JP2007062186A - セラミック構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 寸法精度の高い凹部もしくは空洞を有するセラミック構造体の製造方法を提供することである。 【解決手段】 セラミックグリーンシートを複数枚積層し焼成することによって、表面の凹部7および内部の空洞10の少なくとも一方を有するセラミック構造体Eを製造するに際して、体積Vである前記セラミックグリーンシートの凹部7となる空隙部位および空洞10となる空隙部位に占有体積0.8V〜1.1Vである樹脂シート2a(占有体積には樹脂シート内部に含まれる気泡体積を含む)を載置する工程と、前記セラミックグリーンシートを複数枚積層する工程と、前記セラミックグリーンシートの積層体を焼成する際に樹脂シート2aを熱分解させて除去する工程とを含み、樹脂シート2aは気泡を含み、かつ樹脂シート2aが熱分解する直前の溶融状態体積Vliq.が0.2V〜0.6Vである関係を満たすセラミック構造体の製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、セラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化し焼成して成るセラミック構造体の製造方法に関し、詳細には表面に凹部を有するセラミック構造体や内部に空洞構造を有するセラミック構造体の製造方法に関する。
従来、表面に凹部を有するセラミック構造体の用途としては、例えば、LSI等の半導体素子や各種電子部品等を収納する電子部品収納用パッケージおよび各種流体の流路等が挙げられ、最近では、多機能・高機能化と小型・低背化を両立させるために、半導体素子、センサーおよび各種電子部品等を搭載するための凹部構造もしくは各種流体の流路等を複数の面に形成した三次元構造からなる複雑な形状のセラミック構造体への要求も高まりつつある。さらには、内部にも半導体素子、センサーおよび各種電子部品等を搭載するための空洞もしくは各種流体の流路を形成するための空洞を形成した複雑な形状のセラミック構造体も求められている。
これらのものは、例えばマイクロ化学チップ,μ−TAS(Micro Total Analysis System),MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;微小電子機械システム)等の分野に応用されつつある。これらは、半導体微細加工技術等を用いてシリコンやガラス等を微細加工することで行われている。
特に、機械,電子,光,化学,生化学等の複合機能を一体化した微細なデバイスは、高性能かつ省エネ等に優れていることから、積極的に開発が進められている(例えば、非特許文献1)。これらの集積化技術においては、同一基板上にメタライズ配線や流路等の凹部構造を混在させて形成する技術や複数基板を積層する技術が重要である。これらの技術は、セラミック多層配線基板やセラミック積層型電子部品等のセラミック構造体の製造方法においては一般的に行われていることであり、これら従来技術の応用が期待されている。また、セラミックは耐薬品性,リサイクル性,易薬品洗浄性等にも優れているため、有望な材料といえる。
セラミック構造体の製造方法としては、例えば、絶縁層が複数積層された絶縁体の表面または内部にメタライズ配線層が配設されたセラミック構造体の場合、まず、所定比率で調合したセラミック原料粉末に適当な樹脂バインダーを添加し、有機溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、従来周知のドクターブレード法やリップコーター法等のキャスト法により、所定厚みのセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を成形する。
次に、メタライズ配線層として、適当な金属粉末に樹脂バインダー、溶剤、可塑剤を添加混合して得た金属ペーストを上記のグリーンシートに周知のスクリーン印刷法により、所定形状のパターンに印刷塗布するとともに、マイクロドリルやレーザで貫通孔(スルーホール)を形成し、この貫通孔内に金属ペーストを充填して貫通導体(ビア導体、ビアホール)を形成する。
続く工程は、(I)表面に凹部を有するセラミック構造体の場合、(II)内部に空洞を有するセラミック構造体の場合に分けて説明する。
(I)の場合には、表面に凹部を形成するために、グリーンシートの所定の箇所に貫通穴を打ち抜き加工で形成する。その後、上記の貫通穴が形成されたグリーンシートを他のグリーンシートとともに、適当な密着液を用いて複数積層し、得られた凹部を具備するグリーンシート積層体を所定条件で焼成することによって、表面に凹部を有するセラミック構造体が得られる。
(II)の場合には、上記(I)と同様な方法で作製した凹部を具備するグリーンシート積層体を複数枚積層し、所定条件で焼成することによって、空洞を有するセラミック構造体が得られる。
このようなセラミック構造体においては、近年、多機能・高機能化と小型・低背化を両立させるために、セラミック構造体の三次元構造化が進んでおり、積層等の加工の際にグリーンシートが変形することを防止することが不可欠となっている。さらに、焼成後の平面度が高い焼結面から形成される、寸法精度の高い凹部もしくは空洞を複数有する複雑形状のセラミック構造体への対応も望まれている。
しかしながら、凹部や空洞を有するセラミック構造体は、凹部もしくは空洞を構成する貫通孔が形成されたグリーンシートと貫通孔が形成されていないグリーンシートとを加圧し積層する際、凹部もしくは空洞の部分とそれ以外の部分とで圧力差が生じることにより、圧力を受けないグリーンシート積層体の凹部もしくは空洞の底部に膨らみが生じるので、凹部もしくは空洞の底部に電子部品等を搭載する場合にボンディング不良を誘発する場合や、流路の場合は断面積の偏差が大きくなるため、精密な流量調整が不可能になる場合があった。
また、上記問題を解決するために加圧圧力を低下させると、凹部もしくは空洞の周辺部の密着に必要な圧力が減少することにより、グリーンシート間に剥離(デラミネーション)が生じるので、構造欠陥のない信頼性の高いセラミック構造体を得ることが困難であった。
さらに、凹部もしくは空洞を取り囲む側壁が薄くて弱い場合、積層等の加圧時に薄い側壁が変形する不具合や、同一のグリーンシート内に打ち抜き加工等で貫通加工することで複数の凹部もしくは空洞を狭い間隔で形成する場合や、同一のグリーンシートに複数形成された凹部もしくは空洞の間を金属刃等で切込みを入れてセラミック構造体の各個片に切断する加工(スナップ加工)を行なった場合等の所謂生加工時に、凹部もしくは空洞の薄い側壁が変形する不具合が発生しやすくなる。
そこで、これらの問題を解決する手法として、凹部もしくは空洞を形成する部分に未焼結粉体,昇華性物質,樹脂,ワックス等の充填物を挿入した状態で均圧積層した後、充填物を除去する方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3)。これらの方法によれば、均圧積層が可能であるため、平面度や寸法精度に優れた凹部もしくは空洞を有するセラミック成形体を得ることが可能となる。
しかしながら、未焼結粉体充填物の場合には、焼成後に未焼結充填物を除去する工程が必要であり、内部に空洞を有するセラミック構造体には応用できなかった。また、未焼結粉体等の除去が不十分な場合には、絶縁不良等の様々な不具合を引き起こすおそれがあった。一方、昇華性物質,樹脂,ワックス等の充填物の場合には、加圧積層工程後に充填物を昇華,蒸発,融解,熱分解等を利用して除去する際において、分解物がそれと接触するグリーンシートに含まれる樹脂バインダーやセラミックス等に化学的,物理的に作用し、樹脂バインダーの溶解,セラミックスの表面変質,発生した分解ガス等の圧力によるグリーンシートの変形やクラック等を引き起こす問題があった。
これらの不具合は、嵌め込む充填物の量が多い場合に特に顕著である。すなわち、充填物を除去する工程の際には、充填物が一気に熱分解等を開始することで大量の溶融物,ガス等が発生するため、それに接するグリーンシートに与えるダメージが大きくなるためと考えられる。
一方、特許文献4には、所定温度で熱分解する樹脂ビーズを含むと共に、セラミックグリーンシート積層体の凹部に嵌め込まれ、該積層体を焼結することにより熱分解し、焼結体に凹部を形成する樹脂シートが記載されている。この文献によると、該樹脂シートを用いると均圧積層が可能になり、層間剥離や凹部の変形を防止することができ、デラミネーションの発生を抑制することができると記載されている。
しかしながら、該樹脂シートに打ち抜き加工性を付与する上で含有させている樹脂ビーズが、脱バインダー時において溶融物やガス等を発生するので、特許文献4に記載されている樹脂シートを用いても、必ずしも寸法精度の高いセラミック構造体が得られていないのが現状である。
特開2001−358247号公報 特開平10−249838号公報 特開平8−245268号公報 特開2004−356347号公報 「技術調査レポート(技術動向編)第3号 MEMSに関する技術の現状と課題」、2003年3月28日、経済産業省産業技術環境局技術調査室発行
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、セラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化し焼成して成る、表面に凹部を有するセラミック構造体や内部に空洞構造を有するセラミック構造体の製造方法に関し、詳細には凹部となる部位および空洞となる部位に樹脂シートを充填し均圧積層後、樹脂シート充填物を熱分解除去する際の樹脂シート熱分解物の体積を調整することで、寸法精度の高い凹部もしくは空洞を有するセラミック構造体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)セラミックグリーンシートを複数枚積層し焼成することによって、表面の凹部および内部の空洞の少なくとも一方を有するセラミック構造体を製造するに際して、体積Vである前記セラミックグリーンシートの前記凹部となる空隙部位および前記空洞となる空隙部位に占有体積0.8V〜1.1Vである樹脂シート(占有体積には樹脂シート内部に含まれる気泡体積を含む)を載置する工程と、前記セラミックグリーンシートを複数枚積層する工程と、前記セラミックグリーンシートの積層体を焼成する際に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程とを含み、前記樹脂シートは気泡を含み、かつ該樹脂シートが熱分解する直前の溶融状態体積Vliq.が0.2V〜0.6Vである関係を満たすことを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
(2)前記樹脂シートは、600℃において99重量%以上熱分解する前記(1)記載のセラミック構造体の製造方法。
(3)前記樹脂シートは、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を含む前記(1)または(2)記載のセラミック構造体の製造方法。
(4)前記樹脂シートに含まれる前記気泡の平均直径は、前記樹脂シートの厚みtに対し(1/3)t以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
(5)前記樹脂シートが樹脂ビーズを含む前記(1)〜(4)のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
(6)前記セラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位および空洞となる空隙部位に樹脂シートを載置する工程において、セラミックグリーンシートに前記凹部または空洞を構成する貫通孔を形成する工程と、該貫通孔に樹脂シートを嵌め込み、樹脂シート−グリーンシート複合体を形成する工程と、該樹脂シート−グリーンシート複合体を複数枚積層する工程とを含む前記(1)〜(5)のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
(7)前記セラミックグリーンシートの積層体を焼成する際に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程において、前記樹脂シートの上層部の80%重量減少温度をTa℃、樹脂シートの最下層部の80%重量減少温度をTb℃、樹脂シートが載置されるグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をTc℃としたときに、Ta<Tb≦Tcの関係を満たす前記(1)〜(6)のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
(8)前記Ta℃で樹脂シートの上層部を熱分解除去する第一の脱バインダー工程と、続けて前記Tb℃で樹脂シートの最下層部を熱分解除去する第二の脱バインダー工程と、続けて前記Tc℃を超える温度でグリーンシートに含まれる樹脂バインダーを熱分解除去する第三の脱バインダー工程とを含む前記(7)記載のセラミック構造体の製造方法。
上記(1)によれば、セラミックグリーンシートを複数枚積層し焼成することによって、表面の凹部および内部の空洞の少なくとも一方を有するセラミック構造体を製造するに際して、体積Vであるセラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位および空洞となる空隙部位に所定の占有体積で樹脂シートを載置して樹脂シート−セラミックグリーンシート複合体を作製する工程と、セラミックグリーンシートを複数枚積層して樹脂シート−セラミックグリーンシート複合体を少なくとも1層含む積層体を作製する工程と、得られたセラミックグリーンシート積層体を焼成する際に樹脂シートを熱分解させて除去する工程とを含むので、均圧積層が可能となり、凹部や空洞に変形が無く、層間剥離もないセラミック構造体を形成することが可能となる。また、熱分解可能な樹脂シートを使用するため、凹部もしくは空洞に充填された樹脂シートを除去することなく積層体を一括焼成すればよく、工程の削減が可能となる。さらに、樹脂シートが熱分解する直前の溶融状態の体積Vliq.が所定の関係を満たすので、熱分解物の量を低減できることから、それと接触するグリーンシートに含まれる樹脂バインダーやセラミックス等に化学的,物理的に作用し、樹脂バインダーの溶解,セラミックスの表面変質,発生した分解ガス等の圧力によるグリーンシートの変形やクラック等を低減させることができる。しかも、前記樹脂シートは気泡を含有するので、樹脂シートの打ち抜きや切断等の剪断加工の際に、該気泡を介して剪断方向にクラックが生じやすいため剪断加工が容易にでき、一方、剪断方向以外に生じたクラックの伝播が気泡の存在で抑えられるため、剪断方向以外へのクラック伝播を抑制し、所望の形状に剪断加工できることより、貫通穴と略同形状の樹脂シートの嵌め込みが可能となる。さらには、樹脂シートに含まれる気泡の含有量を調整することでも、焼成時における樹脂シート熱分解物の量を低減できることから、それと接触するグリーンシートに対する上記した各種不具合を低減させることができる。
上記(2)によれば、本発明方法にかかる樹脂シートは、600℃において99重量%以上熱分解することから、焼成時において、樹脂シートとの接触面に樹脂シート熱分解残渣(カーボン)が残留することをより効果的に防ぐことができ、電気不良の誘発を抑えることができる。
上記(3)によれば、本発明方法にかかる樹脂シートは、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を含むことから、これらの調合組成を変えることで、用いるセラミックグリーンシートの強度,伸度等の機械物性に合わせた樹脂シートの物性調整が可能である。つまり、可塑剤および滑剤の少なくとも一方とを含むことで樹脂シートに柔軟性や可とう性を付与することができるので、加工性をより一層向上させることが可能となる。
上記(4)によれば、本発明方法にかかる樹脂シートに含まれる気泡の平均直径は樹脂シートの厚みtに対し(1/3)t以下であることから、樹脂シートの微細加工が可能となる。従って、微細で複雑形状であるセラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位もしくは空洞となる空隙部位を形成することが可能となる。また、樹脂シート自身の剛性も維持できることから、高い圧力で積層した場合でも均圧積層性を維持することができる。
上記(5)によれば、本発明方法にかかる樹脂シートが気泡に加えて樹脂ビーズを含むので、該樹脂シートの剪断加工性がさらに向上すると共に、樹脂ビーズが剛体であるので、樹脂シート自体の剛性が向上し、高い圧力で積層した場合でも均圧積層性をより向上することができる。
上記(6)〜(8)によれば、樹脂シートを上層部から最下層部へ順序よく熱分解させることができるので、寸法精度の高い凹部もしくは空洞を有するセラミック構造体を確実に得ることができる。
本発明のセラミック構造体の製造方法について以下に詳細に説明する。本発明方法は、セラミックグリーンシートを複数枚積層し焼成することによって、表面の凹部および内部の空洞の少なくとも一方を有するセラミック構造体を製造する。
<グリーンシート>
セラミック構造体を作製するためのグリーンシートは、以下のようにして作製することができる。先ず、グリーンシートの原料粉末、例えば、セラミック粉末およびガラス粉末の少なくとも一方に対し、所望により焼結助剤となるセラミック粉末を添加、混合した混合物に、樹脂バインダー、可塑剤等の添加剤、有機溶剤等を加えてスラリーを調製する。その後、このスラリーを用いてドクターブレード法、圧延法、プレス法等の成形法により所定の厚みのグリーンシートを成形する。
次に、電気配線等を形成する場合には、上記のグリーンシートに打ち抜き加工を施すことにより、上下の配線導体層を接続するビアホールとなる貫通孔を形成し、この貫通孔内に導体ペーストを充填する。
セラミック粉末としては、金属もしくは非金属の酸化物または非酸化物の粉末が挙げられる。また、これらの粉末の組成は単一組成、化合物の状態のものを単独または混合して使用してもよい。具体的には、Li,K,Mg,B,Al,Si,Cu,Ca,Br,Ba,Zn,Cd,Ga,In,ランタノイド,アクチノイド,Ti,Zr,Hf,Bi,V,Nb,Ta,W,Mn,Fe,Co,Ni等の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物等が挙げられる。
さらに具体的には、SiO2,Al23,ZrO2,TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、ZnO,MgO,MgAl24,ZnAl24,MgSiO3,Mg2SiO4,Zn2SiO4,Zn2TiO4,SrTiO3,CaTiO3,MgTiO3,BaTiO3,CaMgSi26,SrAl2Si28,BaAl2Si28,CaAl2Si28,Mg2Al4Si518,Zn2Al4Si518,AlN,Si34,SiC、さらには、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
また、ガラス粉末としては、例えばSiO2−B23系,SiO2−B23−Al23系,SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnである),SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は同じかまたは異なるものであり、Ca,Sr,Mg,BaまたはZnである),SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は上記と同じ),SiO2−B23−M3O系(但し、M3はLi,NaまたはKである),SiO2−B23−Al23−M3O系(但し、M3は上記と同じ),Pb系ガラス,Bi系ガラス,アルカリ金属酸化物,アルカリ土類金属酸化物,希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を含有するガラスが好ましい。これらのガラスは焼成処理することによって非晶質ガラスとなるもの、また焼成処理によって、リチウムシリケート,クォーツ,クリストバライト,コージェライト,ムライト,アノーサイト,セルジアン,スピネル,ガーナイト,ウイレマイト,ドロマイト,ペタライトやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種を析出する結晶化ガラスが用いられる。
セラミック粉末とガラス粉末を混合させる場合の割合は、通常のガラスセラミック構造体材料に用いられる割合であり、重量比で60:40〜1:99であるのが好ましい。また、助剤成分としては、B23,ZnO,MnO2,アルカリ金属酸化物,アルカリ土類金属酸化物,希土類金属酸化物等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
また、本発明のセラミック構造体を圧電素子として使用する場合の材料として、チタン酸バリウムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン石型構造の結晶などが挙げられ、具体的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などのチタン酸ジルコン酸塩、またはチタン酸鉛などが挙げられる。
一方、グリーンシートの樹脂バインダーとしては、例えば、アクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルアセタール系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンカーボネート系等の単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
アクリル系の具体例としては、例えばメチルアクリレート,メチルメタクリレート,エチルアクリレート,エチルメタクリレート,n−プロピルアクリレート,n−プロピルメタアクリレート,イソプロピルアクリレート,イソプロピルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,n−ブチルメタクリレート,イソブチルアクリレート,イソブチルメタクリレート,tert−ブチルアクリレート,tert−ブチルメタクリレート,シクロヘキシルアクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,2−エチルヘキシルメタクリレート,イソノニルアクリレート,イソノニルメタクリレート,イソデシルアクリレート,イソデシルメタクリレート等が挙げられ、これらアクリル酸エステルやメタクリル酸アルキルエステルを主鎖とする共重合体には、カルボン酸基,アルキレンオキサイド基,水酸基,グリシジル基,アミノ基またはアミド基を含有するモノマーが共重合成分として含まれているものを好適に用いることができる。
カルボン酸基を有するものとしては、例えば、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,イタコン酸,フマル酸等が挙げられ、アルキレンオキサイドを有するものとしては、メチレンオキサイド,エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド等があり、水酸基を有するものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシエチルメタクリレート,2−ヒドロキシブチルアクリレート,2−ヒドロキシブチルメタクリレート,ジエチレングリコールモノアクリレート,ジエチレングリコールモノメタクリレート,グリセリンモノアクリレート,グリセリンモノメタクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,トリメチロールプロパントリメタクリレート等があり、グリシジル基を有するものとしては、グリシジルアクリレート,グリシジルメタクリレート等があり、アミノ基またはアミド基を有するものとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルアクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート,N−tert−ブチルアミノエチルアクリレート,N−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート,アクリルアミド,シクロヘキシルアクリルアミド,シクロヘキシルメタクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド,ジアセトンアクリルアミド等がある。
これらアクリル酸エステルやメタクリル酸アルキルエステルを主鎖とする共重合体には、他の共重合可能なアクリロニトリル,スチレン,エチレン,酢酸ビニル,n−ビニルピドリドン等を共重合させても良い。
ポリビニルアセタール系の具体例としては、ポリビニルブチラール,ポリビニルエチラール,ポリビニルプロピラール,ポリビニルオクチラール,ポリビニルフェニラール等やその誘導体等が挙げられる。
セルロース系の具体例としては、メチルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ニトロセルロース,酢酸セルロース等が挙げられる。
次に、メタライズ配線やビア導体等の導体部を形成する場合の導体ペーストとしては、例えばAu,Cu,Ag,Pd,W,Mo,Ni,AlおよびPt等の金属粉末の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金等のいずれの形態であってもよい。これらの金属粉末を樹脂バインダー,溶剤,可塑剤,分散剤等を混合したものが好適に使用できる。
導体ペーストの樹脂バインダーとしては、アクリル系,ポリビニルアセタール系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
アクリル系の具体例としては、アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらの共重合体には、水酸基,カルボン酸基,アルキレンオキサイド基,グリシジル基,アミノ基,アミド基等を適宜導入しても良い。これらを導入することで、セラミックスとの分散性を向上させる効果や、粘性やチキソ性を向上させる効果が期待できる。また、熱分解性や各種溶剤への溶解性等の性能を損なわない範囲内であれば、アクリル樹脂と共重合が可能である、スチレン,α−メチルスチレン,アクリロニトリル,エチレン,酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,n−ビニルピロリドン等を適宜導入しても良い。これらのアクリル樹脂のうち、必要に応じて単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。
導体ペーストの溶剤としては、例えばテルピネオール,ジヒドロテルピネオール,エチルカルビトール,ブチルカルビトール,カルビトールアセテート,ブチルカルビトールアセテート,ジイソプロピルケトン,メチルセルソルブアセテート,セルソルブアセテート,ブチルセルソルブ,ブチルセルソルブアセテート,シクロヘキサノン,シクロヘキサノール,イソホロン,シプロピレングリコール,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート,ブチルカルビトールメチル−3−ヒドロキシヘキサノエート,トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート,パイン油,ミネラルスピリット等の高沸点溶剤が好適に使用できる。
樹脂バインダーは金属粉末100重量部に対して0.5〜15.0重量部、有機溶剤は固形成分および樹脂バインダー100重量部に対して5〜100重量部の割合で混合されることが好ましい。なお、この導体ペースト中には若干のガラス粉末や酸化物粉末等の無機成分を添加してもよい。この導体ペーストを、上記グリーンシートにスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の公知の印刷手法を用いて、所定のパターンに印刷塗布する。
このようにして得られたグリーンシートに、樹脂バインダー,溶剤,可塑剤より成る適当な接着剤を塗布もしくは転写し、他のグリーンシートと加圧し積層することにより一体化し、グリーンシート積層体を作製する。得られたグリーンシート積層体を所定条件で焼成することにより、セラミック構造体が得られる。
次に、本発明における、グリーンシートに樹脂シートが嵌め込まれた樹脂シート−グリーンシート複合体の作製方法を説明する各工程図を図1に、本発明のセラミック構造体の製造方法を説明する各工程図を図2に示し、以下にセラミック構造体の製造方法について詳細に説明する。
<樹脂シート−グリーンシート複合体>
本発明方法にかかる樹脂シート−グリーンシート複合体は、図1に示すように、加圧積層前にグリーンシート1の貫通孔3に焼成過程で熱分解する樹脂シート2を嵌め込んで構成されている。これにより、加圧し積層する段階で樹脂シート2を通じて凹部もしくは空洞の底部が加圧されるため、膨らみや変形が発生しない。また、グリーンシート積層体にデラミネーションが発生しないように高い積層圧力の加圧が可能となる。なお、本発明方法に適用可能な凹部もしくは空洞の大きさに関しては、樹脂シート−グリーンシート複合体を作製することができる大きさであれば、微細なものから比較的大きなものまで適用可能である。さらに、図2に示す凹部7もしくは空洞10を取り囲む側壁が薄くて弱い場合でも、加圧時や生加工時等に、凹部7もしくは空洞10の周囲の薄い側壁が変形する不具合を防ぐことができる。
次に、グリーンシート1の貫通孔3に樹脂シート2を嵌め込む方法について説明する。まず、グリーンシート1の貫通孔3は、打ち抜き金型の駆動部である上金型4と、打ち抜き金型の固定部である下金型6により主に構成される打ち抜き装置によって形成される。具体的には、図1(a)に示すように、開口5が設けられた下金型6にグリーンシート1を載置し、図1(b)に示すように、上金型4をグリーンシート1の上方から下方に向けて駆動することにより打ち抜き加工を行ない、図1(c)に示すように貫通孔3を形成し、貫通孔3が形成されたグリーンシート1を得る。なお、打ち抜き装置は、上金型4を固定して下金型6を駆動可能としたものでもよい。
次に、図1(d)に示すように、同じ打ち抜き装置を用いて、樹脂シート2を貫通孔3が形成されたグリーンシート1に重ね、図1(e)に示すように、上金型4を駆動することにより、樹脂シート2の打ち抜きと、打ち抜かれた樹脂シート2の貫通孔3への嵌め込みを同時に行なう。続いて、余分な部分の樹脂シート2を取り除いて、図1(f)に示すように貫通孔3に樹脂シート2aが嵌め込まれた樹脂シート−グリーンシート複合体Aを得ることができる。
<セラミック構造体>
続いて、表面に凹部7や内部に空洞10を有するセラミック構造体の製造方法について、図2の工程図で説明する。まず、上記で説明した方法で作製した樹脂シート2aが嵌め込まれた樹脂シート−グリーンシート複合体A1と、メタライズ層から成る配線導体層8およびビア導体9が形成されたグリーンシートB1とを、図2(a)〜(c)に示すように積層してセラミックグリーンシート積層体Cを作製する。具体的には、図2(a)に示すように、樹脂シート−グリーンシート複合体A1と、グリーンシートB1とを所定の位置で積層し、図2(b)に示すように、樹脂シート−グリーンシート複合体A1およびグリーンシートB1の積層体を複数作製する。ついで、図2(c)に示すように、前記積層体を複数積層し、セラミックグリーンシート積層体Cを作製する。
続く焼成工程の初期において、図2(d)に示すように、セラミックグリーンシート積層体Cに嵌め込まれた樹脂シート2aは、熱分解溶融物2a’を含むDの状態を経て熱分解除去され、さらにセラミックを焼結させることで、図2(e)に示すように、表面に凹部7および内部に空洞10を有するセラミック構造体Eを得ることができる。
このような本発明の製造方法により、表面の凹部7および内部の空洞10の底部が加圧されて凹部7および空洞10の底部の膨らみが発生することがないので、高い積層圧力の加圧が可能となり、デラミネーションが生じないセラミック構造体Eが作製できる。
なお、本発明のセラミック構造体の製造方法における、樹脂シート−セラミックグリーンシート複合体の打ち抜き・嵌め込み方法を、逆転させたものを併用してもよい。すなわち、図1(b)のグリーンシート1の代わりに、まず、樹脂シート2を打ち抜き型で貫通し、続いて、得られた樹脂シート2の貫通孔にグリーンシート1を嵌め込んだ樹脂シート−セラミックグリーンシート複合体を併用してもよい。
この場合、樹脂シートに打ち抜き型を用いて貫通孔を形成し、引き続いて貫通孔が形成された樹脂シート上にセラミックグリーンシートを載置して打ち抜き型を用いてセラミックグリーンシート側から押圧することによりセラミックグリーンシートの一部を樹脂シートの貫通孔に嵌め込んで樹脂シート−セラミックグリーンシート複合体を作製するため、セラミック構造体の凹部もしくは空洞の側壁を形成するためのセラミックグリーンシートに加えられる、打ち抜き金型による剪断履歴は1回で済むため、凹部もしくは空洞の側壁の変形をより抑えることが可能であり、特に優れた直角度を有する凹部もしくは空洞の側壁を実現する上で、有効な手段である。従って、凹部もしくは空洞の側壁が薄くて弱い場合でも、直角度、平面度および寸法精度が高い焼結面から形成される表面の凹部もしくは内部の空洞を有するセラミック構造体を得ることができる。
<樹脂シート>
次に、本発明のセラミック構造体の製造方法に用いる、樹脂シート2(2a)の製造方法について述べる。樹脂シート2(2a)は気泡を含み、さらに、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。樹脂シート2(2a)に求められる特性としては、打ち抜き加工性(剪断加工性)、積層工程での均圧積層性、焼成工程での熱分解性が重要である。
まず、良好な打ち抜き加工性を得るために、樹脂シートに気泡を導入し、さらに、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を使用することで、樹脂シートの柔軟性,可撓性,強度,伸度を調整する。樹脂シートの打ち抜きや切断等の剪断加工の際には、気泡を介して剪断方向にクラックが生じやすいため剪断加工が容易にできる。
(気泡)
樹脂シート2(2a)への気泡形成方法について述べる。該気泡は、下記で説明する樹脂バインダーを多孔質化することにより、樹脂シート2(2a)に気泡を含ますことができる。樹脂バインダーを多孔質化して気泡を形成する手法は、特に制限されないが、例えば、熱誘起相分離法,非溶媒誘起相分離法等の高分子溶液の相分離を利用する方法、ポリマー生成時発生ガス利用,熱分解反応発生ガス利用等の化学反応発生ガス活用法、機械的な物理手法や各種発泡剤等の化学的手法等でガスを混入させる方法、樹脂ビーズを充填させて樹脂ビーズ同士の空隙を利用する方法,発泡性樹脂ビーズの使用,多孔質樹脂ビーズの使用,中空ビーズの使用等の樹脂ビーズ活用法、超臨界状態の二酸化炭素や窒素を利用したマイクロセルラープラスチック法等が挙げられる。
次に、樹脂シート2(2a)の気泡の大きさについて説明する。多孔質樹脂シートを微細複雑形状に打ち抜き加工する際の加工性や樹脂シート−グリーンシート複合体の積層工程における均圧積層性を考慮した場合、気泡の大きさは微細であり、気泡は均一に分布していることが望ましい。具体的には、気泡の平均直径は500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。そのため、前述した気泡形成方法の中でも、発泡性樹脂ビーズ,多孔質樹脂ビーズ,中空ビーズ等の各種樹脂ビーズの活用による多孔質化、もしくはマイクロセルラープラスチック法を利用することが好ましい。
また、気泡の平均直径は樹脂シートの厚みtに対し(1/3)t以下であることが望ましい。気泡の平均直径が樹脂シートの厚みtに対し(1/3)tより大きい場合には、樹脂シートの微細加工性が低下するとともに、樹脂シート自身の剛性も低下するため、高い圧力で積層した場合に樹脂シートから周囲のグリーンシートに圧力が効果的に伝わらないため、均圧積層性が低下する。なお、本発明にかかる樹脂シートの厚みtは、特に限定されるものではなく、上記した均圧積層が可能となる厚みであればよい。
このような、多孔質化した樹脂シートを製造する方法は、前述した各種多孔質化手法の選択によって異なるため目的にあわせて適宜選択すればよく、例えば、押出成形,射出成形,テープ成形等が挙げられる。
樹脂シート2(2a)の気孔率は、良好な打ち抜き加工性を得る上で40〜80%、好ましくは50〜70%程度であるのがよい。前記気孔率は、樹脂シート2(2a)内に含まれる気泡の割合を百分率で表したものであり、例えば樹脂シート2(2a)の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、全視野に占める気泡の割合から算出することができる。
(樹脂バインダー)
樹脂シート2(2a)に使用する樹脂バインダーとしては、熱分解性が優れるものであればよく、アクリル系,α−メチルスチレン系等が好ましい。アクリル樹脂としては、アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。このようなものとして,例えばメチルアクリレート,メチルメタクリレート,エチルアクリレート,エチルメタクリレート,n−プロピルアクリレート,n−プロピルメタアクリレート,イソプロピルアクリレート,イソプロピルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,n−ブチルメタクリレート,イソブチルアクリレート,イソブチルメタクリレート,t−ブチルアクリレート,t−ブチルメタクリレート,シクロヘキシルアクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,2−エチルヘキシルメタクリレート等がある。
これらのアクリル樹脂のうち、必要に応じて単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。その中でも、イソブチルメタクリレート系(IBMA)やメチルメタクリレート系(MMA)樹脂バインダーの単体若しくは共重合体が特に好ましい。また、熱分解性を損なわない範囲内であれば、アクリル樹脂と共重合が可能である、スチレン,α−メチルスチレン,アクリロニトリル,エチレン等を適宜導入しても良い。これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
(可塑剤)
さらに、樹脂シート2(2a)に柔軟性や可とう性を与えるために加えられる可塑剤としては、樹脂シートの熱分解性を損なわないものであればよく、例えば、ジメチルフタレート,ジブチルフタレート,ジ−2−エチルヘキシルフタレート,ジヘプチルフタレート,ジ−n−オクチルフタレート,ジイソノニルフタレート,ジイソデシルフタレート,ブチルベンジルフタレート,エチルフタリルエチルグリコレート,ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル系や、ジ−2−エチルヘキシルアジペート,ジブチルジグリコールアジペート等の脂肪族エステル系があり、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。中でもジブチルフタレート(DBP),ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)等のフタル酸系エステル等の可塑剤が好ましい。
(滑剤)
さらに、樹脂シート2(2a)の剪断加工性を向上させるために加えられる滑剤としては、樹脂シート2(2a)の熱分解性を損なわないものであればよく、例えば、ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ジエチレングリコールメチルエーテル,トリエチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコールエチルエーテル,ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル,トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル,エチレングリコールフェニルエーテル,エチレングリコール−n−アセテート,ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコール系、ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ジプロピレングリコールメチルエーテル,トリプロピレングリコールメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル,ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル,トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル,プロピレングリコールフェニルエーテル,エチレングリコールベンジルエーテル,エチレングリコールイソアミルエーテル等のプロピレングリコール系、グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン等のグリセリン系等が挙げられ、中でもポリエチレングリコール(PEG),グリセリンが好ましい。
また、天然ワックスおよび合成ワックス等を滑剤として用いても良い。一般的な樹脂バインダーであるアクリル樹脂等は熱分解時にモノマー単位に解重合を起こして低分子化するため、大量の分解ガスが発生するのに対し、ワックス類の多くは熱分解時に大きな分子に分解し、分子量が大きいまま気化するので、分解ガスの発生量を低減でき、分解ガス発生圧力による周囲のグリーンシートの変形やクラックの発生等を防ぐ効果がある。天然ワックスとしては、例えば、カルナバワックス,キャンデリラワックス,シュガーワックス,ライスワックス,木ロウ,ベイベリーワックス,オーキュリーワックス,エスパルトワックス,ホホバ油等の植物系ワックス、蜜蝋,昆虫ロウ,鯨ロウ,ラノリンワックス等の動物系ワックス、パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックス,ペトロラタム等の石油系ワックス、オゾケライトワックス,セレシン,モンタンワックス等の鉱物系ワックス等が挙げられる。中でもカルナバワックス,パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックスが好ましい。さらに、合成ワックスとしては例えば、酸化天然ワックス,アマイドワックス,ポリエチレンワックス,酸化ポリエチレンワックス,酸変性ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,酸変性ポリプロピレンワックス,酸変性ポリプロピレンワックス,フィッシャートロプシュワックス,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−メタクリル酸共重合体が好ましい。これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
これら可塑剤や滑剤は必要最小限の添加量に止めることが好ましい。例えば、樹脂シートが接触する部位に微細な配線導体等の導体部が形成されている製品の焼成時において、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物中に可塑剤や滑剤が多く残存している場合、それに接触する導体部中の樹脂バインダーを溶解させやすくなり、導体部の強度が低下することで導体部を変形させたり、断線させたりするなどの欠陥が生じるおそれがある。また、固体状のワックス等の一部は加熱融解時に体積膨張を引き起こすものがあるため、注意を要する。
(樹脂ビーズ)
本発明方法では、さらに良好な打ち抜き加工性や積層工程での均圧積層性を実現するためには、粉末状の樹脂ビーズを添加してもよい。この場合、樹脂シートの打ち抜きや切断等の剪断加工の際に、添加した樹脂ビーズ間に存在する樹脂層や気泡を介して剪断方向にクラックが生じやすいため剪断加工が容易にできる。また、剪断方向以外に生じたクラックの伝播が樹脂ビーズや気泡の存在で抑えられるため、剪断方向以外へのクラック伝播を抑制し、所望の形状に剪断加工できる。結果として、貫通孔と略同形状の樹脂シートの嵌め込みが可能となるので、グリーンシートを加圧し積層した際にグリーンシートの変形を防止できる。また、剛体である樹脂ビーズを存在させることによって樹脂シート自体の剛性が向上するため、高い圧力で積層した場合でも均圧積層性をより一層維持することが可能となる。
添加可能な樹脂ビーズとしては、焼成時に良好な熱分解挙動を示すものであれば特に制限されないが、アクリル系,α−メチルスチレン系等が好ましい。また、樹脂ビーズの平均粒径は1〜20μmが好ましい。平均粒径が1μm未満の場合、樹脂ビーズの凝集が問題となり、平均粒径が20μmを超える場合、樹脂シート2(2a)の表面に突起が生じ易い。なお、樹脂ビーズとして中空構造のものを使用しても良い。この場合、焼成工程の際に、樹脂シートの熱分解溶融物が少なくて済むのでグリーンシートへのシートアタックが減少するという利点がある。したがって中空構造の樹脂ビーズを用いる場合は、樹脂シートに気泡を導入した場合と同様の効果が期待できる。
樹脂ビーズの添加量は、脱バインダー時において該樹脂ビーズが発生する溶融物やガス等でグリーンシートが変形したりクラック等を発生することがない量であり、具体的には、樹脂バインダー100重量部に対して50〜150重量部程度であるのがよい。
<熱分解性>
一方、樹脂シート2(2a)の熱分解性は、それが載置されるグリーンシートに含まれる樹脂バインダーおよび樹脂シートが接する導体部に含まれる樹脂バインダーよりも優れている、すなわち、熱分解しやすいことが好ましい。
具体的には、樹脂シート2(2a)の熱分解性は、樹脂シート2(2a)と接触するグリーンシートに含まれている樹脂バインダーよりも優れていることが好ましい。すなわち、グリーンシート中の樹脂バインダーが熱分解(脱脂)してグリーシート中の残存樹脂バインダー量が減少するに伴ってグリーンシートの強度が低下し、脆くなったグリーンシート上で遅れて樹脂シート2(2a)が熱分解した場合、加熱によって液状になった高粘度の樹脂シート2(2a)の溶融物が、脱脂後に脆くなったグリーンシートの表面で沸騰に伴う上下左右への振動運動を伴いながら熱分解するため、その熱分解部分に接するグリーンシートの表面が部分的にえぐり取られることでその表面が侵食破壊される現象を解消することができる。
一方、樹脂シートが接触する部位に配線導体等の導体部が形成されている場合、樹脂シート2(2a)の熱分解性は、それと接する導体部に含まれる樹脂バインダーよりも優れていることが好ましい。より具体的には、樹脂シート2(2a)と接する導体部に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度を、樹脂シート2(2a)が載置されるグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度以上になるように設定すれば良い。これによって、焼成の際に樹脂シート2(2a)の大半が熱分解した後に、導体部に含まれる導体ペースト用の樹脂バインダーの熱分解が開始されるため、大量の溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が残存している段階では、それに接触する導体部中の樹脂バインダーは熱分解を開始していないことから、導体部の強度が十分維持される。従って、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が導体部中の樹脂バインダーを溶解させることで導体部を変形させたり、断線させたりするなどの欠陥のない信頼性の高いセラミック構造体を作製することが可能となる。
一方、樹脂シート2(2a)は、気泡を含む多孔質性樹脂シートと気泡を含まない緻密な樹脂シートの組み合わせや、異種材料からなる樹脂シート同士の組み合わせ等のように構造的,材料組成的に多層構造、すなわち、樹脂シート2を熱分解性が異なる複数の樹脂シートを積層した樹脂シート積層体として構成することもできる。これにより、樹脂シート2(2a)内部において熱分解性,機械物性,粘弾性等を変化させることが可能となる。なお、樹脂シート積層体は、前記樹脂シート−グリーンシート複合体を複数枚積層して構成してもよい。
熱分解性に差を持たせることは、特に、以下に述べる理由から有効である。
樹脂シート積層体である樹脂シート2(2a)の熱分解は、上層部から下層部に向けて順次熱分解を開始し、最終的に最下層部で熱分解が完了することが好ましい。すなわち、樹脂シート2の上層部は、下層部よりも熱分解性の点で優れていることが好ましい。さらには、熱分解に時間差を持たせるために、焼成工程の初期段階において複数段の脱バインダー工程を設けることが好ましい。
樹脂シート2の上層部と下層部の熱分解性に差を持たせることによる効果について説明する。グリーンシート積層体に嵌め込まれた上層部の樹脂シートが第一の脱バインダー工程で熱分解除去される段階では、隣接するグリーンシートおよび導体部は最下層部の樹脂シートで保護されているため、上層部の樹脂シートの熱分解過程で生じる溶融物によるダメージを受けることを防ぐことが可能となる。続く第二の脱バインダー工程によって最下層部の樹脂シートを取り除くことで、樹脂シートに隣接するグリーンシートおよび導体部は樹脂シートの溶融物によるダメージを最小限に抑えることが可能となる。これらの効果は、図2(e)に示すグリーンシートの凹部7や空洞10に嵌め込まれる樹脂シート2の量が多い場合に特に顕著である。つまり、グリーンシートの凹部7や空洞10に嵌め込まれる樹脂シート2の量が多い場合、前述した樹脂シート2の熱分解時の溶融物による悪影響や、溶融物が熱分解する際に大量に発生する分解ガスの圧力によるグリーンシートのクラック,変形等の悪影響を受ける可能性がある。
このように樹脂シート2の熱分解性に差を持たせる手段として、例えば、上層部と最下層部を構成する樹脂バインダー等の材料を変えることが挙げられる。すなわち、上層部の樹脂シートの材料は最下層部の樹脂シートよりも熱分解性に優れたものを選定する。また、上述したように熱分解性に差を持たせるように複数の樹脂シートを個別に作製して組み合わせる方法に加えて、最下層部の樹脂シートの上部にテープ成形やコーティング等の手法によって上層部の樹脂シートを形成することで、樹脂シート2内部において熱分解性を傾斜的に変化させてもよい。この際、本発明の製造方法において使用される気泡を含む多孔質樹脂シートと気泡を含まない樹脂シートを組み合わせて使用しても構わない。
以上のことから、本発明において、グリーンシート積層体を形成する各材料の熱分解性は、N2雰囲気中、昇温速度10℃/分で600℃まで熱重量示差熱分析(TG/DTA)を差動型高温熱天秤(理学電機(株)製「TG8120」)で行なった場合、樹脂シート2の上層部の80%重量減少温度をTa℃、最下層部の80%重量減少温度をTb℃、樹脂シート2が載置されるグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をTc℃としたときに、Ta<Tb≦Tcの関係を満たすことが好ましい。また、樹脂シート2(2a)が600℃以下において99重量%以上熱分解することが好ましい。
一方、樹脂シート2が接触する部位に配線導体等の導体部が形成されている場合、導体部に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をTc℃以上に設定することが好ましい。
なお、本発明のセラミック構造体の焼成時における脱バインダー工程の温度プロファイルは、大半の樹脂シート上層部が熱分解する温度であるTa℃付近を所定時間、例えば1時間から6時間維持して十分に樹脂シート上層部を熱分解除去する第一の脱バインダー工程と、続けてTb℃を所定時間、例えば1時間から6時間維持して十分に樹脂シート最下層部を熱分解除去する第二の脱バインダー工程と、続けてTc℃を超える温度を所定時間、例えば1時間から6時間維持して行なう第三の脱バインダー工程に分けて行なうことが好ましい。このような保持時間は、樹脂バインダーの量および材料によって上記範囲内で変化するものである。
これにより、大部分の樹脂シート2(2a)を熱分解させた後に、グリーンシートおよび導体部の樹脂バインダーが熱分解を開始することが可能となり、樹脂シート2(2a)の溶融物が残存する段階では、グリーンシートおよび導体部中の樹脂バインダーは熱分解を開始していないことから、十分な強度を維持できる。そのため、樹脂シート2(2a)の溶融物がそれに接触するグリーンシートおよび導体部を侵食破壊することを防ぐことができる。また、Tc℃を超える温度を所定時間維持することで、グリーンシートおよび導体部の樹脂バインダーも十分に熱分解させることができる。
<体積>
続いて、本発明の表面の凹部や内部の空洞を有するセラミック構造体の製造方法における、表面の凹部や内部の空洞に嵌め込む樹脂シート2の体積について説明する。表面の凹部や内部の空洞に嵌め込む樹脂シート2の体積は、体積Vであるセラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位および空洞となる空隙部位に対して、0.8V〜1.1V(占有体積には樹脂シート内部に含まれる気泡体積を含む)に設定することで均圧積層することができる。実際は、積層圧力,積層温度等の積層条件によって、嵌め込む樹脂シートの最適体積比は若干異なるが、上記した範囲内で樹脂シートの最適体積比を任意に選定すればよい。
さらに、樹脂シートが熱分解する際の溶融状態での体積Vliq.は0.2V〜0.6Vである。この樹脂シート溶融物体積は、主に樹脂シートに導入する気泡の体積比で調整可能である。ここで、Vliq.を0.2Vより低く設定するように樹脂シート中の気泡の割合を増した場合には、樹脂シートの強度が低下する為、樹脂シートの加工性の低下を招き、微細複雑形状な加工が困難となる場合がある。さらには、グリーンシートに樹脂シートを嵌め込ませた図1(f)に示す樹脂シート−グリーンシート複合体Aを用いて積層加工を行なう際、樹脂シートの強度が低いために均圧積層が困難となり、種々の不具合の原因となり本発明方法の効果を十分に発揮できない場合がある。一方、Vliq.を0.6Vより高く設定するように樹脂シート中の気泡の割合を減らした場合には、逆に樹脂シートの強度が増すために、樹脂シートの加工性が低下する恐れがある。また、グリーンシートに嵌め込まれた樹脂シートが熱分解する際、(V−Vliq.)の空隙体積が小さいため、樹脂シートの熱分解ガスを無理なく外部に放出させることが困難となる。従って、樹脂シートの熱分解ガスの圧力による周囲のグリーンシートのクラック,変形等の悪影響を招く恐れがある。
一方、樹脂シート2は、グリーンシートの凹部7となる部位および空洞10となる部位に形成された貫通孔に載置されるが、その貫通孔の少なくとも底面全面に樹脂シート2下面が接するように載置または設置されるのがよい。この場合、貫通孔の底面全面に積層圧力を加えることができ、その底面の変形を防止することができる。また、上記貫通孔の少なくとも底面全面および内側面の下側全周に、樹脂シート2の下面および側面が接するように、樹脂シート2が載置または設置されるのがよい。この場合、上記貫通孔の側面側が弱い場合であっても、積層圧力による貫通孔の側面側の変形や破壊を防ぐことができる。さらには、上記貫通孔の底面全面および内側面全周に、樹脂シート2の下面および側面が接するように、樹脂シート2が載置または設置される(充填される)のがよい。この場合、上記貫通孔の内面全面の変形を防ぐことができる。
このようにして製造された本発明方法によるセラミック構造体の表面の凹部7および内部の空洞10は、その内面が焼結されたままの焼結面から成る状態において、長手方向に垂直な断面における断面積の偏差が±5%以下、内面の平面度が30μm以下であり、さらに、凹部および空洞は長手方向に垂直な断面における断面形状が四角形であるとともに、底面の平面度が30μm以下、内側面の平面度が30μm以下であり、さらに、長手方向に垂直な断面における底面と内側面との間の角部の曲率半径が50μm以下、内側面と底面とのなす角度が90°±3°であるのが好ましい。ここで言う平面度とは、日本工業規格に定義されたものに基づいたものである(例えば、参考文献1:「JIS工業用語大辞典(第4版)」,p1747,1995年、参考文献2:「JIS B6191(工作機械−静的精度試験方法および工作精度試験方法通則)」,p20〜26,1999年参照)。
このように本発明方法のセラミック構造体における凹部もしくは空洞は、高い直角度、平面度および寸法精度を有する焼結面から成るため、切削や表面処理等の特別な平坦化処理を行なう必要が無い。従って、表面の凹部もしくは内部の空洞に電子部品等を搭載する場合、ボンディング不良等の不具合を防ぐことができる。さらに、本発明のセラミック構造体における凹部もしくは空洞は断面積の偏差が小さいため、流体の流路としてセラミック構造体をマイクロ化学チップ等とする場合は、流量や流速を一定にすることが可能となる。
一方、曲率半径もまさに設計通りのセラミック構造体を得ることができるため、表面の凹部もしくは内部の空洞に電子部品等を搭載する場合、凹部もしくは空洞の有効体積を最大化できるため電子部品等の搭載密度を高めることができる。さらに、内部の空洞を流体の流路とする場合は、設計通りの流量や流速を実現することが可能なる。
なお、本発明方法のセラミック構造体における凹部もしくは空洞は、高い直角度、平面度および寸法精度を有する焼結面から成るため、切削や表面処理等の特別な平坦化処理を行なう必要が無いものであるが、必要に応じて凹部もしくは空洞の内面に軽く研磨処理や切削処理を施してもよい。その場合、さらに高い直角度、平面度および寸法精度が得られることとなる。さらには、本発明のセラミック構造体をマイクロ化学チップとして使用する場合は、各種化学薬品等に対する耐性,濡れ性,撥水性,表面張力,構成成分の溶出,表面の極性,表面の官能基等、被処理流体に影響を与える要因を考慮して各種表面処理を施してもよい。
このような本発明方法による、表面の凹部7および内部の空洞10の少なくとも一方を有する複雑な形状のセラミック構造体の用途例としてマイクロ化学チップが挙げられる。微細加工技術の進展に伴い、化学,生化学における分析,生産のための操作や反応を微細加工されたチップ等を用いてフローシステムを構築する開発が進んでおり、マイクロフルイディクス,μ−TAS(Micro Total Analysis System),MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;微小電子機械システム),BioMEMS(Bio Micro Electro Mechanical Systems)等の分野に応用されつつある。
例えば、μ−TASでは、一般的に10センチから数センチ角程度以下のガラス,シリコン,セラミック等のチップ表面に溝を形成し、その溝中に被処理流体を流して、分離,分析,反応,生産,精製,遺伝子解析等を行なっている。フローシステムの微小化は、被処理流体量の低減化,迅速化,比表面積の増加による効率向上化,生産性向上化等に有効である。
フローシステムは流路,ポンプなどの送液機構,液溜め,弁,屈曲管,分岐管,合流管,拡大管,反応槽,分離領域,検出用フローセル,加熱部,冷却部,pH調整部,レーザ照射部,放射線照射部,検査部等から構成される。また、電極,電子回路,各種センサー,各種アンテナ等を搭載することで被処理流体の電気泳動,各種データの無線による送信等も可能である。
さらに、機械,電子,光,化学,生化学等の複合機能を一体化,集積化,小型化,高機能化するためには、同一基板上にメタライズ配線や流路等の凹部構造を混在させて形成する技術や複数基板を三次元的に積層する技術が重要である。これらの技術は、本発明の製造方法を応用することで実現可能となる。
なお、本発明の製造方法を応用して作製したマイクロ化学チップはセラミック製となるが、化学的耐久性,透明性,電気絶縁性等に優れた他の材料で形成したマイクロ化学チップを組み合わせてもよい。例えば、ガラス,石英ガラス等のガラス類、アクリル系樹脂,ポリカーボネート,シリコーンゴム等の樹脂類、これらの複合材料、もしくはこれらの組合せによって形成したものが挙げられる。これらの材料は、酸,アルカリ,各種化学薬品等に対する耐性,濡れ性,撥水性,表面張力,構成成分の溶出,表面の極性,表面の官能基等、被処理流体に影響を与える要因を考慮して選択することが好ましい。
本発明の製造方法を応用して得られたマイクロ化学チップにおいて用いられる被処理流体としては、純水,各種水溶液,コロイド液,懸濁液,血液,尿,体液,核酸類(DNA,RNA等),蛋白質類(抗原,抗体,レクチン,アドヘシン,各種生理活性物質の受容体,ペプチド等),糖類,細胞,各種培養液,培養抽出液,反応液,有機溶媒,各種化学薬品およびそれらの混合液等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
一方、このような本発明による、表面の凹部7および内部の空洞10の少なくとも一方を有する複雑な形状のセラミック構造体の他の用途例としては、以下のようなものが挙げられる。
例えば、
(1)凹部7や空洞10の内面に導体層を形成して成る導波管や導波管回路基板、または凹部7や空洞10に導体を充填して成る回路配線やコンデンサ,インダクタンス等を有する配線基板、
(2)(1)の導波管回路基板や配線基板を用いた、LSI等の半導体集積回路素子,水晶振動子等の圧電振動子,フォトダイオードやCCD素子等の受光素子,各種センサー素子,各種電子部品等を収納するための電子部品収納用パッケージ、
(3)(1)の導波管、導波管回路、配線基板を用いたミリ波回路、ミリ波回路を用いた自動車等用のミリ波レーダー、
(4)凹部7の底面に導体層が形成されるとともに凹部7の内側に誘電体線路が設置され、凹部7が導体板で塞がれて成る非放射性誘電体線路、それを用いた自動車等用のミリ波レーダー、
(5)内部に酸素ガス,水素ガス,アルコール,炭化水素ガス等が流通するための流路が形成された燃料電池や燃料電池用改質器、
(6)圧電材料から成り、内部に形成された空洞10や流路からインクを圧電効果により外部に放出するインクジェットプリンターヘッド、
(7)圧電材料から成り、凹部7や空洞10を形成して成るアクチュエーター等の圧電素子、
(8)凹部7や空洞10の内面に電子部品等を搭載するための導体層が形成された光学用途の部品,基板、凹部7や空洞10によって光路が形成された光学用途の部品,基板、
(9)内部にフラクタル構造の複数の空洞10が形成された電波吸収体、
(10)DPF(Diesel Particulate Filter)等のハニカム形状の空洞10が形成されたフィルター類、
(11)PDP(Plasma Display Panel),FED(Field Emission Display)等の背面板等の多数の凹部7が形成されたディスプレイ部品、
等がある。
以下、実施例を挙げて本発明方法についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6]
<1.グリーンシートの準備>
SiO2,Al23,CaO,ZnO,B23からなるガラスセラミック原料粉末100重量部に対して、メチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合組成物のバインダーを11重量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを5重量部添加し、トルエンを有機溶剤としてボールミルにより36時間混合しスラリーを調製した。得られたスラリーを用いてドクターブレード法により成形、乾燥して、厚さ0.25mmおよび1.5mmのグリーンシートを作製した。次に、このグリーンシートの一部に直径200μmの貫通孔(スルーホール)をパンチングで形成した。
続いて、下記スルーホール充填用の導体ペーストを、グリーンシートに形成されたスルーホールにスクリーン印刷法によって充填した。次に、下記配線用の導体ペーストを用いてスクリーン印刷法によって、それぞれ膜厚15μmの配線パターンを印刷塗布し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させてメタライズ配線を形成した。
<2.導体ペーストの作製>
(2−1)スルーホール充填用の導体ペースト(ビア導体形成用の導体ペースト)
Cu粉体100重量部に対し、メチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合組成物の樹脂バインダーを(グリーンシートと共通のものを使用)2重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を4重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP:ジ−2−エチルヘキシルフタレート,DBP:ジブチルフタレートの混合物)を2重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー等の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
(2−2)配線用の導体ペースト
Cu粉体100重量部に対し、メチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合組成物の樹脂バインダーを(グリーンシートと共通のものを使用)3重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を10重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を10重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー等の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
<3.樹脂シートを用いたセラミック構造体の作製>
樹脂シート2を用いて図2のグリーンシート積層体を形成した。まず、イソブチルメタクリレートの樹脂バインダー100重量部に対して、DOP3重量部、ポリエチレングリコール3.5重量部から成る樹脂組成物に対して気泡を導入して表1に示す気泡平均直径および溶融状態体積を有する状態に調製された、厚さ1.5mmの樹脂シート2を用意した。さらに、図1の打ち抜き法によって、グリーンシートA1(縦50mm×横50mm×厚さ1.5mm、貫通孔部分:縦50mm×横5mm×深さ1.5mm)に樹脂シート2aを嵌め込んだ。
続いて、アクリル樹脂,溶剤,フタル酸エステル系の可塑剤より成る接着剤を塗布したグリーンシートA1および厚さ0.25mmであるグリーンシートB1を4.9MPaの圧力で積層することにより複数枚のグリーンシートを一体化し、内部配線を有するグリーンシート積層体Cを作製した。なお、樹脂シート2aの占有体積は、体積Vであるセラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位および空洞となる空隙部位に対して0.2V〜0.6V(占有体積には樹脂シート内部に含まれる気泡体積を含む)に設定した。
次に、このグリーンシート積層体Cを、Al23系セッターに載置して窒素,水素,水蒸気の混合雰囲気焼成炉内にて、樹脂シート2aの80%重量減少温度付近である310℃で3時間保持して、十分に樹脂シート2aの除去を行なった。
その後、さらにグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度を超える温度領域である850℃を3時間保持して、さらに脱バインダーを行ない、続けて950〜1000℃で焼成することで、表面の凹部および内部に空洞構造を有するセラミック構造体を作製した。
[実施例7]
樹脂シート2の構成物において、平均粒径10μmの架橋イソブチルメタクリレートの樹脂ビーズをイソブチルメタクリレートの樹脂バインダー100重量部に対して100重量部追加したものに、DOP6重量部、ポリエチレングリコール7重量部から成る樹脂組成物に対して気泡を導入し、表1に示す気泡平均直径および溶融状態体積を有する樹脂ビーズと気泡が混在した樹脂シート2を作製した。他の条件は実施例1〜6と同様にしてセラミック構造体を作製した。
[実施例8]
樹脂シート2の構成において、上下2層構造からなる樹脂シートを作製した。すなわち、上層部を構成する樹脂シートは、イソブチルメタクリレートの樹脂バインダー100重量部に対して、DOP3重量部、ポリエチレングリコール3.5重量部から成る樹脂組成物に対して気泡を導入して厚さ1mmに調製した。一方、最下層部を構成する樹脂シートは、n−ブチルメタクリレートの樹脂バインダー100重量部に対して、DOP3重量部、ポリエチレングリコール3.5重量部から成る樹脂組成物に対して気泡を導入して厚さ0.5mmに調製した。これらを上下に組み合わせて、表1に示す気泡平均直径および溶融状態体積を有する厚さ1.5mmの樹脂シート2を用意した。他の条件は実施例1〜6と同様にしてグリーンシート積層体Cを作製した。
次に、このグリーンシート積層体Cを、Al23系セッターに載置して窒素,水素,水蒸気の混合雰囲気焼成炉内にて、上層部を構成する樹脂シートの80%重量減少温度Ta℃付近である310℃で3時間保持して、十分に上層部の樹脂シートの除去を行なった後、最下層部の樹脂シートの80%重量減少温度Tb℃付近である330℃で3時間保持して、十分に最下層部の樹脂シートの除去を行なった。
その後、さらにグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度Tc℃を超える温度領域である850℃を3時間保持して、さらに脱バインダーを行ない、続けて950〜1000℃で焼成することでセラミック構造体を作製した。
[比較例1および2]
樹脂シート2に導入する気泡を、表1に示す気泡平均直径および溶融状態体積を有するように導入した以外は、実施例1〜6と同様にしてセラミック構造体を作製した。
[比較例3]
樹脂シート2に気泡を導入しない以外は実施例1〜6と同様にしてセラミック構造体を作製した。
[比較例4]
樹脂シート2aを嵌め込まない以外は実施例1〜6と同様にしてセラミック構造体を作製した。
上記で得られた実施例1〜8および比較例1〜4の各セラミック構造体について、底面の平面度および構造不良の評価を行った。各評価方法を以下に示すと共に、その結果を表1に併せて示す。
<底面の平面度の評価方法>
凹部7および空洞10の底面の平面度は、日本工業規格に定義されたものに基づき、高速三次元形状測定システム(「EMS98AD−3D100XY」コムス社製)を用いて評価し、全ての測定部位の平均値を示した。
<構造不良の評価方法>
凹部7もしくは空洞10を取り囲む壁面部に構造不良がないか走査型電子顕微鏡で観察した。
Figure 2007062186
表1より、実施例1〜6では、溶融状態体積Vliq.が0.2V〜0.6Vである樹脂シート2を嵌め込んだ状態で加圧積層を行なったため、変形が抑制されて、優れた寸法精度を有するセラミック構造体を得ることができた。また、平均直径が使用した樹脂シートの厚みt=1.5mmに対し、(1/3)t=0.5mm(=500μm)以下である気泡を含む樹脂シート2を嵌め込んだ状態で加圧積層を行なったため、凹部7および空洞10の底面において平面度が30μm以内であり、優れた寸法精度のセラミック構造体が得られた。
また、実施例7では、樹脂シートに樹脂ビーズと気泡を介在させた構造になっていることから、剛体である樹脂ビーズの存在で樹脂シート自体の剛性が向上するため、高い圧力で積層した場合でも均圧積層性をより一層維持することが可能であるうえ、熱分解時の種々の不具合を低減する効果があるため良好な結果を得ることが出来た。さらに、実施例8では、樹脂シートを熱分解性の異なる上下2層構造を形成すると共に、脱バインダー工程を多段階に分けて実施することで樹脂シートの熱分解が上層部から最下層部へ順序良く起こったため、良好な形状のセラミック構造体を得ることができた。
一方、比較例1では、平均直径が(1/3)t(=500μm)以下である気泡を含むものの、溶融状態体積Vliq.が0.2Vより低い0.1Vである樹脂シート2を嵌め込んだ状態で加圧積層を行なったため、空隙体積(V−Vliq.)が大きくなり、結果として樹脂シート強度が低くなったために均圧積層が困難となり、凹部7および空洞10の底面における平面度が低下した。
比較例2では、平均直径が(1/3)t(=500μm)以下である気泡を含むものの、溶融状態体積Vliq.が0.6Vより高い0.7Vである樹脂シート2を嵌め込んだ状態で加圧積層を行なったため、空隙体積(V−Vliq.)が小さくなり、樹脂シートの熱分解ガスを無理なく外部に放出させることが困難となり、樹脂シートの熱分解ガスの圧力によって周囲のグリーンシートの一部に亀裂が生じたため、凹部7および空洞10の底面の平面度も低下した。
比較例3では、気泡を含まない樹脂シートを使用したため、事実上、溶融状態体積Vliq.が1.0Vとなり、空隙体積(V−Vliq.)が無いため、樹脂シートの熱分解ガスを無理なく外部に放出させることが困難となり、樹脂シートの熱分解ガスの圧力によって周囲のグリーンシートの一部に亀裂が生じたため、凹部7および空洞10の底面平面度も低下した。
一方、比較例4では、樹脂シート2を充填しなかったため、加圧積層時に凹部7および空洞10の底面に圧力がかからないため変形し、凹部7および空洞10の平面度が大きくなった。
(a)〜(f)は、本発明方法におけるグリーンシートに樹脂シートが嵌め込まれた樹脂シート−グリーンシート複合体の作製方法を説明する各工程図である。 (a)〜(e)は、本発明方法のセラミック構造体の製造方法を説明する各工程図である。
符号の説明
1:セラミックグリーンシート 2,2a:樹脂シート(図中の黒部分は樹脂成分、白部分は気泡を示す)
2a’:焼成工程途中における樹脂シート熱分解溶融物 3:貫通孔 4:上金型 5:開口 6:下金型
7:凹部 8:配線導体層 9:ビア導体 10:空洞 A,A1:樹脂シート−グリーンシート複合体 B1:セラミックグリーンシート C:セラミックグリーンシート積層体
D:焼成工程途中におけるセラミックグリーンシート積層体
E:表面に凹部および内部に空洞を有するセラミック構造体

Claims (8)

  1. セラミックグリーンシートを複数枚積層し焼成することによって、表面の凹部および内部の空洞の少なくとも一方を有するセラミック構造体を製造するに際して、
    体積Vである前記セラミックグリーンシートの前記凹部となる空隙部位および前記空洞となる空隙部位に占有体積0.8V〜1.1Vである樹脂シート(占有体積には樹脂シート内部に含まれる気泡体積を含む)を載置する工程と、
    前記セラミックグリーンシートを複数枚積層する工程と、
    前記セラミックグリーンシートの積層体を焼成する際に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程とを含み、
    前記樹脂シートは気泡を含み、かつ該樹脂シートが熱分解する直前の溶融状態体積Vliq.が0.2V〜0.6Vである関係を満たすことを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
  2. 前記樹脂シートは、600℃において99重量%以上熱分解する請求項1記載のセラミック構造体の製造方法。
  3. 前記樹脂シートは、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を含む請求項1または2記載のセラミック構造体の製造方法。
  4. 前記樹脂シートに含まれる前記気泡の平均直径は、前記樹脂シートの厚みtに対し(1/3)t以下である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  5. 前記樹脂シートが樹脂ビーズを含む請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  6. 前記セラミックグリーンシートの凹部となる空隙部位および空洞となる空隙部位に樹脂シートを載置する工程において、
    セラミックグリーンシートに前記凹部または空洞を構成する貫通孔を形成する工程と、
    該貫通孔に樹脂シートを嵌め込み、樹脂シート−グリーンシート複合体を形成する工程と、
    該樹脂シート−グリーンシート複合体を複数枚積層する工程とを含む請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  7. 前記セラミックグリーンシートの積層体を焼成する際に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程において、前記樹脂シートの上層部の80%重量減少温度をTa℃、樹脂シートの最下層部の80%重量減少温度をTb℃、樹脂シートが載置されるグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をTc℃としたときに、Ta<Tb≦Tcの関係を満たす請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  8. 前記Ta℃で樹脂シートの上層部を熱分解除去する第一の脱バインダー工程と、続けて前記Tb℃で樹脂シートの最下層部を熱分解除去する第二の脱バインダー工程と、続けて前記Tc℃を超える温度でグリーンシートに含まれる樹脂バインダーを熱分解除去する第三の脱バインダー工程とを含む請求項7記載のセラミック構造体の製造方法。
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