JP2007058935A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 潤滑層を備えた磁気記録媒体の製造方法であって、保護層の上に液体潤滑剤を塗布した後に、磁気記録媒体20を回転させながら、溶剤を含有した加工テープ11を磁気記録媒体の端面及びデータ面の外周部に、テープ押し当て具16を用いて同時に押し当てて液体潤滑剤を拭き取ることを特徴とする。
非磁性基板の厚みは0.635mm以下であることが好ましい。
また、液体潤滑剤を塗布した後、さらに加熱処理を施した後に、加工テープによる拭取りを行うことが好ましい。
【選択図】 図1
Description
この固定磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒体は、情報を磁気的に記録するための部品であり、一般的には基板上に下地層、磁気記録層、保護層が積層され、さらに液体潤滑層が塗布されている。基板は、ディスク状の非磁性材料、例えばアルミニウム合金やガラスが用いられ、表面に無電解メッキ法等でNi−P膜からなる非磁性金属膜を形成する場合もある。非磁性基板にはテクスチャー加工が施され、その上に磁気的な特性を向上させるためにCr等からなる非磁性金属下地層をスパッタ法等で形成し、さらに情報を記録するCo合金等からなる磁気記録層をスパッタ法等で形成する。更に、磁気記録層を保護するために、潤滑性に優れ摩耗し難いダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれる硬いアモルファスカーボン保護膜をスパッタ法やプラズマCVD法で形成し、その上に液体潤滑剤を塗布している。液体潤滑層の塗布法としては、量産性と装置の簡便さを考慮して浸漬塗布法(ディッピング法)が多く用いられる。これは、液体潤滑剤の原液を所望の膜厚に応じてフルオロカーボン系の溶剤で適当な濃度に希釈した塗布液に、基板を一定時間浸漬させた後、一定の速度で基板を引き上げるか又は塗布液を引き下げ、溶剤を蒸発させると同時に、基板上に残った潤滑剤成分を保護膜の上に吸着させる方法である。他の塗布方法としては、スピンコート法、スプレー法、蒸着法も用いられる。保護層の上に塗布される液体潤滑層は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)が主に用いられる。
前記非磁性基板の厚みは0.635mm以下であることが好ましい。
また、前記液体潤滑剤を塗布した後、さらに加熱処理を施した後に、前記加工テープによる拭取りを行うことが好ましい。
また、前記加工テープの荷重が15g以上、40g以下であることが好ましい。
また、前記液体潤滑剤を拭取った後、前記加工テープの押し当て圧を維持した状態で該加工テープを前記磁気記録媒体から引抜くことが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのもので、潤滑層が形成されている磁気記録媒体20の端面及びデータ面の外周部を拭取り加工する機構の模式図である。図6は、磁気記録媒体20の端部を拡大して示した模式図で、端面25およびデータ面26の外周部が対象となる加工領域である。
液体潤滑層を塗布した磁気記録媒体20を矢印方向に1000〜3000RPMで回転させながら、溶剤を含有させた加工テープ11をテープ押し当て具16により磁気記録媒体に押し当てる。加工テープ11はテープの供給リール12から供給され、加工テープ近傍に図示された矢印方向に送り出される。溶剤供給ノズル15から潤滑剤の溶剤が供給されて、加工テープ11は溶剤を含有した後に、磁気記録媒体に押し当てられて拭取り加工を行う。加工後はテープの巻取りリール13に収容される。加工テープとしてはナイロンポリエステルの織布が好ましい。これは使用する溶剤の含浸性はあるが溶けず、パーティクルなどのコンタミが少ないためである。また、使用する溶剤としては潤滑剤を溶解する働きがあれば特に種類を問わないが、イソプロピルアルコールあるいはパーフルオロカーボンが好ましい。これは潤滑剤に対して適度な溶解性がある。また、溶剤供給ノズル15からの溶剤の滴下量は0.01〜0.10ml/分が好ましい。
図2aは、テープ押し当て具16を磁気記録媒体に押し当てる直前の状態であるが、パッド保持具18は開の状態とする。ここで、開の状態とは、磁気記録媒体方向にテープ押し当て具16を移動したときに、パッド17およびその間に挟まる加工テープ11が磁気記録媒体のデータ面に接触しない間隙に設定されていることを意味している。加工テープ11は図示されるように円弧状(あるいは山形)に保持することが好ましい。図3は加工テープを円弧状に保持するための方法の例を説明するためのもので、ガイドローラー14として中央が凸の樽状のローラーを用い、2個のガイドローラー14の間で加工テープに適度なテンションを付与することにより、円弧状の形状を保持することができる。このようにすることで、加工時にテープの端が磁気記録媒体の表面に触れないようにすることができ、意図しない加工傷やパーティクル発生を抑制することができる。
拭取り加工終了後は、パッド保持具18が閉の状態で、即ち、加工テープ押し当て圧を印加したまま、テープがコの字型になっている状態で、図2cのように磁気記録媒体からテープ押し当て具16を引き抜く。これは、拭き取った潤滑剤が磁気記録媒体に残らないようにするためである。
図5は、磁気記録媒体の構成の一例を示す断面模式図で、非磁性基板31の上に、下地層32を形成し、その上に磁気記録層33、保護層34をスパッタ方式やCVD方式などで順次成膜した後、潤滑層35を例えば浸漬塗布法で塗布している。必要に応じて配向制御層、中間層、軟磁性裏打ち層などの追加の層を設けてもよい。
非磁性基板31は、アルミ合金、化学強化ガラス、結晶化ガラス、セラミック、シリコン、ポリカーボネート、高分子樹脂などの材料からなる基板であってよく、特に限定されるものではない。その大きさは特に限定されるものではないが、直径が0.85インチないし2.5インチで、厚さが0.635mm以下の磁気記録媒体に適用するときに特に効果が得られる。
磁気記録層33は、慣用の磁性材料を用いることができ、例えば、CoCrTaPt、CoCrTaP−Cr203、CoCrTaPt−SiO2、CoCrTaPt−ZrO2、CoCrTaPt−TiO2、CoCrTaPt−AI203等を成分とする磁気記録層を用いることができる。膜厚は20nm以下が好ましく、特に好ましくは10〜20nmである。磁気記録層を複数用いて多層構造の記録層としてもよい。
保護層34は、磁気記録層を磁気ヘッドの衝撃、外界の腐食生物質などの腐食から保護する機能を有し、例えばアモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボンや窒素添加アモルファスカーボンなどを用いることができる。保護層の厚さは5.0nm以下が好ましく、特に好ましくは2.0〜4.0nmである。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
非磁性基板31として、外径2.5インチ、板厚0.635mmのガラス基板を用いた。基板をよく洗浄した後、スパッタ装置に導入し、Cr系の積層下地層32を合計膜厚25nmにて形成した。引き続き、Co系磁気記録層33を15nmにて形成し、引き続き窒素添加カーボン保護層34を膜厚4nmにて形成した後、スパッタ装置から取り出し、浸漬塗布法にて潤滑層35を形成した。潤滑剤は、Z−tetraolを用い、これを0.03wt%となるようにフッ素カーボン系溶剤で希釈し、引抜き速度1.0mm/secにて成膜し、潤滑層を基板の中周の膜厚で1.2nm塗布した。引き続き70℃にて35分加熱後に、端部の拭取り加工を行った。
(比較例1)
端部の拭取り加工を行わなかったことを除き、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製して比較例1とした。
端部の拭取り加工装置の加工テープ押し当て具16として、図4に示す円筒状のローラーを用いたこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製して比較例2とした。
これらの試料を用いて潤滑層の膜厚分布を測定した。測定はカンデラ社(Candela社)製OSA5100で行った。OSAは、P偏光波(縦波)やS偏光波(横波)のレーザー光を磁気記録媒体の表面に対して斜めから照射し、反射光の位相差を検知することで反射物質上(例えば、磁気記録層や保護層上)の物質(カーボンや潤滑剤)を定量する装置である。今回は潤滑層の状態を詳細に検知するため、P、S偏光波単体よりも感度の高いQ偏光波とS偏光波の位相差の変化を使用した。
図8は、実施例1と比較例2の磁気記録媒体の潤滑層膜厚分布を示すもので、測定位置は図7と同様である。図7と同様に膜厚の差を比較すれば、テープ押し当て具16をローラー状とした比較例2は、膜厚が約0.5nm厚く、実施例1の方が潤滑剤溜りを効果的に低減していることが分かる。
12 テープの供給リール
13 テープの巻取りリール
14 ガイドローラー
15 溶剤供給ノズル
16 テープ押し当て具
17 パッド
18 パッド保持具
20 磁気記録媒体
21 塗布液溜り
22 残存潤滑剤
25 磁気記録媒体の端面
26 磁気記録媒体のデータ面
31 非磁性基板
32 下地層
33 磁気記録層
34 保護層
35 潤滑層
Claims (6)
- 非磁性基板、磁気記録層、保護層および潤滑層を備えた磁気記録媒体の製造方法であって、
該保護層の上に液体潤滑剤を塗布した後に、前記磁気記録媒体を回転させながら、溶剤を含有した加工テープを前記磁気記録媒体の端面及びデータ面の外周部に同時に押し当てて前記液体潤滑剤を拭き取ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記非磁性基板の厚みが0.635mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記液体潤滑剤を塗布した後、さらに加熱処理を施した後に、前記加工テープによる拭取りを行うことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記加工テープの荷重が15g以上40g以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記液体潤滑剤を拭取った後、前記加工テープの押し当て圧を印加した状態で該加工テープを前記磁気記録媒体から引抜くことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする磁気記録媒体。
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