JP4843916B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
一般的な磁気ディスクでは、基板、下地層、磁性層および保護層を設け、さらに保護層の上に液体潤滑層を設けることによって耐久性を向上させている。液体潤滑層の膜厚は、通常、1nm〜2nm程度とされているが、この程度の膜厚では実際のところ潤滑剤分子が保護層表面に島状に点在した状態にあり、1つの薄膜からなる完全な層構造にはなっていないと考えられている。すなわち、島状に点在する各潤滑剤分子の間(潤滑剤が存在しない領域)は、下層となる保護層が剥き出しの状態となるため、後述するようないくつかの問題を引き起こすことになる。
また、現在、磁気ディスクの製造工程では、潤滑剤の塗布工程後に加工テープを用いたテープバニッシュ工程を導入し、先の工程で付着した異物を除去することによって、磁気ヘッドの安定浮上を確保している。しかし、上述のように、液体潤滑層の通常の膜厚では保護層を完全に被覆することが困難であるため、テープバニッシュ加工時に保護層(例えば、カーボン膜)と加工テープとが直接接触することになり、摩擦電荷が生じ、それらが磁気ディスク表面に蓄積することになる。磁気ディスク表面に摩擦電荷が蓄積すると、グライド試験用ヘッドまたは磁気ヘッドの浮上を阻害するという新たな問題を引き起こすことになる。また、テープバニッシュ工程において異物の除去を確実に行うために、テープ加工時の圧力を増加させていくと磁気ディスクの表面に傷が発生し易くなる。
上述の問題は、保護層を潤滑剤によって十分に被覆する、すなわち保護層上に充分な厚みの液体潤滑層を形成することによって解決することが可能である。液体潤滑層の膜厚を10nm〜100nm程度にまで増大させていけば、ある時点で保護層を完全に被覆する液体潤滑層を形成することができるであろう。しかし、増大された膜厚を有する液体潤滑層は、磁気ヘッドの浮上量の低下が求められる磁気ディスクの現状においては適当ではない。したがって、信頼性が高く、より高性能な磁気記録媒体を提供するために、液体潤滑層の通常の膜厚(概ね1nm〜2nm)を維持する一方で、均一な被覆と安定な結合性を有する液体潤滑層が必要とされている。
また潤滑剤と保護層の結合性を高めるために、光または熱を印加する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、光または熱を印加する方法では、潤滑剤と保護層の結合を促進するものの、潤滑剤は塗布された位置にて保護層と結合するだけであり、依然として潤滑剤は島状に点在することになる。即ち、島状に点在する潤滑剤を物理的に再配置して保護層を潤滑剤によって充分に被覆する効果は有しない。
したがって、本発明の課題は、通常の液体潤滑層の膜厚(概ね1nm〜2nm)を維持する一方で、均一な被覆と安定な結合を有する液体潤滑層を形成可能とし、その結果として高性能で信頼性の高い磁気記録媒体を提供し得る、磁気記録媒体の製造方法を提供することである。
また、前記超音波の周波数は10kHz以上、10MHz以下であることが好ましい。
図1は、浸漬塗布法により液体潤滑層14を形成する例について示したもので、液体潤滑層14を形成する潤滑剤を溶剤にて希釈して希釈液体潤滑剤3を準備し、これを潤滑剤槽2に投入する。磁気記録媒体1を引き上げハンガー4に装着した後、引き上げハンガーを降下して、磁気記録媒体1を希釈液体潤滑剤3に浸漬する。超音波振動子5を作動しながら引き上げハンガー4を所定の速度で上昇して液体潤滑層14を形成する。
図1のように磁気記録媒体を希釈液体潤滑剤から引き上げる際、溶剤が蒸発し潤滑剤分子が保護膜上のサイトと結合する。この際弱いサイトと結合する潤滑剤分子があると、先に述べたようなヘッドとの衝撃あるいは摺動により飛散、消失しやすくなる。
そこで本発明ではこの潤滑剤分子に適切なレベルのエネルギーを与えながら引き上げを行う。ここで与えるエネルギーレベルが、潤滑剤が外れ易い弱い結合サイトとの結合エネルギーよりも高く、かつ潤滑剤を安定的に結合させられる強い結合サイトとの結合エネルギーよりも低ければ、問題となる弱い結合サイトに結合せず、安定的な強い結合サイトに選択的に潤滑剤分子を結合させることができる。エネルギーを与える方法として、超音波振動をその手段として使用する。超音波振動子5により希釈液体潤滑剤3に超音波振動を発生させる。適用する超音波の周波数は、保護層13の表面特性、あるいは液体潤滑層14の潤滑剤種類に応じて適宜設定されるが、10kHz〜10MHzが好ましい。10kHz未満では、潤滑剤分子に充分に高いエネルギーを与えることができず、10MHzを超えると、強い結合サイトの結合エネルギーよりも高いエネルギーとなり、潤滑剤分子を保護層に結合させることができなくなる。
液体潤滑剤の塗布は、浸漬塗布法に限らず、スピンコート法、蒸着法といった公知の塗布方法を使用して実施することが可能である。しかしながら、超音波の印加を効率よく行うためには浸漬塗布法が特に好ましい。
基板は、アルミ合金、強化ガラス、結晶化ガラス、セラミック、シリコン、ポリカーボネート、高分子樹脂などの材料からなる基板であってよく、特に限定されるものではない。しかし、ヘッドの浮上安定性や磁気特性(磁気配向性)向上のために、基板表面にテクスチャー加工を施したものが好ましい。
磁性層は、例えば、CoCrPt、CoCrTa、CoCrPtB、CoPt−SiO2、CoCrPt−SiO2などの磁性材料を使用し、それらをスパッタ法などの成膜方法に従い成膜することよって形成することが可能である。
保護層は、SiO2またはカーボンからなる薄膜から形成することが可能であるが、特にカーボンからなる薄膜を保護層とすることが好ましい。カーボン薄膜の形成には、CVD法(例えば、エチレンガスを用いたイオンビーム方式のCVD法)、またはスパッタ法(例えば、グラファイトをターゲットとする、アルゴンガス+窒素ガスによるDCマグネトロン式のスパッタ法)を適用することが可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、それらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
上述のように保護層まで順次積層した磁気ディスクに対して、以下のようにして液体潤滑層を形成した。先ず、液体潤滑剤としてFomblin−Z−DOL(アウジモント社製)を使用し、フロロカーボン系有機溶剤であるフロリナートFC77(住友3M社製)によって希釈し、0.02wt%の濃度の溶液を調製して希釈液体潤滑剤3とした。磁気記録媒体を希釈液体潤滑剤に浸漬し、周波数36kHzの超音波振動子5を用い、400Wの電力を印加しながら磁気記録媒体を引き上げ速度1.0mm/秒で引き上げた。形成された液体潤滑層は、膜厚が1.8nmであった。
(比較例)
液体潤滑層14の形成時に、超音波の印加を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして磁気ディスクを作製して比較例とした。
次に、磁気ディスクの摺動耐久性について検討した。
摺動耐久性は、荷重0.5gfの磁気ヘッドを10torrの減圧状態で接触走行させ、カーボン保護膜が破綻するまでのパス数(ディスクが回転した数)を減圧摺動耐久回数として評価した。なお磁気ディスクの回転数は5400rpm、接触走行する半径は25mmで固定した。結果を図4に示す。なお図4のグラフは、検討を行った複数の磁気ディスクから任意に選択した3枚の磁気ディスクの平均である。図4から明らかなように、実施例1は比較例よりも良好な耐久性を示していることが分かる。これは、上記の通りカーボン保護膜に対する高い被覆性と高い結合性が寄与しているためである。
2 潤滑剤槽
3 希釈液体潤滑剤
4 引き上げハンガー
5 超音波振動子
11 基板
12 磁性層
13 保護層
14 液体潤滑層
Claims (2)
- 基板上に、少なくとも磁性層および保護層を順次積層し、さらに前記保護層上に液体潤滑層を形成してなる磁気記録媒体の製造方法において、
前記液体潤滑層を形成する工程が、溶剤で希釈した液体潤滑剤に超音波を印加しながら磁気記録媒体を引き上げる浸漬塗布法を1回実施して保護層を被覆し、被覆した後は溶剤もしくは溶剤で希釈した液体潤滑剤に浸漬せずにおよび固体材料の機械的な接触を行なわずに液体潤滑層とする工程であり、前記液体潤滑剤が、鎖状分子構造の末端に極性基を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記超音波の周波数が10kHz以上、10MHz以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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