本発明の電子部品の製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品の製造方法示す工程毎の断面図であり、1は支持体、2は第1のセラミックグリーンシート層、3は第2のセラミックグリーンシート層、4はセラミックグリーンシート、5は導体層、6はセラミックグリーンシート積層体である。
まず図1(a)に示すように、支持体1上に第1のセラミックグリーンシート層2を形成し、ついで図1(b)に示すように、第1のセラミックグリーンシート層2上に第2のセラミックグリーンシート層3を形成してセラミックグリーンシート4を形成する。
本発明における第1のセラミックグリーンシート層2および第2のセラミックグリーンシート層3は、セラミック粉末、有機バインダー、溶剤等を混合したものが用いられる。なお、第1のセラミックグリーンシート層2に含まれる第1の有機バインダーと、第2のセラミックグリーンシート層3に含まれる第2の有機バインダーとは同じ有機バインダーでもよく、また、異なる有機バインダーであってもよい。また、第1のセラミックグリーンシート層2および第2のセラミックグリーンシート層3ともに、さらに可塑剤を配合してセラミックグリーンシート4の硬度や強度を調整してもよい。
セラミック粉末としては、例えばセラミック配線基板であれば、Al2O3,AlN,ガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末との混合物)等が挙げられ、積層コンデンサであればBaTiO3系,PbTiO3系等の複合ペロブスカイト系セラミック粉末が挙げられ、電子部品に要求される特性に合わせて適宜選択される。
ガラスセラミック粉末のガラス成分としては、例えばSiO2−B2O3系、SiO2−B2O3−Al2O3系,SiO2−B2O3−Al2O3−MO系(ただし、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−Al2O3−M1O−M2O系(ただし、M1およびM2は同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−B2O3−Al2O3−M1O−M2O系(ただし、M1およびM2は上記と同じである),SiO2−B2O3−M3 2O系(ただし、M3はLi、NaまたはKを示す,SiO2−B2O3−Al2O3−M3 2O系(ただし、M3は上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
また、ガラスセラミック粉末のフィラー粉末としては、例えばAl2O3,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,Al2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等のセラミック粉末が挙げられる。
セラミックグリーンシート4に配合される有機バインダーとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダーがより好ましい。
第1のセラミックグリーンシート層2が溶融成分を含有する場合、その溶融成分としては、セラミックグリーンシート積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となるものであり、例えば炭化水素,脂肪酸,エステル,脂肪族アルコール,多価アルコール等が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、二重結合を含まない脂肪族アルコールおよび多価アルコールがより好ましい。
また、第1のセラミックグリーンシート層2における有機成分の配合量は、第1のセラミックグリーンシート層2が溶融成分を含む場合と含まない場合の両方で、第1のセラミックグリーンシート層2に含まれる無機粉末100質量%に対して10乃至50質量%であることが好ましい。
有機成分の配合量が10質量%より少ないと、無機成分と結びつくことで第1のセラミックグリーンシート層2中に無機成分を分散させる役割をもつ有機成分の絶対量が足りなくなるので、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程の加熱時に、第1のセラミックグリーンシート層2の全体にわたり粘着性が得られないか、または第1のセラミックグリーンシート層2の粘着性が均一でない部分ができることとなり、焼成して得られる電子部品はデラミネーションが発生しやすくなる傾向がある。一方、有機成分が50質量%より多いと、無機成分と結びつく有機成分が過多となり、第1のセラミックグリーンシート層2中に分散しきれない有機成分が凝集してしまう部分が発生する。この部分は有機成分が存在し粘着性を有するものの無機成分が存在しない部分となり、これに起因して焼成時に電子部品の中に空隙が発生し、これがデラミネーションとなってしまうことが起こりやすくなる。
ここで、有機成分とは、第1のセラミックグリーンシート層2に含まれる第1の有機バインダー、または、第1の有機バインダーと溶融成分を示す。これは、第1のセラミックグリーンシート層2を形成する際には、有機成分として溶剤および可塑剤や分散剤等を配合したスラリーを用いるが、スラリーを乾燥させて第1のセラミックグリーンシート層2とするので、第1のセラミックグリーンシート層2には蒸発してしまう溶剤は含まれず、可塑剤や分散剤等はその配合量が少なくセラミックグリーンシート4中に拡散してしまうためである。
ここで、第1のセラミックグリーンシート層2が溶融成分を含む場合には、その溶融成分の配合量は、第1の有機バインダー100質量%に対して50乃至100質量%とすることが好ましい。溶融成分の配合量が50質量%より少ないと、第1の有機バインダーと結びつき第1の有機バインダー中に分散する溶融成分の絶対量が足りなくなるので、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程の加熱時に第1のセラミックグリーンシート層2が全体にわたり軟化せず粘着性が得られない、または第1のセラミックグリーンシート層2が均一に軟化せず粘着性のない部分ができてしまうこととなり、焼成して得られる電子部品はデラミネーションが発生しやすくなる傾向がある。一方、溶融成分が100質量%より多いと、第1の有機バインダーと結びつく溶融成分が過多となり、第1の有機バインダー中に分散しきれない溶融成分が凝集してしまう部分が発生し、この部分は第1の有機のバインダーが存在せず粘着性を有さない部分となるので、これに起因して、焼成して得られる電子部品にデラミネーションが発生しやすくなる傾向がある。
溶融成分は、上記のものの中でも、その融点が35乃至100℃であるものが好ましい。これは、この範囲の融点のものを用いると、常温では第1のセラミックグリーンシート層2が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となり、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程における加熱時にセラミックグリーンシート4中の有機バインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによりデラミネーションが発生することを避けることができるからである。
融点が35乃至100℃である溶融成分としては、具体的には、ヘキサデカノール,ポリエチレングリコール,ポリグリセロール,ステアリルアミド,オレイルアミド,エチレングリコールモノステアレート,パラフィン,ステアリン酸,シリコーン等が挙げられる。これらの中で焼成工程での分解、揮発性がよく、ヒドロキシル基を有する、ヘキサデカノール,ポリエチレングリコール,ポリグリセロールは特に好ましい。
また、第1の有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであることによって、第1のセラミックグリーンシート層2に配合される溶融成分が加熱により溶融した際により均一に分散され、セラミックグリーンシートを加熱して第1のセラミックグリーンシート層2の溶融成分が十分な量を維持でき、加圧によるセラミックグリーンシート4への歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるといった効果を得ることもできる。
第1のセラミックグリーンシート層2は、引き剥がし試験において、室温で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下で、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上であることが重要である。
なお、ここで室温とは、本発明の電子部品の製造方法が実施される部屋の気温を意味しており、通常における値は空調機などで調整された25℃前後の状態を指す。
また、ここでいう引き剥がし試験および引き剥がし強度とは、粘着テープ等の粘着力あるいは粘着性を評価するための規格であるJIS Z0237を参考にした測定方法と、それにより得られた結果のことをいう。
つまり、本発明でいう引き剥がし試験とは、セラミックグリーンシート表面の粘着力あるいは粘着性を評価する方法として用いた試験方法であり、試験板として、JIS Z0237記載のSUS304または302と同等の表面粗さを有するアルミ箔(例えば、住軽アルミ箔(株)社製の厚みが15μmのアルミ箔)を用いて、より簡易的に引き剥がし強度を測定したものである。すなわち、セラミックグリーンシートの打ち抜き加工時の温度(室温)と積層工程の加熱温度にて圧着したものを、室温にて引き剥がし試験を行なうことにより各々の工程でのセラミックグリーンシートの粘着性を評価したものである。測定にあたって、第1のセラミックグリーンシート層の試験板への温度以外の圧着条件は、第1のセラミックグリーンシート層を実際に加工する際の条件を考慮して圧力や時間を選択することでハンドリング性を評価できるとしたものである。第1のセラミックグリーンシート層と試験板圧着したものを幅10mm、長さ100mmの大きさに押し切り切断機を用いて切断し、試験片とし、この試験片のセラミックグリーンシート側を固定用治具に取り付け、一方アルミ箔を移動治具に取り付け、10mm/mimの速度で引き剥がした。このときの固定治具と移動治具は垂直になるように設置し、90度引き剥がし強度を測定し評価を行なった。
第1のセラミックグリーンシート層2は、上記の引き剥がし試験において、室温で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下と粘着性が低いものであることから、セラミックグリーンシート4を所望の形状に打ち抜き加工する等の工程において、室温では第1のセラミックグリーンシート層2が、金型や周辺部材等へ貼り付くことを抑制することができる。また、室温での粘着性が低いため、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程において、セラミックグリーンシート4をシワやヨレまた空気の噛み込みがなく積層することができ、また重ね合わせたセラミックグリーンシート4が所望の場所からずれていた場合修正することが可能となり、修正作業をすることで起こるセラミックグリーンシート4の変形を抑えることができ、その後の加熱、加圧によりデラミネーションおよび積層ずれのないセラミックグリーンシート積層体6を得ることが可能となる。
また、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上であることから、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程において加えられる35℃から100℃の加熱に対して第1のセラミックグリーンシート層2は十分な粘着性を有するので、導体層5が形成されたセラミックグリーンシート4を複数枚積層しても、大きな加圧無しでムラなく加圧して圧着することが可能となり、セラミックグリーンシート4およびその上に形成された導体パターン5の形状が変形することがなく、圧着が不十分な部分が発生することを抑え、デラミネーションの発生を抑えることが可能となる。
第1のセラミックグリーンシート層2の上記の引き剥がし試験における、室温で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mmを超えるものである場合、セラミックグリーンシート4を所望の形状に打ち抜き加工する等の工程において、室温で第1のセラミックグリーンシート層2が金型や周辺部材等へ貼り付きやすくなる。そのため、セラミックグリーンシート4を金型や周辺部材から引き剥がそうとした際に、セラミックグリーンシート4が変形するもしくは、破損してしまう。また、金型や周辺部材に貼り付いた第1のセラミックグリーンシート層2を剥がさずに次のセラミックグリーンシート4の加工が開始されると金型や周辺部材を破損もしくは、変形させてしまう。また、第1のセラミックグリーンシート層2が隣接するセラミックグリーンシート4貼り付いてしまう等ハンドリング性が劣化する。またセラミックグリーンシート積層体6を作製する工程において、重ね合わせたセラミックグリーンシート4が所望の場所からずれていた場合修正することが困難となる。
一方、上記の引き剥がし試験において、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm未満である場合、セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程において、第1のセラミックグリーンシート層2が、その下に位置するセラミックグリーンシート4の第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5に圧着せず、セラミックグリーンシート積層体6を焼成して得られる電子部品は、デラミネーションが発生してしまう。圧着させるために大きな圧力で加圧した場合、第1のセラミックグリーンシート層2が、その下に位置するセラミックグリーンシート4の第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5の形状が変形し、その結果、セラミックグリーンシート積層体6を焼成して得られる電子部品の寸法精度が悪くなってしまう。
第1のセラミックグリーンシート層2が、上記の引き剥がし試験において、室温で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下で、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上となるようにするためには、例えば、配合される有機成分を熱可塑性のものとすればよい。その方法は、上記のセラミックグリーンシート4に配合される有機バインダーのうち、第1のセラミックグリーンシート層2に配合される第1の有機バインダーとして、そのガラス転移点(Tg)とその配合量により調整することが可能である。
具体的には第1の有機バインダーのガラス転移点(Tg)が加熱温度(35℃から100℃)より低い−20℃乃至0℃の有機バインダーを第2のセラミックグリーンシート層3のような通常のセラミックグリーンシートの有機バインダー配合量(セラミック粉末100質量%に対して10乃至20質量%程度)より多い、セラミック粉末100質量%に対して30乃至60質量%添加するなどすればよい。
また、第1のセラミックグリーンシート層2に可塑剤を、第2のセラミックグリーンシート層3のような通常のセラミックグリーンシートの配合量よりも多く入れることで、見掛け上のガラス転移点(Tg)を下げることによって行なっても良い。
また、第1の有機バインダーとして分子量の大きいものを用いることでも、上記の引き剥がし強度を大きくすることが可能である。具体的には有機バインダーとして分子量が50万以上の例えば、ブチラール系の単独重合体または共重合体等を用いると上記の引き剥がし試験において、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上となるようにすることができる。
また、第1のセラミックグリーンシート層2に35℃から100℃で溶融状態となる溶融成分を配合し、第1の有機バインダーと溶融成分とから成る第1のセラミックグリーンシート層2の有機成分の配合量が、第1のセラミックグリーンシート層2に含まれる無機粉末100質量%に対して10乃至50質量%で、第1の有機バインダー100質量%に対して50乃至100質量%になるように配合させることによっても、室温で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下で、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上とすることもでき、この方法は上記の有機バインダーのガラス転移点や配合量および分子量の調整による方法よりもより好ましい。
これは、有機バインダーのガラス転移点(Tg)、分子量、配合量、または可塑剤の配合量を調整する方法では、室温において第1のセラミックグリーンシート層2は硬度が小さく、伸びやすいものとなりやすいので、貫通導体用の孔を形成する等のセラミックグリーンシートの加工時にセラミックグリーンシートが変形し、その結果として得られる電子部品に対する所望の寸法精度が得られなくなる場合があるからである。これに対してセラミックグリーンシート積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分が配合される場合は、室温での第1のセラミックグリーンシート層2の硬度や伸びといった機械的特性が有機バインダーにより調整されたものとなるとともに、加熱時に溶融成分が溶融することにより軟化および粘着性が発現するものとなるので、室温での加工に対する寸法安定性とセラミックグリーンシート積層体6作製工程の加熱時の粘着性が両立し、寸法精度に優れ、デラミネーションのない電子部品を得ることができる。
また、第1のセラミックグリーンシート層2は、セラミックグリーンシート積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分が配合されることから、加熱のみで第1のセラミックグリーンシート層2が軟化して粘着性を有するものとなるので、大きな加圧力によりセラミックグリーンシートを圧着させる必要がなく、導体層5が形成されたセラミックグリーンシート層3を積層した際に第1のセラミックグリーンシート層2がその下に位置する第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体パターンの形状に追従して変形することとなる。その結果、導体層周囲や導体層間に空隙が発生することなくセラミックグリーンシート同士が密着することとなり、セラミックグリーンシート積層体6を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生のないものとなる。
また、溶融成分の融点が35℃乃至100℃であることから、室温では第1のセラミックグリーンシート層2が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となり、セラミックグリーンシート4中の有機バインダーや可塑剤等の有機成分が分解するような温度(120℃以上)で加熱しなくてもよいので、分解ガスによりデラミネーションが発生してしまうことがない。よって、セラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体パターン形状が変形することがなく、得られるセラミックグリーンシート積層体6およびそれを焼成して得られる電子部品は高い寸法精度を有するものとなる。
第1のセラミックグリーンシート層2は、上記セラミック粉末,有機バインダー,に溶剤(有機溶剤,水等)、必要に応じて所定量の可塑剤,分散剤、好ましくは、溶融成分を加えてスラリーを得、これをPETフィルム等の支持体上にドクターブレード法,リップコーター法,ダイコーター法等により成形することによって得られる。第1のセラミックグリーンシート層2の厚さは、導体層とセラミックグリーンシートとの段差を埋めるために、導体層の厚みより厚くなるように形成される。
第2のセラミックグリーンシート層3は、第1のセラミックグリーンシート層2に用いるスラリーに対して溶融成分を含まず、また、第2の有機バインダーは、第1の有機バインダーよりガラス転移点が高いものを用いたり、その量を少なくしたりするなどして、室温および35℃から100℃で第1のセラミックグリーンシート層2のように軟化したり、粘着性を発現したりしないようにする。
また、第2の有機バインダーのガラス転移点を0乃至20℃とすると、有機バインダーが第2のセラミックグリーンシート層3を硬くするという作用が強く現われるために、加熱時に第1のセラミックグリーンシート層2が軟化して、第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5の形状へ追従するのに伴う微小な寸法変形が発生しても、第2のセラミックグリーンシート層3が強固であることから、この微小な寸法変形を抑制することができるため、より好ましいものとなる。
また、第2の有機バインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gとすると、水酸基のもつ電荷が無機粉末表面に存在する電荷との引き寄せ合いによりセラミックスラリー中に溶媒和が形成され、そのことでセラミックグリーンシートが均一な状態で成形されるので、第2のセラミックグリーンシート層3に含有される無機粉末および第2の有機バインダーが均一に分散され、加熱時の第1のセラミックグリーンシート層2の溶融成分が第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5の形状へ追従するのに伴う微小な寸法変形を一層抑制することができる。
第1のセラミックグリーンシート層2上に第2のセラミックグリーンシート層3を形成する方法は、(1)第1のセラミックグリーンシート層2と同様に成形した第2のセラミックグリーンシート層3を第1のセラミックグリーンシート層2の上に積層して形成する方法、(2)支持体1上に形成された第1のセラミックグリーンシート層2上に第2のセラミックグリーンシート3のスラリーを塗布して形成する方法、(3)支持体1上に塗布された第1のセラミックグリーンシート層2のスラリー上に第2のセラミックグリーンシート層3のスラリーを塗布して形成する方法が挙げられる。
第1のセラミックグリーンシート層2上への第2のセラミックグリーンシート層3の積層の際に、第1のセラミックグリーンシート層2と第2のセラミックグリーンシート層3との間に空隙を発生させる可能性があり、また第1のセラミックグリーンシート層2と第2のセラミックグリーンシート層3との密着性を向上させるためには上記(2)または(3)の方法が好ましい。さらには、上記(3)の方法では第1のセラミックグリーンシート層2と第2のセラミックグリーンシート層3の形成がほぼ同時に行なわれるので、工程が簡略化されるのでより好ましい。この(3)の方法においては、ダイコーター法やリップコーター法等の押し出し式の方法を用いるとよく、これらは非接触式の塗布方法であり、また溶剤の少ない、比較的粘度の高いスラリーを用いることができるので、第1のセラミックグリーンシート層2のスラリーと第2のセラミックグリーンシート層3のスラリーが混ざり合うことなくセラミックグリーンシート4を形成することができるのでよい。
次に図1(c)に示すように、セラミックグリーンシート4上に導体層5を形成する。セラミックグリーンシート4上に導体層5を形成する方法としては、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷したり、めっき法や蒸着法等により所定パターン形状の金属膜を形成するようなセラミックグリーンシート4上に直接形成する方法、あるいは印刷により所定パターン形状に形成した導体厚膜や所定パターン形状に加工した金属箔、めっき法や蒸着法等により形成した所定パターン形状の金属膜をセラミックグリーンシート4上に転写する方法がある。導体材料としては、例えばW,Mo,Mn,Au,Ag,Cu,Pd(パラジウム),Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
導体層5はセラミックグリーンシート4の第2のセラミックグリーンシート層3上に形成されるのが好ましい。これは、第2のセラミックグリーンシート層3は加熱時に粘着性を発現することはないが、その上に位置する第1のセラミックグリーンシート層2が粘着性を発現するので、その第2のセラミックグリーンシート層3上に導体層5を形成することにより、粘着性を持たない導体層5とその上に位置する粘着性を発現した第1のセラミックグリーンシート層とを圧着させるようにするためである。
なお、導体層5の形成される第2のセラミックグリーンシート層は加熱時に溶融する溶融成分が配合されていないことから、第2のセラミックグリーンシート層は加熱時に変形することはなく、積層したセラミックグリーンシートが位置ずれしないように、また、軟化した第1のセラミックグリーンシート層を第2のセラミックグリーンシート層およびその上に形成された導体層5の形状に追従して変形するのを補助するために押さえる程度では変形しないものである。
なお、導体層5を形成する前に必要に応じて上下の層間の導体層5同士を接続するためのビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を形成してもよい。これら貫通導体は、パンチング加工やレーザ加工等によりセラミックグリーンシート4に形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印刷やプレス充填により埋め込む等の手段によって形成される。
キャビティを有する電子部品を製造する場合は、次の積層体を作製する工程より前に、キャビティ形状の貫通穴を金型による打ち抜き等によりセラミックグリーンシート4の一部に形成しておく。貫通穴の形成は、キャビティの内壁面への導体層5の形成の有無や形成方法に応じて、導体層5を形成する前でもよいし、形成した後でもよい。
次に図1(d)に示すように、位置合わせして積み重ねたセラミックグリーンシート4を、第1のセラミックグリーンシート層2が粘着性を発現する程度の温度(35℃乃至100℃程度)で加熱することでセラミックグリーンシート積層体6を作製する。また、このとき、積層したセラミックグリーンシート4が位置ずれしないように、また、粘着性を発現した第1のセラミックグリーンシート層2を第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5のパターンと圧着するのを補助するために押さえる程度の加圧(0.1〜1MPa)を行なうと、より精度よく確実な圧着が可能となる。
セラミックグリーンシート積層体6を作製する工程において、第1のセラミックグリーンシート層2は加熱時に粘着性を発現することから、導体層5が形成されたセラミックグリーンシート4を積層して加熱した際に、第1のセラミックグリーンシート層2はその下に位置するセラミックグリーンシート4の第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5と接着することとなる。これにより、導体層5とセラミックグリーンシート4同士を大きな加圧力により圧着させる必要がない。よって、セラミックグリーンシート4およびその上に形成された導体層5の形状が変形することがなく、さらに加圧によるセラミックグリーンシート4への歪みがなく、セラミックグリーンシート積層体6およびそれを焼成して得られた電子部品は高い寸法精度を有するものとなる。
また、第1のセラミックグリーンシート層2に溶融成分が配合される場合においては、加熱のみで第1のセラミックグリーンシート層2が軟化して粘着性を有するものとなるので、大きな加圧力によりセラミックグリーンシート4を圧着させることなく、導体層5が形成されたセラミックグリーンシート層3を積層した際に、第1のセラミックグリーンシート層2がその下に位置する第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5の形状に追従して変形することができる。その結果、導体層5周囲や導体層5間に空隙が発生することなくセラミックグリーンシート4同士を密着させることができ、セラミックグリーンシート積層体6を焼成して得られる電子部品はよりデラミネーションの発生のないものとなる。
そしてさらに、導体層5の形成される第2のセラミックグリーンシート層3は加熱時に軟化しないことから、第2のセラミックグリーンシート層3は加熱時に変形することはなく、積層したセラミックグリーンシート4が位置ずれしないように、また、軟化した第1のセラミックグリーンシート層2を第2のセラミックグリーンシート層3およびその上に形成された導体層5の形状に追従して変形するのを補助するために押さえる程度では変形しないものとなっている。よって、セラミックグリーンシート4およびその上に形成された導体層5の形状が変形することがなく、さらに加圧によるセラミックグリーンシート4への歪みがなく、セラミックグリーンシート積層体6およびそれを焼成して得られる電子部品はより一層高い寸法精度を有するものとなる。
例えば、加熱時に接着性を発現しない第1のセラミックグリーンシート層2を用いた場合、セラミックグリーンシート積層体6および電子部品の寸法精度は±0.5%(寸法誤差)程度であったが、本発明の加熱時に接着性を発現する第1のセラミックグリーンシート層2を用いた場合、セラミックグリーンシート積層体6および電子部品の寸法精度は±0.3%程度となり、大幅に向上することが実験により判明した。
また、キャビティを有する電子部品を製造する場合は、大きな加圧力によりセラミックグリーンシートを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるグリーンシートの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
さらに、第1のセラミックグリーンシート層2に溶融成分が配合される場合においては、導体層5の間隔が微細な場合に導体層5の間に発生する空隙の発生率を抑制することが可能であることが実験により判明した。
図1(d)の最下部に位置するセラミックグリーンシートとしては、第2のセラミックグリーンシート層3のみで構成されるセラミックグリーンシート4’を用いればよい。積層コンデンサのように表面に導体層5が露出しないような電子部品の場合は、図1(d)の最上部に位置するセラミックグリーンシート4には導体層5が形成されていないセラミックグリーンシート4を用いればよく、積層セラミック配線基板のような両面に導体層5が露出するような電子部品の場合は、最下部のセラミックグリーンシート4’の両面に導体層5を形成したものを用いればよい。
そして最後に、セラミックグリーンシート積層体6を焼成することにより本発明の電子部品が作製される。焼成する工程は有機成分の除去とセラミック粉末の焼結とから成る。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でセラミックグリーンシート積層体6を加熱することによって行い、有機成分を分解、揮発させ、焼結温度はセラミック組成により異なり、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気はセラミック粉末や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
焼成後の電子部品はその表面に露出した導体層5の表面には、導体層5の腐食防止のために、または半田や金属ワイヤ等の外部基板や電子部品との接続手段の良好な接続のために、NiやAuのめっきを施すとよい。
セラミック材料としてガラスセラミックスのような低温焼結材料を用いる場合は、セラミックグリーンシート積層体6の上下面にさらに拘束グリーンシートを積層して焼成し、焼成後に拘束シートを除去するようにすれば、より高寸法精度のセラミック基板を得ることが可能となる。拘束グリーンシートは、Al2O3等の難焼結性無機材料を主成分とするグリーンシートであり、焼成時に収縮しないものである。この拘束グリーンシートが積層された積層体は、収縮しない拘束グリーンシートにより積層平面方向(xy平面方向)の収縮が抑制され、積層方向(z方向)にのみ収縮するので、焼成収縮に伴う寸法ばらつきが抑制される。このときの拘束グリーンシートも本発明のセラミックグリーンシート6と同様の第1のセラミックグリーンシート層2と第2のセラミックグリーンシート層3とを有する構成にすると、拘束グリーンシートを積層して圧着する際にも大きな加圧力を必要とせず、得られる電子部品はより高寸法精度のものとなるのでよい。
また、拘束グリーンシートには難焼結性無機成分に加えて、焼成温度以下の軟化点を有するガラス成分、例えばセラミックグリーンシート4中のガラスと同じガラスを含有させるとよい。焼成中にこのガラスが軟化してセラミックグリーンシート4と結合することによりセラミックグリーンシート4と拘束グリーンシートとの結合が強固なものとなり、より確実な拘束力が得られるからである。このときのガラス量は難焼結性無機成分とガラス成分を合わせた無機成分に対して0.5〜15質量%とすると拘束力が向上し、かつ拘束グリーンシートの焼成収縮が0.5%以下に抑えられる。
焼成後、拘束シートを除去する。除去方法としては、例えば研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
以上のような方法で作製された電子部品は、その内部にデラミネーションを有さず寸法精度の高いものであるので、電子部品として要求される優れた電気特性や気密性の高いものとなる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明の方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
〈実施例1〉
まず、第1のセラミックグリーンシート層用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量%、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物とを合わせて10質量%の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、有機バインダーとしてガラス転移点(Tg)が−10℃のメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体樹脂および溶融成分として融点が48℃のヘキサデカノールを表1のような割合で調合し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、第1のスラリーを調整した。
また、第2のセラミックグリーンシート層用に、第1のスラリーと同様のセラミック粉末100質量部に対して有機バインダーとしてメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、第2のスラリーを調整した。
次に、ダイコーターシート成形機を用いて、成形速度2m/分にて250mmの幅で第1のスラリーを塗工し、その上に第2のスラリーを塗工して乾燥することにより、第1のセラミックグリーンシート層の厚みが150μm、第2のセラミックグリーンシート層の厚みが150μmのセラミックグリーンシートを作製した。
作製されたセラミックグリーンシートを切断により所定の大きさ(198mm×198mm)に切断した。切断されたセラミックグリーンシートは規定の枠に固定し、キャビティを形成するためにセラミックグリーンシートには、キャビティ用の金型で打ち抜き加工を行なった。このとき金型へのセラミックグリーンシート片の付着の有無を観察することによって金型への貼り付き評価を行った。
作製されたセラミックグリーンシートの第2のセラミックグリーンシート層上に、タングステン粉末を主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
導体層を形成した第2のセラミックグリーンシートをそれぞれ4層重ねあわせて厚み方向に0.5MPa(5kg/cm2)の圧力および80℃の温度で加熱圧着してセラミックグリーンシート積層体を作製した。
得られたセラミックグリーンシート積層体は、水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持することにより有機成分を除去した後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間焼成することで評価用のセラミック焼結体を作製した。
このセラミック焼結体の断面(クロスセクション)観察を行い、セラミック層間や導体層周囲のデラミネーションの発生について評価した。
第1のセラミックグリーンシート層の引き剥がし強度は、JIS Z0237を参考にして以下の手順で測定した。
まず、試験板に住軽アルミ箔(株)社製のアルミ箔を準備し、加熱積層機を用いてセラミックグリーンシートの第1のセラミックグリーンシート層側を住軽アルミ箔(株)社製のアルミ箔に圧着した。圧着条件は、打ち抜き加工時の加圧条件に合わせた25℃の温度で13MPaの圧力を10s間の印加、また、積層加工時の圧着条件に合わせた80℃の温度で0.5MPaの圧力を10s間の印加とした。次に、これを幅10mm、長さ100mmの大きさに押し切り切断機を用いて切断し、試験片とした。この試験片のセラミックグリーンシート側を固定用治具に取り付け、一方アルミ箔を移動治具に取り付け、10mm/mimの速度で引き剥がした。このときの固定治具と移動治具は垂直になるように設置し、90度引き剥がし強度測定し評価を行なった。測定は室温で行なった。
〈実施例2乃至5〉
第1のセラミックグリーンシート層用の有機バインダーと溶融成分の配合量を表1のような割合で調合した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施した。
〈比較例1乃至5〉
第1のセラミックグリーンシート層用の有機バインダーと溶融成分の配合量を表1のような割合で調合した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施した。
〈比較例6および7〉
第1のセラミックグリーンシート層用の有機バインダーとして酸価を調整しガラス転移点(Tg)が−36℃にしたメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体樹脂を用いて、有機バインダーと溶融成分の配合量を表1のような割合で調合した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施した。
〈比較例8および9〉
第1のセラミックグリーンシート層用の溶融成分として融点が20℃のラウリルアルコールを用いて、有機バインダーと溶融成分の配合量を表1のような割合で調合した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施した。
第1のセラミックグリーンシート層の引き剥がし強度の測定結果および評価結果を表1に示す。
表1の結果から分かるように、実施例1では、第1のセラミックグリーンシート層を25℃(室温)で圧着した引き剥がし強度が0.5N/10mmで、金型や周辺部材等へセラミックグリーンシートが貼り付くことなく、第1のセラミックグリーンシート層を35℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mmで、作製したセラミックグリーンシート積層体のセラミック層間や導体層周囲のデラミネーションが発生していないことを確認した。
また、セラミックグリーンシート層用の有機バインダーと溶融成分の配合量を変化させた実施例2乃至5の第1のセラミックグリーンシート層においても、粘着性を発現するのに十分な量の有機バインダーと溶融成分が配合されているため、第1のセラミックグリーンシート層を25℃(室温)で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下で、第1のセラミックグリーンシート層を35℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上あり、セラミックグリーンシート積層体を作製する際に、金型や周辺部材等へセラミックグリーンシートが貼り付くことなく作製することができ、作製したセラミックグリーンシート積層体のセラミック層間や導体層周囲のデラミネーションが発生していないことを確認した。
これに対し、比較例1乃至5の第1のセラミックグリーンシート層は有機バインダーと溶融成分の配合量が、粘着性を発現するのに十分な量で配合されていないため、第1のセラミックグリーンシート層を35℃で圧着した引き剥がし強度が、2.0N/10mm未満であり、セラミックグリーンシート積層体が十分に圧着されておらずにセラミック層間で剥がれてしまった。これは、第1のセラミックグリーンシート層がその下に位置する導体層と第2のグリーンシート層と接着できず、導体層の周囲や隣り合う導体層間に空隙が発生し、デラミネ−ションに至ったと考えられる。
一方、第1のセラミックグリーンシート層の有機バインダーとしてガラス転移点(Tg)がより低いものを使用した比較例6および7の第1のセラミックグリーンシート層を25℃で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mmを越え、35℃での引き剥がし強度に関わらず、金型や周辺部材等へセラミックグリーンシートが貼り付いてしまった。
同様に第1のセラミックグリーンシート層の溶融成分として融点が室温以下のものを使用した比較例8および9の第1のセラミックグリーンシート層を25℃で圧着した引き剥がし強度も1.0N/10mmを越え、35℃で圧着した引き剥がし強度に関わらず、金型や周辺部材等へセラミックグリーンシートが貼り付いてしまった。
以上のことから、本発明の実施例である第1のセラミックグリーンシート層を25℃(室温)で圧着した引き剥がし強度が1.0N/10mm以下で、35乃至100℃で圧着した引き剥がし強度が2.0N/10mm以上のものでは、金型や周辺部材等へセラミックグリーンシートが貼り付くことなく、デラミネーションの発生も抑制することが確認できた。
なお、本発明は、上記の実施の形態の例に限られることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更は可能である。