JP2001229531A - ガラス基板の洗浄方法 - Google Patents

ガラス基板の洗浄方法

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JP2001229531A
JP2001229531A JP2000030940A JP2000030940A JP2001229531A JP 2001229531 A JP2001229531 A JP 2001229531A JP 2000030940 A JP2000030940 A JP 2000030940A JP 2000030940 A JP2000030940 A JP 2000030940A JP 2001229531 A JP2001229531 A JP 2001229531A
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cleaning
glass substrate
acid
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recording medium
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JP2000030940A
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Norihiko Nakajima
典彦 中島
Noboru Kurata
昇 倉田
Yoshifumi Ajishi
善史 安宍
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学強化ガラス基板の研磨工程で生じる砥粒
や研磨粉を効果的に除去できる洗浄方法を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明は、溶液が0.01Nから1N
の、カルボキシル基を2つ以上有する有機酸水溶液であ
ることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板を洗浄す
る方法である。前記有機酸は、コハク酸、リンゴ酸、酒
石酸、及びクエン酸であることが好ましい。さらに、本
発明は、上記洗浄方法で洗浄されたガラス基板を使用し
た磁気記録媒体、及び該磁気記録媒体を製造する方法に
関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固定磁気ディスク装
置に使用される磁気ディスクの基板の洗浄方法に関す
る。特に、本発明は、磁気ディスクに使用されるガラス
基板の洗浄方法に関する。さらに、本発明は、該ガラス
基板を使用した磁気記録媒体及び該記録媒体を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置は、急激な高記憶密度
化が進んでいる。磁気ディスクは回転する記憶媒体(デ
ィスク)上を、ヘッドを僅かに浮上させて走査させるこ
とによってランダムアクセスを実現しているが、高記憶
密度と高速アクセスを両立させる為には、磁気ディスク
の回転数を上げることと磁気ディスクとヘッドの間隔
(ヘッド浮上量)を小さくすることが求められる。磁気
ディスク基板の材料は、従来アルミニウム(Al)にニ
ッケル−リン(Ni−P)メッキを施した基板が主流で
あったが、近年高剛性で高速回転させても変形しづらく
表面の平滑性の高いガラス基板が使われるようになって
きた。しかし、ガラス基板には靭性が小さく、耐衝撃性
が小さいという欠点がある。そこで、熱処理によって微
細な結晶を析出させて強度を向上させる結晶化ガラス基
板や、溶融塩に浸漬するなどして表面のリチウムやナト
リウムのようなアルカリを、それぞれナトリウムやカリ
ウムのようなより原子量の大きなアルカリに置換して表
面に圧縮応力をかける化学強化ガラスが使われている。
この二種類の方法を比較すると、化学強化ガラス基板の
方が構造が均質であり、平滑面を得やすいため、より高
密度化をはかるには有利である。
【0003】この化学強化ガラス基板の製造工程では、
溶融塩に浸漬した後、表面を研磨する研磨の工程がある
が、この研磨工程で使用される砥粒や研磨粉を後の工程
で除去しなければならない。砥粒や研磨粉の除去は、洗
浄により行われる。この洗浄は、フッ酸などの酸洗浄と
アルカリ洗浄を順次行うのが一般的であるが、特に酸洗
浄において異常エッチングによる微少欠陥(潜傷)が発
生する。この潜傷部分は磁性膜等の成膜が正常に行われ
ないため、磁気特性に影響を及ぼし、磁気記録媒体への
データの読みだし、書き込み時にエラーが生じる原因と
なる。一方、潜傷を生じさせないためには、酸洗浄を行
わなければよいが、そうすると砥粒や研磨粉が研磨表面
から十分に除去できず、これらが原因となって磁気記録
媒体へのデータの書き込み、読み出し時にエラーが発生
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、化学強化
ガラス基板は、磁気記録媒体の基板として有用である
が、上記のような研磨工程での砥粒や研磨粉の除去に問
題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、以下の本発明によっ
て解決される。
【0006】すなわち、本発明の第一は、磁気記録媒体
用ガラス基板を溶液により洗浄する磁気記録媒体用ガラ
ス基板の洗浄方法であって、前記溶液が0.01Nから
1Nの、カルボキシル基を2つ以上有する有機酸水溶液
であることを特徴とする洗浄方法に関する。本発明で
は、前記有機酸水溶液に用いられる有機酸が、コハク
酸、リンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸であることが好ま
しい。さらに、前記磁気記録媒体用ガラス基板は、アル
ミノシリケート系の化学強化ガラス又はソーダライム系
の化学強化ガラスであることが好ましい。
【0007】本発明の第二は、溶液中で洗浄したガラス
基板上に少なくとも磁性層及び保護層が順次形成され、
さらにその表面に液体潤滑層が形成されている磁気記録
媒体において、該洗浄の溶液が0.01Nから1Nの、
カルボキシル基を2つ以上有する有機酸水溶液あること
を特徴とする磁気記録媒体に関する。前記有機酸水溶液
に用いられる有機酸は、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、
又はクエン酸であることが好ましい。また、前記ガラス
基板がアルミノシリケート系の化学強化ガラス又はソー
ダライム系の化学強化ガラスであることが好ましい。
【0008】本発明の第三は、化学強化されたガラス基
板を研磨する工程、研磨されたガラス基板を洗浄する洗
浄工程、少なくとも磁性層、保護層及び液体潤滑層を順
次形成する成膜工程とを具備する磁気記録媒体の製造方
法において、前記洗浄工程が、ガラス基板を溶液中で洗
浄する工程を含み、前記溶液が0.01Nから1Nの、
カルボキシル基を2つ以上有する有機酸水溶液であるこ
とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法に関する。本発
明の化学強化ガラス基板はアルミノシリケート系の化学
強化ガラス又はソーダライム系の化学強化ガラスである
ことが好ましい。また、前記有機酸水溶液に用いられる
有機酸は、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸
であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明についてさらに詳細に
説明する。
【0010】まず、本発明の第一の側面について説明す
る。
【0011】第一の発明は、磁気記録媒体用ガラス基板
の洗浄方法に関する。本発明の洗浄方法においては、洗
浄溶液としてエッチング力の小さい有機酸を使用するこ
とを特徴とする。
【0012】このような有機酸の洗浄液を用いることに
より、潜傷の発生を防止することができる。
【0013】本発明で有用な有機酸としては、分子中に
カルボキシル基を2個以上有する有機酸が好ましい。こ
れは、洗浄後、ガラス基板表面にパーティクルが再付着
しにくいためである。また、本発明では、溶液として水
溶液を使用することが好ましい。従って、本発明では、
有機酸は上記要件に加え、水に易溶性であることが望ま
しい。本発明で使用可能な有機酸は、上記所望の条件を
満たすものであれば特に限定されないが、コハク酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸等を好適な例として挙げるこ
とができる。
【0014】本発明では、有機酸洗浄液は0.01から
1Nの濃度であることが好ましい。
【0015】本発明で使用しうるガラス基板は、特に限
定されないが、磁気記録媒体用ガラス基板として使用し
うるガラス基板が好ましい。特に、化学強化しうるガラ
ス基板が好ましい。このようなガラス基板としては、例
えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス
等の基板を挙げることができる。また、本発明では、例
えばリチウムシリケート系ガラスのような結晶化ガラス
基板を使用することもできる。
【0016】ここで、化学強化されたガラス基板とは、
溶融塩に浸漬するなどして表面のリチウムやナトリウム
のようなアルカリを、それぞれナトリウムやカリウムの
ようなより原子量の大きなアルカリに置換して表面に圧
縮応力をかけたガラス基板をいう。
【0017】以下に本発明の洗浄方法を、磁気記録媒体
用化学強化ガラス基板を例に取り、その作成から順を追
って具体的に説明するが、これは本発明を制限するもの
ではない。
【0018】(基板の作成)ガラス基板を、従来の方法
により成形及び化学強化する。得られた化学強化ガラス
基板を酸化セリウム及びコロイダルシリカ等の研磨剤を
用いて、所望の荒さに研磨する。次に、研磨したガラス
基板を中性洗剤及びポリビニルアルコール(PVA)ス
ポンジ等を用いてこすり洗いする。これにより粗基板を
作成する。
【0019】(ガラス基板の洗浄)本発明の洗浄方法
は、酸洗浄液を使用する酸洗浄である。
【0020】化学強化ガラス基板の洗浄は、浸漬洗浄、
振動洗浄などの方法、あるいはこれらの方法を組み合わ
せて用いることにより行われる。さらに、上記各洗浄方
法に、当業者に周知の洗浄方法を併用させてもよい。代
表的な洗浄方法について以下に説明する。
【0021】1.浸漬洗浄方法 浸漬洗浄方法は、基板の洗浄液への浸漬を行うものであ
り、洗浄液としては、上記本発明の酸洗浄液を使用す
る。
【0022】洗浄に用いる溶液の温度は、使用される溶
媒(例えば、水)の沸点よりも低い温度であることは当
然であるが、沸点近くの温度では、酸溶液の濃度が変化
する恐れがある。そのため、洗浄に用いる溶液の温度は
10℃〜50℃の温度範囲に維持することが好ましい。
本発明では、常温でも十分な洗浄効果を得ることができ
る。
【0023】また、十分な洗浄効果を得るためには、1
から10分、好ましくは1から5分間にわたって基板を
洗浄液中に浸漬する。
【0024】2.振動洗浄方法 振動洗浄方法は、超音波振動またはバブリングによって
洗浄液に振動を与えて洗浄液中に小さな気泡を発生さ
せ、これが破壊消滅するときに生ずるキャビテーション
の作用により、基板表面についた汚れを落とす洗浄方法
である。このような振動洗浄方法は、単独で用いること
も可能であるが、上述の浸漬洗浄方法と併用することに
より、パーティクルの除去効果をより一層高めることが
可能である。
【0025】振動洗浄方法に用いる溶液の温度は、溶液
の沸点以下であれば特に限定されないが、10℃〜50
℃の温度範囲が好ましい。振動により十分な洗浄効果を
得ることができる場合には特に温度を上げる必要はな
い。本発明では、常温でも十分な洗浄効果を得ることが
できる。
【0026】また、洗浄時間は、1から10分、好まし
くは1から5分間である。
【0027】3.浸漬−振動洗浄方法 上述のように実施される、浸漬洗浄方法と振動洗浄方法
とを併用することにより、ガラス基板の洗浄効果をより
一層高めることが可能である。すなわち、浸漬洗浄方法
による洗浄の後に、振動洗浄方法による洗浄を行う逐次
法を用いることで、基板表面上に残存するパーティクル
をさらに効果的に除去することができる。
【0028】洗浄温度、洗浄時間は、上記各方法で説明
したものと同じであるが、浸漬洗浄方法と振動洗浄方法
とを併用することで、より一層効果の高まることが期待
できる場合は、必要に応じてさらに時間を短くすること
も可能である。
【0029】また、他の洗浄方法として、酸溶液をシャ
ワー又はスプレー等により基板にかける方法も可能であ
る。さらに、スピンリンス法、スラブ法等の洗浄方法も
可能である。これら洗浄方法において、シャワー法で
は、例えば酸溶液を300から2000ml/分・枚使用
して洗浄することができる。また、スピン法では、基板
を、例えば20から300rpmの速度で回転させなが
ら、酸溶液を300から2000ml/分・枚使用して洗
浄することができる。さらに、スラブ法では、PVAス
ポンジを使用して酸溶液で洗浄することができる。
【0030】本発明のガラス基板の洗浄方法では、酸洗
浄を行った後、超純水のような溶剤でガラス基板を洗浄
し、酸溶液を十分に洗い流す。
【0031】本発明では、酸洗浄の後、さらにアルカリ
洗浄を行うことができる。すなわち、酸洗浄し、さらに
十分酸を洗い流したガラス基板を、アルカリ洗浄液で洗
浄し、次いで超純水のような溶剤でガラス基板を洗浄
し、アルカリ溶液を十分に洗い流す工程を行ってもよ
い。アルカリ洗浄に使用する洗浄液は、特に限定されな
い。従来から使用されている洗浄液(例えば、花王製、
KS3030 2%)を使用することができる。また、
洗浄時間、洗浄方法も当業者に周知の条件で行いうる。
【0032】本発明では、アルカリ洗浄は、必ずしも必
要ではない。本発明の酸洗浄で、磁気記録媒体用のガラ
ス基板の十分な洗浄を行うことが可能である。
【0033】アルカリ洗浄、酸洗浄の酸溶液又はアルカ
リ溶液を除去するための、超純水のような溶剤での洗浄
は、当業者に周知の方法で行うことができる。例えば、
超純水で洗浄する場合、洗浄液として18Ω以上の抵抗
値を有する超純水を用いることができる。
【0034】次に、洗浄したガラス基板を乾燥する。乾
燥は、例えばイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気
を使用して蒸気乾燥を行えばよい。
【0035】以上のようにして、ガラス基板を得ること
ができる。このガラス基板を用いて、後述する各評価を
行う。
【0036】次に、本発明の洗浄方法を評価するため
に、後述する磁気記録媒体のエラー数を計測する。この
ため、本発明の洗浄方法により洗浄された化学強化ガラ
ス基板を用いて磁気記録媒体を作成した。以下に作成方
法の概略を述べる。
【0037】(磁気記録媒体の作成)磁気記録媒体は、
本発明の洗浄方法を用いて得られたガラス基板に磁性層
等を積層して作成する。
【0038】洗浄された化学強化ガラス基板上に非磁性
金属層をスパッタ法等で形成し、次いで、この非磁性金
属層上に非磁性下地層をコートし、その上に磁性層及び
保護層を順次スパッタ法等で形成する。この後、溶媒で
希釈した潤滑剤を前記保護層の表面にディップコート法
等で塗布する。
【0039】本発明においては、前記非磁性金属層が、
ニッケル−アルミニウム(Ni−Al)であり、非磁性
下地層がクロム(Cr)であり、磁性層がコバルト−ク
ロム−白金(Co−Cr−Pt)系であり、保護層がカ
ーボン(C)を好適に用いることができる。
【0040】次に、本発明の洗浄方法を評価する目的で
以下の5項目についてガラス基板及び磁気記録媒体の評
価を行った。
【0041】以下に具体的に説明する。
【0042】(エッチング量)エッチングは、薬液(後
述する実施例の表1に記載の酸洗浄溶液)100mlに
洗浄したガラス基板を30分浸漬し、乾燥した後の重量
と、浸漬前の重量の差を求め、エッチング量(mg/
枚)として評価した。
【0043】エッチング力が小さいことは、洗浄により
ガラス表面が変化を受けていないことの指針となる。
【0044】(基板表面の組成)ガラス基板の表面をX
線光電子分光法(XPS)により測定し、ガラス基板表
面の炭素(C)、酸素(O)、ケイ素(Si)、アルミ
ニウム(Al)、ナトリウム(Na)、カリウム(K
a)、及びカルシウム(Ca)の各元素組成を求める。
これらの値を比較することにより、洗浄液の種類により
ガラス表面の状態が変化するかどうかの指針が得られ
る。
【0045】(洗浄性)洗浄性を基板表面のパーティク
ルの除去率として評価する。測定は、光学式パーティク
ルカウンタにより洗浄後の基板表面のパーティクル数を
計数することにより行う。結果は、洗浄前と洗浄後のパ
ーティクル数を比較し、パーティクル除去率として表
す。パーティクルは0.5μm以上を計測する。
【0046】得られた結果からは、洗浄によりどの程度
パーティクルが除去されうるかが解り、洗浄の効果の指
針となる。
【0047】(潜傷密度)光学顕微鏡(×200)で潜
傷の数を計測する。計測は、5視野×5枚行い、平均値
を求め、1mm2あたりの個数で表す。
【0048】この評価では、潜傷密度が1個/mm2
下であることが好ましい。潜傷密度が高いと、成膜に影
響し、エラーが発生しやすくなる。
【0049】(エラー数)本発明の洗浄方法により洗浄
された化学強化ガラス基板を用いて作成した磁気記録媒
体のエラー数をR/Wテスターにより計測する。エラー
数は、一枚あたりのエラービット長として表わされる。
【0050】これらの結果は、後述する実施例において
図1から4及び表1から4に示される。
【0051】次に、本発明の第二の側面について説明す
る。
【0052】本発明の第二は、上記第一の発明により洗
浄されたガラス基板を使用した磁気記録媒体に関する。
【0053】図5に本発明の磁気記録媒体の一態様を示
す。図5は、本発明の磁気記録媒体の構造断面図であ
る。
【0054】本発明では、上記第一の発明で洗浄された
ガラス基板を基板1として使用する。その上に非磁性金
属層2、非磁性下地層3、磁性層4、保護層5及び液体
潤滑層6を順次形成し、磁気記録媒体とする。上記非磁
性金属層2、非磁性下地層3、磁性層4、保護層5及び
液体潤滑層6は、従来から使用されている材料を使用す
ることができる。具体的には、非磁性金属層2は、例え
ばNi−Alよりなる金属層であり、非磁性下地層3
は、例えばCrよりなる下地層であり、磁性層4はCo
合金、例えば強磁性合金であるCo−Cr−Pt、Co
−Cr−Taなどであり、保護層5は、例えばカーボン
保護層などであり、更に液体潤滑層6はパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤のようなフッ素系潤滑剤等である。
【0055】本発明の磁気記録媒体を図5により説明し
たが、この構造は一例であり、磁気記録媒体の目的に応
じて種々の変更が可能である。また、形状は本発明の磁
気記録媒体を使用する機器に合わせることができ、特に
限定されない。例えば、HDDに使用されるような磁気
記録媒体であれば円盤状の記録媒体であればよい。
【0056】次に、本発明の第三の側面について説明す
る。
【0057】本発明の第三は、磁気記録媒体の製造方法
である。該製造方法は、ガラス基板を加工することによ
って所望の形状を有するガラス基板を得、さらに化学強
化法により強化されたガラス基板を得る任意の工程と、
該化学強化ガラス基板を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄
された化学強化ガラス基板の上面に上記記録を可能とす
る層構造を積層する工程とを少なくとも有する。本発明
では、上記第一の発明で説明した洗浄方法を洗浄工程と
して使用することを特徴とする。
【0058】化学強化されたガラス基板を得る任意の工
程は、上記第一の発明の「基板の作成」で説明したガラ
ス基板1の作成方法に従ってガラス基板1を製造する。
ガラス基板1には、上記第一の発明で説明した材料を使
用することができる。
【0059】化学強化ガラス基板を洗浄する洗浄工程
は、上記第一の発明の「ガラス基板の洗浄」で説明した
通りである。
【0060】強化ガラス基板の上面に磁気記録を可能と
する層構造を積層する工程は、洗浄された化学強化ガラ
ス基板上に非磁性金属層2をスパッタ法等で形成し、次
いで、この非磁性金属層2上に非磁性下地層3をコート
し、その上に磁性層4及び保護層5を順次形成する。こ
の後、溶媒で希釈した潤滑剤を前記保護層5の表面に塗
布する。
【0061】本発明においては、非磁性金属層2が、N
i−Alであり、前記非磁性下地層3がCr層であり、
前記磁性層4がCo−Cr−Pt合金層であることが好
ましい。
【0062】非磁性下地層3、磁性層4及び保護膜5
は、これらが例えばCr非磁性下地層、Co−Cr−P
t磁性合金層及びカーボン保護膜である場合、スパッタ
法によって形成することができる。また、保護層5がカ
ーボン保護層である場合、通常のグラファイトを主体と
したカーボン保護層であってもDLC保護層であっても
よい。また、潤滑層6は、ディップコート法、スピンコ
ート法等により塗布することができる。
【0063】これらの非磁性金属層2、非磁性下地層
3、磁性層4、保護層5及び潤滑層5の厚さは通常の磁
気記録媒体で用いられる厚さである。なお、上記の構成
は本発明を限定するものではない。
【0064】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。 実施例1から6 実施例1から6では、ガラス基板を酸洗浄のみ行う場合
(実施例1及び4)、及びアルカリ洗浄も併せて行う場
合(実施例2、3、5及び6)の例である。以下に各実
施例について具体的に示す。
【0065】実施例1 (基板の作成と洗浄)酸化セリウム及びコロイダルシリ
カを用いて、表面粗さ(Ra)を0.3から0.5nm
に研磨したアルミノシリケート系ガラス基板を中性洗剤
PVAスポンジを用いて、擦り洗いした後に、酸洗浄液
(0.05Nリンゴ酸水溶液)に浸漬し、超音波(40
MHz)をかけながら5分間洗浄を行った。その後、1
8MΩ以上の超純水を用いて十分に濯いだ。
【0066】次に、酸洗浄を行った上記基板をアルカリ
洗浄した。アルカリ洗浄は、ガラス基板をアルカリ洗浄
液(花王製、KS3030 2% 45℃)に浸漬し、
超音波(40MHz)を5分間かけることにより行っ
た。その後、酸洗浄と同様に18MΩ以上の超純水を用
いて十分に濯ぎ、次いで、電子工業用グレードのIPA
で蒸気乾燥を行った。これにより洗浄した基板を得た。
【0067】上記操作により複数の基板を得、基板状態
で評価する一部の基板を保存した後、残りの基板を用い
て、以下の成膜法により磁気記録媒体を作成した。
【0068】(磁気記録媒体の作成)洗浄の完了した基
板に、スパッタ法を用いて、Ni−Al下地層、Cr下
地層、Co−Cr−Pt系磁性層、カーボン保護層を順
次形成した。得られたディスクのカーボン保護層上にデ
ィップコート法によりフッ素系液体潤滑剤(フォンブリ
ンZ−DOL(商品名)(アウジモント社製))を塗布
し、磁気記録媒体を得た。
【0069】実施例2 (基板の作成と洗浄)酸化セリウム及びコロイダルシリ
カを用いて、表面粗さ(Ra)を0.3から0.5nm
に研磨したアルミノシリケート系ガラス基板を中性洗剤
とPVAスポンジを用いて、擦り洗いした後に、酸洗浄
液(0.05Nリンゴ酸水溶液)に浸漬し、超音波(4
0MHz)をかけながら5分間洗浄を行った。その後、
18MΩ以上の超純水を用いて十分に濯いだ。次いで、
電子工業用グレードのIPAで蒸気乾燥を行ない、洗浄
した基板を得た。
【0070】上記操作により複数の基板を得、基板状態
で評価する一部の基板を保存した後、残りの基板を用い
て、以下の成膜法により磁気記録媒体を作成した。
【0071】(磁気記録媒体の作成)洗浄の完了した基
板に、スパッタ法を用いて、Ni−Al下地層、Cr下
地層、Co−Cr−Pt系磁性層、カーボン保護層を順
次形成した。得られたディスクのカーボン保護層上にデ
ィップコート法によりフッ素系液体潤滑剤(フォンブリ
ンZ−DOL(商品名)(アウジモント社製))を塗布
し、磁気記録媒体を得た。
【0072】実施例3 酸洗浄液に0.5Nリンゴ酸水溶液を使用した以外、実
施例2と同様に基板及び磁気記録媒体を作成した。
【0073】実施例4 酸洗浄液に0.05Nクエン酸水溶液を使用した以外、
実施例1と同様に基板及び磁気記録媒体を作成した。
【0074】実施例5 酸洗浄液に0.05Nクエン酸水溶液を使用した以外、
実施例2と同様に基板及び磁気記録媒体を作成した。
【0075】実施例6 酸洗浄液に0.5Nクエン酸水溶液を使用した以外、実
施例2と同様に基板及び磁気記録媒体を作成した。
【0076】比較例1から4 本発明との対比のための比較例1から4を以下に示す。
以下の比較例は、酸洗浄液を本願発明以外のものに変更
し、アルカリ洗浄を合わせて行う場合の例である。
【0077】比較例1 (基板の作成と洗浄)酸化セリウム及びコロイダルシリ
カを用いて、表面粗さ(Ra)を0.3から0.5nm
に研磨したアルミノシリケート系ガラス基板を中性洗剤
とPVAスポンジを用いて、擦り洗いした後に、酸洗浄
液(0.05Nフッ酸水溶液)に浸漬し、超音波(40
MHz)をかけながら5分間洗浄を行った。その後、1
8MΩ以上の超純水を用いて十分に濯いだ。
【0078】次に、酸洗浄を行った上記基板をアルカリ
洗浄した。アルカリ洗浄は、ガラス基板をアルカリ洗浄
液(花王製、KS3030 2% 45℃)に浸漬し、
超音波(40MHz)を5分間かけることにより行っ
た。その後、酸洗浄と同様に18MΩ以上の超純水を用
いて十分に濯ぎ、次いで、電子工業用グレードのIPA
で蒸気乾燥を行った。これにより洗浄した基板を得た。
【0079】上記操作により複数の基板を得、基板状態
で評価する一部の基板を保存した後、残りの基板を用い
て、以下の成膜法により磁気記録媒体を作成した。
【0080】(磁気記録媒体の作成)洗浄の完了した基
板に、スパッタ法を用いて、Ni−Al下地層、Cr下
地層、Co−Cr−Pt系磁性層、カーボン保護層を順
次形成した。得られたディスクのカーボン保護層上に、
にディップコート法によりフッ素系液体潤滑剤(フォン
ブリンZ−DOL(商品名)(アウジモント社製))を
塗布し、磁気記録媒体を得た。
【0081】比較例2 酸洗浄液に0.05N珪フッ酸水溶液を使用した以外、
比較例1と同様にして洗浄した基板及び磁気記録媒体を
作成した。
【0082】比較例3 酸洗浄液に0.05N塩酸水溶液を使用した以外、比較
例1と同様にして洗浄した基板及び磁気記録媒体を作成
した。
【0083】比較例4 酸洗浄液に0.05N酢酸水溶液を使用した以外、比較
例1と同様にして洗浄した基板及び磁気記録媒体を作成
した。
【0084】便宜のため、上記実施例1から6及び比較
例1から4の洗浄条件を表1にまとめた。
【0085】
【表1】
【0086】以上のようにして得られた基板、及び磁気
記録媒体につて以下に示すような評価を行った。
【0087】(評価法)評価法の概略を表2にまとめて
示した。
【0088】
【表2】
【0089】表2に示されるように、評価は、評価項目
1から5について行った。評価項目1から4はガラス基
板についての評価であり、評価項目5は磁気記録媒体に
対する評価である。
【0090】以下に具体的に説明する。
【0091】(エッチング量)先に説明した洗浄の洗浄
液と同濃度の薬液(上記表1記載の酸洗浄液)100m
lに基板を30分浸漬し、乾燥した後の重量を秤量す
る。この重量と浸漬前の重量の差を求め、エッチング量
(mg/枚)とした。基板3枚を試料として使用した。
【0092】結果を図1に示した。
【0093】図から明らかなように、本発明の方法によ
り洗浄液に有機酸を用いた場合は、エッチング力が小さ
く、潜傷の発生が防止できると評価できる。
【0094】一方、酸洗浄液にフッ酸及び珪フッ酸溶液
を用いた比較例1及び2では、エッチング力が認められ
た。また、比較例であっても、塩酸又は酢酸を用いた場
合には、エッチング力が小さかった。
【0095】(基板表面の組成)洗浄、乾燥後のガラス
基板の表面の元素組成をX線光電子分光法(XPS)に
より測定した。
【0096】結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】表に示されるように、酸洗浄液にフッ酸及
び珪フッ酸溶液を用いた比較例1及び2では、アルカリ
(ナトリウム、カリウム)及びカルシウムがほとんど検
出されなかった。これは、比較例1及び2では、アルカ
リやカルシウムがガラス表面から選択的に溶出され、表
面状態が変化していることを示している。
【0099】(洗浄性)洗浄性を基板表面のパーティク
ルの除去率として評価した。測定は、光学式パーティク
ルカウンタにより洗浄後の基板表面のパーティクル数を
計数することにより行った。結果は、洗浄前と洗浄後の
パーティクル数を比較し、パーティクル除去率として図
2に示した。パーティクルは0.5μm以上を計測し
た。
【0100】図から明らかなように、本発明の方法によ
り洗浄液にカルボキシル基を2個有する有機酸を用いた
場合は、ほぼパーティクルが除去されているのに対し、
酸洗浄液にフッ酸、珪フッ酸溶液をそれぞれ用いた比較
例1及び2、並びに、酸溶液に塩酸、酢酸をそれぞれ用
いた比較例3及び4では、本発明の方法に比べ、パーテ
ィクル除去率は低かった。特に、比較例4に比べ、本発
明の方法は大幅に優れる。
【0101】(潜傷密度)光学顕微鏡(×200)で潜
傷の数を計測した。計測は、5視野×5枚行い、平均値
を求め、1mm2あたりの個数で表した。
【0102】潜傷密度を測定した結果を図3に示す。本
発明の方法に従って洗浄した基板(実施例1から6)で
は、比較例1又は2に比較すると、潜傷密度が非常に低
かった。本発明の方法はで洗浄したガラス基板では、潜
傷密度が1個/mm2以下であり、好ましい結果を得
た。
【0103】先に示したエッチング量の結果と一致し
て、比較例1及び2では、潜傷密度が高かった。
【0104】(エラー数)上記実施例及び比較例に従い
作成した磁気記録媒体のエラー数をR/Wテスターによ
り計測した。エラー数は、一枚あたりのエラービット長
として表した。本測定では、各実施例及び比較例につい
て100枚の磁気記録媒体を使用した。
【0105】磁気記録媒体のエラー数を測定した結果を
図4に示す。本発明に従って洗浄された基板を使用した
磁気記録媒体(実施例1から6)では、比較例1から4
に比べ大幅にエラー数が少ないことがわかる。比較例1
及び2でエラー数が高い要因は潜傷であり、比較例3及
び4でエラー数が高い要因はパーティクルである。
【0106】(まとめ)以上の結果を、表4にまとめて
示した。
【0107】
【表4】
【0108】洗浄後に有機酸を用いた実施例1から6
は、表面はエッチングされにくいが、十分に洗浄される
ため、エッチング工程を省略することができ、磁気記録
媒体の製造に貢献する。
【0109】また、本発明の方法は、酸洗浄の後、アル
カリ洗浄を行わなくても洗浄後の表面にパーティクルの
付着が非常に少ない(実施例2、3、5及び6)。従っ
て、洗浄の工程を短縮することができ、磁気記録媒体の
製造コストを低減することができる。
【0110】さらに、本発明の方法は、洗浄後表面にパ
ーティクルの付着が非常に少なく、且つ、潜傷もほとん
ど発生しないため、磁気記録層等を成膜して磁気記録媒
体とした場合にエラー数が非常に少ない。
【0111】一方、比較例1及び2は、フッ酸及び珪フ
ッ酸を使用するので、ある程度の洗浄力はあり、エッチ
ング力も有するが、フッ酸及び珪フッ酸はSiO2の溶
解力があるので、ガラス表面の微視的な組成の不均一性
に沿って、不均一に溶出され、潜傷が生じることとな
る。これが成膜に影響し、エラー数を増大させる結果と
なる。
【0112】また、比較例3及び4では、無機酸である
塩酸や、カルボキシル基を1つしか持たない酢酸を用い
た場合、エッチング力がないため潜傷は発生しないが、
パーティクル再付着防止効果がないので洗浄中に基板表
面にパーティクルが多く再付着し、成膜した後に得られ
る磁気記録媒体においてエラー数を増大させることにな
る。
【0113】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス基板の研磨加工
後の化学強化ガラス基板からエッチングを行うことなく
砥粒や研磨粉等の汚れを除去することができる。さらに
本発明の方法は、潜傷がなく、且つパーティクルの付着
の少ない磁気ディスク用基板が得られる。本発明の方法
により洗浄されたガラス基板を使用した磁気記録媒体
は、エラーが非常に少ない高品質なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1から6に従い本発明の方法に
より洗浄した基板と比較例1から4に従い洗浄した基板
とのエッチング量を比較した結果を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1から6に従い本発明の方法に
より洗浄した基板と比較例1から4に従い洗浄した基板
とのパーティクル除去率を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図3】図3は、実施例1から6に従い本発明の方法に
より洗浄した基板と比較例1から4に従い洗浄した基板
との潜傷密度を測定した結果を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例1から6に従い本発明の方法に
より洗浄した基板と比較例1から4に従い洗浄した基板
との成膜後のエラー数を測定した結果を示すグラフであ
る。
【図5】図5は、磁気記録媒体の構造断面を表す図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 非磁性金属層 3 非磁性下地層 4 磁性層 5 保護層 6 液体潤滑層
フロントページの続き (72)発明者 安宍 善史 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 3B201 AA03 AB01 BA08 BA11 BB02 BB82 BB83 BB93 BB96 CC01 CC11 CC21 4G059 AA09 AB01 AB09 AB11 AC16 AC30 HB03 HB13 HB14 HB23 5D006 CB04 5D112 AA02 BA03 GA08 GA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体用ガラス基板を溶液により
    洗浄する磁気記録媒体用ガラス基板の洗浄方法であっ
    て、前記溶液が0.01Nから1Nの、カルボキシル基
    を2つ以上有する有機酸の水溶液であることを特徴とす
    る洗浄方法。
  2. 【請求項2】 前記有機酸水溶液に用いられる有機酸
    が、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選択
    されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記磁気記録媒体用ガラス基板がアルミ
    ノシリケート系の化学強化ガラス又はソーダライム系の
    化学強化ガラスであることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項に記載の方
    法で洗浄されたガラス基板上に少なくとも磁性層及び保
    護層が順次形成され、さらにその表面に液体潤滑層が形
    成されている磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 化学強化されたガラス基板を研磨する工
    程、研磨されたガラス基板を洗浄する洗浄工程、少なく
    とも磁性層、保護層及び液体潤滑層を順次形成する成膜
    工程とを具備する磁気記録媒体の製造方法において、前
    記洗浄工程が、ガラス基板を溶液中で洗浄する工程を含
    み、前記溶液が0.01Nから1Nの、カルボキシル基
    を2つ以上有する有機酸の水溶液であることを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 化学強化ガラス基板がアルミノシリケー
    ト系の化学強化ガラス又はソーダライム系の化学強化ガ
    ラスであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記有機酸水溶液に用いられる有機酸
    が、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選択
    されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
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