JP2001018247A - バンパー用芯材とそれを用いたバンパー - Google Patents

バンパー用芯材とそれを用いたバンパー

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JP2001018247A
JP2001018247A JP11198019A JP19801999A JP2001018247A JP 2001018247 A JP2001018247 A JP 2001018247A JP 11198019 A JP11198019 A JP 11198019A JP 19801999 A JP19801999 A JP 19801999A JP 2001018247 A JP2001018247 A JP 2001018247A
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expanded particles
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Tatsuya Eguchi
達也 江口
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Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度に関係なくほぼ一定の性能を有するバン
パー用芯材と、それを用いたバンパーとを提供する。 【解決手段】 バンパー用芯材は、環境温度−20〜+
50℃の温度範囲での、5%圧縮強度の最小値S1と最
大値S2との比S2/S1が3以下である合成樹脂の発泡
体にて形成した。バンパーは、上記芯材を表皮材で被包
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のバンパー
用芯材と、それを用いたバンパーとに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の軽量化の要請に対応し
て、合成樹脂製のバンパーが広く普及しつつある。かか
る合成樹脂製のバンパーの1種に、合成樹脂の発泡体か
らなるバンパー用芯材と、当該バンパー用芯材を被包す
る表皮材とを備えたものがある。
【0003】上記の構造を有するバンパーにおいては、
芯材が、バンパーとしての性能を左右する重要な部材で
あり、かかる芯材は単に軽量であるだけでなく、圧縮強
度、耐熱性、耐薬品性などの特性にすぐれることが求め
られる。またとくに、衝突の際に自己の車体や衝突した
対象を保護する必要から、上記芯材には、エネルギー吸
収特性にすぐれ、とくに短いストロークでの(つまり低
歪み時における)衝撃エネルギーを吸収する能力に優れ
ていることも要求される。
【0004】とくに近時、産業上の要請として、バンパ
ーを含む自動車用部品のより一層の軽量化と、とくにバ
ンパーに関しては、上述した短いストロークでの衝撃エ
ネルギーを吸収する能力のより一層の向上とが求められ
ており、それに対応すべく、芯材を構成する合成樹脂の
発泡体について種々の研究開発がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】たとえば特開平7−1
37067号公報、特許第2675373号公報にはそ
れぞれ、上記の要求に対応すべく、ポリプロピレンを少
量の1−ブテンで改質した1−ブテン−プロピレンラン
ダム共重合体の発泡体にてバンパー用芯材を形成するこ
とが記載されている。
【0006】しかし発明者らの検討によると、上記共重
合体などのポリプロピレン系の樹脂にて形成したバンパ
ー用芯材は、先に述べた短いストロークでの衝撃エネル
ギーを吸収する能力の温度依存性が高く、たとえば後述
する比較例の結果からも明らかなように、自動車を、年
間を通して通常に使用した際にバンパーが経験するであ
ろうと予測されるおよそ−20〜+50℃程度の温度変
化の範囲内において、かかる吸収能力を示す圧縮強度の
数値が大きく変動することから、温度に関係なくほぼ一
定の性能を有するバンパーを形成できないことが明らか
となった。
【0007】ちなみに特許第2675373号公報に
は、上記1−ブテン−プロピレンランダム共重合体の発
泡体からなるバンパー用芯材のエネルギー吸収量が、環
境温度20℃と80℃とであまり変化しないことが記載
されているが、圧縮強度については20℃での50%圧
縮強度(応力)の数値が1点あがっているのみで、80
℃などのその他の温度での50%圧縮強度や、あるいは
とくに短いストロークでの衝撃に対する圧縮強度、具体
的には5%圧縮強度については一切、言及していない。
【0008】これは、上記1−ブテン−プロピレンラン
ダム共重合体の発泡体にて形成された芯材の、これらの
圧縮強度が、先に述べたように環境温度に依存して大き
く変化したためであろうと推測される。たとえエネルギ
ー吸収量がほとんど同じでも、圧縮強度が大きく変化す
れば、衝突時に、自動車の車体や衝突した対象に及ぼす
衝撃エネルギーは大きく変動すると考えられ、そのよう
な芯材は、温度に関係なくほぼ一定の性能を有するもの
とは言えない。
【0009】本発明の目的は、温度に関係なくほぼ一定
の性能を有するバンパー用芯材と、それを用いたバンパ
ーとを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは、バンパー用芯材がどのような特性を有
していれば、温度に関係なくほぼ一定の性能を有するも
のとなるかについて検討を行った。その結果、前述した
環境温度−20〜+50℃の温度範囲での、5%圧縮強
度の最小値S1と最大値S2との比S2/S1が3以下であ
れば、そのような芯材は、温度に関係なくほぼ一定の性
能を有しており、衝突時に、自動車の車体や衝突した対
象に及ぼす衝撃エネルギーをほぼ一定の範囲に維持でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明のバンパー用芯材は、合成
樹脂の発泡体からなり、環境温度−20〜+50℃の温
度範囲での、5%圧縮強度の最小値S1と最大値S2との
比S 2/S1が3以下であることを特徴とするものであ
る。また、とくに上記バンパー用芯材を形成する発泡体
として、150℃で24時間加熱した際の熱収縮が10
0mmあたり1mm以下であるものを使用した場合に
は、その表面を被包する表皮材との寸法、形状のずれな
どによる変形やそりなどを発生しにくい、長期の使用に
十分に耐えうるバンパーを構成できるという利点があ
る。
【0012】本発明のバンパーは、上記本発明のバンパ
ー用芯材と、当該バンパー用芯材を被包する表皮材とを
備えることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。 〈バンパー用芯材およびバンパー〉本発明のバンパー用
芯材は、上記のように合成樹脂の発泡体からなり、環境
温度−20〜+50℃の温度範囲での、5%圧縮強度の
最小値S1と最大値S2との比S2/S1が3以下であるこ
とを特徴とするものである。
【0014】上記比S2/S1が3を超えるものは、前述
したように、たとえば衝突時に、自動車の車体や衝突し
た対象に及ぼす衝撃エネルギーが、環境温度によって大
きく変動するなどの問題があり、温度に関係なくほぼ一
定の性能を有するものとは言えない。なお、バンパー用
芯材の性能を、環境温度の変化に対してより一層、安定
させるためには、上記比S2/S1が2以下であるのが好
ましく、1.5以下であるのがさらに好ましい。なお比
2/S1の下限値は、いうまでもなく、上記最小値S1
と最大値S2とが等しい場合の1である。
【0015】かかる温度−圧縮強度特性を満足する合成
樹脂の発泡体としては種々考えられるが、とくに熱可塑
性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形し
た発泡成形体が好適に使用される。熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂の発泡成形体は上記の温度−圧縮強度特性を満
足する上、軽量で、かつ衝撃吸収性、繰り返し圧縮永久
歪み、耐薬品性などにすぐれている。
【0016】また、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の
発泡成形体は、とくに高温環境下での寸法安定性にもす
ぐれており、その表面を被包する表皮材との寸法、形状
のずれなどによる変形やそりなどを発生しにくい、長期
の使用に十分に耐えうるバンパーを構成できるという利
点を有している。とくに100℃、120℃、または1
50℃で24時間加熱した際の熱収縮が、いずれも10
0mmあたり1mm以下であるような発泡成形体は寸法
安定性が良好であり、上記のような変形やそりなどの発
生を、より確実に抑制することができる。
【0017】上記の発泡成形体からなるバンパー用芯材
を被包する表皮材は、従来同様に、ポリプロピレン系樹
脂の射出成形や、ポリウレタン樹脂のRIM成形(反応
性射出成形)などによって形成される。バンパー用芯材
や表皮材の形状、構造などは、バンパーを取り付ける自
動車の形式や仕様などにあわせて適宜、変更すれば良
い。 〈熱可塑性ポリエステル系樹脂〉本発明において、バン
パー用芯材に好適に使用される発泡成形体を形成する熱
可塑性ポリエステル系樹脂としては、たとえばテレフタ
ル酸とエチレングリコールとを重縮合反応させるなどし
て合成されるポリエチレンテレフタレート(PET)に
代表される、従来公知の種々の熱可塑性ポリエステル系
樹脂が、いずれも使用可能である。
【0018】ただし、上記PETなどの従来の熱可塑性
ポリエステル系樹脂は一般にガスバリヤー性が高く、発
泡剤を含浸するのに多大な時間を要するために、樹脂に
発泡剤を含浸させ〔含浸工程〕、ついで加熱して予備発
泡させるとともに、粒子化して予備発泡粒子を得たのち
〔予備発泡工程〕、この予備発泡粒子を型内に充てん
し、加熱膨張させて発泡成形〔型内発泡工程〕する従来
の発泡成形方法によって発泡成形体、すなわちこの場合
はバンパー用芯材を製造したのでは時間、コストおよび
手間がかかるおそれがある。
【0019】さらに上記従来の熱可塑性ポリエステル系
樹脂は加熱によって結晶化が進みやすい、すなわち結晶
化の速度が速いために、上記含浸時や予備発泡時の加熱
によって予備発泡粒子の結晶化度が過度に高くなって、
型内発泡成形時に発泡粒同士の発泡融着性の低下をまね
くという問題もある。このため、とくに汎用の発泡成形
機を使用して、たとえばスチームのゲージ圧が0.5M
Pa以下といった通常の成形条件で発泡成形したので
は、耐熱性にすぐれた発泡成形体が得られるものの、発
泡粒同士が高い融着率でもって良好に融着、一体化し
た、前記圧縮強度などの強度にすぐれた発泡成形体を製
造することはできない。
【0020】したがってPETなどの従来の熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を用いて、高い融着率を有する発泡成
形体を製造するには、たとえば多量のスチームを型内に
均一に供給できるなどの特殊な機能を付与した特殊な発
泡成形機を用いて、ゲージ圧が0.5MPaを超えるよ
うな特殊な成形条件で成形を行う必要を生じる。しかし
ながらこのような特殊な成形条件ゆえに、製造される発
泡成形体は、たとえば40%を超えるような、過度に結
晶化度の高いものとなってしまい、耐熱性にはすぐれる
ものの脆くなって、かえって必要とする強度が得られな
い。
【0021】また、結晶化度が40%を超えた発泡成形
体は、とくに高温環境下での寸法安定性が低下して、バ
ンパーの変形やそりなどを生じやすいという問題もあ
る。それゆえ本発明においては、上記熱可塑性ポリエス
テル系樹脂として、とくにその結晶化の速度が抑制され
たものを使用するのが好ましい。すなわち結晶化の速度
が抑制された熱可塑性ポリエステル系樹脂は、従来のP
ETなどと比べて、加熱による、予備発泡粒子の結晶化
度が過度に高くなることが抑制され、型内発泡成形時の
発泡融着性が著しく低くなることが防止される。
【0022】したがって型内発泡成形時の発泡融着性に
すぐれ、かつ機械的強度にもすぐれるとともに寸法安定
性にもすぐれた発泡成形体を、特殊な発泡成形機を使用
することなく、汎用の発泡成形機を使用した通常の成形
条件によって、容易に製造することが可能となり、また
得られた発泡成形体の結晶化度が過度に高くなることを
抑制することができる。
【0023】熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化の速
度は、示差走査熱量計(DSC)を使用して、日本工業
規格JIS K7121所載の測定方法に準じて測定し
た樹脂の結晶化のピーク温度(昇温時に結晶化が起こる
ピークの温度)によって評価することができる。すなわ
ち結晶化のピーク温度が高いほど樹脂は、結晶化を促進
させるのに多量の熱を必要とする、つまり結晶化の速度
が遅いと言える。
【0024】具体的には、測定試料としての所定量の熱
可塑性ポリエステル系樹脂をDSCの測定容器に充てん
して、10℃/分の昇温速度で昇温しながら、上記結晶
化ピーク温度が測定される。このようにして測定された
熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度の範囲
がおよそ130℃以上であれば、前記のように結晶化の
速度が抑制された、好適な熱可塑性ポリエステル系樹脂
であるといえる。
【0025】なお結晶化ピーク温度は、上記の範囲内で
もとくに180℃以下であるのが好ましい。結晶化ピー
ク温度が180℃を超えた場合には、樹脂のガラス転移
点が高くなるために型内発泡成形の条件幅が狭くなって
却って成形が容易でなくなる上、型内発泡成形時に、成
形体の表面に収縮が発生しやすくなって外観の良好な発
泡成形体が得られないという問題を生じるおそれもあ
る。また、製造された発泡成形体が脆くなってしまうと
いう問題も生じうる。
【0026】なお上記各特性のバランスを考慮して、良
好な予備発泡粒子、ならびに良好な発泡成形体を製造す
ることを考慮すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂のピ
ーク温度は、上記の範囲内でもとくに132〜175℃
程度であるのが好ましく、135〜170℃程度である
のがさらに好ましい。かかる特性を満足する熱可塑性ポ
リエステル系樹脂としては、これに限定されないがたと
えば、その全成分中に、イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも
1種の成分を、総量で0.5〜10重量%の範囲で含有
するものがあげられる。
【0027】すなわち、ジカルボン酸として、式(1):
【0028】
【化1】
【0029】で表されるイソフタル酸を使用するか、あ
るいはジオールとしてシクロヘキサンジメタノールを使
用するか、またはこの両者を併用するとともに、いずれ
か一方を単独で使用する場合はその単独での含有割合
を、また両者を併用する場合はその合計の含有割合を、
それぞれ全成分中の、0.5〜10重量%の範囲内とし
た上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸
および/またはシクロヘキサンジメタノールの持つ、樹
脂の結晶化を抑制する作用によって、結晶化ピーク温度
が130〜180℃の範囲内となるため、前記のような
種々の問題を生じない良好な発泡成形体を製造すること
が可能となる。
【0030】なおイソフタル酸および/またはシクロヘ
キサンジメタノールの含有割合は、上記各特性のバラン
スを考慮して、良好な予備発泡粒子、ならびに良好な発
泡成形体を製造することを考慮すると、上記の範囲内で
もとくに0.6〜9.5重量%程度であるのが好まし
く、0.7〜9重量%程度であるのがさらに好ましい。
上記のうちシクロヘキサンジメタノールとしては、基本
的に、2つのメタノール部分がそれぞれシクロヘキサン
環の1位と4位に置換した、式(2):
【0031】
【化2】
【0032】で表される1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールが使用されるが、2つのメタノール部分がシクロ
ヘキサン環の他の位置に置換した異性体も、少量であれ
ば併用可能である。上記イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールとともに熱可塑性ポリエステル系樹
脂を構成する他の成分のうちジカルボン酸としては、た
とえばテレフタル酸やフタル酸などがあげられる。
【0033】またジオール成分としては、たとえばエチ
レングリコール、α−ブチレングリコール(1,2−ブ
タンジオール)、β−ブチレングリコール(1,3−ブ
タンジオール)、テトラメチレングリコール(1,4−
ブタンジオール)、2,3−ブチレングリコール(2,
3−ブタンジオール)、ネオペンチルグリコールなどが
あげられる。
【0034】また熱可塑性ポリエステル系樹脂の原料に
は、上記の各成分に加えて、たとえば酸成分として、ト
リメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸な
どのテトラカルボン酸などの、三価以上の多価カルボン
酸やその無水物、あるいはアルコール成分として、グリ
セリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどの
テトラオールなどの、三価以上の多価アルコールなど
を、前述した、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶性や
結晶化の速度などに影響を及ぼさない範囲で少量、含有
させてもよい。
【0035】上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、上
記の各成分を所定の割合、つまり前記のようにイソフタ
ル酸および/またはシクロヘキサンジメタノールを、総
量で0.5〜10重量%の範囲で含有した原料を、従来
同様に重縮合反応させることによって製造される。また
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸およ
び/またはシクロヘキサンジメタノールの含有割合の異
なる2種以上の熱可塑性ポリエステル系樹脂を、その全
成分中に占めるイソフタル酸および/またはシクロヘキ
サンジメタノールの含有割合が、総量で0.5〜10重
量%の範囲内となるように配合し、たとえば押出機など
を用いて、加熱下で溶融、混合することによっても製造
できる。
【0036】この方法によれば、予備発泡粒子の製造段
階で、イソフタル酸および/またはシクロヘキサンジメ
タノールの含有割合の異なる2種以上の熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の配合割合を変更するだけで、製造された
予備発泡粒子における上記両成分の含有割合を調整でき
る。このため、樹脂の合成段階で両成分の含有割合を調
整する場合に比べて調整作業を簡略化でき、仕様の変更
などに柔軟に対応できるようになるという利点がある。
【0037】また、たとえば配合する熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の1種として、使用済みのペットボトルなど
から回収、再生した材料などを使用することにより、資
源の有効な再利用化とゴミの減量化、ならびに予備発泡
粒子の低コスト化を図ることが可能となるという利点も
ある。なお上記の方法においては、2種以上の熱可塑性
ポリエステル系樹脂間でのエステル交換反応により各樹
脂がアロイ化して均一な熱可塑性ポリエステル系樹脂と
なるように、加熱下で十分に溶融、混合してやるのが好
ましい。
【0038】なお予備発泡粒子を、後述するように押出
機などを用いて、高圧溶融下、発泡剤と混合したのち予
備発泡させ、ついで切断して製造する場合には、上記の
ように2種以上の樹脂の溶融、混合による均一な熱可塑
性ポリエステル系樹脂の作製を、発泡剤の混合に先だっ
て上記の押出機中で行い、ついで連続して、上記の製造
方法を実施するのが、効率的であり好ましい。
【0039】ただし、あらかじめ別の装置を用いて2種
以上の樹脂を溶融、混合して作製しておいた均一な熱可
塑性ポリエステル系樹脂を押出機に投入して、上記の製
造方法により予備発泡粒子を製造しても構わない。なお
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂は、予備
発泡粒子を製造する際の溶融、混合性や、製造された予
備発泡粒子を用いて、型内発泡成形によって発泡成形体
を製造する際の成形性などを考慮すると、その固有粘度
(測定温度:35℃、溶媒:オルソクロロフェノール)
が0.6〜1.5程度であるのが好ましい。 〈予備発泡粒子〉予備発泡粒子は、従来同様に、上記の
熱可塑性ポリエステル系樹脂に発泡剤を含浸させたの
ち、加熱して予備発泡させるとともに粒子化して製造し
てもよい。
【0040】ただし、熱可塑性ポリエステル系樹脂に発
泡剤を含浸させる工程を省略して時間、コストおよび手
間を省くとともに、製造される予備発泡粒子の結晶化度
をさらに低くして、型内発泡成形時の発泡融着性の低下
をさらに抑制するためには、前述したように、上記熱可
塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融下、発泡剤と混合
し、予備発泡させて予備発泡体を得たのち、これを切断
して予備発泡粒子を製造するのが好ましい。
【0041】熱可塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融
下、発泡剤と混合して予備発泡させる方法としては、押
出機を用いた押出発泡法が効率的であり、好適に採用さ
れる。使用できる押出機はとくに限定されず、通常この
種の押出発泡成形に使用される単軸押出機、二軸押出機
などであり、さらにはこれらを連結したタンデム型であ
っても良いが、十分な溶融、混合能力を有する押出機が
好ましい。
【0042】押出機の口金としてはいろいろなものを使
用することができる。たとえば、円環状の口金、フラッ
ト口金、ノズル口金、さらには複数のノズルが配置され
たマルチノズル口金などがあげられる。これらの口金を
使用して、シート状、板状、ロッド状などの、種々の形
状の予備発泡体を作ることができる。予備発泡体を、上
述した所定の形状とするためには、いろいろな方法が採
用される。
【0043】たとえばシート状の予備発泡体を得るに
は、円環状の口金から押し出された円筒状の予備発泡体
を、マンドレル上を進行させてシート状としたり、フラ
ット口金より押し出された厚みのある板状の予備発泡体
を、チルロールによりシート状としたりすればよい。ま
た厚みのある板状の予備発泡体を得るためには、一対の
金属板に密接させながら発泡を進行させて、所定の厚み
とする方法などが採用される。
【0044】予備発泡体の冷却方法としては、空冷や水
冷のほか、温度調整された冷却装置に接触させるなど、
いろいろな方法を用いることができる。予備発泡体の冷
却はできる限り速やかに行い、結晶化が過度に進行する
のを抑制することが重要である。このようにして製造し
た各種形状の予備発泡体を適宜、切断して円柱状、角
状、チップ状などとすることで予備発泡粒子が完成す
る。
【0045】上記予備発泡体の冷却と切断は、適宜のタ
イミングで行うことができる。たとえば、口金より押し
出された予備発泡体を、発泡中ないし発泡完了後の任意
の時点で水中に通すなどして冷却した後、ペレタイザ−
などを用いて所定の形状、大きさに切断してもよい。ま
た口金から押し出された、発泡完了直前もしくは発泡完
了直後でかつ冷却前の予備発泡体をすぐさま切断したの
ち、冷却してもよい。
【0046】さらに、シ−ト状に押し出された予備発泡
体は、一旦巻き取り機などによってロール状に巻き取っ
て保管した後、粉砕機や切断機にて切断してもよい。か
くして製造される予備発泡粒子の大きさは、平均粒径で
表しておよそ0.5〜5mm程度が好ましい。また予備
発泡粒子の結晶化度は、前記のように汎用の発泡成形機
を使用して、通常の成形条件で発泡成形した際に、粒子
同士の融着性にすぐれた、機械的強度の高い発泡成形体
を得ることを考慮するとおよそ8%以下程度であるのが
好ましい。
【0047】また、予備発泡粒子をつくる際に、まだ余
熱をもっている予備発泡粒子同士が合着しやすくなるの
を防止するためには、上記結晶化度は、およそ1%以上
であるのが好ましい。なお予備発泡粒子の結晶化度は、
上記の範囲内でもとくに1〜7%程度であるのが好まし
く、1〜6%程度であるのがさらに好ましい。
【0048】結晶化度(%)は、先に述べた結晶化ピー
ク温度の測定と同様に、示差走査熱量計(DSC)を使
用して、日本工業規格JIS K7121所載の測定方
法に準じて測定した冷結晶化熱量と融解熱量とから、次
式によって求められる。
【0049】
【数1】
【0050】なお式中の、完全結晶PETのモルあたり
の融解熱量は、高分子データハンドブック〔培風館発
行〕の記載から26.9kJとする。具体的には、測定
試料としての所定量の予備発泡粒子をDSCの測定容器
に充てんして、10℃/分の昇温速度で昇温しながら冷
結晶化熱量と融解熱量とを測定し、その測定結果から、
上記式に基づいて予備発泡粒子の結晶化度が求められ
る。
【0051】予備発泡粒子の嵩密度は、当該予備発泡粒
子を型内発泡成形して製造される発泡成形体の密度など
に応じて適宜、調整できるが、通常は、発泡成形体とほ
ぼ等しい嵩密度であるのが好ましい。予備発泡粒子に
は、いろいろな添加剤を添加してもよい。添加剤として
は、発泡剤の他に、たとえば気泡調整剤、難燃剤、帯電
防止剤、着色剤などがあげられる。また、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂の溶融特性を改良するために、グリシジ
ルフタレートのようなエポキシ化合物、ピロメリット酸
二無水物のような酸無水物、炭酸ナトリウムのようなI
a、IIa族の金属化合物などを改質剤として単体、もし
くは二種以上混合して添加することができる。とくにこ
れらの改質剤は、予備発泡粒子の発泡性を改善するだけ
でなく、得られた発泡粒子の独立気泡率を向上するた
め、予備発泡粒子の膨張力を大きくできるので有効であ
る。
【0052】本発明で使用できる発泡剤としては、大別
すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂の軟化点以上の温
度で分解してガスを発生する固体化合物、加熱すると熱
可塑性ポリエステル系樹脂内で気化する液体、加圧下で
熱可塑性ポリエステル系樹脂に溶解させ得る不活性な気
体などに分類されるが、このいずれを用いてもよい。こ
のうち固体化合物としては、たとえばアゾジカルボンア
ミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾ
ルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどがあげられ
る。また気化する液体としては、たとえばプロパン、n
−ブタン、イソブタン、n−ぺンタン、イソペンタン、
へキサンのような飽和脂肪族炭化水素、べンゼン、キシ
レン、トルエンのような芳香族炭化水素、塩化メチル、
フレオン(登録商標)のようなハロゲン化炭化水素、ジ
メチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルの
ようなエーテル化合物などがあげられる。さらに不活性
な気体としては、たとえば二酸化炭素、窒素などがあげ
られる。
【0053】なお予備発泡粒子を、前述したように押出
機を用いて高圧溶融下、発泡剤と混合し、押し出して予
備発泡させたのち、切断して熱可塑性ポリエステル系樹
脂予備発泡粒子を製造する場合には、押出機の口金から
押し出された瞬間に気化して溶融樹脂を発泡させるとと
もに、当該溶融樹脂の熱を奪う発泡剤、たとえば飽和脂
肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを使用するのが
好ましい。これらの発泡剤は、溶融した熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂を冷却する作用をし、予備発泡粒子の結晶
化度を低く抑える効果があるため好ましい。
【0054】また予備発泡粒子には、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の結晶性や結晶化の速度に大きな影響を及ぼ
さない範囲で、たとえばポリプロピレン系樹脂などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系などの熱可塑性エ
ラストマー、ポリカーボネート、アイオノマーなどを添
加してもよい。予備発泡粒子を用いて、発泡成形体とし
てのバンパー用芯材を製造する方法としては、閉鎖しう
るが密閉し得ない金型に予備発泡粒子を充てんし、さら
に加熱媒体としてスチームを導入して型内発泡成形する
方法が好ましい。
【0055】このときの加熱媒体としては、スチーム以
外にも熱風やオイルなどを使用することができるが、効
率的に成形を行う上ではスチームが最も有効である。成
形した発泡成形体は、冷却したのち金型から取り出せば
よい。スチームで型内発泡成形する場合には、前述した
ように汎用の発泡成形機を使用して、通常の成形条件で
発泡成形すればよい。すなわち予備発泡粒子を金型へ充
てんした後、まず低圧〔たとえばゲージ圧0.04MP
a程度〕で一定時間、スチームを金型内ヘ吹き込んで、
粒子間のエアーを外部ヘ排出する。ついで、吹き込むス
チームの圧を昇圧〔たとえば0.08MPa程度〕し
て、予備発泡粒子を型内発泡させるとともに粒子同士を
融着せしめて発泡成形体とすることができる。
【0056】また予備発泡粒子を、あらかじめ密閉容器
に入れて、炭酸ガス、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを
圧入した後、金型での型内発泡成形に使用する直前ま
で、圧入したガスの雰囲気下に保持することで、予備発
泡粒子の、金型での型内発泡成形時の膨張力をより大き
くして、良好な発泡成形体を得ることもできる。かくし
て得られた発泡成形体における、粒子同士の融着性の基
準となる融着率は40%以上、とくに50%以上、なか
んずく60%以上であるのが好ましく、融着率がこの範
囲で、格別に優れた融着性を示すといえる。
【0057】またその結晶化度は、とくに高温環境下で
の寸法安定性などを考慮すると、およそ20〜40%程
度であるのが好ましい。結晶化度が20%未満である
か、または40%を超えるものは、このいずれの場合に
も、温度変化による熱収縮が大きくなって、変形やそり
などを発生するおそれが生じる。また結晶化度が40%
を超えるものは脆くなって、前記のように必要とする強
度が得られないという問題も生じる。
【0058】発泡成形体の結晶化度を上記範囲内の所定
の値に調整するには、種々の方法を採用することができ
る。たとえば、発泡成形後の発泡成形体の結晶化度が目
的とする値よりも低い場合には、発泡成形体を金型から
すぐに取り出さずにしばらくの間、金型内で保持して熱
処理することなどによって結晶化度を上昇させてやれば
よい。
【0059】また、発泡成形直後の発泡成形体の結晶化
度が目的とする値と近い場合には、金型を急冷するなど
して結晶化度の上昇を抑制してやればよい。発泡体の結
晶化度は、先に述べた予備発泡粒子の結晶化度と同じ
く、日本工業規格JIS K7121所載の測定方法に
準じて測定した冷結晶化熱量と融解熱量とから求められ
る。
【0060】発泡成形体としてのバンパー用芯材は、バ
ンパーに使用したのち分解、回収して、予備発泡粒子な
どとして再利用することが可能である。使用済みの発泡
成形体をこのように再利用することにより、資源の有効
な再利用化とゴミの減量化に貢献できるとともに、発泡
成形体の低コスト化を図ることもできる。
【0061】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて、この発明の
すぐれている点を具体的に説明する。なお、予備発泡粒
子とそれを用いて製造した発泡成形体の結晶化度は、前
述したように日本工業規格JIS K7121所載の測
定方法に準じて測定した結果より求めた。
【0062】また密度は、下記の方法で測定した。 密度の測定 日本工業規格JIS K6767に所載の方法に準拠し
て、次式により、予備発泡粒子の嵩密度(g/c
3)、および発泡成形体の密度(g/cm3)を求め
た。
【0063】
【数2】
【0064】また、以下の実施例、比較例で製造したバ
ンパー用芯材のサンプルとしての発泡成形体について、
下記の試験を行って、その特性を評価した。 5%圧縮強度の測定 日本工業規格JIS A9511に所載の方法に準拠し
て、各実施例、比較例の発泡成形体の、環境温度−20
〜+50℃の温度範囲での、5%圧縮強度(kg/cm
2)を測定するとともに、その最小値S1と最大値S2
から、比S2/S 1を求めた。
【0065】熱収縮の測定 日本工業規格JIS K6767に所載の方法に準拠し
て、各実施例、比較例の発泡成形体の、80℃×24時
間、100℃×24時間、120℃×24時間、および
150℃×24時間の加熱による100mmあたりの熱
収縮が何mmとなるかを測定した。
【0066】融着率の測定 各実施例、比較例の発泡成形体を折り曲げて厚み方向に
破断させたのち、破断面に存在する全ての発泡粒子の個
数と、そのうち粒子自体が材料破壊した発泡粒子の個数
とを計数した。そして次式により、粒子同士の融着性の
基準となる融着率(%)を求めた。
【0067】
【数3】
【0068】実施例1 回収ペットボトルを再生したポリエチレンテレフタレー
ト樹脂ペレット75重量部と、イソフタル酸成分を含有
する、結晶化のスピードが抑制された熱可塑性ポリエス
テル系樹脂〔イソフタル酸の含有割合:7.3重量%、
結晶化ピーク温度153.9℃、IV値0.72〕25
重量部と、ピロメリット酸二無水物0.3重量部と、炭
酸ソーダ0.03重量部とを押出機〔口径:65mm、
L/D比:35〕に供給し、スクリューの回転数50r
pm、バレル温度270〜290℃の条件で溶融、混合
ながら、バレルの途中に接続した圧入管から、発泡剤と
してのブタン(n−ブタン/イソブタン=7/3)を、
混合物に対して1.1重量%の割合で圧入した。
【0069】つぎに、溶融状態の混合物を、バレルの先
端に接続したマルチノズル金型〔直線上に、直径0.8
mmのノズルが15個、配置されたもの〕の、各ノズル
を通して押し出して予備発泡させたのち、直ちに20℃
に保持した冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたス
トランド状の発泡体に付着した水を十分に除去しながら
ペレットカッターによって切断して予備発泡粒子を製造
した。嵩密度は0.14g/cm3であった。
【0070】つぎにこの予備発泡粒子を耐圧密閉容器に
入れ、二酸化炭素を導入して容器内を0.5MPa(ゲ
ージ圧)に加圧して、常温で2時間保持したのち、発泡
粒子を密閉容器から取り出して発泡槽内に入れ、空気を
混合したスチームを導入して、発泡槽内の温度を60〜
70℃に保って120秒間、再発泡させた。ここで得ら
れた予備発泡粒子は直径2.5mm、長さ2.5mmの
略円柱状であり、嵩密度は0.06g/cm3、結晶化
度は7.4%であった。
【0071】つぎにこの予備発泡粒子を耐圧密閉容器に
入れ、圧縮空気を導入して容器内を0.5MPa(ゲー
ジ圧)に加圧して、常温で5時間保持したのち、密閉容
器から取り出した予備発泡粒子を直ちに、300mm×
400mm×20mmの発泡成形体を製造するための金
型に充てんして型締めし、この型内に、ゲージ圧0.0
4MPaのスチームを15秒間、ついでゲージ圧0.0
8MPaのスチームを20秒間、導入して予備発泡粒子
を加熱膨張させると同時に融着させた。
【0072】スチーム導入終了直後の、発泡成形体に接
する金型の表面温度を測定したところ117℃であっ
た。そしてこの状態で120秒間、保持(金型の表面温
度は103℃まで低下)したのち水冷して、前記寸法、
形状を有する発泡成形体を製造した。得られた発泡成形
体の密度は0.06g/ml、結晶化度は表皮部で2
7.9%、中心部で29.2%であった。また融着率は
78%と良好な融着性を示した。
【0073】また、発泡成形体の5%圧縮強度は下記の
とおりであり、その最小値S1と最大値S2とから求めた
比S2/S1は1.25であって、温度に関係なくほぼ一
定の衝撃吸収性能を有することが確認された。 (5%圧縮強度) −20℃:2.5kg/cm2 0℃:2.3kg/cm2 23℃:2.1kg/cm2 50℃:2.0kg/cm2 また100mmあたりの熱収縮は下記のとおりであり、
寸法安定性にすぐれていることが確認された。 (100mmあたりの熱収縮) 80℃×24時間:0.2mm 100℃×24時間:0.5mm 120℃×24時間:0.7mm 150℃×24時間:0.7mm そこで、上記の発泡成形体にてバンパー用芯材を形成
し、それを用いてバンパーを作製したところ、温度に関
係なくほぼ一定の衝撃吸収性能を有する上、芯材の寸法
安定性がよいために、変形やそりなどを発生しにくいこ
とが確認された。
【0074】実施例2 回収ペットボトルを再生したポリエチレンテレフタレー
ト樹脂ペレット75重量部と、イソフタル酸成分を含有
する、結晶化のスピードが抑制された熱可塑性ポリエス
テル系樹脂〔イソフタル酸の含有割合:7.3重量%、
結晶化ピーク温度153.9℃、IV値0.72〕25
重量部と、ピロメリット酸二無水物0.3重量部と、炭
酸ソーダ0.03重量部とを、実施例1で使用したのと
同じ押出機〔口径:65mm、L/D比:35〕に供給
し、スクリューの回転数50rpm、バレル温度270
〜290℃の条件で溶融、混合ながら、バレルの途中に
接続した圧入管から、発泡剤としてのブタン(n−ブタ
ン/イソブタン=7/3)を、混合物に対して1.2重
量%の割合で圧入した。
【0075】つぎに、溶融状態の混合物を、バレルの先
端に接続したマルチノズル金型〔直線上に、直径0.8
mmのノズルが15個、配置されたもの〕の、各ノズル
を通して押し出して予備発泡させたのち、直ちに20℃
に保持した冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたス
トランド状の発泡体に付着した水を十分に除去しながら
ペレットカッターによって切断して予備発泡粒子を製造
した。
【0076】得られた予備発泡粒子は長径2.0mm、
短径1.5mm、長さ2.0mmの楕円柱状であり、嵩
密度は0.12g/cm3、結晶化度は4.9%であっ
た。つぎにこの予備発泡粒子を耐圧密閉容器に入れ、圧
縮空気を導入して容器内を0.5MPa(ゲージ圧)に
加圧して、常温で5時間保持したのち、密閉容器から取
り出した予備発泡粒子を直ちに、バンパー用芯材のモデ
ルとしての、300mm×400mm×20mmの発泡
成形体を製造するための金型に充てんして型締めし、こ
の型内に、ゲージ圧0.04MPaのスチームを15秒
間、ついでゲージ圧0.08MPaのスチームを20秒
間、導入して予備発泡粒子を加熱膨張させると同時に融
着させた。
【0077】スチーム導入終了直後の、発泡成形体に接
する金型の表面温度を測定したところ118℃であっ
た。そしてこの状態で180秒間、保持(金型の表面温
度は102℃まで低下)したのち水冷して、前記寸法、
形状を有する発泡成形体を製造した。得られた発泡成形
体の密度は0.12g/ml、結晶化度は表皮部で2
7.7%、中心部で28.5%であった。また融着率は
82%と良好な融着性を示した。
【0078】また、発泡成形体の5%圧縮強度は下記の
とおりであり、その最小値S1と最大値S2とから求めた
比S2/S1は1.17であって、温度に関係なくほぼ一
定の衝撃吸収性能を有することが確認された。 (5%圧縮強度) −20℃:5.3kg/cm2 0℃:5.3kg/cm2 23℃:5.5kg/cm2 50℃:4.7kg/cm2 また100mmあたりの熱収縮は下記のとおりであり、
寸法安定性にすぐれていることが確認された。 (100mmあたりの熱収縮) 80℃×24時間:0.2mm 100℃×24時間:0.4mm 120℃×24時間:0.5mm 150℃×24時間:0.6mm 上記の発泡成形体にてバンパー用芯材を形成し、それを
用いてバンパーを作製したところ、やはり温度に関係な
くほぼ一定の衝撃吸収性能を有する上、芯材の寸法安定
性がよいために、変形やそりなどを発生しにくいことが
確認された。
【0079】比較例1 発泡倍率20倍の発泡ポリプロピレンにて、実施例1と
同形状、同寸法の発泡成形体を製造した。そしてその5
%圧縮強度を測定したところ下記のとおりであり、その
最小値S1と最大値S2とから求めた比S2/S1は3.1
1であって、温度変化に応じて衝撃吸収性能が大きく変
動することが判明した。 (5%圧縮強度) −20℃:5.6kg/cm2 0℃:3.7kg/cm2 23℃:2.7kg/cm2 50℃:1.8kg/cm2 また100mmあたりの熱収縮は下記のとおりであり、
寸法安定性が悪いことがわかった。 (100mmあたりの熱収縮) 80℃×24時間:−0.1mm(熱膨張) 100℃×24時間:0.4mm 120℃×24時間:1.9mm 150℃×24時間:3.4mm 上記の発泡成形体にてバンパー用芯材を形成し、それを
用いてバンパーを作製したところ、温度変化に応じて衝
撃吸収性能が変動し、しかも芯材の寸法安定性が悪いた
めに変形やそりなどを発生しているのが確認された。
【0080】以上の結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
温度に関係なくほぼ一定の性能を有するバンパー用芯材
と、それを用いたバンパーとを提供できるという特有の
効果を奏する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂の発泡体からなり、環境温度−2
    0〜+50℃の温度範囲での、5%圧縮強度の最小値S
    1と最大値S2との比S2/S1が3以下であることを特徴
    とするバンパー用芯材。
  2. 【請求項2】発泡体を、150℃で24時間加熱した際
    の熱収縮が100mmあたり1mm以下である請求項1
    記載のバンパー用芯材。
  3. 【請求項3】熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒
    子を型内発泡成形した発泡成形体にて形成されており、
    その結晶化度が20〜40%、融着率が40%以上であ
    る請求項1または2記載のバンパー用芯材。
  4. 【請求項4】熱可塑性ポリエステル系樹脂が、その全成
    分中に、イソフタル酸、およびシクロヘキサンジメタノ
    ールからなる群より選ばれた少なくとも1種の成分を、
    総量で0.5〜10重量%の範囲で含有するものである
    請求項3記載のバンパー用芯材。
  5. 【請求項5】熱可塑性ポリエステル系樹脂の少なくとも
    一部が、使用済みの製品から回収した再生樹脂である請
    求項3または4記載のバンパー用芯材。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載のバン
    パー用芯材と、当該バンパー用芯材を被包する表皮材と
    を備えることを特徴とするバンパー。
JP11198019A 1999-07-12 1999-07-12 バンパー用芯材とそれを用いたバンパー Pending JP2001018247A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002333047A (ja) * 2001-05-09 2002-11-22 Hitachi Chem Co Ltd 自動車用衝撃吸収材
JP2012025347A (ja) * 2010-07-27 2012-02-09 Sekisui Plastics Co Ltd 自動車用外装材
JP2015178553A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 積水化成品工業株式会社 芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法、及び成形体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002333047A (ja) * 2001-05-09 2002-11-22 Hitachi Chem Co Ltd 自動車用衝撃吸収材
JP2012025347A (ja) * 2010-07-27 2012-02-09 Sekisui Plastics Co Ltd 自動車用外装材
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