JP2012025347A - 自動車用外装材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体であり、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であることを特徴とする自動車用外装材により上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
また、発泡体が、50%以上の融着率を示す場合、更に温度に関係なく安定した衝撃エネルギー吸収能力を有する自動車用外装材を提供することができる。
MS(160℃での溶融張力(mN))>90−130×log(MFR)
で表される溶融張力とMFRの関係を満足する場合、更に優れた衝撃エネルギー吸収能力を有する自動車用外装材を提供することができる。
衝撃エネルギー吸収能力を示す破断点変位量は、JIS K7221−2:2006年「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の求め方」に準拠した曲げ試験で測定される。この測定方法については、実施例において説明する。
発泡体は、複合樹脂粒子(以下、樹脂粒子ともいう)に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得、得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を得、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形させることにより得られる。
複合樹脂粒子は、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合した後、粒状化する方法、高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる方法等により得られる。この内、後者の方法が好ましく、その方法を詳細に説明する。
複合樹脂粒子中の高密度ポリエチレン系樹脂は以下(1)〜(4)の性質を有する樹脂粒子を使用することが、環境温度の変化による衝撃エネルギー吸収能力の変化を抑制する観点から、好ましい。
(1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体である。
(2)密度[d(kg/m3)]が931以上950以下である。
(3)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート[MFR(g/10分)]が0.1以上20以下である。
(4)160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)]とMFRの関係が、下記式(1)を満たす。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
高密度ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体からなる。
上記炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン)、ジエン(例えば、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン)等が挙げられる。炭素数3以上のオレフィン由来の成分が、高密度ポリエチレン系樹脂に占める割合は、特に限定されないが、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。
なお、発明を阻害しない範囲で、スチレンをエチレンと共重合させてもよい。
密度[d(kg/m3)]は931kg/m3以上950kg/m3以下であり、931〜945kg/m3であることがより好ましく、935〜940kg/m3であることが更に好ましい。密度が、931kg/m3未満の場合、融解温度が低いため、得られる発泡体の耐熱性が不足することがある。一方、950kg/m3を超えると、融解温度が高いため発泡成形温度が高くなり生産性が低下することに加えて、得られる発泡体は耐衝撃性に劣るものとなる。なお、エチレン系樹脂の密度は、JIS K7112:1999年「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」にて規定されたA法(水中置換法)を用いて測定されたものをいう。
190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート[MFR(g/10分)](以下、MFRと記す。)は0.1g/10分以上20g/10分以下である。MFRが0.1g/10分未満の場合、発泡倍率が低下することがある。また、20g/10分を超えると溶融張力が小さくなり発泡倍率が低下することに加え、発泡体の強度も低下する場合がある。より好ましいMFRは2〜10g/10分である。MFRの測定法は、実施例の欄に記載する。
160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)](以下、MS160と記す。)と、190℃で、2.16kg荷重で測定したMFRとの関係が、下記式(1)を満足するものである。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
特に、MS160は、MS160>110−130×log(MFR)を満足することが好ましい。
ここで、MS160が[90−130×log(MFR)]以下の範囲にあるオレフィン系樹脂は、ガスの保持力が不足し、発泡性が劣る場合がある。この結果、発泡倍率を十分に高めることができないことがあり、均一な気泡を有する発泡体を得られないことがある。
また、MSの上限は、240であることが好ましく、180であることがより好ましい。240を超える場合、発泡倍率が低下する場合がある。MSの測定法は、実施例の欄に記載する。
Mn及びMwの測定方法の一例を以下に挙げる。
測定に使用するGPC装置は、東ソー社製HLC−8121GPC/HTであり、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いる。測定試料は、1.0mg/mlの濃度に調整し、GPC装置への注入量を0.3mlとする。各分子量の検量線は、分子量既知のポリエチレン試料を用いて校正する。Mn及びMwは、直鎖状ポリエチレン換算値として求める。
マクロモノマーのビニル末端数及び飽和末端数の算出方法の一例を以下に挙げる。
マクロモノマーの末端構造は、日本電子社製JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって確認する。溶媒には、テトラクロロエタン−d2を使用する。ビニル末端数(X)は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1000個当たりの個数として、114ppmと139ppmのピークの平均値から求める。一方、飽和末端数(Y)は、ビニル末端基数と同様に、32.3ppm、22.9ppm及び14.1ppmピークの平均値から求める。得られたビニル末端数Xと飽和末端数Yとから、式Z=X/[(X+Y)×2]により、Zを求める。
まず、2つのシクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビスシクロペンタジエニルジルコニウム錯体と有機化合物で処理された粘土鉱物とからなる触媒の存在下、エチレンを重合させる、又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとを共重合させることで、マクロモノマーを製造する。上記錯体としては、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等が挙げられる。
次に、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体の存在下、マクロモノマーとオレフィンとを共重合させることで高密度ポリエチレン系樹脂を得ることができる。上記錯体としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
これら他の樹脂の配合割合は、全高密度ポリエチレン系樹脂量に対して、50重量%以下が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
カーボンは、高密度ポリエチレン系樹脂中、1〜50重量%の範囲で含まれていることが好ましく、2〜30重量%の範囲がより好ましい。1重量%未満だと、高密度ポリエチレン系樹脂が十分着色されない場合がある。一方、50重量%より多いと、高密度ポリエチレン系樹脂中に混合することが困難となる場合がある。
充填材としては、タルク、ガラス等が挙げられ、その形状は球状、板状、繊維状等特に限定されない。
複合樹脂粒子は、高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させることにより得られることが好ましい。具体的には、以下の説明のように、分散剤を含有する水性媒体中に高密度ポリエチレン系樹脂粒子を分散させて、その後にスチレン系単量体及び重合開始剤を添加して分散液を作製して、この分散液を加熱することにより高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて複合樹脂粒子が得られる。
無機核剤の使用量は、高密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、0.2〜1.5重量部がより好ましい。
水性懸濁液を構成する水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
高密度ポリエチレン系樹脂粒子内部にスチレン系単量体を含浸させる時間は、30分〜2時間が適当である。十分に含浸させる前に重合が進行するとスチレン系樹脂の重合体粉末を生成してしまうからである。前記モノマーが実質的に重合しない温度とは、高い方が含浸速度を速めるには有利であるが、重合開始剤の分解温度を考慮して決定する必要がある。
なお、スチレン系単量体の含浸と重合を複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けることで、ポリスチレンの重合体粉末の発生を極力少なくできる。
上記工程により複合樹脂粒子を得ることができる。
L/Dが0.6より小さく、又は1.6より大きく扁平度が大きい場合は、複合樹脂粒子から得られる予備発泡粒子を、金型に充填して発泡体を得る際に、金型への充填性が悪くなることがある。
形状については、充填性をよくするためには、略球状又は球状であることがより好ましい。
複合樹脂粒子の平均粒子径が0.3mm未満だと、発泡性樹脂粒子として使用する場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となる場合がある。一方、3.0mmを超えると、充填性が悪くなり易く、発泡体の薄肉化が困難となる場合がある。
ここで気体とは、空気、不活性ガス(例えば、窒素)等であり、通常空気が使用される。
所定量とは、VOCにおいては50ppmを指す。また臭気の所定量とは、臭気強度の平均値が、100000倍に希釈したイソ吉草酸の臭いを臭気強度0〜5段階の3の基準臭とする臭気試験において3以下となることを指す。
VOC及び臭気の低減効率を上げる観点からは、両者の形状の孔を有する目皿板を使用することが好ましい。更に、VOC及び臭気の低減効果を上げるために、容器内に攪拌装置を設けてもよい。そのような容器として、例えば、粒状物の乾燥に一般的に使用される流動層乾燥装置が使用できる。具体的には、バグ内蔵旋回型流動層乾燥装置(例えば、大川原製作所社製、スリットフロー(登録商標)(FBS型)等)が挙げられる。
発泡性樹脂粒子は、重合中もしくは重合終了後の上記複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得られる。含浸は、公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉式の容器中で、発泡剤を圧入することにより行われる。
発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテル等の揮発性発泡剤が挙げられる。これら発泡剤は、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
予備発泡粒子は、上記発泡性樹脂粒子を予備発泡させることにより得られる。
予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、5〜40倍であることが好ましい。より好ましくは、10〜30倍である。嵩発泡倍率が5倍未満だと、得られる発泡体の重量が増加する場合がある。一方、40倍を超えると、発泡させたときに独立気泡率が低下して、予備発泡粒子から得られる発泡体の強度が低下する場合がある。嵩発泡倍率の算出方法については、実施例の欄で説明する。
発泡体(発泡成形体)は、上記予備発泡粒子を型内発泡成形させることにより得られる。具体的には、予備発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、再度加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることで得ることができる。加熱用の媒体は水蒸気が好適に使用できる。
発泡体の発泡倍率は、5〜40倍であることが好ましい。より好ましくは、
10〜30倍である。発泡倍率が5倍未満だと、得られる発泡体の重量が増加する場合がある。一方、40倍を超えると、発泡させたときに独立気泡率が低下して、得られる発泡体の強度が低下する場合がある。
発泡体の表面は、50重量%以下のポリスチレン系樹脂量を示すことが好ましい。発泡体全体のポリスチレン系樹脂の量が、高密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、100〜500重量部の範囲であることを考慮すると、ポリスチレン系樹脂が発泡体の表面では少ないことと、ポリエチレン系樹脂が表面では多いことを意味している。発泡体表面においてポリエチレン系樹脂が多いことで、低温から常温においても十分な強度や緩衝性を保持できる自動車外装材を提供することができる。より好ましいポリスチレン系樹脂量の上限は、35重量%である。なお、下限は0重量%である。
(溶融張力)
ポリオレフィン系樹脂に、耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1500ppm、イルガフォス168TM;1500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したもの測定用試料とする。
溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名キャピログラフ)に、長さが8mm、直径が2.095mmのダイス状の試料を流入角が90°になるように装着して溶融張力を測定する。
MS160は、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)である。なお、最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とする。
高密度ポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K6922−1:1998に準拠して、密度勾配管法で測定する。
MSは、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所社製キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm、直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着することにより測定する。試料温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、この設定下での引き取りに必要な荷重(mN)をMSとする。
MFRは、JIS K6922−1:1998に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定する。
予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、予備発泡粒子の嵩密度と逆数の関係にある。
予備発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の重量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その重量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
従って、予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、上記の嵩密度の逆数を算出することにより導き出される。
予備発泡粒子の嵩発泡倍率(倍)=500/W
発泡体の発泡倍率は、発泡体の密度と逆数の関係にある。
発泡体の密度は、JIS K7222:2005年「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法により以下のように測定する。
50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その重量を測定し、次式により算出する。
密度(g/cm3)=試験片重量(g)/試験片体積(cm3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%又は27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
従って、発泡体の発泡倍率は、上記の密度の逆数を算出することにより導き出される。
発泡体の発泡倍率(倍)=試験片体積(cm3)/試験片重量(g)
縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状をした発泡体の表面に、カッターで横方向に長さ300mm、深さ5mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡体を二分割する。そして、発泡体の分割面において、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率を算出する。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
曲げ強さは、JIS K7221−2:2006年「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の求め方」記載の方法に準じて測定する。
すなわち、テンシロン万能試験機UCT―10T(オリエンテック社製)を用いて、75mm×300mm×25mmのサイズの試験体について、圧縮速度10mm/分、先端冶具を加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmとして測定する。
曲げの破断点変位量は、曲げ試験において以下の現象が発生した点を、破断点変位量とする。
断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%を超えた時、直前のサンプリング点を測定する。
圧縮強度は、JIS K7220:2006年「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定する。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、50mm×50mm×25mmのサイズの試験体について、圧縮速度10mm/分として25%圧縮時(10mm変位時)の圧縮強度を測定する。
穿孔衝撃エネルギーは、ダイナタップ衝撃試験であるASTM D−3763に準拠して測定する。試験装置は、General Research社製のダイナタップ衝撃試験装置GRC 8250を用い、試験片は片面表皮を残した縦100mm×横100mm×高さ20mmを5つカットする。測定条件は、試験温度は−20℃、試験速度1.55m/sec、スパンは丸穴内径76mm、落下高さ59cm、試験荷重3.17kg、落錘距離13cmで、n=5測定し、その平均値を穿孔衝撃エネルギーの値とする。
20mLバイアルに、実施例または比較例で得られた発泡体もしくは熱可塑性樹脂粒子0.2gを入れ、溶媒としてジエチルベンゼン(DEB)含有ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、試料を溶媒に溶解して試料溶液を調整する。
次に、この試料溶液を入れたバイアルを90℃で1時間加熱した後、この試料溶液の蒸気を採取し、この蒸気を、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−18A」)を用いて内部標準法により定量する。
測定条件を下記の要領とする。
カラムとしては、直径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μmのカラム(J&W社製、商品名「DB−WAX」)を用いる。検出器としては、水素炎イオン化型検出器(Flame Ionization Detector、FID)を用いる。
カラムの温度条件;50℃で2分間保持後、100℃まで10℃/minで昇温し、100℃で5分間保持後、220℃まで40℃/minで昇温し、220℃で2分間保持する。
カラムの注入口温度を150℃、検出器温度を250℃とする。
測定試料溶液注入量を2mLとする。
スプリット比を70:1、カラム流量を1.6mL/min(He)、ガス圧力を122kPaとする。
発泡成形体から、縦200mm×横200mm×高さ10〜25mmの直方体形状の試験片を切り出す。
英弘精機産業社から商品名「HC−074/200」にて市販されている測定装置を用い、測定装置の低温板を試験片の平均温度より15℃低く且つ高温板を試験片の平均温度よりも15℃高く設定した上で、試験片の熱伝導率をJIS A 1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」記載の方法に準拠して測定する。なお、試験片の平均温度は、0、20、30℃の3点とする。得られた熱伝導率に基づいて、横軸を温度、縦軸を熱伝導率とした回帰直線を描き、試験片の23℃における熱伝導率を算出する。
吸光度比(A698/A2850)を下記の要領で測定し、発泡成形体表層のポリスチレン系樹脂量(表層PS量)を測定する。
発泡成形体の表層を任意に10個採取し、表層をATR法赤外分光分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。
各赤外吸収スペクトルから吸光度比(A698/A2850)をそれぞれ算出し、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を吸光度比(A698/A2850))とする。なお、吸光度は、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 MAGNA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
組成割合(PS/PE;重量比):0/10=PE系樹脂のみ、1/9、2/8、3/7、4/6、5/5、6/4、7/3、8/2、10/0=PS樹脂のみ
これを小型射出成形機にて下記条件に加熱混練して、直径が25mmでかつ高さが2mmの円柱状に成形することによって標準試料を得る。
なお、小型射出成形機としては、例えば、CSI社から商品名「CS−183」で販売されているものを用い、例えば、下記の条件で成形できる。
射出成形条件:加熱温度200〜250℃、混練時間10分
上記比率の標準試料の吸光度比を前記測定装置で測定し、ポリスチレン系樹脂比率(重量%)と吸光度比(A698/A2850)の関係をグラフ化することで、図1の検量線が得られる。
図1において、ポリスチレン系樹脂比率が30重量%以下の場合、検量線は下記の式(1)で近似される。
Y=21.112X (1)
Y=28.415Ln(X)+20.072 (2)
更に、図1において、ポリスチレン系樹脂比率が80重量%以上の場合、検量線は下記の式で近似される。
Y=12.577Ln(X)+53.32 (3)
なお、上記式において、Xは吸光度比(A698/A2850)を示し、Yはポリスチレン系樹脂量を示す。
発泡成形体表層のポリスチレン系樹脂量(重量%)が、図1の検量線を基に算出される。
加熱寸法変化率は、JIS K 6767:1999 「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定する。
試験片は150×150×原厚み(mm)として、その中央部に縦および横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるよう記入し、80℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間置いた後に取り出し、標準状態の場所に1時間放置後、縦および横線の寸法を下記式によって測定する。
S=(L1−L0)/L0×100
式中、Sは加熱寸法変化率(%)、L1は加熱後の平均寸法(mm)、L0は初めの平均寸法(mm)をそれぞれ表す。
加熱寸法変化率Sは、以下の基準で評価する。
○:0≦S<1.5;寸法変化率が低く、寸法の安定性が良好であった。
△:1.5≦S<5;寸法の変化がみられるものの、実用上使用可能であった。
×:S≧5;寸法の変化が著しくみられ、実用上使用不可能であった。
燃焼速度は、米国自動車安全基準FMVSS 302に準拠した方法で測定する。試験片は、350mm×100mm×12mmとし、少なくとも350mm×100mmの二面には表皮が存在するものとする。燃焼速度の評価方法は、燃焼速度が80mm/min以下であるものを「○」、80mm/minを超えるものを「×」とする。
高密度ポリエチレン(東ソー社製、グレード名:09S53B)[(1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、(2)密度936kg/m3、(3)2.16kg加重時のMFRが2.6g/10分、(4)MS(160℃での溶融張力(mN))>90−130×log(MFR)]のペレット100重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)の高密度ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。
その後、常温まで冷却して、発泡性樹脂粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを400gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.4gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.2kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを4.8gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを1.4kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を5時間、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを800gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.8gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.4kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを3.6gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.80kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を4時間15分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを1000gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを1.0gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.5kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを3.0gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.5kg、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を4時間、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率20倍(嵩密度0.05g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率60倍(嵩密度0.017g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率20倍(嵩密度0.05g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率80倍(嵩密度0.013g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率30倍(嵩密度0.033g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略す)(日本ユニカー社製:NUC−3450、酢酸ビニル含有量:5重量%、融点:107℃、メルトフローレート:0.5g/10分)[(1)エチレンと酢酸ビニルの共重合体、(2)密度930kg/m3、(3)2.16kg加重時のMFRが0.5g/10分、(4)MS(160℃での溶融張力(mN))>110−100×log(MFR)]を押出機に供給して溶融混連して水中カット方式により造粒し、楕円球状(卵状)のEVA樹脂粒子(ポリエチレン系樹脂粒子)を得た。EVA樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。尚、EVAのメルトフローレート及び密度は、JIS K6992−2に準拠して測定した値である。
その後、常温まで冷却して、発泡性樹脂粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
発泡倍率30倍(密度0.033g/cm3)の発泡ポリプロピレン樹脂[(1)プロピレンとエチレンのランダム共重合体、(2)密度900kg/m3、(3)MS(160℃での溶融張力(mN))>110−100×log(MFR)]を用いて、実施例1と同形状、同寸法の発泡倍率30倍(密度0.033g/cm3)のプロピレン系樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを200gと、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.2gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.1kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを5.4gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを1.7kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を5時間30分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを1400gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.84gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.42kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを1.8gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.18kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を3時間30分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に予備発泡を実施したが、嵩発泡倍率7倍(嵩密度0.143g/cm3)までしか発泡しなかった。そのため、その後の発泡体の評価を実施しなかった。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体
PP:ポリプロピレン
PS:ポリスチレン
Claims (9)
- 密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体であり、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であることを特徴とする自動車用外装材。
- 前記発泡体の表層が、50重量%以下のポリスチレン系樹脂量を示す請求項1に記載の自動車用外装材。
- 前記発泡体が、50%以上の融着率を示す請求項1又は2に記載の自動車用外装材。
- 前記発泡体が、米国自動車安全基準FMVSS 302に準拠した燃焼速度試験方法で測定された80mm/min以下の燃焼速度を示す請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用外装材。
- 前記発泡体が、更に着色剤としてのカーボンを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動車用外装材。
- 前記発泡体が、5〜40倍の発泡倍率を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動車用外装材。
- 前記発泡体が、前記高密度ポリエチレン系樹脂を20〜100重量部含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動車用外装材。
- 前記高密度ポリエチレン系樹脂が、下記式
MS(160℃での溶融張力(mN))>90−130×log(MFR)
で表される溶融張力とMFRの関係を満足する請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動車用外装材。 - 前記自動車用外装材が、自動車バンパー用芯材である請求項1〜8のいずれか1つに記載の自動車用外装材。
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