JP3078281B2 - 情報記録媒体用基板の製造方法及び情報記録媒体 - Google Patents
情報記録媒体用基板の製造方法及び情報記録媒体Info
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Description
板の製造方法及び情報記録媒体等に関する。
材料と比較して各種特性に優れるガラス基板やセラミッ
ク基板が注目されている。詳しくは、磁気ディスク用基
板としては、アルミニウム基板が多く用いられていた
が、磁気ディスクの小型化、薄板化や磁気ヘッドの低浮
上化の要請に伴い、アルミニウム基板に比べ小型化、薄
板化が容易で平坦度が高く磁気ヘッドの低浮上化等が容
易であるため、ガラス基板やセラミック基板を用いる割
合が増えてきている。
いる場合、耐衝撃性や耐振動性を向上させ衝撃や振動に
よって基板が破損するのを防止する目的で、ガラス基板
表面に化学強化処理を施して強度向上を図る場合が多
い。化学強化処理としては、例えば、ガラス中のアルカ
リイオンを、それよりもイオン半径の大きいアルカリイ
オンと置換し、イオン交換部の容積増加によってガラス
表層に強い圧縮応力を発生させてガラス表面を強化する
方法(イオン交換法)等による場合が多い。イオン交換
法を用いて化学強化を行う場合、その原理上アルカリイ
オンを含有したガラス基板を使用する必要がある。な
お、アルカリイオンを含有した情報記録媒体用ガラス基
板の中には、化学強化処理を施さなくても所定の強度を
有する硝種(例えば、高原子価ガラスなど)もある。
えば、結晶化ガラス)基板を用いる場合は、結晶化によ
って耐衝撃性や耐振動性が向上するので、通常化学強化
処理は必要としない。
ック基板を用いる場合、ガラスやセラミック基板に含ま
れるアルカリの溶出が問題となることが多く、アルカリ
の溶出を極力抑えることが望ましい。イオン交換処理後
のガラス基板についてもアルカリの溶出が問題となる。
記録媒体用基板としてガラスやセラミック基板を用いる
場合、アルカリの溶出が問題となるが、アルカリの溶出
を高いレべルで抑制する技術はほとんど開発されていな
い。
り、ガラス基板からのアルカリや他の成分の溶出を高い
レべルで抑制できるとともに、処理の効果を持続しつつ
長期間連続して均一に処理できる情報記録媒体用基板の
製造方法等の提供を目的とする。
イオンを含有した情報記録媒体用ガラス基板を、硫酸水
素塩等の溶融塩に浸漬して処理することで、アルカリの
溶出を著しく抑えることができることを見出し既に出願
を行っている(特願平9−365326号)。ここで、
ガラス基板を硫酸水素塩等の溶融塩に浸漬して処理する
とガラス基板からのアルカリの溶出を高いレべルで抑制
できる理由(メカニズム)は、ガラスの最表面層にある
Si−O−Naの非架橋状態から、硫酸水素塩中に含ま
れる水分から生じるヒドロニウムイオンとSi−O−N
aのNa+とがイオン交換し、シラノール基(Si−O
−H)となり、その後加熱によってシラノール基が脱水
されてガラス表面でSi−O−Siの架橋化がなされる
ためであると考えられる。本発明者らは、さらに研究を
重ねた結果、硫酸水素塩(例えばKHSO4)等の溶融
塩で処理を続けていくと、水分が蒸発し、ピロ硫酸塩
(例えばK2S2O7)の結晶が析出し、処理の効果が低
下することを見出した(例えば、2KHSO 4→K2S2
O7+H2O↑の反応が起こりKHSO4がK2S2O7にな
ってしまう)。そして、処理液に水分を補うことで、処
理の効果を持続しつつ長期間連続して均一に処理できる
ことを見出し本発明を完成するに至った。また、これら
の効果は、ガラスやセラミックの種類によらず、例えば
結晶化ガラスについても効果があることも見出した。さ
らに、アルカリだけでなく、アルカリ土類、Si、Pb
など他の溶出成分についても溶出を抑えることができる
ことを見出した。アルカリ土類、Si等の溶出抑制効果
に関する具体的なデータを表1及び表2に示す。表1及
び表2から、ピロ硫酸塩の溶融塩、及び硫酸水素塩の溶
融塩による処理が効果的であることがわかる。なお、溶
出試験は、ガラス基板を80℃に加熱した超純水中に2
4時間浸漬し、溶出成分をイオンクロマトグラフィで定
量し、ガラス基板当たりのアルカリ金属イオンの溶出量
(μmol/Disk)求めた。
体用ガラス基板だけでなく、光学ガラスやガラス食器の
ヤケの原因にもなるため、光学レンズ、プリズム、光学
フィルター、光導波路、光モジュール、光学素子や光学
部品、ディスプレイ用ガラス、太陽電池用基板ガラス、
半導体用基板ガラス、イメージセンサ用基板ガラス、電
子部品、転写マスク、ガラス食器等、耐侯性の良いガラ
ス製品を得る上でも本願発明の硫酸水素塩等の溶融塩に
よる処理は有効である。
403号)には、基板表面の脱アルカリをAlCl3の
存在下に湿式で行うか、または(NH4)2SO4のよう
な硫酸塩の昇華により行う技術が開示されている。しか
しながら、AlCl3を用いた場合は処理温度が100
℃と低いため、実施例にもあるとおり処理時間が24時
間と長くなる。一方、硫酸塩の昇華により脱アルカリを
行う場合は硫酸塩を気体にしなければならないため、実
施例のように450〜580℃と高温を要する。それに
対し本願発明は硫酸塩を、それ自身が熔解する温度で溶
融塩として接触させることにより脱アルカリ処理をする
ため、比較的低い温度(実施例では250〜300℃)
で、かつ5分程度の短時間での処理が可能である。その
ため、Tg温度が低いガラスなど、広いTg範囲のガラ
スを処理することができる、或いは低温処理のためガラ
ス基板の変形を招くこともない、といったメリットを有
する。具体的には本願発明はガラス基板のTgが400
℃付近のものまで適用可能である。情報記録媒体用ガラ
ス基板と磁気ヘッドの間隔は40〜50nmなので、ガ
ラス基板が変形するとクラッシュを起こしてしまうとい
った問題が生じるので、情報記録媒体用ガラス基板にお
けるガラスの変形は大きな問題となる。また、特表平1
1−503403号公報においては、500℃で化学強
化処理したガラスを500℃で(NH4)2SO4により
脱アルカリ処理しているが、化学強化処理と同じ温度で
脱アルカリ処理すると応力の緩和が起こり、ガラス基板
の強度が低下してしまい、情報記録媒体用ガラス基板の
強度低下を招く。それに対し、本願発明は化学強化処理
よりも80〜130℃低い温度で脱アルカリ処理してお
り、かつ、処理時間も5分と短いので、応力の緩和は殆
ど起こらない。また、硫酸塩の昇華では気体になるた
め、密閉した状態で処理しなければならず、連続操業が
難しいが、本願発明は液体のため密閉する必要がなく、
連続操業が容易であり、かつ、脱アルカリの際に溶融塩
の結晶化を抑制する処理を行うため、連続操業をして
も、持続した脱アルカリの効果を得ることが可能であ
る。
分とした基板を、少なくとも硫酸水素塩及び/又はピロ
硫酸塩を含有する溶融塩に接触させて、ガラス成分の溶
出を抑制する処理を行う際に、溶融塩の結晶化を抑制す
る処理を施すことを特徴とする情報記録媒体用基板の製
造方法。
成分の溶出を抑制する処理、及び溶融塩の結晶化を抑制
する処理を、ガラス基板の化学強化処理後に行い、前記
溶融塩による処理を化学強化処理温度より少なくとも5
0℃低い温度で行うことを特徴とする構成1記載の情報
記録媒体用基板の製造方法。
成分の溶出を抑制する処理を、該溶融塩の昇華温度未満
で行うことを特徴とする構成1又は2記載の情報記録媒
体用基板の製造方法。
アルカリイオンであることを特徴とする構成1乃至3の
いずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
が、溶融塩に水分を供給する処理であることを特徴とす
る構成1乃至4のいずれかに記載の情報記録媒体用基板
の製造方法。
が、溶融塩から失われる水分を補う処理であることを特
徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の情報記録媒体
用基板の製造方法。
塩を含有する溶融塩が、さらに硫酸を加えてなる溶融塩
であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載
の情報記録媒体用基板の製造方法。
方法が、溶融塩中に水蒸気を導入する方法であることを
特徴とする構成5又は6記載の情報記録媒体用基板の製
造方法。
方法が、溶融塩を水蒸気雰囲気下に置く方法であること
を特徴とする構成5又は6記載の情報記録媒体用基板の
製造方法。
う方法が、溶融塩に硫酸水素塩を添加する方法であるこ
とを特徴とする構成5又は6記載の情報記録媒体用基板
の製造方法。
は液相温度〜500℃であって、かつ溶融塩の昇華温度
未満であることを特徴とする構成1乃至10のいずれか
に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
かに記載の情報記録媒体用基板の製造方法によって、ガ
ラス表面が、Si−O−Naの非架橋状態から、Si−
O−NaのNa+がヒドロニウムイオンとイオン交換さ
れて水和状態になり、その後、加熱脱水によってシラノ
ール基が形成され、そのシラノール基が脱水されて、ガ
ラス表面でSi−O−Siの架橋化がなされた状態にす
ることを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
かに記載の情報記録媒体用基板の製造方法によって、ガ
ラス基板表面を、Si−O−Naの非架橋状態から、S
i−O−Siの架橋化がなされた状態にすることを特徴
とする情報記録媒体用基板の製造方法。
強化処理を施されたガラス基板であることを特徴とする
構成1乃至13のいずれかに記載の情報記録媒体用基板
の製造方法。
化ガラス基板であることを特徴とする構成1乃至13の
いずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
抵抗型ヘッドで再生される磁気ディスクに使用される基
板であることを特徴とする構成1乃至15のいずれかに
記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
記載の情報記録媒体用基板の製造方法を用いて得られた
情報記録媒体用基板上に、少なくとも記録層を形成した
ことを特徴とする情報記録媒体。
を、少なくとも硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩を含有
する溶融塩に接触させて、ガラス成分の溶出を抑制する
処理を行う際に、溶融塩の結晶化を抑制する処理を施す
ことを特徴とするガラス製品の製造方法。
ス成分の溶出を抑制する処理を、該溶融塩の昇華温度未
満で行うことを特徴とする構成18に記載のガラス製品
の製造方法。
塩等の溶融塩に浸漬して処理することで、アルカリの溶
出を著しく抑えることができる。したがって、アルカリ
金属イオンの表面への移動に起因するガラス表面の変質
(ヤケ等)や異物の発生を著しく抑制できる。特に本発
明では、処理液に水分を補うことで、水分が蒸発しピロ
硫酸塩の結晶が析出して処理の効果が低下することがな
く、処理の効果を持続しつつ長期間連続して均一に処理
できる。また、アルカリ土類、Si、Pbなど他の溶出
成分についても溶出を抑えることができる。この結果、
耐水性や耐酸性等の向上を図ることができる。
ルカリやその他の成分の溶出を著しく抑えたガラス基板
を使用しているので、耐候性及び寿命に優れ高い信頼性
を有する情報記録媒体を製造できる。
方法によれば、アルカリやその他の成分の溶出を著しく
抑えた製品が得られるので、耐候性及び寿命に優れ高い
信頼性を有するガラス製品が得られる。
おいては、情報記録媒体用のガラスを主成分とした基板
を、少なくとも硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩を含有
する溶融塩に接触させて、ガラス成分の溶出を抑制する
処理を行う際に、溶融塩の結晶化を抑制する処理を施す
ことを特徴とする。
しては、いかなる手段を採用してもよいが、例えば、溶
融塩に水分を供給する方法(溶融塩にもとから含まれる
水分量にかかわらず積極的に水分を供給する場合を含
む)、又は、溶融塩から失われる水分を補う方法などが
挙げられる。溶融塩の結晶化を抑制する処理としては、
水分を供給又は補う方法以外の方法として、水分が蒸発
するのを蒸気圧又は圧力で防止する方法、処理槽を密閉
する方法などがある。なお、処理槽の周囲を密閉空間で
覆い、この密閉空間を加湿して水分を供給するとともに
溶融塩からの蒸発を抑える方法を採用する場合、処理槽
の周囲を密閉するためには多くの費用がかかり、また、
溶融塩から発生するSOxを排気する必要があることか
ら、注意が必要である。
溶融塩を接触させる前、接触させている最中のどちらで
行ってもよい。また、処理液を処理槽から外部に循環さ
せて、外部で溶融塩の結晶化を抑制する処理を行い、処
理槽には結晶化が阻止された処理液が流入するシステム
を採用することもできる。
塩から失われる水分を補う方法として、より具体的に
は、以下の方法が挙げられる。
が挙げられる。この場合、例えば、スチームの吹き出し
ノズルを溶融塩中に挿入し、ノズルから公知の方法で発
生させたスチームをバブリングさせて、水分を供給又は
補えばよい。より具体的には、例えば、図1に示すよう
に、密閉容器1に入れた水2を例えば100℃前後に加
熱し、密閉容器中の水にエアー供給管3から空気を供給
し、湿った空気をスチーム管4を通して加熱して例えば
280℃前後のスチームを発生させ、処理槽5内の溶融
塩6中にスチーム管4の先端のノズルからスチームを供
給し、水分を供給又は補えばよい。水蒸気の温度は、溶
融塩の温度が下がり結晶化してしまうのを防ぐという観
点からは、溶融塩の温度付近が好ましい。
法が挙げられる。この場合、例えば、図2に示すよう
に、溶融塩6の上部に配置したスチーム管4の先端のノ
ズルから溶融塩6に向かってスチームを噴射し、水分を
供給又は補えばよい。
塩の水和物などを添加して溶融塩の結晶化を阻止する方
法が挙げられる。この場合は、溶融塩の容量が増加す
る。
給する方法があるが、この場合、高温の溶融塩中に水を
入れると水蒸気爆発を起こすので、溶融塩の温度を一旦
常温付近まで下げ、水を入れてゆっくりと反応させた
後、処理温度まで再度昇温する必要がある。
(H2S2O7)の塩で、二硫酸イオン(S2O7)とアル
カリ金属、アルカリ土類金属、その他の金属、アンモニ
ウム等との化合物である。2モルの硫酸水素塩から1モ
ルの水が取れるとピロ硫酸塩となる。硫酸水素塩を融解
させて溶融塩とすると、水を失ってピロ硫酸塩となる。
この場合、水は蒸発するが、溶融塩中に僅かに残存する
水がアルカリ溶出防止のメカニズムに関与する。
カリ土類金属、アンモニウム、亜鉛、タリウム(I)、
鉛(II)、鉄(II)、ウラニルなどの塩が挙げられ
る。安全性、環境保護、経済性及び取り扱い性等の観点
からは、ピロ硫酸カリウム、ピロ硫酸ナトリウムなどが
好ましい。硫酸水素塩としては、アルカリ金属(Li、
Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Mg、C
a、Sr、Ba)、アンモニウム、タリウム、鉛、バナ
ジウム、ビスマス、ロジウムなどの塩が挙げられる。安
全性等の観点からは、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナト
リウムなどが好ましい。
ぞれ一種単独を用いることができ、硫酸水素塩とピロ硫
酸塩とを混合して用いることもできる。また、硫酸水素
塩及び/又はピロ硫酸塩は、それぞれ二種以上の異なる
塩を混合して用いることができる。この場合、混合割合
は適宜調整できる。さらに、本発明の効果を損なわない
範囲で他の成分を溶融塩に添加することもできる。
よっても得られるので、硫酸塩に硫酸を加えてピロ硫酸
塩を作っても良い。硫酸水素塩等の塩で処理を長期的に
行うと、ガラスから取り除かれたアルカリにより硫酸塩
の結晶が溶融塩中に析出するが、硫酸塩の結晶は硫酸を
加えることにより硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩に戻
すことができる。硫酸は硫酸水素塩等による溶融塩処理
に支障をきたさないので、硫酸塩の結晶が析出する前
に、溶融塩中に加えて処理を行っても良い。
体用基板を溶融塩に浸漬する場合の他、情報記録媒体用
基板の一方の面だけを溶融塩と接触させる場合も含む。
度以上であれば良く、また、塩の昇華温度未満であれば
よい。アルカリの溶出を抑制する効果の点では、温度に
それほど依存しないが、250〜300℃以上とする
と、アルカリの溶出がゼロになるかあるいはゼロに近く
なるので好ましい。一方、ガラス表面の青ヤケによって
表面硬度などが低下し、記録層を形成して情報記録媒体
としたときの長期的な信頼性において問題となるため、
350℃〜500℃以下とすることが好ましい。500
℃を上限としたのは、500℃を超えると溶融塩の分解
が起こり易いからである。なお、イオン交換によって化
学強化されたガラスの化学強化層が消失し強度が低下す
ることを考慮すると、化学強化ガラスの場合は、300
℃〜350℃以下とすることが好ましい。以上のような
観点から、溶融塩の温度は、溶融温度又は液相温度〜5
00℃でかつ溶融塩の昇華温度未満(より好ましくは溶
融温度又は液相温度〜350℃)であることが好まし
く、化学強化していないガラスについては250℃〜3
50℃(さらに好ましくは270℃〜350℃)である
ことがより好ましく、化学強化したガラスについては2
50℃〜300℃(さらに好ましくは270℃〜300
℃)であることがより好ましい。なお、ピロ硫酸カリの
融点は325℃(文献値)であるが一般にはその一部が
水分を吸収して硫酸水素塩となるため210〜300℃
でも溶融状態にある。このように実際の溶融温度は融点
とは異なることがある。硫酸水素カリウムの融点は21
0℃である。硫酸水素ナトリウムの融点は185.7℃
である。
を抑制する効果の点では、処理時間にそれほど依存しな
い。例えば、5分程度以上であれば処理時間を長くして
もアルカリの溶出を抑制する効果に大きな差異がない。
このようなことから、溶融塩による処理時間は、1〜3
0分程度が好ましく、処理効率や生産性等を考慮すると
5〜10分程度がより好ましい。
は、情報記録媒体用基板に損傷を与えることがない。ま
た、ピロ硫酸塩等の溶融塩による処理によれば、鉄粉等
のコンタミを除去する効果があり、化学強化処理に伴う
析出溶融塩を除去する効果もある。
板(ガラスを主成分とする製品)とは、ガラス、アモル
ファスガラス、ガラスセラミック、結晶化ガラス、ガラ
スとセラミックとの複合材料等からなるものを指す。ガ
ラス基板としては、SiO2を骨格とするガラスが一般
的であり、アルカリイオンを含有するものと、アルカリ
イオンを含有しないものがある。結晶化ガラスは、情報
記録媒体用基板として用いる場合はアルカリイオンを含
有したものが多いが、結晶化ガラスには、アルカリイオ
ンを含有しないものもある。情報記録媒体用基板のサイ
ズ、厚さ、形状等は特に制限されない。
ては、例えば、アルミノシリケートガラス、高原子価金
属イオン(例えば、Ti、Yなど)含有シリケートガラ
ス(高ヤング率ガラス)、ソーダライムガラス、ソーダ
アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガ
ラス、ボロシリケートガラス、チェーンシリケートガラ
スなどが挙げられる。なお、アルミノシリケートガラス
等は耐衝撃性や耐振動性を向上させるために化学強化す
ることが好ましい。ただし、化学強化を必要としないア
ルカリイオンを含有したガラス基板の場合、化学強化は
不要である。
O2:62〜75重量%、Al2O3:5〜15重量%、
Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%、
ZrO2:5.5〜15重量%を主成分として含有する
とともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.
0、Al2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5であ
る化学強化用ガラス、あるいは、SiO2:62〜75
重量%、Al2O3:5〜15重量%、B2O3:0.5〜
5重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜1
2重量%、MgO:0.5〜5重量%、CaO:0.5
〜5重量%、Sb 2O3:0.01〜1.0重量%を主成
分として含有する化学強化用ガラス等が好ましい。ま
た、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面
の突起をなくすためには、モル%表示で、SiO2を5
7〜74%、ZrO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜
15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含
有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
このような組成のアルミノシリケートガラスは、化学強
化することによって、圧縮応力、引張応力、圧縮応力層
の深さの三者をバランス良く制御できるとともに、抗折
強度や、耐熱性に優れ、高温環境下であってもNa等の
析出が少ないとともに平坦性を維持し、ヌープ硬度にも
優れる。
て二珪酸リチウム(Li2O・2SiO2)及びαクオー
ツ(SiO2)を有する結晶化ガラスや、主結晶相とし
てカリウム・フロロリヒテライト(KNaCaMg5S
i8O22F2)及びカリウム・カサナイト(K3Na3Ca
5Si12O30F4)を有するガラス等がある。具体的な組
成としては、前者の場合、SiO2:60〜86重量
%、Li2O:8〜18重量%、K2O:0〜10重量
%、MgO:0〜8重量%、ZnO:0〜10重量%、
Sb2O3:0〜2重量%、P2O5:0.1〜10重量
%、後者の場合、SiO2:50〜75重量%、Ca
O:4〜15重量%、MgO:5〜30重量%、F:3
〜8重量%、Na2O:2〜9重量%、Li2O:0〜3
重量%、BaO:0〜2重量%、Al2O3:0〜10重
量%等が挙げられる。
化処理液にガラス基板を浸漬し、ガラス基板表層のイオ
ンを化学強化処理液中のイオンでイオン交換して化学強
化したガラス基板について、上述した溶融塩による処理
を施すことができる。なお、化学強化処理を施したガラ
ス基板を上記溶融塩で処理する際は、化学強化処理温度
より少なくとも50℃、好ましくは60℃、更に好まし
くは80℃低い温度で処理することが好ましい。
オン交換法、高温型イオン交換法、表面結晶化法などが
知られているが、高強度が得られやすいこと、変形がな
いこと等の観点から、低温型イオン交換法を用いること
が好ましい。低温型イオン交換法は、ガラスの転移温度
(Tg)以下の温度域で、ガラス中のアルカリイオン
を、それよりもイオン半径の大きいアルカリイオンと置
換し、イオン交換部の容積増加によってガラス表層に強
い圧縮応力を発生させてガラス表面を強化する方法であ
る。
(KNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、炭酸カリ
ウム(K2CO3)などの溶融塩や、これらの塩を混合し
たもの(例えば、KNO3+NaNO3、KNO3+K2C
O3など)の溶融塩、あるいは、これらの塩にCu、A
g、Rb、Csなどのイオンの塩を混合したものの溶融
塩等が挙げられる。
50℃〜650℃、特に350℃〜500℃、さらには
350℃〜450℃であることが好ましい。浸漬時間
は、抗折強度と圧縮応力層の観点から、1時間〜20時
間程度とすることが好ましい。ガラス基板表層に形成す
る圧縮応力層の厚さは、耐衝撃性や耐振動性を高めると
いう観点から、60〜300μm程度とすることが好ま
しい。
素塩等の溶融塩、又は化学強化処理液)で処理する前
に、ガラス基板の割れやひびを防止するため、ガラス基
板を200〜350℃に予熱しておくことが好ましい。
による処理では、ガラス基板を端面で保持して処理を行
うことが好ましい。これは、ガラス基板の表面の一部で
保持するとその部分が処理されなくなるのを回避するた
めである。
又は化学強化処理液による処理の後、溶融塩からガラス
基板を引き上げ、熱歪みの発生を抑えることができるよ
うに所定温度まで徐冷することが好ましい。このように
徐冷することにより、熱歪みによるダメージを回避でき
る。ガラス基板を徐冷する速度は、2℃/分〜100℃
/分、特に5℃/分〜60℃/分、さらには10℃/分
〜50℃/分であることが好ましい。
ス基板表面に析出する溶融塩の結晶化を阻止する速度で
ガラス基板を急冷することが好ましい。このように、ガ
ラス基板を急冷すると、析出する溶融塩が脆弱となり、
硫酸水素塩等の溶融塩による処理工程や洗浄工程におい
て溶融塩の除去が容易となる。
/分〜200℃/分、特に1200℃/分〜300℃/
分、さらには800℃/分〜400℃/分であることが
好ましい。ガラス基板の急冷は、ヒートショックの観点
から、好ましくは100℃〜0℃、さらに好ましくは4
0℃〜10℃の冷媒に接触させて行うことが好ましい。
ガラス基板を冷媒に接触させる時間は、析出溶融塩の洗
浄性の観点から、10分〜60分程度であることが好ま
しい。冷媒としては、水、温水、溶液などの液体冷媒、
窒素ガス、水蒸気、冷却空気などの気体冷媒のほか、エ
アの吹き付けなどが挙げられる。
施したガラス基板、又は化学強化処理を施さないガラス
基板の表面を、硫酸水素塩等の溶融塩で処理することが
できる。なお、化学強化処理を施したガラス基板を上記
溶融塩で処理する際は、化学強化処理温度より少なくと
も50℃、好ましくは60℃、更に好ましくは80℃低
い温度で処理することが好ましい。
に、必要に応じ、市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性
剤、アルカリ性洗浄剤など)による洗浄、スクラブ洗
浄、純水洗浄、溶剤洗浄、溶剤蒸気乾燥、遠心分離乾燥
等の公知の洗浄処理を行うことができる。また、各洗浄
では、加熱や超音波印加を行ってもよい。
波数型のもの、あるいは、一定の周波数で発振する固定
周波数型のもののいずれであってもよい。周波数は低い
ほど洗浄効果は高いが、ガラス基板に与えるダメージも
大きくなるので、これらのことを考慮して決定する。
るシミが発生しにくい。蒸気乾燥に用いる溶剤として
は、イソプロピルアルコール、フロン、アセトン、メタ
ノール、エタノールなどが挙げられる。
法は、磁気ディスク用のガラス基板、光磁気ディスク用
のガラス基板や、光メモリディスクなどの電子光学用デ
ィスク基板の製造方法としても使用できる。特に、本発
明の情報記録媒体用基板は、磁気抵抗型ヘッドで再生さ
れる磁気ディスクに使用されるガラス基板として好適に
使用できる。詳しくは、従来に比べはるかに表面状態の
良いガラス基板を使用することによって、磁気抵抗型ヘ
ッドや大型磁気抵抗型ヘッド用の磁気ディスクとした場
合にアルカリの溶出やヤケ等による異物に起因するベッ
ドクラッシュを起こすことがなく、また、磁性層等の膜
にアルカリの溶出やヤケ等に起因する欠陥が発生しエラ
ーの原因となるということもない。
ラミックスの構成成分(アルカリ金属、アルカリ土類金
属、珪素、鉛など)の溶出を防ぐ必要がある分野の用途
に広く使用できる。
する。本発明の情報記録媒体は、上述した本発明方法を
用いて得られた情報記録媒体用基板上に、少なくとも記
録層を形成したことを特徴とする。ここで、記録層やそ
の他の層としては公知のものを使用できる。
ン等の溶出を著しく抑制した情報記録媒体用基板を使用
しているので、耐候性及び寿命に優れ高い信頼性を有す
る情報記録媒体が得られる。
媒体について説明する。磁気記録媒体は、通常、磁気デ
ィスク用基板上に、下地層、磁性層、凹凸形成層、保護
層、潤滑層等を必要に応じ順次積層して製造する。
応じて適宜選択される。下地層(シード層を含む)とし
ては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、
Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一
種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主
成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点か
ら、Cr単体やCr合金であることが好ましい。また、
下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した
複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、
Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、Al
/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr、NiAl/C
r、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下
地層等が挙げられる。
oを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、Co
NiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiP
t、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrP
tTa、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられ
る。また、磁性層を非磁性膜(例えば、Cr、CrM
o、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層
構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtC
r、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtな
ど)としもよい。
磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層として
は、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、G
e、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれら
の不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれ
る。
イト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる
非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の
磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであって
もよい。また、磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記
録形式であってもよい。
目的で設けられる。凹凸形成層の形成方法や材料等は特
に制限されない。また、凹凸形成層の形成位置も特に制
限されない。
ディスク装置用の磁気記録媒体の場合、媒体表面に凹凸
形成層の凹凸に起因した凹凸を形成し、この媒体表面の
凹凸によって、磁気ヘッドと磁気記録媒体との吸着を防
止し、CSS耐久性を向上させる目的で形成される。
の磁気記録媒体の場合には、磁気ヘッドや磁気記録媒体
の損傷を避けるため媒体表面はできるだけ平坦であるこ
とが好ましいので、凹凸形成層を設ける必要はない。
0オングストロームであることが好ましい。より好まし
い範囲は、Ra=10〜30オングストロームである。
磁気記録媒体表面が平坦に近いため、磁気ヘッドと磁気
記録媒体とが吸着し、磁気ヘッドや磁気記録媒体が傷つ
いてしまったり、吸着によるヘッドクラッシュを起こし
致命的な損傷を受けるので好ましくない。また、Raが
50オングストロームを越える場合、グライドハイトが
大きくなり記録密度の低下を招くので好ましくない。
れており、特に制限されない。凹凸形成層の材質として
は、Al、Ti、Cr、Ag、Nb、Ta、Bi、S
i、Zr、Cu、Ce、Au、Sn、Pd、Sb、G
e、Mg、In、W、Pb等の金属やそれらの合金、又
はそれら金属や合金の酸化物、窒化物、炭化物を使用す
ることができる。形成が容易である等の観点からは、A
l単体やAl合金、酸化Al(Al2O3など)、窒化A
l(AlNなど)といったAlを主成分とする金属であ
ることが望ましい。
してもよく、離散的に分布した島状突起で構成してもよ
い。この島状突起の高さは、100〜500オングスト
ロームであることが好ましく、100〜300オングス
トロームであることがより好ましい。
(突起)の高さは、凹凸形成層の材質及びその組成、熱
処理条件等によって制御できる。
よるテクスチャー加工、化学的エッチングによるテクス
チャー加工、エネルギービーム照射によるテクスチャー
加工などが挙げられ、それらの方法を組み合わせること
もできる。
金膜、カーボン膜、水素化カーボン膜、ジルコニア膜、
シリカ膜等が挙げられる。これらの保護膜は、下地層、
磁性層等とともにインライン型又は静置対向型スパッタ
リング装置で連続して形成できる。また、これらの保護
膜は、単層であってもよく、あるいは、同一又は異種の
膜からなる多層構成としてもよい。
えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護
層の代わりに、テトラアルコキシランをアルコール系の
溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散し
て塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)膜を
形成してもよい。この場合、保護層と凹凸形成層の両方
の機能を果たす。
いるが、一般的には、パーフルオロポリエーテル(PF
PE)等からなる液体潤滑剤を、媒体表面にディッピン
グ法(浸漬法)、スピンコート法、スプレイ法等によっ
て塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
的に説明する。
ガラス)(Tg:600℃)からなる中央部に円孔を有
する円盤状のガラス基板(外径2.5インチ、内径0.
8インチ、厚さ0.25インチ)を用意した。なお、高
原子価金属イオン含有シリケートガラスとしては、モル
%表示で、SiO2を43%、Al2O3を5%、Li2O
を8%、Na2Oを2%、MgOを6%、CaOを19
%、TiO2を15%、ZrO2を2%含有するガラスを
使用した。
学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム
(40%)を混合した化学強化処理液を用意し、この化
学強化処理液を480℃に加熱し、300℃に予熱され
た洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬して行った。こ
の浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化される
ようにするため、複数のガラス基板が端面で保持される
ようにホルダーに収納した状態で行った。
ることによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナ
トリウムイオンは、化学強化処理液中のナトリウムイオ
ン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強
化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の
厚さは、約100〜200μmであった。
で順次徐冷する。まず、化学強化処理液からガラス基板
を引き上げ、300℃に加熱されている第一徐冷室に移
送し、この中で約10分間保持して300℃にガラス基
板を徐冷する。ついで、第一徐冷室から200℃に加熱
されている第二徐冷室にガラス基板を移送し、300℃
から200℃までガラス基板を徐冷する。このように二
段階に分けて徐冷することにより、熱歪みによるダメー
ジからガラス基板を開放できる。次に、上記徐冷を終え
たガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し約20
分間維持した。上記冷却工程を終えたガラス基板を、中
性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピル
アルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸
漬して洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波(周波数4
0kHz)を印加した。
ラス基板を浸漬し、処理を行った。この際、表3に示す
ように、溶融塩に水蒸気(空気:2000cm3/min、スチ
ーム:1g/min(水の減少量/時間から算出した)、
水蒸気温度:280℃)を2時間又は4時間供給した
後、処理を行った(試料1、2)。なお、比較のため、
溶融塩に水蒸気を供給しない場合(比較試料2)、及
び、ピロ硫酸カリウムの溶融塩による処理を行わない場
合(比較試料1)についても試料を準備した。溶融塩の
温度は300℃とし、浸漬時間は5分間とした。
後、溶出試験及び環境試験を実施した。その結果を表3
に示す。表3から、ピロ硫酸カリウムの溶融塩による処
理が効果的であることがわかる。
加熱した超純水中に24時間浸漬し、溶出成分をイオン
クロマトグラフィで定量し、ガラス基板当たりのアルカ
リ金属イオンの溶出量(μmol/Disk)求めた。環境試験
は、温度80℃、相対湿度80%の高温多湿環境下にガ
ラス基板を1週間放置し、ガラス表面を顕微鏡観察し
て、アルカリの溶出によるアルカリの塩化物等の析出を
観測し、評価した。
i2O・2SiO2)及びαクオーツ(SiO2)を有す
る結晶化ガラス(SiO2:76.0重量%、Li2O:
9.7重量%、Na2O:1.0重量%、K2O:3.5
重量%、MgO:1.5重量%、Al2O3:3.5重量
%、P2O5:3.0重量%、TiO2:1.5重量%、
As2O3:0.3重量%を含有するガラス)を、約4.
0℃/分の昇温速度で加熱しこの形成温度で1.5時間
保持した後、約2.0℃/分の昇温速度で加熱して81
5℃で2.5時間保持したものを準備した。このガラス
基板について、洗浄処理を行った後、ピロ硫酸カリウム
の溶融塩で処理して、実施例1と同様にして、溶出試験
及び環境試験を実施した。また、比較のためピロ硫酸カ
リウムによる処理を行わない試料についても同様にテス
トした。それらの結果を表4に示す。
スについてもピロ硫酸カリウムの溶融塩による処理が効
果的であることがわかる。
ヒテライト及びカリウム・カナサイトを有する結晶化ガ
ラス(SiO2:56.5重量%、MgO:11.8重
量%、CaO:14.1重量%、Na2O:5.4重量
%、K2O:8.7重量%、F:5.5重量%を含有す
るガラス)を、約4.0℃/分の昇温速度で加熱しこの
形成温度で1.5時間保持した後、約2.0℃/分の昇
温速度で加熱して840℃で2.5時間保持したものを
準備した。このガラス基板について、洗浄処理を行った
後、ピロ硫酸カリウムの溶融塩で処理して、実施例1と
同様にして、溶出試験及び環境試験を実施した。また、
比較のためピロ硫酸カリウムによる処理を行わない試料
についても同様にテストした。それらの結果を表5に示
す。
チームの導入時間と結晶析出時間との関係を調べた。そ
の結果を表6に示す。
が析出したが、水蒸気を3時間導入した場合220時間
で結晶が析出し、水蒸気を継続して導入した場合結晶は
析出しなかった。
表7に示す。
結晶が析出するまでの時間は、硫酸水素カリウム添加の
場合72時間後であり、水蒸気を3時間導入した場合1
00時間後であった。なお、いずれの場合も水分添加に
より結晶はすぐに消失した。
酸ナトリウムの溶融塩、硫酸水素カリウムの溶融塩、又
は硫酸水素ナトリウムの溶融塩を用いたこと以外は実施
例1と同様にして、溶出試験及び環境試験を実施した。
その結果を表8に示す。
リウムとを混合した溶融塩を用いたこと、又は特級試薬
の硫酸水素カリウムと特級試薬の硫酸水素ナトリウムと
を混合した溶融塩を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、溶出試験及び環境試験を実施した。その結果を表
9に示す。
加えてなる溶融塩を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、溶出試験及び環境試験を実施した。その結果を表
10に示す。
リケートガラス(組成:モル%表示で、SiO2を57
〜74%、ZrO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜1
5%、Li2Oを7〜16%、Na2Oを4〜14%主成
分として含有、Tg:500℃、化学強化処理:400
℃、3時間)(実施例9)、ソーダライムガラス(実施
例10)、ソーダアルミノシリケートガラス(実施例1
1)、重金属イオンを含有するボロシリケートガラスを
用いたこと以外は実施例1と同様にして、溶出試験及び
環境試験を実施した。その結果、実施例1と同様の効果
が認められた。なお、実施例9(アルミノシリケートガ
ラス)の結果を表11に示す。
理した基板を溶融塩にて処理した実施例1、6、7、
8、9の溶融塩処理後の基板には応力緩和は殆ど認めら
れなかった。
両面に、Al(膜厚50オングストローム)/Cr(1
000オングストローム)/CrMo(100オングス
トローム)からなる下地層、CoPtCr(120オン
グストローム)/CrMo(50オングストローム)/
CoPtCr(120オングストローム)からなる磁性
層、Cr(50オングストローム)保護層をインライン
型スパッタ装置で形成した。
ングストローム)を分散した有機ケイ素化合物溶液(水
とIPAとテトラエトキシシランとの混合液)に浸し、
焼成することによってSiO2からなる保護層を形成
し、さらに、この保護層上をパーフロロポリエーテルか
らなる潤滑剤でディップ処理して潤滑層を形成して、M
Rヘッド用磁気ディスクを得た。
ストを実施したところ、基板の変形、及びアルカリの溶
出やヤケ等による異物に起因するヒットやクラッシュは
認められなかった。また、磁性層等の膜に欠陥が発生し
ていないことも確認できた。
ラス基板表面の変質に起因する磁性膜等の劣化や欠陥は
認められなかった。
両面に、インライン式のスパッタリング装置を用いて、
Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCr磁性層、C
保護層を順次成膜して磁気ディスクを得た。上記磁気デ
ィスクについて実施例12と同様のことが確認された。
Taとしたこと以外は実施例13と同様にして薄膜ヘッ
ド用磁気ディスクを得た。上記磁気ディスクについて実
施例12と同様のことが確認された。
したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるもの
ではない。
度、種類、浸漬時間等は実施例のものに限定されず要求
品質レベル等に応じ適宜変更して実施できる。また、製
造工程中の任意の工程の後に、必要に応じ、洗浄工程を
実施できる。
ば、情報記録媒体用基板を、硫酸水素塩等の溶融塩に浸
漬して処理することで、アルカリ等の溶出を著しく抑え
ることができるとともに、処理液に水分を供給又は補う
ことで、水分が蒸発しピロ硫酸塩の結晶が析出して処理
の効果が低下することがなく、処理の効果を持続しつつ
長期間連続して均一に処理できる。
ルカリ等の溶出を著しく抑制できる情報記録媒体用基板
を使用しているので、耐候性及び寿命に優れ高い信頼性
を有する情報記録媒体を製造できる。
方法によれば、アルカリやその他の成分の溶出を著しく
抑えた製品が得られるので、耐候性及び寿命に優れ高い
信頼性を有するガラス製品が得られる。
である。
図である。
Claims (19)
- 【請求項1】 情報記録媒体用のガラスを主成分とした
基板を、少なくとも硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩を
含有する溶融塩に接触させて、ガラス成分の溶出を抑制
する処理を行う際に、溶融塩の結晶化を抑制する処理を
施すことを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項2】 前記溶融塩に接触させてガラス成分の溶
出を抑制する処理、及び溶融塩の結晶化を抑制する処理
を、ガラス基板の化学強化処理後に行い、前記溶融塩に
よる処理を化学強化処理温度より少なくとも50℃低い
温度で行うことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒
体用基板の製造方法。 - 【請求項3】 前記溶融塩に接触させてガラス成分の溶
出を抑制する処理を、該溶融塩の昇華温度未満で行うこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録媒体用基
板の製造方法。 - 【請求項4】 溶出を抑制するガラス成分が、アルカリ
イオンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
かに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項5】 溶融塩の結晶化を抑制する処理が、溶融
塩に水分を供給する処理であることを特徴とする請求項
1乃至4のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造
方法。 - 【請求項6】 溶融塩の結晶化を抑制する処理が、溶融
塩から失われる水分を補う処理であることを特徴とする
請求項1乃至5のいずれかに記載の情報記録媒体用基板
の製造方法。 - 【請求項7】 硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩を含有
する溶融塩が、さらに硫酸を加えてなる溶融塩であるこ
とを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報
記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項8】 水分の供給方法又は水分を補う方法が、
溶融塩中に水蒸気を導入する方法であることを特徴とす
る請求項5又は6記載の情報記録媒体用基板の製造方
法。 - 【請求項9】 水分の供給方法又は水分を補う方法が、
溶融塩を水蒸気雰囲気下に置く方法であることを特徴と
する請求項5又は6記載の情報記録媒体用基板の製造方
法。 - 【請求項10】 水分の供給方法又は水分を補う方法
が、溶融塩に硫酸水素塩を添加する方法であることを特
徴とする請求項5又は6記載の情報記録媒体用基板の製
造方法。 - 【請求項11】 溶融塩の温度が、溶融温度又は液相温
度〜500℃であって、かつ溶融塩の昇華温度未満であ
ることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載
の情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項12】 請求項1乃至11記載のいずれかに記
載の情報記録媒体用基板の製造方法によって、ガラス表
面が、Si−O−Naの非架橋状態から、Si−O−N
aのNa+がヒドロニウムイオンとイオン交換されて水
和状態になり、その後、加熱脱水によってシラノール基
が形成され、そのシラノール基が脱水されて、ガラス表
面でSi−O−Siの架橋化がなされた状態にすること
を特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項13】 請求項1乃至11記載のいずれかに記
載の情報記録媒体用基板の製造方法によって、ガラス基
板表面を、Si−O−Naの非架橋状態から、Si−O
−Siの架橋化がなされた状態にすることを特徴とする
情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項14】 情報記録媒体用基板が、化学強化処理
を施されたガラス基板であることを特徴とする請求項1
乃至13のいずれかに記載の情報記録媒体用基板の製造
方法。 - 【請求項15】 情報記録媒体用基板が、結晶化ガラス
基板であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれ
かに記載の情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項16】 情報記録媒体用基板が、磁気抵抗型ヘ
ッドで再生される磁気ディスクに使用される基板である
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の
情報記録媒体用基板の製造方法。 - 【請求項17】 請求項1乃至16のいずれかに記載の
情報記録媒体用基板の製造方法を用いて得られた情報記
録媒体用基板上に、少なくとも記録層を形成したことを
特徴とする情報記録媒体。 - 【請求項18】 ガラスを主成分とした製品を、少なく
とも硫酸水素塩及び/又はピロ硫酸塩を含有する溶融塩
に接触させて、ガラス成分の溶出を抑制する処理を行う
際に、溶融塩の結晶化を抑制する処理を施すことを特徴
とするガラス製品の製造方法。 - 【請求項19】 前記溶融塩に接触させてガラス成分の
溶出を抑制する処理を、該溶融塩の昇華温度未満で行う
ことを特徴とする請求項18に記載のガラス製品の製造
方法。
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