JP4511215B2 - セラミック多層配線基板の製造方法 - Google Patents

セラミック多層配線基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化し焼成して成るセラミック多層配線基板の製造に関し、詳細には、電子部品などを収納するための凹部および配線パターンを具備するセラミック多層配線基板の製造に関する。
従来、セラミック多層配線基板は、絶縁層が複数積層された絶縁基板の表面または内部にメタライズ配線層が配設された構造からなっている。このような構造のセラミック多層配線基板の代表的な例として、IC,LSI等の半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージ等が挙げられる。このような半導体素子収納用パッケージとしては、絶縁層がアルミナセラミックス等のセラミックスから成るものが多用され、さらに最近では、銅メタライズと同時焼成が可能なガラスセラミック焼結体から成る絶縁層を積層した絶縁基板を用いたものも実用化されている。
このようなセラミック多層配線基板の製造においては、所定の比率で調合したセラミック原料粉末に、適当な樹脂バインダーを添加し、有機溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、従来周知のドクターブレード法やリップコーター法等のキャスト法により、所定厚みのセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を成形する。
次に、メタライズ配線層として、適当な金属粉末に樹脂バインダー、溶剤、可塑剤を添加混合して得た金属ペーストを上記のグリーンシートに周知のスクリーン印刷法により、所定形状のパターンに印刷塗布するとともに、マイクロドリルやレーザでスルーホールを形成し、この貫通孔内に金属ペーストを充填して貫通導体(ビア導体、ビアホール)を形成する。
続く工程は、(1)電子部品などを収納するための凹部を有するセラミック多層配線基板の場合と、(2)凹部以外の配線パターンもしくはスルーホールに充填したビア導体等の導体部を有するセラミック多層配線基板の場合に分けて説明する。
(1)の場合、電子部品を収納する凹部を形成するために、グリーンシートの所定の箇所に貫通穴を打ち抜き加工を行う。その後、図3の従来法の工程図における(a)に示すように、上記貫通穴20が形成されたグリーンシート21a,21bを他のグリーンシート21c,21d,21eとともに、適当な密着液を用いて複数積層し、得られた凹部22を具備するグリーンシート積層体を所定の条件で焼成することによって、図3(b)に示すようなセラミック多層配線基板23が得られる。
(2)の場合、図4の工程図に示すように、導体部が形成されたグリーンシート25を他のグリーンシート26とともに、適当な密着液を用いて複数積層し、得られたグリーンシート積層体を所定の条件で焼成することによって、セラミック多層配線基板27が得られる。なお、図4において2は樹脂シートを示す。
特開2003−318541号公報 特開2003−332741号公報
このようなセラミック多層配線基板(以下、基板ともいう)においては、近年多機能、高機能化に伴い基板の小型化を成すうえで、配線パターンおよびビアホールの微細化が進められ、積層の際にグリーンシートが変形するのを防止することが不可欠となっている。さらに、セラミック多層配線基板の凹部のLSIチップ等の電子部品の搭載面に配線を施した形態への対応も望まれている。
しかし、凹部を具備するセラミック多層配線基板は、凹部を構成する貫通穴が形成されたグリーンシートと貫通穴が形成されていないグリーンシートとを加圧し積層する際、凹部とそれ以外の部分とで圧力差が生じることにより、圧力を受ないグリーンシート積層体の凹部底部に膨らみが生じるので、凹部底部に電子部品を搭載する際にボンディング不良を誘発する場合がある。また、この問題を解決するために加圧圧力を低下させると、凹部周辺部の密着に必要な圧力が減少することとなり、グリーンシート間に剥離(デラミネーション)が生じるので、構造欠陥のない信頼性の高い基板を得ることが困難であった。
そこで、これらの問題を解決する手法として、焼成時に熱分解することで除去できる樹脂シートをグリーンシート積層体の凹部内部に充填して積層する方法(図2)や、凹部以外の導体部を保護する目的で樹脂シートを導体部が形成された基板上に配置して積層する方法(図4)が考えられる。
また、樹脂シートに接触するグリーンシート中の樹脂バインダーが熱分解(脱脂)してグリーシート中の残存樹脂バインダー量が減少するに伴ってグリーンシートの強度が低下し、脆くなったグリーンシート上で遅れて樹脂シートが熱分解した場合、加熱によって液状になった高粘度の樹脂シートの溶融物が、脱脂後に脆くなったグリーンシートの表面で沸騰に伴う上下左右への振動運動を伴いながら熱分解するため、その熱分解部分に接するグリーンシートの表面が部分的にえぐり取られ、その表面が侵食破壊される不具合もあった。
また、多機能、高機能化に伴い基板は小型化、薄層化される傾向にあるセラミック多層配線基板に形成される配線パターンおよびビアホールは微細化が進んでおり、これら導体部がセラミック多層配線基板の内部に存在する場合、導体部を形成した際に生じる導体部の厚みによる高低差によって生じる空隙を、積層時において厚みが薄いグリーンシートの塑性変形のみで完全に無くすことは困難である。その結果、焼成後の製品に層間密着不良(デラミネーション)や反り変形が発生するという問題があった。一方、表層部に配線パターンもしくはスルーホールに充填したビア導体等の導体部を有するセラミック多層配線基板を複数積層する際、表層の導体部が金型で押しつぶされて変形する不具合があり、配線の微細化および抵抗低減化のために表層の配線を細く厚くした場合に、特に顕著であった。
これらの問題を解決する手段として、導体部が形成されない領域にセラミック層と同じセラミック成分を含むセラミック充填層をスクリーン印刷法で形成し、更に、加圧平坦化を行う方法がある(図2のEおよび図4のE)。
しかしながら、セラミック充填層の粘弾性のバランスを適切に制御していない場合に加圧平坦化を行なうと、セラミック充填層に隣接する導体部を変形させること無く平坦化することは困難である。つまり、セラミック充填層の乾燥状態でのtanδ=(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)が、導体部の乾燥状態でのtanδよりも小さい場合、加圧時に、弾性的挙動がより支配的であるセラミック充填層側から、粘性的挙動がより支配的である導体部側に応力が加わることによって、導体部が大きく変形を受ける不具合が生じやすくなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、層間剥離および凹部の変形を防止し、LSIチップなどの電子部品を搭載する際にボンディング不良といった電気不良を未然に防止するのに適した、セラミック多層配線基板の製造方法を提供することである。また、第2の目的は、配線パターンもしくはスルーホールに充填したビア導体等の導体部の変形を防止するのに適した、セラミック多層配線基板の製造方法を提供することである。
本発明のセラミック多層配線基板の製造方法は、導体ペーストを用いて導体部を形成したセラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化し焼成して成るセラミック多層配線基板を製造するに際して、前記セラミックグリーンシートの表面に導体部を形成するとともに該導体部が形成されていない部位に前記セラミックグリーンシートと同じセラミック成分を含んだセラミック充填層を形成する工程と、前記導体部および前記セラミック充填層が形成された前記セラミックグリーンシート上に樹脂シートを載置する工程と、該樹脂シートが載置された前記セラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化する工程と、一体化した前記樹脂シートおよび前記セラミックグリーンシートを焼成中に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程とを含み、前記樹脂シートの80%重量減少温度をT℃、前記導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃、前記セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃としたときに、T≦TかつT≦Tの関係を満たし、前記導体ペーストを印刷後に乾燥させたものの(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)で表される損失正接tanδをtanδ 、前記セラミック充填層を印刷後に乾燥させたもののtanδをtanδ としたときに、tanδ ≦tanδ の関係を満たすことを特徴とする。
本発明において好ましくは、前記樹脂シートは600℃において99重量%以上熱分解することを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記樹脂シートは、樹脂ビーズと、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方とを含むことを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、焼成中に前記樹脂シートの80%重量減少温度T℃を所定時間維持して前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程と、前記セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、焼成中に前記導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程を含むことを特徴とする。
本発明のセラミック多層配線板の製造方法によれば、グリーンシートの表面に導体部を形成し、さらに導体部が形成されていない部位にグリーンシートと同じセラミック成分を含んだセラミック充填層を形成するようにしたことから、グリーンシートの表面が略平坦となるので加圧し積層した際にグリーンシートの変形を防止することができる。さらに、グリーンシートとセラミック充填層のセラミック成分を同じにしたので、焼成の際の焼結温度が等しくなり、焼成が同時に進行して密着力が強くなる効果がある。
また、樹脂シートを導体部が形成されたグリーンシート上に配置し、このグリーンシートを複数枚加圧して積層するようにしたことから、加圧し積層する際に樹脂シートが緩衝材となり、積層するに充分な加圧圧力を略均等にグリーンシート全域に得ることができるので、導体部の断線やグリーンシート積層体の変形を未然に防止することができ、配線パターンおよびビアホールを微細にすることができる。
さらに、樹脂シートの80%重量減少温度をT℃、導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃、樹脂シートと接触するセラミックグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃としたときに、T≦TかつT≦Tの関係を満たす樹脂シートを用いるので、このグリーンシート積層体を焼成する際に、樹脂シートの大半が熱分解した後に、樹脂シートに接触する導体部やグリーンシートに含まれる樹脂バインダーの熱分解が開始するので、導体部やグリーンシートの強度が十分維持され、導体部の断線およびグリーンシートの変形を未然に防止することが可能となる。また、凹部を有する基板の場合においても、グリーンシートの貫通穴に樹脂シートを嵌め込み、複数枚のグリーンシートを加圧し積層するので、グリーンシートの主面が略平坦になり、グリーンシートに均一な加圧圧力が得られ、層間のデラミネーションおよび凹部の変形を未然に防止することができる。さらに、焼成の際には、同様に導体部やグリーンシートの強度が十分維持され、導体部の断線およびグリーンシートの変形を未然に防止することが可能となる。
また、本発明において好ましくは、樹脂シートは600℃において99重量%以上熱分解することから、焼成時に、樹脂シートとの接触面に樹脂シート熱分解残渣(カーボン)が残留することをより効果的に防ぐことができ、電気不良の誘発を抑えることができる。
さらに、本発明において好ましくは、樹脂シートは、樹脂ビーズと、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方とを含むことから、樹脂バインダーからなる樹脂シートに樹脂ビーズを含有させているため、樹脂シートの打ち抜きや切断等の剪断加工の際に、樹脂ビーズ間に存在する樹脂層を介して剪断方向にクラックが生じやすいため剪断加工が容易にでき、さらに、剪断方向以外に生じたクラックの伝播が樹脂ビーズの存在で抑えられるため、剪断方向以外へのクラック伝播を抑制し、所望の形状に剪断加工できることより、貫通穴と略同形状の樹脂シートの嵌め込みが可能となるので、加圧し積層した際にグリーンシートの変形が防止できる。さらに、可塑剤および滑剤の少なくとも一方を含むことで、加工性をより一層向上させることが可能となる。可塑剤を含むことで、樹脂シートに柔軟性や可とう性を付与することができる。また、滑剤を含むことで樹脂シートの剪断加工時に樹脂同士もしくは樹脂ビーズ間の滑りが良くなることから剪断加工性が向上する。
また、本発明において好ましくは、焼成中に樹脂シートの80%重量減少温度T℃を所定時間維持して樹脂シートを熱分解させて除去する工程と、セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程とを含むことから、樹脂シートを熱分解させた後に、セラミック充填層の樹脂バインダーも十分に熱分解させることが出来きるので、導体の変形による断線が防止でき、さらに高精度のセラミック多層配線基板を作製することが可能となる。
また、本発明において好ましくは、焼成中に導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程を含むことから、樹脂シートを熱分解させた後に、導体部の樹脂バインダーも十分に熱分解させることが出来きるので、導体の変形による断線が防止できることより、さらに高精度のセラミック多層配線基板を作製することが可能となる。
さらに、本発明において、導体ペーストを印刷後に乾燥させたものの(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)で表される損失正接tanδをtanδ、セラミック充填層を印刷後に乾燥させたもののtanδをtanδとしたときに、tanδ≦tanδの関係を満たすことから、加圧時に粘性的挙動がより支配的であるセラミック充填層側が流動することで、隣接する弾性的挙動がより支配的である導体部側の変形を防ぐことができる。また、セラミック充填層側から導体部側に余計な弾性的応力が加わらないため、導体部にクラック等の破損が生じることを防ぐことができる。
本発明のセラミック多層配線基板の製造方法について以下に詳細に説明する。
先ず、セラミック多層配線基板を作製するためのグリーンシートを以下のようにして作製する。グリーンシートの原料粉末、例えば、セラミック粉末およびガラス粉末の少なくとも一方に対し、所望により焼結助剤となるセラミック粉末を添加、混合した混合物に、樹脂バインダー、可塑剤等の添加剤、有機溶剤等を加えてスラリーを調製する。その後、このスラリーを用いてドクターブレード法、圧延法、プレス法等の成形法により所定の厚みのグリーンシートを成形する。
次に、上記のグリーンシートに打ち抜き加工を施すことにより、上下の配線導体層を接続するビアホールとなる貫通孔を形成し、この貫通孔内に導体ペーストを充填する。
なお、セラミック粉末としては、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、ZnO、MgO、MgAl24、ZnAl24、MgSiO3、Mg2SiO4、Zn2SiO4、Zn2TiO4、SrTiO3、CaTiO3、MgTiO3、BaTiO3、CaMgSi26、SrAl2Si28、BaAl2Si28、CaAl2Si28、Mg2Al4Si518、Zn2Al4Si518、AlN、Si34、SiC、更には、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
また、ガラス粉末としては、例えばSiO2−B23系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnである)、SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は同じかまたは異なるものであり、Ca、Sr、Mg、BaまたはZnである)、SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は上記と同じ)、SiO2−B23−M3O系(但し、M3はLi、NaまたはKである)、SiO2−B23−Al23−M3O系(但し、M3は上記と同じ)、Pb系ガラス、Bi系ガラス、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を含有するガラスが好ましい。これらのガラスは焼成処理することによっても非晶質ガラスであるもの、また焼成処理によって、リチウムシリケート、クォーツ、クリストバライト、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種を析出する結晶化ガラスが用いられる。
セラミック粉末とガラス粉末の混合割合は通常のガラスセラミック基板材料に用いられる割合であり、重量比で60:40〜1:99であるのが好ましい。
また、助剤成分としては、B23、ZnO、MnO2、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
さらに、グリーンシートの樹脂バインダーとしては特に限定されないが、例えば、アクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルアセタール系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンカーボネート系等の単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
アクリル系の具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート等が挙げられ、これらアクリル酸エステルやメタクリル酸アルキルエステルを主鎖とする共重合体には、カルボン酸基、アルキレンオキサイド基、水酸基、グリシジル基、アミノ基またはアミド基を含有するモノマーが共重合成分として含まれているものを好適に用いることができる。
カルボン酸基を有するものとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、アルキレンオキサイドを有するものとしては、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等があり、水酸基を有するものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等があり、グリシジル基を有するものとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等があり、アミノ基またはアミド基を有するものとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルアクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等がある。これらアクリル酸エステルやメタクリル酸アルキルエステルを主鎖とする共重合体には、他の共重合可能なアクリロニトリル、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、n−ビニルピドリドン等を共重合させても良い。
ポリビニルアセタール系の具体例としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルオクチラール、ポリビニルフェニラール等やその誘導体等が挙げられる。
セルロース系の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等が挙げられる。
次に、メタライズ配線やビア導体等の導体部を形成する場合の導体ペーストとしては、特に限定されないが、例えばAu、Cu、Ag、Pd、W、Mo、Ni、AlおよびPt等の金属粉末の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金等のいずれの形態であってもよい。これら金属粉末を樹脂バインダー、溶剤、可塑剤、分散剤等を混合したものが好適に使用できる。
導体ペーストの樹脂バインダーとしては特に限定されず、アクリル系、ポリビニルアセタール系、セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
アクリル系の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらの共重合体には、水酸基、カルボン酸基、アルキレンオキサイド基、グリシジル基、アミノ基、アミド基等を適宜導入しても良い。これらを導入することで、セラミックスとの分散性を向上させる効果や、粘性やチキソ性を向上させる効果が期待できる。また、熱分解性や各種溶剤への溶解性等の性能を損なわない範囲内であれば、アクリル樹脂と共重合が可能である、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、n−ビニルピロリドン等を適宜導入しても良い。これらのアクリル樹脂のうち、必要に応じて単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。
導体ペーストの溶剤としては特に限定されないが、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジイソプロピルケトン、メチルセルソルブアセテート、セルソルブアセテート、ブチルセルソルブ、ブチルセルソルブアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、イソホロン、シプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールメチル−3−ヒドロキシヘキサノエート、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、パイン油、ミネラルスピリット等の高沸点溶剤が好適に使用できる。
樹脂バインダーは、金属粉末100重量部に対して0.5〜15.0重量部、有機溶剤は固形成分および樹脂バインダー100重量部に対して5〜100重量部の割合で混合されることが好ましい。なお、この導体ペースト中には若干のガラス粉末や酸化物粉末等の無機成分を添加してもよい。この導体ペーストを、上記グリーンシートにスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の公知の印刷手法を用いて、所定のパターンに印刷塗布する。
複数のセラミック層が積層されて成るとともに導体部を有するセラミック多層配線基板を製造するに際して、導体部を挟んで積層されるセラミック層間の導体部が形成されない領域に、セラミック層と同じセラミック成分を含むセラミック充填層(図2のEおよび図4のE)をスクリーン印刷法で形成し、続いて温風乾燥炉若しくは遠赤外線乾燥炉等で印刷面を乾燥させる。得られたセラミックグリーンシートを加熱条件下等で加圧平坦化する工程を行なうことによって、セラミック充填層を塑性変形させて平坦化し、実質的に凹凸のないセラミックグリーンシートを得る。
そして、そのグリーンシートに、樹脂バインダー、溶剤、可塑剤より成る適当な接着剤を塗布もしくは転写し、他のグリーンシートと加圧し積層することにより一体化し、グリーンシート積層体を作製する。得られたグリーンシート積層体を所定の条件で焼成することにより、セラミック多層配線基板が得られる。
次に、本発明のセラミック多層配線基板に用いられるセラミック充填層について説明する。
セラミック充填層に含まれるセラミックス材料は、基本的にはセラミック多層配線基板と実質的に同じセラミックスである。従って、セラミック粉末としては、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、ZnO、MgO、MgAl24、ZnAl24、MgSiO3、Mg2SiO4、Zn2SiO4、Zn2TiO4、SrTiO3、CaTiO3、MgTiO3、BaTiO3、CaMgSi26、SrAl2Si28、BaAl2Si28、CaAl2Si28、Mg2Al4Si518、Zn2Al4Si518、AlN、Si34、SiC、更には、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
また、ガラス粉末としては、例えばSiO2−B23系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnである)、SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は同じかまたは異なるものであり、Ca、Sr、Mg、BaまたはZnである)、SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1,M2は上記と同じ)、SiO2−B23−M3O系(但し、M3はLi、NaまたはKである)、SiO2−B23−Al23−M3O系(但し、M3は上記と同じ)、Pb系ガラス、Bi系ガラス、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を含有するガラスが好ましい。これらのガラスは焼成処理することによっても非晶質ガラスであるもの、また焼成処理によって、リチウムシリケート、クォーツ、クリストバライト、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種を析出する結晶化ガラスが用いられる。
セラミック粉末とガラス粉末の混合割合は通常のガラスセラミック基板材料に用いられる割合であり、重量比で60:40〜1:99であるのが好ましい。
また、助剤成分としては、B23、ZnO、MnO2、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。
さらに、本発明のセラミック充填層の樹脂バインダーは、一般にセラミックグリーンシートに用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル系、ポリビニルアセタール系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンカーボネート系等の単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を使用すればよいが、望ましくはアクリル系を少なくとも1種使用することで後述するtanδを調整すれば良い。
アクリル樹脂としては特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの共重合体には、水酸基、カルボン酸基、アルキレンオキサイド基、グリシジル基、アミノ基、アミド基等を適宜導入しても良い。これらを導入することで、セラミックスとの分散性を向上させる効果や、粘性やチキソ性を向上させる効果が期待できる。また、熱分解性や各種溶剤への溶解性等の性能を損なわない範囲内であれば、アクリル樹脂と共重合が可能である、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、n−ビニルピロリドン等を適宜導入しても良い。これらのアクリル樹脂のうち、必要に応じて単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。
また、アクリル樹脂のガラス転移温度は、20〜50℃に調整することが望ましく、より好ましくは20〜30℃に調整すると良い。アクリル樹脂を含有し、導体部に対して乾燥状態でのtanδを高めたセラミック充填層をスクリーン印刷後、温風乾燥炉若しくは遠赤外線乾燥炉等で乾燥させた印刷物を含有するアクリル樹脂のガラス転移温度以上の加熱条件下で加圧することで、可塑剤や溶剤を増量することなく平坦化工程時にセラミック充填層に流動性を持たせると共に、優れた平坦性を実現することができる。
アクリル樹脂のガラス転移温度が20℃未満の場合、スクリーン印刷後、乾燥工程を行なっても印刷物に粘着性が残る場合があり、続いて行う加熱条件下での加圧平坦化工程時に印刷物が凝集破壊ないし界面破壊されることでプレス面に転写(付着)される傾向にある。一方、アクリル樹脂のガラス転移温度が50℃を超える場合、セラミック多層配線基板全体が変形を受けない温度領域である80℃以下で加圧平坦化工程を行なった場合に、印刷物の流動性が乏しくなる傾向にある。
なお、加熱条件下で加圧平坦化工程を行う場合、印刷物のプレス面への転写(付着)を防ぐために、プレス面にフッ素処理やシリコーン処理等の剥離処理を行うことや、印刷物とプレス面との間にシリコーンやワックス等の剥離処理を行ったPET等の樹脂シートを介在させる手段を施すことが望ましい。
本発明のセラミック充填層に用いられる溶剤としては、一般的にスクリーン印刷に使用される高沸点溶剤群から選ぶことができる。具体的には、沸点が150℃以上のものが好ましく、より好ましくは沸点が200〜250℃程度のものがよい。150℃未満では、スクリーン印刷中等に溶剤が揮発することによってスクリーンのメッシュの目詰り等の不具合を生じやすい。一方、250℃以上では、印刷物を十分に乾燥することが困難となり、加熱条件下での加圧平坦化工程においてプレス面に乾燥が不十分な印刷物が転写される傾向にある。
高沸点溶剤群としては特に限定されないが、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジイソプロピルケトン、メチルセルソルブアセテート、セルソルブアセテート、ブチルセルソルブ、ブチルセルソルブアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、イソホロン、シプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールメチル−3−ヒドロキシヘキサノエート、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、パイン油、ミネラルスピリット等が好適に使用できる。
一般的にスクリーン印刷用のペーストは、各種セラミック粉末100重量部に対して、樹脂バインダーとしての樹脂分が1〜30重量部程度が一般的であるが、セラミック粉末の比重によって最適混合比が異なるため、この範囲に限定されるものではない。
本発明のセラミック充填層は、各種セラミック粉末、樹脂バインダー類および溶剤を主成分としたペーストをスクリーン印刷することで形成する。また、そのペーストには必要に応じて可塑剤や滑剤、分散剤、各種チキソ剤、増粘剤等を添加しても良い。
可塑剤としては特に限定されないが、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル系や、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等の脂肪族エステル系や、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル等のトリメリット酸系等があり、これらの中から少なくとも1種を選択すればよい。
滑剤としては特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコール−n−アセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコール系、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル等のプロピレングリコール系、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン系、密ろう、木ろうなどの天然ワックス系、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンおよびその誘導体などの合成ワックス系、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸系、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩系等が挙げられ、これらの中から少なくとも1種を選択すればよい。
こうして得られた、セラミック充填層用ペーストを導体部が形成されていない部位にスクリーン印刷することで本発明のセラミック充填層を形成する。
次に、本発明のセラミック多層配線基板となる、樹脂シートが嵌め込まれたグリーンシートの作製方法を説明する各工程図を図1に、本発明のセラミック多層配線基板の製造方法を説明する各工程図を図2に示し、以下にセラミック多層配線基板の製造方法について詳細に説明する。
本発明においては、加圧し積層前の貫通孔3に焼成過程で熱分解する樹脂シート2aを嵌め込む。これにより、加圧し積層段階で樹脂シート2aを通じて貫通孔3の底部が加圧されるため、貫通孔3の底部に膨らみが発生せず、デラミネーションが発生しないように高い積層圧力の加圧が可能となる。なお、本発明が適用可能な貫通孔3の大きさに関しては、特に制限は無く、樹脂シート2aを嵌め込めることができる構造であれば、微細なものから比較的大きなものまで適用可能である。
次に、樹脂シート2aを貫通孔3に嵌め込む方法を述べる。まず、貫通孔3は、打ち抜き金型の駆動部である上金型4と、打ち抜き金型の固定部である下金型6により主に構成される打ち抜き装置によって形成される。図1(a)に示すように、開口5が設けられた下金型6にグリーンシート1を載置し、図1(b)に示すように、上金型4をグリーンシート1の上方から下方に向けて駆動することにより打ち抜き加工を行い、図1(c)に示すように貫通孔3を形成し、貫通孔3が形成されたグリーンシート1を得る。なお、打ち抜き装置は、上金型を固定して下金型を駆動可能としたものでもよい。
次に、図1(d)に示すように、同じ打ち抜き装置を用いて、樹脂シート2を貫通孔3が形成されたグリーンシート1に重ね、図1(e)に示すように、上金型4を駆動することにより、樹脂シート2の打ち抜きと、打ち抜かれた樹脂シート2aの貫通孔3への嵌め込みを同時的に行う。続いて、余分な樹脂シート2を取り除いて、図1(f)に示すように貫通孔3に樹脂シート2aが嵌め込まれたグリーンシートAを得る。
そして、図2に示すように、樹脂シート2aが嵌め込まれたグリーンシートA1,A2と、メタライズ層から成る配線導体層8およびビア導体9が形成されたグリーンシートB1,B2,B3とを一括積層し、グリーンシート積層体Cを得る。次に、グリーンシート積層体Cを焼成し、セラミック多層配線基板Dを得る。
このような本発明の製造方法により、貫通孔3の底部が加圧されて貫通孔3の底部の膨らみが発生することがないので、高い積層圧力の加圧が可能となり、デラミネーションが生じないセラミック多層配線基板Dが作製できる。
一方、凹部以外の配線パターンもしくはスルーホールに充填したビア導体等の導体部を有するセラミック多層配線基板の場合、図4の工程図に示すように、導体部が形成されたグリーンシート25を他のグリーンシート26とともに、適当な密着液を用いて複数積層する前に、導体部が形成されたグリーンシート25上に樹脂シート2を配置し、加圧し積層することで、樹脂シート2がクッションの役目を果たすことで表層導体部が金型で押しつぶされて変形する不具合や、表層の導体部に断線等の欠陥が生じる不具合を防ぐことができる。得られたグリーンシート積層体を所定の条件で焼成することによって、セラミック多層配線基板27が得られる。
次に樹脂シート2(2a)の製造方法について述べる。本発明における樹脂シート2は、好ましくは、樹脂ビーズと、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方とを含む。樹脂シートに求められる性能としては、打ち抜き加工性(剪断加工性)、焼成工程での熱分解性が重要であり、良好な打ち抜き加工性を得るためには粉末状の樹脂ビーズの添加が有効である。樹脂ビーズは、焼成時に良好な熱分解挙動を示すものであれば特に制限されないが、アクリル系、α−メチルスチレン系等が好ましい。また、樹脂ビーズの平均粒径は1〜20μmが好ましい。平均粒径が1μm以下の場合、樹脂ビーズの凝集が問題となり、平均粒径が20μm以上の場合、樹脂シート2(2a)表面に突起が生じ易い。なお、樹脂ビーズの形態として、中空構造のものを使用しても良い。
また、樹脂ビーズは、耐溶剤性の観点から架橋反応が生じたものが好ましい。但し、過度に架橋反応が進行している場合、熱分解性が劣化する傾向がある。
樹脂ビーズおよび樹脂バインダーを、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系、エチルセルソルブ等のセルソルブ系等から選ばれる1種若しくは2種以上の有機溶剤中に分散させる。
樹脂シート2(2a)に使用する樹脂バインダーとしては、熱分解性が優れるものであれば特に制限は無いが、アクリル系、α−メチルスチレン系等が好ましい。アクリル樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。このようなものとして、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等がある。これらのアクリル樹脂のうち、必要に応じて単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。その中でも、イソブチルメタクリレート系(IBMA)やメチルメタクリレート系(MMA)樹脂バインダーの単体若しくは共重合体が特に好ましい。また、熱分解性を損なわない範囲内であれば、アクリル樹脂と共重合が可能である、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、エチレン等を適宜導入しても良い。これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。
さらに、樹脂シート2(2a)に柔軟性や可とう性を与えるために加えられる可塑剤としては、樹脂シート2(2a)の熱分解性を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル系や、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等の脂肪族エステル系があり、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。中でもジブチルフタレート(DBP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)等のフタル酸系エステル等の可塑剤が好ましい。
さらに、樹脂シート2(2a)の剪断加工性を向上させるために加えられる滑剤としては、樹脂シート2(2a)の熱分解性を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコール−n−アセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコール系、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル等のプロピレングリコール系、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン系等が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有する。中でもポリエチレングリコール(PEG)、グリセリンが好ましい。
これら可塑剤や滑剤は必要最小限の添加量に止めることが好ましい。焼成時において、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物中にこれらが多く残存している場合、それに接触する導体部中の樹脂バインダーが溶解しやすくなり、導体部の強度が低下することで導体部を変形させたり、断線させたりするなどの欠陥が生じるおそれがある。
上記有機溶剤中に、樹脂ビーズ100重量部に対し、樹脂バインダーを40〜80重量部添加し、分散させた後、可塑剤や滑剤を合計量で5〜40重量部添加して作成したスラリーを、従来周知のロールコーター、グラビアコーター、ブレードコーター等のコーティング方式により剥離剤処理を施したキャリアーシート上に塗布し、乾燥することにより樹脂シート2(2a)を得る。
樹脂シート2(2a)の熱分解性は、それに隣接する導体部を形成するための導体ペーストに含まれている樹脂バインダーよりも優れていることが好ましい。これによって、焼成の際に樹脂シート2(2a)の大半が熱分解した後に、導体部に含まれる導体ペーストの樹脂バインダーの熱分解が開始されるため、大量の溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が残存している段階では、それに接触する導体部中の樹脂バインダーは熱分解を開始していないことから、導体部の強度が十分維持される。従って、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が導体部中の樹脂バインダーを溶解させることで導体部を変形させたり、断線させたりするなどの欠陥のない信頼性の高いセラミック多層配線基板を作製することが可能となる。
一方、樹脂シート2(2a)の熱分解性は、導体部以外で樹脂シート2(2a)と接触するセラミック充填層に含まれている樹脂バインダーよりも優れていることが好ましい。すなわち、セラミック充填層中の樹脂バインダーが熱分解(脱脂)してセラミック充填層中の残存樹脂バインダー量が減少することに伴ってグリーンシートの強度が低下し、脆くなったセラミック充填層上で遅れて樹脂シート2(2a)が熱分解した場合、加熱によって液状になった高粘度の樹脂シート2(2a)の溶融物が、脱脂後に脆くなったセラミック充填層の表面で沸騰に伴う上下左右への振動運動を伴いながら熱分解するため、その熱分解部分に接するセラミック充填層の表面が部分的にえぐり取られることで、その表面が侵食破壊される現象を解消することができる。
従って、樹脂シート2(2a)は、N雰囲気中、昇温速度10℃/分で600℃まで熱重量示差熱分析(TG/DTA)を差動型高温熱天秤(理学電機(株)製「TG8120」)で行った場合、樹脂シート2(2a)の80%重量減少温度をT℃、導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃、セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃としたときに、T≦TかつT≦Tの関係を満たしている。さらに、樹脂シート2(2a)が600℃以下において99重量%以上熱分解することが好ましい。
なお、本発明のセラミック多層配線基板の焼成時における脱バインダー工程の温度プロファイルは、大半の樹脂シート2(2a)が熱分解する温度であるT℃付近で所定時間温度を維持して十分に樹脂シート2(2a)を熱分解除去後、導体部中の樹脂バインダーが熱分解を開始するT℃を超える温度領域およびセラミック充填層の樹脂バインダーが熱分解を開始するT℃を超える温度領域で所定時間、例えば、1時間から6時間温度を維持して行うことが好ましい。これによって、大部分の樹脂シート2(2a)を十分に熱分解させた後に、導体部およびセラミック充填層の樹脂バインダーが熱分解を開始することが可能となり、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が残存する段階では、導体部およびセラミック充填層中の樹脂バインダーは熱分解を開始していないことから、十分な強度を維持できる。そのため、溶融した樹脂シート2(2a)の組成物が、それに接触する導体部やセラミック充填層を侵食破壊することを防ぐことが出来る。また、T℃を超える温度領域で所定時間、例えば、1時間から6時間維持することで、セラミック充填層の樹脂バインダーも十分に熱分解させることが出来る。
さらに、T℃を超える温度領域で所定時間、例えば、1時間から6時間維持することで、導体部の樹脂バインダーも十分に熱分解させることが出来る。
このような樹脂分を熱分解させる時間は、樹脂の量及び材料によって、便宜決定されるものであり、特に限定されるものではない。
本発明のセラミック多層配線基板の製造方法の実施例を以下に説明する。
(実施例1〜9)電子部品などを収納するための凹部を有するセラミック多層配線基板
[1.グリーンシートの準備]
SiO2、Al23、CaO、ZnO、B23からなるガラスセラミック原料粉末100質量部に対して、表1に示す樹脂バインダーを11質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを5質量部添加し、トルエンを有機溶剤としてボールミルにより36時間混合しスラリーを調整した。得られたスラリーを用いてドクターブレード法により成形、乾燥して厚さ0.3mmのグリーンシートを作製した。次に、このグリーンシートに、直径が200μmのスルーホールをパンチングで形成した。
続いて、下記スルーホール充填用導体ペーストを、グリーンシートに形成されたスルーホールにスクリーン印刷法によって充填した。次に、下記配線用導体ペーストを用いてスクリーン印刷法によって、それぞれ膜厚25μmの配線パターンを印刷塗布し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させてメタライズ配線を形成した。
次に、SiO2、Al23、CaO、ZnO、B23からなるガラスセラミック原料粉末100重量部に対して、表1に示す樹脂バインダー5重量部とテルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を20重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を20重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、セラミックス粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合してセラミック充填層用のペーストを調製し、導体部が形成されない領域にスクリーン印刷することによってセラミック充填層Eを形成し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させ、グリーンシートを作製した。
[2.導体ペーストの作製]
2−1)スルーホール充填用導体ペースト(ビア導体形成用)
Cu粉体100質量部に対し、表1に示す樹脂バインダー2重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を4重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を2重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
2−2)配線用導体ペースト
Cu粉体100質量部に対し、表1に示す樹脂バインダー(ビア導体部と共通のものを使用)3重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を10重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を10重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
[3.樹脂シートの作製]
架橋イソブチルメタクリレートの樹脂ビーズ100重量部に対して、樹脂バインダーとしてイソブチルメタクリレート55重量部、DOP5重量部、ポリエチレングリコール5重量部、メチルイソブチルケトン150重量部を加えた組成物を混合してスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により成形し、乾燥して厚さ300μmの樹脂シート2を作製した。
[4.凹部を有するセラミック多層配線基板の作製]
樹脂シート2を用いて図2のグリーンシート積層体を形成した。すなわち、図1の打ち抜き法によって、グリーンシートA1,A2(縦50mm×横50mm×厚さ0.3mm、貫通孔部分:縦2mm×横2mm×深さ0.3mm)に樹脂シート2aをそれぞれ嵌め込んだ。
続いて、アクリル樹脂、溶剤、フタル酸エステル系の可塑剤より成る接着剤を塗布したグリーンシートA1,A2,B1,B2,B3を4.9×10Paの圧力で加圧し積層することにより、5枚のグリーンシートを一体化し、内部配線を有するグリーンシート積層体を作製した。次いで、この積層体を、Al23系セッターに載置して窒素−水素−水蒸気の混合雰囲気焼成炉内にて、樹脂シート2の80%重量減少温度T℃付近である310℃で3時間保持して十分に樹脂シートの除去を行った後、セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃および導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度領域である850℃で3時間保持してさらに脱バインダーを行い、続けて950〜1000℃で焼成した。
(比較例1〜8)
実施例1〜9におけるセラミック充填層の樹脂バインダー、導体ペーストの樹脂バインダーを表1に示すものを使用し、樹脂シートの樹脂バインダーとしてエチルセルロースを使用する以外は、実施例1〜9と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。なお、焼成は350℃、3時間保持して十分に樹脂シートの脱バインダー工程を行った後、850℃で3時間保持してさらに脱バインダーを行い、続けて950〜1000℃で行った。
(比較例9)
樹脂シート2を嵌め込まない以外は実施例1〜9と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。
(比較例10)
セラミック充填層を形成しない以外は実施例1〜9と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。
表1に実施例1〜9および比較例1〜10で使用したセラミック充填層、導体ペーストおよび樹脂シートの各樹脂バインダー成分とその熱重量示差熱分析結果を示す。なお、熱重量示差熱分析は、N雰囲気中、昇温速度10℃/分で600℃まで熱重量示差熱分析(TG/DTA)を差動型高温熱天秤(理学電機(株)製「TG8120」)で行った。また、セラミック充填層および導体部の(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)で表されるtanδの測定には、レオロジー測定装置(型式:MCR300、PHYSICA社製)を用いた。
セラミック充填層および導体部となる導体ペーストを、それぞれ厚み100μmのシート状になるようにスクリーン印刷機で印刷し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させた。乾燥後のシート状物を剥がしたものをプレス成形機の金型にセットして、4.9×10Paの圧力で加圧することによって、厚み0.5mm、直径20mmの円板状のサンプルを作製し、測定サンプルとした。
そして、60℃の一定温度条件下、周波数100Hzで0〜100%まで掃引によって変化させた歪みを測定サンプルに与え、貯蔵弾性率と損失弾性率をそれぞれ測定した。弾性体にこのような正弦波歪みを与えた場合、同一相で歪むのに対して、粘性体は90度位相がずれることから、その中間の粘弾性体であるセラミック充填層および導体ペーストは、与える歪みに対して位相が0〜90度ずれる。このことを利用してtanδ=(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)を求めた。
Figure 0004511215
表2に得られたセラミック多層配線基板の評価結果を示す。まず、凹部の底にある導体部の状態を走査型電子顕微鏡で観察し、異常の有無を確認した。さらに、導体部の導通テストを行い、断線の有無を確認して不良率を求めた。また、樹脂シートと接触するセラミック充填層の表面状態を走査型電子顕微鏡で観察し、異常の有無を確認した。一方、凹部の底部形状を高速三次元形状測定システム(型式:EMS98AD−3D100XY、コムス社製)で計測し、その最大高低差を底部最大反り値とした。また、凹部を取り囲む壁部に変形がないか走査型電子顕微鏡で観察した。最後に、セラミック多層配線基板を切断して層間密着不良の有無を走査型電子顕微鏡で観察した。
Figure 0004511215
表2より、実施例1〜9では、樹脂シートの80%重量減少温度をT℃、導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃、樹脂シートと接触するセラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃としたときに、T≦TかつT≦Tの関係を満たし、さらに、樹脂シートが600℃以下において99重量%以上熱分解するため、凹部の底部に配置された導体部および導体部以外の部位に異常は見られず、分解後の残渣(カーボン)のない良好な焼成体を得ることができた。
これに対して、比較例1、3、4、5、7、8では、T>TかつT>Tであるため、導体部およびセラミック充填層中の樹脂バインダーが熱分解に伴って減少することで強度が下がった後に、遅れて樹脂シートが熱分解を開始し、導体部および樹脂シートと接触するセラミック充填層が侵食破壊されて表面状態が荒れ、凹部の底部反りがやや高めとなった。また、導体部の一部が溶解したため断線率が上昇した。また、貫通孔の底部に樹脂シートの熱分解残渣による炭化物が残った。
比較例2、6では、T≦Tの関係を満たす一方、T>Tであるため、導体部には異常は見られなかったが、セラミック充填層中の樹脂バインダーが熱分解に伴って減少することで強度が下がった後に、遅れて樹脂シートが熱分解を開始し、樹脂シートと接触するセラミック充填層が侵食破壊されて表面状態が荒れたため、凹部の底部反りがやや高めとなった。また、貫通孔の底部に樹脂シートの熱分解残渣による炭化物が残った。
また、実施例1〜9および比較例1〜8,10では、樹脂シートを嵌め込んだ状態でグリーンシートを加圧し積層したので、凹部の底部分の膨らみの反り最大値は低く抑えられたうえ、セラミック層間の密着不良は見られなかったが、比較例9では、樹脂シートを用いなかったため、凹部の反り最大値は高くなった。また、セラミック層間の密着不良も観察された。
比較例5では、tanδ>tanδであったため、加圧時に弾性的挙動がより支配的であるセラミック充填層側から隣接する粘性的挙動がより支配的である導体部側へ応力が働き、結果として導体部に変形が観察された。また、樹脂シートの熱分解の影響で導体部が侵食破壊された影響も加わったため、断線率が大幅に上昇した。
比較例10では、セラミック充填層を形成しなかったため、約25μmである内部配線の高さに起因する段差を、積層時においてグリーンシートの塑性変形のみで打ち消すことが出来なかった結果として、セラミック層間の密着不良が観察された。
(実施例10〜18)凹部を有しないセラミック多層配線基板
[1.グリーンシートの準備]
SiO2、Al23、CaO、ZnO、B23からなるガラスセラミック原料粉末100質量部に対して、表3に示す樹脂バインダーを11質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを5質量部添加し、トルエンを有機溶剤としてボールミルにより36時間混合しスラリーを調整した。得られたスラリーを用いてドクターブレード法により成形し、乾燥して厚さ0.3mmのグリーンシートを作製した。次に、このグリーンシートに、直径が200μmのスルーホールをパンチングで形成した。
続いて、下記スルーホール充填用導体ペーストを、グリーンシートに形成されたスルーホールにスクリーン印刷法によって充填した。次に、下記配線用導体ペーストを用いてスクリーン印刷法によって、それぞれ膜厚25μmの配線パターンを印刷塗布し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させてメタライズ配線を形成した。
次に、SiO2、Al23、CaO、ZnO、B23からなるガラスセラミック原料粉末100重量部に対して、表1に示す樹脂バインダー5重量部とテルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を20重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を20重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、セラミックス粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合してセラミック充填層用のペーストを調製し、導体部が形成されない領域にスクリーン印刷することによってセラミック充填層Eを形成し、続いて温風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥させ、グリーンシートを作製した。
[2.導体ペーストの作製]
2−1)スルーホール充填用導体ペースト(ビア導体形成用)
Cu粉体100質量部に対し、表3に示す樹脂バインダー2重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を4重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を2重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
2−2)配線用導体ペースト
Cu粉体100質量部に対し、表3に示す樹脂バインダー(ビア導体部と共通のものを使用)3重量部、テルピネオールおよびブチルカルビトールアセテートの混合溶剤を10重量部、フタル酸エステル系の可塑剤(DOP,DBPの混合物)を10重量部添加し、これらを攪拌して混合した。その後、Cu粉体および樹脂バインダー類の凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合して導体ペーストを調製した。
[3.樹脂シートの作製]
架橋イソブチルメタクリレートの樹脂ビーズ100重量部に対して、樹脂バインダーとしてイソブチルメタクリレート55重量部、DOP5重量部、ポリエチレングリコール5重量部、メチルイソブチルケトン150重量部を加えた組成物を混合してスラリーとした。
このスラリーを用いてドクターブレード法により成形し、乾燥して厚さ300μmの樹脂シート2を作製した。
[4.凹部を有しないセラミック多層配線基板の作製]
上記導体ペーストで配線パターンおよびスルーホールを形成したグリーンシート25、26に、アクリル樹脂、溶剤、フタル酸エステル系の可塑剤より成る接着剤を塗布して4.9×10Paの圧力で加圧し積層することにより、2枚のグリーンシートを一体化する際、最表層部のグリーンシート25の上に樹脂シート2を載置して、導体部を有するグリーンシート積層体を作製した。次いで、この積層体を、Al23系セッターに載置して窒素−水素−水蒸気の混合雰囲気焼成炉内にて、樹脂シート2の80%重量減少温度T℃付近である310℃で3時間保持して十分に樹脂シートの除去を行った後、セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃および導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度領域である850℃で3時間保持してさらに脱バインダーを行い、続けて950〜1000℃で焼成した。
(比較例11〜18)
実施例10〜18におけるグリーンシートの樹脂バインダー、導体ペーストの樹脂バインダーを表1に示すものを使用し、樹脂シートの樹脂バインダーとしてエチルセルロースを使用する以外は、実施例10〜18と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。なお、焼成は350℃で3時間保持して十分に樹脂シートの脱バインダー工程を行った後、850℃で3時間保持してさらに脱バインダーを行い、続けて950〜1000℃で行った。
(比較例19)
樹脂シート2を載置しない以外は実施例10〜18と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。
(比較例20)
セラミック充填層を形成しない以外は実施例10〜18と同様にしてセラミック多層配線基板を作製した。
表3に実施例10〜18および比較例11〜20で使用したグリーンシート、導体ペーストおよび樹脂シートの各樹脂バインダー成分とその熱重量示差熱分析結果を示す。なお、熱重量示差熱分析は、N雰囲気中、昇温速度10℃/分で600℃まで熱重量示差熱分析(TG/DTA)を差動型高温熱天秤(理学電機(株)製「TG8120」)で行った。また、セラミック充填層および導体部の(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)で表されるtanδの測定には、レオロジー測定装置(型式:MCR300、PHYSICA社製)を用いて、実施例1〜9と同様の測定を行った。
Figure 0004511215
表4に得られたセラミック多層配線基板の評価結果を示す。まず、最表層にある導体部の状態を走査型電子顕微鏡で観察し、異常の有無を確認した。さらに、最表層の配線の高さを高速三次元形状測定システムで計測した。また、導体部の導通テストを行い、断線の有無を確認して不良率を求めた。一方、樹脂シートと接触するセラミック充填層の表面状態を走査型電子顕微鏡で観察し、異常の有無を確認した。最後に、セラミック多層配線基板を切断して層間密着不良の有無を走査型電子顕微鏡で観察した。
Figure 0004511215
表4より、実施例10〜18では、T≦TかつT≦Tの関係を満たし、さらに、樹脂シートが600℃以下において99重量%以上熱分解するため、最表層に配置された導体部および樹脂シートと接触するセラミック充填層に異常は見られず、分解後の残渣(カーボン)のない良好な焼成体を得ることができた。
これに対して、比較例11、13、14、15、17、18では、T>TかつT>Tであるため、導体部およびセラミック充填層中の樹脂バインダーが熱分解に伴って減少することで強度が下がった後に、遅れて樹脂シートが熱分解を開始し、導体部および樹脂シートと接触するセラミック充填層が侵食破壊された。また、導体部の一部が溶解したため断線率が上昇した。最表層部には樹脂シートの熱分解残渣による炭化物が残った。
比較例12、16では、T≦Tの関係を満たす一方、T>Tであるため、導体部には異常は見られなかったが、セラミック充填層中の樹脂バインダーが熱分解に伴って減少することで強度が下がった後に、遅れて樹脂シートが熱分解を開始し、樹脂シートと接触するセラミック充填層が侵食破壊された。また、最表層部に樹脂シートの熱分解残渣による炭化物が残った。
また、実施例10〜18および比較例11〜18,20では、樹脂シートを最表層部に載置した状態でグリーンシートを加圧し積層したので、最表層部の導体部は保護されたため、配線の高さは25μm前後であったが、比較例19では、樹脂シートを用いなかったため、最表層部の配線は加圧時に圧縮変形を受けたため、配線高さはやや低くなった。
比較例15では、tanδ>tanδであったため、加圧時に弾性的挙動がより支配的であるセラミック充填層側から隣接する粘性的挙動がより支配的である導体部側へ応力が働き、結果として導体部に変形が観察された。また、樹脂シートの熱分解の影響で導体部が侵食破壊された影響も加わったため、断線率が大幅に上昇した。
比較例20では、セラミック充填層を形成しなかったため、約25μmである内部配線の高さに起因する段差を、積層時においてグリーンシートの塑性変形のみで打ち消すことが出来なかった結果として、セラミック層間の密着不良が観察された。
(a)〜(f)は本発明のセラミック多層配線基板となる樹脂シートが嵌め込まれたグリーンシートの作製方法を説明する各工程図である。 (a)〜(c)は本発明の凹部を有するセラミック多層配線基板の製造方法を説明する各工程図である。 (a),(b)は従来の凹部を有するセラミック多層配線基板の製造方法を説明する各工程図である。 (a)〜(d)は本発明の凹部を有しないセラミック多層配線基板の製造方法を説明する各工程図である。
符号の説明
1:セラミックグリーンシート
2:樹脂シート
2a:樹脂シート
3:貫通孔
4:上金型
5:開口
6:下金型
7:凹部
8:配線導体層
9:ビア導体
A,A1,A2:セラミックグリーンシート
B1,B2,B3:セラミックグリーンシート
C:セラミックグリーンシート積層体
D:セラミック多層配線基板
E:セラミック充填層
20:貫通穴
21a,21b:セラミックグリーンシート
21c,21d,21e:セラミックグリーンシート
22:凹部
23:セラミック多層配線基板
24:層間剥離(デラミネーション)
25,26:セラミックグリーンシート
27:セラミック多層配線基板

Claims (5)

  1. 導体ペーストを用いて導体部を形成したセラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化し焼成して成るセラミック多層配線基板を製造するに際して、前記セラミックグリーンシートの表面に導体部を形成するとともに該導体部が形成されていない部位に前記セラミックグリーンシートと同じセラミック成分を含んだセラミック充填層を形成する工程と、前記導体部および前記セラミック充填層が形成された前記セラミックグリーンシート上に樹脂シートを載置する工程と、該樹脂シートが載置された前記セラミックグリーンシートを複数枚積層して一体化する工程と、一体化した前記樹脂シートおよび前記セラミックグリーンシートを焼成中に前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程とを含み、前記樹脂シートの80%重量減少温度をT℃、前記導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃、前記セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度をT℃としたときに、T≦TかつT≦Tの関係を満たし、前記導体ペーストを印刷後に乾燥させたものの(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)で表される損失正接tanδをtanδ 、前記セラミック充填層を印刷後に乾燥させたもののtanδをtanδ としたときに、tanδ ≦tanδ の関係を満たすことを特徴とするセラミック多層配線基板の製造方法。
  2. 前記樹脂シートは600℃において99重量%以上熱分解することを特徴とする請求項1記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
  3. 前記樹脂シートは、樹脂ビーズと、樹脂バインダーと、可塑剤および滑剤の少なくとも一方とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
  4. 焼成中に前記樹脂シートの80%重量減少温度T℃を所定時間維持して前記樹脂シートを熱分解させて除去する工程と、前記セラミック充填層に含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
  5. 焼成中に前記導体ペーストに含まれる樹脂バインダーの20%重量減少温度T℃を超える温度を所定時間維持する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
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