JP4326825B2 - 化学強化ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

化学強化ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学強化ガラスの製造方法、化学強化ガラス基板の製造方法、および情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報処理機器に代表される電気製品に用いられる強化ガラスには、高い清浄度が求めれる。さらに情報記録媒体用化学強化ガラス基板では、平滑性に優れた基板が要求される。例えば、磁気ディスク記憶装置では、大容量化に伴い、磁気ヘッド浮上高さの低減が図られている。磁気ヘッド浮上高さの低減のためには、表面に突起が存在せず、平滑性に優れた化学強化ガラス基板が必要とされる。このような化学強化ガラス基板上に情報記録膜を形成して、情報記録媒体として供される。情報記録の高密度化のためには、例えばハードディスクドライブでは、磁気ヘッドと情報記録媒体との間隔(フライングハイト)を小さくする必要がある。
【0003】
ハードディスクドライブにおいて、磁気ヘッドと情報記録媒体との衝突は、ガラス基板の表面に存在する突起の存在が原因となる。この突起は、ガラス基板表面に付着した異物が原因で形成される。ガラス基板上の異物除去方法については従来から研究が行われているが、低フライングハイト化が進むにつれて平滑性に関する要求が厳しくなり、従来ならば問題とならないような微小な異物も欠点の原因とされるようになってきた。
【0004】
ガラス基板上の異物の種類としては、微小な鉄粉やステンレス片などの金属を含む粒子がある。例えば、鉄粉などの粒子がガラス基板に付着した状態、あるいは、化学強化処理液中に鉄粉などの粒子がある状態で化学強化処理を行うと、化学強化工程で起こる酸化反応と加熱作用とによって、ガラス基板上にこの粒子が固着して突起が形成されることが分かっている(例えば、特開2001−006168公報参照)。
【0005】
このような鉄粉などの粒子が付着したガラス基板上に、磁性膜等の情報記録膜を形成すると、突起が形成され欠点の原因となる。この突起は、現在知られている一般的なガラス洗浄方法を用いた場合、化学強化工程後における洗浄では、その除去が困難であるということが分かった。したがって、突起形成を抑制するためには、化学強化工程前および強化工程中において、粒子の付着を抑制することが必要である。
【0006】
前者の方法としては、化学強化室内の雰囲気から鉄異物等を除去するために、クリーンルーム内で化学強化工程を行う方法(特開平10−19785号公報、特開2001−072444公報、特開2001−250226公報)が提案されている。
【0007】
また後者の方法としては、化学強化塩中に含まれる鉄粉等を除去するために、フィルタリング等の方法で鉄粉含有量を少なくした強化塩を使用する方法(特開平10−194786号公報、特開2000−203888公報、特開2001−006168公報)、発塵の少ないガラス保持具を使用する方法および発塵の少ない強化槽を使用する方法(特開平11−025454号公報、特開2001−195728公報、特開平07−232935号公報、特開平10−198954号公報)などが提案されている。
【0008】
しかし、いずれの方法も粒子を完全に除去することは不可能であり、僅かに残った粒子が突起を形成してしまい、欠点の原因となってしまうという問題があった。さらに、いずれの方法も複雑な設備を必要とするため、コストがかかるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
化学強化処理前にガラス表面に付着した鉄粉等の粒子、あるいは化学強化液(溶融塩)中に含まれる鉄粉等の粒子が、化学強化処理中にガラス表面に強固に付着し、表面清浄度を悪化させ、製品欠点の原因となる突起を形成してしまうという問題がある。
【0010】
この問題は、特に高い表面清浄度が要求される情報記録媒体用のガラス基板において、解決すべき必要性が高い技術的課題になっている。
【0011】
本発明は、化学強化処理中における鉄粉等の粒子のガラス表面への付着を抑制する化学強化ガラスの製造方法、および情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
化学強化処理前にガラス表面に付着した金属を含む粒子、あるいは化学強化塩中に含まれる鉄粉などは、化学強化処理過程中にガラス表面上に強固に付着して欠点の原因となる。しかし、化学強化処理前に金属を含む粒子を酸化させておくと、例えこの粒子がガラス表面に付着しても、化学強化工程中に強固な付着が起こらず、突起の形成が抑制されることを本発明者は見い出した。
また、化学強化塩中に酸化された金属粒子が含まれる場合にも、化学強化工程中に強固な付着が起こらない。
【0013】
すなわち請求項1に記載の発明として、カリウムを含む化学強化処理液にガラスを接触させて行う化学強化ガラスの製造方法において、前記化学強化処理の前工程として、前記ガラス表面に付着している金属を含む粒子に酸化処理を施し、その後前記ガラスを化学強化し、前記化学強化処理の後工程として、還元剤、キレート剤を含む酸性溶液で前記ガラスを洗浄する化学強化ガラスの製造方法であって、前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載の発明として、
前記金属が鉄であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法である。
【0015】
請求項3に記載の発明として、
前記酸化処理が、前記ガラスを80℃以上400℃以下で加熱する処理であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法である。
【0016】
請求項4に記載の発明として、
前記酸化処理が、前記ガラスを20分を超え10時間以下で加熱する処理であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法である。
【0022】
請求項に記載の発明として、化学強化ガラス基板の製造方法であって、
(a)所定形状のガラス基板を準備する工程、
(b)前記ガラス基板の表面に付着した金属を含む粒子を酸化する工程、
(c)前記ガラス基板をカリウムを含む化学強化処理液に接触させる工程、
(d)前記酸化工程にて酸化された粒子を、還元剤、キレート剤を含む酸性溶液を用いて除去する工程を含み、
前記酸化された粒子を除去する工程(d)において使用する前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)であることを特徴とするものである。
【0023】
請求項に記載の発明として、前記金属が鉄であることを特徴とする請求項に記載の化学強化ガラス基板の製造方法である。
【0024】
請求項に記載の発明として、前記酸化工程は、80℃以上400℃以下に加熱して行うことを特徴とする請求項に記載の化学強化ガラス基板の製造方法である。
【0025】
請求項に記載の発明として、前記酸化工程は、20分を超え10時間以下加熱して行うことを特徴とする請求項に記載の化学強化ガラス基板の製造方法である。
【0031】
請求項に記載の発明として、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
(1)板状のガラス基板をドーナツ状に加工する工程、
(2)前記ドーナツ状基板を平滑研磨する工程、
(3)前記基板を所定の温度以上に加熱する工程、
(4)前記基板をカリウムを含む化学強化処理液に接触させる工程、
(5)前記ガラス基板を、還元剤を含み、キレート剤を添加した酸性溶液を用いて洗浄する工程を含み、
前記ガラス基板を洗浄する工程(5)において使用する前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)であることを特徴とするものである。
【0032】
請求項10に記載の発明として、前記所定の温度が、80℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0033】
請求項11に記載の発明として、前記加熱工程は、20分を超え10時間以下加熱することを特徴とする請求項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はかかる実施の形態に限定されるものではない。
【0041】
(ガラス組成)
本発明に用いるガラスにおける組成は、特に限定されるものではなく、例えば二酸化珪素とアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物を主成分とするソーダライムガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウムおよびアルカリ金属酸化物を主成分とするアルミノシリケートガラス、二酸化珪素とボロン酸化物を主成分とするボロシリケートガラスのほか、酸化リチウムと二酸化珪素を主成分とするLi2O−SiO2系ガラスや、酸化リチウムと二酸化珪素および酸化アルミニウムを主成分とするLi2O−Al23−SiO2系ガラス、アルカリ土類金属酸化物等と酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を主成分とするRO−Al23−SiO2系ガラス(ただし、ROは酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化ストロンチウムSrO、酸化バリウムBaO、酸化亜鉛ZnO、酸化ニッケルNiO、酸化マンガンMnO等)等の結晶化ガラスが挙げられる。
【0042】
ここで、酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物は、酸水溶液中で溶解し易い成分であり、これら成分を適度に含むものはエッチング加工が比較的容易である。そのようなガラスとして、例えば以下の組成成分の含有率で表されるアルミノシリケート系ガラスが挙げられる。なお、以下(%)は、特に注釈のない限りモルパーセント(mol%)を意味する。
【0043】
二酸化珪素(SiO2):55〜70%、
酸化アルミニウム(Al23):1〜12.5%、
酸化リチウム(Li2O):5〜20%、
酸化ナトリウム(Na2O):0〜14%、
酸化カリウム(K2O):0〜3%、
酸化マグネシウム(MgO):0〜8%、
酸化カルシウム(CaO):0〜10%、
酸化ストロンチウム(SrO):0〜6%、
酸化バリウム(BaO):0〜2%、
二酸化チタン(TiO2):0〜8%および
酸化ジルコニウム(ZrO2):0〜4%
【0044】
(ガラスの準備)
本発明においては、ガラスの成形法は特に限定されず、フロート法のほか、ダウンドロー法、リドロー法、プレス法などいかなる方法も用いることができる。さらに板状に成形されたガラス基板は、目的に応じて所定の形状に切断される。
【0045】
例えば、ディスク用基板を製造する場合は、板状のガラス基板を超硬合金あるいはダイヤモンドのカッターを用いて、ドーナツ状に加工する。ドーナツ状ガラス板を得る方法も限定されず、まず外径だけ切断し、その後円筒形のダイヤモンド砥石を用いて、内径を切断してもよいし、プレス法で外径を所望の寸法に作製しておき、内径だけダイヤモンド砥石で穴開けしてもよい。
【0046】
次に、ドーナツ状ガラス基板の外径および内径寸法を正確に製品寸法に合わせるために、内外周に研削加工が施される。研削加工方法も特に限定されない。通常、ダイヤモンド砥粒を付着させた砥石を用いて研削加工が行われる。研削砥石を製品の所定形状が出るように作製しておき、内外周の研削加工と同時に内外周の面取加工も施すことができる。むろん、端面の加工と面取加工を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。また、さらにこの研削加工の後に、端面・面取面の粗さを滑らかにするために、セリウム研磨剤を用いて端面・面取面を研磨してもよい。
【0047】
また、以上の研磨処理に先立ち、必要に応じてガラスの厚みを揃えたり、ガラス表面の欠陥を除去するために、アルミナ砥粒など用いて粗研磨処理を行ってもよい。また、粗研磨処理は、端面・面取加工の前に行ってもよく、あるいは、1段目の粗研削を端面・面取加工の前に行い、2段目の粗加工を端面・面取加工の後に行ってもよい。
【0048】
上記平滑処理の後、付着したスラリー等を除去するために洗浄が施される。洗浄方法は特に限定されないが、研磨剤が残留していると、続いて行われる化学強化工程でガラス表面に固着し、除去することが困難になるため、水と洗剤だけの簡単な洗浄だけではなく、ガラス表面を柔らかい樹脂でこすって付着物を機械的に除去する洗浄や、超音波を印加しつつ酸性水溶液やアルカリ性水溶液および純水を適当に組み合わせた精密な洗浄を行うのが好ましい。
【0049】
(化学強化)
次に、ガラスの取り扱い時の機械的な衝撃や、ガラス基板表面に磁気膜等の膜を付ける際に受ける熱の影響、あるいはハードディスクドライブに組み込まれた後の長期間の使用での信頼性を高めるために化学強化が施される。例えば、400℃程度の温度に加熱して溶融状態にした硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混塩の中に、ガラス基板を数時間浸漬して、ガラス基板表面の約100μmの深さまでガラス成分のリチウムとナトリウムを強化塩中のカリウムとイオン交換を行うことにより、化学強化処理は行われる。
【0050】
この化学強化を施すことによって、情報記録媒体用ガラス基板、例えば磁気ディスク用ガラス基板に必要とされる機械的強度を得ることができる。その後、50〜80℃の温水の中に1時間程度浸漬させることで、表面に残存している硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの強化塩を溶解することができる。なお、強化塩としては硝酸カリウムの単独塩を用いることができる。
【0051】
(ガラスに付着した金属含有粒子の酸化)
本発明では、前記化学強化処理を施す前工程として、ガラス表面に付着した金属を含む粒子、例えば鉄粉に酸化処理を施す。酸化処理は粒子を酸化雰囲気中で加熱することにより行う。ガラスを加熱することでその表面の粒子を酸化することができる。強化工程前に粒子の酸化処理を行うことによって、強化工程中における粒子の強固なガラスへの付着を防止することができる。
【0052】
なお金属を含む粒子のうち、本発明では特に鉄を含む粒子(鉄粉)を問題としている。ここでいう鉄粉とは、Fe34、Fe23、Fe(OH)3、FeO(OH)、FeCO3など空気中に含まれる鉄含有鉱物粒子や鉄錆粒子など、空気中に存在しうる全ての形態の鉄を含む粒子を意味する。以下の明細書では、金属を含む粒子の代表として、鉄粉を例に説明を行う。
【0053】
ガラスの加熱は、80℃以上400℃以下の温度範囲で行うのが好ましい。ガラスの加熱温度が80℃より低いと、鉄粉が十分に酸化されないため、十分な鉄付着防止効果が得られない。また、400℃を超えると、2〜3分程度加熱しただけで、鉄粉とガラス表面の間で固着反応が起こってしまう。このため、ガラスの加熱温度は、80℃以上400℃以下が好ましい。より好ましい下限値は100℃以上であり、より好ましい上限値は350℃以下である。
【0054】
加熱時間は、20分を超え10時間以内の範囲で行うのが好ましい。加熱時間が20分以下であると、鉄粉が十分に酸化されない。また、加熱時間が10時間を超えると、ガラス表面と鉄粉との間で、鉄粉がガラス表面に強固に付着してしまう。このため、ガラスの加熱時間は、20分を超え10時間以下が好ましい。より好ましい下限値は2時間以上であり、より好ましい上限値は4時間以下である。
【0055】
ガラス表面に付着した鉄粉の酸化方法は特に限定されず、通常空気中で行われる。オゾン酸化、アッシング処理、酸素存在下での紫外線照射を行う酸化処理を用いることができる。
【0056】
(化学強化処理液中の鉄粉の酸化)
ガラスを化学強化処理液に浸漬する前に、化学強化処理液を300℃を超え450℃以下の範囲で20分以上予備加熱すると、化学強化処理液中の鉄粉が酸化されるため、鉄粉付着を防止する効果がさらに大きくなる。300℃以下であると、例えば化学強化処理液として溶融状態の硝酸塩を使用する場合、硝酸塩の融点以下であり、450℃を超えると溶融塩の分解が起こる。このため、加熱温度は好ましくは300℃を越え450℃以下がよい。より好ましくは、360℃以上400℃以下である。加熱時間は少なくとも20分以上、好ましくは1時間以上である。
【0057】
化学強化処理液に酸化剤を加えて加熱することにより、鉄粉の酸化を促進し、さらに大きな防止効果を得ることができる。強化処理液に加える酸化剤は、一般的に酸化剤として用いられている物質ならばどのような物質でもよい。また、強化塩中に含まれる鉄粉の酸化方法は特に限定されず、炭酸ガスのバブリング、電解酸化などでもよい。
【0058】
(ガラスの後洗浄)
上記鉄粉の酸化処理によりガラス表面への鉄粉の強固な付着は抑制されるが、化学強化工程の後工程として酸を含む洗浄液による洗浄、または酸を含む洗浄液による超音波洗浄を行うことによって、ガラス表面に付着した鉄粉をより効果的に除去することが可能である。好ましくは、還元剤を含む酸性溶液を用いた洗浄がよい。より好ましくは還元剤およびキレート剤を含む酸性溶液を用いた洗浄がよい。
【0059】
洗浄液は、通常ガラスの洗浄に使われる酸性溶液であればいかなるものも使用できる。好ましくは、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、およびこれら無機酸を任意に混ぜ合わせた混酸、L−アスコルビン酸、マロン酸、シュウ酸のいずれか、またはこれらを組み合わせた洗浄液がよい。好ましくはマロン酸、または、硫酸と硝酸の混酸、またはマロン酸と硫酸と硝酸の混合液がよい。また、界面活性剤やキレート剤、有機溶剤など、通常、ガラスの洗浄に使われるものであればいかなるものも添加することができる。好ましくは、還元剤を添加するとよい。さらに好ましくは、還元剤とキレート剤を添加するとよい。
【0060】
還元剤は、通常知られている還元作用を有する物質であれば何でもよい。このような還元剤としては、アスコルビン酸,ギ酸,アルデヒド,次亜硫酸ナトリウム,次亜硫酸アンモニウム,亜硫酸ナトリウム,亜硫酸アンモニウム,亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸水素アンモニウム,亜硝酸ナトリウム,亜硝酸アンモニウム,水素,過酸化水素水,水素化ホウ素ナトリウム,硫酸ヒドロキシルアミン,塩酸ヒドロキシルアミン,硫酸水素ナトリウム,硫化ナトリウム,硫化アンモニウム,ヨウ化水素,リン酸水素ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム,亜リン酸ナトリウム,シュウ酸,ヒドラジン,硫化水素,グルタチオンを例示することができる。これらから選ばれる少なくとも1つを、還元剤として用いればよい。これらのうち、L−アスコルビン酸またはシュウ酸が好ましい。
【0061】
キレート剤は通常知られているキレート作用を有する物質であれば何でもよい。このようなキレート剤としては、酒石酸,ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA),グルコン酸,シュウ酸,ギ酸,酢酸,エチレンジアミン,8−キノリノール,o−フェナントロリン,グリシン,イミノ2酢酸,ニトリロ3酢酸,エチレンジアミン4酢酸(EDTA),トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン4酢酸(CyDTA),ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA),トリエチレンテトラミン6酢酸(TTHA),エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTPO),ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO),プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMP)、およびこれらの塩を例示することができる。これらから選ばれる少なくとも1種を、キレート剤として用いればよい。これらのうち、HEDTA、シュウ酸が好ましい。
【0062】
酸洗浄の後に、必要に応じてさらに酸やアルカリを用いた超音波洗浄やテープ洗浄、ブラシスクラブなどの洗浄を必要に応じて行うこともできる。スクラブ洗浄に用いるスポンジの材質、および、スクラブ時の圧力や基板の回転数などのスクラブ条件は特に限定されず、汚れの残留程度に応じて選定することができる。
【0063】
さらに、スクラブ洗浄の後に超音波洗浄を施すと、テープ洗浄やスクラブ洗浄によって一旦除去された異物のほか、テープやスクラブ洗浄で発生した削り屑などの砥粒以外の一般異物など比較的付着力の弱い異物を完全に除去することができるので好ましい。洗浄液は、酸性溶液、アルカリ溶液、中性溶液、有機溶剤など、通常ガラスの洗浄に使われるものであればいかなるものも使用できる。また、界面活性剤やキレート剤、有機溶剤など、通常、ガラスの洗浄に使われるものであればいかなるものも添加することができる。
【0064】
超音波の周波数や出力、洗浄時間、洗浄温度などの条件は特に限定されないが、ダメージを防ぐために、通常、超音波の周波数が38kHz以上、出力が1W/cm2以下、洗浄時間が2〜20min、洗浄温度が70℃以下に設定される。超音波洗浄の後、純水でリンスを行った後、乾燥される。リンスの方法は特に限定されず、浸漬あるいは超音波印加状態での浸漬のほか、シャワー、噴射などの方法を適用することができる。また、乾燥方法も限定されず、スピン乾燥やIPA乾燥など、この種の精密洗浄に対応できるものであれば、いかなる方法も適用することができる。
【0065】
(実施例1)
厚み0.6mm、外径65mm、内径20mmのドーナツ状のアルミノシリケート系ガラス(SiO2 6.0mol%、Al23 11.0mol%、Li2O 8.0mol%、Na2O 9.1mol%、MgO 2.4mol%、CaO 3.6mol%)に面取り、粗研磨を施したガラス基板に平滑化処理を施した。平滑処理は、酸化セリウムを含有する研磨剤およびアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)が70の研磨パッドを用い、両面研磨することによって行った。その後、ポリビニルアルコール製のスポンジを用いたスポンジ洗浄、強アルカリを用いた超音波洗浄によって、ガラス基板表面に付着したセリ粉を除去した後、純水でリンスした。ガラス基板の乾燥は、イソプロピルアルコール蒸気中で1分間乾燥させた。
【0066】
得られたガラス基板を、鉄浮遊粒子20.2μg/m3を含む雰囲気中で20日間暴露した。欠点検出機(日立DECO社製、RS7000)を用いて、暴露したガラス基板表面の1μm平方範囲あたりの欠点平均個数を調べたところ、12個であった。暴露していないガラス基板表面上の1μm平方あたりの粒子数は、平均0〜1であった。暴露したガラス基板をさらに全反射蛍光X線装置で分析したところ、明らかにFe量が多いという結果が出たため、欠点検出機で検出された粒子は全て鉄を含む粒子であることが推測された。
【0067】
暴露したガラス基板を80℃で30分間加熱した後、350℃に加熱した硝酸カリウム(80質量%)と硝酸ナトリウム(20質量%)の混合溶融塩中に、4時間基板を浸漬することにより、ガラス基板中のリチウムイオンやナトリウムイオンを、それらのイオン半径より大きなイオン半径を持つカリウムイオンとイオン交換する化学強化処理を行った。化学強化処理の後は、純水で洗浄して溶融塩を除去した後、硝酸と硫酸の混酸、純水、アルカリ洗浄液、純水の順で洗浄を行った。
【0068】
欠点検出機を使用して上記ガラス基板100枚を検査し、1μm平方1枚あたりの欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0069】
(実施例2)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0070】
(実施例3)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0071】
(実施例4)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0072】
(実施例5)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0073】
(実施例6)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0074】
(実施例7)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0075】
(実施例8)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0076】
(実施例9)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0077】
(実施例10)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0078】
(実施例11)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0079】
(実施例12)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0080】
(実施例13)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0081】
(実施例14)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0082】
(実施例15)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0083】
(実施例16)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0084】
(実施例17)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0085】
(実施例18)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0086】
(実施例19)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0087】
(実施例20)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表1に示した。
【0088】
【表1】
Figure 0004326825
【0089】
(比較例1)
実施例1において、ガラス基板の加熱時間を0時間(強化処理の前工程としての加熱処理を行わない)としたこと以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0090】
(比較例2)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0091】
(比較例3)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0092】
(比較例4)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0093】
(比較例5)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0094】
(比較例6)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0095】
(比較例7)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0096】
(比較例8)
実施例1において、ガラス基板の加熱を50℃で12時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0097】
(比較例9)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0098】
(比較例10)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で12時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0099】
(比較例11)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0100】
(比較例12)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で12時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0101】
(比較例13)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0102】
(比較例14)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で12時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0103】
(比較例15)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0104】
(比較例16)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で12時間行った以外は、実施例1と実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0105】
(比較例17)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0106】
(比較例18)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で30分間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0107】
(比較例19)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で2時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0108】
(比較例20)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で4時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0109】
(比較例21)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で8時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0110】
(比較例22)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で10時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0111】
(比較例23)
実施例1において、ガラス基板の加熱を420℃で12時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表2に示した。
【0112】
【表2】
Figure 0004326825
【0113】
(実施例21)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で1時間行い、化学強化処理の後は、純水で洗浄して溶融塩を除去した後、マロン酸とHEDTAとアスコルビン酸の混合液、純水、アルカリ洗浄液、純水の順で洗浄を行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0114】
(実施例22)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で1時間行い、化学強化処理の後は、純水で洗浄して溶融塩を除去した後、マロン酸とHEDTAとアスコルビン酸の混合液、純水、アルカリ洗浄液、純水の順で洗浄を行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0115】
(実施例23)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で1時間行い、化学強化処理の後は、純水で洗浄して溶融塩を除去した後、マロン酸とHEDTAとアスコルビン酸の混合液、純水、アルカリ洗浄液、純水の順で洗浄を行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0116】
(実施例24)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で1時間行い、化学強化処理の後は、純水で洗浄して溶融塩を除去した後、マロン酸とHEDTAとアスコルビン酸の混合液、純水、アルカリ洗浄液、純水の順で洗浄を行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0117】
(比較例24)
実施例1において、ガラス基板の加熱を80℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0118】
(比較例25)
実施例1において、ガラス基板の加熱を200℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0119】
(比較例26)
実施例1において、ガラス基板の加熱を300℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0120】
(比較例27)
実施例1において、ガラス基板の加熱を400℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして得られたガラス基板について、同様に欠点平均個数を調べた。その結果を表3に示した。
【0121】
【表3】
Figure 0004326825
【0122】
実施例1〜20、比較例2〜23の結果を表4にまとめた。欠点平均個数0〜2個を○、3〜5個を△、6個以上を×とした。
【0123】
【表4】
Figure 0004326825
【0124】
実施例21〜24、比較例24〜27の結果を表5にまとめた。欠点平均個数0〜2個を○、3〜5個を△、6個以上を×とした。
【0125】
【表5】
Figure 0004326825
【0126】
(実施例25)
実施例21で得られたドーナツ状のガラス基板の表面を、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したところ、平均粗さRaが0.3nm、最大粗さRmaxが3nmであった。このガラス基板の表面に、スパッタリング法によりクロム合金下地膜、コバルト主成分の磁性膜、カーボン保護膜を連続被覆し、さらにその保護膜上にパーフロロカーボン系の潤滑剤を塗布して磁気ディスク用媒体を作製した。この磁気ディスク用媒体における磁気ヘッドの浮上高さの限界値として、タッチダウンハイト(TDH)を測定したところ、2nmと低い浮上特性が得られた。
【0127】
本発明による情報記録媒体用ガラス基板は、磁気ディスクのみならず、光ディスク、光−磁気ディスクにも適用することができる。
【0128】
【発明の効果】
本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、強化工程前に付着した金属、特に鉄を含む粒子を酸化することにより、強化工程中にこの粒子がガラス表面に強固に付着する反応を防ぐことができる。このため、清浄度の高い表面を持つ化学強化ガラスを提供することができる。
【0129】
また本発明の製造方法によれば、新たな設備投資をすることなく強化工程中に、例えば鉄を含む粒子の強固な付着を防ぐことができるため、低コストで清浄度の高い表面を持つ化学強化ガラスを得ることができる。
【0130】
また本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、その表面に異物付着のないガラス基板が得られる。これを用いて情報記録媒体、例えば磁気ディスク媒体を製造すれば、磁気ヘッドのクラッシュ現象が生じにくく、高密度記録に必要なヘッド浮上高さの低い情報記録媒体を得ることができる。

Claims (11)

  1. カリウムを含む化学強化処理液にガラスを接触させて行う化学強化ガラスの製造方法において、
    前記化学強化処理の前工程として、前記ガラス表面に付着している金属を含む粒子に酸化処理を施し、その後前記ガラスを化学強化し、前記化学強化処理の後工程として、還元剤、キレート剤を含む酸性溶液で前記ガラスを洗浄する化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)である
    ことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。
  2. 前記金属が鉄であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  3. 前記酸化処理が、前記ガラスを80℃以上400℃以下で加熱する処理であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  4. 前記酸化処理が、前記ガラスを20分を超え10時間以下で加熱する処理であることを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  5. 化学強化ガラス基板の製造方法であって、
    (a)所定形状のガラス基板を準備する工程、
    (b)前記ガラス基板の表面に付着した金属を含む粒子を酸化する工程、
    (c)前記ガラス基板をカリウムを含む化学強化処理液に接触させる工程、
    (d)前記酸化工程にて酸化された粒子を、還元剤、キレート剤を含む酸性溶液を用いて除去する工程、
    を含み、
    前記酸化された粒子を除去する工程(d)において使用する前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)である
    ことを特徴とする化学強化ガラス基板の製造方法。
  6. 前記金属が鉄であることを特徴とする請求項5に記載の化学強化ガラス基板の製造方法。
  7. 前記酸化工程は、80℃以上400℃以下に加熱して行うことを特徴とする請求項5に記載の化学強化ガラス基板の製造方法。
  8. 前記酸化工程は、20分を超え10時間以下加熱して行うことを特徴とする請求項5に記載の化学強化ガラス基板の製造方法。
  9. 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
    (1)板状のガラス基板をドーナツ状に加工する工程、
    (2)前記ドーナツ状基板を平滑研磨する工程、
    (3)前記基板を所定の温度以上に加熱する工程、
    (4)前記基板をカリウムを含む化学強化処理液に接触させる工程、
    (5)前記ガラス基板を、還元剤を含み、キレート剤を添加した酸性溶液を用いて洗浄する工程、
    を含み、
    前記ガラス基板を洗浄する工程(5)において使用する前記還元剤は、アスコルビン酸であり、前記酸性溶液が、マロン酸で、前記キレート剤は、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)である
    ことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  10. 前記所定の温度が、80℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  11. 前記加熱工程は、20分を超え10時間以下加熱することを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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