JP2002302556A - シール部材 - Google Patents

シール部材

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JP2002302556A
JP2002302556A JP2001106558A JP2001106558A JP2002302556A JP 2002302556 A JP2002302556 A JP 2002302556A JP 2001106558 A JP2001106558 A JP 2001106558A JP 2001106558 A JP2001106558 A JP 2001106558A JP 2002302556 A JP2002302556 A JP 2002302556A
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layer
mass
polymer particles
monomer
thermoplastic resin
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JP2001106558A
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English (en)
Inventor
Ryotaro Kuribayashi
亮太郎 栗林
Yuichi Kato
雄一 加藤
Takashi Yamashita
山下  隆
Masahiro Yoshino
昌宏 吉野
Tatsuya Naruse
達也 成瀬
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度の柔軟性を有してシール性に優れ、燃
焼時に塩化水素やダイオキシン類の発生がなく、リサイ
クル性にも優れ、可塑剤の移行が少なく、耐候性にも優
れたシール部材の提供。 【解決手段】 アクリル酸エステル及び多官能性単量体
を含む単量体混合物の共重合によって形成されるゴム成
分層(I)とメタクリル酸エステル及び他の単量体から
なる単量体混合物の共重合によって形成される熱可塑性
樹脂成分層(II)とを有し、以下の条件(1)〜
(3)を満足する多層構造重合体粒子を熱成形して得ら
れるシール部材: (1)最外層を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子
量は30,000以下、(2)層(I)/層(II)の
質量比は30/70〜90/10、(3)平均粒子径は
150nm以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木用、建築用、
車両用、家電用等に使用されるシール部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、土木用、建築用、車両用、家
電用等のシール部材として、軟質のポリ塩化ビニル樹脂
(以下、軟質PVCと略す)が、加工のしやすさや経済
性等の理由から多用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
車両用、家電用を中心にリサイクルが大きな課題となっ
てきており、リサイクルの容易な材料のニーズが強まっ
てきた。また、PVCは焼却すると、塩化水素ガスやダ
イオキシン類が発生する恐れがあるため、他の軟質材料
への転換が課題となっている。本発明の目的は、適度の
柔軟性によりシール性に優れ、優れた耐候性を有し、リ
サイクルが容易で、焼却しても塩化水素ガスやダイオキ
シン類が発生する恐れがない、シール部材を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、シール部材の材料
として特定の多層構造重合体粒子を用いることにより上
記課題を解決することができることを見出し、さらに検
討を重ねて本発明を完成した。
【0005】かかる本発明は、 (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層(I)を内部に
有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑性樹脂成分層
(II)を少なくとも最外部に有する、2以上の層から
なる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能
性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体(ii)の重合によって形成される重合体層であり; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量は30,000以下であり; (5)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層
(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
いて30/70〜90/10の範囲内であり; (6)平均粒子径が150nm以下である; 多層構造重合体粒子を熱成形して得られるシール部材に
関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。本発明で使用する多層構造重合体粒子は、ゴム成
分層(I)を内部に少なくとも1層有し、かつ熱可塑性
樹脂成分層(II)を少なくとも最外層として有する。
本発明の多層構造重合体粒子を構成する層の数は、2層
以上であればよく、3層で構成されていても4層以上で
構成されていてもよい。2層構造の場合は、層(I)
(中心層)/層(II)(最外層)の構成であり、3層
構造の場合は、層(I)(最内層)/層(I)(中間
層)/層(II)(最外層)、層(I)(最内層)/層
(II)(中間層)/層(II)(最外層)又は層(I
I)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最
外層)の構成であり、4層構造の場合には、例えば、層
(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層(I)
(中間層)/層(II)(最外層)の構成を有すること
ができる。これらの中でも、取扱い性に優れる点におい
て、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の2層
構造;又は層(I)(最内層)/層(I)(中間層)/
層(II)(最外層)若しくは層(II)(最内層)/
層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の3層構造
が好ましい。
【0007】本発明で使用する多層構造重合体粒子にお
いては、層(I)と層(II)の総質量比が、(I)/
(II)において30/70〜90/10の範囲内にあ
ることが必要である。層(I)の割合がこの範囲より小
さいと多層構造重合体粒子単独又はそれと他の合成樹脂
とから得られる樹脂組成物を成形して得られる成形品に
おける弾性回復性が不十分となる。一方層(I)の割合
がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成し
にくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため、
成形及び他の合成樹脂との混練が困難となる。なお、層
(I)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の層(I)
が1層のみの場合には該層の質量であり、層(I)が2
層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。同様
に、層(II)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の
層(II)が1層のみの場合には該層の質量であり、層
(II)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和で
ある。層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/
(II)において50/50〜90/10の範囲内にあ
ることが好ましく、60/40〜80/20の範囲内に
あることがより好ましい。
【0008】本発明で使用する多層構造重合体粒子にお
ける層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99
質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル
酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.9
9〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%及び多官
能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜
2質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって
形成されるゴム弾性を有する重合体層である。
【0009】層(I)を形成するために用いられるアク
リル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t
−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、、ドデシルアクリレート、オクタ
デシルアクリレート等のアクリル酸とアルコールとのエ
ステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコールとの
エステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸
とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニ
ルアクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエス
テル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族ア
ルコールとのエステルなどが挙げられる。アクリル酸エ
ステルは、層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層
(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成
するために用いられる単量体混合物(i)に対して50
〜99.99質量%の範囲において、単独で又は2種以
上混合して用いられる。アクリル酸エステルの量が50
質量%より少ないと多層構造重合体粒子のゴム弾性が低
下することになり、また、99.99質量%を超えると
多層構造重合体粒子の構造が形成されなくなるので、い
ずれも好ましくない。
【0010】層(I)を形成するために用いられる多官
能性単量体は、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上
有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸とアリルアルコー
ル、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエス
テル;前記の不飽和モノカルボン酸とエチレングリコー
ル、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール
とのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコ
ールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル
酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、
メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリ
ル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタ
ル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官
能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好まし
い。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジ
アクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味
する。多官能性単量体は、層(I)(多層構造重合体粒
子が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層
(I))を形成するために用いられる単量体混合物
(i)に対して0.01〜10質量%の範囲において、
単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。多官能
性単量体の量が、10質量%より多いと、多層構造重合
体粒子がゴム弾性を示さなくなり、弾性回復性が不十分
となるので好ましくない。また、多官能性単量体の量が
0.01質量%より少ないと、層(I)が粒子構造とし
て形成されなくなるので好ましくない。
【0011】層(I)を形成するためには、アクリル酸
エステル及び多官能性単量体以外に、アクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単官能性単量体を併用することが
できる。該他の単官能性単量体としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタク
リレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメ
タクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パル
ミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベ
ヘニルメタクリレート等のメタクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C22の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタ
クリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステ
ル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノ
ール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタ
クリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどのメタク
リル酸エステルが代表的であるが、他にも、スチレン、
α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチ
ルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシ
ルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−
ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、
ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系
単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブ
タジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3
−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、
2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジ
エン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジ
メチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエ
ン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オク
タジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセ
ン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。
【0012】該他の単官能性単量体は、必要に応じて、
層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層(I)を有
する場合には、それぞれの層(I))を形成するために
用いられる単量体混合物(i)に対して49.99質量
%以下の割合において、単独で又は2種以上を混合して
用いることができる。上記の他の単官能性単量体の割合
が49.99質量%を超える場合は、多層構造重合体粒
子の耐候性が不十分となるので好ましくない。
【0013】本発明の多層構造重合体粒子における層
(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量
%、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは80
〜99質量%及びそれと共重合可能な他の単量体60〜
0質量%、好ましくは40〜1質量%、より好ましくは
20〜1質量%からなる単量体(ii)の重合によって形
成される熱可塑性を有する重合体層である。メタクリル
酸エステルの量が40質量%未満であると多層構造重合
体粒子の耐候性が不十分となる。
【0014】層(II)を形成するために用いられるメ
タクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミ
リスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、
ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、
オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等が挙げられ、好ましくは
メチルメタクリレートである。
【0015】層(II)を形成するために用いられる共
重合可能な他の単量体の具体例としては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オ
クタデシルアクリレート等のアクリル酸とアルコールと
のエステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコール
とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリ
ル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;ス
チレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、
3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シク
ロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチ
ル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)ス
チレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量
体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、
N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフ
ェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミ
ド等のマレイミド系単量体;前記例で示した多官能性単
量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等
のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0016】層(I)はゴム弾性を有する重合体成分か
ら構成され、層(II)は熱可塑性を有する重合体成分
から構成されるように、それぞれ、上記した単量体の種
類及び使用割合の範囲内で適宜条件を選択すればよい。
【0017】本発明に用いる多層構造重合体粒子におい
ては、その中に含有される層(II)のうち少なくとも
粒子の最外層を構成する重合体の数平均分子量がGPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法での測
定に基づいて30,000以下であることが重要であ
る。数平均分子量が30,000を超える場合、多層構
造重合体粒子単独又はそれと合成樹脂との樹脂組成物を
成形して得た成形品における弾性回復性が不十分とな
り、さらに溶融流動性が低下する場合もある。数平均分
子量の下限については、必ずしも厳密な制限はないが、
生産工程における多層構造重合体粒子の通過性の点から
は、数平均分子量は1,000を下回らないことが好ま
しい。弾性回復性及び生産工程での通過性の両立の点か
らは、数平均分子量を3,000〜20,000の範囲
内とすることが特に好ましい。
【0018】本発明に用いる多層構造重合体粒子の平均
粒子径は、150nm以下である。150nmより大き
いと弾性回復性が不十分となる。また、溶融流動性が良
くない場合もある。平均粒子径の下限値については特に
限定されるものではないが、多層構造重合体粒子の所定
の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は3
0nm以上であることが好ましい。平均粒子径はさらに
好ましくは80〜120nmである。
【0019】本発明に用いる多層構造重合体粒子は、ゴ
ム成分層を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹
脂成分層を形成させるための重合反応工程とを所定の順
序で行うことによって、中心部から外部に向かって順次
層を形成させることからなる、少なくとも1つのゴム成
分層を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂
成分層を少なくとも最外部に有する、2以上の層からな
る多層構造重合体粒子を製造するための公知の製造方法
に準じて、製造することができる。その際、以下の点に
留意する。
【0020】(1)ゴム成分層(I)を形成させるため
の重合反応工程(a)において、アクリル酸エステル5
0〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合
可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多
官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合
物(i)を共重合させること。 (2)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための
重合反応工程(b)において、メタクリル酸エステル4
0〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合
可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)
を重合させること。
【0021】(3)該重合反応工程(b)のうち、少な
くとも、最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成さ
せるための重合反応工程において、分子量調節剤を単量
体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割
合で使用して重合反応を行うこと。 (4)全重合反応工程で使用する単量体混合物(i)の
総質量と単量体(ii)の総質量との比を、単量体混合物
(i)/単量体(ii)において30/70〜90/10
の範囲内とすること。 (5)全ての重合反応工程が終了した時点における多層
構造重合体粒子の平均粒子径が150nm以下となるよ
うに制御すること。
【0022】本発明に用いる多層構造重合体粒子は、特
に物性面および製造の簡便性の点から最内部にゴム成分
層(Ia)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位
置する隣接部にゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部
に熱可塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の多層
構造重合体粒子が好ましい。層(Ia)および(Ib)
を形成するために用いられるアクリル酸エステル、多官
能性単量体およびその他のアクリル酸エステルと共重合
可能な多の単官能性単量体としては、前述の層(I)を
形成するために用いられる単量体を使用することができ
る。
【0023】本発明に用いる好ましい態様の多層構造重
合体粒子単独又はこれと他の合成樹脂とから得られる樹
脂組成物を成形して得た成形品において、優れた弾性回
復性、良好な柔軟性及びこれ以外の機械的物性を並立さ
せるには、単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エ
ステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)にお
けるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差
〔(ia)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量
%)又は(ib)(単位:質量%)−(ia)(単位:
質量%)、好ましくは(ia)(単位:質量%)−(i
b)(単位:質量%)〕が3質量%以上の値となること
が一般に好ましく、4〜30質量%の範囲の値となるこ
とがより好ましい。
【0024】本発明に用いる好ましい態様の多層構造重
合体粒子において、層(Ia)及び層(Ib)がゴム弾
性を有する重合体成分から構成され、層(II)が熱可
塑性を有する重合体成分から構成されるように、それぞ
れ上記したような単量体の種類及び使用割合の範囲内で
適宜条件を選択すればよい。なお、多層構造重合体粒子
から得られるシール部材について透明性が重視される場
合には、多層構造重合体粒子中の相互に隣接する重合体
層の間〔例えば、多層構造重合体粒子が3層構造である
場合、層(Ia)と層(Ib)の間、及び層(Ib)と
層(II)の間〕における屈折率の差が小さくなるよう
に、各層を形成させるための単量体の種類及び使用割合
を適宜選択することが好ましい。
【0025】本発明に用いる好ましい態様の多層構造重
合体粒子においては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)
の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比
は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、30
/70〜90/10の範囲内である。層(Ia)及び層
(Ib)の質量の和の割合がこの範囲より小さいと多層
構造重合体粒子単独又はこれと他の合成樹脂との樹脂組
成物を成形して得られる成形品における弾性回復性及び
柔軟性が不十分となり、一方層(Ia)及び層(Ib)
の質量の和の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全
な形態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下
してしまうため成形及び他の合成樹脂との混練が困難と
なる。本発明の効果をより顕著なものとする目的におい
ては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱
可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)
+(Ib)〕/(II)において、50/50〜90/
10の範囲内であることが好ましく、60/40〜80
/20の範囲内であることがより好ましい。
【0026】また、本発明に用いる好ましい態様の多層
構造重合体粒子においては、ゴム成分層(Ia)の質量
とゴム成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(I
b)において、5/95〜95/5、好ましくは20/
80〜80/20の範囲内である。ゴム成分層(Ia)
の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比が5/95〜
95/5の範囲を外れる場合、一般に、優れた弾性回復
性、適度な柔軟性及び優れたその他の機械的物性を並立
させることが困難となる。
【0027】なお、本発明に用いる好ましい態様の多層
構造重合体粒子は、最内部のゴム成分層(Ia)、その
隣接部のゴム成分層(Ib)及び最外部の熱可塑性樹脂
成分層(II)の3層を基本構成とするが、層(Ib)
と層(II)との間に1つ以上の任意の重合体層が介在
していてもよい。ただし、本発明の効果を特に顕著に発
揮させる目的においては、ゴム成分層(Ia)、ゴム成
分層(Ib)及び熱可塑性樹脂成分層(II)の質量の
和が多層構造重合体粒子全体の質量に対して80%以以
上であることが好ましく、多層構造重合体粒子がゴム成
分層(Ia)、ゴム成分層(Ib)及び熱可塑性樹脂成
分層(II)のみから構成されることがより好ましい。
【0028】本発明に用いる好ましい態様の多層構造重
合体粒子の平均粒子径も150nm以下である。150
nmより大きいと弾性回復性が不十分となり、さらに
は、溶融流動性がよくない場合もある。平均粒子径の下
限値については特に限定されるものではないが、多層構
造重合体粒子の所定の層構造を形成させやすい観点から
は、平均粒子径は30nm以上であることが好ましい。
該平均粒子径はさらに好ましくは80〜120nmであ
る。
【0029】本発明に用いる好ましい態様の多層構造重
合体粒子は、多層構造重合体粒子を製造するための公知
の製造方法に準じ、ゴム層成分(Ia)を形成させるた
めの重合反応操作、ゴム層成分(Ib)を形成させるた
めの重合反応操作及び熱可塑性樹脂成分層(II)を形
成させるための重合反応操作を含む、所定の重合体層を
形成させるための重合反応操作を所定の順序で行うこと
により、中心部から外部に向かって順次層を形成させる
ことによって製造することができる。その際、以下の点
に留意する。
【0030】(1)ゴム成分層(Ia)及び(Ib)を
それぞれ形成させるための重合反応操作(a)及び
(b)において、アクリル酸エステル50〜95質量
%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性
単量体49.99〜0質量%、及び該アクリル酸エステ
ルと共重合可能な多官能性単量体0.01〜10質量%
からなる単量体混合物(ia)及び(ib)をそれぞれ
共重合させること。 (2)単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステ
ルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)における
アクリル酸エステルの含有率(質量%)との差を3質量
%以上となるよう設定すること。 (3)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための
重合反応操作(c)において、メタクリル酸エステル4
0〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合
可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(i
i)を重合させること。 (4)上記重合反応操作(c)において、層(II)を
構成する重合体の数平均分子量が30,000以下とな
るように反応条件を制御すること。 (5)単量体混合物(ia)と単量体混合物(ib)の
質量の和と単量体(ii)の質量との比が、〔(ia)
+(ib)〕/(ii)において30/70〜90/1
0の範囲内となるよう設定すること。 (6)単量体混合物(ia)の質量と単量体混合物(i
b)の質量との比が、(ia)/(ib)において5/
95〜95/5の範囲内となるよう設定すること。 (7)すべての重合反応操作が終了した時点における多
層構造重合体粒子の平均粒子径が150nm以下となる
ように制御すること。
【0031】本発明で使用する多層構造重合体粒子製造
のための重合法については特に制限はなく、例えば、通
常の多層構造重合体粒子を製造するための公知の重合法
に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、又は
これらの組み合わせを採用することができる。
【0032】例えば、乳化重合では公知の手段に従い、
各層を形成させるための重合を行うことにより、多層構
造重合体粒子を得ることができる。乳化重合の温度とし
ては、必ずしも限定されないが一般的な範囲は0〜10
0℃である。ここで使用する乳化剤としては、オレイン
酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナ
トリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナ
トリウム等の脂肪アルコールの硫酸エステル塩;ロジン
酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン
酸等のアルキルアリールスルホン酸等;ポリオキシエチ
レンアルキルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩が
挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組合せ
で用いられる。乳化重合で使用する重合開始剤として
は、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合
開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチ
ロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を
単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始剤
として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイ
ドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類
と、遷移金属塩等の還元剤との組合せによるレドックス
系開始剤も使用することができる。
【0033】上記のとおり、公知の乳化重合法に従って
所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることによ
り、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かっ
て段階的に形成させることができるが、本発明の多層構
造重合体粒子を製造するためには、少なくとも最外層を
形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤
を、その工程で使用する単量体(ii)に対して0.4〜
10質量%、好ましくは0.4〜5質量%、より好まし
くは0.6〜2質量%の範囲内となる割合で使用するこ
とが重要である。通常の多層構造体粒子を製造する場
合、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重
合反応において使用される分子量調節剤の使用量は、一
般に単量体に対して0〜0.3質量%程度であるが、こ
のように0.4質量%未満の場合には、その層を構成す
る熱可塑性樹脂成分の数平均分子量が高くなり過ぎ、多
層構造重合体粒子を成形して得られる成形品の弾性回復
性が不十分となり、さらに成形流動性が不十分となる場
合もある。本発明の目的においては分子量調節剤の量は
上記基準において高々10質量%あれば十分であり、そ
れ以上の量を使用しても、もはやそれ以上の弾性回復性
付与効果の向上はなく、むしろ多層構造重合体粒子にお
ける分子量調節剤の残存量が多くなるので望ましくな
い。
【0034】分子量調節剤の具体例としては、n−オク
チルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メル
カプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレ
ン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テ
ルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩
化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。こ
れらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキル
メルカプタンが好ましい。
【0035】乳化重合によって得られる多層構造重合体
粒子の平均粒子径は乳化剤の添加量等の重合条件によっ
て影響されるので、それらの条件を適宜選択することに
よって、容易に最終的な多層構造重合体粒子の平均粒子
径を150nm以下に制御することができる。
【0036】乳化重合後、生成した多層構造重合体粒子
の重合反応系からの分離取得も、公知の手法に従って行
うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレードラ
イ法、凍結凝固法などを採用することができる。なお、
分離取得された多層構造重合体粒子は、熱可塑性樹脂成
分からなる最外層において粒子間相互で部分的に融着し
ていても差し支えない。
【0037】本発明のシール部材は本発明で使用する多
層構造重合体粒子のみを原料として得られるものでも良
いが、それに加え、他の合成樹脂及び/又は物性改善剤
を含有していても良い。かかる本発明のシール部材は、
本発明で使用する多層構造重合体粒子、任意成分として
の他の合成樹脂、及び任意成分としての物性改善剤を、
混合及び/又は混練し、好ましくは混練又は混合後混練
し、ついで熱成形することにより得ることができる。混
練は、少なくとも該多層構造重合体粒子の溶融下、好ま
しくは該多層構造重合体粒子及び他の合成樹脂の溶融下
に行われるのが望ましい。なお、シール部材が本発明で
使用する多層構造重合体粒子のみを原料として得られる
ものである場合には、該粒子を直ちに熱成形しても良
い。
【0038】他の合成樹脂としては、特に制限はなく、
熱可塑性樹脂を好ましく使用することができる。熱可塑
性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、
ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン
系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、ABS、
AES、AAS、ACS、MBS等のスチレン系樹脂;
ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ス
チレン共重合体、他のアクリル系多層構造重合体粒子等
のアクリル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン
6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリア
ミド類;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化
ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニル
アルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニ
リデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;
ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂等
が挙げられる。これらの中で特に、ポリメチルメタクリ
レート、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、他
のアクリル系多層構造重合体粒子等のアクリル樹脂が好
ましい。
【0039】他の合成樹脂は、必要に応じて、本発明の
効果を損なわない範囲内で配合することができる。本発
明で使用する多層構造重合体粒子と他の合成樹脂とから
得られる樹脂組成物において、本発明で使用する多層構
造重合体粒子本来の優れた弾性回復性、適度の柔軟性及
び良好な他の機械的物性を活かしながら、他の合成樹脂
に由来する好ましい性能を発現させる目的からは、多層
構造重合体粒子と合成樹脂の質量比を、多層構造重合体
粒子/合成樹脂において50/50〜95/5の範囲内
とすることが望ましい。ただし、多層構造重合体粒子と
他の合成樹脂とからなる樹脂組成物に該多層構造重合体
粒子由来の性能を少なくとも部分的に発現させれば足り
るのであれば、該多層構造重合体粒子の含有率が5質量
%以上であり、かつ該合成樹脂の含有率が95質量%以
下となる範囲内において両者の混合割合を適宜設定する
ことができる。
【0040】物性改善剤は、本発明で使用する多層構造
重合体粒子又はそれと他の合成樹脂との混合物及び/又
は混練物の成形性等の物性、又はそれを成形して得られ
る、本発明のシール部材としての、成形品の種々の物性
を改善するために使用するものであって、必要に応じ
て、本発明の効果を損なわない範囲内で、使用すること
ができる。かかる物性改善剤としたは、特に制限はな
く、例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、着色
剤、帯電防止剤、難燃剤、フィラー(ガラス繊維等の繊
維補強剤、無機充填剤等)等が挙げられる。
【0041】上記混合に使用する混合機としてはタンブ
ラー、ミキサー、ブレンダー等、混練機としてはスクリ
ュー押出機、ロール等が挙げられる。
【0042】上記で得られた混合及び/又は混練物のシ
ール部材への熱成形は、射出成形、中空成形、カレンダ
成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形等の公知の熱成形
方法を用いて行うことができる。熱成形温度は一般に1
80〜280℃が適当である。また、上記成形法により
一旦フィルムやシートに熱成形した後、これを打抜加工
してシール部材を作製しても良い。ゴムコーティング金
属シール等のゴム部分と金属部分とからなるシール部材
は、熱成形と同時に、又は熱成形後に公知の方法により
ゴム部分と金属部分とを組み合わせればよい。布等の補
強材入りのシール部材も公知の成形方法を用いて製造す
ることができる。本発明のシール部材の形状は特に限定
されないが、Uパッキン、Vパッキン等のリップパッキ
ン状、Oリング、角リング、Dリング、Xリング、スリ
ッパーシール等のスクィーズパッキン状等、用途、使用
条件によって適宜設計することができる。本発明のシー
ル部材は、土木用、建築用、車両用、家電用等に使用さ
れる、オイルシール、リップパッキン、スクィーズパッ
キン、ピストンブーツ、ダストカバー、ダイアフラム等
の全部又は一部を構成するシール類として使用できる。
【0043】
【実施例】以下.本発明を製造例、試験例、比較試験例
及び実施例により更に詳細に説明するが.これらは本発
明を具体的に説明するためのものであり、本発明を限定
するものではない。なお、製造例、試験例及び比較試験
例中の各測定値は以下の評価法に従った。多層構造重合
体粒子の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採
取した試料を用いて、レーザー粒径解析装置PAR−I
II(大塚電子製)を用いて動的散乱法により測定し、
キュムラント法により解析し求めた。最外層を構成する
重合体成分の数平均分子量としては、多層構造重合体粒
子の試料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠
心分離して得られた溶液を用いてGPC法により測定し
た数平均分子量を、本発明においては最外層を構成する
重合体成分の数平均分子量とみなした。
【0044】成形品(シート)の引張破断強度、引張破
断伸度、100%伸長時の応力(100%モジュラス)
及び引張永久伸びは、オートグラフAG−2000B
(島津製作所製)を用いて、JIS K 6301に準
じて測定した。成形品(シート)の圧縮永久歪は、定歪
圧縮成形機(東洋精機製作所製)を用いて、JIS K
6301に準じて測定した。成形品(シート)の硬度
は、A型硬度計(オスカー製)を用いて、JIS K6
301に準じて測定した。成形品(シート)の耐候性
は、サンシャインウエザーメーターS80(スガ試験機
製)を用い、ブラックパネル温度63℃、湿度50%、
スプレーサイクル18分/2時間の条件で2000時間
放置前後のb値の変化量で評価した。なお、b値はSM
カラーコンピューター(スガ試験機製)で測定した。
【0045】製造例1(多層構造重合体粒子[A−1]
の製造例) 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水200質量部、乳化剤としてのネオ
ペレックスF−25(花王製)0.6質量部及び炭酸ナ
トリウム0.1質量部を加え、80℃に加熱して均一に
溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫
酸カリウム0.05質量部を加えた後、n−ブチルアク
リレート30質量部、メチルメタクリレート13.5質
量部、スチレン6.5質量部、アリルメタクリレート
0.2質量部及び乳化剤としてのアデカコールCS−1
41E(旭電化製)0.25質量部からなる混合物を滴
下ロートより1時間かけて滴下し、1層目を形成した。
滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、各単
量体がすべて消費されたことをガスクロマトグラフィー
で確認した。
【0046】次いで、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
n−ブチルアクリレート20質量部、メチルメタクリレ
ート0.5質量部、スチレン4.5質量部、アリルメタ
クリレート0.1質量部及び乳化剤としてのアデカコー
ルCS−141E(旭電化製)0.125質量部からな
る混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目
を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応
を続け、各単量体がすべて消費されたことをガスクロマ
トグラフィーで確認した。さらに、得られた共重合体ラ
テックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部
を加えた後、メチルメタクリレート23.75質量部、
メチルアクリレート1.25質量部、n−オクチルメル
カプタン0.25質量部及び乳化剤としてのアデカコー
ルCS−141E(旭電化製)0.125質量部からな
る混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、3層目
を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応
を続け、各単量体がすべて消費されたことをガスクロマ
トグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテ
ックスにおける多層構造重合体粒子の平均粒子径は10
4nmであった。
【0047】このラテックスを−20℃に24時間冷却
して凍結凝集させた後、凝集物を取り出し、40℃の熱
水で3回洗浄した。これを60℃で2日間減圧乾燥し
て、凝集粉末状の3層型の多層構造重合体粒子[A−
1]を得た。この粒子の最外層を構成する重合体成分の
数平均分子量は18,000であった。
【0048】試験例1 製造例1で得られた多層構造重合体粒子[A−1]か
ら、圧縮成形機を用いて、230℃にて厚さ2.0mm
のシートを作成し、各種測定を行った。得られた測定結
果を表1に示す。
【0049】製造例2(多層構造重合体粒子[A−2]
の製造例) 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤としてのネオ
ペレックスF−25(花王製)0.6質量部及びポイズ
520(花王製)0.8質量部を加え、80℃に加熱し
て均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオ
キソ二硫酸カリウム0.045質量部を加えた後、n−
ブチルアクリレート39.15質量部、スチレン5.8
5質量部、アリルメタクリレート0.225質量部及び
アデカコールCS−141E(旭電化製)0.225質
量部からなる混合物を滴下ロートより80分かけて滴下
し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに
1時間反応を続け、各単量体が99%以上消費されたこ
とをガスクロマトグラフィーで確認した。
【0050】次いで、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
n−ブチルアクリレート20.5質量部、メチルメタク
リレート1.0質量部、スチレン3.5質量部、アリル
メタクリレート0.125質量部及びアデカコールCS
−141E(旭電化製)0.125質量部からなる混合
物を滴下ロートより50分かけて滴下し、2層目を形成
した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続
け、各単量体が99%以上消費されたことをガスクロマ
トグラフィーで確認した。次いで、得られた共重合体ラ
テックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.03質量部を
加えた後、メチルメタクリレート26.1質量部、n−
ブチルアクリレート3.9質量部及びn−オクチルメル
カプタン0.3質量部からなる混合物を滴下ロートより
40分かけて滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、
80℃で、さらに1時間反応を続け、各単量体が99.
9%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確
認して重合を終了した。得られたラテックスにおける多
層構造重合体粒子の平均粒子径は100nmであった。
【0051】このラテックスを−20℃に24時間冷却
して凍結凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱
水で3回洗浄した。これを50℃で2日間減圧乾燥し
て、凝集粉末状の3層型の多層構造重合体粒子[A−
2]を得た。この粒子の最外層を構成する重合体成分の
数平均分子量は10,000であった。
【0052】試験例2 製造例2で得られた多層構造重合体粒子[A−2]か
ら、圧縮成形機を用いて、200℃にて厚さ2.0mm
のシートを作成し、各種測定を行った。得られた測定結
果を表1に示す。
【0053】比較試験例1 軟質PVC(ビニカ CG65EB、三菱化学MKV
製)から、圧縮成形機を用いて、180℃にて厚さ2.
0mmのシートを作成し、各種測定を行った。得られた
測定結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例1、2 製造例1又は2で得られた多層構造重合体粒子[A−
1]又は[A−2]から圧縮成形機を用いて、230℃
にて厚さ2mmのシートを作成し、ついで打抜加工によ
り、外径100mmの円形に切り取り、中心を合わせて
内径80mmの穴をあけてシール部材を作製した。これ
を、内径80mmの加圧濾過器のシール部材として用い
たところ、実施例1、2とも液漏れ又は空気漏れがな
く、良好なシール性を示した。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、適度の柔軟性を有して
シール性に優れ、燃焼時に塩化水素やダイオキシン類の
発生がなく、リサイクル性にも優れ、可塑剤の移行がな
く、耐候性にも優れて屋外での使用に適したシール部材
が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 33:00 E04B 1/68 (72)発明者 山下 隆 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 (72)発明者 吉野 昌宏 東京都東村山市諏訪町2丁目11番22号 (72)発明者 成瀬 達也 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 2E001 DA01 GA12 HE01 HF02 MA00 3J040 FA06 4F071 AA33 AA77 AF20 BA01 BB03 BB04 BB05 BB06 BC01 BC07 4J011 PA69 PB40 PC06 4J026 AA45 BA27 BB01 BB02 BB03 BB04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層
    (I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの下記熱可塑
    性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2
    以上の層からなる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
    99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
    な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能
    性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
    (i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
    ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
    と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
    体(ii)の重合によって形成される重合体層であり; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
    た数平均分子量は30,000以下であり; (5)ゴム成分層(I)の総重量と熱可塑性樹脂成分層
    (II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
    いて30/70〜90/10の範囲内であり; (6)平均粒子径が150nm以下である;多層構造重
    合体粒子を熱成形して得られるシール部材。
  2. 【請求項2】 パッキンである請求項1記載のシール部
    材。
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