JP3359304B2 - 磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体及びそれらの製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体及びそれらの製造方法

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JP3359304B2
JP3359304B2 JP23320999A JP23320999A JP3359304B2 JP 3359304 B2 JP3359304 B2 JP 3359304B2 JP 23320999 A JP23320999 A JP 23320999A JP 23320999 A JP23320999 A JP 23320999A JP 3359304 B2 JP3359304 B2 JP 3359304B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C15/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by etching
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク等
の磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板、
該磁気記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体及び
それらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録・再生の技術分野においては、
磁気ヘッドと磁気ディスクとのインターフェースが記録
容量を向上させるキーテクノロジーの一つとなってい
る。記録密度を向上させるためには、磁気ディスク表面
を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)
を極力低くする必要があるが、CSS(コンタクト・ス
タート・ストップ)方式の記録再生を行う場合、磁気ヘ
ッドの低浮上化が進むにつれ、磁気ヘッドが磁気ディス
クに吸着(スティクション)するおそれが高くなる。
【0003】このような磁気ヘッドの吸着を防止するた
めに、従来から、種々のテクスチャー技術が提案されて
いる。その代表的なものとしては、Al/NiPめっき
基板の表面を機械研磨することによって凹凸状に形成す
る方法(特開昭62−273619)がある。また、ア
ルミニウム基板より、平坦性が優れているガラス基板の
場合は、ガラス基板上にスパッタリングで表面が凹凸状
の薄膜を形成する方法(特公平4−62413)や化学
エッチングで凹凸を形成する方法(特公平7−1015
07)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近では、
記録容量の向上を目指して、グライド高さが1.2μイ
ンチ以下の段階にまで達してきている。しかるに、従来
から提案されている上述のテクスチャーの形成方法は、
グライド高さが8μインチ程度の状況下のテクスチャー
技術であった。それゆえ、今日のような低浮上高さで記
録再生する磁気ディスクに適用しても、充分な電磁変換
特性と、磁気ヘッドの吸着防止効果を同時に満足した磁
気ディスクを得ることは困難であった。
【0005】また、従来のグライド高さは8μインチ程
度であったので、磁気ディスク(基板)の表面状態の評
価は、半径数μm(例えば2.5μm)の触針を表面で
走査させて表面粗さを測定するタリステップによる評価
で十分であったが、現在要求されているような1.2μ
インチ(1インチ=25.4mm)以下といった浮上高
さになると、もはや、タリステップによる評価では、磁
気ヘッドの吸着防止を実現可能なガラス基板表面の状態
であるか否かを判断することは困難な状況である。
【0006】本発明は上述の背景のもとでなされたもの
であり、1.2μインチ以下のグライド高さを有し高い
電磁変換特性、高いCSS耐久特性が得られる磁気記録
媒体、該磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス
基板及びそれらの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ガラス基
板表面の適切な表面状態を評価するために、原子間力顕
微鏡(AFM)によって、ガラス基板の表面状態を特定
することに着目した。これは、従来の触針式の測定方法
では分解能が低く、ガラス基板の表面状態が適している
のか否かを識別できないためである。そして、この評価
方法に基づき、上記の目的を達成するためには、ガラス
基板の主表面に形成される微細な凹凸における凸部の高
さ、分布(高さのばらつき)が重要な因子であることを
解明した。また、種々の実験を重ねた結果、研磨条件、
表面処理条件を特定の組み合わせにしないと、目標とす
るガラス基板表面にならないことを見出だした。本発明
は、この様な解明結果に基づくものであり、第1の発明
は、少なくともアルカリ金属酸化物と3molパーセン
ト未満のアルカリ土類酸化物とを含有するガラス基板で
あって、主表面の表面粗さが、原子間力顕微鏡(AF
M)で測定したとき、Ra=0.2〜2.5nm、Rm
ax=5〜25nm、Rmax/Ra=5〜35であ
り、B.H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又
は、B.H.(5.0) /Rmax=0.1〜0.45であ
ることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。
但し、前記磁気記録媒体用ガラス基板の主表面を完全に
平坦にしたと仮定した場合の仮想主表面に平行な面を等
高面とし、この等高面によって前記磁気記録媒体用ガラ
ス基板の主表面に形成されている凹凸を切断した場合に
おいて、この切断面の面積の和の値に対する前記仮想主
表面の全体の面積の値の割合を百分率で表したものをベ
アリングレシオと定義し、前記ベアリングレシオが50
%である等高面を基準面とし、この基準面から各ベアリ
ングレシオを有する等高面までの距離をベアリング高さ
と規定し、さらにベアリングレシオ2.5%である等高
面のベアリング高さをB.H.(2.5) 、ベアリングレシ
オ5.0%である等高面のベアリング高さをB.H.
(5.0) とするものとする。
【0008】
【0009】
【0010】第2の発明は、第1の発明にかかる磁気記
録媒体用ガラス基板において、グライド高さが30.4
8nm以下の磁気ディスクに使用することを特徴とする
磁気記録媒体用ガラス基板である。
【0011】第3の発明は、第1又は第2発明にかかる
磁気記録媒体用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性
層が形成されていることを特徴とする磁気記録媒体であ
る。
【0012】第4の発明は、原子間力顕微鏡(AFM)
で測定したときの主表面の表面粗さがRa=0.1〜
1.0nmのガラス基材を用意し、前記ガラス基材の少
なくとも主表面の表面粗さがRa=0.2〜2.5n
m、Rmax=5〜25nm、Rmax/Ra=5〜3
5となるように化学的表面処理することを特徴とする磁
気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0013】第5の発明は、アルカリ金属酸化物とアル
カリ土類酸化物を含有し、且つ、アルカリ土類酸化物の
含有量の合計が3mol%未満であるガラス基板であっ
て、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときの主表面
の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を
用意し、該ガラス基材の少なくとも主表面をケイフッ酸
で表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス
基板の製造方法である。
【0014】第6の発明は、第4又は第5の発明にかか
る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記
化学的表面処理又はケイフッ酸による表面処理をする前
に前記ガラス基材の少なくとも主表面を0.3〜3.0
μmの粒径の遊離砥粒を含む研磨剤を用いて研磨するこ
とを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で
ある。
【0015】第7の発明は、第6の発明にかかる磁気記
録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学的表
面処理又はケイフッ酸による表面処理は、前記ガラス基
材の研磨工程において前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇
所に発生した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高
い部分が凸部になるように処理するものであることを特
徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0016】第8の発明は、第4ないし第7のいずれか
の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に
おいて、前記ケイフッ酸の濃度が0.15〜3.0重量
%であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の
製造方法である。
【0017】第9の発明は、第8の発明にかかる磁気記
録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基
材を構成するガラスは、SiO2 を58〜75重量%、
Al2 O3 を5〜23重量%、Li2 Oを3〜10重量
%、Na2 Oを4〜13重量%、主成分として含有する
ガラスであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基
板の製造方法である。
【0018】第10の発明は、第9の発明にかかる磁気
記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス
基材を構成するガラスは、SiO2 を62〜75重量
%、Al2 O3 を5〜15重量%、Li2 Oを4〜10
重量%、Na2 Oを4〜12重量%、ZrO2 を5.5
〜15重量%、主成分として含有するとともに、Na2
O/ZrO2 の重量比が0.5〜2.0、Al2 O3 /
ZrO2 の重量比が0.4〜2.5であるガラスである
ことを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法
である。
【0019】第11の発明は、第4ないし第10のいず
れかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方
法において、前記化学的表面処理又は前記ケイフッ酸に
よる表面処理の後に、化学強化処理することを特徴とす
る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0020】第12の発明は、第4ないし第11のいず
れかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方
法で製造された磁気記録媒体ガラス基板の主表面上に、
少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法である。
【0021】第13の発明は、磁気ヘッドの種類毎に、
磁気ヘッドの浮上特性を良好にする磁気記録媒体用ガラ
ス基板の表面状態を、原子間顕微鏡(AFM)で測定し
た場合のRa、Rmax及びRmax/Raの値の範囲
で特定し、磁気記録媒体用ガラス基板の表面を種々の表
面処理条件で表面処理し、処理後の表面状態を原子間力
顕微鏡(AFM)によって測定した場合に得られるR
a、Rmax、Rmax/Raの各値が上記特定の範囲
の値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた表面
処理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表
面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板
の製造方法である。第14の発明は、磁気ヘッドの種類
毎に、磁気ヘッドの浮上特性を良好にする磁気記録媒体
用ガラス基板の表面状態を、原子間力顕微鏡(AFM)
で測定した場合のRa、Rmax、Rmax/Ra、ベ
アリング高さ(B.H.)とRmaxとの比(B.H.
/Rmax)の値の範囲で特定し、磁気記録媒体用ガラ
ス基板の表面を種々の表面処理条件で表面処理し、処理
後の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)で測定した場
合に得られるRa、Rmax、Rmax/Ra、B.
H./Rmaxの値が上記特定の範囲の値になる場合の
表面処理条件を求め、この求めた表面処理条件によって
磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表面処理することを
特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であ
る。(但し、ベアリング高さ(B.H.)は第1の発明
で定義した内容とする。)
【0022】上述の第1の発明によれば、ガラス基板の
少なくとも主表面の表面粗さを、AFMで測定したと
き、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax=3〜25n
m、Rmax/Ra=3〜35とすることにより、グラ
イド高さが1.2μインチ以下で、且つ、磁気ヘッドが
吸着することない磁気ディスク等の磁気記録媒体用ガラ
ス基板が得られる。また、CSS方式の磁気ディスクに
おいては、さらに高いCSS耐久特性を満足する磁気デ
ィスク等の磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。な
お、ここで、Ra、Rmaxは、それぞれ、JIS B
0601に規定される中心線平均粗さ及び最大高さであ
る。
【0023】AFMで測定したRmaxの値は、基板表
面に形成された凹凸の最大高さを示し、Rmaxが3n
m未満の場合、基板表面が鏡面状態に近い状態になるた
め、例えば、磁気ヘッドが磁気ディスク表面に吸着して
しまうので好ましくない。Rmaxが25nmを超える
場合、グライド高さが1.2μインチを超えてしまうの
で好ましくない。
【0024】また、AFMで測定したRmax/Raの
比率は、基板表面の凹凸における凸部の高さの分布(ば
らつき(均一性))を示し、摩擦係数に変化をもたらす
ので重要な因子である。本発明者らは、1.2μインチ
以下のグライド高さを維持しつつ、高いCSS耐久特性
を実現するための凹凸の凸部の高さのばらつきには、適
正な範囲がある事を見出した。
【0025】その凸部の高さの分布(ばらつき)を示す
Rmax/Raが5未満の場合、比較的凹凸が均一にな
り、静止摩擦係数が3を超え、磁気ヘッドの接触面積が
増えるために吸着しやすくなり、CSS耐久特性が悪く
なるので好ましくない。
【0026】また、Rmax/Raが35を超える場
合、全体の平均表面粗さに対する凸部の最大高さが大き
くなることを意味し、静止摩擦係数が1以下となり、磁
気ヘッドの接触面積は減少するが最大凸部への負荷が大
きくなるので、ヘッドクラッシュが発生するので好まし
くない。
【0027】磁気ディスクの記録再生方式として、CS
S方式、ロード・アンロード(ランプロード)方式があ
るが、例えば、CSS方式の場合、Ra=0.2〜2.
5nm、Rmax=5〜25nm、Rmax/Ra=5
〜35、好ましくはRa=0.7〜1.5nm、Rma
x=8〜18nm、Rmax/Ra=10〜20の範囲
内で表面粗さを制御し、ロード・アンロード方式の場
合、具体的には、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax
=3〜10nm、Rmax/Ra=3〜15の範囲内で
表面粗さを制御する。尚、本発明のガラス基板表面に形
成される凹凸は、磁気ヘッドとの吸着を防止するための
テクスチャーの機能を有するものである。
【0028】上述のように、Rmax/Raは基板表面
の凹凸の凸部の分布(ばらつき(均一性))を示すパラ
メータであって、所定範囲にすることによってグライド
高さが1.2μインチ以下で、高いCSS耐久特性が得
られることは確かであるが、実際は、磁気ヘッドに直接
的に接触する磁気ディスク表面の突起は、基板表面の凹
凸の中でも最大突起高さであるRmax相当の高い突起
であって、その高い突起の占める割合(分布)を制御す
ることが、更なる低浮上化の実現と、高いCSS耐久特
性を得るには重要である。そこで、基板表面の凹凸の最
大突起高さであるRmax相当の高い突起の占める割合
を示すパラメータであるB.H./Rmaxの比率が大
変重要になる。
【0029】上述の第2又は第3の発明によれば、ベア
リングレシオ50%の等高面を基準面とし、ここからの
高さをベアリング高さと規定し、前記ガラス基板主表面
の凹凸形状におけるベアリングレシオ2.5%のベアリ
ング高さをB.H.(2.5) 、ベアリングレシオ5.0%
のベアリング高さをB.H.(5.0) としたとき、B.
H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又はB.H.
(5.0) /Rmax=0.1〜0.45とすることによ
り、更なる低浮上化の実現と、高いCSS耐久特性が得
られるので好ましい。
【0030】ここで、ベアリングレシオ、ベアリング高
さについて説明する。図1は、本発明によって得られた
磁気ディスク用ガラス基板の主表面の表面凹凸を原子間
力顕微鏡(AFM)で測定したときの測定写真である。
また、図2は図1に示される表面上における特定の直線
上の表面凹凸を示す測定曲線である。いま、このガラス
基板の主表面を完全に平坦にしたと仮定した場合の仮想
主表面を想定し、この仮想主表面に平行な面を等高面と
する。仮想主表面からの距離が所定範囲内にある等高面
は、ガラス基板の主表面に形成されている凹凸を切断す
ることになる。この等高面によって切断された全ての凹
凸の切断面の面積を足し合わせた値に対する上記仮想主
表面の全面積の割合を百分率で表したものをベアリング
レシオと定義する。
【0031】また、このベアリングレシオが50%であ
る等高面を基準面とし、この基準面から各ベアリングレ
シオを有する等高面までの距離をベアリング高さと定義
する。
【0032】なお、前述のベアリングレシオを横軸に、
そのときの等高面の、最高地点からの垂直距離、即ち深
さ(ベアリング深さ)を縦軸にプロットしたものを、ベ
アリングカーブと呼ぶ。図1に示した表面凹凸のベアリ
ングカーブを図3に示す。また、ベアリングレシオが5
0%となる深さにある等高面が基準面である。
【0033】そして、ベアリングレシオが2.5%とな
るレベルのベアリング高さをB.H.(2.5) 、ベアリン
グレシオが5.0%となるレベルのベアリング高さを
B.H.(5.0) とする。
【0034】そうした場合、B.H.(2.5) /Rmax
=0.1〜0.5、又は、B.H.(5.0) /Rmax=
0.1〜0.45である場合に、更なる低浮上化の実現
と、高いCSS耐久特性が得られることが判明した。
【0035】AFMで測定したB.H./Rmaxの比
率は、あるベアリング値における高さと最大突起高さの
割合(分布)を相対的に示したもので、突起密度と関連
が深い。本発明者らは種々の実験の結果、ベアリングレ
シオ2.5%、5%でのB.H./Rmaxの値がCS
S耐久性や静摩擦係数との間に密接な関係がある事を見
出した。即ちB.H.(2.5) /Rmax、B.H.(5.
0) /Rmaxがそれぞれ0.1未満の場合は摺動によ
る摩擦係数の増加が大きくCSS耐久性が低い。また、
B.H.(2.5) /Rmax、B.H.(5.0) /Rmax
がそれぞれ0.5および0.45を越えた場合、摩擦係
数が3を越えてしまうため好ましくない。
【0036】なお、ここではベアリングカーブにおける
ベアリングレシオ50%の面を基準面としているが、こ
れはベアリング高さの基準面を定義するためであって、
この基準面は、ベアリングカーブにおける任意のベアリ
ングレシオの値をとっても構わない。しかし、ベアリン
グレシオ50%の場合は、ガラス基板の主表面の凹凸に
おける凸部と凹部の中心面である点から好ましい。
【0037】また、ベアリング高さ(B.H.)の値を
ベアリングレシオが2.5%、5.0%の値に選定した
のは、磁気ディスクに要求される低フライング高さ、低
摩擦係数、高いCSS耐久性と対応関係のある磁気ヘッ
ドと接触する最大表面粗さ相当の高さを有する凸部の密
度の割合を正確に識別できるからである。
【0038】図4に示した表1は、AFMによって測定
された予め凸部の密度がわかっている複数(4枚)の磁
気ディスク(表面粗さの平均線から6nmスライスした
ときの凸部の個数が380個(ディスクA)、96個
(ディスクB)、64個(ディスクC)、0個(ディス
クD)のもの)を用意し、それぞれ、ベアリングレシオ
が0.025%、0.25%、2.5%、5.0%、2
5%としたときのB.H./Rmaxを計算した結果を
示したものである。
【0039】図4の表1に示したB.H./Rmax
は、凸部の割合を相対的に表したものということができ
るが、ベアリングレシオ0.025%、0.25%にし
た場合、本来であれば凸部の密度と比例して、ディスク
A>ディスクB>ディスクC>ディスクDにならなけれ
ばならないが、ディスクCのB.H./Rmaxの値が
ディスクAやディスクBに比べ大きくなっている。これ
は、ベアリングレシオが比較的小さな値、即ち、凸部の
ごくわずかな領域しか考慮していないため、グライド特
性には関係のない異常突起の数の割合が多く含まれてい
しまうからだと考えられる。したがって、この場合、凸
部の割合を識別することができないので好ましくない。
また、ベアリングレシオ25%の場合、凸部の密度の割
合は識別できるものの、各ディスク間のB.H./Rm
axのレンジが小さいため好ましくない。
【0040】以上の結果をまとめると以下の通りにな
り、第2の発明及び第3の発明はこれらの結果に基づく
ものである。 (1)基板の表面凹凸のベアリングカーブを求め、ベア
リング高さの基準となる基準面を決定する。第2の発明
及び第3の発明の場合は、ベアリングレシオが50%と
なる深さを基準としたものである。 (2)上記1によって決めた基準面から測定したベアリ
ング高さB.H.とRmaxの比率(B.H./Rma
x)が、磁気ディスクに要求される特性、又はこの特性
と対応関係のある表面凹凸の状態を示す特定のパラメー
タが、B.H./Rmaxの値によって正確に識別でき
るベアリングレシオを選定する。第2の発明及び第3の
発明の場合は、磁気ディスクに要求される特性であるグ
ライド高さ、摩擦係数、CSS耐久性と対応関係のある
基板表面の凸部の割合を正確に識別できるベアリングレ
シオ値(2.5%、5.0%)を選定したものである。 (3)上記2によって選定したベアリングレシオに対
し、磁気ディスクに要求される特性を満足するB.H.
/Rmaxの範囲を決定する。第2の発明及び第3の発
明の場合は、グライドハイト1.2μインチ以下、摩擦
係数3以下、CSS耐久性良好の特性を満足するB.
H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又はB.H.
(5.0) /Rmax=0.1〜0.45としたものであ
る。
【0041】このような表面粗さの管理方法によって作
製された磁気ディスク用ガラス基板は、磁気ヘッドの更
なる低浮上化といった基板の表面粗さの厳密な制御が必
要となる磁気ディスクに有用である。また、第4の発明
によれば、上述のガラス基板は、少なくともアルカリ金
属酸化物を含有することにより、後述するような化学的
な表面処理(ケイフッ酸処理等)によって、上述(第1
〜第3の発明)の所望な表面粗さを容易に得ることがで
きる。
【0042】また、第5の発明によれば、上述のガラス
基板は、少なくともアルカリ金属酸化物とアルカリ土類
酸化物を含有し、前記アルカリ土類酸化物の含有量が3
molパーセント未満とすることにより、後述するよう
な化学的な表面処理(ケイフッ酸処理等)によって、上
述(第1〜第3の発明)の所望な表面粗さを用意に得る
ことができる。また、第6の発明によれば、グライド高
さが1.2μインチ以下で記録再生される磁気ディスク
に使用することで、高記録密度化と、高いCSS耐久特
性においてその効果が最大限に発揮される。
【0043】また、第7の発明によれば、上述のガラス
基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することで、
高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気
ディスクが得られる。
【0044】また、第8の発明によれば、AFMで測定
したときの主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0n
mのガラス基材を用意し、前記ガラス基材の少なくとも
主表面の表面粗さがRa=0.2〜2.5nm、Rma
x=3〜25nm、Rmax/Ra=3〜35となるよ
うに化学的表面処理することにより、高いCSS耐久特
性を満足する磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造
することができる。
【0045】さらに、第9の発明によれば、AFMで測
定した時の主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0n
mのガラス基材を用意し、該ガラス基材の少なくとも主
表面をケイフッ酸で表面処理することにより、高いCS
S耐久特性を満足する磁気ディスク用ガラス基板を安定
して製造することができる。高いCSS耐久特性を満足
する磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造するに
は、表面処理する前のガラス基板の表面粗さを所定の粗
さ(Ra=0.1〜1.0nm)にしておき、且つ、表
面処理する薬剤をケイフッ酸に選定することが必要であ
る。
【0046】本発明者らは、高精度の表面粗さの制御を
必要とする本発明の磁気ディスク用ガラス基板を安定し
て製造するためには、表面処理する前のガラス基板の表
面粗さが、最終的に得られる基板表面の凸部の高さ分布
(ばらつき)に多大な影響を及ぼすことを解明した。鋭
意究明した結果、表面処理する前のガラス基板の表面
は、鏡面状態にあることが好ましく、具体的には、Ra
=0.1〜1.0nmにしなければならないことがわか
った。望ましくは、Ra=0.1〜1.0nm、Rma
x=1〜20nmにすれば良いことがわかった。
【0047】また、本発明のガラス基板を表面処理する
際に使用するケイフッ酸は、従来エッチング液として使
用していたフッ酸や、フッ化カリウムを含むフッ酸水溶
液に比べ、エッチング力が弱い(エッチング速度が遅
い)ので、高精度の表面粗さの制御が可能となる。ケイ
フッ酸としては、代表的なものとしてはケイフッ化水素
酸(H2 SiF6 )などが使用される。ケイフッ酸処理
液には、エッチング(洗浄)効果等を高めるために微量
であれば、他の酸(フッ酸、硫酸、塩酸、硝酸など)、
市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄
剤など)等を添加してもよい。
【0048】なお、ケイフッ酸の処理条件は、主にケイ
フッ酸濃度、ケイフッ酸への浸漬時間、ケイフッ酸の温
度によって決定される。なお、ケイフッ酸は、水にケイ
フッ化水素酸を溶かしたもので、ケイフッ酸濃度は、水
にケイフッ化水素酸を溶かした場合の濃度をさす。ケイ
フッ酸濃度と温度は、エッチング速度に関係し(具体的
な範囲については後述する。)、ケイフッ酸への浸漬時
間は、得られる粗さと工程のタクト時間に関係がある。
これらのケイフッ酸の処理条件は、主に表面粗さRma
xと相関があり、ケイフッ酸濃度が高濃度、ケイフッ酸
への浸漬時間が長時間、ケイフッ酸温度が高温になるに
従って、表面粗さRmaxが大きくなる。上記ケイフッ
酸の処理条件は、形成する表面凹凸の粗さによって適宜
調整されるが、ケイフッ酸への浸漬時間は、50〜60
0sec、ケイフッ酸の温度は、15℃〜60℃である
ことが表面粗さの制御性から好ましい。
【0049】また、第10の発明によれば、前記ガラス
基材は、前記表面処理する前のガラス基材を少なくとも
主表面を0.3〜3.0μmの粒径の遊離砥粒を含む研
磨剤によって研磨したものとする。粒径は、主に表面粗
さRaと相関があり、砥粒の平均粒径を大きくすると、
ケイフッ酸処理後のガラス基板の表面粗さRaが大きく
なる(但し、このとき、表面粗さRmaxはほとんど変
化しない。)。粒径を0.3〜3.0μmとするとによ
り、好ましい凸部の密度と、磁気ディスクと接触する凸
部の先端形状が得られるので更に高いCSS耐久特性が
得られる磁気ディスク用ガラス基板を提供できる。
【0050】遊離砥粒の粒径が0.3μm未満の場合、
研磨剤の凝集が起こりやすく、また洗浄工程後の残留が
多くなるので好ましくなく、3.0μmを超えた場合、
エッチング後の粗さが大きくなりすぎるために好ましく
ない。
【0051】また、遊離砥粒としては、酸化セリウム
(CeO2 )、アルミナ(Al2 O3)、コロイダルシ
リカ(SiO2 )、べんがら(Fe2 O3 )、酸化クロ
ム(Cr2 O3 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸
化チタン(TiO2 )などが挙げられる。
【0052】さらに、第11の発明は、前記化学的表面
処理又はケイフッ酸による表面処理は、前記ガラス基材
の研磨工程における遊離砥粒の軌跡の箇所に発生した残
留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分を凸部に
なるように処理するものである。
【0053】本発明者らは、遊離砥粒を含む研磨剤によ
って研磨した後にケイフッ酸で表面処理すると、遊離砥
粒が通った軌跡が凸部として形成される傾向のあること
を発見した。そのメカニズムは明らかでないが、遊離砥
粒によって研磨工程の荷重がガラス基板表面に加わるこ
とにより、組織学的に見ればガラスのSi−Oのネット
ワークに構造的な変化が起こり、その構造的な変化によ
って残留応力分布にむらが発生し、残留歪みが比較的高
い箇所において、ケイフッ酸によるエッチング速度が遅
くなるためであると考えられる。
【0054】第9ないし第11の発明は、上記発見にか
かる現象を積極的に利用したものであり、これによって
はじめて所望の表面粗さ状態を得ることを可能にしたも
のである。
【0055】前記ケイフッ酸の濃度が0.15〜3.0
重量%であることが好ましい(第12の発明)、また、
前記ケイフッ酸の導電率が2〜30ms/cmであるこ
とが好ましい。ケイフッ酸の濃度が0.15重量%未満
の場合、ガラス基板に対するエッチング効果や洗浄効果
が低下し、所望な表面粗さを形成することができなくな
り、濃度が3.0重量%を超えると、エッチング速度が
早くなるので、高精度の表面粗さを制御することが困難
となり、品質が安定した磁気記録媒体用ガラス基板が得
られないので好ましくない。
【0056】また、第1〜第3の発明のような突起が形
成されていれば、本発明に使用するガラス基板の種類、
サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラス基板の材質
としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダ
ライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノボ
ロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラ
スなどが挙げられる。中でも、ケイフッ酸はアルミノシ
リケートガラスに対して特に化学エッチングの制御性が
良好で、高精度の表面粗さの制御を可能にする。
【0057】さらに、本発明の製造方法に使用するガラ
ス基板(第11の発明のようなメカニズムによって凸部
を形成するためのガラス基板)としては、少なくともア
ルカリ金属酸化物を含有し、かつ、アルカリ土類酸化物
(RO:MgO,CaOなど)の含有量の合計が3mo
l%未満の材料からなることが好ましく(第13の発
明)、その組成比は、SiO2 :58〜75重量%、A
l2 O3 :5〜23重量%、Li2 O:3〜10重量
%、Na2 O:4〜13重量%を主成分として含む材料
からなることが好ましい(第14の発明)。
【0058】また、第11の発明のようなメカニズムに
よって凸部の形成をより顕著にするには、CaOやMg
Oといったアルカリ土類(金属)酸化物を含まないガラ
スであることが望ましい。特に、第15の発明のよう
に、前記ガラス基板の組成を、SiO2 :62〜75重
量%、Al2 O3 :5〜15重量%、Li2 O:4〜1
0重量%、Na2 O:4〜12重量%、ZrO2 :5.
5〜15重量%を主成分として含有するとともに、Na
2 O/ZrO2 の重量比が0.5〜2.0、Al2 O3
/ZrO2 の重量比が0.4〜2.5であるアルミノシ
リケートガラスであることが好ましい。このようなアル
ミノシリケートガラスは、化学強化することによって、
抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬
度にも優れるとともに、ケイフッ酸による表面処理にお
けるエッチングの制御性おいても大変優れているので好
ましい。なお、上述のアルミノシリケートガラスの代表
的なものとしては、HOYA株式会社製のN5が挙げら
れる。
【0059】また、前記ケイフッ酸による表面処理を少
なくとも2段階に分けて行うことや、それぞれの段階で
異なるケイフッ酸濃度を使用することにより、基板表面
の微細な表面粗さを制御することもできる。
【0060】前記化学的表面処理又は、前記ケイフッ酸
による表面処理の後に、化学強化処理することが好まし
い(第16の発明)。ここで、化学強化方法としては、
従来より公知の化学強化法であれば特に制限されない
が、例えば、ガラス転移点の観点から転移点温度を超え
ない領域でイオン交換を行う低温型イオン交換法などが
好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、
硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、或いはそれらを混合し
た硝酸塩などが挙げられる。
【0061】ガラス基板表面を化学強化処理した直後
に、上述のケイフッ酸による表面処理を行った場合、化
学強化処理することによって、ガラス基板表面に遊離砥
粒によって形成された残留歪みが化学強化の応力に埋も
れてしまうので、表面粗さを制御できなくなるので好ま
しくない。但し、化学強化処理→遊離砥粒による研磨処
理→ケイフッ酸による表面処理のように、化学強化処理
工程とケイフッ酸による表面処理工程との間(ケイフッ
酸による表面処理の前)に上述の遊離砥粒による研磨処
理工程を入れることによって、上述と同様の効果が得ら
れる。
【0062】第17の発明によれば、上述の磁気ディス
ク等の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造され
たガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形成す
ることで、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満
足する磁気ディスク等の磁気記録媒体が得られる。
【0063】第18の発明によれば、原子間力顕微鏡
(AFM)により測定した凹凸の高さを示すRa、Rm
ax、凹凸の高さ分布を示すRmax/Raが特定の範
囲になるようにガラス基板の主表面の表面粗さ管理する
ことによって、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性
を満足する磁気ディスク等に使用する磁気記録媒体用ガ
ラス基板が得られる。また、以下の(a)、(b)の構
成のように、最大突起高さ相当の高さを有する突起の割
合(分布)を示すベアリングレシオが特定の値を有する
等高面のベアリング高さ(B.H.)とRmaxとの比
(B.H./Rmax)、又は、Ra、Rmax、Rm
ax/Ra、B.H./Rmaxが特定の範囲になるよ
うにガラス基板の主表面の表面粗さ管理をすることによ
っても、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足
する磁気ディスク等に使用する磁気記録媒体用ガラス基
板が得られる。 (a)磁気ヘッドの種類毎に、磁気ヘッドの浮上特性を
良好にする磁気記録媒体用ガラス基板の表面状態を、原
子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合のベアリング高
さ(B.H.)とRmaxとの比(B.H./Rma
x)の値の範囲で特定し、磁気記録媒体用ガラス基板の
表面を種々の表面処理条件で表面処理し、処理後の表面
状態を原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した場合
に得られるB.H./Rmaxの値が上記特定の範囲の
値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた表面処
理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表面
処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の
製造方法。(但し、ベアリング高さ(B.H.)は、請
求項2において定義した内容とする。) (b)磁気ヘッドの種類毎に、磁気ヘッドの浮上特性を
良好にする磁気記録媒体用ガラス基板の表面状態を、原
子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合のRa、Rma
x、Rmax/Ra、ベアリング高さ(B.H.)とR
maxとの比(B.H./Rmax)の値の範囲で特定
し、磁気記録媒体用ガラス基板の表面を種々の表面処理
条件で表面処理し、処理後の表面状態を原子間力顕微鏡
(AFM)で測定した場合に得られるRa、Rmax、
Rmax/Ra、B.H./Rmaxの値が上記特定の
範囲の値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた
表面処理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面
を表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス
基板の製造方法。(但し、ベアリング高さ(B.H.)
は請求項2において定義した内容とする。)
【0064】
【発明の実施の形態】(実施例1)図5は本発明の実施
例1に係る磁気ディスクの構成を示す模式的断面図であ
る。図5に示すように、本実施例の磁気ディスクは、ガ
ラス基板1の上に、順次、シード層2、下地層3、磁性
層4、保護層5及び潤滑層6を形成したものである。
【0065】ガラス基板1は、SiO2 :63.5重量
%、Al2 O3 :14.2重量%、Na2 O:10.4
重量%、Li2 O:5.4重量%、ZrO2 :6.0重
量%、Sb2 O3 :0.4重量%、As2 O3 :0.1
重量%の組成を有するアルミノシリケートガラスで、外
径65mmφ、中心部の穴径20mmφ、厚さ0.63
5mmのディスク状に加工したものである。その両主表
面、端面及び面取り部は精密研磨され、ケイフッ酸によ
る表面処理することで、両主表面の表面粗さはRa=
1.3nm、Rmax=14.1nm、Rmax/Ra
=10.8、B.H.(2.5) =6.02nm、B.H.
(5.0) =4.33nm、B.H.(2.5) /Rmax=
0.43、B.H.(5.0) /Rmax=0.31であっ
た。
【0066】シード層2は、膜厚40nmであるNiA
l(Ni:50at%、Al:50at%)膜である。
このシード層2は、結晶粒径が小さく、且つ均一性に優
れているので、その上に形成される下地層3、磁性層4
の結晶粒径が微細になりノイズの低減の役割を果たす。
シード層としては、上述したNiAlの他に、NiAl
に他の元素を添加したNiAlRu、NiAlNd、N
iAlW、NiAlTa、NiAlHf、NiAlM
o、NiAlCr、NiAlZr、NiAlNbなどが
挙げられる。
【0067】下地層3は、膜厚25nmのCrMo(C
r:94at%、Mo:6at%)膜である。この下地
層3は、その上に形成される磁性層4の結晶格子間隔の
差をなるべく小さくすることが好ましく、保磁力向上の
役割を果たす。下地層としては、上述したCrMoの他
に、Cr、CrV等が挙げられる。好ましくは、シード
層2の格子間隔とマッチングするようにした方が、結晶
成長が良好になり電磁変換特性も良好になるので好まし
い。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層
を積層した複数構造とすることもできる。例えば、Cr
/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV等の多層下
地層などが挙げられる。
【0068】磁性層4は、膜厚27nmのCoPtCr
Ta(Co:75at%、Cr:17at%、Pt:5
at%、Ta:3at%)膜である。なお、本発明の磁
気ディスクにおける磁性層の材料には特に制限されな
い。磁性層としては、具体的には、Coを主成分とする
CoPt、CoCr、CoNiCr、CoCrTa、C
oPtCr、CoNiPtやCoNiCrPt、CoN
iCrTa、CoCrTaPtNbなどの磁性薄膜が挙
げられる。
【0069】また、磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例え
ば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの
低減を図った多層構成(例えば、CoCrPtTa/C
rMo/CoCrPtTaなど)としても良い。また、
磁性層としては、上述したCo系の他、フェライト系、
鉄―希土類系や、SiO2 ,BNなどからなる非磁性膜
中にFe,Co,FeCo,CoNiPt等の磁性粒子
が分散された構造のグラニュラーなどであっても良い。
また、磁性層は、面内型、垂直型のいずれの記録形式で
あっても良い。
【0070】保護層5は、膜厚10nmの水素化カーボ
ン(H:30at%)膜である。保護層は、磁性層の耐
食性、耐摩耗性の役割を果たす。保護層としては、上述
した水素化カーボンの他に、カーボン、窒素化カーボ
ン、水素窒素化カーボン、フッ素化カーボン、Cr、S
iO2 などが挙げられる。
【0071】潤滑層6は、膜厚1nmのパーフルオロポ
リエーテルからなる液体潤滑膜である。潤滑層は、耐摩
耗性の役割を果たす。潤滑層としては、上述したパーフ
ルオロポリエーテルの他に、フルオロカーボン系の液体
潤滑剤や、スルホン酸のアルカリ金属塩からなる潤滑剤
を用いることができる。尚、保護層5が固体潤滑剤とし
ての機能を有するものであれば、潤滑層6は省略するこ
ともできる。
【0072】次に、上述の実施例の磁気ディスクの製造
方法及び、磁気ディスクに使用するガラス基板の製造方
法について説明する。 磁気ディスク用ガラス基板の製造工程 (1) 荒ずり工程 まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研
削砥石で直径66mmφ、厚さ3mmの円盤状に切り出
したアルミノシリケートガラスから成るガラス基板を、
比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径66
mmφ、厚さ1.5mmに成形した。
【0073】この場合、ダウンドロー法の代わりに、フ
ロート法で形成したシートガラスから、上述と同様に円
盤状に切り出して加工したものや、溶融ガラスを上型、
下型、胴型を用いてダイレクトプレスして、円盤状のガ
ラス体を得ても良い。
【0074】なお、アルミノシリケートガラスとして
は、SiO2 :63.5重量%、Al2 O3 :14.2
重量%、Na2 O:10.4重量%、Li2 O:5.4
重量%、ZrO2 :6.0重量%、Sb2 O 3:0.4
重量%、As2 O3 :0.1重量%の化学強化用ガラス
を使用した。
【0075】次に、上記砥石よりも粒度の細かいダイヤ
モンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加工
した。このときの荷重は100kg程度とした。これに
より、ガラス基板両主表面の表面粗さをRmaxで10
μm程度に仕上げた。
【0076】次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の
中央部分に穴を開けるとともに、外周端面も研削して直
径65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面
取り加工を施した。このときのガラス基板の端面(側面
及び面取り部)の表面粗さはRmaxで4μm程度であ
った。
【0077】(2)端面鏡面加工工程 次に、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながら
ガラス基板の端面部分(角張った部位、側面及び面取り
部)の表面粗さをRmaxで1μm、Raで0.3μm
程度に研磨した。この端面鏡面加工工程は、ガラス基板
の搬送時や、洗浄工程時等に発生するガラス基板端面か
らの発塵によりガラス基板主表面に付着することによる
膜下欠陥を防止するために有効である。上記端面鏡面加
工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
【0078】(3)砂掛け(ラッピング工程) 次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工
程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。
砂掛け工程は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒粒度
を#400、#1000と替えて2回行った。詳しく
は、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重
Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを
回転させることによって、キャリア内に収納したガラス
基板の両主表面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rma
x)6μm程度にラッピングした。
【0079】次に、アルミナ砥粒の粒度を#1000に
替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)を2μ
m程度とした。上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、
中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
【0080】(4)第1研磨工程 次に、第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は上述
した砂掛け工程で残留した傷や歪みの除去を目的とする
もので、研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリシャ
として硬質ポリシャ(セリウムパッドLP66:スピー
ドファム社製)を用い、以下の研磨条件で第1研磨工程
を実施した。
【0081】研磨液:酸化セリウム(粒径1.3μm)
(遊離砥粒)+水 荷重:80〜100g/cm2 研磨時間:30〜50分 除去量:35〜45μm 下定盤回転数:40rpm 上定盤回転数:35rpm 内ギア回転数:14rpm 外ギア回転数:29rpm
【0082】上記研磨工程を終えたガラス基板を、中性
洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、
洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。ま
た、この洗浄工程は、次の第2研磨工程における研磨液
が一緒の場合、省略することが可能である。また、第1
研磨工程で使用する硬質ポリシャは、特に限定されず、
目標とする表面粗さ、基板の端部形状等によって適宜選
択することが可能である。
【0083】(5)第2研磨工程(ファイナル研磨) 次に、第1研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシ
ャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(カネボウN751
9)に替えて、第2研磨工程を実施した。研磨条件は、
研磨液:酸化セリウム(粒径0.8μm)(遊離砥粒)
+水、荷重:80〜100g/cm2 、研磨時間:9〜
15分、除去量:3〜5μmとしたこと以外は、第1研
磨工程と同様とした。この第2研磨工程によって得られ
たガラス基板の主表面における表面粗さをAFM(原子
間力顕微鏡)で測定したところ、Ra=0.3nm、R
max=3.8nmであった。ここで、第2研磨工程で
使用する軟質ポリシャは特に限定されない。但し、後の
表面処理工程を経て形成される突起を凸状のように形成
するには、比較的硬度が小さいポリシャを使用すること
が好ましく、ポリシャの硬度(アスカーC)は60以
下、さらに望ましくは55以下が望ましい。
【0084】(6)表面処理工程(洗浄工程) 上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、ケイフッ酸
(濃度:0.35%、温度:45℃、浸漬時間:150
sec)、ケイフッ酸(濃度:0.28%、温度:45
℃、浸漬時間:200sec)の各処理(洗浄)槽に順
次浸漬して、表面処理(洗浄)した。なお、各処理(洗
浄)槽に超音波を印加した。
【0085】上記表面処理工程を終えたガラス基板を、
中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、
洗浄した。なお、IPA(蒸気乾燥)の工程で使用する
IPAベーパ槽以外の各洗浄槽には超音波を印加した。
【0086】(7)化学強化工程 次に、上記研削、研磨、表面処理(洗浄)、洗浄工程を
終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化には、
硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を
混合した化学強化塩を用意し、この化学強化塩を400
℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基
板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス
基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数
のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納
した状態で行った。
【0087】このように、化学強化塩に浸漬処理するこ
とによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリ
ウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリ
ウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化され
る。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さ
は、約100〜200μmであった。上記化学強化を終
えたガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約
10分間維持した。
【0088】(8)洗浄工程 上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫
酸に浸漬し、超音波をかけながら洗浄をおこなった。こ
のようにして得たガラス基板の表面を検査したことろ、
異物は発見されなかった。
【0089】上記洗浄工程を終えたガラス基板の主表面
の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=1.3n
m、Rmax=14.1、B.H.(2.5) =6.02n
m、B.H.(5.0) =4.33nmで、Rmax/Ra
=10.8、B.H.(2.5)/Rmax=0.43、
B.H.(5.0) /Rmax=0.31であった。
【0090】また、ファイナル研磨後のガラス基板主表
面の表面状態と、上記洗浄工程後のガラス基板主表面の
表面状態をAFMによって観察したところ、ファイナル
研磨工程における遊離砥粒の軌跡の箇所に凸部が形成さ
れていることが確認された。特に遊離砥粒によってガラ
ス主表面に形成された残留応力分布のうち相対的に残留
歪みが高い部分を凸部として形成していると思われる。
【0091】磁気ディスクの製造工程 上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板
に対し、ガラス基板の加熱処理、シード層の成膜、下地
層の成膜、磁性層の成膜、保護層の成膜の各工程を、イ
ンライン型スパッタリング装置を用いて連続的に行っ
た。
【0092】このインライン型スパッタリング装置は、
図示しないが、搬送方向に向って、基板加熱ヒーターが
設置された第1のチャンバー、NiAlターゲット(N
i:50at%、Al:50at%)、CrMoターゲ
ット(Cr:94at%、Mo:6at%)及びCoC
rPtTaターゲット(Co:75at%、Cr:17
at%、Pt:5at%、Ta:3at%)が順次設置
された第2のチャンバー、並びにカーボンターゲットが
設置された第3のチャンバーがそれぞれ設けられたもの
である。
【0093】そして、ガラス基板をロードロック室を介
して第1のチャンバー内に導入すると、このガラス基板
は所定の搬送装置によって上記各チャンバー内を次々と
所定の一定速度で搬送され、その間に以下の条件等で成
膜や処理がなされる。即ち、第1のチャンバー内では、
ガラス基板を350℃で2分間加熱する処理がなされ
る。第2のチャンバー内では、シード層2たる膜厚40
nmのNiAl膜、下地層3たる膜厚25nmのCrM
o膜、磁性層4たる膜厚27nmのCoCrPtTa膜
が成膜される。第3のチャンバー内では、保護層5たる
膜厚10nmの水素化カーボン膜が順次成膜される。
【0094】なお、上記の第2、第3チャンバー内のス
パッタリング条件は、スパッタ圧力が第2のチャンバー
内では2mTorr、第3のチャンバー内では3mTo
rrであり、第2のチャンバーのスパッタ雰囲気はアル
ゴンの不活性ガスとし、第3のチャンバーのスパッタ雰
囲気は、アルゴンの不活性ガスに8%の水素が混合され
た混合ガスが使用される。また、各スパッタ電力は、第
2のチャンバー内では2kW、第3のチャンバー内では
3kWとした。
【0095】次に、保護層の形成までの工程を終えた基
板を、上記インライン型スパッタリング装置から取り出
し、その保護層の表面に、浸漬法によってパーフルオロ
ポリエーテル液体潤滑剤を塗布し、膜厚1nmの潤滑層
を形成して実施例1に係る磁気ディスクを得た。
【0096】この得られた磁気ディスクの電磁変換特性
及びCSS耐久特性の評価結果を図6の表2に示す。な
お、この得られた磁気ディスクの磁気特性と記録再生特
性を測定したところ、保磁力が2300Oe、S/N比
が20dBという良好な結果が得られた。尚、保磁力の
測定は、製造した磁気ディスクから8mmφの試料を切
り出して膜面方向に磁場を印加し、振動試料型磁力計に
より最大外部印加磁場10kOeで測定した。
【0097】また、記録再生特性(S/N比)の測定は
次のようにして行った。即ち、得られた磁気ディスクを
用いて、磁気ヘッド浮上量が0.055μmのMR(磁
気抵抗効果型)ヘッドを用い、MRヘッドと磁気ディス
クの相対速度を9.6m/sで線記録密度163kfc
l(1インチあたり163,000ビットの線記録密
度)における記録再生出力を測定した。また、キャリア
周波数23MHzで、測定帯域を26MHzとしてスペ
クトルアナライザーにより、信号記録再生時の媒体ノイ
ズを測定し、S/N比を算出した。本測定に用いたMR
ヘッドは、書き込み/読み取り側にそれぞれトラック幅
3.1/2.4μm、磁気ヘッドギャップ長0.35/
0.28μmである。
【0098】また、常温常湿雰囲気下で、磁気ディスク
の回転速度4000rpm、荷重3gの30%ヘッドス
ライダーを用いた10万回のCSS耐久試験において
も、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間で吸着現象は起こ
らず、またヘッドクラッシュも発生することなく、高い
CSS耐久特性を有する磁気ディスクが得られた。
【0099】また、磁気ディスクと磁気ヘッドの静止摩
擦係数を歪みゲージによって測定したところ、0.6で
あった。次にAEセンサーを用いたグライド高さテスト
を行なったところ、ヘッド浮上量1.0μインチまでは
ヘッド−媒体間に接触が発生しない事が確認できた。即
ちこのディスクのグライド高さは1.0μインチであっ
た。上記の結果から、1.2μインチ以下のグライド高
さで記録再生され、高い電磁変換特性、高いCSS耐久
特性を満足する磁気ディスクが得られた。
【0100】(比較例1)次に、研磨条件及びケイフッ
酸による表面処理時間を変化させて、ガラス基板を作製
し、タリステップでガラス基板の表面粗さを評価した他
は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、その
ときの静止摩擦係数、グライド高さ(μインチ)、CS
S耐久特性を図6の表2に比較例1として示した。な
お、このときに測定したタリステップの評価条件は、走
査距離250μm、針圧7mgとした。
【0101】比較例1のように、磁気ディスク用ガラス
基板の表面をタリステップで評価した場合(本発明で規
定した表面粗さの範囲には入っているにもかかわら
ず)、グライド高さが2μインチ以上となりばらつきも
大きい結果となった。これは、タリステップのような触
針式測定法では針の曲率半径が大きいために、細かな凹
凸を捕らえることができないので、1.2μインチ以下
といったグライド高さを満足できるような磁気ディスク
の表面状態を制御することは困難であることを示してい
る。
【0102】従って、1.2μインチ以下といったグラ
イド高さを満足できる磁気ディスク表面状態を制御する
ためには、より細かな表面状態を観察できる原子間力顕
微鏡(AFM)により表面粗さを評価しなけらばならな
いことがわかった。以下に示すガラス基板の表面粗さ
は、AFMにより測定することとする。
【0103】(実施例2〜17、比較例2〜9)次に、
研磨条件(遊離砥粒の粒径)、ケイフッ酸による表面処
理時間を変化させて、ガラス基板の表面粗さを変化させ
た他は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、
これらを実施例2〜17、比較例2〜9として、それぞ
れの場合について、ガラス基板主表面の表面粗さRma
x(nm)、Ra(nm)、Rmax/Ra、B.H.
(2.5) /Rmax、B.H.(5.0) /Rmax、静止摩
擦係数、グライド高さ(μインチ)、CSS耐久特性を
図6の表2にまとめて示した。
【0104】なお、実施例2〜17、比較例2〜9にお
ける磁気ディスクの保磁力、S/N比を測定したが、2
200Oe以上、18dB以上という良好な値を示して
いた。比較例4では、ガラス基板の主表面の表面粗さR
maxが5.0nm未満となったことにより、鏡面状態
になったために磁気ヘッドが磁気ディスクに吸着してし
まった。比較例2では、ガラス基板の主表面の表面粗さ
Rmaxが25.0nmを超えたことにより、グライド
高さが1.2μミクロンを越えた。
【0105】比較例6では、ガラス基板の主表面の表面
粗さRaが0.2nm未満となったことにより、摩擦係
数が3以上になったためにヘッドクラッシュを生じた。
比較例3では、ガラス基板の主表面の表面粗さRaが
2.5nmを超えたことにより、グライド高さが1.2
μインチを越えた。比較例5では、Rmax/Raが5
未満となったことにより、摩擦係数が3以上になったた
めにヘッドクラッシュを生じた。また、B.H.(2.5)
/RmaxおよびB.H.(5.0) /Rmaxがそれぞれ
0.5および0.45より大きな値となっている。
【0106】比較例7では、Rmax/Raが35を超
えたことにより、CSS耐久性が低くなりヘッドクラッ
シュを生じた。また、B.H.(2.5) /Rmaxおよび
B.H.(5.0) /Rmaxが0.1より小さな値となっ
ている。比較例8では、遊離砥粒の粒径を0.3μm未
満としたことにより、表面粗さが小さくなったためにC
SS耐久性が悪くなった。比較例9では、遊離砥粒の粒
径が3.0μmを超えたことにより、表面粗さが大きく
なったためにグライド高さが1.2μインチを越えた。
【0107】以上の結果から、1.2μインチ以下の浮
上高さで記録再生され、高い電磁変換特性、高いCSS
耐久特性を満足する磁気ディスクを得るためには、磁気
ディスク用ガラス基板の表面粗さを本発明で規定する範
囲にすること、また、製造する際にはケイフッ酸による
表面処理前のファイナル研磨における遊離砥粒の粒径を
所定の範囲にしなけれなならないことがわかった。
【0108】ケイフッ酸濃度の最適化 (実施例1、実施例18〜21、比較例10〜12)次
に、ファイナル研磨後のケイフッ酸による表面処理にお
けるケイフッ酸濃度を変化させた他は、実施例1と同様
にして磁気ディスクを作製し、これらを実施例1、実施
例24〜27、比較例18〜20として、それぞれの場
合について、ガラス基板主表面の表面粗さRmax(n
m)、Ra(nm)、Rmax/Ra、静止摩擦係数、
グライド歩留まりを図7の表3にまとめて示した。な
お、ここで、グライド歩留まりは、各条件で作製した磁
気ディスクをそれぞれ100枚用意し、グライドヘッド
1.2μインチ浮上高さで検査したときヒットした磁気
ディスクを不良とした。また、実施例18〜21、比較
例10〜12における磁気ディスクの保磁力、S/N比
を測定したが、2200Oe以上、18dB以上という
良好な値を示していた。
【0109】比較例11では、ケイフッ酸濃度が3.0
重量%を超えたためにエッチングの制御性が悪く表面粗
さのバラツキが大きくなったことにより、再現性の良い
作製ができなかった。比較例10では、ケイフッ酸濃度
を0.15重量%未満となったために十分なエッチング
効果が得られなかったことにより、ガラス基板主表面の
表面粗さが鏡面になり磁気ヘッドが吸着してしまった。
比較例12では、第1処理のケイフッ酸濃度を0.15
重量%未満としたが、第2処理の濃度を高くする事によ
り適度な粗さが得られたが、バラツキが大きく歩留まり
が低かった。
【0110】以上の結果から、ケイフッ酸濃度を所定の
範囲(0.15〜3.0重量%)にすることにより、高
精度の表面粗さを制御することが可能となり、安定した
磁気ディスクを供給でき、1.2μインチ以下のグライ
ド高さを有し、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性
を満足する磁気ディスクが得られた。
【0111】ファイナル研磨後のガラス基板の表面粗さ
の最適化 (実施例1、実施例22〜27、比較例13〜15)次
に、研磨条件を変化させてファイナル研磨後のガラス基
板の表面粗さを変化させたほかは、実施例1と同様にし
て磁気ディスクを作製し、これらを実施例1、実施例2
2〜27、比較例13〜15として、それぞれの場合に
ついて、ガラス基板主表面の表面粗さRmax(n
m)、Ra(nm)、Rmax/Ra、静止摩擦係数、
グライド高さ(μインチ)、CSS耐久特性を図8の表
4にまとめて示した。なお、実施例1、実施例22〜2
7、比較例13〜15における磁気ディスクの保磁力、
S/N比を測定したが、2000Oe以上、18dB以
上という良好な値を示していた。
【0112】比較例13では、ファイナル研磨後のガラ
ス基板主表面の表面粗さがRmaxで1.0nm未満、
Raで0.1nm未満となったことにより、ケイフッ酸
処理後も粗さが小さく摩擦係数が3を越えた。比較例1
4では、ファイナル研磨後のガラス基板主表面の表面粗
さがRaで1.0nmを超えたために、ケイフッ酸処理
後のRaが2.5nm以上になったのでCSS耐久性が
低くなりヘッドクラッシュを生じた。比較例15では、
Rmax及びRaが大きいため、グライドハイトが1.
2μインチ以上となった。
【0113】以上の結果から、ファイナル研磨後のガラ
ス基板の表面粗さを所定の粗さにすることにより、最終
的に得られるガラス基板表面の凸部のばらつきを抑える
ことができ、1.2μインチ以下のグライド高さを有
し、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する
磁気ディスクが得られた。
【0114】ガラス基板の硝種 (実施例28、比較例16〜17)次に、ガラス基板を
アルミノシリケートガラス(実施例28)、石英ガラス
(比較例16)、ソーダライムガラス(比較例17)に
かえ、これらのガラス基板表面を所定の表面粗さにする
ために研磨条件、ケイフッ酸による表面処理条件を適宜
変化させたほかは、実施例1と同様にして磁気ディスク
を作製した。なお、上述の実施例28に使用したアルミ
ノシリケートガラスの組成は、SiO2 :64.0重量
%、Al2 O3 :16.0重量%、Na2 O:9.0重
量%、Li2O:7.0重量%、ZrO2 :4.0重量
%、上述の比較例17に使用したソーダライムガラスの
組成は、SiO2 :72.5重量%、Na2 O:15.
0重量%、Al2 O3 :1.0重量%、CaO:9.0
重量%、MgO:2.5重量%のガラスを使用した。
【0115】その結果、実施例28では、表面粗さがR
a=1.2nm、Rmax=11.0nmとなり、摩擦
係数が1.9でCSS耐久性も良好であったが、比較例
16と17の表面粗さは、前記実施例1〜28とは大き
く異なる形状となり、静止摩擦係数も3以上となりCS
S耐久特性においても良好な結果が得られなかった。こ
のように、ガラスの硝種によって突起のでき方が違う理
由について、上記実施例と、比較例16、17との結果
から考察すると、ガラス基板表面を遊離砥粒による研磨
工程では、水に含まれるH+と、ガラスに含まれるアル
カリイオン(Na+ 、Li+ )の交換反応が起きている
と考えられるが、その交換反応によってガラスのネット
ワークを形成しているSiやAlにOHがついたような
エッチングされやすい水和層が形成される。その水和層
に、遊離砥粒によって加わる応力の違いによって応力分
布(応力の大きい部分はエッチング速度が小さくなり、
応力の小さい部分はエッチング速度が大きい)が形成さ
れ、エッチング速度の違いによって凹凸が形成されると
考えられる。この水和層の形成されやすさが凹凸(突
起)の形成に関係し、これはガラスの硝種の違いによる
ものと考えられる。上述の比較例16では、ガラスにア
ルカリ金属酸化物が含まれていないため、水和層が形成
されず、凹凸が形成されなかったといえる。比較例17
でガラスに凹凸が形成されなかった理由について考察し
た結果、比較例17のガラスに含まれているアルカリ土
類酸化物(CaO,MgO)が凹凸の形成に何か関わっ
ていると考え、アルカリ土類酸化物の効果について検討
を行った。図9の表5に示すガラスはアルカリ土類酸化
物の含有量が異なる7種のガラス素材である。このガラ
ス素材を、実施例1と同じ方法によりケイフッ酸処理を
行ってガラス基板を作製した。尚、ケイフッ酸処理前の
ガラス基板表面、およびケイフッ酸処理後のガラス基板
表面は、原子間力顕微鏡(AFM)で観察を行った。そ
の結果、TiO2を含まないガラス基板(ガラスA〜
D)の場合、アルカリ土類酸化物(MgO、CaO)の
含有量が2mol%以上(1.6wt%以上)含むガラ
ス基板(ガラスC,D)は、上記の実施例に示したよう
な表面の荒れは顕著ではなくなり、凸部は形成しずらい
ことが確認された。一方、TiO2を含むガラス基板
(E〜G)の場合は、アルカリ土類酸化物(MgO、C
aO)の含有量の合計が3mol%以上(2.4重量%
以上)含むガラス(ガラスG)は、上記の実施例に示し
たような表面の荒れは顕著でなくなり、凸部は形成しず
らいことが確認された。以上の結果から、本発明の製造
方法によって凸部を形成するためのガラス組成は遊離砥
粒による研摩工程の際、ガラス基板表面に水和層を形成
するために、少なくともアルカリ金属酸化物を含有する
ものであって、且つ,上述の水和層を形成するためのア
ルカリイオンの交換反応を阻害してしまう。アルカリ土
類酸化物の含有量が3mol%未満(2.4重量%未
満)であることが望ましいことがわかった。より好まし
くは、前記アルカリ土類酸化物の含有量の合計が2mo
l%未満(1.6wt%未満)が望ましい。
【0116】又,ケイフッ酸処理によるガラス基板のエ
ッチング速度が大きすぎると凹凸(特に凸部の形状)を
制御することが困難となるので、好ましいエッチング速
度を得るためには、ガラス基板に含まれるSiO2の含
有量(TiO2を含むガラスの場合は、SiO2+Ti
O2の合計量)が65mol%以上とすることが望まし
い。したがって、本発明の製造方法に使用するガラスと
しては、上記の条件を満たすものであれば良く、さら
に、ガラス基板の機械的強度を向上させるために、化学
強化を可能にする点などを考慮すると、その組成比は、
SiO2 :58〜75重量%、Al2 O3 :5〜23重
量%、Li2 O:3〜10重量%、Na2 O:4〜13
重量%を主成分として含む材料からなるものであればよ
く、さらには、望ましくはアルカリ土類金属(酸化物)
を含まないガラスであることが望ましいことがわかっ
た。特に、上述したような研磨条件、ケイフッ酸による
表面処理条件においては、請求項13に規定されるよう
なアルミノシリケートガラスであることが好ましい。し
かし、請求項12〜13に規定されるガラス以外のガラ
ス基板であっても、研磨条件、表面処理条件を選択する
ことによって、請求項1〜3に規定するような表面粗さ
の条件にすることによって、グライド高さが1.2μイ
ンチ以下で、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を
満足する磁気ディスクが得られる。また、請求項1〜3
に規定するような表面粗さを有しない非常に平滑なガラ
ス基板であっても、ガラス基板の主表面上に微小突起を
形成し、請求項1〜3の表面粗さにすれば、本発明と同
様の効果が得られる。
【0117】上述では、所望のグライド高さ、摩擦係
数、CSS耐久性を得るための磁気記録媒体用ガラス基
板の表面粗さ範囲を中心に説明したが、以下では研磨条
件(研磨砥粒)、表面処理条件(ケイフッ酸濃度、ケイ
フッ酸への浸漬時間、ケイフッ酸処理温度)が、磁気記
録媒体用ガラス基板の表面粗さにどのように影響がある
かを調べ、ここの表面粗さパラメータの制御の方法を説
明する。図10、図11は、砥粒の粒径を変えた場合の
ケイフッ酸への浸漬時間とRmaxとの関係、ケイフッ
酸への浸漬時間とRaとの関係を示すグラフである。
尚、このときのケイフッ酸濃度及び温度は一定で、それ
ぞれ0.28重量%、45℃とする。図10に示すよう
に、Rmaxは砥粒の粒径にはよらず、ケイフッ酸への
浸漬時間とRmaxと相関があり、ケイフッ酸への浸漬
時間を調整することによってRmaxを制御することが
できることを示している。また、図11に示すように、
ケイフッ酸への浸漬時間によって(浸漬時間が例えば1
80sec)砥粒の粒径とRaと相関があり、砥粒の粒
径を調整することによってRaを制御することができる
ことを示している。また、ケイフッ酸濃度とケイフッ酸
処理温度は、エッチング速度と関係があり、それぞれ濃
度、温度が高くなるに従ってエッチング速度が速くな
り、表面粗さRmaxが大きくなる傾向がある。実際
に、本発明の製造方法によって磁気記録媒体用ガラス基
板を製造する場合、ケイフッ酸濃度とケイフッ温度の変
動によって、大きく表面粗さが変化するので、常に一定
のエッチング速度を保つように、ケイフッ酸濃度、ケイ
フッ酸処理温度を監視する必要がある。特にケイフッ酸
濃度は、導電率と相関があり、導電率を監視し、制御す
ることによりエッチング速度を正確に制御することがで
きる。また、上述の実施例では、主にCSS方式で使用
する磁気記録媒体について挙げたが、ロード・アンロー
ド方式で使用される代表的な磁気記録媒体用ガラス基
板、及び磁気記録媒体を作製した例を以下に示す。実施
例1における研磨砥粒の粒径、表面処理条件(ケイフッ
酸濃度、ケイフッ酸処理温度、ケイフッ酸への浸漬時
間)を適宜調整して、Rmax=4.3nm、Ra=
0.46nm、Rmax/Ra=9.3の表面粗さを有
する磁気記録媒体用ガラス基板を作製した。得られたガ
ラス基板上に、実施例1と同様にシード層、下地層、磁
性層、保護層、潤滑層を成膜して磁気記録媒体を得た。
この得られた磁気記録媒体は、保磁力、S/N比ともに
良好で、グライド特性も良好で、ヘッドクラッシュ等が
なく浮上特性も良好であった。以上、好ましい実施例を
挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施
例に限定されるものではない。例えば、上記実施例にお
けるケイフッ酸による表面処理を2段階に分けて行った
が、1回の表面処理工程でもよく、また3回以上の表面
処理工程に分けて行っても良い。
【0118】また、本発明のガラス基板は化学強化用ガ
ラスを用い、化学強化工程をケイフッ酸による表面処理
後に行ったが、化学強化処理後にケイフッ酸による表面
処理を行っても良い。その場合、ガラス基板を遊離砥粒
による研磨をし、ガラス基板表面を化学強化した直後
に、上述のケイフッ酸による表面処理を行う場合、化学
強化することによって、ガラス基板表面に遊離砥粒によ
って形成された残留歪みが化学強化の応力に埋もれてし
まうので、表面粗さを制御できなくなるので好ましくな
いが、化学強化工程→遊離砥粒による研磨処理→ケイフ
ッ酸による表面処理のように、化学強化処理工程とケイ
フッ酸による表面処理工程との間(ケイフッ酸による表
面処理の直後)に遊離砥粒による研磨処理工程を入れる
ことによって、上述と同様の結果が得られる。また、本
発明によって作製されるディスクはCSS方式に限ら
ず、ゾーンテクスチャー方式や、ロード・アンロード方
式に於いても使用する事ができる。
【0119】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、磁気記
録媒体用ガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微
鏡(AFM)で測定したときに特定の状態になるように
することにより、1.2μインチ以下のグライド高さを
有し高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性が得られる
磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板及び
磁気記録媒体を得ることを可能にし、また、主表面の表
面粗さが原子間力顕微鏡で測定ときに所定の表面粗さ状
態であるガラス基板をさらにケイフッ酸等によって化学
処理して上記特定の表面粗さ状態にすることを可能にし
ているものである。また、原子間力顕微鏡(AFM)に
より特定したRa、Rmax、Rmax/Raや、ベア
リングレシオが特定の値を有する等高面のベアリング高
さとRmaxの比が特定の範囲になるように、ガラス基
板の主表面の表面粗さを管理することによって、高い電
磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディス
ク等に使用する磁気記録媒体用ガラス基板を得ることを
可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の主
表面の原子間力顕微鏡(AFM)による測定写真を示す
図である。
【図2】図1に示される表面上における特定の直線上の
表面凹凸の測定曲線を示す図である。
【図3】図1に示した表面凹凸のベアリングカーブを示
す図である。
【図4】AFMによる測定で凸部の密度が既知の磁気デ
ィスクについてB.H./Rmaxを計算した結果をま
とめた表1を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る磁気ディスクの構成を
示す模式的断面図である。
【図6】実施例1〜17及び比較例1〜9の磁気ディス
クの電磁変換特性及びCSS耐久特性の評価結果をまと
めた表2を示す図である。
【図7】実施例1、18〜21及び比較例10〜12の
磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久性の評価結
果をまとめた表3を示す図である。
【図8】実施例1、22〜27及び比較例13〜15の
磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久性の評価結
果をまとめた表3を示す図である。
【図9】ガラス基板を構成する各種のガラスの組成をま
とめた表5を示す図である。
【図10】砥粒の粒径を変えた場合のテイフッ酸への浸
漬時間とRmaxとの関係を示すグラフである。
【図11】砥粒の粒径を変えた場合のケイフッ酸への浸
漬時間とRaとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…シード層、3…下地層、4…磁性
層、5…保護層、6…潤滑層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−79121(JP,A) 特開 平8−111024(JP,A) 特開 昭60−229234(JP,A) 特開 昭62−26623(JP,A) 特開 平9−124343(JP,A) 特開2000−53450(JP,A) 米国特許3231456(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/858

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子間力顕微鏡(AFM)で測定したと
    きの主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガ
    ラス基材を用意し、 少なくとも主表面の表面粗さが、原子間力顕微鏡(AF
    M)で測定したとき、Ra=0.2〜2.5nm、Rm
    ax=5〜25nm、Rmax/Ra=5〜35となる
    ように化学的表面処理することを特徴とする磁気記録媒
    体用ガラス基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくともアルカリ金属酸化物とアルカ
    リ土類酸化物を含有し、且つ、アルカリ土類酸化物の含
    有量が3mol%未満であるガラス基板であって、原子
    間力顕微鏡(AFM)で測定したときの主表面の表面粗
    さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を用意し、 該ガラス基材の少なくとも主表面をケイフッ酸で表面処
    理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用
    ガラス基板の製造方法において、前記化学的表面処理又
    はケイフッ酸による表面処理をする前に前記ガラス基材
    の少なくとも主表面を0.3〜3.0μmの粒径の遊離
    砥粒を含む研磨剤を用いて研磨することを特徴とする磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の磁気記録媒体用ガラス
    基板の製造方法において、前記化学的表面処理又はケイ
    フッ酸による表面処理は、前記ガラス基材の研磨工程に
    おいて前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇所に発生した残
    留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分が凸部に
    なるように処理するものであることを特徴とする磁気記
    録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ケイ
    フッ酸の濃度が0.15〜3.0重量%であることを特
    徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラ
    ス基材を構成するガラスは、SiO2 を58〜75重量
    %、Al2 O3 を5〜23重量%、Li2 Oを3〜10
    重量%、Na2 Oを4〜13重量%、主成分として含有
    するガラスであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラ
    ス基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の磁気記録媒体用ガラス
    基板の製造方法において、前記ガラス基材を構成するガ
    ラスは、SiO2 を62〜75重量%、Al2 O3 を5
    〜15重量%、Li2 Oを4〜10重量%、Na2 Oを
    4〜12重量%、ZrO2 を5.5〜15重量%、主成
    分として含有するとともに、Na2O/ZrO2 の重量
    比が0.5〜2.0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が
    0.4〜2.5であるガラスであることを特徴とする磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし8のいずれかに記載の磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学
    的表面処理又は前記ケイフッ酸による表面処理の後に、
    化学強化処理することを特徴とする磁気ディスク用ガラ
    ス基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造された磁気記
    録媒体ガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形
    成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
JP23320999A 1998-08-19 1999-08-19 磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体及びそれらの製造方法 Expired - Lifetime JP3359304B2 (ja)

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