JP2951571B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法

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  • Magnetic Record Carriers (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハードディスクなどに
用いられる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁
気ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク用ガラス基板としては、ア
ルミニウム基板が多く用いられていたが、磁気ディスク
の小型化、薄板化や磁気ヘッドの低浮上化の要請に伴
い、アルミニウム基板に比べ小型化、薄板化が容易で平
坦度が高く磁気ヘッドの低浮上化が容易であるため、ガ
ラス基板を用いる割合も増えてきている。
【0003】このように、ガラス基板を磁気ディスク用
基板として用いる場合には、耐衝撃性や対振動性を向上
させ衝撃や振動によって基板が破損するのを防止する目
的で、ガラス基板の表面に低温イオン交換法による化学
強化処理を施すのが一般的である。
【0004】また、化学強化処理後のガラス基板には溶
融塩が付着しているため、洗浄処理される。従来、化学
強化処理後の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄は、例え
ば、特開平2−285508号公報に記載されているよ
うに、アルカリ性洗浄剤、純水、有機溶剤等を用いて行
われている。
【0005】ところで、磁気ディスクの高記録密度化に
伴って、磁気ディスクと磁気ヘッドとの距離(スペーシ
ング)は、益々狭い値が要求されてきている。したがっ
て、磁気ディスク表面の突起の原因となるガラス基板上
の異物の完全なる除去が急務の課題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の洗浄方法では、一定の洗浄効果が得られるもの
の、特に、化学強化処理液からガラス基板を引き上げた
後に洗浄したとしても、ガラス基板上に残存する析出溶
融塩の完全なる除去が困難であった。
【0007】本発明は上記問題点にかんがみてなされた
ものであり、ガラス基板に損傷を与えることなく、析出
溶融塩を効果的に除去できる磁気ディスク用ガラス基板
の製造方法及び磁気ディスク用の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、加
熱した化学強化処理液にガラス基板を浸漬し、ガラス基
板表層のイオンを化学強化処理液中のイオンでイオン交
換してガラス基板を化学強化する工程と、化学強化処理
液から引き上げたガラス基板の表面を、酸を含む洗浄剤
で洗浄する工程とを含む構成としてある。
【0009】また、本発明の磁気ディスク用ガラス基板
の製造方法は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方
法において、酸を含む洗浄剤が、硫酸及び/又はリン酸
を含む洗浄剤である構成、硫酸及び/又はリン酸を含む
洗浄剤が、過酸化水素を含む構成、あるいは、化学強化
処理液を塩の融点以上の温度に加熱して化学強化し、ガ
ラス基板を引き上げ300℃〜150℃の温度まで徐冷
し、これを冷媒に接触させてガラス基板を急冷し、その
後洗浄を行う構成としてある。
【0010】さらに、本発明の磁気ディスクの製造方法
は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を用いて
得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁
性層を形成した構成としてある。
【0011】
【作用】本発明では、化学強化処理液から引き上げられ
たガラス基板を硫酸及び/又はリン酸等を含む洗浄剤で
洗浄しているので、ガラス基板に損傷を与えることな
く、析出溶融塩を効果的に除去できる。
【0012】また、本発明の磁気ディスクの製造方法に
よれば、析出溶融塩が完全に除去されるとともに表面に
ガラス基板の損傷による微細なキズのない磁気ディスク
用ガラス基板を使用しているので、欠陥の少ない高品質
の磁気ディスクを高歩留まりで製造できる。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造
方法においては、まず、加熱した化学強化処理液にガラ
ス基板を浸漬し、ガラス基板表層のイオンを化学強化処
理液中のイオンでイオン交換してガラス基板を化学強化
する。
【0015】ここで、イオン交換法としては、低温型イ
オン交換法、高温型イオン交換法、表面結晶化法、ガラ
ス表面の脱アルカリ法などが知られているが、ガラス転
移点(ガラスの軟化)の観点から、低温型イオン交換法
を用いることが好ましい。
【0016】低温型イオン交換法は、ガラスの転移温度
Tg以下の温度域で、ガラス中のアルカリイオンを、そ
れよりもイオン半径の大きいアルカリイオンと置換し、
イオン交換部の容積増加によってガラス表層に強い圧縮
応力を発生させてガラス表面を強化する方法である。
【0017】化学強化処理液としては、硝酸カリウム
(KNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、炭酸カリ
ウム(K2CO3)などの溶融塩や、これらの塩を混合し
たもの(KNO3+NaNO3、KNO3+K2CO3
ど)の溶融塩、あるいは、これらの塩にCu、Ag、R
b、Csなどのイオンの塩を混合したものの溶融塩等が
挙げられる。
【0018】加熱温度は、ガラス転移点の観点から、3
50℃〜650℃、特に350℃〜500℃、さらには
350℃〜450℃であることが好ましい。
【0019】浸漬時間は、抗折強度と圧縮応力層の観点
から、1時間〜20時間程度とすることが好ましい。
【0020】ガラス基板表層に形成する圧縮応力層の厚
さは、耐衝撃性や耐振動性を高めるという観点から、6
0〜300μm程度とすることが好ましい。
【0021】ガラス基板を溶融塩に浸漬する前に、ガラ
ス基板の割れやひびを防止するため、ガラス基板を20
0〜350℃に予熱しておくことが好ましい。
【0022】化学強化工程においては、ガラス基板を端
面で保持して化学強化を行うことが好ましい。これは、
ガラス基板の表面全体を化学強化するためである。
【0023】本発明では、上記化学強化の後、化学強化
処理液からガラス基板を引き上げ、熱歪みの発生を抑え
ることができるように所定温度まで徐冷することが好ま
しい。このように徐冷することにより、熱歪みによるダ
メージからガラス基板を解放できる。
【0024】ガラス基板を徐冷する速度は、2℃/分〜
100℃/分、特に5℃/分〜60℃/分、さらには1
0℃/分〜50℃/分であることが好ましい。
【0025】本発明では、上記徐冷の後、ガラス基板表
面に析出する溶融塩の結晶化を阻止する速度でガラス基
板を急冷することが好ましい。このように、ガラス基板
を急冷すると、析出する溶融塩が脆弱となり、後述する
酸洗浄による洗浄効果がより向上する。
【0026】ガラス基板を急冷する速度は、1600℃
/分〜200℃/分、特に1200℃/分〜300℃/
分、さらには800℃/分〜400℃/分であることが
好ましい。
【0027】ガラス基板の急冷は、ヒートショック(不
良品識別)の観点から、好ましくは100℃〜0℃、さ
らに好ましくは40℃〜10℃の冷媒に接触させて行う
ことが好ましい。
【0028】ガラス基板を冷媒に接触させる時間は、洗
浄性の観点から、10分〜60分程度であることが好ま
しい。
【0029】冷媒としては、水、温水、溶液などの液体
冷媒、窒素ガス、水蒸気、冷却空気などの気体冷媒のほ
か、エアの吹き付けなどが挙げられる。
【0030】本発明では、上記冷却工程の後、ガラス基
板表面を洗浄して、ガラス基板に付着した析出溶融塩を
除去する。
【0031】洗浄は、加熱した硫酸、リン酸、硝酸、フ
ッ酸、塩酸などの酸や、これらの酸の混酸、あるいはこ
れらの酸にこれらの酸の塩(フッ化アンモニウム、硝酸
カリウムなど)を加えた洗浄剤にガラス基板を浸漬して
行う。この場合、超音波を印加しつつ洗浄を行ってもよ
い。
【0032】なお、これらの洗浄剤のうちでも、析出溶
融塩の洗浄効果の面で、硫酸及び/又はリン酸を含む洗
浄剤が好ましい。この場合、硫酸及び/又はリン酸を含
む洗浄剤に、過酸化水素を加え反応により発熱させて洗
浄を行うと、洗浄効果が向上するので好ましい。
【0033】酸洗浄は、同一又は異なる酸の洗浄層を複
数設け、ガラス基板を順次浸漬して行なってもよい。
【0034】酸の濃度は、洗浄効果を考慮して決定され
る。使用する酸によって最適濃度が異なるが、例えば、
硫酸を用いる場合は、1〜20wt%程度が好ましく、
2〜10wt%程度がさらに好ましい。
【0035】酸の加熱温度は、40〜100℃程度が好
ましく、40〜70℃程度がさらに好ましい。
【0036】酸洗浄時間は、0.5〜5分程度が好まし
く、1〜3分程度がさらに好ましい。
【0037】また、酸洗浄の後に、市販の洗浄剤(中性
洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤など)による洗
浄、スクラブ洗浄、純水洗浄、溶剤洗浄、溶剤蒸気乾
燥、遠心分離乾燥等の公知の洗浄処理を行っても良い。
また、各洗浄では、加熱や超音波印加を行ってもよい。
【0038】超音波は、ある周波数範囲で発振する多周
波数型のもの、あるいは、一定の周波数で発振する固定
周波数型のもののいずれであってもよい。周波数は低い
ほど洗浄効果は高いが、ガラス基板に与えるダメージも
大きくなるので、これらのことを考慮して決定する。
【0039】蒸気乾燥は、乾燥速度が速いので乾燥によ
るシミが発生しにくい。蒸気乾燥に用いる溶剤として
は、イソプロピルアルコール、フロン、アセトン、メタ
ノール、エタノールなどが挙げられる。
【0040】ガラス基板としては、イオン交換可能なガ
ラス基板であれば特に制限されない。また、ガラス基板
のサイズ、厚さ等は特に制限されない。
【0041】ガラス基板の材質としては、例えば、アル
ミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダア
ルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、
ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケー
トガラスなどが挙げられる。なお、アルミノシリケート
ガラスは、酸洗浄による影響が少なく、耐衝撃性や耐振
動性に優れるため特に好ましい。
【0042】アルミノシリケートガラスとしては、Si
2:62〜75重量%、Al23:5〜15重量%、
Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%、
ZrO2:5.5〜15重量%を主成分として含有する
とともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.
0、Al23/ZrO2の重量比が0.4〜2.5であ
る化学強化用ガラス、あるいは、SiO2:62〜75
重量%、Al23:5〜15重量%、B23:0.5〜
5重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜1
2重量%、MgO:0.5〜5重量%、CaO:0.5
〜5重量%、Sb23:0.01〜1.0重量%を主成
分として含有する化学強化用ガラス等が好ましい。この
ようなアルミノシリケートガラスは、化学強化すること
によって、耐熱性に優れ、高温環境下であってもNaの
析出が少ないとともに平坦性を維持し、ヌープ硬度にも
優れる。
【0043】上記本発明の磁気ディスク用ガラス基板の
製造方法は、光磁気ディスク用のガラス基板や、異常突
起物や微細なキズを嫌う光メモリディスクなどの電子光
学用ディスク基板の洗浄処理方法としても利用できる。
【0044】次に、本発明の磁気ディスクの製造方法に
ついて説明する。
【0045】本発明の磁気ディスクの製造方法は、上述
した磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を用いて得ら
れた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層
を形成する。
【0046】本発明では、表面に溶融塩残留物や微細な
キズのないガラス基板を使用しているので、磁気ディス
クとしても高品質である。すなわち、従来に比べはるか
に表面状態の良いガラス基板を使用することによって、
磁気ディスクとした場合に溶融塩残留物に起因するベッ
ドクラッシュを起こすことがなく、磁性層等の膜にキズ
に起因する欠陥が発生しエラーの原因となるということ
もない。
【0047】磁気記録媒体は、通常、磁気ディスク用ガ
ラス基板上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次
積層して製造する。
【0048】磁気記録媒体における、下地層としては、
例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、Alなどの非磁
性薄膜が挙げられ、Al/Cr/CrMo、Al/Cr
/Cr等の多層下地層としもよい。
【0049】磁性層としては、例えば、Coを主成分と
するCoPtCrやCoNiCrTaなどの磁性薄膜が
挙げられ、磁性層を非磁性膜で分割してノイズの低減を
図ったCoPtCr/CrMo/CoPtCr等の多層
構成としもよい。なお、磁性層は、水平磁気記録、垂直
磁気記録のいずれの磁性層でもよい。
【0050】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合
金膜、炭素膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられ
る。これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにイン
ライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、こ
れらの保護膜は、単層としてもよく、あるいは、同一又
は異種の膜からなる多層構成としてもよい。上記保護層
上にはさらに他の保護層を形成してもよい。例えば、上
記保護層上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶
媒で希釈して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(Si
2)膜を形成してもよい。
【0051】潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパー
フロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶
媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を
行って形成する。
【0052】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明をさらに具体
的に説明する。
【0053】実施例1
【0054】磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、
大別すると(1)研削、研磨工程、(2)化学強化工
程、(3)冷却工程、(4)洗浄工程に分けられる。(1)研削、研磨工程 まず、溶解成形法によってアルミノシリケイトガラスか
らなるシートガラスを形成する。アルミノシリケイトガ
ラスとしては、SiO2:62重量%、Al23:15
重量%、Li2O:10重量%、Na2O:10重量%、
ZrO2:2重量%を主成分として含有する化学強化用
ガラスを使用した。
【0055】次いで、研削砥石を使ってシートガラスか
ら円盤状にガラスを切り出す。次に、砂かけによって表
面と裏面を研削する。そして円盤状にガラス基板の中央
部を穿孔し、砥石で穿孔された内周面と外周面を研磨し
て外径寸法及び内径寸法を定めるとともに、内周面と外
周面の面取りを行う。そして、研磨工程の最後として表
面及び裏面に精密研磨を施して仕上げる。このようにし
て円盤状ガラス基板を得た。
【0056】(2)化学強化工程 次に、上記研削、研磨工程を終えたガラス基板を洗浄
後、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(6
0%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化
処理液を用意し、この化学強化処理液を400℃に加熱
し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基板を約3
時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表
面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス
基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態
で行った。
【0057】このように、化学強化処理液に浸漬処理す
ることによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナ
トリウムイオンは、化学強化処理液中のナトリウムイオ
ン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強
化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の
厚さは、約100〜200μmであった。
【0058】(3)冷却工程 上記化学強化を終えたガラス基板を、第一、第二徐冷室
で順次徐冷する。まず、化学強化処理液からガラス基板
を引き上げ、300℃に加熱されている第一徐冷室に移
送し、この中で約10分間保持して300℃にガラス基
板を徐冷する。ついで、第一徐冷室から200℃に加熱
されている第二徐冷室にガラス基板を移送し、300℃
から200℃までガラス基板を徐冷する。このように二
段階に分けて徐冷することにより、熱歪みによるダメー
ジからガラス基板を開放できる。次に、上記徐冷を終え
たガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し約20
分間維持した。
【0059】(4)洗浄工程 上記冷却工程を終えたガラス基板を、約65℃に加熱し
た濃度8wt%の硫酸に2分浸漬し、超音波(周波数4
0kHz)をかけながら酸洗浄を行い、主として析出溶
融塩の除去を行った。次いで、ガラス基板を、中性洗
剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアル
コール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬し
て洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波(周波数40k
Hz)を印加した。
【0060】以上の工程を経て製造された磁気ディスク
用ガラス基板の表面を、ハロゲンランプで15万ルクス
で照らして、目視検査したところ、異物は最大限で5個
以内しか認められなかった。
【0061】(5)磁気ディスク製造工程 上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板
の両面に、インライン式のスパッタリング装置を用い
て、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCr磁性
層、C保護層を順次成膜して磁気ディスクを得た。
【0062】得られた磁気ディスクについてグライドテ
ストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク
表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気
ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかっ
た。また、磁性層等の膜に欠陥が発生していないことも
確認できた。
【0063】実施例2 硫酸洗浄の代わりに、約40℃に加熱した濃度10wt
%のリン酸に2分浸漬し、超音波(周波数32kHz)
をかけながら酸洗浄を行ったこと以外は実施例1と同様
にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを
得た。
【0064】その結果、硫酸洗浄に比べやや効果が少な
かった。
【0065】実施例3〜4 濃度35wt%の過酸化水素を酸に加えたたこと以外は
実施例1〜2と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板
及び磁気ディスクを得た。
【0066】このように過酸化水素を加えることによ
り、酸を外部から加熱することなしに、実施例1〜2と
同様の洗浄効果が得られた。
【0067】実施例5〜6 アルミノシリケートガラスの代わりにソーダライムガラ
ス(実施例5)、ソーダアルミノケイ酸ガラス(実施例
6)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、磁気デ
ィスク用ガラス基板及び磁気ディスクを得た。
【0068】その結果、アルミノシリケートガラスに比
べ圧縮応力層は浅くなるが、実用上問題はなかった。
【0069】実施例7 実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面
に、Al(膜厚50オングストローム)/Cr(100
0オングストローム)/CrMo(100オングストロ
ーム)からなる下地層、CoPtCr(120オングス
トローム)/CrMo(50オングストローム)/Co
PtCr(120オングストローム)からなる磁性層、
Cr(50オングストローム)保護層をインライン型ス
パッタ装置で形成した。
【0070】上記基板を、シリカ微粒子(粒経100オ
ングストローム)を分散した有機ケイ素化合物溶液(水
とIPAとテトラエトキシシランとの混合液)に浸し、
焼成することによってSiO2からなる保護層を形成
し、さらに、この保護層上をパーフロロポリエーテルか
らなる潤滑剤でディップ処理して潤滑層を形成して、M
Rヘッド用磁気ディスクを得た。
【0071】得られた磁気ディスクについてグライドテ
ストを実施したところ、ヒットやクラッシュは認められ
なかった。また、磁性層等の膜に欠陥が発生していない
ことも確認できた。
【0072】実施例8 下地層をAl/Cr/Crとし、磁性層をCoNiCr
Taとしたこと以外は実施例7と同様にして薄膜ヘッド
用磁気ディスクを得た。
【0073】上記磁気ディスクについて実施例7と同様
のことが確認された。
【0074】比較例1 急冷を行わず、徐冷を終えたガラス基板を自然冷却した
こと以外は実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラ
ス基板及び磁気ディスクを得た。
【0075】磁気ディスク用ガラス基板の表面を、実施
例1と同様に目視検査したところ、100〜10個程度
の異物が認められた。また、得られた磁気ディスクにつ
いてグライドテストを実施したところ、ヒット(20%
程度認められた)やクラッシュが認められた。
【0076】以上好ましい実施例をあげて本発明を説明
したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるもの
ではない。
【0077】例えば、洗浄工程において、中性洗剤の代
わりに、市販の界面活性剤や洗浄剤(アルカリタイプの
ものを含む)を用いることもできる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように本発明の磁気ディス
ク用ガラス基板の製造方法によれば、化学強化処理液か
ら引き上げられたガラス基板を酸を含む洗浄剤で洗浄し
ているので、ガラス基板に損傷を与えることなく、析出
溶融塩を効果的に除去できる。
【0079】また、本発明の磁気ディスクの製造方法に
よれば、析出溶融塩が完全に除去されるとともに表面に
微細なキズのない磁気ディスク用ガラス基板を使用して
いるので、欠陥の少ない高品質の磁気ディスクを高歩留
まりで製造できる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱した化学強化処理液にガラス基板を
    浸漬し、ガラス基板表層のイオンを化学強化処理液中の
    イオンでイオン交換してガラス基板を化学強化する工程
    と、 化学強化処理液から引き上げたガラス基板の表面を、酸
    を含む洗浄剤で洗浄する工程とを含むことを特徴とする
    磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸を含む洗浄剤が、硫酸及び/又はリン
    酸を含む洗浄剤であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 硫酸及び/又はリン酸を含む洗浄剤が、
    過酸化水素を含むことを特徴とする請求項2記載の磁気
    ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 化学強化処理液を塩の融点以上の温度に
    加熱して化学強化し、ガラス基板を引き上げ300℃〜
    150℃の温度まで徐冷し、これを冷媒に接触させてガ
    ラス基板を急冷し、その後洗浄を行うことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガ
    ラス基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁
    気ディスク用ガラス基板の製造方法を用いて得られた磁
    気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成
    したことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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