JP2008047284A - 磁気ディスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に磁性層と保護層と潤滑剤層を備える磁気ディスクである。上記潤滑剤層を構成する潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端に官能基を備える化合物を含む。そして、上記潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、前記主鎖に対する前記官能基の比率(官能基/主鎖)は、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比において、81%以下である。
【選択図】図2
Description
CSS動作時に起る磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触摺動によるダメージを緩和するために、例えば、特許文献1などにより、磁気ディスクの表面に、HOCH2-CF2O-(C2F4O)p-(CF2O)q-CH2OHの構造をもつパーフロロアルキルポリエーテルの潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が知られている。また、特許文献2には、ディッピング法により磁気ディスクの表面に潤滑膜を形成する潤滑剤塗布工程で用いる磁気ディスクの保持具の構造が開示されている。
フライスティクション障害とは、記録再生中に突然、磁気ヘッドの浮上姿勢が不安定になり、記録信号、再生信号に異常な変動を来たす障害である。場合によっては浮上飛行中に磁気ディスクと磁気ヘッドが接触し、ヘッドクラッシュ障害を起こして磁気ディスクを破壊する事がある。また、ヘッド腐食障害とは、磁気ヘッドの素子部が腐食して記録再生に支障をきたす障害であり、場合によっては記録再生が不可能となったり、腐食素子が膨大して、浮上飛行中に磁気ディスク表面にダメージを与えることがある。
本発明者はこのような状況に鑑み、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下で浮上飛行したとしても、フライスティクション障害やヘッド腐食障害が生じることの無い、安全に記録再生ができる磁気ディスクの開発に努めた。その結果、これらの障害の発生には、磁気ディスク表面に設けられた潤滑剤層が関与しているとの知見を得た。
また、本発明の第2の目的は、ロードアンロード方式で起動停止動作を行うハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクとして好適な磁気ディスクを提供することである。
また、一般に使用されているパーフルオロポリエーテル系潤滑剤は、フッ酸等の酸を生成する場合があり、磁気ヘッドに移着するとヘッドの素子部を腐食させる場合がある。特に、磁気抵抗効果型再生素子を搭載するヘッドは腐食され易い。
本発明者は、これらの解明事実及び知見に基づき前述の目的に照らして更に研究を進め、詳細な検討を続けた結果、本発明を完成するに至った。
(構成1)基板上に磁性層と保護層と潤滑剤層を備える磁気ディスクであって、前記潤滑剤層を構成する潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端に官能基を備える化合物を含み、前記潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、前記主鎖に対する前記官能基の比率(官能基/主鎖)は、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比において、81%以下であることを特徴とする磁気ディスクである。
(構成2)中央に円孔を有する磁気ディスクの表面に潤滑剤層を塗布成膜する工程を含む磁気ディスクの製造方法であって、潤滑剤を含む塗布液に磁気ディスクを浸漬させた後、塗布液の液面に対して磁気ディスクの主面を傾斜させ、前記液面に対して磁気ディスクを相対的に引き上げ、磁気ディスクの表面に潤滑剤層を塗布成膜することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
(構成3)前記塗布液の液面に対する磁気ディスクの主面の傾斜角度は、0(零)度を超え87度以下の角度とすることを特徴とする構成2に記載の磁気ディスクの製造方法である。
(構成5)前記潤滑剤層は、磁気ディスクにおける保護層上に塗布成膜されるものであって、前記保護層は、炭素、水素及び窒素を含有する炭素系保護層であることを特徴とする構成2乃至4の何れかに記載の磁気ディスクの製造方法である。
(構成6)前記磁気ディスクはロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする構成2乃至5の何れかに記載の磁気ディスクの製造方法である。
(構成7)前記磁気ディスクは外径が30mm以下の小型磁気ディスクであることを特徴とする構成2乃至6の何れかに記載の磁気ディスクの製造方法である。
また、本発明によれば、ロードアンロード方式で起動停止動作を行うハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクとして好適な高信頼性の磁気ディスクを得ることができる。
本発明に係る磁気ディスクの好ましい実施の形態は、基板上に少なくとも磁性層と保護層と潤滑剤層をこの順に備える磁気ディスクである。したがって、潤滑剤層は保護層の上に設けられる。
本発明に係る磁気ディスクは、このように基板上に磁性層と保護層と潤滑剤層を備える磁気ディスクであって、前記潤滑剤層を構成する潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端に官能基を備える化合物を含み、前記潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、前記主鎖に対する前記官能基の比率(官能基/主鎖)は、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比において、81%以下である。
前記潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端に官能基を備えるパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑剤が好ましく用いられる。
アルコール変性されたパーフルオロポリエーテルとしては、モノオール化合物、ジオール化合物、トリオール化合物、テトラオール化合物などの様々な末端基構造を備える化合物が含まれ、アルコール変性の程度、即ち、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端基に結合する水酸基の数の違いによって、潤滑剤分子の潤滑性能や付着力が異なる。従って、モノオール化合物、ジオール化合物、トリオール化合物、テトラオール化合物など様々なアルコール変性化合物の含有状態や生成状態などにより潤滑剤の特性は異なる。本発明では、特にパーフルオロポリエーテル主鎖の両末端に官能基を備える化合物が好適である。特に炭素系保護層との密着性をより高められるからである。
上記末端基がテトラオール構造を備えるパーフルオロポリエーテル化合物としては、
化学式
なお、アルコール変性されたパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤に属する市販品としては、ソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットテトラオール(商品名)、フォンブリンゼットドール(商品名)等が挙げられる。前者のフォンブリンゼットテトラオールは上記例示の構造のパーフルオロテトラオール化合物を主成分として含んでいる。また後者のフォンブリンゼットドールは上記例示の構造のパーフルオロジオール化合物を主成分として含んでいる。
なお、潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、官能基/主鎖の比率は、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比によって特定することが可能であるため、本発明においては、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比の値を使用する。
上記潤滑剤層を形成する方法としては、ディップコート法を好ましく用いることができる。ディップコート法は、潤滑剤を例えば弗素系溶媒に分散させた溶液(塗布液)を調製し、保護層まで成膜された磁気ディスクをこの溶液に浸漬させることにより潤滑剤層を塗布成膜する方法である。
本発明では、潤滑剤を含む塗布液に磁気ディスクを浸漬させた後、塗布液の液面に対して磁気ディスクの主面を傾斜させ、前記液面に対して磁気ディスクを相対的に引き上げ、磁気ディスクの表面に潤滑剤層を塗布成膜することを特徴とする。図1はこのような本発明における潤滑剤層の塗布成膜方法を示す概略構成図である。
なお、本発明者の検討によると、前記特許文献2に開示されているような塗布液面に対して磁気ディスクを垂直に向けた状態(つまり傾斜角度が90度)で、磁気ディスクを塗布液から引き上げて潤滑剤を塗布成膜すると、磁気ディスク中央の円孔をまたいで筋状の塗布むらが出来ることが判明した。円孔をまたぐように筋状の塗布むらが出来ることから、円孔を有することと塗布むらが出来ることとは何らかの関連があるものと考察される。本発明によれば、中央に円孔を有する磁気ディスクでも、塗布むらの無い潤滑剤層を形成することができる。
また、本発明による塗布液の液面に対して磁気ディスク主面を傾斜させて潤滑剤層を塗布成膜することにより、上述の潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における官能基/主鎖の比率を81%以下とすることができる。即ち、塗布むらの無い潤滑剤層を形成できることに加えて、意外にも保護層との密着性を高めた潤滑剤層を形成できるという効果も有する。従って、本発明によれば、潤滑剤層の塗布むらが出来ないことと、保護層との密着性が高いことの両方の観点から、潤滑剤の磁気ヘッドへの移着堆積を抑制し、結果、10nm以下の低浮上量で磁気ヘッドを浮上飛行させても、フライスティクション障害やヘッド腐食障害を好適に防止することが出来るという優れた効果を奏する。
使用する潤滑剤は、予め精製処理してもよい。精製処理することにより、高分子成分からなる潤滑剤の分子量分布を好適に調整することができるからである。潤滑剤の精製の方法としては、GPC法、超臨界抽出法、蒸留法等が挙げられる。
また、本発明に用いる潤滑剤の分子量は特に制約されないが、例えば重量平均分子量(Mw)で4000〜8000程度の範囲であることが好ましい。
本発明における保護層としては、炭素系保護層を用いることができる。特にアモルファス炭素保護層が好ましい。このような保護層は、潤滑層に好ましく含まれるアルコール変性パーフルオロポリエーテル化合物との親和性が高く、高い付着力を得ることができる。付着力を調節するためには、炭素保護層を水素化炭素及び/又は窒素化炭素として、水素及び/又は窒素の含有量を調節することにより制御することが可能である。
水素の含有量は水素前方散乱法(HFS)で測定したときに3〜20at%とするのが好ましい。窒素の含有量はX線光電子分光分析法(XPS)で測定したときに、4〜12at%とするのが好ましい。
磁性層としては高記録密度化に適したCo系磁性層が好ましい。このような磁性層としては例えばCoPt系磁性層、CoCrPt系磁性層を挙げることができる。磁性層の形成方法としてはDCマグネトロンスパッタリング法を好ましく挙げることができる。
本発明によれば、ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクとして好適な磁気ディスクが得られる。
本発明による磁気ディスクは、NPABスライダーを有する磁気ヘッド対応の磁気ディスクとして特に有用性に優れている。NPABスライダーを有する磁気ヘッドとともにHDDに搭載される磁気ディスクとして好適である。
[実施例1]
図2は、本発明の一実施の形態になる磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、ディスク基板1上に順次、シード層2a及び下地層2bを含む非磁性金属層2、磁性層3、炭素系保護層4、並びに潤滑剤層5が順次成膜されてなる。以下詳細に説明する。
(潤滑剤の準備)
まず、前記パーフルオロテトラオール化合物を主成分として含有する潤滑剤としてソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットテトラオール(商品名)を選定し、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により精製処理した。得られた潤滑剤の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で5200であった。また、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)法を用いて上記潤滑剤を分析したところ、前記パーフルオロテトラオール化合物が主成分として含有されており、その含有率は90%であった。
アルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型化学強化ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。尚、基板1の主表面は、Rmaxが4.8nm、Raが0.43nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板上に、DCマグネトロンスパッタリング法により順次、シード層2a、下地層2b、磁性層3を成膜した。
シード層2aは、NiAl合金(Ni:50モル%、Al:50モル%)薄膜を膜厚30nmとなるように成膜した。
下地層2bは、CrMo合金(Cr:80モル%、Mo:20モル%)薄膜を膜厚8nmとなるように成膜した。
磁性層3は、CoCrPtB合金(Co:62モル%、Cr:20モル%、Pt:12モル%、B:6モル%)薄膜を膜厚15nmとなるように成膜した。
次に、先に作製した潤滑剤塗布液を用いてディップコート法で塗布することにより潤滑剤層5を成膜した。なおこのときの塗布液の液面に対する磁気ディスク主面の傾斜角度を後記表1に示すように、10度〜87度の範囲内で種々変えて、潤滑剤の塗布成膜を行った。潤滑剤層成膜後に、磁気ディスク10を真空焼成炉内で130℃、90分加熱することにより、潤滑剤を保護層4上に付着させた。潤滑剤層5の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ何れの磁気ディスクも12Åであった。こうして実施例1−1〜実施例1−9の磁気ディスクを得た。
また、1.8インチ型化学強化ガラスディスク(外径48mm、内径12mm、ディスク厚0.508mm)、1.0インチ型化学強化ガラスディスク(外径27.4mm、内径7mm、ディスク厚0.381mm)、0.8インチ型化学強化ガラスディスク(外径21.6mm、内径6mm、ディスク厚0.381mm)をそれぞれディスク基板1として用いた以外は、上述と同様に磁気ディスク(実施例1−10〜実施例1−12)を得た。
[潤滑剤層表面における官能基/主鎖比率測定]
得られた磁気ディスク表面、つまり上記潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、潤滑剤の主鎖に対する官能基の比率(官能基/主鎖比率)を、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定した。なお、測定に当たっては、本実施例で使用した潤滑剤の場合、C2F4Oのフラグメントをパーフルオロポリエーテル主鎖とし、該主鎖の末端のC3H7O2を官能基とした。
飛行時間型二次イオン質量分析(time of flight-secondary ionmassspectrometer 略称:TOF-SIMS)としては、以下の方法を用いた。
TOF-SIMSとは、検出系に飛行時間型質量分析計を用いる二次イオン質量分析法であり、ここで用いるTOF-SIMSとは、静的SIMS(static SIMS)である。本実施例では、PHI社製のTOF-SIMSである、TRIFT IIIを利用した。
TOF-SIMS分析において、一次イオンはガリウムイオン(Ga+)とした。なお、本実施例においては、一次イオンエネルギーは+に対して12kV、−に対して18kVの条件を用いた。イオン電流は600pAとした。
また、一次イオンの入射角度は、磁気ディスク表面(即ち潤滑剤層5の表面)の法線に対して30度とし、磁気ディスク表面と一次イオンの入射方向とがなす角度を60度とした。一次イオンの照射面は、磁気ディスク表面において、縦80μm、横80μmの正方領域であり面積は6400μm2である。二次イオンの検出質量数(Mass Range)は、質量数1から質量数1000とした。
官能基/主鎖の比率が低ければ、水酸基を含む官能基が潤滑剤層の保護層と接する側の面により多く配向していることになり、炭素系保護層に対する潤滑剤層の密着性が高いことを示す。
[潤滑剤層の塗布むら]
潤滑剤層表面の塗布むらの状態を検査した。この検査は、光学式の測定器であるカンデラを用いて光干渉法により行った。
得られた磁気ディスクのLUL(ロードアンロード)耐久性を評価するために、LUL耐久性試験を行なった。
LUL方式のHDD(ハードディスクドライブ)(5400rpm回転型)を準備し、浮上量が10nmの磁気ヘッドと本実施例の磁気ディスクを搭載した。磁気ヘッドのスライダーはNPABスライダーであり、再生素子は磁気抵抗効果型素子(GMR素子)を搭載している。NPABスライダーは潤滑剤その他コンタミの磁気ヘッドへの移着を促進し易いスライダーである。またGMR素子は腐食障害が発生し易い再生素子である。このLUL方式HDDに連続LUL動作を繰り返させて、故障が発生するまでに磁気ディスクが耐久したLUL回数を計測した。
結果、本実施例1−1〜1−12の磁気ディスクは、いずれも障害無く60万回のLUL動作に耐久し、本実施例の磁気ディスクは高い信頼性を備えていることがわかった。なお、上記LUL耐久性試験中、フライスティクション障害は発生しなかった。
また、上記LUL耐久性試験後の磁気ヘッド及び磁気ディスクの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に調査したが、傷や腐食現象は観察されなかった。また、磁気ヘッド(特に磁気ヘッドのNPABポケット部やABS面)への潤滑剤の移着も観察されなかった。尚、ABS(Air Bearing Surface)面とは、流体軸受け(空気軸受け)により磁気ヘッドに揚力を付与する面のことである。
潤滑剤塗布液の液面に対する磁気ディスク主面の傾斜角度を90度、つまり塗布液液面に対して磁気ディスクを垂直に向けた状態で潤滑剤の塗布成膜を行った点以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを製造した。潤滑剤層表面には塗布むらが観察された。また、得られた磁気ディスクのLUL耐久性試験では、30万回のLUL動作でヘッドクラッシュにより故障した。また、上記LUL耐久性試験後に磁気ヘッド及び磁気ディスクを取り出して調査したところ、磁気ディスク表面及び磁気ヘッド表面にはヘッドクラッシュによる傷が確認された。また、磁気ヘッドのNPABポケット部やABS面に潤滑剤の移着が確認され、ヘッド腐食障害も確認された。
以上の実施例1−1〜1−12及び比較例1における結果を纏めて下記表1に示した。また、実施例1及び比較例1における、潤滑剤塗布液の液面に対する磁気ディスクの主面の傾斜角度と、潤滑剤層表面における官能基/主鎖の比率との関係を図3に示した。また、潤滑剤層表面をカンデラにより測定した写真を図5((a)は実施例1−1、(b)は比較例1)に示した。
なお、磁気ディスク主面の傾斜角度を0(ゼロ)度として潤滑剤層を塗布成膜してみたが(比較例)、潤滑剤層表面に塗布むらが出来た。またこの場合、磁気ディスク1枚1枚を水平に並べることになるので、使用される塗布液槽の大きさもある程度限られている関係上、生産性が悪いという問題点もある。
前記パーフルオロジオール化合物を主成分として含有するソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール(商品名)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により精製処理して準備したものを潤滑剤として使用したこと以外は、前述の実施例1と同様にして潤滑剤層を塗布成膜し、実施例2−1〜2−12の磁気ディスクを製造した。
[比較例2]
実施例2と同じ潤滑剤を使用したこと以外は、前述の比較例1と同様にして潤滑剤層を塗布成膜し、比較例2の磁気ディスクを製造した。
以上の実施例2−1〜2−12、及び比較例2の磁気ディスクについて、前述と同様の評価を行った結果を纏めて下記表2に示した。また、実施例2及び比較例2における、潤滑剤塗布液の液面に対する磁気ディスクの主面の傾斜角度と、潤滑剤層表面における官能基/主鎖の比率との関係を図4に示した。
2 非磁性金属層
2a シード層
2b 下地層
3 磁性層
4 炭素系保護層
5 潤滑剤層
10 磁気ディスク
Claims (6)
- 基板上に磁性層と保護層と潤滑剤層を備える磁気ディスクであって、
前記潤滑剤層を構成する潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル主鎖の末端に官能基を備える化合物を含み、
前記潤滑剤層の磁気ヘッドに対向する側の表面における、前記主鎖に対する前記官能基の比率(官能基/主鎖)は、飛行時間型二次イオン質量分析法により測定される検出比において、81%以下であることを特徴とする磁気ディスク。 - 前記官能基は水酸基を含む官能基であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
- 前記潤滑剤層は、磁気ディスクにおける保護層上に塗布成膜されるものであって、前記保護層は、炭素、水素及び窒素を含有する炭素系保護層であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク。
- 前記潤滑剤層の膜厚は、5〜15Åであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の磁気ディスク。
- 前記磁気ディスクは、ロードアンロード方式であって、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下である磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の磁気ディスク。
- 前記磁気ヘッドが負圧スライダーを備えていることを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク。
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