JP2012025477A - 冷凍輸送容器 - Google Patents

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Koki Owaki
皓樹 大脇
Shingo Terasaki
慎悟 寺崎
Shinji Ishida
真司 石田
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Abstract

【課題】食品等を極低温領域において冷凍輸送等するに際し、輸送時における強い衝撃、振動又は荒い荷扱いに対して十分な緩衝性を有し、かつ断熱性に優れる、低コストの冷凍輸送容器を提供する。
【解決手段】密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体であり、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であることを特徴とする冷凍輸送容器により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷凍輸送容器に関する。更に詳しくは、環境温度が変化しても衝撃エネルギーを吸収する能力が大きく変化することのない、極低温においも使用できる冷凍輸送容器に関する。
近年、冷凍技術の発達に伴い、遠洋漁獲類等を国内に輸送するに際には、冷凍輸送容器に入れた遠洋漁獲類等は−10℃以下のような低温又は−30〜−50℃の極低温に冷凍される。冷凍輸送容器を形成する樹脂の種類は、冷凍輸送容器の耐寒性や断熱性、緩衝性を大きく左右する重要な要素である。
特に、冷凍輸送技術の進化に伴い、より低温での輸送が可能になり、従来の冷凍輸送容器よりもコスト増とならないように、更に耐寒性に優れたものが求められており、様々な研究開発がなされている。
また、輸送の都合上、冷凍輸送容器は国内に到着後廃棄されるワンウエイ容器とすることが一般的であるため、安価であることが必須の要件となっている。そのため、強度が高く耐寒性の比較的良いポリアミド等は、コスト上の制約から使用することができないという問題がある。
上記のコスト面の要請から、冷凍輸送容器に用いられる樹脂として、断熱性がよく比較的安価に製造可能な、ポリスチレン系の発泡スチロールが広く用いられていた(特許文献1参照)。しかし、ポリスチレン系の発泡スチロールは、耐寒性が低く、また剛性が高すぎるために緩衝性能に劣るといった問題があった。
また、緩衝性能向上の要請から、断熱性がポリスチレン系の発泡スチロールに大きく劣らないポリプロピレン系の発泡体が用いられるようになってきた。
特開2003−205925号公報
しかし、ポリプロピレン系の発泡体は、製造に特殊な設備が必要となるため、ポリスチレン系のものに比べて製造コストが大きくなるという問題がある。また、ポリプロピレン系の発泡体は、常温時の緩衝性能は確かに優れるが、−30℃〜−50℃といった極低温の領域で使用した場合、耐寒性の低さから耐衝撃性能が著しく悪化してしまうという問題が見られた。
本発明は、食品等を極低温領域において冷凍輸送等するに際し、輸送時における強い衝撃、振動又は荒い荷扱いに対して十分な緩衝性を有し、かつ断熱性に優れる、低コストの冷凍輸送容器を提供することをその課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、冷凍輸送容器の使用温度領域であろうと予測される、23℃〜−50℃程度の温度範囲内において、冷凍輸送容器を構成する発泡体の+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であれば、そのような発泡体を用いた冷凍輸送容器は、輸送時の衝突時などの衝撃を吸収する性能を、温度に関係なくほぼ一定に維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体であり、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であることを特徴とする冷凍輸送容器が提供される。
本発明による冷凍輸送容器は、−50〜+23℃程度の温度の範囲内において、衝撃エネルギー吸収能力を示す曲げ破断点変位の数値が大きく変動しないので、温度に関係なくほぼ一定の衝撃エネルギー吸収能力を有する。これより、極低温領域においても十分な緩衝性を有する冷凍輸送容器を実現することができる。
また、発泡体の表層が、50重量%以下のポリスチレン系樹脂量を示す場合、更に温度に関係なく安定した衝撃エネルギー吸収能力を有する冷凍輸送容器を提供することができる。
また、発泡体が、50%以上の融着率を示す場合、更に温度に関係なく安定した衝撃エネルギー吸収能力を有する冷凍輸送容器を提供することができる。
また、発泡体が、見かけ密度0.025g/cm3かつ23℃において0.038w/mk以下の熱伝導率を示す場合、断熱性において更に優れた冷凍輸送容器を提供することができる。
また、発泡体が、10〜80倍の発泡倍率を有する場合、更に優れた衝撃エネルギー吸収能力を有する冷凍輸送容器を提供することができる。
本発明の実施例及び比較例で用いる、ポリスチレン系樹脂比率(重量%)と吸光度比(A698/A2850)の関係を示す検量線のグラフである。
本発明による冷凍輸送容器(以下、輸送容器ともいう)は、密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体である。加えて、本発明の輸送容器は、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であるという性質を有する。より好ましい比Q1/Q2は、1〜1.3の範囲である。
衝撃エネルギー吸収能力を示す破断点変位量は、JIS K7221−2:2006年「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の求め方」に準拠した曲げ試験で測定される。この測定方法については、実施例において説明する。
(発泡体)
発泡体は、複合樹脂粒子(以下、樹脂粒子ともいう)に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得、得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を得、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形させることにより得られる。
複合樹脂粒子は、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合した後、粒状化する方法、高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる方法等により得られる。この内、後者の方法が好ましく、その方法を詳細に説明する。
(a)高密度ポリエチレン系樹脂
複合樹脂粒子中の高密度ポリエチレン系樹脂は以下(1)〜(4)の性質を有する樹脂粒子を使用することが、環境温度の変化による衝撃エネルギー吸収能力の変化を抑制する観点から、好ましい。
(1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体である。
(2)密度[d(kg/m3)]が931以上950以下である。
(3)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート[MFR(g/10分)]が0.1以上20以下である。
(4)160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)]とMFRの関係が、下記式(1)を満たす。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
(1)について
高密度ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体からなる。
上記炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン)、ジエン(例えば、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン)等が挙げられる。炭素数3以上のオレフィン由来の成分が、高密度ポリエチレン系樹脂に占める割合は、特に限定されないが、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。
なお、発明を阻害しない範囲で、スチレンをエチレンと共重合させてもよい。
(2)について
密度[d(kg/m3)]は931kg/m3以上950kg/m3以下であり、931〜945kg/m3であることがより好ましく、935〜940kg/m3であることが更に好ましい。密度が、931kg/m3未満の場合、融解温度が低いため、得られる発泡体の耐熱性が不足することがある。一方、950kg/m3を超えると、融解温度が高いため発泡成形温度が高くなり生産性が低下することに加えて、得られる発泡体は耐衝撃性に劣るものとなる。なお、エチレン系樹脂の密度は、JIS K7112:1999年「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」にて規定されたA法(水中置換法)を用いて測定されたものをいう。
(3)について
190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート[MFR(g/10分)](以下、MFRと記す。)は0.1g/10分以上20g/10分以下である。MFRが0.1g/10分未満の場合、発泡倍率が低下することがある。また、20g/10分を超えると溶融張力が小さくなり発泡倍率が低下することに加え、発泡体の強度も低下する場合がある。より好ましいMFRは2〜10g/10分である。MFRの測定法は、実施例の欄に記載する。
(4)について
160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)](以下、MS160と記す。)と、190℃で、2.16kg荷重で測定したMFRとの関係が、下記式(1)を満足するものである。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
特に、MS160は、MS160>110−130×log(MFR)を満足することが好ましい。
ここで、MS160が[90−130×log(MFR)]以下の範囲にあるオレフィン系樹脂は、ガスの保持力が不足し、発泡性が劣る場合がある。この結果、発泡倍率を十分に高めることができないことがあり、均一な気泡を有する発泡体を得られないことがある。
また、MSの上限は、240であることが好ましく、180であることがより好ましい。240を超える場合、発泡倍率が低下する場合がある。MSの測定法は、実施例の欄に記載する。
更に、本発明に使用する高密度ポリエチレン系樹脂は、直鎖状ポリエチレン換算で、40000〜120000の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。Mwが、40000未満だと、発泡体の強度が低くなる場合がある。一方、120000より大きいと、高密度ポリエチレン系樹脂の粘度が高くなり、発泡成形が困難になる場合がある。
また、高密度ポリエチレン系樹脂は、Mwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.5〜10であることが好ましい。この範囲であることで、高密度ポリエチレン系樹脂の分子量分布を狭くできるので、性質にばらつきの少ない発泡体を得ることができる。なお、Mnは、直鎖状ポリエチレン換算の値を意味する。
高密度ポリエチレン系樹脂は、架橋していても架橋していなくてもよい。架橋していない場合、リサイクルが容易であるという利点がある。架橋の有無は、ゲル分率を測定することにより判断でき、値が大きい場合、架橋が多く、小さい場合、架橋が少ないことを意味する。
高密度ポリエチレン系樹脂は、例えば、以下の方法により、マクロモノマーの存在下に、オレフィンを重合させることで得られた樹脂であることが好ましい。
ここで、マクロモノマーは、末端にビニル基を有するエチレンの単独重合体又は末端にビニル基を有するエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体であり、2000以上のMnと、2〜5のMw/Mnとを有していることが好ましい。炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)等が挙げられる。これらオレフィンは、単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。
マクロモノマーのMnは、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましい。上限は、100000であることが好ましい。また、Mw/Mnは、2〜4であることがより好ましく、2〜3.5であることが更に好ましい。
Mn及びMwの測定方法の一例を以下に挙げる。
測定に使用するGPC装置は、東ソー社製HLC−8121GPC/HTであり、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いる。測定試料は、1.0mg/mlの濃度に調整し、GPC装置への注入量を0.3mlとする。各分子量の検量線は、分子量既知のポリエチレン試料を用いて校正する。Mn及びMwは、直鎖状ポリエチレン換算値として求める。
更に、マクロモノマーの主鎖であるメチレン炭素1000個当たりのビニル末端数をX、マクロモノマーの主鎖であるメチレン炭素1000個当たりの飽和末端数をYとした場合、式Z=X/[(X+Y)×2]で表されるZが0.5〜1であることが好ましい。Zは0.25〜1であることがより好ましい。なお、ビニル末端及び飽和末端は、1H−NMR、13C−NMR又はFT−IRによりその数を測定できることは、当業者によく知られている。例えば、13C−NMRの場合、ビニル末端は114ppmと139ppmに、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm及び14.1ppmにピークを有し、このピークからその数を測定できる。
マクロモノマーのビニル末端数及び飽和末端数の算出方法の一例を以下に挙げる。
マクロモノマーの末端構造は、日本電子社製JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって確認する。溶媒には、テトラクロロエタン−d2を使用する。ビニル末端数(X)は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1000個当たりの個数として、114ppmと139ppmのピークの平均値から求める。一方、飽和末端数(Y)は、ビニル末端基数と同様に、32.3ppm、22.9ppm及び14.1ppmピークの平均値から求める。得られたビニル末端数Xと飽和末端数Yとから、式Z=X/[(X+Y)×2]により、Zを求める。
上記マクロモノマーとオレフィンとを共重合させることで、本発明の使用に好適な高密度ポリエチレン系樹脂が得られる。ここで、マクロモノマー以外の新たな樹脂の全樹脂に対する割合は、1〜99重量%が好ましく、5〜90重量%がより好ましく、30〜80重量%が更に好ましい。新たな樹脂の割合の測定は、樹脂のGPCチャートを、マクロモノマーのGPCチャートと比較することにより行うことができる。具体的には、両チャートの比較により新たな樹脂に由来するピークを決定し、そのピークの面積の全ピークの面積に対する割合が、新たな樹脂の割合に相当する。
高密度ポリエチレン系樹脂製造方法の概略について以下に記載する。
まず、2つのシクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビスシクロペンタジエニルジルコニウム錯体と有機化合物で処理された粘土鉱物とからなる触媒の存在下、エチレンを重合させる、又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとを共重合させることで、マクロモノマーを製造する。上記錯体としては、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等が挙げられる。
また、粘土鉱物としては、ヘクトライトを通常使用できる。更に、有機化合物としては、N,N−ジメチル−オクタデシルアミン、N,N−ジオレイルメチルアミン等のアミン系化合物が挙げられる。
次に、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体の存在下、マクロモノマーとオレフィンとを共重合させることで高密度ポリエチレン系樹脂を得ることができる。上記錯体としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
マクロモノマーと共重合させるオレフィンとしては、炭素数2以上のオレフィンを使用できる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)等が挙げられる。これらオレフィンは、単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。
高密度ポリエチレン系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、炭素数2〜20のα−オレフィン単独重合体及び共重合体が挙げられる。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体、エチレン/プロピレン/ポリエン共重合体、種々のプロピレン系ブロック共重合体やプロピレン系ランダム共重合体等が挙げられる。
これら他の樹脂の配合割合は、全高密度ポリエチレン系樹脂量に対して、50重量%以下が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
高密度ポリエチレン系樹脂には、必要に応じて、着色剤、安定剤、充填材(補強材)、高級脂肪酸金属塩、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、天然又は合成油、ワックス、紫外線吸収剤、耐候安定剤、防曇剤、坑ブロッキング剤、スリップ剤、被覆剤、中性子遮蔽剤等の添加剤が含まれていてもよい。この内、着色剤としては、無機及び有機の着色剤(顔料又は染料)をいずれも使用できる。特に、酸化鉄、カーボンブラック等の無機着色剤が好ましい。
酸化鉄としては、黄色系統のものとしてα−FeOOH(含水結晶)、赤色系統のものとしてα−Fe23、黒色系統のものとして(FeO)x(Fe23)y等が挙げられる。これら酸化鉄は、Feの一部が、Zn、Mg等の他の金属で置き換えられていてもよい。更に、これら酸化鉄は、所望の色を得るために、混合して用いてもよい。この内、黒色系統の(FeO)x(Fe23)yに含まれるFe34であることが好ましい。
酸化鉄は、0.1〜1μmの平均粒子径を有していることが好ましく、0.2〜0.8μmがより好ましい。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(日本電子社製:ロドス)により測定できる。
酸化鉄は、高密度ポリエチレン系樹脂中、1.5〜70重量%の範囲で含まれていることが好ましく、5〜40重量%の範囲がより好ましく、10〜30重量%の範囲が更に好ましい。1.5重量%未満だと、高密度ポリエチレン系樹脂が十分着色されない場合がある。一方、70重量%を超えると、高密度ポリエチレン系樹脂中に混合することが困難となる場合がある。加えて、酸化鉄の比重が高密度ポリエチレン系樹脂より大きいため、高密度ポリエチレン系樹脂粒子が重くなり、スチレン系単量体を均一に含浸させることが困難となる場合がある。
カーボンとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維等のカーボンブラックが挙げられる。
カーボンは、高密度ポリエチレン系樹脂中、1〜50重量%の範囲で含まれていることが好ましく、2〜30重量%の範囲がより好ましい。1重量%未満だと、高密度ポリエチレン系樹脂が十分着色されない場合がある。一方、50重量%より多いと、高密度ポリエチレン系樹脂中に混合することが困難となる場合がある。
安定剤は、酸化劣化や熱劣化等を防止する役割を果たし、公知物をいずれも使用できる。例えば、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ビンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
充填材としては、タルク、ガラス等が挙げられ、その形状は球状、板状、繊維状等特に限定されない。
高級脂肪族金属塩としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸と、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)やアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)との塩が挙げられる。
(b)複合樹脂粒子
複合樹脂粒子は、高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させることにより得られることが好ましい。具体的には、以下の説明のように、分散剤を含有する水性媒体中に高密度ポリエチレン系樹脂粒子を分散させて、その後にスチレン系単量体及び重合開始剤を添加して分散液を作製して、この分散液を加熱することにより高密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて複合樹脂粒子が得られる。
高密度ポリエチレン系樹脂粒子は、公知の要領で製造される。例えば、上記の製造方法により得られた高密度ポリエチレン系樹脂を、必要に応じて無機核剤と添加剤と共に、押出機中で溶融混練して押出すことでストランドを得、得られたストランドを、空気中でカット、水中でカット、加熱しつつカットすることで、造粒する方法が挙げられる。
高密度ポリエチレン系樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒子径が0.2〜1.5mmであることが好ましい。L/Dが0.6未満の場合及び1.6より大きく扁平度が大きい場合は、発泡性樹脂粒子として予備発泡させ、金型に充填して発泡成形体を得る際に、金型への充填性が悪くなることがある。また、高密度ポリエチレン系樹脂粒子の形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。平均粒子径については、0.2mm未満の場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となることがある。1.5mmを超えると、充填性が悪くなるだけでなく発泡成形体の薄肉化も困難となることがある。
無機核剤としては、例えば、タルク、二酸化珪素、マイカ、クレー、ゼオライト、炭酸カルシウム等が挙げられる。
無機核剤の使用量は、高密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、0.2〜1.5重量部がより好ましい。
水性懸濁液を構成する水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
重合開始剤としては、一般にスチレン系単量体の懸濁重合用の開始剤として用いられているものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等の有機化過酸化物である。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100重量部に対して、0.1〜0.9重量部が好ましく、0.2〜0.5重量部がより好ましい。0.1重量部未満ではスチレン系単量体の重合に時間がかかり過ぎることがあるので好ましくない。0.9重量部を超える重合開始剤の使用は、スチレン系樹脂の分子量が低くなることがあるので好ましくない。
水系懸濁液には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。分散剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。具体的には、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機物が挙げられる。更に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダのような界面活性剤を使用してもよい。
次に、得られた分散液をスチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱してスチレン系単量体を高密度ポリエチレン系樹脂粒子に含浸させる。
高密度ポリエチレン系樹脂粒子内部にスチレン系単量体を含浸させる時間は、30分〜2時間が適当である。十分に含浸させる前に重合が進行するとスチレン系樹脂の重合体粉末を生成してしまうからである。前記モノマーが実質的に重合しない温度とは、高い方が含浸速度を速めるには有利であるが、重合開始剤の分解温度を考慮して決定する必要がある。
高密度ポリエチレン系樹脂粒子に含浸させるスチレン系単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン等が挙げられる。
分散液中に添加されるスチレン系単量体の総量は、得られる複合樹脂中において、高密度ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して、ポリスチレン系樹脂成分100〜500重量部となるように調整される。高密度ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対してポリスチレン系樹脂成分150〜400重量部となるように調整されることが、更に好ましい。
上述のように、複合樹脂中におけるポリスチレン系樹脂成分と高密度ポリエチレン系樹脂成分の重量比が上記割合に限定されるのは、複合樹脂中におけるポリスチレン系樹脂成分の含有量が少ないと、高密度ポリエチレン系樹脂成分の量が多くなり、耐熱性が上がりすぎて、複合樹脂粒子を予備発泡する際に、所望の嵩密度にまで発泡できず、得られる発泡体の軽量性が損なわれる一方、多いと、得られる発泡体の機械的強度及び耐薬品性が損なわれてしまうからである。また、得られる発泡体の衝撃エネルギーを吸収する能力の温度依存性が高くなってしまうという問題も発生する。
次いで、スチレン系単量体の重合を行う。重合は、特に限定されないが、115〜140℃で、1.5〜5時間行うことが好ましい。重合は、通常、加圧可能な密閉容器中で行われる。
なお、スチレン系単量体の含浸と重合を複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けることで、ポリスチレンの重合体粉末の発生を極力少なくできる。
上記工程により複合樹脂粒子を得ることができる。
複合樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒子径が0.3〜3.0mmであることが好ましい。
L/Dが0.6より小さく、又は1.6より大きく扁平度が大きい場合は、複合樹脂粒子から得られる予備発泡粒子を、金型に充填して発泡体を得る際に、金型への充填性が悪くなることがある。
形状については、充填性をよくするためには、略球状又は球状であることがより好ましい。
複合樹脂粒子の平均粒子径が0.3mm未満だと、発泡性樹脂粒子として使用する場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となる場合がある。一方、3.0mmを超えると、充填性が悪くなり易く、発泡体の薄肉化が困難となる場合がある。
上記方法により得られた複合樹脂粒子は、揮発性有機化合物(VOC)及び臭気を低減するための処理をされてもよい。以下にVOC及び臭気の低減方法の一例について説明する。ここでVOCとは、複合樹脂粒子の原料及び製法に由来するものであり、例えばスチレン、エチルベンゼン、キシレン等のような未反応モノマー及び反応溶媒等が挙げられる。また、臭気とは、複合樹脂粒子の原料及び製法に由来するものではあるが、VOCとは異なっており、現在のところ、複合樹脂を構成するポリスチレン系樹脂を製造する際の重合開始剤に由来するもの、例えば、その分解生成物と考えられている。
ここで紹介する低減方法とは、複合樹脂粒子を容器内で、複合樹脂粒子の軟化温度をT℃としたとき、(T−40)℃〜(T−10)℃の気体を、複合樹脂粒子を流動させかつ複合樹脂粒子全体に含まれるVOC及び臭気が所定量以下になるまで容器下部より吹き込む方法である。
ここで気体とは、空気、不活性ガス(例えば、窒素)等であり、通常空気が使用される。
所定量とは、VOCにおいては50ppmを指す。また臭気の所定量とは、臭気強度の平均値が、100000倍に希釈したイソ吉草酸の臭いを臭気強度0〜5段階の3の基準臭とする臭気試験において3以下となることを指す。
VOC及び臭気を低減するために、複合樹脂粒子を入れる容器としては、気体を容器下部から吹き込みつつ容器内の粒子を流動させることが可能な容器であり、容器の形状は、下部に気体の吹き込み口があれば特に限定されない。容器は、吹き込まれた気体を排出するための排出口を通常上部に有する。容器下部には、吹き込み口に複合樹脂粒子が入ることを防止するための目皿板を設けることが好ましい。目皿板には、通常気体が通過し得る孔が多数設けられている。この孔は、気体を垂直に吹き上げる形状を有していてもよく、斜めに吹き上げる形状を有していてもよい。
VOC及び臭気の低減効率を上げる観点からは、両者の形状の孔を有する目皿板を使用することが好ましい。更に、VOC及び臭気の低減効果を上げるために、容器内に攪拌装置を設けてもよい。そのような容器として、例えば、粒状物の乾燥に一般的に使用される流動層乾燥装置が使用できる。具体的には、バグ内蔵旋回型流動層乾燥装置(例えば、大川原製作所社製、スリットフロー(登録商標)(FBS型)等)が挙げられる。
複合樹脂粒子は、容器下部より気体を吹き込む前に容器内に入れられてもよいし、容器下部から気体を吹き込んだ状態で容器内に入れられてもよい。この内、容器下部から気体を吹き込んだ状態で容器内に入れられるのが、VOC及び臭気の低減効率を向上させる観点から好ましい。
用いられる気体は、複合樹脂粒子の軟化温度をT℃としたとき、(T−40)℃〜(T−10)℃の温度を有する。(T−40)℃より低い場合、VOC及び臭気の低減が不十分となることがある。(T−10)℃より高い場合、複合樹脂粒子同士が合着することがある。より好ましい気体の温度は、(T−20)℃〜(T−10)℃である。なお、ここでの軟化温度は、JIS K7196で言うところの針入温度を意味する。
気体の流速は吹き込む気体の風量により変化させることが可能であり、風量を調節することで流動性を調整できる。風量が少ない場合、複合樹脂粒子を十分に流動させることができないことがある。また風量が多い場合は複合樹脂粒子を飛散させることがある。効率よく複合樹脂粒子を流動させるためには適切な風量の範囲がある。好ましい範囲は0.5〜2.0m/秒、更に好ましくは0.7〜1.6m/秒である。適切な風量は、吹き込む気体が複合樹脂粒子中を通過するときに受ける圧力損失で判断できる。圧力損失が1〜10kPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜6kPaの範囲である。気体の樹脂による圧力損失がこの範囲であれば、確実に複合樹脂粒子を流動させることができる。
気体を吹き込む時間は、気体の温度と流速により変化し、気体の温度が一定の場合、流速が速くなれば時間は短くなり、反対に流速が遅くなれば時間は長くなる。一方、気体の流速が一定の場合、温度が高くなれば時間は短くなり、反対に温度が低くなれば時間は長くなる。いずれにせよ、気体を吹き込む時間は、複合樹脂粒子全体に含まれるVOCの量が50ppm(=μg/g)以下になるまでであり、複合樹脂粒子から得られる発泡成形体に含まれる臭気が、100000倍に希釈したイソ吉草酸の臭いを臭気強度0〜5段階の3の基準臭とする臭気試験において、その臭気強度の平均値が3以下になるまでである。
(c)発泡性樹脂粒子
発泡性樹脂粒子は、重合中もしくは重合終了後の上記複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得られる。含浸は、公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉式の容器中で、発泡剤を圧入することにより行われる。
発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテル等の揮発性発泡剤が挙げられる。これら発泡剤は、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
発泡剤の含有量は、複合樹脂粒子100重量部に対して、5〜25重量部であることが好ましい。発泡性樹脂粒子のL/D及び平均粒子径は、上記複合樹脂粒子と同程度とすることができる。また形状については、充填性をよくするには略球状又は球状であることがより好ましい。
(d)予備発泡粒子
予備発泡粒子は、上記発泡性樹脂粒子を予備発泡させることにより得られる。
予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、10〜80倍であることが好ましい。より好ましくは、30〜70倍である。嵩発泡倍率が10倍未満だと、得られる発泡体の重量が増加する場合がある。一方、80倍を超えると、発泡させたときに独立気泡率が低下して、予備発泡粒子から得られる発泡体の強度が低下する場合がある。嵩発泡倍率の算出方法については、実施例の欄で説明する。
(e)発泡体の製法
発泡体(発泡成形体)は、上記予備発泡粒子を型内発泡成形させることにより得られる。具体的には、予備発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、再度加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることで得ることができる。加熱用の媒体は水蒸気が好適に使用できる。
発泡体の発泡倍率は、10〜80倍であることが好ましい。より好ましくは、30〜70倍である。発泡倍率が10倍未満だと、得られる発泡体の重量が増加する場合がある。一方、80倍を超えると、発泡させたときに独立気泡率が低下して、得られる発泡体の強度が低下する場合がある。
発泡体の表面は、50重量%以下のポリスチレン系樹脂量を示すことが好ましい。発泡体全体のポリスチレン系樹脂の量が、高密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、100〜500重量部の範囲であることを考慮すると、ポリスチレン系樹脂が発泡体の表面では少ないことと、ポリエチレン系樹脂が表面では多いことを意味している。発泡体表面においてポリエチレン系樹脂が多いことで、低温から常温においても十分な強度や緩衝性を保持できる部品梱包材を提供することができる。より好ましいポリスチレン系樹脂量の上限は、35重量%である。なお、下限は0重量%である。
発泡体の融着率は、冷凍輸送容器として必要な強度を得るために、50%以上であることが好ましい。ここで、融着とは、発泡体成形時に予備発泡粒子同士が加熱溶解して溶着した状態を指し、融着率とは、発泡体の破断面において発泡粒子内で破断している発泡粒子数の目視による割合を指す。融着率の測定方法については、実施例の欄で説明する。
発泡成形体は、冷凍輸送容器としての用途上、断熱性に非常に優れることが好ましい。具体的には、見かけ密度0.025g/cm3かつ23℃において0.038w/mk以下の熱伝導率を示すことが好ましい。熱伝導率の測定方法については、実施例の欄で説明する。
得られる発泡成形体からなる冷凍輸送容器は、耐薬品性、耐熱性、衝撃強度及び剛性が優れていることに加え、−50〜+23℃程度の温度の範囲内において、吸収能力を示す曲げ破断点変位の数値が大きく変動しないので、温度に関係なくほぼ一定の衝撃エネルギー吸収能力を有する。本発明による冷凍輸送容器は、従来の冷凍輸送容器に求められる性能(安価に製造可能であること及び十分な強度、断熱性、緩衝性等を有すること)に加えて更に低温から常温においても十分な強度や緩衝性を保持できる。この性能を有することにより、今後更に発展が期待される冷凍輸送技術の分野に対応することができる。
なお、冷凍輸送容器の容器外側は、表皮層を設けることで、発泡成形体が露出していなくてもよい。極低温で冷凍される輸送対象物を保護するための緩衝性等を確保できればよいからである。表皮層としては、例えば、ポリオレフィン非発泡層のような樹脂層が挙げられる。
以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例に記載した各種測定法及び製造条件を以下で説明する。
(溶融張力)
ポリオレフィン系樹脂に、耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1500ppm、イルガフォス168TM;1500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したもの測定用試料とする。
溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名キャピログラフ)に、長さが8mm、直径が2.095mmのダイス状の試料を流入角が90°になるように装着して溶融張力を測定する。
MS160は、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)である。なお、最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とする。
(高密度ポリエチレン系樹脂の密度)
高密度ポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K6922−1:1998に準拠して、密度勾配管法で測定する。
(MS)
MSは、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所社製キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm、直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着することにより測定する。試料温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、この設定下での引き取りに必要な荷重(mN)をMSとする。
(MFR)
MFRは、JIS K6922−1:1998に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定する。
(予備発泡粒子の嵩発泡倍率)
予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、予備発泡粒子の嵩密度と逆数の関係にある。
予備発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の重量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その重量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
従って、予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、上記の嵩密度の逆数を算出することにより導き出される。
予備発泡粒子の嵩発泡倍率(倍)=500/W
(発泡体の発泡倍率)
発泡体の発泡倍率は、発泡体の密度と逆数の関係にある。
発泡体の密度は、JIS K7222:2005年「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法により以下のように測定する。
50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その重量を測定し、次式により算出する。
密度(g/cm3)=試験片重量(g)/試験片体積(cm3
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%又は27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
従って、発泡体の発泡倍率は、上記の密度の逆数を算出することにより導き出される。
発泡体の発泡倍率(倍)=試験片体積(cm3)/試験片重量(g)
(融着率)
縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状をした発泡体の表面に、カッターで横方向に長さ300mm、深さ5mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡体を二分割する。そして、発泡体の分割面において、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率を算出する。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
(曲げの破断点変位量)
曲げ強さは、JIS K7221−2:2006年「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の求め方」記載の方法に準じて測定する。
すなわち、テンシロン万能試験機UCT―10T(オリエンテック社製)を用いて、75mm×300mm×25mmのサイズの試験体について、圧縮速度10mm/分、先端冶具を加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmとして測定する。
曲げの破断点変位量は、曲げ試験において以下の現象が発生した点を、破断点変位量とする。
断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%を超えた時、直前のサンプリング点を測定する。
(圧縮強度の測定)
圧縮強度は、JIS K7220:2006年「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定する。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、50mm×50mm×25mmのサイズの試験体について、圧縮速度10mm/分として25%圧縮時(10mm変位時)の圧縮強度を測定する。
(穿孔衝撃エネルギー(全吸収エネルギー))
穿孔衝撃エネルギーは、ダイナタップ衝撃試験であるASTM D−3763に準拠して測定する。試験装置は、General Research社製のダイナタップ衝撃試験装置GRC 8250を用い、試験片は片面表皮を残した縦100mm×横100mm×高さ20mmを5つカットする。測定条件は、試験温度は−20℃、試験速度1.55m/sec、スパンは丸穴内径76mm、落下高さ59cm、試験荷重3.17kg、落錘距離13cmで、n=5測定し、その平均値を穿孔衝撃エネルギーの値とする。
(総揮発分(VOC)の測定方法)
20mLバイアルに、実施例または比較例で得られた発泡体もしくは熱可塑性樹脂粒子0.2gを入れ、溶媒としてジエチルベンゼン(DEB)含有ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、試料を溶媒に溶解して試料溶液を調整する。
次に、この試料溶液を入れたバイアルを90℃で1時間加熱した後、この試料溶液の蒸気を採取し、この蒸気を、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−18A」)を用いて内部標準法により定量する。
測定条件を下記の要領とする。
カラムとしては、直径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μmのカラム(J&W社製、商品名「DB−WAX」)を用いる。検出器としては、水素炎イオン化型検出器(Flame Ionization Detector、FID)を用いる。
カラムの温度条件;50℃で2分間保持後、100℃まで10℃/minで昇温し、100℃で5分間保持後、220℃まで40℃/minで昇温し、220℃で2分間保持する。
カラムの注入口温度を150℃、検出器温度を250℃とする。
測定試料溶液注入量を2mLとする。
スプリット比を70:1、カラム流量を1.6mL/min(He)、ガス圧力を122kPaとする。
(熱伝導率)
発泡成形体から、縦200mm×横200mm×高さ10〜25mmの直方体形状の試験片を切り出す。
英弘精機産業社から商品名「HC−074/200」にて市販されている測定装置を用い、測定装置の低温板を試験片の平均温度より15℃低く且つ高温板を試験片の平均温度よりも15℃高く設定した上で、試験片の熱伝導率をJIS A 1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」記載の方法に準拠して測定する。なお、試験片の平均温度は、0、20、30℃の3点とする。得られた熱伝導率に基づいて、横軸を温度、縦軸を熱伝導率とした回帰直線を描き、試験片の23℃における熱伝導率を算出する。
(発泡成形体表層のポリスチレン系樹脂比率(表層PS量))
吸光度比(A698/A2850)を下記の要領で測定し、発泡成形体表層のポリスチレン系樹脂量(表層PS量)を測定する。
発泡成形体の表層を任意に10個採取し、表層をATR法赤外分光分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。
各赤外吸収スペクトルから吸光度比(A698/A2850)をそれぞれ算出し、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を吸光度比(A698/A2850))とする。なお、吸光度は、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 MAGNA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
標準試料は、次の方法により得る。まず、組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂)が下記比率になるように測定しようとする複合樹脂に含まれるものと同じ組成のポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を合計2g精秤する。
組成割合(PS/PE;重量比):0/10=PE系樹脂のみ、1/9、2/8、3/7、4/6、5/5、6/4、7/3、8/2、10/0=PS樹脂のみ
これを小型射出成形機にて下記条件に加熱混練して、直径が25mmでかつ高さが2mmの円柱状に成形することによって標準試料を得る。
なお、小型射出成形機としては、例えば、CSI社から商品名「CS−183」で販売されているものを用い、例えば、下記の条件で成形できる。
射出成形条件:加熱温度200〜250℃、混練時間10分
上記比率の標準試料の吸光度比を前記測定装置で測定し、ポリスチレン系樹脂比率(重量%)と吸光度比(A698/A2850)の関係をグラフ化することで、図1の検量線が得られる。
図1において、ポリスチレン系樹脂比率が30重量%以下の場合、検量線は下記の式(1)で近似される。
Y=21.112X (1)
また、図1において、ポリスチレン系樹脂比率が30重量%以上80重量%未満の場合、検量線は下記の式で近似される。
Y=28.415Ln(X)+20.072 (2)
更に、図1において、ポリスチレン系樹脂比率が80重量%以上の場合、検量線は下記の式で近似される。
Y=12.577Ln(X)+53.32 (3)
なお、上記式において、Xは吸光度比(A698/A2850)を示し、Yはポリスチレン系樹脂量を示す。
発泡成形体表層のポリスチレン系樹脂量(重量%)が、図1の検量線を基に算出される。
(加熱寸法変化率)
加熱寸法変化率は、JIS K 6767:1999 「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定する。
試験片は150×150×原厚み(mm)として、その中央部に縦および横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるよう記入し、80℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間置いた後に取り出し、標準状態の場所に1時間放置後、縦および横線の寸法を下記式によって測定する。
S=(L1−L0)/L0×100
式中、Sは加熱寸法変化率(%)、L1は加熱後の平均寸法(mm)、L0は初めの平均寸法(mm)をそれぞれ表す。
加熱寸法変化率Sは、以下の基準で評価する。
○:0≦S<1.5;寸法変化率が低く、寸法の安定性が良好であった。
△:1.5≦S<5;寸法の変化がみられるものの、実用上使用可能であった。
×:S≧5;寸法の変化が著しくみられ、実用上使用不可能であった。
(燃焼速度)
燃焼速度は、米国自動車安全基準FMVSS 302に準拠した方法で測定する。試験片は、350mm×100mm×12mmとし、少なくとも350mm×100mmの二面には表皮が存在するものとする。燃焼速度の評価方法は、燃焼速度が80mm/min以下であるものを「○」、80mm/minを超えるものを「×」とする。
(実施例1)
高密度ポリエチレン(東ソー社製、グレード名:09S53B)[(1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、(2)密度936kg/m3、(3)2.16kg加重時のMFRが2.6g/10分、(4)MS(160℃での溶融張力(mN))>90−130×log(MFR)]のペレット100重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)の高密度ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。
次に、攪拌機付の5リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム50g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ3.5gを純水2kgに分散させて分散用媒体を得た。
分散用媒体に30℃で上記高密度ポリエチレン系樹脂粒子600gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
得られた懸濁液に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.6g溶解させたスチレンモノマー300gを30分かけて滴下した。滴下後、30分間保持することで、高密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン系単量体を含浸させた。含浸後、130℃に昇温して、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
次に、120℃に下げた懸濁液中に、ジクミルパーオキサイドを4.2g溶解させたスチレンモノマー1100gを4時間30分かけて滴下した。滴下後、120℃で1時間保持することで、高密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン系単量体を含浸させた。含浸後、140℃に昇温して、この温度で3時間保持して重合(第2重合)させた。この重合の結果、複合樹脂粒子を得ることができた。
次いで、常温(約23℃)まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。複合樹脂粒子2kgと水2リットルとを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。更に、発泡剤としてブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3)15重量部300g(520ml)をオートクレーブに入れた。この後、70℃に昇温して、4時間攪拌を続けることで発泡性樹脂粒子を得ることができた。
その後、常温まで冷却して、発泡性樹脂粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させることで、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさの成形用金型に入れた。その後、0.10MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、次いで、発泡体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、発泡倍率40倍(密度0.025g/cm3)の発泡体を得た。なお、発泡成形には、ACE−3SP(積水工機社製)を使用した。
得られた発泡体の外観及び融着は、共に良好であった。得られた発泡体の曲げ破断点変位、圧縮強度について環境温度23℃及び50℃のそれぞれにおいて測定を実施した。23℃で測定した結果をQ1、−50℃で測定した結果をQ2とし、Q1/Q2の計算から、温度変化に伴う物性への影響を算出した。また、燃焼速度、融着率、表層PS(ポリスチレン)量、熱伝導率、全吸収エネルギー、加熱寸法変化率、VOCに関しても測定を行った。それら結果を表1に示す。
(実施例2)
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを400gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.4gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.2kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを4.8gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを1.4kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を5時間、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを800gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.8gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.4kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを3.6gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.80kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を4時間15分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを1000gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを1.0gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.5kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを3.0gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.5kg、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を4時間、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率20倍(嵩密度0.05g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率60倍(嵩密度0.017g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例2と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率20倍(嵩密度0.05g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例2と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率80倍(嵩密度0.013g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例3と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率30倍(嵩密度0.033g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略す)(日本ユニカー社製:NUC−3450、酢酸ビニル含有量:5重量%、融点:107℃、メルトフローレート:0.5g/10分)[(1)エチレンと酢酸ビニルの共重合体、(2)密度930kg/m3、(3)2.16kg加重時のMFRが0.5g/10分、(4)MS(160℃での溶融張力(mN))>110−100×log(MFR)]を押出機に供給して溶融混連して水中カット方式により造粒し、楕円球状(卵状)のEVA樹脂粒子(ポリエチレン系樹脂粒子)を得た。EVA樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。尚、EVAのメルトフローレート及び密度は、JIS K6992−2に準拠して測定した値である。
次に、攪拌機付の5リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム50g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ3.5gを純水2kgに分散させて分散用媒体を得た。
分散用媒体を30℃にして、そこに上記EVA樹脂粒子600gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
得られた懸濁液に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.6g溶解させたスチレンモノマー300gを30分かけて滴下した。滴下後、30分間保持することで、高密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン系単量体を含浸させた。含浸後、130℃に昇温して、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
次に、90℃に下げた懸濁液中に、ベンゾイルパーオキサイドを4.2g溶解させたスチレンモノマー1100gを4時間30分かけて滴下した。滴下後、90℃で1時間保持することで、EVA樹脂粒子中にスチレン系単量体を含浸させた。含浸後、140℃に昇温して、この温度で3時間保持して重合(第2重合)させた。この重合の結果、スチレンEVA複合樹脂粒子を得ることができた。
次いで、常温(約23℃)まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。複合樹脂粒子2kgと水2リットルとを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。更に、発泡剤としてブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3)15重量部300g(520ml)をオートクレーブに入れた。この後、70℃に昇温して、4時間攪拌を続けることで発泡性樹脂粒子を得ることができた。
その後、常温まで冷却して、発泡性樹脂粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
得られた発泡性樹脂粒子を嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させることで、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさの成形用金型に入れた。その後、0.10MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、次いで、発泡体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、発泡倍率40倍(密度0.025g/cm3)の発泡体を得た。なお、発泡成形には、ACE−3SP(積水工機社製)を使用した。
得られた発泡体の外観及び融着は共に良好であった。実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
発泡倍率30倍(密度0.033g/cm3)の発泡ポリプロピレン樹脂[(1)プロピレンとエチレンのランダム共重合体、(2)密度900kg/m3、(3)MS(160℃での溶融張力(mN))>110−100×log(MFR)]を用いて、実施例1と同形状、同寸法の発泡倍率30倍(密度0.033g/cm3)のプロピレン系樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを200gと、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.2gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.1kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを5.4gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを1.7kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を5時間30分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に嵩発泡倍率40倍(嵩密度0.025g/cm3)に予備発泡させ、実施例1と同様に、得られた発泡体の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
(1)第1の重合時の高密度ポリエチレン600gを1400gとし、
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.6gを0.84gとし、
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.3kgを0.42kgとし、
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド4.2gを1.8gとし、
(5)第2の重合時のスチレン単量体1.1kgを0.18kgとし、
(6)第2の重合時のスチレン滴下時間4時間30分を3時間30分、
とした以外は実施例1と同様に実施し発泡性樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様に予備発泡を実施したが、嵩発泡倍率7倍(嵩密度0.143g/cm3)までしか発泡しなかった。そのため、その後の発泡体の評価を実施しなかった。
HDPE:高密度ポリエチレン(09S53B)
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体
PP:ポリプロピレン
PS:ポリスチレン
実施例1〜9及び比較例1〜4の結果から、高密度ポリエチレン100重量部に対してスチレン100〜500重量部の範囲内となるように、高密度ポリエチレン系樹脂粒子にポリスチレンを含浸させて得られた複合樹脂粒子を用いて得られた発泡体は、23℃と−50℃の曲げ破断点変位の差が少ないことが分かる。

Claims (5)

  1. 密度931〜950kg/m3の高密度ポリエチレン系樹脂100重量部とポリスチレン系樹脂100〜500重量部とを含む複合樹脂の発泡体であり、+23℃での破断点変位量Q1と−50℃での破断点変位量Q2との比Q1/Q2が1.5以下であることを特徴とする冷凍輸送容器。
  2. 前記発泡体の表層が、50重量%以下のポリスチレン系樹脂量を示す請求項1に記載の冷凍輸送容器。
  3. 前記発泡体が、50%以上の融着率を示す請求項1又は2に記載の冷凍輸送容器。
  4. 前記発泡体が、見かけ密度0.025g/cm3かつ23℃において0.038w/mk以下の熱伝導率を示す請求項1〜3のいずれか1つに記載の冷凍輸送容器。
  5. 前記発泡体が、10〜80倍の発泡倍率を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の冷凍輸送容器。
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