JP2005141824A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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【課題】磁気ヘッドの低浮上量の下で、フライスティクション障害等を防止し、浮上安定性、LUL(ロードアンロード)耐久性に優れた、高い信頼性を有する、高記録密度化に好適な磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを提供する。
【解決手段】ガラスディスクの主表面に、研磨砥粒としてダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を含む研磨液を供給し、ガラスディスクの主表面に研磨テープを押圧させながらガラスディスクと研磨テープとを相対的に移動させて上記ガラスディスク主表面を研磨する工程を有することにより、磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
また、かかる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により得られるガラス基板上に磁性層を形成することで、磁気ディスクを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクの製造方法、及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。HDD等に搭載される磁気ディスクでは、高容量化の要請により40Gbit/inch以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
磁気ディスクでは、磁気ヘッドの浮上飛行方向の磁気特性が特に優れていることが求められる。このため、磁気ディスク用基板上にテクスチャー加工を行い、磁性層の磁化軸をテクスチャーラインの方向に向けて磁化の配向を作り出すなど試みられている。このような技術としては、例えば特開2001−101656号公報(特許文献1)に記載のように、ガラス基板表面に、ガラスより硬度の高い砥粒と酸化セリウム砥粒からなる遊離砥粒スラリーとテープを用いてテクスチャー加工を行う技術が知られている。
ところで最近では、高記録密度化に適した磁気ディスク用基板として、ガラス基板が注目されている。ガラス基板は、金属の基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適し、また、平滑で平坦な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させることが容易であり、記録信号のS/N比の向上と高記録密度化に好適である。
特開2001−101656号公報
最近、HDDでは60Gbit/inch以上の情報記録密度が要求されるようになってきた。これは一つに、HDDが従来のコンピュータ用記憶装置としてのニーズに加えて、携帯電話やカーナビゲーションシステム、デジタルカメラ等に搭載されるようになってきたことと関係がある。
これらの新規用途の場合、HDDを搭載する筐体スペースがコンピュータに比べて著しく小さいので、HDDを小型化する必要がある。このためには、HDDに搭載する磁気ディスクの径を小径化する必要がある。例えば、コンピュータ用途では3.5インチ型や2.5インチ型の磁気ディスクを用いることが出来たが、上記新規用途の場合では、これよりも小径の、例えば0.8インチ型〜1.8インチ型などの小径磁気ディスクが用いられる。このように磁気ディスクを小径化した場合であっても一定以上の情報容量を格納させる必要があるので、勢い、情報記録密度の向上に拍車がかかることになる。
また、限られたディスク面積を有効に利用するために、従来のCSS(Contact Startand Stop)方式に代えてLUL(Load Unload:ロードアンロード)方式のHDDが用いられるようになってきた。LUL方式では、停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾斜台に退避させておき、起動動作時には磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク上に滑動させ、浮上飛行させて記録再生を行なう。停止動作時には磁気ヘッドを磁気ディスク外のランプに退避させたのち、磁気ディスクの回転を停止する。この一連の動作はLUL動作と呼ばれる。LUL方式用の磁気ディスクでは、CSS方式のような磁気ヘッドとの接触摺動用領域(CSS領域)を設ける必要がなく、記録再生領域を拡大させることができ、高情報容量化にとって好ましいからである。
このような状況の下で情報記録密度を向上させるためには、磁気ヘッドの浮上量を低減させることにより、スペーシングロスを限りなく低減する必要がある。1平方インチ当り60ギガビット以上の情報記録密度を達成するためには、磁気ヘッドの浮上量は10nm以下にする必要がある。LUL方式ではCSS方式と異なり、磁気ヘッドと磁気ディスク面とが接触することがないので、磁気ディスク面上に吸着防止用の凸凹形状を設ける必要が無く、磁気ディスク面上を極めて平滑化することが可能となる。よってLUL方式用磁気ディスクでは、CSS方式に比べて磁気ヘッド浮上量を一段と低下させることができるので、記録信号の高S/N比化を図ることができ、磁気ディスク装置の高記録容量化に資することができるという利点もある。
最近のLUL方式の導入に伴う、磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の極低浮上量においても、磁気ディスクが安定して動作することが求められるようになってきた。しかしながら、このような極低浮上量で磁気ディスク面上に磁気ヘッドを浮上飛行させると、フライスティクション障害が頻発するという問題が発生した。フライスティクション障害とは、記録再生中に突然、磁気ヘッドの浮上姿勢が不安定になり、記録信号、再生信号に異常な変動を来たす障害である。
ところで、前述のHDDの新規用途の場合、コンピュータ用途に比べて、激しい振動、落下などの外部衝撃を受け易い環境で用いられることが多い。また、温度、湿度や気圧が不安定な環境で用いられることが多い。更に、HDDの使用環境が様々であることから、雰囲気に含有されるガス、特に有機ガスがHDD内に進入し易いという問題もある。このような有機ガスの例としては、筐体を構成するプラスチックなどのポリマーの可塑剤として多用されているDOP(ジオクチルフタレート)やシリコンゴムに含有されるシロキサン類などが挙げられる。これら有機ガスはフライスティクション障害を誘発しやすいことが判っている。
このようなフライスティクション障害が発生すると、磁気ヘッドの浮上飛行時のHDI(Head DiskInterface)信頼性、例えばLUL耐久性を大幅に劣化させることになる。また、磁気ヘッドを浮上飛行中に磁気ディスク面上に墜落させ吸着させてしまい、磁気ディスクを破壊する場合がある。
このため、磁気ヘッドの浮上量が例えば10nm以下の極低浮上量においては、磁気ヘッドの浮上安定性を維持することが困難であり、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ(TA)障害も起こし易いという問題があった。
これらの障害は、HDDを市場に出荷し、PC(パーソナルコンピュータ)等に組み込まれて後、暫く経過してから発生(HDDの故障)する傾向が高いので、一度障害が発生すると市場信用力を失墜させる程度が大きく、このため、高記録密度化を実現できる磁気ディスク用ガラス基板の普及が阻害されていた。
そこで本発明の目的とするところは、第一に、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下の極低浮上量でも、フライスティクション障害等を防止し、浮上安定性、LUL耐久性などのHDI信頼性に優れた磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを提供すること、第二に、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ(TA)障害を防止できる磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを提供すること、第三に、2.5インチサイズ未満の小径ディスクにあっても、信頼性の高い、特にLUL方式用に好適な磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを提供することである。
本発明者は、ガラスディスクの表面にテープで研磨してテクスチャーを形成したディスク基板を用いて磁気ディスクを製造し、HDDに搭載すると、前述のフライスティクション障害等が発生したHDDに搭載されていた磁気ヘッドの表面には、コンタミが堆積していることを発見した。そして、磁気ヘッド表面のコンタミ堆積は、従来のCSS方式に比べてLUL方式でより顕著に促進されてしまうことが判明した。即ち、従来のCSS方式では、磁気ヘッド表面に堆積したコンタミは、磁気ヘッドが磁気ディスク面上の接触摺動用領域を接触摺動するときにクリーニングされるが、LUL方式では、磁気ヘッドが磁気ディスク上を接触摺動しないために、このクリーニング作用が得られず、その結果、磁気ヘッド表面のコンタミが堆積され続けてしまうのである。
このように磁気ヘッド表面に堆積したコンタミによって磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるため、場合によっては磁気ディスク装置の作動中に磁気ヘッドが突然磁気ディスク上に墜落するフライスティクション障害を発生させる。これらの障害は、LUL方式でより顕著に発生する。
従来のCSS方式の下では、磁気ヘッドのコンタミ堆積があっても、前述のクリーニング作用により、重大なフライスティクション障害を引き起こすことが無かったため、このような課題があることは認識されていなかった。ところが、LUL方式の導入により、フライスティクション障害が発生するに至り、その原因として磁気ヘッド表面のコンタミ堆積があることが判明し、フライスティクション障害が新たな課題として浮上した。
本発明者は、このコンタミ堆積の原因について調査すべく、様々な条件下でガラスディスク表面にテープでテクスチャーを形成したところ、ガラスディスク表面に特有のテクスチャー形状の乱れが存在する場合、このガラスディスクを用いて製造した磁気ディスク表面にも同様のテクスチャー形状の乱れが生じ、前記磁気ヘッドのコンタミ堆積が助長されていることを突き止めた。特に、前述の携帯電話等の新規用途の場合、コンピュータ用途に比べて、不安定且つ過酷な環境で用いられることが多いため、磁気ヘッドのコンタミ堆積が一層助長されるものと考えられる。
図3は、ガラスディスク表面上に形成されたテクスチャー形状の例を示したものである。図3において、右下に、周囲のテクスチャー形状よりも数ナノメートル高いテクスチャー条痕が1本確認できる。テクスチャー形状に、図3で示す様な乱れが存在する場合、磁気ヘッドにコンタミが付着し易いことが判明した。
テクスチャー形状に、図3のような微小な数ナノメートル程度の高さムラが存在していたとしても、従来は磁気ヘッドの浮上量よりも十分に小さいため、問題であると認識されていなかったが、10nm以下のような低浮上環境においては、磁気ヘッドのコンタミ堆積を通じて、フライスティクション障害やヘッドクラッシュ障害等を引き起こす場合のあることが本発明者の検討により判明した。
本発明者の検討によれば、ガラスディスク上にこのようなテクスチャー形状の乱れが形成されてしまう原因については以下のように考察される。
即ち、ガラスディスクは金属表面の基板に比べて硬度が高く硬いため、テープで研磨してテクスチャーを形成したときに、研磨砥粒や微小異物などの噛み込みによりテクスチャーに乱れが生じやすいこと、また、ガラスディスクは絶縁体であるので、テープ研磨時の摩擦により生成する静電気力によって、この噛み込みが解消され難いことが原因であると考えられる。
本発明者は、このような一連の得られた知見と考察に基づき、前記課題を解決するべく、更に鋭意研究した結果、特定の2種類の研磨砥粒を含む研磨液を用いて、ガラスディスクの主表面にテープによる研磨を行うことにより、テクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成でき、その結果、このディスク基板を用いて製造した磁気ディスクをHDDに搭載すると、浮上量が10nm以下の磁気ヘッドを用いても、磁気ヘッドの浮上安定性を好適に維持することができることを見い出した。
すなわち、本発明は次のような構成を有する。
(構成1)ガラスディスクの主表面に、研磨砥粒としてダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を含む研磨液を供給し、ガラスディスクの主表面に研磨テープを押圧させながらガラスディスクと研磨テープとを相対的に移動させて前記主表面を研磨する工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成2)前記研磨液はアルカリ性であることを特徴とする構成1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成3)前記研磨液中に含まれるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の混合比は、重量比で1:1〜8:2であることを特徴とする構成1又は2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)前記研磨テープのガラスディスク主表面に接する面は不織布からなることを特徴とする構成1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成5)前記ガラスディスクは、化学強化されたガラスディスクであることを特徴とする構成1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成6)ロードアンロード方式用の2.5インチサイズ未満の磁気ディスクに用いるガラス基板であることを特徴とする構成1乃至5の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成7)構成1乃至6の何れかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、構成1にあるように、ガラスディスクの主表面に、研磨砥粒としてダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を含む研磨液を供給し、ガラスディスクの主表面に研磨テープを押圧させながらガラスディスクと研磨テープとを相対的に移動させて前記主表面を研磨する工程を有することを特徴としている。
本構成によると、ダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の2種類の研磨砥粒を含む研磨液をガラスディスクの主表面に供給し、テープによるガラスディスク主表面の研磨を行うことにより、テクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成することができる。このディスク基板を用いて製造した磁気ディスクをHDDに搭載すると、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下のような低浮上環境においても、磁気ヘッドのコンタミ堆積が抑制され、その結果、フライスティクション障害を防止でき、磁気ヘッドの浮上安定性を好適に維持することができる。また、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を防止することができる。
これは、本発明者の考察によれば、テープ研磨時に、硬度の異なるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の2種類の研磨砥粒がガラスディスク主表面に適度な加工圧力で接触することにより、ガラスディスク主表面にテクスチャーを形成する作用と、形成されたテクスチャーのムラやガラスのバリを除去してテクスチャー形状の乱れを緩和する作用とが協働し、結果として、テクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成することができるものと考えられる。
本発明に用いるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の2種類の研磨砥粒の平均粒径は特に制約は無いが、安定したテクスチャー研磨加工の観点から、20nm〜150nm程度の範囲のものが適当である。この場合、ダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の各々の平均粒径は、同一でも異なっていてもよい。ダイヤモンド砥粒としては、安定した研磨加工の観点から、多結晶ダイヤモンド砥粒を用いることが好ましい。
上記研磨液中に含まれるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の混合比は、重量比で1:1〜8:2の範囲内であることが好ましい。ダイヤモンド砥粒の割合が少ないと、高い磁気特性が得られるテクスチャーが形成できない場合がある。また、シリカ砥粒の割合が少ないと、テクスチャー形状の乱れを除去する作用が十分に得られない場合がある。ダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の混合比を、重量比で1:1〜8:2の範囲内とすることにより、テクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成することができる。
上記研磨液中に含まれるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の2種類の研磨砥粒の含有量としては、良好な研磨加工が行われるように、例えば0.03〜1重量%程度の範囲とすることが適当である。
上記研磨液は上記2種類の研磨砥粒を純水等に分散させて得られるが、本発明における研磨液はアルカリ性となるように調製することが好ましい。研磨液をアルカリ性とすることで、ガラスのエッチング作用によるテクスチャー形状の乱れを除去する効果を併用できる。研磨液をアルカリ性に調製するに当たっては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの薬液を添加するとよい。具体的にはPH8〜12の範囲で適宜調節すると好ましい。
なお、本発明者は、上記2種類の研磨砥粒を別々に用いて2段階のテープ研磨を試みたが、テープ研磨工程が2段階になることの煩雑さに加えて、前段と後段の条件設定が難しく、磁性層に磁気異方性を付与するのに必要なテクスチャーが形成できなかったり、テクスチャー形状の乱れが除去できなかったり、或いは、前段の工程で形成されたテクスチャーが後段の工程で乱されてしまったりする場合が起こり、そのためテクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成することが困難であることが判明した。
本発明におけるガラス基板を製造するためのガラスディスクのガラスとしては、例えばアルミノシリケートガラスやソーダライムガラス等が挙げられる。アルミノシリケートガラスであれば化学強化ガラスとすることで高い剛性を得ることができるので好ましい。
また、アモルファスガラス又は、アモルファスと結晶を備える結晶化ガラスを用いることができるが、アモルファスガラスであれば、本発明の作用を好ましく得ることができる。
このようなガラスとしては、アモルファスのアルミノシリケートガラスとして、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスからなることが好ましい。
更に、前記ガラスディスクの組成を、SiO:62〜75重量%、Al:5〜15重量%、LiO:4〜10重量%、NaO:4〜12重量%、ZrO:5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの重量比が0.5〜2.0、Al/ZrOの重量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスであることが好ましい。
また、ZrOの未溶解物が原因で生じるガラスディスク表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiOを57〜74%、ZnOを0〜2.8%、AlOを3〜15%、LiOを7〜16%、NaOを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。化学強化の方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に限定されないが、実用上、低温型イオン交換法による化学強化が好ましい。
ガラスディスクとして上記の化学強化ガラスディスクを用いる場合、テクスチャーを付与する研磨加工は化学強化処理後に行なう事が好ましい。化学強化処理の前にテクスチャーを形成すると、化学強化処理におけるイオン交換の過程でテクスチャー形状が乱される場合があるので好ましくない。化学強化され表面に圧縮応力の形成されたガラスディスク表面上にテクスチャーを付与すると、精緻なテクスチャーを得ることが出来る。
本発明に係るガラス基板の直径サイズについては特に限定はないが、モバイル用途、例えば前述の携帯電話、カーナビゲーションシステム等の新規用途のHDDとして使用されることの多い2.5インチサイズ未満の小径磁気ディスクに対しては、コンピュータ用途に比べて、不安定且つ過酷な環境で用いられることが多いため、耐衝撃性が高く、HDI障害等を防止できて、信頼性が高い磁気ディスク用のガラス基板を提供できる本発明は有用性が高い。また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。特に、0.1mm〜0.9mm程度の薄型基板により構成される磁気ディスクの場合では、耐衝撃性が高い磁気ディスク用ガラス基板を提供できる本発明は有用性が高く好適である。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、テープで研磨しながらテクスチャーを形成するに当たっては、枚葉式テープテクスチャー方法を用いることが好ましい。
このような枚葉式テープテクスチャー方法としては、例えば、回転式テープテクスチャー方法を挙げることができる。回転式テープテクスチャー方法においては、回転するガラスディスク表面に、特定の研磨テープを送りながら押圧し、研磨液を供給することにより、ガラスディスク表面に、例えば円周状のテクスチャーを形成する。
回転式テープテクスチャー方法を実施する装置の例としては、図1に示すような回転式テープ研磨装置(概略図)が挙げられる。図1の装置は、後述の実施例でも使用する装置である。この回転式テープ研磨装置によると、スピンドル101に固定されたガラスディスク1を回転させるとともに、スラリー(砥粒)滴下口102より研磨液をテープ103に供給し、ガラスディスク1の両表面をローラー104に巻き付けられたテープ103によって挟むことで、ガラスディスク1の主表面に円周状のテクスチャーを形成する。テープ103が巻きつけられたローラー104は、一定の回転速度で回転しており、常にテープ103の新しい面がガラスディスク1に接触するようにしている。この場合、スピンドル101を揺動させることができるようになっている。なお、支点aを中心とし、ローラー104の軸にそれぞれ固定した板状の部材105,105が動くことによってガラスディスク1を挟みつけている。この時、ガラスディスク1に負荷される加重は板状の部材105間に張られたバネ106の力により決定する。加重は張力計107により測定される。
この回転式テープ研磨装置における、ディスク回転速度(スピンドル回転速度)や研磨時間を調節することで、ガラスディスクのテクスチャー形状を調節することができる。
このようなテクスチャーを付与する研磨に用いる研磨テープの材質、形状については特に制限されない。この研磨テープの種類としては、植毛テープ、織布テープ、不織布テープなどが挙げられる。テープ繊維の材料としては、たとえばポリエステル、ナイロン等のプラスチック繊維が挙げられる。特に研磨テープの少なくともガラスディスク主表面に接する面は不織布で出来ているテープが好ましい。不織布表面のテープは、テクスチャーを均一化する作用が高いので本発明にとって好適である。
また、テクスチャーを付与する研磨において供給する研磨液は、前述の通り、本発明においてはダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を研磨砥粒として含有する研磨液である。
本発明におけるテクスチャーは、磁性層にディスク円周方向の磁気異方性を誘導するテクスチャーであれば特に限定されない。例えば、円周状テクスチャー、らせん状テクスチャー、クロステクスチャーなどを挙げることができる。特に円周状のテクスチャーであれば、テクスチャーの方向が磁気ディスク上を浮上飛行する磁気ヘッドの走行方向に類似するので、本発明の作用を好ましく得ることができる。
テクスチャーの表面粗さに関しては、Rmaxで5nm以下、Rpで3nm以下の平滑な表面であることが好ましい。このような平滑な表面粗さの場合、磁気ディスクの高記録密度化に資する事ができる。
なお、本発明でいうRmaxとは最大高さ、Rpとは最大山高さのことであって、いずれも日本工業規格(JIS)に定めるものを言う。
また、上述のテープ研磨工程の後に、洗浄工程を行うことが好ましい。洗浄工程を実施することにより、テープ研磨工程においてガラスディスク主表面に付着した砥粒や異物等を除去でき、ガラスディスク主表面を高度に清浄化できるからである。洗浄方法としては、テープ洗浄方法を用いることが好ましい。このようなテープ洗浄方法としては、例えば、回転式テープ洗浄方法を挙げることができる。回転式テープ洗浄方法においては、回転するガラスディスク主表面に、純水等の処理液を供給しながら特定のテープを押圧することによって、ガラスディスク主表面を高精度に洗浄することができる。上記処理液は中性又はアルカリ性に調製することが好ましい。洗浄方法としては、スクラブ洗浄を用いてもよい。また、スクラブ洗浄をテープ洗浄と併用してもよい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより、高情報記録密度化に好適で信頼性の高い磁気ディスクが得られる。磁性層としては、hcp結晶構造のCo系合金磁性層を用いると、保磁力(Hc)が高く高記録密度化に資することができる。
また必要に応じて、ガラス基板と磁性層との間に、磁性層の結晶粒や配向性を制御するために下地層を形成することも好ましい。
なお、磁気ディスクを製造するにあたっては、静止対向型成膜方法を用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、少なくとも磁性層を形成することが好ましい。
本発明によれば、ダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の2種類の研磨砥粒を含む研磨液をガラスディスクの主表面に供給し、テープによるガラスディスク主表面の研磨を行うことにより、テクスチャー形状の乱れの無い均一で良好なテクスチャーを安定して形成することができる磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
また、本発明によれば、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造することにより、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下のような低浮上環境においても、フライスティクション障害を防止でき、磁気ヘッドの浮上安定性を好適に維持することができ、LUL耐久性などのHDI信頼性に優れた磁気ディスクが得られる。
また、本発明によれば、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を防止できる磁気ディスクが得られる。
また、本発明によれば、LUL方式用に好適で、特に2.5インチサイズ未満の小径ディスクであっても高い信頼性を備えた磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクが得られる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例の磁気ディスク用ガラス基板は、化学強化されたアモルファスのアルミノシリケートガラスディスクの主表面にテープ研磨を施したものである。このテープ研磨時、研磨液として、ダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を含む研磨液を供給した。
具体的には、以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)パッド研磨工程、(6)化学強化工程、(7)テープ研磨工程、(8)洗浄工程、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmのアルミノシリケートガラスからなるガラスディスクを得た。なお、この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出してガラスディスクを得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化ガラスを使用した。次いで、ガラスディスクに寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行なった。具体的には、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラスディスクの両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラスディスクの中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラスディスク端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラスディスク表面をラッピングすることにより、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。上記ラッピング工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
(4)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラスディスクを回転させながらガラスディスクの端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラスディスクの表面を水洗浄した。
(5)パッド研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラスディスクを密着させ、このキャリアをサンギアとインターナルギアとに噛合させ、上記ガラスディスクを上下定番によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。以下、実施例で使用する両面研磨装置としては同一装置を用いた。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、荷重:100g/cm、研磨時間:15分とした。上記第1研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じタイプの両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに変えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラスディスク主表面の表面粗さをRmaxで8nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、荷重:100g/cm、研磨時間を5分とした。上記第2研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(6)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラスディスクに化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラスディスクを約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラスディスクを硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラスディスク表面の目視検査及び光の反射・散乱・透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラスディスク表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、上記工程を経て得られたガラスディスクの主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つガラスディスクを得た。また、得られたガラスディスクの外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
(7)テープ研磨工程
前述の図1に示した枚葉の回転式テープ研磨装置を用いて研磨を行った。
なお、研磨テープは、ポリエステルの不繊布テープを使用した。研磨剤は、平均粒径が100nmの多結晶ダイヤモンド砥粒と、同じく平均粒径が100nmのシリカ砥粒を重量比で7:3の混合比で混合して調製した研磨砥粒に純水(RO水)を加えて遊離砥粒とした。研磨砥粒の含有量は研磨液に対して0.1重量%とした。なお、研磨液には水酸化ナトリウムを添加し、アルカリ性とした。研磨液の水素イオン濃度を測定したところ、PH10であった。なお、上記シリカ砥粒はコロイド粒子として研磨液中に含有されている。
このときのテープ研磨条件は以下のとおりである。
押圧力 5g/cm2
ディスク回転速度 150rpm
研磨テープの送り速度 3mm/秒
テープ研磨時間 20秒
(8)洗浄工程
ガラスディスクの主表面に円周状のテクスチャーが形成された後に、この主表面の洗浄を行なった。
具体的には、上記テープ研磨工程で用いた枚葉の回転式テープ研磨装置と同様の装置において、テープを発泡ポリウレタン表面のテープとし、研磨スラリーの代わりに、中性超純水のDI水を供給するように構成した枚葉の回転式テープ洗浄方法により、テクスチャーの形成されたガラスディスク主表面をテープで擦過洗浄した。
洗浄時のテープ押圧力、ディスク回転速度、テープの送り速度、及び処理時間は、上記テープ研磨工程の場合と同様にした。
なお、洗浄の後、ガラスディスクをスクラブパッドを用いてスクラブ洗浄した。洗浄液にはPH8のアルカリ性洗浄液を使用した。こうして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
次に、本実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。
枚葉式スパッタリング装置を用いて、上記テクスチャーを施されたガラス基板上に、シード層、下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次形成した。
シード層は、CrTi薄膜(膜厚300オングストローム)からなる第1のシード層と、AlRu薄膜(膜厚:400オングストローム)からなる第2のシード層を形成した。下地層は、CrW薄膜(膜厚:100オングストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするために設けた。なお、このCrW薄膜は、Cr:90at%、W:10at%の組成比で構成されている。
磁性層は、CoPtCrB合金からなり、膜厚は、200オングストロームである。この磁性層のCo、Pt、Cr、B の各含有量は、Co:73at%、Pt:7at%、Cr:18at%、B:2at%である。
保護層は、磁性層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、膜厚50オングストロームの水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。潤滑層は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成し、膜厚は9オングストロームである。
得られた磁気ディスクの主表面の微細形状をAFM(原子間力顕微鏡)により詳細に観察したところ、ディスクの円周方向に沿う円周状のテクスチャーが観察された。図2はそのテクスチャー形状を示したもので、図2の観察領域は磁気ディスク主表面上の5μm×5μmの領域である。ここでは、前述の図3で見られたようなテクスチャー形状の乱れは観察されなかった。
なお、AFMによる観察結果から求めた、テクスチャーの表面粗さは、Rmaxで4.57nm、Rpで1.89nmであった。
次に、得られた磁気ディスクを以下のようにして評価した。
〔磁気特性評価〕
磁気特性は、VSM(振動試料型磁化測定法)により測定した。磁気ディスクの半径=22mm位置を中心として8mm直径の円形試料を切り出し、基板の円周方向、基板の半径方向にそれぞれ外部磁場を印加(±10kOe)して磁化曲線を求め、基板の円周方向のMrt(残留磁化膜厚積)と半径方向のMrtとを算出した。
その結果、半径方向のMrtに対する円周方向のMrtの比(磁気異方性)は1.33であった。
〔信頼性評価〕
得られた磁気ディスクについて、グライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.5nmであった。タッチダウンハイトは、浮上しているヘッドの浮上量を順に下げていき(例えば磁気ディスクの回転数を低くしていく)、磁気ディスクと接触し始める浮上量を求めて、磁気ディスクの浮上量の能力を測るものであるが、通常、60Gbit/in2以上の記録密度が求められるHDDでは、タッチダウンハイトは5nm以下であることが求められる。
また、ヘッド浮上時の浮上量を10nmとし、70℃、80%RH環境下で、ヘッドのロードアンロード動作を繰り返して行うLUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL連続試験後でも、ヘッドクラッシュ障害は発生しなかった。通常に使用されるHDDでは、LUL回数が60万回を越えるには10年間程度の使用が必要と言われている。このことから、本実施例の磁気ディスクは高い信頼性を保障できることが判る。
なお、上記タッチダウン評価及びLUL耐久性試験中には、磁気ヘッド浮上飛行時のフライスティクション障害は発生しなかった。フライスティクション障害が発生すると、ヘッドの浮上姿勢が突然不安定となるので、ヘッドに接着された圧電素子の信号をモニタすることで、フライスティクション障害の発生を感知することができる。本実施例では、磁気ヘッドの浮上姿勢や浮上量は安定していた。また、フライングハイト10nmのGMRヘッドを用いてサーマルアスペリティ(TA)試験を行ったところ、サーマルアスペリティ障害は発生しなかった。
なお、上記ロードアンロード試験後の磁気ヘッド表面を光学顕微鏡で観察したところ、コンタミは観察されなかった。
(比較例1)
実施例1の(7)テープ研磨工程において、研磨液として、平均粒径が100nmの多結晶ダイヤモンド砥粒と、同じく平均粒径が100nmの酸化セリウム砥粒を重量比で7:3の混合比で混合した研磨砥粒に純水(RO水)を加えて調製した研磨液を用いたこと以外は、実施例1と同様の製造方法により、磁気ディスク用ガラス基板を製造し、更にこのガラス基板を用いて実施例1と同様に磁気ディスクを製造した。なお、上記研磨液は、研磨砥粒の含有量を研磨液に対して0.1重量%とし、研磨液には水酸化ナトリウムを添加してアルカリ性(PH10)とした。
得られた磁気ディスクの主表面の微細形状をAFMにより観察したところ、円周状のテクスチャーが観察されたが、前述の図3に見られたようなガラス基板表面のテクスチャー形状に由来する乱れが一部に観察された。テクスチャーの表面粗さは、Rmaxで5.18nm、Rpで3.10nmであった。実施例1と比べると特にRpが悪化しているのは、周囲のテクスチャー形状よりも高いテクスチャー条痕によるテクスチャー形状の乱れがあるためである。
得られた磁気ディスクの磁気特性を実施例1と同様に評価したところ、磁気異方性比は1.32であった。
また、グライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、5.4nmであった。さらに、LUL耐久性について試験したところ、40万回のLUL動作でヘッドクラッシュにより故障した。また、サーマルアスペリティ試験を行ったところ、サーマルアスペリティ障害も発生した。なお、上記ロードアンロード試験後の磁気ヘッド表面には、少量のコンタミの付着が見られた。
(実施例2)
本実施例では、磁気ディスクの大きさを1.0インチサイズ(直径が27.4mm)の小径ディスクとしたこと以外は、実施例1と同様の製造方法により、磁気ディスク用ガラス基板を製造し、更にこのガラス基板を用いて実施例1と同様に磁気ディスクを製造した。
(比較例2)
本比較例では、磁気ディスクの大きさを1.0インチサイズ(直径が27.4mm)の小径ディスクとしたこと以外は、比較例1と同様の製造方法により、磁気ディスク用ガラス基板を製造し、更にこのガラス基板を用いて比較例1と同様に磁気ディスクを製造した。
得られた上記実施例2及び比較例2の各小径磁気ディスクをそれぞれカーナビゲーション用のHDDに搭載した。一般乗用車にこのHDDを搭載したカーナビゲーションを設置し、走行したところ、上記実施例2の磁気ディスクを搭載したHDDについては故障しなかったが、上記比較例2の磁気ディスクを搭載したHDDは故障してしまった。上記用途の場合、コンピュータ用途に比べて、激しい振動などの外部衝撃環境、更に温度、湿度等の不安定な雰囲気環境で用いられるため、磁気ヘッドのコンタミ堆積が助長されやすく、結果として、上記比較例2の磁気ディスクを搭載したHDDは、ヘッドクラッシュにより故障したものと考えられる。これに対して、本実施例の磁気ディスクは、このような過酷な環境で用いられる用途であっても、例えば10nm以下のような低浮上量の下でも、高い信頼性を有していることが判る。
なお、上記用途用の小径ディスクとしては、1.8インチ型ディスク(直径48mm)以下のディスクや、1.0インチ型ディスク(直径27.4mm)以下のディスクが用いられる。本発明は、このような2.5インチ型(直径65mm)未満の小径ディスクに有用であるが、磁気ディスクとしての機能を有する限りにおいては、大きさの下限は制約される必要は無い。用途に応じて磁気ディスクの大きさは適宜設計でき、ゼロよりは大きい範囲で、可能な限り小径化することも可能であるからである。
枚葉の回転式テープ研磨装置の一例を示す側面図(a)及び斜視図(b)である。 実施例1により得られた磁気ディスク主表面の形状をAFMにより観察した様子を示す図である。 比較例(従来例)により得られた磁気ディスク用ガラス基板主表面の形状をAFMにより観察した様子を示す図である。
符号の説明
1 ガラスディスク
103 研磨テープ
101 スピンドル
102 スラリー滴下口
104 ローラ

Claims (7)

  1. ガラスディスクの主表面に、研磨砥粒としてダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒を含む研磨液を供給し、ガラスディスクの主表面に研磨テープを押圧させながらガラスディスクと研磨テープとを相対的に移動させて前記主表面を研磨する工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記研磨液はアルカリ性であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記研磨液中に含まれるダイヤモンド砥粒とシリカ砥粒の混合比は、重量比で1:1〜8:2であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記研磨テープのガラスディスク主表面に接する面は不織布からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラスディスクは、化学強化されたガラスディスクであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. ロードアンロード方式用の2.5インチサイズ未満の磁気ディスクに用いるガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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