JP2002123929A - 磁気ディスク用ガラス基板とその製造方法および磁気ディスク - Google Patents
磁気ディスク用ガラス基板とその製造方法および磁気ディスクInfo
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Abstract
ィスク用ガラス基板およびその製造方法を提供し、この
ガラス基板を用いて、磁気特性に優れ、かつ、アルカリ
マイグレーションに起因する磁気ディスク特性の劣化の
ない高品質の磁気ディスクを提供する。 【解決手段】 濃度2規定以上30規定以下で,かつ,
液温30℃以上90℃以下の酸水溶液、または、濃度
0.5mM以上10mM以下で,かつ,液温10℃以上
90℃以下の珪フッ酸水溶液に浸漬する工程を含む製造
方法でガラス基板を製造し、そのようにして得られた表
面にアルカリイオンのないガラス基板を用いて磁気ディ
スクを作製する。
Description
ク記憶装置に使用される磁気ディスクおよびそれに用い
られる磁気ディスク用ガラス基板とその製造方法に関す
る。
度化が急激に進んでいる。固定磁気ディスク記憶装置は
高速回転する磁気記憶媒体(磁気ディスク)表面上をヘ
ッドを僅かに浮上させて走査させることによりランダム
アクセスを実現しているが、高記録密度と高速アクセス
を両立させるためには、磁気ディスク回転数を上げるこ
とと磁気ディスクとヘッドとの間隔(ヘッド浮上量)を
小さくすることが要求される。磁気ディスクの基板材料
は従来Al板表面にNi−Pめっきを施した基板が主流
であったが、最近では高剛性で高速回転させても変形し
にくく、しかも表面平滑性の高いガラス基板が用いられ
るようになってきた。
法で下地層,磁性層,保護層を順次成膜し、その上にデ
ィップコート法で液体潤滑剤を塗布して潤滑層を形成す
ることにより製造される。スパッタ法で各層を成膜する
とき、基板を加熱しておくことにより磁気特性を向上さ
せることが行われているが、Ni−Pめっきを施したA
l基板の場合は、加熱によりNi−Pめっき層が結晶化
して強磁性を帯びるようになるという問題があり、加熱
は300℃が限度である。一方、ガラス基板は加熱によ
って磁性を帯びることがないため、基板を500℃近い
高温にしてスパッタリングすることも可能である。従っ
て、ガラス基板を用いる磁気ディスクはNi−Pめっき
を施したAl基板を用いる磁気ディスクよりも磁気特性
に優れた磁気ディスクを得ることができるという利点が
ある。
材料には溶融点を下げてガラス化や成形性を良くするた
めに、アルカリ金属が数%〜数十%添加されており、基
板温度を高温にしてスパッタを行うとスパッタ成膜され
た膜中にアルカリ金属が拡散して磁気特性を劣化させる
ことがある。
でも、端面などの基板が露出している部分からアルカリ
が徐々に記録面にマイグレーションして大気中の二酸化
炭素やハロゲンと結合して炭酸塩や塩化物として析出す
ることがある。この現象は高温高湿雰囲気下で顕著であ
り、直接エラーとなったり、ヘッドに移着してヘッドの
浮上を妨げたり腐食させたりして装置の信頼性を低下さ
せる原因となる。
のであって、表面からアルカリイオンの除去されたガラ
ス基板およびその製造方法を提供し、磁気特性に優れ、
かつ、アルカリマイグレーションに起因する磁気ディス
ク特性の劣化のない高品質の磁気ディスクを提供するこ
とを目的とする。
によれば、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法におい
て、濃度2規定以上30規定以下で、かつ、液温30℃
以上90℃以下の酸水溶液にガラス基板を浸漬処理する
工程を含む製造方法とすることによって解決される。
ス基板表面は単に洗浄されるだけでなく、ガラス基板表
面に存在するアルカリイオンを除去することができる。
酸水溶液としては無機酸,有機酸などいずれの水溶液で
もよく、またこれらの混酸の水溶液でもよい。具体例と
しては、硫酸,塩酸,リン酸,蟻酸,酢酸あるいはこれ
らの混酸の水溶液が好適に用いられる。酸水溶液の濃度
が2規定未満では、単なる洗浄効果だけで充分なアルカ
リイオン除去効果が得られず、30規定を超えてくると
ガラス基板表面がエッチングされてガラス構成材料が溶
けだすなどの問題が生じてくるので好ましくない。ま
た、液温30℃未満では充分なアルカリイオン除去効果
が得られず、90℃を超えてくると高温であるから取扱
いが難しく、液の蒸散などの問題も生じる。
解する性質を有し、低濃度でもガラス基板を溶解する
が、極めて低濃度とするとガラス基板を溶かさず基板表
面を荒らすことなく基板表面のアルカリイオンを除去で
きるという本発明の効果が得られることが判った。珪フ
ッ酸水溶液の場合、濃度0.5mM(ミリモル)以上1
0mM以下で、かつ、液温10℃以上90℃以下におい
て、本発明の効果を得ることができる。
む製造方法で作製されたガラス基板を用いて磁気ディス
クを作製することにより、磁気ディスク特性に優れ、信
頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
その種類は特に制限されることはなく、化学強化ガラ
ス,結晶化ガラスなどいずれも用いることができる。こ
のガラス基板の表面を研磨液を用いて精密研磨して、表
面粗さを中心線平均粗さRaで0.5nm程度以下と
し、純水,中性洗剤などで洗浄する。
つ,液温30℃以上90℃以下の酸水溶液、あるいは、
濃度0.5mM以上10mM以下,かつ,液温10℃以
上90℃以下の珪フッ酸水溶液にガラス基板を浸漬す
る。浸漬処理時間は酸水溶液の種類,濃度,液温に依存
し、最適浸漬処理時間を選定する必要があるが、数分〜
60分程度になるよう、酸水溶液の種類に応じて濃度,
液温を選択することが望ましい。その後、純水,アルカ
リ洗浄液を用い、超音波を併用するなどして精密洗浄を
行い、乾燥してディスク用基板とする。
セリウムおよびコロイダルシリカを用いて基板表面粗さ
を中心線平均粗さRaで0.3nm〜0.5nmに研磨
した。この研磨した基板表面を中性洗剤とPVAスポン
ジを用いて擦り洗いした。このガラス基板を、下記表1
に示す酸種,濃度(規定(N)またはミリモル(m
M))および液温の酸水溶液にそれぞれ表1に示す時間
浸漬した後、純水にて濯ぎ洗いした。続いて、アルカリ
洗浄液(花王(株)製;商品名KS3030の2%水溶
液,液温40℃)に浸漬し、超音波(40MHz)をか
けながら5分間洗浄を行った後、18MΩ以上の超純水
を用いて充分に濯ぎ洗いし、最後にIPA蒸気乾燥を行
って、実施例1〜7および比較例1〜4の各ガラス基板
を作製した。
について、表面アルカリイオン濃度をX線光電子分光法
(XPS)で評価した。その評価結果を図1に示す。図
1に見られるように、実施例1〜7と比較例1の各基板
の表面からはアルカリ金属のNa,Kは検出されなかっ
たが、比較例2,3,4の各基板表面からは検出され
た。
子間力顕微鏡(AFM)で評価した。その評価結果を図
2に示す。図2に見られるように、実施例1〜7および
比較例2〜4の各ガラス基板は表面粗さがRaで0.3
nm〜0.5nmで酸水溶液浸漬処理で変化しなかった
が、比較例1のガラス基板は表面粗さがRaで0.9n
mと大きくなった。希フッ酸浸漬処理によりガラス基板
表面が溶解して表面形状が変化したと考えられる。
ス基板表面にスパッタ法でNi−Al下地層,Cr下地
層,Co−Cr−Pt系磁性層,C保護層を順次形成し
た後、ディップコート法でフッ素系液体潤滑剤を塗布し
て実施例1〜7および比較例1〜4の各磁気ディスクを
作製した。このようにして得られた各磁気ディスクを、
温度80℃,相対湿度80%の雰囲気中に1000時間
放置した後、S/N比とディスク1枚当たりのエラー数
を調べた。S/N比調査結果を図3に、エラー数調査結
果を図4に示す。
磁気ディスクは比較例2〜4の各磁気ディスクに比して
S/N比が1dB〜2dB向上している。これは、実施
例1〜7の各磁気ディスクに用いたガラス基板では表面
アルカリイオン濃度が殆ど認められないほど非常に低い
ことによると考えられる。比較例1の磁気ディスクは、
用いたガラス基板表面が粗れてしまっていることに起因
してヘッドを安定浮上させることができず、測定不能で
あった。
7の各磁気ディスクは比較例2〜4の各磁気ディスクに
比してエラー数が大幅に少ない。これは、エラー要因と
なるアルカリ金属の炭酸塩や塩化物の析出が低下したた
めと考えられる。比較例1の磁気ディスクについては前
述のS/N比の場合と同様の理由で測定できなかった。
以上を総合的にまとめた結果を表2に示す。表2におい
て、S/N比,エラー数,総合評価の各欄において◎印
は良好であることを、×印は不良であることを示す。
表面のアルカリイオンが除去されており、これらの基板
を用いた磁気ディスクは高温高湿環境下においてもアル
カリマイグレーションが発生せず、磁気ディスク特性は
悪化せず総合的に良好である。比較例1の基板も表面の
アルカリイオンは除去できたが、同時に表面がエッチン
グされて荒れてしまい、この基板を用いた比較例1の磁
気ディスクにおいてはヘッドが安定浮上せず、不良とな
った。比較例2〜4の基板は表面からアルカリイオンが
除去しきれず、これらの基板を用いた磁気ディスクは高
温高湿環境下においてアルカリマイグレーションが発生
し、磁気ディスク特性が悪化して総合的に不良となっ
た。この発明の効果は明らかである。
アルカリイオンを除去でき、このようなガラス基板を用
いることにより、磁気特性に優れ、かつ、アルカリマイ
グレーションに起因する磁気ディスク特性の劣化のない
高品質の磁気ディスクを得ることができる。
表面のアルカリイオン濃度を示す線図である。
の表面粗さRaを示す線図である。
クのS/N比を示す線図である。
クのエラー数を示す線図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 濃度2規定以上30規定以下で、かつ、
液温30℃以上90℃以下の酸水溶液に浸漬する工程を
含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造
方法。 - 【請求項2】 濃度0.5mM以上10mM以下で、か
つ、液温10℃以上90℃以下の珪フッ酸水溶液に浸漬
する工程を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス
基板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法で作製
されたことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。 - 【請求項4】 請求項3記載のガラス基板上に磁性層を
備えることを特徴とする磁気ディスク。
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JP2001236995A JP2002123929A (ja) | 2000-08-11 | 2001-08-03 | 磁気ディスク用ガラス基板とその製造方法および磁気ディスク |
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Publications (1)
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-
2001
- 2001-08-03 JP JP2001236995A patent/JP2002123929A/ja active Pending
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