JP6133807B2 - 芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法、及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ポリエステル系樹脂を発泡させることにより得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子、及び該芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。また、本発明は、上記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を用いた成形体に関する。
芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子及びそれを用いた成形体は、耐熱性、断熱性及び緩衝性に優れている。このため、上記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を用いた成形体は、輸送用包装部材や自動車部材等に用いられている。近年、輸送用包装部材や自動車部材の分野では、省エネルギー化等の観点から、軽量化が進められている。芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子及びそれを用いた成形体でも、軽量化、即ち低密度化が求められている。
上記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の一例として、下記の特許文献1には、押出により得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡体を裁断することで得られ、嵩密度が0.01〜1.0g/cmである芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が開示されている。
下記の特許文献2には、ストランド状に押し出すことで得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡体を裁断した芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を用いて、該芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子に加圧気体を含浸させた後に、加圧気体が含浸された芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を加熱し、再発泡させることで得られ、嵩密度が0.02〜0.06g/cmである芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が開示されている。
特許第3619154号公報 特許第3640596号公報
特許文献1に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子は、押出により得られる発泡体を裁断して得られている。このため、裁断された発泡粒子は、角張った形状にならざるを得ず、例えば略円柱状、角状又はチップ状にならざるを得ない。成形時の充填性を高める観点からは、発泡粒子が角張った形状を有することは好ましくない。特許文献1に記載の発泡粒子は、その形状に問題があると言える。
また、特許文献2では、芳香族ポリエステル系樹脂を用いて得られ、略円柱状である一次発泡粒子を再発泡させることで、より丸みを帯びた形状としている。丸みを帯びた形状の発泡粒子とすることで、充填性を改善することができる。しかし、特許文献2では、得られる発泡粒子の嵩密度は小さくても0.02g/cmに留まる。特許文献2では、発泡粒子の嵩密度は0.02g/cmよりも小さくされておらず、そのような小さな嵩密度は達成されていない。特許文献2に記載の発泡粒子では、軽量性の観点からより低密度な発泡粒子が求められている現状に、充分に対応することができない。
本発明の目的は、軽量であり、かつ、成形性にも優れている芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子、及び該芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法を提供することである。また、本発明の限定的な目的は、より丸みを帯びた芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子、及び該芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法を提供することである。また、本発明は、上記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を用いた成形体を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させた後、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させることにより得られ、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下であり、真球度が0.7以上である、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が提供される。
本発明の広い局面によれば、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させる含浸工程と、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させて、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下である芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を得る再発泡工程とを備え、得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の真球度が0.7以上であるか、又は、前記再発泡工程において、再発泡前の前記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が丸みを帯びるように、前記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を、加熱して再発泡させる、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法のある特定の局面では、真球度が0.7以上である芳香族ポリステル系樹脂発泡粒子を得る。本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法の他の特定の局面では、前記再発泡工程において、芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度を超える温度に加熱することにより再発泡を行った後に、芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以下まで冷却する際に、再発泡温度未満、ガラス転移温度以上の温度領域で60秒以上かけて冷却を行なう。
本発明のある特定の局面では、前記一次発泡粒子の嵩密度が0.08g/cm以上、0.15g/cm以下である。本発明の他の特定の局面では、前記芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度が130℃以上、180℃以下である。
本発明の広い局面によれば、上述した芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を、雄型と雌型とで閉鎖されたキャビティ内に充填した状態で、前記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を型内成形することにより得られる、成形体が提供される。
前記成形体は、輸送機用部材又は緩衝用部材として好適に用いられる。
本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子は、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させた後、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させることにより得られ、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下であり、真球度が0.7以上であるので、軽量であり、かつ、成形性を高めることができる。
本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法は、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させる含浸工程と、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させて、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下である芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を得る再発泡工程とを備えており、更に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の真球度が0.7以上であるか、又は、上記再発泡工程において、再発泡前の上記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が丸みを帯びるように、上記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させるので、軽量であり、かつ、成形性にも優れている芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を得るために用いられる一次発泡粒子の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子及びその製造方法)
本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子(以下、発泡粒子と略記することがある)では、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子を用いる。この一次発泡粒子は、芳香族ポリエステル系樹脂により形成されており、発泡している粒子である。この一次発泡粒子は、再発泡により得られる発泡粒子と区別するために、一次発泡粒子と呼ぶ。なお、再発泡により得られる発泡粒子は、再発泡粒子と呼ぶこともできる。
本発明に係る発泡粒子は、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させた後、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させることにより得られる。本発明に係る発泡粒子は、一次発泡粒子を再発泡させることにより得られるため、一次発泡粒子の嵩密度よりも低い嵩密度を有する。本発明に係る発泡粒子の嵩密度は0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下であり、比較的小さい。本発明に係る発泡粒子の真球度は、0.7以上であり、比較的高い。
本発明に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子(発泡粒子)の製造方法では、上述した本発明に係る発泡粒子を得ることが可能である。本発明に係る発泡粒子の製造方法は、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させる含浸工程と、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を、加熱して再発泡させる再発泡工程とを備える。本発明に係る発泡粒子の製造方法では、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下である発泡粒子を得る。本発明に係る発泡粒子の製造方法では、嵩密度が比較的低い発泡粒子を得る。
また、本発明に係る発泡粒子の製造方法は、1)得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の真球度が0.7以上であるか、又は、2)上記再発泡工程において、再発泡前の上記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が丸みを帯びるように、上記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させる。本発明に係る発泡粒子の製造方法では、上記1)の構成が備えられてもよく、上記2)の構成が備えられていてもよい。上記1)の構成と上記2)の構成との双方が備えられることが好ましい。
本発明に係る発泡粒子及び本発明に係る発泡粒子の製造方法では、上述した構成が備えられているので、軽量であり、かつ成形性にも優れている発泡粒子を提供できる。本発明に係る発泡粒子及び本発明に係る発泡粒子の製造方法により得られる発泡粒子が、より丸みを帯びていたり、より高い真球度を有していたりすることで、成形性がより一層高くなる。
2)上記再発泡工程において、再発泡前の上記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が丸みを帯びるように、上記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させる構成は、2’)上記再発泡工程において、再発泡前の上記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の真球度が高くなるように、上記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させる構成であることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の一例を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を得るために用いられる一次発泡粒子の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子1は、丸みを帯びており、真球度が高い。図1に示す芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子1は、図2に示す一次発泡粒子11を再発泡させることにより得ることができる。図1,2に示すように、再発泡前の一次発泡粒子11よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子1の方が、丸みを帯びている。再発泡前の一次発泡粒子11よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子1の方が、真球度が高い。
以下、本発明に係る発泡粒子及び本発明に係る発泡粒子の製造方法をより具体的に説明する。
[一次発泡粒子及びその製造方法]
本発明では、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子が用いられる。本発明に係る発泡粒子の製造方法では、予め用意された芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子を用いてもよく、芳香族ポリエステル系樹脂を用いて、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子を得る一次発泡工程が行われてもよい。
芳香族ポリエステル系樹脂として、従来公知の種々の芳香族ポリエステル系樹脂がいずれも、使用可能である。ただし、芳香族ポリエステル系樹脂の中には、加熱により結晶化しやすい樹脂がある。結晶化しやすい芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子では、再発泡時に結晶化が進行し、再発泡が阻害され、十分に低密度な発泡粒子を得ることが困難になる可能性がある。従って、芳香族ポリエステル系樹脂として、結晶化速度が抑えられた樹脂、すなわち、下記結晶化ピーク温度を有する樹脂が好ましい。
再発泡時の発泡性を一層高める観点からは、芳香族ポリエステル系樹脂及び一次発泡粒子の結晶化ピーク温度は好ましくは130℃以上、より好ましくは132℃以上、更に好ましくは135℃以上、好ましくは180℃以下、より好ましくは175℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸、及びジオール(ジオール化合物)の組成を変更して、樹脂の分子構造を制御することにより、上記結晶化ピーク温度を上記下限以上及び上記上限以下とすることが容易である。
結晶化ピーク温度を好適な範囲に制御することが容易であるジカルボン酸及びジオールとしては、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
例えば、ジカルボン酸としてイソフタル酸を用いたり、ジオールとして1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたりする場合には、イソフタル酸から誘導されるユニット(IPAユニット)又は1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導されるユニット(CHDMユニット)の、芳香族ポリエステル系樹脂中での含有割合は、好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下である。例えば、ジカルボン酸としてイソフタル酸を用いかつジオールとして1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いる場合には、IPAユニットとCHDMユニットとの、芳香族ポリエステル系樹脂中での合計の含有割合は、好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下である。
イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等と共に芳香族ポリエステル系樹脂を構成する他の成分のうち、ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸及びフタル酸等が挙げられる。
ジオールとしては、例えばエチレングリコール、α−ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール)、β−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、2,3−ブチレングリコール(2,3−ブタンジオール)、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂の原料として、上記の各成分に加え、例えば酸成分として、三価以上の多価カルボン酸やその無水物を用いたり、アルコール成分として三価以上の多価アルコールを用いたりしてもよい。これらの成分は、芳香族ポリエステル系樹脂の結晶性や結晶化速度などに影響を及ぼさない範囲で少量含有させてもよい。三価以上の多価カルボン酸としては、トリメット酸などのトリカルボン酸、及びピロメリット酸などのテトラカルボン酸等が挙げられる。三価以上の多価アルコールとしては、グリセリンなどのトリオール(トリオール化合物)、及びペンタエリスリトールなどのテトラオール(テトラオール化合物)等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂は、再生樹脂(リサイクル樹脂)であってもよい。使用済みのペットボトルから回収、再生した芳香族ポリエステル系樹脂を用いてもよい。再資源化した芳香族ポリエステル系樹脂の使用は、資源を有効に活用し、ごみを減らして環境負荷を低減し、かつ、発泡粒子及び成形体のコストを低くすることに寄与する。
芳香族ポリエステル系樹脂を高圧溶融下、発泡剤と混合して、発泡させることにより、一次発泡粒子を得ることができる。一次発泡粒子を製造する方法は、押出機を用いた押出発泡法が好ましい。押出機は特に限定されず、単独押出機及び二軸押出機等が使用可能である。押出機は、複数の押出機を連結したタンデム型であってもよい。十分な溶融及び混合能力を有する押出機が好ましい。押出機の口金として、ノズル金型を用いることが好ましく、特に複数のノズルが配置されたマルチノズル口金を用いることが好ましい。押出発泡させて得られた発泡体の冷却方法としては、空冷方法、水冷方法、並びに温度調整された冷却装置に接触させる方法等が挙げられる。これら以外の冷却方法を用いてもよい。押出機を用いて製造されたストランド形状の発泡体を、ペレタイザーなどを用いて粒子の形状に切断することで、一次発泡粒子が得られる。
一次発泡粒子の嵩密度は、好ましくは0.08g/cm以上、好ましくは0.15g/cm以下である。一次発泡粒子の嵩密度が上記下限以上及び上記上限以下であると、再発泡性がより一層良好になり、再発泡が効率的に進行し、かつ再発泡後の発泡粒子の嵩密度をより一層低くすることが容易である。再発泡性のよい一次発泡粒子を用いれば、より丸みを帯びた発泡粒子、及び真球度がより一層高い発泡粒子を得ることが容易である。
芳香族ポリエステル系樹脂を高圧溶融下、発泡剤と混合して、発泡させて、一次発泡粒子を製造する際等には、溶融張力改質剤を用いてもよい。溶融張力改質剤としては、グリシジルフタレートなどのエポキシ化合物、ピロメリット酸二無水物などの酸無水物、炭酸ナトリウムなどの1a族又は2a族の金属化合物、並びに炭酸エステル化合物等が挙げられる。溶融張力改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
溶融張力改質剤の使用量は、溶融張力改質剤の種類などにより適宜調整することができる。芳香族ポリエステル系樹脂100重量部に対して、溶融張力改質剤の使用量は好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.06重量部以上、好ましくは1.0重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。溶融張力改質剤の使用量が上記下限以上及び上記上限以下であると、一次発泡粒子の嵩密度を良好な範囲に制御することが容易である。
芳香族ポリエステル系樹脂と溶融張力改質剤とは、これらを所定の割合で溶融及び混錬して用いてもよく、これらの混合原料を押出機に投入してもよい。また、一次発泡粒子の製造状況を確認しながら、その溶融張力を微調整できることから、芳香族ポリエステル系樹脂と溶融張力改質剤とを溶融及び混錬せずに、これらの原料を別々に押出機に投入してもよい。
押出発泡する際に、様々な添加剤を添加することができる。添加剤としては、発泡剤、気泡調整剤、難燃剤、帯電防止剤及び着色剤等が挙げられる。気泡調整剤としては、タルクやポリテトラフロオロエチレンが好適である。
発泡剤としては、大別すると、芳香族ポリエステル系樹脂の軟化点以上の温度で分解してガスを発生する化学発泡剤、物理発泡剤、及び不活性気体等が挙げられる。
化学発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾルジカルボンアミド、及び重炭酸ナトリウム等が挙げられる。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及びヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、塩化メチル及びフレオン(登録商標)などのハロゲン化炭化水素、並びにジメチルエーテル及びメチル−tert−ブチルエーテルなどのエーテル化合物等が挙げられる。不活性気体としては、例えば二酸化炭素及び窒素等が挙げられる。押出発泡時の発泡性、環境への影響、取り扱い性等を考慮すると、飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又は二酸化炭素が好ましい。
一次発泡粒子に使用する芳香族ポリエステル系樹脂に、芳香族ポリエステル系樹脂の結晶性や結晶化速度に大きな影響を与えない範囲で、例えばポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系などの芳香族エラストマー、ポリカーボネート、又はアイオノマーなどを添加してもよい。
[発泡粒子及びその製造方法の他の詳細]
上記の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させる(含浸工程)。含浸工程の後、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させる(再発泡工程)。この含浸工程及び再発泡工程を経て、発泡粒子が得られる。
上記含浸工程では、一次発泡粒子を密閉容器内に入れ、炭酸ガス、窒素又はヘリウム等の常温常圧において気体である無機ガスの少なくとも1種を用いて、加圧して、一次発泡粒子にガスを含浸させることが好ましい。密閉容器内のガスは、一次発泡粒子の製造に影響のない範囲で、極少量の有機ガスを含んでもよい。
含浸させる際の圧力は、ゲージ圧で、好ましくは0.1MPa以上、好ましくは10MPa以下である。圧力が0.1MPa以上であると、ガスの含浸が短時間で進行し、加圧気体が含浸された一次発泡粒子の製造効率がより一層高くなる。圧力が10MPaを超えると、含浸促進効果がさほど向上しにくくなると共に、一次発泡粒に皺が発生するようになる。
含浸させる際の圧力は、ゲージ圧で、より好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは7MPa以下、更に好ましくは1MPa以下である。圧力が上記下限以上及び上記上限以下であると、ガスを一次発泡粒子により一層効率的かつ良好に含浸させることができる。また、圧力が1MPa以下であると、比較的簡易な構造の含浸設備を用いることができるため、含浸設備を安価で量産可能な設備とすることができる。
含浸時間は、ガスの種類により適宜調整することができる。含浸時間は、好ましくは15分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下、更に好ましくは12時間以下である。含浸時間が上記下限以上であると、一次発泡粒子に十分な再発泡性が付与される。含浸時間が上記上限以下であると、生産効率がより一層高くなる。
上記再発泡工程では、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を再発泡させる。再発泡時の加熱温度は、好ましくは55℃以上、好ましくは170℃以下である。加熱温度が上記下限未満であると、再発泡の速度が遅く、発泡粒子が好ましい嵩密度に到達する前に含浸されたガスが散逸しやすくなる。結果的に、目的とする発泡倍数を有する発泡粒子を得ることが困難になる傾向がある。加熱温度が上記上限を超えると、再発泡の速度が速く、発泡粒子の気泡が破れ、発泡粒子の収縮を引き起こしやすくなる。結果的に、目的とする発泡倍数を有する発泡粒子を得ることが困難になる傾向がある。加熱温度の好ましい範囲は上記の通りであるが、70℃を超える温度で加熱を行う場合には、発泡粒子同士の合着を防ぐことができるので、加圧気体が含浸された一次発泡粒子に合着防止剤を塗布することが望ましい。
再発泡を行う設備として、例えば再発泡槽を備えたバッチ式の設備を使用する場合には、再発泡槽の高さの50%より下の位置で、再発泡工程における温度計測を行うことが好ましい。
加熱時間は好ましくは12分以下である。加熱時間が12分以下であると、加圧気体が含浸された一次発泡粒子の表面のセル破壊及び表面の荒れ等が発生しにくい。
再発泡時の加熱媒体としては、熱風、温水、水蒸気、加熱オイル及び加熱ガス等が挙げられる。加熱及び再発泡後の取り扱い性を高め、再発泡をより一層効率的に進行させる観点からは、水蒸気、又は乾燥熱風を含む加熱媒体が好ましい。
再発泡工程において、再発泡した発泡粒子を取り出す前に、発泡粒子は冷却される。再発泡工程において、芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度を超える温度に加熱することにより再発泡を行った後に、芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以下まで冷却することが好ましい。本発明では、この冷却工程も、再発泡工程の一部とする。
本発明における冷却工程は、一定の割合でガラス転移温度以下まで温度低下させてもよいし、必ずしも一定の割合でガラス転移温度以下まで温度低下させなくてもよい。後者の場合には、例えば、再発泡温度未満、ガラス転移温度以上の温度領域で温度を低下させるように、冷却を行ってもよい。この場合、再発泡温度未満、ガラス転移温度以上の温度領域にて60秒以上かけて冷却を行うことが好ましい。冷却時に、再発泡温度未満、ガラス転移温度以上の温度領域で、60秒以上保持されることが好ましい。こうすることで、再発泡直後の気泡内圧力の低下を緩和することができ、冷却速度を調節した場合と同様に発泡粒子の収縮が防止され、より一層丸みを帯び、発泡粒子の真球度がより一層高く、嵩密度の低い発泡粒子を得ることができる。冷却は、段階的に行ってもよく、連続的に行ってもよい。
本発明における冷却工程において、一定の割合でガラス転移温度以下まで温度低下させる場合、芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以下まで冷却する際の冷却速度は、好ましくは1.0℃/秒以下、より好ましくは0.1℃/秒以下である。このような低速度で冷却を行うことが好ましい。一般に、空冷すると、冷却速度はこのような低速度にはならない。空冷よりも冷却速度が遅くなるように、冷却速度を制御することが好ましい。このような低速度で冷却を行うと、気泡内圧力の急低下に伴う収縮が生じ難くなり、発泡粒子がより一層丸みを帯び、発泡粒子の真球度がより一層高くなり、発泡粒子の嵩密度が効果的に低くなる。冷却速度の下限は特に限定されない。発泡粒子の製造効率を高める観点からは、冷却速度は、好ましくは0.01℃/秒以上である。
本発明では、含浸工程及び再発泡工程はそれぞれ、複数回繰返し行ってもよく、3回以上繰返し行ってもよい。例えば、一次発泡粒子を用いて発泡粒子を得るために、第1の含浸工程、第1の再発泡工程、第2の含浸工程、及び第2の再発泡工程を行ってもよい。目的とする発泡粒子の嵩密度、成形体の発泡倍数、並びに発泡粒子及び成形体の品質などによって、含浸工程及び再発泡工程の回数を適宜選択することができる。
発泡粒子の嵩密度は0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下である。より一層軽量になることから、発泡粒子の嵩密度は好ましくは0.0184g/cm以下である。成形体の強度がより一層高くなることから、発泡粒子の嵩密度は好ましくは0.0115g/cm以上である。
発泡粒子の真球度は好ましくは0.70以上、より好ましくは0.72以上、更に好ましくは0.75以上である。成形性をより一層高める観点からは、真球度は高いほどよい。
(成形体)
上記発泡粒子を成形することにより、成形体を得ることができる。この成形体は、発泡成形体である。この成形体は、型内発泡成形体であることが好ましい。
上記発泡粒子を用いて成形体(発泡成形体)を製造する方法としては、発泡粒子を、雄型と雌型とで閉鎖されたキャビティ内に充填した状態で、上記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を型内成形する方法が挙げられる。雄型と雌型とを閉鎖して形成されたキャビティに発泡粒子を充填し、さらに加熱媒体としてスチームを導入して型内発泡成形する方法が好ましい。加熱媒体としては、熱風又はオイル等を用いてもよい。効率的に成形を行なう観点からは、スチームが最も有効である。
成形した型内発泡成形体は、金型内で冷却した後に取り出すことが好ましい。スチームで型内発泡成形する場合には、発泡粒子を金型内へ充填した後、まず低圧(例えば0.01MPa程度:ゲージ圧)で一定時間、スチームを内へ吹き込んで、粒子間のエアーを外部へ排出する。ついで、吹き込むスチームの圧を昇圧(例えば0.02MPa程度:ゲージ圧)して、発泡粒子を型内発泡させると共に、粒子同士を融着、又は圧着させて成形体を得ることができる。
発泡粒子を密閉容器に入れ、炭酸ガス、窒素又はヘリウム等の不活性ガスを圧入した後、発泡成形に使用する直前まで、圧入したガスの雰囲気下を保持することで、発泡粒子の金型内での型内発泡成形時の膨張力をより一層大きくして、良好な発泡成形体を得てもよい。
丸みを帯びていたり、真球度が高かったりする発泡粒子を用いることで、型内発泡成形機への充填性が高くなる。この結果、充填不良による外観不良の発生頻度が低くなり、効率的に型内成形体を得ることができる。特に、表面にへこみが少ない成形体が得られる。
成形体を用途に応じた大きさに切断し、不要となった成形体部分を回収した後、回収物を切断又は粉砕することによって、発泡粒子として再利用することができる。また、使用済の成形体も同様に再利用することができる。成形体を再利用することにより、ゴミの減量化に貢献できると共に、成形体のコストを低くすることができる。
成形体は、車両用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車両用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の各種用途に用いることができる。特に、成形体は、輸送機用部材又は緩衝用部材として好適に用いられ、車輛用緩衝材としてより好適に用いられる。
以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)一次発泡粒子の作製
芳香族ポリエステル系樹脂を含む混合原料として、ポリエチレンテレフタレート(三井化学社製「SA−135」)75重量部とユニチカ社製「MA−1344」25重量部とに対し、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量60重量%、タルク含有量40重量%、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度:0.88)1.5重量部を混合した混合原料を用意した。
上記芳香族ポリエステル系樹脂を含む混合原料100重量部に対し、無水ピロメリット酸0.30重量部を混合した混合物を押出機(口径:65mm、L/D比:35)に投入し、スクリュー回転数26rpm及びバレル温度270〜290℃の条件で溶融、混錬し、バレルの途中から、発泡剤であるブタン(n−ブタン/イソブタン=7/3)を混合物100重量部に対して、1.0重量部の割合で圧入した。
次に、バレルの先端に接続したマルチノズル金型(直線状に、孔径0.7mmのノズルが21個配列)の各ノズルを通して、溶融状態の混合物を押し出し、発泡させた後、ペレタイザーの引き取り装置により引き取り、冷却水槽で冷却した。
冷却されたストランド状発泡体を十分に水切りした。その後、ペレタイザーを用いて、ストランド状発泡体を略円柱状の粒子に切断して、芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子を作製した。得られた一次発泡粒子の嵩密度は0.13g/cm、真球度は0.65、結晶化ピーク温度は137℃、ガラス転移温度は76℃であった(評価方法は後に記載)。
(2)発泡粒子の作製
得られた一次発泡粒子を耐圧密閉容器に入れ、窒素ガスを1.0MPaの圧力で圧入して24時間保持した。その後、密閉容器から粒子を取り出し、合着防止剤である炭酸カルシウムを一次発泡粒子100重量部に対し1重量部添加した。次に、攪拌羽根のついた再発泡装置中で、水蒸気を加熱媒体として装置内温度140℃及び加熱時間10秒の条件で加熱を行った。加熱完了後に、0.1℃/秒の速度で140℃からガラス転移温度まで冷却を行い(冷却時間:640秒)、引き続き室温まで同速度で冷却を行い、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の密度は0.0150g/cm、真球度は0.72であった(評価方法は後に記載)。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。
(3)成形体の作製
得られた発泡粒子を1MPaの窒素雰囲気下で24時間静置した後、速やかに雄型と雌型とを閉鎖して形成されたキャビティ(内法寸法300mm×400mm×30mm)内に充填した。その後、雌型からキャビティ内に、ゲージ圧0.01MPaのスチームを5秒、雄型キャビティ内にゲージ圧0.01MPaのスチームを5秒、次いで両金型からキャビティ内にゲージ圧0.02MPaのスチームを5秒導入して、型内成形を行った。冷却後に、成形体を取り出した。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例2)
再発泡時の加熱時間を15秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0100g/cm、真球度は0.75であった。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例3)
再発泡時の加熱時間を5秒に変更した以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0199g/cm、真球度は0.70であった。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例4)
再発泡時の冷却速度を0.5℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0180g/cm、真球度は0.71であった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例5)
再発泡時の冷却速度を1.0℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0199g/cm、真球度は0.70であった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例6)
再発泡工程での140℃加熱完了後、100℃にて640秒(冷却時間)保熱した後に、系を開放することにより略時間をかけることなく(1秒以下)ガラス転移温度以下に冷却したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0150g/cm、真球度は0.72であった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(実施例7)
再発泡工程での140℃加熱完了後、100℃にて60秒(冷却時間)保熱した後に、系を開放することにより略時間をかけることなく(1秒以下)ガラス転移温度以下に冷却したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。再発泡前の一次発泡粒子よりも再発泡後に得られた発泡粒子は、丸みを帯びており、真球度が高くなっていた。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0199g/cm、真球度は0.70であった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみは見られなかった。
(比較例1)
発泡剤であるブタン(n−ブタン/イソブタン=7/3)を混合物100重量部に対して、5重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子を製造した。得られた一次発泡粒子の嵩密度は0.0100g/cm、真球度は0.65であった。比較例1では、再発泡を行わなかった。このため、得られた一次発泡粒子が、成形体を得るために用いる発泡粒子に相当する。再発泡は特に実施せず、一次発泡粒子を用いて実施例1と同様にして、成形体を作製した。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみが3つ見られた。
(比較例2)
再発泡時の冷却速度を5.0℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。得られた発泡粒子には収縮の発生が見られた。得られた発泡粒子の嵩密度は0.0250g/cm、真球度は0.40であった。比較例2では、発泡粒子の嵩密度が充分に低くならなかった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみが3つ見られた。
(比較例3)
再発泡時の冷却速度を2.0℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。得られた発泡粒子には収縮の発生が見られ、嵩密度は0.0240g/cm、真球度は0.50であった。比較例3では、発泡粒子の嵩密度が充分に低くならなかった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみが3つ見られた。
(比較例4)
再発泡工程での140℃加熱完了後、100℃にて30秒(冷却時間)保熱した後にガラス転移温度以下に冷却したこと以外は実施例1と同様にして、一次発泡粒子、発泡粒子及び成形体を作製した。得られた発泡粒子には収縮の発生が見られ、嵩密度は0.0240g/cm、真球度は0.50であった。比較例4では、発泡粒子の嵩密度が充分に低くならなかった。得られた成形体では、発泡粒子の充填不良に起因する表面のへこみが3つ見られた。
(評価)
(1)結晶化ピーク温度、ガラス転移温度
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法に基づいて測定を行った。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては、以下のように実施した。示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充填した。窒素ガス流量20mL/minのもと30℃で2分間保持し、速度10℃/minで30℃から290℃まで昇温した時のDSC曲線を得た。その時の基準物質として、アルミナを用いた。本発明において、結晶化ピーク温度とは、装置付属の解析ソフトを用いて、昇温過程にみられる結晶化ピーク(発熱ピーク)のトップの温度を読みとった値である。また、ガラス転移温度は、得られたDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて、中間点ガラス転移温度を算出した値である。この中間点ガラス転移温度は該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
(2)一次発泡粒子及び発泡粒子の嵩密度
一次発泡粒子及び発泡粒子の嵩倍密度は、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定した。具体的には、見かけ密度測定器を用いて一次発泡粒子又は発泡粒子をメスシリンダー内に自然落下させ、粒子の重量を測定した。嵩密度を下記の式により算出した。
嵩密度(g/cm)=重量(g)/メスシリンダー内の粒子容積(cm
(3)一次発泡粒子及び発泡粒子の真球度
一次発泡粒子及び発泡粒子の各50個を任意に抽出し、一次発泡粒子又は発泡粒子において、最大長さ寸法と最小長さ寸法を測定した。測定値を用いて、下記式に基づいて、一次発泡粒子及び発泡粒子の各真球度を算出した。
真球度=(最小長さの寸法)/(最大長さの寸法)
そして、一次発泡粒子及び発泡粒子の各50個の真球度の相加平均値を、一次発泡粒子及び発泡粒子の真球度とした。
(4)成形性(成形体の評価)
得られた成形体の表面のへこみの状態を目視で観察して、成形性を下記の基準で判定した。
[成形体外観の判定基準]
○:成形体の表面に、へこみがない
△:成形体の表面に、発泡粒子の充填不良に起因するへこみが1つ又は2つある
×:成形体の表面に、発泡粒子の充填不良に起因するへこみが3つ以上ある
詳細及び結果を下記の表1に示す。
Figure 0006133807
1…芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子
11…一次発泡粒子

Claims (10)

  1. 芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させた後、加圧気体が含浸された一次発泡粒子を加熱して、再発泡させることにより得られ、
    嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下であり、
    真球度が0.7以上である、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子。
  2. 前記一次発泡粒子の嵩密度が0.08g/cm以上、0.15g/cm以下である、請求項1に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子。
  3. 前記芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度が130℃以上、180℃以下である、請求項1又は2に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子。
  4. 芳香族ポリエステル系樹脂の一次発泡粒子に加圧気体を含浸させる含浸工程と、
    加圧気体が含浸された一次発泡粒子を前記芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度を超える温度に加熱して、再発泡を行った後に、前記芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以下まで冷却する際に、再発泡温度未満、ガラス転移温度以上の温度領域で60秒以上かけて冷却を行い、嵩密度が0.0100g/cm以上、0.0199g/cm以下である芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を得る再発泡工程とを備え、
    得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の真球度が0.7以上であるか、又は、前記再発泡工程において、再発泡前の前記一次発泡粒子よりも再発泡後に得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子が丸みを帯びるように、前記加圧気体が含浸された一次発泡粒子を、加熱して再発泡させる、芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法。
  5. 真球度が0.7以上である芳香族ポリステル系樹脂発泡粒子を得る、請求項4に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法。
  6. 前記一次発泡粒子の嵩密度が0.08g/cm以上、0.15g/cm以下である、請求項4又は5に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法。
  7. 前記芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度が130℃以上、180℃以下である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を、雄型と雌型とで閉鎖されたキャビティ内に充填した状態で、前記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を型内成形することにより得られる、成形体。
  9. 請求項4〜のいずれか1項に記載の芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子の製造方法により得られる芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を、雄型と雌型とで閉鎖されたキャビティ内に充填した状態で、前記芳香族ポリエステル系樹脂発泡粒子を型内成形することにより得られる、成形体。
  10. 輸送機用部材又は緩衝用部材として用いられる、請求項又はに記載の成形体。
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