JP3616610B2 - 磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク等の磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板、該磁気記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録・再生の技術分野においては、磁気ヘッドと磁気ディスクとのインターフェースが記録容量を向上させるキーテクノロジーの一つとなっている。記録密度を向上させるためには、磁気ディスク表面を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)を極力低くする必要があるが、CSS(コンタクト・スタート・ストップ)方式の記録再生を行う場合、磁気ヘッドの低浮上化が進むにつれ、磁気ヘッドが磁気ディスクに吸着(スティクション)するおそれが高くなる。
【0003】
このような磁気ヘッドの吸着を防止するために、従来から、種々のテクスチャー技術が提案されている。その代表的なものとしては、Al/NiPめっき基板の表面を機械研磨することによって凹凸状に形成する方法(特開昭62−273619)がある。また、アルミニウム基板より、平坦性が優れているガラス基板の場合は、ガラス基板上にスパッタリングで表面が凹凸状の薄膜を形成する方法(特公平4−62413)や化学エッチングで凹凸を形成する方法(特公平7−101507)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、記録容量の向上を目指して、グライド高さが1.2μインチ以下の段階にまで達してきている。しかるに、従来から提案されている上述のテクスチャーの形成方法は、グライド高さが8μインチ程度の状況下のテクスチャー技術であった。それゆえ、今日のような低浮上高さで記録再生する磁気ディスクに適用しても、充分な電磁変換特性と、磁気ヘッドの吸着防止効果を同時に満足した磁気ディスクを得ることは困難であった。
【0005】
また、従来のグライド高さは8μインチ程度であったので、磁気ディスク(基板)の表面状態の評価は、半径数μm(例えば2.5μm)の触針を表面で走査させて表面粗さを測定するタリステップによる評価で十分であったが、現在要求されているような1.2μインチ(1インチ=25.4mm)以下といった浮上高さになると、もはや、タリステップによる評価では、磁気ヘッドの吸着防止を実現可能なガラス基板表面の状態であるか否かを判断することは困難な状況である。
【0006】
本発明は上述の背景のもとでなされたものであり、1.2μインチ以下のグライド高さを有し高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性が得られる磁気記録媒体、該磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ガラス基板表面の適切な表面状態を評価するために、原子間力顕微鏡(AFM)によって、ガラス基板の表面状態を特定することに着目した。これは、従来の触針式の測定方法では分解能が低く、ガラス基板の表面状態が適しているのか否かを識別できないためである。そして、この評価方法に基づき、上記の目的を達成するためには、ガラス基板の主表面に形成される微細な凹凸における凸部の高さ、分布(高さのばらつき)が重要な因子であることを解明した。また、種々の実験を重ねた結果、研磨条件、表面処理条件を特定の組み合わせにしないと、目標とするガラス基板表面にならないことを見出だした。本発明は、この様な解明結果に基づくものであり、第1の発明は、少なくとも主表面の表面粗さが、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したとき、Ra(中心線平均粗さ)=0.2〜2.5nm、Rmax(最大高さ)=3〜25nm、Rmax/Ra=3〜35であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板において、前記磁気記録媒体用ガラス基板の主表面を完全に平坦にしたと仮定した場合の仮想主表面に平行な面を等高面とし、この等高面によって前記磁気記録媒体用ガラス基板の主表面に形成されている凹凸を切断した場合において、この切断面の面積の和の値に対する前記仮想主表面の全体の面積の値の割合を百分率で表したものをベアリングレシオと定義し、前記ベアリングレシオが50%である等高面を基準面とし、この基準面から各ベアリングレシオを有する等高面までの距離をベアリング高さと規定し、さらにベアリングレシオ2.5%である等高面のベアリング高さをB.H.(2.5)
、ベアリングレシオ5.0%のである等高面のベアリング高さをB.H.(5.0) としたとき、B.H.(2.5)
/Rmax=0.1〜0.5、又は、B.H.(5.0) /Rmax=0.1〜0.45であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。
【0009】
第3の発明は、少なくとも主表面の表面粗さが、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したとき、Rmax=3〜25nmであり、かつ、B.H.(2.5)
/Rmax=0.1〜0.5又はB.H.(5.0) /Rmax=0.1〜0.45であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。(但し、B.H.(2.5) 及びB.H.(5.0)は、請求項2において定義された内容とする。)
【0010】
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板において、少なくともアルカリ金属酸化物を含有することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。第5の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板において、前記ガラス基板は少なくともアルカリ金属酸化物と3molパーセント未満のアルカリ土類酸化物とを含有することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。第6の発明は、第1ないし第5のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板において、グライド高さが1.2μインチ以下の磁気ディスクに使用することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板である。
【0011】
第7の発明は、第1ないし第6のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層が形成されていることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0012】
第8の発明は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときの主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を用意し、前記ガラス基材の少なくとも主表面の表面粗さがRa=0.2〜2.5nm、Rmax=3〜25nm、Rmax/Ra=3〜35となるように化学的表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0013】
第9発明は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときの主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を用意し、該ガラス基材の少なくとも主表面をケイフッ酸で表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0014】
第10の発明は、第8又は第9の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学的表面処理又はケイフッ酸による表面処理をする前に前記ガラス基材の少なくとも主表面を0.3〜3.0μmの粒径の遊離砥粒を含む研磨剤を用いて研磨することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0015】
第11の発明は、第10の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学的表面処理又はケイフッ酸による表面処理は、前記ガラス基材の研磨工程において前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇所に発生した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分が凸部になるように処理するものであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0016】
第12の発明は、第9ないし第11のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ケイフッ酸の濃度が0.15〜3.0重量%であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0017】
第13の発明は、第8ないし第12のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基材を構成するガラスは、少なくともアルカリ金属酸化物とアルカリ土類酸化物を含有し、且つ、アルカリ土類酸化物の含有量の合計が3mol%未満であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。第14の発明は、第13の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基材を構成するガラスは、SiO2 を58〜75重量%、Al2 O3 を5〜23重量%、Li2 Oを3〜10重量%、Na2 Oを4〜13重量%、主成分として含有するガラスであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0018】
第15の発明は、第14の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基材を構成するガラスは、SiO2
を62〜75重量%、Al2 O3 を5〜15重量%、Li2 Oを4〜10重量%、Na2 Oを4〜12重量%、ZrO2 を5.5〜15重量%、主成分として含有するとともに、Na2 O/ZrO2 の重量比が0.5〜2.0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が0.4〜2.5であるガラスであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0019】
第16の発明は、第8ないし第15のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学的表面処理又は前記ケイフッ酸による表面処理の後に、化学強化処理することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0020】
第17の発明は、第8ないし第16のいずれかの発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造された磁気記録媒体ガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【0021】
第18の発明は、磁気ヘッドの種類毎に、磁気ヘッドの浮上特性を良好にする磁気記録媒体用ガラス基板の表面状態を、原子間顕微鏡(AFM)で測定した場合のRa、Rmax及びRmax/Raの値の範囲で特定し、磁気記録媒体用ガラス基板の表面を種々の表面処理条件で表面処理し、処理後の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した場合に得られるRa、Rmax、Rmax/Raの各値が上記特定の範囲の値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた表面処理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0022】
上述の第1の発明によれば、ガラス基板の少なくとも主表面の表面粗さを、AFMで測定したとき、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax=3〜25nm、Rmax/Ra=3〜35とすることにより、グライド高さが1.2μインチ以下で、且つ、磁気ヘッドが吸着することない磁気ディスク等の磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。また、CSS方式の磁気ディスクにおいては、さらに高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク等の磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。なお、ここで、Ra、Rmaxは、それぞれ、JIS B0601に規定される中心線平均粗さ及び最大高さである。
【0023】
AFMで測定したRmaxの値は、基板表面に形成された凹凸の最大高さを示し、Rmaxが3nm未満の場合、基板表面が鏡面状態に近い状態になるため、例えば、磁気ヘッドが磁気ディスク表面に吸着してしまうので好ましくない。Rmaxが25nmを超える場合、グライド高さが1.2μインチを超えてしまうので好ましくない。
【0024】
また、AFMで測定したRmax/Raの比率は、基板表面の凹凸における凸部の高さの分布(ばらつき(均一性))を示し、摩擦係数に変化をもたらすので重要な因子である。本発明者らは、1.2μインチ以下のグライド高さを維持しつつ、高いCSS耐久特性を実現するための凹凸の凸部の高さのばらつきには、適正な範囲がある事を見出した。
【0025】
その凸部の高さの分布(ばらつき)を示すRmax/Raが5未満の場合、比較的凹凸が均一になり、静止摩擦係数が3を超え、磁気ヘッドの接触面積が増えるために吸着しやすくなり、CSS耐久特性が悪くなるので好ましくない。
【0026】
また、Rmax/Raが35を超える場合、全体の平均表面粗さに対する凸部の最大高さが大きくなることを意味し、静止摩擦係数が1以下となり、磁気ヘッドの接触面積は減少するが最大凸部への負荷が大きくなるので、ヘッドクラッシュが発生するので好ましくない。
【0027】
磁気ディスクの記録再生方式として、CSS方式、ロード・アンロード(ランプロード)方式があるが、例えば、CSS方式の場合、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax=5〜25nm、Rmax/Ra=5〜35、好ましくはRa=0.7〜1.5nm、Rmax=8〜18nm、Rmax/Ra=10〜20の範囲内で表面粗さを制御し、ロード・アンロード方式の場合、具体的には、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax=3〜10nm、Rmax/Ra=3〜15の範囲内で表面粗さを制御する。尚、本発明のガラス基板表面に形成される凹凸は、磁気ヘッドとの吸着を防止するためのテクスチャーの機能を有するものである。
【0028】
上述のように、Rmax/Raは基板表面の凹凸の凸部の分布(ばらつき(均一性))を示すパラメータであって、所定範囲にすることによってグライド高さが1.2μインチ以下で、高いCSS耐久特性が得られることは確かであるが、実際は、磁気ヘッドに直接的に接触する磁気ディスク表面の突起は、基板表面の凹凸の中でも最大突起高さであるRmax相当の高い突起であって、その高い突起の占める割合(分布)を制御することが、更なる低浮上化の実現と、高いCSS耐久特性を得るには重要である。そこで、基板表面の凹凸の最大突起高さであるRmax相当の高い突起の占める割合を示すパラメータであるB.H./Rmaxの比率が大変重要になる。
【0029】
上述の第2又は第3の発明によれば、ベアリングレシオ50%の等高面を基準面とし、ここからの高さをベアリング高さと規定し、前記ガラス基板主表面の凹凸形状におけるベアリングレシオ2.5%のベアリング高さをB.H.(2.5)
、ベアリングレシオ5.0%のベアリング高さをB.H.(5.0) としたとき、B.H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又はB.H.(5.0)
/Rmax=0.1〜0.45とすることにより、更なる低浮上化の実現と、高いCSS耐久特性が得られるので好ましい。
【0030】
ここで、ベアリングレシオ、ベアリング高さについて説明する。図1は、本発明によって得られた磁気ディスク用ガラス基板の主表面の表面凹凸を原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときの測定写真である。また、図2は図1に示される表面上における特定の直線上の表面凹凸を示す測定曲線である。いま、このガラス基板の主表面を完全に平坦にしたと仮定した場合の仮想主表面を想定し、この仮想主表面に平行な面を等高面とする。仮想主表面からの距離が所定範囲内にある等高面は、ガラス基板の主表面に形成されている凹凸を切断することになる。この等高面によって切断された全ての凹凸の切断面の面積を足し合わせた値に対する上記仮想主表面の全面積の割合を百分率で表したものをベアリングレシオと定義する。
【0031】
また、このベアリングレシオが50%である等高面を基準面とし、この基準面から各ベアリングレシオを有する等高面までの距離をベアリング高さと定義する。
【0032】
なお、前述のベアリングレシオを横軸に、そのときの等高面の、最高地点からの垂直距離、即ち深さ(ベアリング深さ)を縦軸にプロットしたものを、ベアリングカーブと呼ぶ。図1に示した表面凹凸のベアリングカーブを図3に示す。また、ベアリングレシオが50%となる深さにある等高面が基準面である。
【0033】
そして、ベアリングレシオが2.5%となるレベルのベアリング高さをB.H.(2.5) 、ベアリングレシオが5.0%となるレベルのベアリング高さをB.H.(5.0) とする。
【0034】
そうした場合、B.H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又は、B.H.(5.0) /Rmax=0.1〜0.45である場合に、更なる低浮上化の実現と、高いCSS耐久特性が得られることが判明した。
【0035】
AFMで測定したB.H./Rmaxの比率は、あるベアリング値における高さと最大突起高さの割合(分布)を相対的に示したもので、突起密度と関連が深い。本発明者らは種々の実験の結果、ベアリングレシオ2.5%、5%でのB.H./Rmaxの値がCSS耐久性や静摩擦係数との間に密接な関係がある事を見出した。即ちB.H.(2.5) /Rmax、B.H.(5.0) /Rmaxがそれぞれ0.1未満の場合は摺動による摩擦係数の増加が大きくCSS耐久性が低い。また、B.H.(2.5) /Rmax、B.H.(5.0) /Rmaxがそれぞれ0.5および0.45を越えた場合、摩擦係数が3を越えてしまうため好ましくない。
【0036】
なお、ここではベアリングカーブにおけるベアリングレシオ50%の面を基準面としているが、これはベアリング高さの基準面を定義するためであって、この基準面は、ベアリングカーブにおける任意のベアリングレシオの値をとっても構わない。しかし、ベアリングレシオ50%の場合は、ガラス基板の主表面の凹凸における凸部と凹部の中心面である点から好ましい。
【0037】
また、ベアリング高さ(B.H.)の値をベアリングレシオが2.5%、5.0%の値に選定したのは、磁気ディスクに要求される低フライング高さ、低摩擦係数、高いCSS耐久性と対応関係のある磁気ヘッドと接触する最大表面粗さ相当の高さを有する凸部の密度の割合を正確に識別できるからである。
【0038】
図4に示した表1は、AFMによって測定された予め凸部の密度がわかっている複数(4枚)の磁気ディスク(表面粗さの平均線から6nmスライスしたときの凸部の個数が380個(ディスクA)、96個(ディスクB)、64個(ディスクC)、0個(ディスクD)のもの)を用意し、それぞれ、ベアリングレシオが0.025%、0.25%、2.5%、5.0%、25%としたときのB.H./Rmaxを計算した結果を示したものである。
【0039】
図4の表1に示したB.H./Rmaxは、凸部の割合を相対的に表したものということができるが、ベアリングレシオ0.025%、0.25%にした場合、本来であれば凸部の密度と比例して、ディスクA>ディスクB>ディスクC>ディスクDにならなければならないが、ディスクCのB.H./Rmaxの値がディスクAやディスクBに比べ大きくなっている。これは、ベアリングレシオが比較的小さな値、即ち、凸部のごくわずかな領域しか考慮していないため、グライド特性には関係のない異常突起の数の割合が多く含まれていしまうからだと考えられる。したがって、この場合、凸部の割合を識別することができないので好ましくない。また、ベアリングレシオ25%の場合、凸部の密度の割合は識別できるものの、各ディスク間のB.H./Rmaxのレンジが小さいため好ましくない。
【0040】
以上の結果をまとめると以下の通りになり、第2の発明及び第3の発明はこれらの結果に基づくものである。(1)基板の表面凹凸のベアリングカーブを求め、ベアリング高さの基準となる基準面を決定する。第2の発明及び第3の発明の場合は、ベアリングレシオが50%となる深さを基準としたものである。(2)上記1によって決めた基準面から測定したベアリング高さB.H.とRmaxの比率(B.H./Rmax)が、磁気ディスクに要求される特性、又はこの特性と対応関係のある表面凹凸の状態を示す特定のパラメータが、B.H./Rmaxの値によって正確に識別できるベアリングレシオを選定する。第2の発明及び第3の発明の場合は、磁気ディスクに要求される特性であるグライド高さ、摩擦係数、CSS耐久性と対応関係のある基板表面の凸部の割合を正確に識別できるベアリングレシオ値(2.5%、5.0%)を選定したものである。(3)上記2によって選定したベアリングレシオに対し、磁気ディスクに要求される特性を満足するB.H./Rmaxの範囲を決定する。第2の発明及び第3の発明の場合は、グライドハイト1.2μインチ以下、摩擦係数3以下、CSS耐久性良好の特性を満足するB.H.(2.5) /Rmax=0.1〜0.5、又はB.H.(5.0) /Rmax=0.1〜0.45としたものである。
【0041】
このような表面粗さの管理方法によって作製された磁気ディスク用ガラス基板は、磁気ヘッドの更なる低浮上化といった基板の表面粗さの厳密な制御が必要となる磁気ディスクに有用である。また、第4の発明によれば、上述のガラス基板は、少なくともアルカリ金属酸化物を含有することにより、後述するような化学的な表面処理(ケイフッ酸処理等)によって、上述(第1〜第3の発明)の所望な表面粗さを容易に得ることができる。
【0042】
また、第5の発明によれば、上述のガラス基板は、少なくともアルカリ金属酸化物とアルカリ土類酸化物を含有し、前記アルカリ土類酸化物の含有量が3molパーセント未満とすることにより、後述するような化学的な表面処理(ケイフッ酸処理等)によって、上述(第1〜第3の発明)の所望な表面粗さを用意に得ることができる。また、第6の発明によれば、グライド高さが1.2μインチ以下で記録再生される磁気ディスクに使用することで、高記録密度化と、高いCSS耐久特性においてその効果が最大限に発揮される。
【0043】
また、第7の発明によれば、上述のガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することで、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクが得られる。
【0044】
また、第8の発明によれば、AFMで測定したときの主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を用意し、前記ガラス基材の少なくとも主表面の表面粗さがRa=0.2〜2.5nm、Rmax=3〜25nm、Rmax/Ra=3〜35となるように化学的表面処理することにより、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造することができる。
【0045】
さらに、第9の発明によれば、AFMで測定した時の主表面の表面粗さがRa=0.1〜1.0nmのガラス基材を用意し、該ガラス基材の少なくとも主表面をケイフッ酸で表面処理することにより、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造することができる。高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造するには、表面処理する前のガラス基板の表面粗さを所定の粗さ(Ra=0.1〜1.0nm)にしておき、且つ、表面処理する薬剤をケイフッ酸に選定することが必要である。
【0046】
本発明者らは、高精度の表面粗さの制御を必要とする本発明の磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造するためには、表面処理する前のガラス基板の表面粗さが、最終的に得られる基板表面の凸部の高さ分布(ばらつき)に多大な影響を及ぼすことを解明した。鋭意究明した結果、表面処理する前のガラス基板の表面は、鏡面状態にあることが好ましく、具体的には、Ra=0.1〜1.0nmにしなければならないことがわかった。望ましくは、Ra=0.1〜1.0nm、Rmax=1〜20nmにすれば良いことがわかった。
【0047】
また、本発明のガラス基板を表面処理する際に使用するケイフッ酸は、従来エッチング液として使用していたフッ酸や、フッ化カリウムを含むフッ酸水溶液に比べ、エッチング力が弱い(エッチング速度が遅い)ので、高精度の表面粗さの制御が可能となる。ケイフッ酸としては、代表的なものとしてはケイフッ化水素酸(H2 SiF6 )などが使用される。ケイフッ酸処理液には、エッチング(洗浄)効果等を高めるために微量であれば、他の酸(フッ酸、硫酸、塩酸、硝酸など)、市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤など)等を添加してもよい。
【0048】
なお、ケイフッ酸の処理条件は、主にケイフッ酸濃度、ケイフッ酸への浸漬時間、ケイフッ酸の温度によって決定される。なお、ケイフッ酸は、水にケイフッ化水素酸を溶かしたもので、ケイフッ酸濃度は、水にケイフッ化水素酸を溶かした場合の濃度をさす。ケイフッ酸濃度と温度は、エッチング速度に関係し(具体的な範囲については後述する。)、ケイフッ酸への浸漬時間は、得られる粗さと工程のタクト時間に関係がある。これらのケイフッ酸の処理条件は、主に表面粗さRmaxと相関があり、ケイフッ酸濃度が高濃度、ケイフッ酸への浸漬時間が長時間、ケイフッ酸温度が高温になるに従って、表面粗さRmaxが大きくなる。上記ケイフッ酸の処理条件は、形成する表面凹凸の粗さによって適宜調整されるが、ケイフッ酸への浸漬時間は、50〜600sec、ケイフッ酸の温度は、15℃〜60℃であることが表面粗さの制御性から好ましい。
【0049】
また、第10の発明によれば、前記ガラス基材は、前記表面処理する前のガラス基材を少なくとも主表面を0.3〜3.0μmの粒径の遊離砥粒を含む研磨剤によって研磨したものとする。粒径は、主に表面粗さRaと相関があり、砥粒の平均粒径を大きくすると、ケイフッ酸処理後のガラス基板の表面粗さRaが大きくなる(但し、このとき、表面粗さRmaxはほとんど変化しない。)。粒径を0.3〜3.0μmとするとにより、好ましい凸部の密度と、磁気ディスクと接触する凸部の先端形状が得られるので更に高いCSS耐久特性が得られる磁気ディスク用ガラス基板を提供できる。
【0050】
遊離砥粒の粒径が0.3μm未満の場合、研磨剤の凝集が起こりやすく、また洗浄工程後の残留が多くなるので好ましくなく、3.0μmを超えた場合、エッチング後の粗さが大きくなりすぎるために好ましくない。
【0051】
また、遊離砥粒としては、酸化セリウム(CeO2 )、アルミナ(Al2 O3)、コロイダルシリカ(SiO2 )、べんがら(Fe2 O3 )、酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )などが挙げられる。
【0052】
さらに、第11の発明は、前記化学的表面処理又はケイフッ酸による表面処理は、前記ガラス基材の研磨工程における遊離砥粒の軌跡の箇所に発生した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分を凸部になるように処理するものである。
【0053】
本発明者らは、遊離砥粒を含む研磨剤によって研磨した後にケイフッ酸で表面処理すると、遊離砥粒が通った軌跡が凸部として形成される傾向のあることを発見した。そのメカニズムは明らかでないが、遊離砥粒によって研磨工程の荷重がガラス基板表面に加わることにより、組織学的に見ればガラスのSi−Oのネットワークに構造的な変化が起こり、その構造的な変化によって残留応力分布にむらが発生し、残留歪みが比較的高い箇所において、ケイフッ酸によるエッチング速度が遅くなるためであると考えられる。
【0054】
第9ないし第11の発明は、上記発見にかかる現象を積極的に利用したものであり、これによってはじめて所望の表面粗さ状態を得ることを可能にしたものである。
【0055】
前記ケイフッ酸の濃度が0.15〜3.0重量%であることが好ましい(第12の発明)、また、前記ケイフッ酸の導電率が2〜30ms/cmであることが好ましい。ケイフッ酸の濃度が0.15重量%未満の場合、ガラス基板に対するエッチング効果や洗浄効果が低下し、所望な表面粗さを形成することができなくなり、濃度が3.0重量%を超えると、エッチング速度が早くなるので、高精度の表面粗さを制御することが困難となり、品質が安定した磁気記録媒体用ガラス基板が得られないので好ましくない。
【0056】
また、第1〜第3の発明のような突起が形成されていれば、本発明に使用するガラス基板の種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラスなどが挙げられる。中でも、ケイフッ酸はアルミノシリケートガラスに対して特に化学エッチングの制御性が良好で、高精度の表面粗さの制御を可能にする
。
【0057】
さらに、本発明の製造方法に使用するガラス基板(第11の発明のようなメカニズムによって凸部を形成するためのガラス基板)としては、少なくともアルカリ金属酸化物を含有し、かつ、アルカリ土類酸化物(RO:MgO,CaOなど)の含有量の合計が3mol%未満の材料からなることが好ましく(第13の発明)、その組成比は、SiO2 :58〜75重量%、Al2 O3 :5〜23重量%、Li2 O:3〜10重量%、Na2 O:4〜13重量%を主成分として含む材料からなることが好ましい(第14の発明)。
【0058】
また、第11の発明のようなメカニズムによって凸部の形成をより顕著にするには、CaOやMgOといったアルカリ土類(金属)酸化物を含まないガラスであることが望ましい。特に、第15の発明のように、前記ガラス基板の組成を、SiO2 :62〜75重量%、Al2 O3 :5〜15重量%、Li2 O:4〜10重量%、Na2 O:4〜12重量%、ZrO2 :5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、Na2 O/ZrO2 の重量比が0.5〜2.0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスであることが好ましい。このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れるとともに、ケイフッ酸による表面処理におけるエッチングの制御性おいても大変優れているので好ましい。なお、上述のアルミノシリケートガラスの代表的なものとしては、HOYA株式会社製のN5が挙げられる。
【0059】
また、前記ケイフッ酸による表面処理を少なくとも2段階に分けて行うことや、それぞれの段階で異なるケイフッ酸濃度を使用することにより、基板表面の微細な表面粗さを制御することもできる。
【0060】
前記化学的表面処理又は、前記ケイフッ酸による表面処理の後に、化学強化処理することが好ましい(第16の発明)。ここで、化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に制限されないが、例えば、ガラス転移点の観点から転移点温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、或いはそれらを混合した硝酸塩などが挙げられる。
【0061】
ガラス基板表面を化学強化処理した直後に、上述のケイフッ酸による表面処理を行った場合、化学強化処理することによって、ガラス基板表面に遊離砥粒によって形成された残留歪みが化学強化の応力に埋もれてしまうので、表面粗さを制御できなくなるので好ましくない。但し、化学強化処理→遊離砥粒による研磨処理→ケイフッ酸による表面処理のように、化学強化処理工程とケイフッ酸による表面処理工程との間(ケイフッ酸による表面処理の前)に上述の遊離砥粒による研磨処理工程を入れることによって、上述と同様の効果が得られる。
【0062】
第17の発明によれば、上述の磁気ディスク等の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形成することで、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク等の磁気記録媒体が得られる。
【0063】
第18の発明によれば、原子間力顕微鏡(AFM)により測定した凹凸の高さを示すRa、Rmax、凹凸の高さ分布を示すRmax/Raが特定の範囲になるようにガラス基板の主表面の表面粗さ管理することによって、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク等に使用する磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。また、以下の(a)、(b)の構成のように、最大突起高さ相当の高さを有する突起の割合(分布)を示すベアリングレシオが特定の値を有する等高面のベアリング高さ(B.H.)とRmaxとの比(B.H./Rmax)、又は、Ra、Rmax、Rmax/Ra、B.H./Rmaxが特定の範囲になるようにガラス基板の主表面の表面粗さ管理をすることによっても、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク等に使用する磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。(a)磁気ヘッドの種類毎に、磁気ヘッドの浮上特性を良好にする磁気記録媒体用ガラス基板の表面状態を、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合のベアリング高さ(B.H.)とRmaxとの比(B.H./Rmax)の値の範囲で特定し、磁気記録媒体用ガラス基板の表面を種々の表面処理条件で表面処理し、処理後の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した場合に得られるB.H./Rmaxの値が上記特定の範囲の値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた表面処理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。(但し、ベアリング高さ(B.H.)は、請求項2において定義した内容とする。)(b)磁気ヘッドの種類毎に、磁気ヘッドの浮上特性を良好にする磁気記録媒体用ガラス基板の表面状態を、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合のRa、Rmax、Rmax/Ra、ベアリング高さ(B.H.)とRmaxとの比(B.H./Rmax)の値の範囲で特定し、磁気記録媒体用ガラス基板の表面を種々の表面処理条件で表面処理し、処理後の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合に得られるRa、Rmax、Rmax/Ra、B.H./Rmaxの値が上記特定の範囲の値になる場合の表面処理条件を求め、この求めた表面処理条件によって磁気記録媒体用ガラス基板の表面を表面処理することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。(但し、ベアリング高さ(B.H.)は請求項2において定義した内容とする。)
【0064】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図5は本発明の実施例1に係る磁気ディスクの構成を示す模式的断面図である。図5に示すように、本実施例の磁気ディスクは、ガラス基板1の上に、順次、シード層2、下地層3、磁性層4、保護層5及び潤滑層6を形成したものである。
【0065】
ガラス基板1は、SiO2 :63.5重量%、Al2 O3 :14.2重量%、Na2 O:10.4重量%、Li2 O:5.4重量%、ZrO2 :6.0重量%、Sb2 O3 :0.4重量%、As2 O3 :0.1重量%の組成を有するアルミノシリケートガラスで、外径65mmφ、中心部の穴径20mmφ、厚さ0.635mmのディスク状に加工したものである。その両主表面、端面及び面取り部は精密研磨され、ケイフッ酸による表面処理することで、両主表面の表面粗さはRa=1.3nm、Rmax=14.1nm、Rmax/Ra=10.8、B.H.(2.5) =6.02nm、B.H.(5.0) =4.33nm、B.H.(2.5) /Rmax=0.43、B.H.(5.0) /Rmax=0.31であった。
【0066】
シード層2は、膜厚40nmであるNiAl(Ni:50at%、Al:50at%)膜である。このシード層2は、結晶粒径が小さく、且つ均一性に優れているので、その上に形成される下地層3、磁性層4の結晶粒径が微細になりノイズの低減の役割を果たす。シード層としては、上述したNiAlの他に、NiAlに他の元素を添加したNiAlRu、NiAlNd、NiAlW、NiAlTa、NiAlHf、NiAlMo、NiAlCr、NiAlZr、NiAlNbなどが挙げられる。
【0067】
下地層3は、膜厚25nmのCrMo(Cr:94at%、Mo:6at%)膜である。この下地層3は、その上に形成される磁性層4の結晶格子間隔の差をなるべく小さくすることが好ましく、保磁力向上の役割を果たす。下地層としては、上述したCrMoの他に、Cr、CrV等が挙げられる。好ましくは、シード層2の格子間隔とマッチングするようにした方が、結晶成長が良好になり電磁変換特性も良好になるので好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数構造とすることもできる。例えば、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV等の多層下地層などが挙げられる。
【0068】
磁性層4は、膜厚27nmのCoPtCrTa(Co:75at%、Cr:17at%、Pt:5at%、Ta:3at%)膜である。なお、本発明の磁気ディスクにおける磁性層の材料には特に制限されない。磁性層としては、具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtやCoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPtNbなどの磁性薄膜が挙げられる。
【0069】
また、磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTaなど)としても良い。また、磁性層としては、上述したCo系の他、フェライト系、鉄―希土類系や、SiO2 ,BNなどからなる非磁性膜中にFe,Co,FeCo,CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであっても良い。また、磁性層は、面内型、垂直型のいずれの記録形式であっても良い。
【0070】
保護層5は、膜厚10nmの水素化カーボン(H:30at%)膜である。保護層は、磁性層の耐食性、耐摩耗性の役割を果たす。保護層としては、上述した水素化カーボンの他に、カーボン、窒素化カーボン、水素窒素化カーボン、フッ素化カーボン、Cr、SiO2 などが挙げられる。
【0071】
潤滑層6は、膜厚1nmのパーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑膜である。潤滑層は、耐摩耗性の役割を果たす。潤滑層としては、上述したパーフルオロポリエーテルの他に、フルオロカーボン系の液体潤滑剤や、スルホン酸のアルカリ金属塩からなる潤滑剤を用いることができる。尚、保護層5が固体潤滑剤としての機能を有するものであれば、潤滑層6は省略することもできる。
【0072】
次に、上述の実施例の磁気ディスクの製造方法及び、磁気ディスクに使用するガラス基板の製造方法について説明する。磁気ディスク用ガラス基板の製造工程(1) 荒ずり工程
まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研削砥石で直径66mmφ、厚さ3mmの円盤状に切り出したアルミノシリケートガラスから成るガラス基板を、比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径66mmφ、厚さ1.5mmに成形した。
【0073】
この場合、ダウンドロー法の代わりに、フロート法で形成したシートガラスから、上述と同様に円盤状に切り出して加工したものや、溶融ガラスを上型、下型、胴型を用いてダイレクトプレスして、円盤状のガラス体を得ても良い。
【0074】
なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2 :63.5重量%、Al2 O3 :14.2重量%、Na2 O:10.4重量%、Li2 O:5.4重量%、ZrO2 :6.0重量%、Sb2 O 3:0.4重量%、As2 O3 :0.1重量%の化学強化用ガラスを使用した。
【0075】
次に、上記砥石よりも粒度の細かいダイヤモンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加工した。このときの荷重は100kg程度とした。これにより、ガラス基板両主表面の表面粗さをRmaxで10μm程度に仕上げた。
【0076】
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に穴を開けるとともに、外周端面も研削して直径65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板の端面(側面及び面取り部)の表面粗さはRmaxで4μm程度であった。
【0077】
(2)端面鏡面加工工程
次に、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面部分(角張った部位、側面及び面取り部)の表面粗さをRmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。この端面鏡面加工工程は、ガラス基板の搬送時や、洗浄工程時等に発生するガラス基板端面からの発塵によりガラス基板主表面に付着することによる膜下欠陥を防止するために有効である。上記端面鏡面加工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
【0078】
(3)砂掛け(ラッピング工程)
次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。砂掛け工程は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒粒度を#400、#1000と替えて2回行った。詳しくは、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両主表面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
【0079】
次に、アルミナ砥粒の粒度を#1000に替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)を2μm程度とした。上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
【0080】
(4)第1研磨工程
次に、第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は上述した砂掛け工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリシャとして硬質ポリシャ(セリウムパッドLP66:スピードファム社製)を用い、以下の研磨条件で第1研磨工程を実施した。
【0081】
研磨液:酸化セリウム(粒径1.3μm)(遊離砥粒)+水荷重:80〜100g/cm2
研磨時間:30〜50分
除去量:35〜45μm
下定盤回転数:40rpm
上定盤回転数:35rpm
内ギア回転数:14rpm
外ギア回転数:29rpm
【0082】
上記研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。また、この洗浄工程は、次の第2研磨工程における研磨液が一緒の場合、省略することが可能である。また、第1研磨工程で使用する硬質ポリシャは、特に限定されず、目標とする表面粗さ、基板の端部形状等によって適宜選択することが可能である。
【0083】
(5)第2研磨工程(ファイナル研磨)
次に、第1研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(カネボウN7519)に替えて、第2研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液:酸化セリウム(粒径0.8μm)(遊離砥粒)+水、荷重:80〜100g/cm2 、研磨時間:9〜15分、除去量:3〜5μmとしたこと以外は、第1研磨工程と同様とした。この第2研磨工程によって得られたガラス基板の主表面における表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、Ra=0.3nm、Rmax=3.8nmであった。ここで、第2研磨工程で使用する軟質ポリシャは特に限定されない。但し、後の表面処理工程を経て形成される突起を凸状のように形成するには、比較的硬度が小さいポリシャを使用することが好ましく、ポリシャの硬度(アスカーC)は60以下、さらに望ましくは55以下が望ましい。
【0084】
(6)表面処理工程(洗浄工程)
上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、ケイフッ酸(濃度:0.35%、温度:45℃、浸漬時間:150sec)、ケイフッ酸(濃度:0.28%、温度:45℃、浸漬時間:200sec)の各処理(洗浄)槽に順次浸漬して、表面処理(洗浄)した。なお、各処理(洗浄)槽に超音波を印加した。
【0085】
上記表面処理工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、IPA(蒸気乾燥)の工程で使用するIPAベーパ槽以外の各洗浄槽には超音波を印加した。
【0086】
(7)化学強化工程
次に、上記研削、研磨、表面処理(洗浄)、洗浄工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化には、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化塩を用意し、この化学強化塩を400℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
【0087】
このように、化学強化塩に浸漬処理することによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100〜200μmであった。上記化学強化を終えたガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。
【0088】
(8)洗浄工程
上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫酸に浸漬し、超音波をかけながら洗浄をおこなった。このようにして得たガラス基板の表面を検査したことろ、異物は発見されなかった。
【0089】
上記洗浄工程を終えたガラス基板の主表面の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=1.3nm、Rmax=14.1、B.H.(2.5) =6.02nm、B.H.(5.0) =4.33nmで、Rmax/Ra=10.8、B.H.(2.5)/Rmax=0.43、B.H.(5.0) /Rmax=0.31であった。
【0090】
また、ファイナル研磨後のガラス基板主表面の表面状態と、上記洗浄工程後のガラス基板主表面の表面状態をAFMによって観察したところ、ファイナル研磨工程における遊離砥粒の軌跡の箇所に凸部が形成されていることが確認された。特に遊離砥粒によってガラス主表面に形成された残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分を凸部として形成していると思われる。
【0091】
磁気ディスクの製造工程上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板に対し、ガラス基板の加熱処理、シード層の成膜、下地層の成膜、磁性層の成膜、保護層の成膜の各工程を、インライン型スパッタリング装置を用いて連続的に行った。
【0092】
このインライン型スパッタリング装置は、図示しないが、搬送方向に向って、基板加熱ヒーターが設置された第1のチャンバー、NiAlターゲット(Ni:50at%、Al:50at%)、CrMoターゲット(Cr:94at%、Mo:6at%)及びCoCrPtTaターゲット(Co:75at%、Cr:17at%、Pt:5at%、Ta:3at%)が順次設置された第2のチャンバー、並びにカーボンターゲットが設置された第3のチャンバーがそれぞれ設けられたものである。
【0093】
そして、ガラス基板をロードロック室を介して第1のチャンバー内に導入すると、このガラス基板は所定の搬送装置によって上記各チャンバー内を次々と所定の一定速度で搬送され、その間に以下の条件等で成膜や処理がなされる。即ち、第1のチャンバー内では、ガラス基板を350℃で2分間加熱する処理がなされる。第2のチャンバー内では、シード層2たる膜厚40nmのNiAl膜、下地層3たる膜厚25nmのCrMo膜、磁性層4たる膜厚27nmのCoCrPtTa膜が成膜される。第3のチャンバー内では、保護層5たる膜厚10nmの水素化カーボン膜が順次成膜される。
【0094】
なお、上記の第2、第3チャンバー内のスパッタリング条件は、スパッタ圧力が第2のチャンバー内では2mTorr、第3のチャンバー内では3mTorrであり、第2のチャンバーのスパッタ雰囲気はアルゴンの不活性ガスとし、第3のチャンバーのスパッタ雰囲気は、アルゴンの不活性ガスに8%の水素が混合された混合ガスが使用される。また、各スパッタ電力は、第2のチャンバー内では2kW、第3のチャンバー内では3kWとした。
【0095】
次に、保護層の形成までの工程を終えた基板を、上記インライン型スパッタリング装置から取り出し、その保護層の表面に、浸漬法によってパーフルオロポリエーテル液体潤滑剤を塗布し、膜厚1nmの潤滑層を形成して実施例1に係る磁気ディスクを得た。
【0096】
この得られた磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久特性の評価結果を図6の表2に示す。なお、この得られた磁気ディスクの磁気特性と記録再生特性を測定したところ、保磁力が2300Oe、S/N比が20dBという良好な結果が得られた。尚、保磁力の測定は、製造した磁気ディスクから8mmφの試料を切り出して膜面方向に磁場を印加し、振動試料型磁力計により最大外部印加磁場10kOeで測定した。
【0097】
また、記録再生特性(S/N比)の測定は次のようにして行った。即ち、得られた磁気ディスクを用いて、磁気ヘッド浮上量が0.055μmのMR(磁気抵抗効果型)ヘッドを用い、MRヘッドと磁気ディスクの相対速度を9.6m/sで線記録密度163kfcl(1インチあたり163,000ビットの線記録密度)における記録再生出力を測定した。また、キャリア周波数23MHzで、測定帯域を26MHzとしてスペクトルアナライザーにより、信号記録再生時の媒体ノイズを測定し、S/N比を算出した。本測定に用いたMRヘッドは、書き込み/読み取り側にそれぞれトラック幅3.1/2.4μm、磁気ヘッドギャップ長0.35/0.28μmである。
【0098】
また、常温常湿雰囲気下で、磁気ディスクの回転速度4000rpm、荷重3gの30%ヘッドスライダーを用いた10万回のCSS耐久試験においても、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間で吸着現象は起こらず、またヘッドクラッシュも発生することなく、高いCSS耐久特性を有する磁気ディスクが得られた。
【0099】
また、磁気ディスクと磁気ヘッドの静止摩擦係数を歪みゲージによって測定したところ、0.6であった。次にAEセンサーを用いたグライド高さテストを行なったところ、ヘッド浮上量1.0μインチまではヘッド−媒体間に接触が発生しない事が確認できた。即ちこのディスクのグライド高さは1.0μインチであった。上記の結果から、1.2μインチ以下のグライド高さで記録再生され、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクが得られた。
【0100】
(比較例1)
次に、研磨条件及びケイフッ酸による表面処理時間を変化させて、ガラス基板を作製し、タリステップでガラス基板の表面粗さを評価した他は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、そのときの静止摩擦係数、グライド高さ(μインチ)、CSS耐久特性を図6の表2に比較例1として示した。なお、このときに測定したタリステップの評価条件は、走査距離250μm、針圧7mgとした。
【0101】
比較例1のように、磁気ディスク用ガラス基板の表面をタリステップで評価した場合(本発明で規定した表面粗さの範囲には入っているにもかかわらず)、グライド高さが2μインチ以上となりばらつきも大きい結果となった。これは、タリステップのような触針式測定法では針の曲率半径が大きいために、細かな凹凸を捕らえることができないので、1.2μインチ以下といったグライド高さを満足できるような磁気ディスクの表面状態を制御することは困難であることを示している。
【0102】
従って、1.2μインチ以下といったグライド高さを満足できる磁気ディスク表面状態を制御するためには、より細かな表面状態を観察できる原子間力顕微鏡(AFM)により表面粗さを評価しなけらばならないことがわかった。以下に示すガラス基板の表面粗さは、AFMにより測定することとする。
【0103】
(実施例2〜17、比較例2〜9)
次に、研磨条件(遊離砥粒の粒径)、ケイフッ酸による表面処理時間を変化させて、ガラス基板の表面粗さを変化させた他は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、これらを実施例2〜17、比較例2〜9として、それぞれの場合について、ガラス基板主表面の表面粗さRmax(nm)、Ra(nm)、Rmax/Ra、B.H.(2.5) /Rmax、B.H.(5.0) /Rmax、静止摩擦係数、グライド高さ(μインチ)、CSS耐久特性を図6の表2にまとめて示した。
【0104】
なお、実施例2〜17、比較例2〜9における磁気ディスクの保磁力、S/N比を測定したが、2200Oe以上、18dB以上という良好な値を示していた。比較例4では、ガラス基板の主表面の表面粗さRmaxが5.0nm未満となったことにより、鏡面状態になったために磁気ヘッドが磁気ディスクに吸着してしまった。比較例2では、ガラス基板の主表面の表面粗さRmaxが25.0nmを超えたことにより、グライド高さが1.2μミクロンを越えた。
【0105】
比較例6では、ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.2nm未満となったことにより、摩擦係数が3以上になったためにヘッドクラッシュを生じた。比較例3では、ガラス基板の主表面の表面粗さRaが2.5nmを超えたことにより、グライド高さが1.2μインチを越えた。比較例5では、Rmax/Raが5未満となったことにより、摩擦係数が3以上になったためにヘッドクラッシュを生じた。また、B.H.(2.5) /RmaxおよびB.H.(5.0) /Rmaxがそれぞれ0.5および0.45より大きな値となっている。
【0106】
比較例7及び比較例8では、Rmax/Raが35を超えたことにより、CSS耐久性が低くなりヘッドクラッシュを生じた。また、B.H.(2.5) /RmaxおよびB.H.(5.0) /Rmaxが0.1より小さな値となっている。比較例8では、遊離砥粒の粒径を0.3μm未満としたことにより、表面粗さが小さくなったためにCSS耐久性が悪くなった。比較例9では、遊離砥粒の粒径が3.0μmを超えたことにより、表面粗さが大きくなったためにグライド高さが1.2μインチを越えた。
【0107】
以上の結果から、1.2μインチ以下の浮上高さで記録再生され、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクを得るためには、磁気ディスク用ガラス基板の表面粗さを本発明で規定する範囲にすること、また、製造する際にはケイフッ酸による表面処理前のファイナル研磨における遊離砥粒の粒径を所定の範囲にしなけれなならないことがわかった。
【0108】
ケイフッ酸濃度の最適化(実施例1、実施例18〜21、比較例10〜12)次に、ファイナル研磨後のケイフッ酸による表面処理におけるケイフッ酸濃度を変化させた他は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、これらを実施例1、実施例24〜27、比較例18〜20として、それぞれの場合について、ガラス基板主表面の表面粗さRmax(nm)、Ra(nm)、Rmax/Ra、静止摩擦係数、グライド歩留まりを図7の表3にまとめて示した。なお、ここで、グライド歩留まりは、各条件で作製した磁気ディスクをそれぞれ100枚用意し、グライドヘッド1.2μインチ浮上高さで検査したときヒットした磁気ディスクを不良とした。また、実施例18〜21、比較例10〜12における磁気ディスクの保磁力、S/N比を測定したが、2200Oe以上、18dB以上という良好な値を示していた。
【0109】
比較例11では、ケイフッ酸濃度が3.0重量%を超えたためにエッチングの制御性が悪く表面粗さのバラツキが大きくなったことにより、再現性の良い作製ができなかった。比較例10では、ケイフッ酸濃度を0.15重量%未満となったために十分なエッチング効果が得られなかったことにより、ガラス基板主表面の表面粗さが鏡面になり磁気ヘッドが吸着してしまった。比較例12では、第1処理のケイフッ酸濃度を0.15重量%未満としたが、第2処理の濃度を高くする事により適度な粗さが得られたが、バラツキが大きく歩留まりが低かった。
【0110】
以上の結果から、ケイフッ酸濃度を所定の範囲(0.15〜3.0重量%)にすることにより、高精度の表面粗さを制御することが可能となり、安定した磁気ディスクを供給でき、1.2μインチ以下のグライド高さを有し、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクが得られた。
【0111】
ファイナル研磨後のガラス基板の表面粗さの最適化(実施例1、実施例22〜27、比較例13〜15)次に、研磨条件を変化させてファイナル研磨後のガラス基板の表面粗さを変化させたほかは、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、これらを実施例1、実施例22〜27、比較例13〜15として、それぞれの場合について、ガラス基板主表面の表面粗さRmax(nm)、Ra(nm)、Rmax/Ra、静止摩擦係数、グライド高さ(μインチ)、CSS耐久特性を図8の表4にまとめて示した。なお、実施例1、実施例22〜27、比較例13〜15における磁気ディスクの保磁力、S/N比を測定したが、2000Oe以上、18dB以上という良好な値を示していた。
【0112】
比較例13では、ファイナル研磨後のガラス基板主表面の表面粗さがRmaxで1.0nm未満、Raで0.1nm未満となったことにより、ケイフッ酸処理後も粗さが小さく摩擦係数が3を越えた。比較例14では、ファイナル研磨後のガラス基板主表面の表面粗さがRaで1.0nmを超えたために、ケイフッ酸処理後のRaが2.5nm以上になったのでCSS耐久性が低くなりヘッドクラッシュを生じた。比較例15では、Rmax及びRaが大きいため、グライドハイトが1.2μインチ以上となった。
【0113】
以上の結果から、ファイナル研磨後のガラス基板の表面粗さを所定の粗さにすることにより、最終的に得られるガラス基板表面の凸部のばらつきを抑えることができ、1.2μインチ以下のグライド高さを有し、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクが得られた。
【0114】
ガラス基板の硝種(実施例28、比較例16〜17)次に、ガラス基板をアルミノシリケートガラス(実施例28)、石英ガラス(比較例16)、ソーダライムガラス(比較例17)にかえ、これらのガラス基板表面を所定の表面粗さにするために研磨条件、ケイフッ酸による表面処理条件を適宜変化させたほかは、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製した。なお、上述の実施例28に使用したアルミノシリケートガラスの組成は、SiO2 :64.0重量%、Al2 O3 :16.0重量%、Na2 O:9.0重量%、Li2O:7.0重量%、ZrO2:4.0重量%、上述の比較例17に使用したソーダライムガラスの組成は、SiO2 :72.5重量%、Na2 O:15.0重量%、Al2 O3 :1.0重量%、CaO:9.0重量%、MgO:2.5重量%のガラスを使用した。
【0115】
その結果、実施例28では、表面粗さがRa=1.2nm、Rmax=11.0nmとなり、摩擦係数が1.9でCSS耐久性も良好であったが、比較例16と17の表面粗さは、前記実施例1〜28とは大きく異なる形状となり、静止摩擦係数も3以上となりCSS耐久特性においても良好な結果が得られなかった。このように、ガラスの硝種によって突起のでき方が違う理由について、上記実施例と、比較例16、17との結果から考察すると、ガラス基板表面を遊離砥粒による研磨工程では、水に含まれるH+ と、ガラスに含まれるアルカリイオン(Na+ 、Li+ )の交換反応が起きていると考えられるが、その交換反応によってガラスのネットワークを形成しているSiやAlにOHがついたようなエッチングされやすい水和層が形成される。その水和層に、遊離砥粒によって加わる応力の違いによって応力分布(応力の大きい部分はエッチング速度が小さくなり、応力の小さい部分はエッチング速度が大きい)が形成され、エッチング速度の違いによって凹凸が形成されると考えられる。この水和層の形成されやすさが凹凸(突起)の形成に関係し、これはガラスの硝種の違いによるものと考えられる。上述の比較例16では、ガラスにアルカリ金属酸化物が含まれていないため、水和層が形成されず、凹凸が形成されなかったといえる。比較例17でガラスに凹凸が形成されなかった理由について考察した結果、比較例17のガラスに含まれているアルカリ土類酸化物(CaO,MgO)が凹凸の形成に何か関わっていると考え、アルカリ土類酸化物の効果について検討を行った。図9の表5に示すガラスはアルカリ土類酸化物の含有量が異なる7種のガラス素材である。このガラス素材を、実施例1と同じ方法によりケイフッ酸処理を行ってガラス基板を作製した。尚、ケイフッ酸処理前のガラス基板表面、およびケイフッ酸処理後のガラス基板表面は、原子間力顕微鏡(AFM)で観察を行った。その結果、TiO2を含まないガラス基板(ガラスA〜D)の場合、アルカリ土類酸化物(MgO、CaO)の含有量が2mol%以上(1.6wt%以上)含むガラス基板(ガラスC,D)は、上記の実施例に示したような表面の荒れは顕著ではなくなり、凸部は形成しずらいことが確認された。一方、TiO2を含むガラス基板(E〜G)の場合は、アルカリ土類酸化物(MgO、CaO)の含有量の合計が3mol%以上(2.4重量%以上)含むガラス(ガラスG)は、上記の実施例に示したような表面の荒れは顕著でなくなり、凸部は形成しずらいことが確認された。以上の結果から、本発明の製造方法によって凸部を形成するためのガラス組成は遊離砥粒による研摩工程の際、ガラス基板表面に水和層を形成するために、少なくともアルカリ金属酸化物を含有するものであって、且つ,上述の水和層を形成するためのアルカリイオンの交換反応を阻害してしまう。アルカリ土類酸化物の含有量が3mol%未満(2.4重量%未満)であることが望ましいことがわかった。より好ましくは、前記アルカリ土類酸化物の含有量の合計が2mol%未満(1.6wt%未満)が望ましい。
【0116】
又,ケイフッ酸処理によるガラス基板のエッチング速度が大きすぎると凹凸(特に凸部の形状)を制御することが困難となるので、好ましいエッチング速度を得るためには、ガラス基板に含まれるSiO2の含有量(TiO2を含むガラスの場合は、SiO2+TiO2の合計量)が65mol%以上とすることが望ましい。したがって、本発明の製造方法に使用するガラスとしては、上記の条件を満たすものであれば良く、さらに、ガラス基板の機械的強度を向上させるために、化学強化を可能にする点などを考慮すると、その組成比は、SiO2 :58〜75重量%、Al2 O3 :5〜23重量%、Li2 O:3〜10重量%、Na2 O:4〜13重量%を主成分として含む材料からなるものであればよく、さらには、望ましくはアルカリ土類金属(酸化物)を含まないガラスであることが望ましいことがわかった。特に、上述したような研磨条件、ケイフッ酸による表面処理条件においては、請求項13に規定されるようなアルミノシリケートガラスであることが好ましい。しかし、請求項12〜13に規定されるガラス以外のガラス基板であっても、研磨条件、表面処理条件を選択することによって、請求項1〜3に規定するような表面粗さの条件にすることによって、グライド高さが1.2μインチ以下で、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスクが得られる。また、請求項1〜3に規定するような表面粗さを有しない非常に平滑なガラス基板であっても、ガラス基板の主表面上に微小突起を形成し、請求項1〜3の表面粗さにすれば、本発明と同様の効果が得られる。
【0117】
上述では、所望のグライド高さ、摩擦係数、CSS耐久性を得るための磁気記録媒体用ガラス基板の表面粗さ範囲を中心に説明したが、以下では研磨条件(研磨砥粒)、表面処理条件(ケイフッ酸濃度、ケイフッ酸への浸漬時間、ケイフッ酸処理温度)が、磁気記録媒体用ガラス基板の表面粗さにどのように影響があるかを調べ、ここの表面粗さパラメータの制御の方法を説明する。図10、図11は、砥粒の粒径を変えた場合のケイフッ酸への浸漬時間とRmaxとの関係、ケイフッ酸への浸漬時間とRaとの関係を示すグラフである。尚、このときのケイフッ酸濃度及び温度は一定で、それぞれ0.28重量%、45℃とする。図10に示すように、Rmaxは砥粒の粒径にはよらず、ケイフッ酸への浸漬時間とRmaxと相関があり、ケイフッ酸への浸漬時間を調整することによってRmaxを制御することができることを示している。また、図11に示すように、ケイフッ酸への浸漬時間によって(浸漬時間が例えば180sec)砥粒の粒径とRaと相関があり、砥粒の粒径を調整することによってRaを制御することができることを示している。また、ケイフッ酸濃度とケイフッ酸処理温度は、エッチング速度と関係があり、それぞれ濃度、温度が高くなるに従ってエッチング速度が速くなり、表面粗さRmaxが大きくなる傾向がある。実際に、本発明の製造方法によって磁気記録媒体用ガラス基板を製造する場合、ケイフッ酸濃度とケイフッ温度の変動によって、大きく表面粗さが変化するので、常に一定のエッチング速度を保つように、ケイフッ酸濃度、ケイフッ酸処理温度を監視する必要がある。特にケイフッ酸濃度は、導電率と相関があり、導電率を監視し、制御することによりエッチング速度を正確に制御することができる。また、上述の実施例では、主にCSS方式で使用する磁気記録媒体について挙げたが、ロード・アンロード方式で使用される代表的な磁気記録媒体用ガラス基板、及び磁気記録媒体を作製した例を以下に示す。実施例1における研磨砥粒の粒径、表面処理条件(ケイフッ酸濃度、ケイフッ酸処理温度、ケイフッ酸への浸漬時間)を適宜調整して、Rmax=4.3nm、Ra=0.46nm、Rmax/Ra=9.3の表面粗さを有する磁気記録媒体用ガラス基板を作製した。得られたガラス基板上に、実施例1と同様にシード層、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を成膜して磁気記録媒体を得た。この得られた磁気記録媒体は、保磁力、S/N比ともに良好で、グライド特性も良好で、ヘッドクラッシュ等がなく浮上特性も良好であった。以上、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施例におけるケイフッ酸による表面処理を2段階に分けて行ったが、1回の表面処理工程でもよく、また3回以上の表面処理工程に分けて行っても良い。
【0118】
また、本発明のガラス基板は化学強化用ガラスを用い、化学強化工程をケイフッ酸による表面処理後に行ったが、化学強化処理後にケイフッ酸による表面処理を行っても良い。その場合、ガラス基板を遊離砥粒による研磨をし、ガラス基板表面を化学強化した直後に、上述のケイフッ酸による表面処理を行う場合、化学強化することによって、ガラス基板表面に遊離砥粒によって形成された残留歪みが化学強化の応力に埋もれてしまうので、表面粗さを制御できなくなるので好ましくないが、化学強化工程→遊離砥粒による研磨処理→ケイフッ酸による表面処理のように、化学強化処理工程とケイフッ酸による表面処理工程との間(ケイフッ酸による表面処理の直後)に遊離砥粒による研磨処理工程を入れることによって、上述と同様の結果が得られる。また、本発明によって作製されるディスクはCSS方式に限らず、ゾーンテクスチャー方式や、ロード・アンロード方式に於いても使用する事ができる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときに特定の状態になるようにすることにより、1.2μインチ以下のグライド高さを有し高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性が得られる磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体を得ることを可能にし、また、主表面の表面粗さが原子間力顕微鏡で測定ときに所定の表面粗さ状態であるガラス基板をさらにケイフッ酸等によって化学処理して上記特定の表面粗さ状態にすることを可能にしているものである。また、原子間力顕微鏡(AFM)により特定したRa、Rmax、Rmax/Raや、ベアリングレシオが特定の値を有する等高面のベアリング高さとRmaxの比が特定の範囲になるように、ガラス基板の主表面の表面粗さを管理することによって、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満足する磁気ディスク等に使用する磁気記録媒体用ガラス基板を得ることを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の主表面の原子間力顕微鏡(AFM)による測定写真を示す図である。
【図2】図1に示される表面上における特定の直線上の表面凹凸の測定曲線を示す図である。
【図3】図1に示した表面凹凸のベアリングカーブを示す図である。
【図4】AFMによる測定で凸部の密度が既知の磁気ディスクについてB.H./Rmaxを計算した結果をまとめた表1を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る磁気ディスクの構成を示す模式的断面図である。
【図6】実施例1〜17及び比較例1〜9の磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久特性の評価結果をまとめた表2を示す図である。
【図7】実施例1、18〜21及び比較例10〜12の磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久性の評価結果をまとめた表3を示す図である。
【図8】実施例1、22〜27及び比較例13〜15の磁気ディスクの電磁変換特性及びCSS耐久性の評価結果をまとめた表3を示す図である。
【図9】ガラス基板を構成する各種のガラスの組成をまとめた表5を示す図である。
【図10】砥粒の粒径を変えた場合のテイフッ酸への浸漬時間とRmaxとの関係を示すグラフである。
【図11】砥粒の粒径を変えた場合のケイフッ酸への浸漬時間とRaとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…シード層、3…下地層、4…磁性層、5…保護層、6…潤滑層 。
Claims (6)
- 少なくともアルカリ金属酸化物と3molパーセント未満のアルカリ土類酸化物とを含有するアルミノシリケートガラスからなるガラス基板であって、
前記ガラス基板の主表面は鏡面状態に研磨され、エッチング処理により形成されたテクスチャーを備え、
前記テクスチャーは、その表面を原子間力顕微鏡(AFM)で測定したとき、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax=5〜25nm、Rmax/Ra=5〜35であり、且つ、B.H.(2.5)/Rmax=0.1〜0.5である凹凸、又は、B.H.(5.0)/Rmax=0.1〜0.45である凹凸を備えて磁気ヘッドとの吸着を防止するとともに、グライド高さが30.48nm以下とされることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。但し、前記磁気記録媒体用ガラス基板の主表面を完全に平坦にしたと仮定した場合の仮想主表面に平行な面を等高面とし、この等高面によって前記磁気記録媒体用ガラス基板の主表面に形成されている凹凸を切断した場合において、この切断面の面積の和の値に対する前記仮想主表面の全体の面積の値の割合を百分率で表したものをベアリングレシオと定義し、前記ベアリングレシオが50%である等高面を基準面とし、この基準面から各ベアリングレシオを有する等高面までの距離をベアリング高さと規定し、さらにベアリングレシオ2.5%である等高面のベアリング高さをB.H.(2.5)、ベアリングレシオ5.0%である等高面のベアリング高さをB.H.(5.0)とするものとする。 - 請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板であって、
SiO 2 を58〜75重量%、Al 2 O 3 を5〜23重量%、Li 2 Oを3〜10重量%、Na 2 Oを4〜13重量%、を主成分として含有するアルミノシリケートガラスからなることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。 - 請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板であって、
前記テクスチャーにおける凹凸の凸部は、前記ガラス基板表面の残留応力分布において、相対的に高い残留歪みを備えることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層が形成されていることを特徴とする、グライド高さが30.48nm以下である磁気記録媒体。
- CSS(コンタクト・スタート・ストップ)方式の磁気記録媒体となされる請求項4に記載の磁気記録媒体。
- ロード・アンロード方式の磁気記録媒体となされる請求項4に記載の磁気記録媒体。
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