JP3969717B2 - 磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録媒体用ガラス基板に関し、特にHDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される磁気ディスク及び磁気ディスク用ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。HDD等に搭載される磁気ディスクでは、高容量化の要請により40Gbit/in2〜100Gbit/in2以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
磁気ディスクでは、磁気記録ヘッドの浮上飛行方向の磁気特性が特に優れていることが求められる。このため、例えば特開昭62-273619号等では、アルミ合金等の金属基板表面上に磁気異方性を付与するテクスチャを形成した上で、磁性層を成膜することによって、半径方向の磁気特性に対比して、磁気記録ヘッドの浮上飛行方向の磁気特性を向上させるなどされてきた。
ところで、近年、HDDのモバイル化、小型化の要請から、高剛性で耐衝撃性に優れ、また高い表面平滑性が得られるガラス基板が注目されている。
さらに、ガラス基板の場合であれば、耐衝撃性に優れているので、アルミ合金製基板のようにNiP等の金属膜を被着して剛性を補強する必要が無く、製造工程が短縮できるので、廉価な磁気ディスクを提供でき、また、小型化が容易であるという利点がある。
例えば、本出願人は、特開2002-32909号公報において、ガラス基板上に円周状のテクスチャを形成し、この上に磁性層等をスパッタリングした磁気記録媒体に関して開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス基板の場合においても、半径方向の磁気特性に比べて、円周方向の磁気特性が優れていることが望まれる。例えば40Gbit/inch2以上の記録密度を達成する場合では、残留磁化膜厚積による磁気異方性比(MrtOR)は1.2以上であることが求められる。また、50Gbit/inch2以上の記録密度を得るためには、MrtORは1.3以上、特に、60Gbit/inch2以上の高記録密度領域ではMrtORは1.35以上が望ましいとされている。
なお、上述のMrtORとは、残留磁化膜厚積(Mrt)から算出する磁気異方性比OR(Oriented Ratio)のことである。磁気記録媒体主表面上の任意の点において、円周方向の残留磁化膜厚積をMrt(c)、半径方向の残留磁化膜厚積をMrt(r)としたときに、Mrt(r)に対するMrt(c)の比Mrt(c)/Mrt(r)をMrtORとして定める。ここで、Mrtとは、Mr(残留磁化)とt(媒体の磁性層厚さ)との積のことである。
すなわち、MrtORがほぼ1であれば、円周方向と半径方向の磁気特性がほぼ等しい、等方性の磁気記録媒体であり、MrtORが1を越えて大きくなるに従って、円周方向の磁気異方性が向上していることを示している。
【0004】
ところが、原因については未だ明らかではないが、アルミ合金製基板や、NiP等の金属膜を被着した基板など、金属表面上に磁気異方性を付与するテクスチャを形成した場合とは異なり、ガラス基板表面上に直接、磁気異方性を付与するテクスチャを形成し、この上に磁性層を形成した場合では、MrtORは1.0〜1.1程度しか得られなかったため、HDDの高容量化と低価格化を阻害する要因となっていた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第一に、ガラス基板を用いた場合であっても1.2以上のMrtORが得られ、40Gbit/in2以上の記録密度が達成できる、耐衝撃性に優れた、廉価な磁気ディスクの得られる磁気ディスク用ガラス基板を提供すること、第二に、ガラス基板を用いた場合であっても1.2以上のMrtORが得られ、40Gbit/in2以上の記録密度が達成できる、耐衝撃性に優れた、廉価な磁気ディスクを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者が様々な観点からガラス基板について鋭意検討した結果、磁気ディスク用ガラス基板上に直接、磁気異方性を付与するためのテクスチャを形成する場合、ガラス基板表面形状の中でも、特定の形状波長が磁気異方性の発現及びMrtORの高低に関与していることを見い出し、そして、この特定の形状波長における表面形状を所定の形状に調節することによって、ガラス基板上に直接テクスチャを形成した場合であっても、高い磁気異方性比が得られることを見い出した。
そしてさらに、磁気異方性比と関連性のある形状波長の帯域幅について検討したところ、例えば形状波長が3.9nm〜1000nmの帯域における表面形状と、MrtORとの関係に顕著な相関関係があることを見い出した。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0006】
(構成1)基板上に設ける磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャが主表面に形成された磁気ディスク用ガラス基板であって、原子間力顕微鏡を用いて測定された表面形状であり、該ガラス基板主表面の複数の区画に割り振られた1μm×1μmの測定領域を256×256のメッシュで区画して得られたデータを基に算出された、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c)に対するディスク半径方向の中心線平均粗さRa(r)の比Ra(r)/Ra(c)が2以上である主表面形状を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
(構成2)構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を設けることを特徴とする磁気ディスク。
【0007】
(構成3)タッチダウンハイトが5nm以下であることを特徴とする構成2に記載の磁気ディスク。
【0008】
構成1にあるように、磁気異方性を付与するテクスチャをガラス基板の主表面に形成する場合でも、該ガラス基板主表面の特定の形状波長域における、すなわち、原子間力顕微鏡を用いて測定された表面形状であり、該ガラス基板主表面の1μm×1μmの測定領域を256×256のメッシュで区画して得たデータを基に算出することにより表面形状を測定する方法における測定可能な形状波長の帯域における、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c )に対するディスク半径方向の中心線平均粗さRa( r)の比Ra(r)/Ra(c)が2以上である主表面形状を有することにより、高い磁気異方性が得られる。
図1は本発明者が行ったRa(r)/Ra(c)とMrtORとの相関関係に関する検討結果を示している。
図1の●で示されている結果は、磁気ディスク用ガラス基板の主表面形状の内、形状波長が3.9nm〜1000nmの帯域における、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c )に対する半径方向の中心線平均粗さRa( r)の比、Ra(r)/Ra(c)と、この基板上に磁性層を含む層を形成した磁気ディスクが備えるMrtORとの関係である。また、図中▲で示されている結果は、19.5nm〜5000nmの帯域におけるRa(r)/Ra(c)と、MrtORとの関係であり、図中×で示されている結果は、39.0nm〜10000nmの帯域におけるRa(r)/Ra(c)と、MrtORとの関係である。
ここで表面形状は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定している。図1の●で示されている結果は、上述のように形状波長が3.9nm〜1000nmの帯域における結果であるが、これは上記原子間力顕微鏡を用いて、磁気ディスク用ガラス基板主表面の1μm×1μmを測定領域とし、その測定領域を256×256のメッシュで区画して得たデータを基に算出した表面形状数値である。▲で示されているデータはガラス基板主表面の5μm×5μmの領域を、×で示されているデータは10μm×10μmの領域を、それぞれ256×256のメッシュで区画して得たデータを基に算出した表面形状数値である。
【0009】
図1に示す結果から、●で示される主表面形状を備える磁気ディスク用ガラス基板については、Ra(r)/Ra(c)とMrtORとの間には再現性良く、高い相関関係が認められる。
一方、▲で示される主表面形状を備える磁気ディスク用ガラス基板については、Ra(r)/Ra(c)とMrtORとの間にバラツキが大きく、Ra(r)/Ra(c)の大小関係とMrtORの大小関係が順不同であり、従って、ガラス基板主表面上に、MrtORと因果関係に関して不適切な形状波長が含まれているガラス基板であることが判る。また、同じようなRa(r)/Ra(c)を備えるガラス基板表面であっても、MrtORのバラツキが大きく、再現性が悪い。
また、×で示される形状を備える磁気ディスク用ガラス基板については、MrtORとの間に因果関係は認められず、MrtORに寄与しない形状波長が多く含まれていると考えられる。また、同じようなRa(r)/Ra(c)を備えるガラス基板表面であっても、MrtORのバラツキが大きく、再現性が悪い。
以上のように、ガラス基板上に直接、前記テクスチャを形成する場合においては、例えば3.9〜1000nmの形状波長領域において、前記Ra(r)/Ra(c)が2以上の表面形状を備えるガラス基板が好適であり、この場合、再現性良く、MrtORは1.2以上が得られる。更には、Ra(r)/Ra(c)は4以上の主表面形状を備えるガラス基板が好適であり、この場合、再現性良く、MrtORは1.3以上が得られる。
【0010】
このように特定の形状波長域において特定の表面形状を有するガラス基板主表面とすることで、良好な磁気異方性が得られるようになる理由については、詳細には解明されていないが、磁性層を構成する磁性粒子のグレインサイズと、ガラス基板主表面の特定の形状波長域における形状との間に相互作用が発生しているものと考えられる。
たとえばMrtORが1.2以上を求められる40Gbit/in2以上の記録密度の磁気ディスクの場合、磁性粒子のグレインサイズは5nm〜15nm程度に微細化されている。磁性層に磁気異方性を付与するガラス基板主表面上のテクスチャは、磁性粒子グレインを所定方向に配向するよう作用していると考えられるが、本発明のガラス基板では、テクスチャ形状のうち、磁性粒子のグレイン配向に関与しない形状周波数帯域を除いた、すなわち磁性粒子のグレイン配向に特に作用する形状波長帯域の形状を特定しているので、高い作用効果が得られるものと考えられる。
従って本発明は、40Gbit/in2以上の記録密度を達成するための磁性粒子の配向性を向上させる作用があると考えられ、ガラス基板上に直接テクスチャを形成した場合であっても、高い磁気異方性が得られるようになる。
【0011】
また、構成2にあるように、ガラス基板主表面の複数の区画に割り振られた1μm×1μmの領域における、前記Ra(r)/Ra(c)が2以上である主表面形状を有することにより、高い磁気異方性が得られる。前述のように、例えば3.9nm〜1000nmの形状波長領域における表面形状は、ガラス基板主表面の1μm×1μmを測定領域とし、その測定領域を256×256のメッシュで区画して得たデータを基に得られる。
本発明では、1μm×1μmの領域のガラス基板主表面において、前記Ra(r)/Ra(c)が2以上の表面形状を備えるガラス基板が好適であり、この場合、再現性良く、MrtORは1.2以上が得られる。更には、Ra(r)/Ra(c)が4以上の主表面形状を備えるガラス基板が好適であり、この場合、再現性良く、MrtORは1.3以上が得られる。
本発明において、ガラス基板の主表面形状は、たとえば原子間力顕微鏡(AFM)で測定することができる。この原子間力顕微鏡は、本発明で特定された主表面形状の形状波長領域を高精度に測定できるので好適である。また、1μm×1μmの領域のような微小領域を高精度に測定することができる。
なお、スタイラス(触針)を用いた触針式粗さ計、例えば、ランクテーラーホブソン社製タリステップや、テンコール(Tencor)等では、スタイラスの先端形状が数μm〜数十μm程度もあるので、本発明における形状波長領域に対して正確に測定を行うことができず、また、事実上1μm×1μm領域以下での測定はできない。また、光学式表面粗さ計等の表面粗さ計も、原子間力顕微鏡に比べて水平分解能が悪いため、実用上、本発明における形状波長領域を正確に測定することができず、また、事実上1μm×1μm領域以下での測定はできない。
【0012】
原子間力顕微鏡(AFM)は、カンチレバー(探針)先端の原子と、計測表面上の原子との間の原子間力を測定することにより、精密に表面形状を測定することができる。本発明においては、原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバー(探針)の先端曲率半径は10nm以下とすることが好ましい。10nm以下であれば、本発明で特定されたガラス基板主表面形状の形状波長帯域を高精度に測定でき、また1μm×1μmの微小な領域を高精度に測定することができる。
なお、1μm×1μmの領域の測定に当っては、測定領域を256×256以上のメッシュで区画して得たデータを基に算出した表面形状特性値を用いる事が好ましい。このように測定することで、前にも述べたようにRa(r)/Ra(c)とMrtORとの間に高い相関関係を得ることができるので、好適なMrtORを得るためのガラス基板主表面形状を特定することができる。勿論、測定領域を例えば512×512以上のメッシュで区画して得た結果を用いれば、更に高精度な結果が得られるので好ましい。
【0013】
構成4にあるように、ガラス基板主表面上にテクスチャを形成するにあたって、予め、ガラス基板主表面の少なくとも3.9nm〜1000nmの形状波長領域における、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c )に対するディスク半径方向の中心線平均粗さRa( r)の比Ra(r)/Ra(c)と、磁気異方性との相関関係を求めておき、所定の磁気異方性を得るために、前記相関関係に基づいて前記Ra(r)/Ra(c)の値を選定し、選定した前記Ra(r)/Ra(c)の値の表面形状を付与するテクスチャを形成することにより、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。ここで、Ra(r)/Ra(c)と磁気異方性との相関関係とは、たとえば前述の図1に示したような相関関係のことである。
また、構成5にあるように、予め、ガラス基板主表面の複数の区画に割り振られた1μm×1μmの領域における、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c )に対するディスク半径方向の中心線平均粗さRa( r)の比Ra(r)/Ra(c)と、磁気異方性との相関関係を求めておき、所定の磁気異方性を得るために、前記相関関係に基づいて前記Ra(r)/Ra(c)の値を選定し、選定した前記Ra(r)/Ra(c)の値の表面形状を付与するテクスチャを形成することにより、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。
本発明により、ガラス基板主表面上に直接テクスチャを形成し、その上に磁性層を形成した場合は、好適な磁気異方性が得られ、40Gbit/in2以上の高記録密度が達成できる。また、本発明によりこのような磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造することにより、大量生産した場合においても、個体毎のMrtORのバラツキを小さくする事ができるので、生産歩留まり(検査歩留まり)が向上し、品質の安定した、廉価な磁気ディスクを製造する事ができる。特に、歩留まりが向上する事により、検査不良品となる磁気ディスクを減らせるので、産業廃棄物を抑制し、地球環境の保全にも寄与できる。
【0014】
本発明においては、所定の磁気異方性を得るため、前記相関関係に基づいて前記Ra(r)/Ra(c)の値を選定し、選定したRa(r)/Ra(c)の値の表面形状を付与するために、ガラス基板主表面上にテクスチャを施す。このテクスチャを形成する工程としては、たとえばテープ式枚葉研磨方法を用いて、研磨しながら形成するのが好ましい。この場合、遊離砥粒方式、或いは、固定砥粒方式を用いることができる。砥粒としては、例えば、ダイヤモンド砥粒等が挙げられる。遊離ダイヤモンド砥粒を用いた枚葉式研磨方法で前記テクスチャを形成した場合、面内のテクスチャ均一性が高く、MrtORの面内バラツキが小さな磁気ディスクを提供する事ができるので好ましい。
テープ式枚葉研磨方法を実施する装置の例としては、図3に示すようなテープ式テクスチャ装置(概略図)が挙げられる。図3の装置は、後述の実施例で使用する装置である。このテープ式テクスチャ装置によると、スピンドル101に固定されたガラス基板1を回転させるとともに、スラリー(砥粒)滴下口102より研磨剤をテープ103に供給し、ガラス基板1の両主表面をローラー104に巻き付けられたテープ103によって挟むことで、ガラス基板1の主表面に円周状のテクスチャを形成する。テープ103が巻きつけられたローラー104は、一定の回転速度で回転しており、常にテープ103の新しい面がガラス基板1に接触するようにしている。この場合、スピンドル101を揺動させることができるようになっている。
このテープ式テクスチャ装置における、基板回転速度(スピンドル回転速度)とテクスチャ加工時間とを調節することで、ガラス基板の主表面形状を調節することができる。具体的には、基板回転速度(rpm)とテクスチャ加工時間(sec)との積(rpm×sec)を所定範囲とすることで、前記Ra(r)/Ra(c)の値が2以上である表面形状を付与できるように、ガラス基板主表面形状を調節することが可能である。下記表1に、上記基板回転速度とテクスチャ加工時間を様々に調整した場合におけるRa(r)/Ra(c)の値の結果を示す。
【0015】
【表1】
表1の結果より、基板回転速度とテクスチャ加工時間との積が、略3500(rpm×秒)〜12000(rpm×秒)とした場合において、Ra(r)/Ra(c)の値が2以上となり好適であることが判る。
テクスチャ形状としては、磁性層に対して磁気記録ヘッドの浮上飛行方向に磁気異方性を付与するよう形成することが好ましいが、磁気ディスクの場合、磁気記録ヘッドの走行方向は円周方向であるので、円周状の規則性を持ったテクスチャ、あるいは、これに交差する形状成分を持つクロステクスチャ、楕円状テクスチャ、らせん状テクスチャまたはこれら形状成分の複合形態であってよい。中でも円周状のテクスチャは、磁性粒子を磁気記録ヘッドの走行方向へ配列させる作用が高いので好ましい。
本発明において、前記テクスチャを形成する磁気ディスク主表面の位置については、磁気ディスクの記録再生領域であることが好ましい。CSS(Contact Start and Stop)記録再生方式におけるCSSゾーンやLUL(Load Unload)記録再生方式におけるLULゾーンなど、記録再生を行わない領域での主表面形状で特定した場合、主表面形状の面内バラツキなどで記録再生領域の形状と異なる場合があるので好ましくない。
【0016】
なお、ガラス基板として下記の化学強化基板を用いる場合、テクスチャは化学強化後に行うことが好ましい。化学強化においては、イオン交換の過程で、ガラス基板主表面形状が乱される場合がある。
本発明において、ガラス基板に用いる硝種としては特に限定を設けないが、ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は結晶化ガラス等のガラスセラミックス等が挙げられる。なお、アルミノシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるための特に好ましい。アルミノシリケートガラスとしては、SiO2: 62〜75wt%、Al2O3: 5〜15wt%、Li2O:4〜10wt%、Na2O: 4〜12wt%、ZrO2: 5.5〜15wt%を主成分として含有すると共に、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0、Al2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5である化学強化用ガラス等が好ましい。また、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、ガラス基板表面に圧縮応力層を設けることができ、抗折強度や、剛性、耐衝撃性、耐振動性、耐熱性に優れ、高温環境下にあってもNaの析出がないとともに、平坦性を維持し、ヌープ硬度にも優れる。化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に限定されない。ガラス基板の化学強化は、加熱した化学強化溶融塩にガラス基板を浸漬し、ガラス基板表層のイオンを化学強化溶融塩中のイオンでイオン交換して行う。
【0017】
ガラス基板の直径サイズついては特に限定はないが、実用上、モバイル用途のHDDとして使用されることの多い2.5インチサイズ以下の小型磁気ディスクに対しては、耐衝撃性が高く、40Gbit/in2以上の情報記録密度が得られ、かつ廉価な磁気ディスクを提供できる本発明は有用性が高く好適である。
また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。特に、0.1mm〜0.9mm程度の薄型基板により構成される磁気ディスクの場合では、耐衝撃性が高くかつ廉価な磁気ディスクを提供できる本発明は有用性が高く好適である。
前記構成3又は構成6にあるように、本発明の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより、本発明の磁気ディスクが得られる。本発明において、テクスチャを施されたガラス基板上に、成膜を行って磁気ディスクとする場合、以下のように、テクスチャを施されたガラス基板上に、シード層、下地層、オンセット層、磁性層、保護層、潤滑層を設けた磁気ディスクとするのが好適である。
シード層としては、例えば、Al系合金、Cr系合金、NiAl系合金、NiAlB系合金、AlRu系合金、AlRuB系合金、AlCo系合金、FeAl系合金等のbccまたはB2結晶構造型合金等を用いることにより、磁性粒子の微細化を図ることができる。特に、AlRu系合金、中でもAl:30〜70at%、残部がRuの配合量の合金であれば、磁性粒子の微細化作用に優れているので好ましい。
【0018】
下地層としては、Cr系合金、CrMo系合金、CrV系合金、CrW系合金、CrTi系合金、Ti系合金等の磁性層の配向性を調整する層を設けることができる。特に、CrW系合金、中でも、W:5〜40at%、残部がCrの配合量の合金は、磁性粒子の配向を整える作用に優れているので好ましい。
オンセット層としては、磁性層と同様の結晶構造をもつ非磁性材料を用いることにより、磁性層のエピタキシャル成長を助けることができる、例えば、磁性層がCo系合金材料からなる場合は、非磁性のhcp結晶構造をもつ材料、例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系等を用いる。
本発明においては、磁性層はCo系のhcp結晶構造をもつ合金であることが好ましい。特に、CoCrPtB合金磁性層の場合、前記テクスチャにより磁性粒子グレインが好適に配向するので好ましい。
保護層としては、例えば、カーボン保護膜などが挙げられる。
保護層上には、潤滑層を形成してもよく、潤滑層を形成する潤滑剤としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)化合物が好適である。
【0019】
本発明において、ガラス基板上に各層を成膜する方法については、公知の技術を用いることができる。中でも、スパッタリング法は、各層の膜厚を薄くできるので好ましい。
本発明の磁気ディスクは、磁気抵抗効果(MR)型再生素子を備える磁気ヘッドに対して用いると有用性が高い。MR型再生素子は、記録信号に対する感度が高く、高い再生出力が得られるので、40Gbit/in2以上の情報記録密度の磁気ディスクに好適である。MR型再生素子としては、AMR素子、GMR素子、TMR素子等が挙げられる。
なお、本発明において、前述の残留磁化膜厚積Mrt(c)とMrt(r)については適宜設定できるが、双方ともに0.5memu/cc以下であることが望ましい。0.5memu/ccを越えると、媒体ノイズが大きくなり、MR型再生素子には不向きである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例の磁気ディスク用ガラス基板1は、化学強化されたアルミノシリケートガラスに研磨及びテクスチャが施された基板である。この磁気ディスク用ガラス基板1を使用した本実施例の磁気ディスク10は、図2に示すように、シード層2、下地層3、磁性層4、保護層5、潤滑層6を順次積層してなる。
本実施例においては、前述の図1の相関関係に基づいて、MrtOR=1.32が得られるよう、前記Ra(r)/Ra(c)を6と選定し、この表面形状が得られる様に、磁気ディスク用ガラス基板1を製造した。
本実施例では、以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面鏡面加工工程、(5)第1研磨工程、(6)第2研磨工程、(7)化学強化工程、(8)テクスチャ工程、を経て磁気ディスク用ガラス基板1を製造し、更に、得られた磁気ディスク用ガラス基板1に(9)成膜工程を施すことにより、磁気ディスク10を製造した。
【0021】
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を得た。なお、この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状のガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を含有する化学強化ガラスを使用した。次いで、ガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行なった。具体的には、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
【0022】
(3)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラス基板表面をラッピングすることにより、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。上記ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
(4)端面鏡面加工工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。そして、上記端面鏡面加工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(5)第1研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するため第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアをサンギアとインターナルギアとに噛合させ、上記ガラス基板を上下定番によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。以下、実施例で使用する両面研磨装置としては同一装置を用いた。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間:15分とした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0023】
(6)第2研磨工程
次に第1研磨工程で使用したものと同じタイプの両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェードパット)に変えて、第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えば表面粗さRaを1.0〜0.3μm程度以下まで低減させることを目的とするものである。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間を5分とした。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(7)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板表面の目視検査及び光の反射・散乱・透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラス基板表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つ磁気ディスク用ガラス基板を得た。また、ガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
【0024】
(8)テクスチャ工程
前述の図3に示したテープ(Tape)式のテクスチャ装置を用いて、研磨、及び円周状テクスチャ処理を施した。図3の装置において、支点aを中心とし、ローラ104の軸にそれぞれ固定した板状の部材105,105が動くことによってガラス基板1を挟みつけている。この時、ガラス基板1に負荷される加重は板状の部材105間に張られたバネ106の力により決定する。加重は張力計107により測定される。なお、テープには織物タイプのテープを、硬質研磨剤には平均粒径0.125μmの多結晶ダイヤモンドが分散剤に溶かしてあるスラリーを用いて行った。
このときのテクスチャ加工条件は以下のとおりである。
加工圧力 10g/mm2
基板回転速度 150rpm
テープの送り速度 3mm/sec
テクスチャ加工時間 50秒
従ってこのときの、基板回転速度×テクスチャ加工時間は、7500(rpm×秒)である。
テクスチャ加工後、ガラス基板の主表面形状の測定を行った。表面形状は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、高精細な評価のできるタッピングモードで測定した。測定範囲は1μm×1μmの磁気ディスク用ガラス基板主表面である。AFM測定に用いたカンチレバー(探針)の先端曲率半径は、高精度の測定結果が得られるよう、10nmの先端曲率半径を備えるものを選定して測定した。測定結果は、縦横を256×256個のメッシュに区画し、256×256個のデータを用いて、表面形状特性値を算出した。
その結果、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板表面には円周状のテクスチャが形成されており、後記表2に示すように、Ra(r)/Ra(c)は6.01であった。なお、中心線平均粗さRaの定義は、日本工業規格(JIS)B0601の規定に従った。表面形状特性値の算出に当たっては、形状波長が3.9nm〜1000nmの形状波長帯域にある形状を用いた。また、測定に用いたディスクの半径位置は、2.5インチ型磁気ディスクの記録再生領域である、半径=22mmの主表面である。
【0025】
(9)成膜工程
枚葉式スパッタリング装置を用いて、上記テクスチャを施されたガラス基板上に、シード層2、下地層3、磁性層4、保護層5及び潤滑層6を順次形成した。シード層2は、CrTi薄膜(膜厚300オングストローム)からなる第1のシード層2aと、AlRu薄膜(膜厚:400オングストローム)からなる第2のシード層2bを形成した。下地層3は、CrW薄膜(膜厚:100オングストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするために設けた。なお、このCrW薄膜は、Cr:90at%、W:10at%の組成比で構成されている。
磁性層4は、CoPtCrB合金からなり、膜厚は、200オングストロームである。この磁性層のCo、Pt、Cr、B の各含有量は、Co:73at%、Pt:7at%、Cr:18at%、B:2at%である。なお、磁性粒子グレインサイズをTEM(透過型電子顕微鏡)の平面撮影で調査したところ平均7nmであった。
保護層5は、磁性層4が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、膜厚50オングストロームの水素化カーボンからなる。潤滑層6は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成し、膜厚は9オングストロームである。
【0026】
次に、得られた磁気ディスクの磁気特性及び信頼性を以下のようにして評価した。
〔磁気特性評価〕
磁気特性は、VSM(振動試料型磁化測定法)により測定した。磁気ディスクの半径=22mm位置を中心として8mm直径の円形試料を切り出し、基板の円周方向、基板の半径方向にそれぞれ外部磁場を印加(±10kOe)して磁化曲線を求め、基板の円周方向及び半径方向のMrt(残留磁化膜厚積)を算出した。
その結果については後記表2に示すように、MrtORは1.32を得ることができた。
〔信頼性評価〕
得られた磁気ディスクについて、グライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.5nmであった。タッチダウンハイトは、浮上しているヘッドの浮上量を順に下げていき(例えば磁気ディスクの回転数を低くしていく)、磁気ディスクと接触し始める浮上量を求めて、磁気ディスクの浮上量の能力を測るものであるが、通常、40Gbit/in2以上の記録密度が求められるHDDでは、タッチダウンハイトは5nm以下であることが求められる。
また、ヘッド浮上時の浮上量を12nmとし、70℃、80%RH環境下で、ヘッドのロード・アンロード動作を繰り返して行うLUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL連続試験後でも、ヘッドクラッシュや、サーマルアスペリティなどの故障は発生しなかった。通常に使用されるHDDでは、LUL回数が60万回を越えるには10年間程度の使用が必要とされている。
【0027】
実施例2
本実施例では、図1の相関関係を基に、MrtORが1.3を得られるよう、前記Ra(r)/Ra(c)を4と選定し、この表面形状が得られるように磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造を行った。具体的には、実施例1のテクスチャ工程において、基板回転速度を150rpm、テクスチャ加工時間を30秒とした。従って、本実施例においては、基板回転速度×テクスチャ加工時間は、4500(rpm×秒)である。この点以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果については表2に示す。
実施例3
本実施例では、図1の相関関係を基に、MrtORが1.2を得られるよう、前記Ra(r)/Ra(c)を2.3と選定し、この表面形状が得られるように磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造を行った。具体的には、実施例1のテクスチャ工程において、基板回転速度を120rpm、テクスチャ加工時間を30秒とした。従って、本実施例においては、基板回転速度×テクスチャ加工時間は、3600(rpm×秒)である。この点以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果については表2に示す。
【0028】
比較例1
本比較例では、実施例1のテクスチャ工程において、基板回転速度を1000rpm、テクスチャ加工時間を30秒とし、基板回転速度×テクスチャ加工時間は、30000(rpm×秒)であること以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果については表2に示す。
比較例2
実施例1においてテクスチャ工程を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果については表2に示す。
【0029】
【表2】
表2の結果を対比すると、図1に示された相関関係と同様な、Ra(r)/Ra(c)とMrtORの関係が得られている事が判る。本発明実施例により、前記Ra(r)/Ra(c)を2以上とすることによって、MrtORは1.2以上が得られるようになり、前記Ra(r)/Ra(c)を4以上とすることによって、MrtORは1.3以上が得られるようなることが確認された。すなわち、ガラス基板主表面に、所定の形状波長領域における前記Ra(r)/Ra(c)が2以上となる表面形状を設けることにより、高い磁気異方性を有して高密度記録を可能とする磁気ディスクが得られることが判る。
【0030】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成したときに、磁性層に高い磁気異方性を付与できる磁気ディスク用ガラス基板を提供することができる。また、このようにガラス基板を用いた場合であっても、高い磁気異方性を備えることで高密度記録を達成でき、しかも耐衝撃性に優れ、廉価な磁気ディスクを提供することができる。また、前述の図1のように、前記Ra(r)/Ra(c)とMrtORとの相関関係を予め求めておくことにより、再現性よく、所定のMrtORを備える磁気ディスクを製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ra(r)/Ra(c)とMrtORとの相関関係を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による磁気ディスクの層構成を模式的に示す断面図である。
【図3】実施例で用いるテープ式テクスチャ装置の概略構成を示す(a)側面図と(b)斜視図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク用ガラス基板
2 シード層
3 下地層
4 磁性層
5 保護層
6 潤滑層
10 磁気ディスク
Claims (3)
- 基板上に設ける磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャが主表面に形成された磁気ディスク用ガラス基板であって、
原子間力顕微鏡を用いて測定された表面形状であり、該ガラス基板主表面の複数の区画に割り振られた1μm×1μmの測定領域を256×256のメッシュで区画して得られたデータを基に算出された、ディスク円周方向の中心線平均粗さRa(c)に対するディスク半径方向の中心線平均粗さRa(r)の比Ra(r)/Ra(c)が2以上である主表面形状を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。 - 請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を設けることを特徴とする磁気ディスク。
- タッチダウンハイトが5nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク。
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