレ
ート6.875質量部、スチレン3.125質量部、ア
リルメタクリレート0.1質量部及びアデカコールCS
−141E(旭電化製)0.125質量部からなる混合
物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成
した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続
け、単量体が99%以上消費されたことをガスクロマト
グラフィーで確認した。
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
メチルメタクリレート23.75質量部、メチルアクリ
レート1.25質量部、n−オクチルメルカプタン0.
25質量部及びアデカコールCS−141E(旭電化
製)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより
30分かけて滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、
80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99.9
%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認
して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子
の平均粒子径は100nmであった。
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型
の重合体粒子(A3)を得た。最外層を構成する重合体
成分の数平均分子量は、10,000であった。
多層構造重合体粒子(B))の製造例>3層目のn−オ
クチルメルカプタンを0.25質量部から0.06質量
部に変更した以外は、多層構造重合体粒子(A2)の場
合と同様にして、平均粒子径100nmのラテックスを
得た。
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型
の重合体粒子(B)を得た。最外層を構成する重合体成
分の数平均分子量は、35,000であった。
多層構造重合体粒子(C))の製造例>乳化剤としての
ネオペレックスF−25(花王製)を0.6質量部から
0.35質量部に変更した以外は、多層構造重合体粒子
(A2)の場合と同様にして、平均粒子径は170nm
のラテックスを得た。
して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出し
た。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型
の重合体粒子(C)を得た。最外層を構成する重合体成
分の数平均分子量は、10,000であった。
熱安定剤(B)として、表1に記載した量の2,4−ビ
スー(ノルマルオクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ
ー3,5−ジーターシャルブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジン(チバスペシャリティーケミカルズ社
商品名IRGANOX565;ヒンダードフェノール系
熱安定剤)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕(チバスペシャリティーケミカルズ社
商品名IRGANOX1010;ヒンダードフェノー
ル系熱安定剤)、ペンタエリスリトール−テトラキス−
(β−ラウリル−チオプロピオネート)(旭電化工業
商品名アデカスタブAO−412S;イオウ系熱安定
剤)をタンブラーに投入し、混合した。この混合物を押
出機を用いて溶融混練した後、ストランド状に押し出
し、切断して熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造し
た。得られたペレットを80℃で4時間乾燥させた後、
射出成形機を用い、シリンダ温度230℃、金型温度3
0℃の条件にて試験片を作製し、各種測定を行った。得
られた評価結果を表2に示す。
100質量部のみをタンブラーに投入する事以外は実施
例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形品を得た。
このようにして得られた試験片の評価を行った。得られ
た評価結果を表2に示す。
タエリスリトール ジホスファイト(城北化学工業 商
品名JPP−2000:ホスファイト系熱安定剤)に変
更する以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成
物の成形試験片を作製し、評価を行った。得られた結果
を表2に示す。
スファイト(城北化学工業 商品名JP−318E:ホ
スファイト系熱安定剤)に変更する以外は、実施例1と
同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形試験片を作製し、
評価を行った。得られた結果を表2に示す。
を多層構造重合体粒子(A2)に変更した以外は、実施
例3と同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形試験片を作
製し、評価を行ったところ、実施例3と同様に透明性に
優れ、成形品の着色、熱安定剤のブリードおよび長期加
熱滞留における流動不良(ゲル化)は見られなかった。
また、得られた成形試験片の柔軟性は、常温(23℃)
では実施例3と同様であったが、低い温度(0℃)では
多層構造重合体の構造に起因して実施例3より劣ってい
た。
を多層構造重合体粒子(A3)に変更した以外は、実施
例3と同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形試験片を作
製し、評価を行ったところ、実施例3と同様に透明性お
よび柔軟性に優れ、成形品の着色、熱安定剤のブリード
および長期加熱滞留における流動不良(ゲル化)は見ら
れなかった。
を多層構造重合体粒子(B)に変更した以外は、実施例
3と同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形試験片を作製
し、評価を行ったところ、実施例3と同様に透明性に優
れ、成形品の着色、熱安定剤のブリードおよび長期加熱
滞留における流動不良(ゲル化)は見られなかったが、
実施例3に比較して柔軟性が低いものであった。
を多層構造重合体粒子(C)に変更した以外は、実施例
3と同様にして熱可塑性樹脂組成物の成形試験片を作製
し、評価を行ったところ、実施例3と同様に透明性に優
れ、成形品の着色、熱安定剤のブリードおよび長期加熱
滞留における流動不良(ゲル化)は見られなかったが、
柔軟性が低いものであった。
範囲内で、多層構造重合体粒子(A)に配合することに
より得られる熱可塑性樹脂組成物は、長期加熱滞留にお
ける流動不良(ゲル化)を生ぜず、かつそれから得られ
る成形品が透明性および柔軟性を保持し、着色せず、熱
安定剤のブリードを生じないことが分かる。該特定範囲
を満たしていない比較例1,4,5については、成形品
の着色およびゲル化による柔軟性低下が起こることが分
かる。さらに、比較例2,3については、熱安定剤がブ
リードしていることが分かる。
定性に優れ、さらにそれから得られる熱可塑性樹脂成形
品は該樹脂が本来有する透明性、柔軟性を保持し、着色
がなく美麗な外観を有する。
Claims (4)
- 【請求項1】 (1)少なくとも1つの下記のゴム成分
層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可
塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、
2以上の層からなる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能
性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体混合物(ii)の共重合によって形成される重合体層
であり; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量は30,000以下であり; (5)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層
(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
いて30/70〜90/10の範囲であり; (6)平均粒子径が150nm以下である;ことを特徴
とする多層構造重合体粒子(A)と、ヒンダードフェノ
ール系熱安定剤単独又はヒンダードフェノール系熱安定
剤とイオウ系熱安定剤との混合物からなる熱安定剤
(B)とを溶融条件下に混合して得られるアクリル樹脂
組成物であって、熱安定剤(B)の配合量が、多層構造
重合体粒子(A)100質量部に対して0.01〜2質
量部である熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項2】 (1)最内部に下記のゴム成分層(I
a)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する
隣接部に下記のゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部
に下記熱可塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の
多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(Ia)は、アクリル酸エステル50
〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可
能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官
能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(ia)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)ゴム成分層(Ib)は、アクリル酸エステル50
〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可
能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官
能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(ib)の共重合によって形成される重合体層であり; (4)ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)
の質量との比が(Ia)/(Ib)において5/95〜
95/5の範囲内であり; (5)単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステ
ルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)における
アクリル酸エステルの含有率(質量%)との差[(i
a)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量%)]が
3質量%以上であり; (6)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体混合物(ii)の共重合によって形成される重合体層
であり; (7)熱可塑性樹脂成分層(II)を構成する重合体に
ついて、GPC法で測定された数平均分子量は30,0
00以下であり; (8)ゴム成分層の総質量((Ia)+(Ib))と熱
可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、[層(I
a)+層(Ib)]/層(II)において30/70〜
90/10の範囲であり; (9)平均粒子径が150nm以下である;ことを特徴
とする多層構造重合体粒子(A)と、ヒンダードフェノ
ール系熱安定剤単独又はヒンダードフェノール系熱安定
剤とイオウ系熱安定剤との混合物からなる熱安定剤
(B)とを溶融条件下に混合して得られる樹脂組成物で
あって、熱安定剤(B)の配合量が、多層構造重合体粒
子(A)100質量部に対して0.01〜2質量部であ
る熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項3】 熱安定剤(B)がヒンダードフェノール
系熱安定剤とイオウ系熱安定剤との混合物であって、そ
れらの使用比率がヒンダードフェノール系熱安定剤/イ
オウ系熱安定剤の質量比として1/1〜1/10の範囲
である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項4】 物性改善剤を、前記溶融条件下での混合
の際に、配合する請求項1〜3のいずれかに記載の熱可
塑性樹脂組成物。
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