JP3801568B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。HDD等に搭載される磁気ディスクでは、高容量化の要請により40Gbit/in2〜100Gbit/in2以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
磁気ディスクでは、磁気記録ヘッドの浮上飛行方向の磁気特性が特に優れていることが求められる。このため、例えば特開昭62-273619号等では、アルミ合金等の金属基板表面上に磁気異方性を付与するテクスチャを形成した上で、磁性層を成膜することによって、半径方向の磁気特性に対比して、磁気記録ヘッドの浮上飛行方向の磁気特性を向上させるなどされてきた。
ところで、近年、HDDのモバイル化、小型化の要請から、高剛性で耐衝撃性に優れ、また高い表面平滑性が得られるガラス基板が注目されている。
さらに、ガラス基板の場合であれば、耐衝撃性に優れているので、アルミ合金製基板のようにNiP等の金属膜を被着して剛性を補強する必要が無く、製造工程が短縮できるので、廉価な磁気ディスクを提供でき、また、小型化が容易であるという利点がある。
例えば、本出願人は、特開2002-32909号公報において、ガラス基板上に円周状のテクスチャを形成し、この上に磁性層等をスパッタリングした磁気記録媒体に関して開示している。
【特許文献1】
特開2002−32909号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス基板の場合においても、半径方向の磁気特性に比べて、円周方向の磁気特性が優れていることが望まれる。例えば40Gbit/inch2以上の記録密度を達成する場合では、残留磁化膜厚積による磁気異方性比(MrtOR)は1.2以上であることが求められる。また、50Gbit/inch2以上の記録密度を得るためには、MrtORは1.3以上、特に、60Gbit/inch2以上の高記録密度領域ではMrtORは1.35以上が望ましいとされている。
なお、上述のMrtORとは、残留磁化膜厚積(Mrt)から算出する磁気異方性比OR(Oriented Ratio)のことである。磁気記録媒体主表面上の任意の点において、円周方向の残留磁化膜厚積をMrt(c)、半径方向の残留磁化膜厚積をMrt(r)としたときに、Mrt(r)に対するMrt(c)の比Mrt(c)/Mrt(r)をMrtORとして定める。ここで、Mrtとは、Mr(残留磁化)とt(媒体の磁性層厚さ)との積のことである。
すなわち、MrtORがほぼ1であれば、円周方向と半径方向の磁気特性がほぼ等しい、等方性の磁気記録媒体であり、MrtORが1を越えて大きくなるに従って、円周方向の磁気異方性が向上していることを示している。
【0004】
ところが、アルミ合金製基板や、NiP等の金属膜を被着した基板など、金属表面上に磁気異方性を付与するテクスチャを形成した場合とは異なり、上記特許文献1で開示されるような、ガラス基板表面上に直接、磁気異方性を付与するテクスチャを形成し、この上に磁性層を形成した場合では、MrtORは1.0〜1.1程度しか得られなかったため、HDDの高容量化と低価格化を阻害する要因となっていた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第一に、ガラス基板を用いた場合であっても1.2以上のMrtORが得られ、40Gbit/in2以上の記録密度を達成でき、耐衝撃性に優れた、廉価な磁気ディスクが得られる磁気ディスク用ガラス基板を提供すること、第二に、ガラス基板を用いた場合であっても1.2以上のMrtORが得られ、40Gbit/in2以上の記録密度を達成でき、耐衝撃性に優れた、廉価な磁気ディスクを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記課題に関して鋭意検討した結果、磁気ディスク用ガラス基板を製造するため、ガラスディスクの主表面を鏡面研磨加工した後、該主表面上に、磁性層に磁気異方性を付与するためのテクスチャを形成する前に、該ガラスディスクを薬液で化学処理しておくことによって、その主表面上にテクスチャ加工を行うと所望の均一なテクスチャ形状が好適に形成できるようになり、テクスチャ形成後に得られたガラス基板上に磁性層を形成したときに、高い磁気異方性が得られるようになることを見い出した。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成としている。
【0006】
(構成1)鏡面研磨されたガラスディスクの主表面上に、テープでテクスチャを形成する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記鏡面研磨された前記ガラスディスクの主表面を化学処理することにより、前記ガラスディスクの主表面に形成されている研磨変質層の少なくとも一部除去その後、前記化学処理した前記ガラスディスクの主表面に円周状の前記テクスチャを形成し、円周方向の表面粗さに対する半径方向の表面粗さの比を3以上とすることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成2)前記化学処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びフッ化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の物質を用いて行う処理であることを特徴とする構成1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成3)前記鏡面研磨されたガラスディスクは、鏡面研磨の後に化学強化されたガラスディスクであることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)前記ガラスディスクの材質は、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有するガラスであることを特徴とする構成1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成5)構成1乃至4の何れかに記載の製造方法により製造されたガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
【0007】
通常、磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合、ガラスディスク(円盤状に成型したガラス)に、粗ラッピング工程(粗研削工程)、形状加工工程、精ラッピング工程(精研削工程)を行った後、テクスチャ加工工程の前に、その主表面を鏡面研磨する工程を実施する。この鏡面研磨工程は通常次のようにして行われる。すなわち、多数枚のガラスディスクを研磨キャリアに載置し、この研磨キャリアを、太陽歯車と内歯歯車を用いて遊星歯車運動させることで研磨加工を行う、いわゆるバッチ式両面研磨方法を用いて研磨される。このバッチ式両面研磨方法においては、研磨装置の上下定盤に研磨パッドポリッシャが張られ、この研磨パッドポリッシャと0.3〜3.0μm程度の範囲にある粒径の遊離砥粒(酸化セリウム砥粒等)を用いてガラスディスクの主表面が鏡面となるように研磨加工される。こうして例えば、ガラスディスクの表面粗さRmaxが5nm以下の鏡面となるように研磨加工を行う。
この鏡面研磨工程においては、ガラスディスクは高い荷重による押圧力を受けながら研磨が行われるために、ガラスディスクの研磨面には研磨変質層が形成される。この研磨変質層とは、例えば、研磨加工によりガラスディスクの研磨面に生成された残留応力層(加工応力層)である。
本発明者らの研究によると、この残留応力層の生成は、組織学的に見て、ガラスディスク主表面のSi−Oのネットワークに構造的な変化が起こり、この構造的な変化によって、鏡面研磨加工による残留応力分布にムラが発生し、研磨砥粒の軌跡に応じて、ガラスディスク主表面上に、残留応力が相対的に高い箇所と相対的に低い箇所とが形成されているものと考察される。
【0008】
従って、この鏡面研磨工程の後に前記テクスチャ加工を行うと、前記残留応力が相対的に高い箇所と相対的に低い箇所とでは、テクスチャ加工のされ易さが異なるので、所望の均一なテクスチャ形状を得ることが困難になるものと考えられる。すなわち、前記残留応力が相対的に高い箇所では、相対的にテクスチャ加工され難く、前記残留応力が相対的に低い箇所では、相対的にテクスチャ加工され易いので、テクスチャ工程後のガラス基板主表面には、テクスチャ形状のムラが発生してしまうものと考えられる。
本発明では、前記鏡面研磨工程の後に、該研磨工程で形成されたガラスディスク主表面の研磨変質層の少なくとも一部が除去されるように、薬液による化学処理を行う。本発明者の考察によれば、この化学処理により、残留応力のばらつきのあるガラスディスク主表面の表層が除去されるものと考えられ、テクスチャ工程前のガラスディスク主表面の残留応力のばらつきを抑制でき、応力の略均一な表面が得られるため、テクスチャ加工を施すと、所望の均一なテクスチャ形状を得ることが出来る。
【0009】
本発明において、上記化学処理に使用する薬液としては、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリを含むアルカリ溶液や、フッ化アンモニウム(NH4F)などの酸を含む酸溶液などが好ましい。これらの薬液は、ガラスに対してエッチング性が優れているので、ガラスディスク主表面の研磨変質層を好適に除去することが出来る。さらに、これらの薬液は、ガラスディスク主表面を均一にエッチングできるので、化学処理後のガラスディスク主表面を鏡面とすることができる。なお、上記NaOH、KOHなどのアルカリは単独でも、混合して用いてもよい。
本発明において、テクスチャ工程前の化学処理工程で除去されるガラスディスク主表面の研磨変質層の厚さは、0.1〜10nm程度の範囲であることが好ましい。ガラスディスク主表面の研磨変質層の除去される厚さが薄すぎると、鏡面研磨後のガラスディスク主表面の残留応力のばらつきが残るので好ましくない。また、ガラスディスク主表面の研磨変質層の除去される厚さが厚すぎると、ガラスディスクの主表面に凹欠陥を生じる場合があるため好ましくない。
【0010】
本発明において、化学処理に使用する薬液のPHとしては、アルカリ性薬液の場合は、8〜13の範囲であることが好ましい。アルカリ性薬液の場合にPHが上記の範囲であると、ガラスディスク主表面の研磨変質層の少なくとも一部が除去されて鏡面研磨後の残留応力のばらつきを抑制する効果が十分に得られる。また、PHが13を超えると、薬液によるダメージが大きくなり、ガラスディスク主表面に凹欠陥を生じやすくなるため好ましくない。一方、酸性薬液の場合は、PHは2〜5の範囲であることが好ましい。PHがこの範囲の酸性薬液は、ガラスディスク主表面の研磨変質層の少なくとも一部が除去されて鏡面研磨後の残留応力のばらつきを抑制する効果が十分に得られ、また、薬液によるダメージも発生しない。
また、化学処理に使用する薬液の温度については特に制約は無いが、薬液によるダメージが発生しない様、20℃〜100℃程度の範囲であることが好ましい。
本発明における化学処理は、例えば、上記薬液の中にガラスディスクを浸漬させることにより行われるが、超音波を加えることなども適宜行ってよい。この場合、超音波を付加すると、ガラスディスク上の異物を除去することが出来、ガラスディスク主表面の清浄度を向上させることが出来るので好ましい。処理時間は、上述のガラスディスク主表面の研磨変質層の除去される厚さなどを考慮して適宜決められるものであるが、概ね1〜10分程度が適当である。
【0011】
本発明においてガラス基板を製造するのに用いるガラスの材質としては、例えばアルミノシリケートガラスが好適である。アルミノシリケートガラスは、化学強化に適し、高剛性が得られるので、高記録密度化にとって好適である。
アルミノシリケートガラスとしては、アルカリ金属元素を含有するガラスが好ましい。アルカリ金属元素を含有するガラス基板は、化学強化に適し、優れたLUL特性、耐衝撃性を得ることが出来る。このようなアルミノシリケートガラスの中でも特に、ガラス組成が、SiO2 :58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有するガラスであることが好ましい。
更には、ガラス組成が、SiO2 :62〜75重量%、Al2O3:5〜15重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%、ZrO2:5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0、Al2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスであることが好ましい。また、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
【0012】
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度に優れ、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。
本発明者らの研究によれば、アルミノシリケートガラスは、上述のように磁気ディスクの高記録密度化にとって好適であるが、一方で、鏡面研磨加工時に、ガラスディスク主表面のSi−Oのネットワークに構造的な変化が起こり、この構造的な変化によって、鏡面研磨加工による残留応力分布にムラが発生し、研磨砥粒の軌跡に応じて、ガラスディスク主表面上に、残留応力が相対的に高い箇所と相対的に低い箇所とが形成され易いものと考察される。本発明では、前述のように、テクスチャ加工工程の前に、ガラスディスク主表面の研磨変質層が除去されるよう、化学処理を行う工程を実施することにより、ガラスディスク主表面の残留応力のばらつきが抑制されるものと考えられるため、本発明はアルミノシリケートガラスを使用する基板にとって特に好適であるとともに、磁気ディスクの高記録密度化に資することが出来る。
なお、上述のアルミノシリケートガラスの代表的なものとしては、例えば、HOYA株式会社製のN5(商品名)が挙げられる。
【0013】
本発明において、ガラス基板を製造するためのガラスディスクは、化学強化されたものであることが好ましい。化学強化されたガラスディスクは、ガラスディスク表面上に均一な応力層が形成されているため、強度が高く、平坦度も高いので、LUL特性、耐衝撃性に優れ、モバイル用途のHDDに特に好適である。なお、化学強化工程では、化学強化塩がガラスディスク表面に固く結着するなどして、ガラスディスク主表面の形状が乱される場合がある。このため、ガラスディスク上に前記テクスチャを形成した後に、化学強化工程を施すと、磁性層に磁気異方性を付与するためのテクスチャ形状が化学強化によって乱され、所望のMrtORが得られない場合がある。従って、この化学強化工程は、前記テクスチャを形成する工程より前に実施することが好ましい。
このような観点から、本発明において、化学強化工程を実施する場合は、鏡面研磨工程、化学強化工程、化学処理工程、テクスチャ工程の順にするのが好適である。
【0014】
磁気ディスク用ガラス基板の直径サイズついては特に限定はないが、実用上、モバイル用途のHDDとして使用されることの多い2.5インチサイズ以下の小型磁気ディスクに対しては、耐衝撃性が高く、40Gbit/in2以上の情報記録密度が得られ、かつ廉価な磁気ディスクを提供できる本発明は有用性が高く好適である。
また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。特に、0.1mm〜0.9mm程度の薄型基板により構成される磁気ディスクの場合では、耐衝撃性が高くかつ廉価な磁気ディスクを提供できる本発明は有用性が高く好適である。
【0015】
本発明により得られる磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより、本発明の磁気ディスクが得られる。本発明において、テクスチャを施されたガラス基板上に、成膜を行って磁気ディスクとする場合、シード層、下地層、オンセット層、磁性層、保護層、潤滑層などを設けた磁気ディスクとするのが特に好適である。
本発明においては、磁性層の組成は特に限定されないが、hcp結晶構造をもつCo系合金からなる材料は、結晶磁気異方性が高いので好ましい。Co系合金の内、CoPt系合金は、3000エルステッド以上の高い保滋力を得ることが出来るので好ましい。また、CoCr系合金は、Crによって磁性粒子間の交換相互作用を抑制することが出来、媒体ノイズを低減することができるので好ましい。これらCo系合金としては、CoPt合金やCoCr合金の他、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系合金、CoCrPtTaB系合金、CoCrPtB系合金、CoCrPtNb系合金などが挙げられる。これらの中でも、特にCoCrPtB合金は、媒体ノイズが低く、高記録密度化に好適である。CoCrPtB合金の場合の好ましい組成比としては、Cr:13〜25at%、Pt:6〜15at%、B:2〜10at%、Co:残部である。
【0016】
シード層としては、例えば、Al系合金、Cr系合金、NiAl系合金、NiAlB系合金、AlRu系合金、AlRuB系合金、AlCo系合金、FeAl系合金等のbccまたはB2結晶構造型合金等を用いることにより、磁性粒子の微細化を図ることができる。
下地層としては、Cr系合金、CrMo系合金、CrV系合金、CrW系合金、CrTi系合金、Ti系合金等の磁性層の配向性を調整する層を設けることができる。
オンセット層としては、磁性層と同様の結晶構造をもつ非磁性材料を用いることにより、磁性層のエピタキシャル成長を助けることができる、例えば、磁性層がCo系合金材料からなる場合は、非磁性のhcp結晶構造をもつ材料、例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系等を用いる。
保護層としては、例えば、カーボン保護膜などが挙げられる。
保護層上には、潤滑層を形成してもよく、潤滑層を形成する潤滑剤としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)化合物が好適である。
【0017】
本発明において、磁気ディスク用ガラス基板上に上記各層を成膜する方法については、公知の技術を用いることができる。中でも、スパッタリング法は、各層の膜厚を薄くできるので好ましい。
なお、本発明において、上記磁性層に磁気異方性を付与するための前記テクスチャの形状としては、磁性層に対して磁気記録ヘッドの浮上走行方向の磁気異方性を高められる規則性のある形態であればよいが、磁気ディスクの場合、磁気記録ヘッドの走行方向は円周方向であるので、円周状の規則性を持ったテクスチャ、あるいは、これに交差する形状成分を持つクロステクスチャ、楕円状テクスチャ、らせん状テクスチャまたはこれら形状成分の複合形態であってよい。中でも円周状のテクスチャは、磁性粒子を磁気記録ヘッドの走行方向へ配列させる作用が高いので好ましい。
本発明において、テープでテクスチャを形成するに当たっては、枚葉式テープテクスチャ方法を用いることが好ましい。この枚葉式テープテクスチャ方法においては、プラスチック繊維などの繊維テープをガラスディスク主表面に押圧し、移動させることで、ガラスディスク主表面に例えば円周状のテクスチャを形成する。このとき、ダイヤモンド砥粒など、ガラスに比べて硬度の高い砥粒を含む研磨液を供給することで、ガラスディスク主表面上に精緻なテクスチャを形成することが出来る。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面鏡面加工工程、(5)第1研磨工程、(6)第2研磨工程(主表面鏡面研磨工程)、(7)化学強化工程、(8)化学処理工程、(9)テクスチャ工程、(10)精密洗浄工程、を経て磁気ディスク用ガラス基板を製造した。以下、各工程を説明する。
【0019】
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラスディスクを得た。なお、この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状のガラスディスクを得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:63.6重量%、Al23:14.2重量%、Na2O:10.4重量%、Li2O:5.4重量%、ZrO2:6.0重量%、Sb23:0.4重量%の組成を有するアルミノシリケートガラスを使用した。次いで、ガラスディスクに寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行なった。具体的には、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラスディスクの両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
【0020】
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラスディスクの中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラスディスク端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラスディスク表面をラッピングすることにより、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。上記ラッピング工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
(4)端面鏡面加工工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラスディスクを回転させながらガラスディスクの端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。そして、上記端面鏡面加工を終えたガラスディスクの表面を水洗浄した。
【0021】
(5)第1研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するため第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラスディスクを密着させ、このキャリアをサンギアとインターナルギアとに噛合させ、上記ガラスディスクを上下定番によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。以下、実施例で使用する両面研磨装置としては同一装置を用いた。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散した超純水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間:15分とした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0022】
(6)第2研磨工程(主表面鏡面研磨工程)
次に第1研磨工程で使用したものと同じタイプの両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質のパッドポリシャ(スウェードパット)に変えて、第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えば表面粗さRaを1.0〜0.3μm程度以下まで低減させることを目的とするものである。この第2研磨工程により、ガラスディスクの主表面を鏡面に仕上げられる。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径0.8μm)を分散した超純水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間を5分とした。上記第2研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0023】
(7)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラスディスクに、以下の条件で低温型イオン交換法による化学強化工程を施した。化学強化は硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)の混合した化学強化溶融塩を用意し、この化学強化溶融塩を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラスディスクを240分間浸漬して化学強化処理を行なった。
次に、上記化学強化工程を終えたガラスディスク表面の目視検査及び光の反射・散乱・透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラスディスク表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、上記工程を経て得られたガラスディスクの主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な鏡面を持つガラスディスクを得た。Rmax、Raはともに日本工業規格(JIS)B0601規定のものである。また、得られたガラスディスクの外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
【0024】
(8)化学処理工程
次に、得られたガラスディスクにアルカリによる化学処理工程を施した。アルカリ性溶液として、0.1重量%のNaOHを含有する溶液を使用し、PHメータで溶液のPHを測定したところ13であった。この溶液の温度を50℃とし、この中に上記ガラスディスクを180秒間浸漬させた。なお、ガラスディスクの洗浄作用を得るために、処理中に溶液に超音波を付加した。
この化学処理工程終了後のガラスディスクの主表面形状をAFMにて測定した結果、Rmax=4.66nm、Ra=0.30nmの平滑な鏡面が得られていることが分かった。ここで、測定領域は5μm×5μmである。なお、この化学処理工程により、ガラスディスクの主表面は0.1nm厚エッチング(除去)されていた。
(9)テクスチャ工程
テープ(Tape)式のテクスチャ装置を用いて、研磨、及び円周状テクスチャ処理を施した。テープには織物タイプのテープを、硬質研磨剤には平均粒径0.125μmの多結晶ダイヤモンドが分散剤・潤滑剤(グリセリン)に溶かしてあるスラリーを用いて行った。
このときのテクスチャ加工条件は以下のとおりである。
加工加重 1.4kg
加工圧力 12g/mm2
基板回転数 1000rpm
テープの送り速度 2mm/sec
テクスチャ加工時間 30秒
このテクスチャ工程の後に、前記研磨剤のダイヤモンドスラリーと分散剤(潤滑剤)を洗い流すため、超純水シャワーによる前洗浄を5秒間行った。
【0025】
(10)精密洗浄工程
次に、テクスチャを形成したガラスディスクの精密洗浄を行った。これはヘッドクラッシュやサーマルアスペリティ障害の原因となる研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、表面が平滑で清浄なガラス基板を得るためのものである。この精密洗浄工程は以下の一連の洗浄工程を含む。
まず、洗浄液による洗浄工程を実施した。この洗浄液は、KOHとNaOHを1:1で混合した薬液を超純水で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加した。洗浄液のPHは、超純水の希釈により12.4となるように調整した。ガラスディスクをこの洗浄液に浸漬させた上で揺動させながら2分間洗浄した。なお、このとき洗浄液の温度は50℃とし、超音波を加えて洗浄効果を高めるようにした。
次に、水リンス洗浄工程を2分間行った。これは、前述の洗浄で用いた洗浄液の残渣を除去するためのものである。
次いで、IPA洗浄工程を2分間行った。これは、ガラスディスクを洗浄するとともに、基板上の水を除去するためのものである。
最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行った。これは、基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させるためのものである。
【0026】
次に、上記精密洗浄工程を終えて得られたガラス基板表面の目視検査及び光の反射・散乱・透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラス基板表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、ヘッドクラッシュやサーマルアスペリティ障害の原因となる異物も発見されなかった。
次に、上記工程を経て得られたガラス基板の主表面形状の測定を行った。表面形状は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、高精細な評価のできるタッピングモードで測定した。測定範囲は1μm×1μmのガラス基板主表面である。AFM測定に用いたカンチレバー(探針)は、高精度の測定結果が得られるよう、10nmの先端曲率半径を備えるものを選定して測定した。サンプリングモードは、縦横を256×256区画とし、測定形状の波長帯域は3.9nm〜1000nmである。
その結果、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板表面には均一な円周状のテクスチャが形成されており、半径方向の、Rmax=8.25nm、Ra=0.69nmであった。また、円周方向の表面粗さRa(c)に対する半径方向の表面粗さRa(r)の比Ra(r)/Ra(c)は後記表1に示すように、4.68であった。なお、Ra(r)/Ra(c)の値が大きいほど、均一なテクスチャ形状が形成されていることを示している。高い磁気異方性を得るために必要な均一なテクスチャ形状であるためには、通常、Ra(r)/Ra(c)の値が3以上であることが要求される。Ra(r)/Ra(c)の値が3未満であると、テクスチャ形状が不均一であり、磁気異方性も殆ど得られない。
【0027】
以上のようにして得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、枚葉式スパッタリング装置を用いて、シード層2、下地層3、磁性層4、保護層5及び潤滑層6を順次形成し、図1に示す構造の磁気ディスクを得た。
シード層2は、Cr合金薄膜(膜厚600オングストローム)からなる第1のシード層2aと、AlRu薄膜(膜厚:300オングストローム)からなる第2のシード層2bを形成した。なお、このAlRu薄膜は、Al:50at%、Ru:50at%の組成比で構成されている。
下地層3は、CrW薄膜(膜厚:100オングストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするために設けた。なお、このCrW薄膜は、Cr:90at%、W:10at%の組成比で構成されている。また、結晶粒子の微細化を促進するために、ArガスとCO2ガスとの混合ガス雰囲気中で成膜した。このときArガスに対するCO2ガスの混合比は0.75%とした。
磁性層4は、CoCrPtB合金からなり、膜厚は、150オングストロームである。この磁性層のCo、Cr、Pt、B の各含有量は、Co:62at%、Cr:20at%、Pt:12at%、B:6at%である。
保護層5は、磁性層4が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、膜厚50オングストロームの水素化カーボンからなる。また、潤滑層6は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成し、膜厚は9オングストロームである。
【0028】
次に、得られた磁気ディスクの磁気特性及び信頼性を以下のようにして評価した。
〔磁気特性評価〕
磁気特性は、VSM(振動試料型磁化測定法)により測定した。磁気ディスクの半径=32mm位置を中心として8mm直径の円形試料を切り出し、基板の円周方向、基板の半径方向にそれぞれ外部磁場を印加(±10kOe)して磁化曲線を求め、基板の円周方向及び半径方向のMrt(残留磁化膜厚積)を算出した。
その結果については後記表1に示すように、本実施例では、MrtORは1.30を得ることができた。
〔信頼性評価〕
得られた磁気ディスクについて、グライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.2nmであった。タッチダウンハイトは、浮上しているヘッドの浮上量を順に下げていき(例えば磁気ディスクの回転数を低くしていく)、磁気ディスクと接触し始める浮上量を求めて、磁気ディスクの浮上量の能力を測るものであるが、通常、40Gbit/in2以上の記録密度が求められるHDDでは、タッチダウンハイトは5nm以下であることが求められる。
また、ヘッド浮上時の浮上量を12nmとし、70℃、80%RH環境下で、ヘッドのロード・アンロード動作を繰り返して行うLUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL連続試験後でも、ヘッドクラッシュや、サーマルアスペリティなどの障害は発生しなかった。通常に使用されるHDDでは、LUL回数が60万回を越えるには10年間程度の使用が必要とされている。従って、本実施例では、高信頼性を有する耐久性の高い磁気ディスクが得られた。
【0029】
(実施例2、実施例3)
実施例1の(8)化学処理工程において、NaOH溶液に替えて0.1重量%の水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて、50℃で180秒間の処理を行った。薬液として用いたKOH溶液のPHは12.6であった。(実施例2)
また、実施例1の(8)化学処理工程において、NaOH溶液に替えて0.06重量%のフッ化アンモニウム溶液を用いて、50℃で180秒間の処理を行った。薬液として用いたフッ化アンモニウム溶液のPHは2〜3であった。(実施例3)
実施例2及び実施例3共に、使用する薬液が異なる点以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造した。そして、更に実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0030】
(比較例)
実施例1の(8)化学処理工程におけるNaOH溶液に替えて純水を用いて、50℃で180秒間の処理を行った。
このように薬液による化学処理を行わない点以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを製造した。そして、更に実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0003801568
表1の結果から、テクスチャ工程の前に、薬液による化学処理工程を施すことにより、均一なテクスチャ形状が得られるとともに、MrtORが1.2以上の優れた磁気異方性を備えた磁気ディスクが得られることが分かる。
これに対し、化学処理工程を施さない比較例では、鏡面研磨により生じたガラスディスク主表面の残留応力のばらつきが残ってしまうと考えられるため、テクスチャ形状が不均一となり、磁気異方性も殆ど得られないことが分かる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、磁気ディスク用基板としてガラス基板を用いた場合であっても、均一なテクスチャ形状が得られるとともに、磁性層に高い磁気異方性を付与できる磁気ディスク用ガラス基板を提供することができる。また、このようにガラス基板を用いた場合であっても、高い磁気異方性を備えることで高密度記録化を達成でき、しかも耐衝撃性に優れ、廉価な磁気ディスクを提供することができる。
また、本発明は、基板主表面に鏡面研磨加工による残留応力のムラがとくに形成され易いアルミノシリケートガラス基板を用いる場合に好適である。また、本発明は、耐衝撃性に優れる化学強化されたガラス基板を用いる場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による磁気ディスクの層構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク用ガラス基板
2 シード層
3 下地層
4 磁性層
5 保護層
6 潤滑層

Claims (5)

  1. 鏡面研磨されたガラスディスクの主表面上に、テープでテクスチャを形成する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
    前記鏡面研磨された前記ガラスディスクの主表面を化学処理することにより、前記ガラスディスクの主表面に形成されている研磨変質層の少なくとも一部除去その後、前記化学処理した前記ガラスディスクの主表面に円周状の前記テクスチャを形成し、円周方向の表面粗さに対する半径方向の表面粗さの比を3以上とすることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記化学処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びフッ化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の物質を用いて行う処理であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記鏡面研磨されたガラスディスクは、鏡面研磨の後に化学強化されたガラスディスクであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記ガラスディスクの材質は、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有するガラスであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法により製造されたガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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