JPH1125454A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、及び情報記録媒体の製造方法

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JPH1125454A
JPH1125454A JP18913497A JP18913497A JPH1125454A JP H1125454 A JPH1125454 A JP H1125454A JP 18913497 A JP18913497 A JP 18913497A JP 18913497 A JP18913497 A JP 18913497A JP H1125454 A JPH1125454 A JP H1125454A
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glass
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acid
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JP18913497A
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Inventor
Nobuyuki Eto
伸行 江藤
Koji Takahashi
浩二 高橋
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低フライング・ハイト化やサーマル・アスフ
ェリティーの防止の阻害要因になる異物の付着を低減し
うる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法等を提供す
る。 【解決手段】 情報記録媒体用ガラス基板の製造におけ
る酸による酸処理工程、化学強化処理液による化学強化
工程、洗浄液による洗浄工程などの工程において、耐酸
性を有するガラスからなる基板ホルダーでガラス基板を
保持して前記液処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種情報処理機器に
おける記録媒体として使用される情報記録媒体、及びそ
の基板として用られる情報記録媒体用ガラス基板の製造
方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】各種情報記録媒体の一つとして磁気ディ
スクがある。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜
を形成して構成されたものであり、その基板としてはア
ルミ基板やガラス基板が用いられてきた。しかし、最近
では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミと比較し
て磁気ヘッドと磁気記録媒体との間隔をより狭くするこ
とが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなって
きている。このように増加の傾向にあるガラス基板は、
磁気ディスクドライバーに装着された際の衝撃に耐える
ように一般的に強度を増すために化学強化されて製造さ
れている。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高
さ(フライングハイト)を極力下げることができるよう
に、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。
【0003】他方、ガラス基板だけではなく、磁気ヘッ
ドについても薄膜ヘッドから磁気抵抗(MRヘッド)に
推移し、高記録密度化に応えている。
【0004】上述したように高記録密度化にとって必要
な低フライングハイト化のために磁気ディスク表面の高
い平坦性は必要不可欠である。加えて、MRヘッドを用
いた場合,TA(サーマル・アスフェリティー)の問題
からも磁気記録媒体の表面には高い平坦性が必要とな
る。このサーマル・アスフェリティーは、磁気ディスク
の表面上に突起があると、この突起にMRヘッドが影響
をうけてMRヘッドに熱が発生し、この熱によってヘッ
ドの抵抗値が変動し電磁変換に誤動作を引き起こす現象
である。
【0005】このように、低フライングハイト化にとっ
ても、サーマル・アスフェリティーの発生防止のために
も磁気ディスク表面の高い平坦性の要請は日増に高まっ
てきている。このような、磁気ディスク表面の高い平坦
性を得るためには結局高い平坦性の基板表面が求められ
ることになるが、もはや、高精度に基板表面を研磨する
だけでは、磁気ディスクの高記録密度化を実現できない
段階まで来ている。つまり、いくら、高精度に研磨して
も基板上に異物が付着していては高い平坦性は得られな
い。勿論、従来から異物の除去はなされていたが、従来
では許容されていた基板上の異物が、今日の高密度化の
レベルでは問題視される状況にある。
【0006】この種の異物としては、例えば、通常の洗
浄では除去できない極めて微小な鉄粉、ステンレス、ニ
ッケル、クロム、あるいはこれらの金属酸化物が挙げら
れる。この鉄粉がガラス基板上に付着した状態で磁性膜
等の薄膜を積層すると、磁気ディスク表面に突部が形成
され、低フライング・ハイト化や、サーマル・アスフェ
リティーの防止の阻害要因になる。
【0007】本願出願人は、このような微小な鉄粉等の
金属片がガラス基板に付着することを防止する目的で、
化学強化処理液を収納する化学強化処理槽の壁面及びガ
ラス基板を保持する基板ホルダーを、マルテンサイト系
又はオーステナイト系等のステンレス合金で構成する技
術につき既に出願を行っている(特願平8−35754
4号)。ここで、微小な鉄粉がガラス基板に付着する原
因は、化学強化中に、化学強化処理液を収納している化
学強化処理槽あるいは、化学強化処理液にガラス基板を
沈めるときにガラス基板を保持する基板ホルダーから鉄
粉等の金属又は金属酸化物がガラス基板に直接又は化学
強化処理液を介して間接的に付着することが一因であ
る。また、化学強化処理は、高温(例えば、350〜4
50度)で行うので、ステンレス合金でも特定のステン
レス合金を使用しないと、清浄な表面を持った化学強化
ガラス基板が得られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】磁気ディスク用ガラス
基板等の製造においては、ガラス基板を研磨後、化学強
化処理の他に、ガラス基板に付着した鉄粉等の金属片な
どの異物の除去を目的とする塩酸等による処理(特願平
9−41513号)や、アルカリを封入してアルカリの
溶出を防止する目的で行われる硫酸等による表面処理
(特願平8−359152号)などの特徴的な工程を要
する。この際、作業効率の向上や異物が付着する機会を
極力低減するため、化学強化処理工程や塩酸や硫酸によ
る酸処理工程において、同一の基板ホルダーを使用でき
ることが好ましい。しかしながら、例えば、マルテンサ
イト系又はオーステナイト系等のステンレス合金で作製
した基板ホルダーは、化学強化処理液に対する耐性は有
するが、塩酸や硫酸などの酸に対する耐性が十分でない
ため、同一の基板ホルダーを使用できないという問題が
ある。これは、ステンレス等で作製した基板ホルダー
は、塩酸や硫酸による酸処理工程で使用した場合、塩酸
や硫酸などの酸に対する耐性が十分でないため、鉄等の
異物を発生することがあり、ガラス基板を汚染する恐れ
があるからである。したがって、基板ホルダーを取り替
えるために基板を入れ替える作業が必要となり、異物が
付着する機会が増加するとともに、作業効率上も好まし
くない。
【0009】本発明は上述した背景の下になされたもの
であり、低フライング・ハイト化やサーマル・アスフェ
リティーの防止の阻害要因になる異物の付着を低減しう
る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の提供を第一の
目的とする。また、酸処理工程において、鉄等の異物を
発生する恐れが全くなく、さらに製品不良の原因となる
不純物を発生してガラス基板を汚染する恐れが全くない
情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の提供を第二の目
的とする。さらに、各種工程において同一の基板ホルダ
ーを使用できる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の
提供を第三の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、以下の構成を採用した。
【0011】本発明の第1の構成は、情報記録媒体用ガ
ラス基板の製造における少なくとも液処理工程におい
て、耐酸性を有するガラスからなる基板ホルダーでガラ
ス基板を保持して前記液処理を行うことを特徴とする情
報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【0012】本発明の第2の構成は、前記液処理工程
が、酸による酸処理工程、化学強化処理液による化学強
化工程、洗浄液による洗浄工程のうちから選ばれる一以
上の工程であることを特徴とする前記構成1記載の情報
記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【0013】本発明の第3の構成は、ガラス基板を研磨
後に、搬送を含めた全ての工程を耐酸性を有するガラス
からなる基板ホルダーでガラス基板を保持して行うこと
を特徴とする前記構成1又は2記載の情報記録媒体用ガ
ラス基板の製造方法。
【0014】本発明の第4の構成は、耐酸性を有するガ
ラスからなる基板ホルダーが、ノンアルカリガラスから
なることを特徴とする前記構成1乃至3記載の情報記録
媒体用ガラス基板の製造方法。
【0015】本発明の第5の構成は、耐酸性を有するガ
ラスからなる基板ホルダーが、石英ガラスからなること
を特徴とする前記構成1乃至4記載の情報記録媒体用ガ
ラス基板の製造方法。
【0016】本発明の第6の構成は、情報記録媒体用ガ
ラス基板が磁気ディスク用ガラス基板であることを特徴
とする前記構成1乃至5記載の情報記録媒体用ガラス基
板の製造方法。
【0017】本発明の第7の構成は、情報記録媒体用ガ
ラス基板が磁気抵抗ヘッド用の磁気ディスク用ガラス基
板であることを特徴とする前記構成6記載の情報記録媒
体用ガラス基板の製造方法。
【0018】本発明の第8の構成は、前記構成1乃至7
記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって得
られたガラス基板上に少なくとも記録層を形成すること
を特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【0019】本発明の第9の構成は、記録層が磁性層で
あることを特徴とする前記構成8記載の情報記録媒体の
製造方法。
【0020】
【作用】本発明で使用する石英ガラスやノンアルカリガ
ラス等で作製した基板ホルダーは、ステンレス等で作製
した基板ホルダーに比べ、鉄等の異物を発生する恐れが
材質的に全くなく、さらに基板ホルダーの材質が製品と
同じガラスであり製品不良の原因となる不純物を含有し
ていないので、ガラス基板を汚染する恐れが全くない。
また、石英ガラスやノンアルカリガラス等で作製した基
板ホルダーは、化学強化処理液に接触しても化学強化さ
れないので、他の硝種に比べて化学強化による歪みの発
生や基板ホルダーとしての強度の低下を回避することが
できる。さらに、本発明で使用する石英ガラスやノンア
ルカリガラス等で作製した基板ホルダーは、塩酸や硫酸
等に対する耐性を有するとともに、化学強化処理液に対
する耐性も有する。したがって、化学強化処理工程や塩
酸や硫酸による酸処理工程において、同一の基板ホルダ
ーを使用できる。また、石英ガラス等で作製した基板ホ
ルダーは、酸処理工程や洗浄工程において超音波を印加
する場合であっても、超音波を減衰させることがないの
で洗浄効果等の低下を回避することができる。
【0021】以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明では、情報記録媒体用ガラス基板の
製造における少なくとも液処理工程において、耐酸性を
有するガラスからなる基板ホルダーでガラス基板を保持
して各種液処理を行うことを特徴とする。
【0023】ここで、耐酸性を有するガラスからなる基
板ホルダーは、塩酸や硫酸等に対する耐性を有するの
で、ガラス基板に付着した異物の除去を目的とする塩酸
や硫酸による酸処理や、アルカリを封入してアルカリの
溶出を防止する目的で行われる塩酸や硫酸による表面処
理などの酸処理工程において、鉄等の異物を発生する恐
れが材質的に全くなく、さらに製品不良の原因となる不
純物を含有していないので、ガラス基板を汚染する恐れ
が全くない。また、ガラスからなる基板ホルダーは、製
品不良の原因となる不純物を含有していないので、化学
強化処理工程においてもガラス基板を汚染する恐れが全
くない。
【0024】耐酸性を有するガラスからなる基板ホルダ
ーは、塩酸や硫酸等に対する耐性を有するとともに、化
学強化処理液に対する耐性も有することが好ましい。こ
れは、ガラスからなる基板ホルダーが、化学強化処理液
に接触して化学強化されると、化学強化による歪みの発
生や基板ホルダーとしての強度の低下を招くからであ
る。耐酸性とともに化学強化処理液に対する耐性を併せ
持つガラスからなる基板ホルダーを用いることで、化学
強化処理工程や塩酸や硫酸による酸処理工程において、
同一の基板ホルダーを使用でき、基板ホルダーを取り替
えるための基板の入れ替え作業が不要となり、異物が付
着する機会が減少するともに、作業効率上も好ましい。
【0025】このような、化学強化処理液に対する耐性
も有するガラスとしては、ノンアルカリガラス(無アル
カリガラス)(例えば、アルミノ硼珪酸塩ガラス、硼珪
酸ガラスなど)や、ソーダライムガラス、結晶化ガラス
や、石英ガラスなどが挙げられる。なお、上記ガラス製
基板ホルダーは、酸処理工程や洗浄工程において超音波
を印加する場合であっても、超音波を減衰させることが
ないので洗浄効果等の低下を回避することができる。ま
た、ガラス基板の洗浄を目的とする洗浄工程ではガラス
基板の洗浄効果を最大限高めるべく洗浄条件が選定され
るので、ガラス製基板ホルダーも同レベルで洗浄を行う
ことができ、したがって、基板ホルダーに付着した異物
や不純物に起因する汚染を極力低減できる。
【0026】本発明においては、化学強化処理液による
化学強化工程、酸による酸処理工程の他に、洗浄液によ
る洗浄工程や冷却工程等においても本発明のガラス製基
板ホルダーを使用できる。また、ガラス基板の研磨後に
行われる搬送を含めた全ての工程において本発明のガラ
ス製基板ホルダーを使用できる。これにより、基板ホル
ダーを取り替えるための基板の入れ替え作業が不要とな
り、異物が付着する機会が減少するともに、作業効率上
も好ましい。
【0027】なお、耐酸性とともに化学強化処理液に対
する耐性を併せ持つ基板ホルダーの材質としては、テフ
ロン等の樹脂やガラスファイバー等で強化した繊維強化
樹脂(例えばガラス入りテフロン樹脂等)などが考えら
れるが、これらの材料を用いた場合、非常に高価となる
ため製造コストの上昇は避けられない。また、テフロン
等の樹脂は接合が容易でなく、接合部分を完全にシール
することが難しく接合部分に各種処理液が侵入して汚染
や異物発生の原因となったり、さらに酸処理や超音波処
理で接合部分に亀裂等が生ずることでこの亀裂部分に各
種処理液が侵入して汚染や異物発生の原因となることが
ある。一方、本発明のガラス製基板ホルダーは、接合部
分を融着等によって完全にシールすることができるの
で、接合部分に起因した汚染や異物発生がない。
【0028】ガラス製基板ホルダーとしては、種々の形
態が考えられるが、ガラス基板に化学強化処理液が所定
の状態で接触することが可能であり、液ダレを起こさな
いものが好ましい。この際、酸や化学強化処理液と接触
する部分だけをガラス製とすることもできる。なお、酸
処理層や化学強化槽などの槽における処理液と接触する
壁面等は、処理液に応じて、マルテンサイト系又はオー
ステナイト系等のステンレス合金や、ガラス等で形成す
ることが好ましい。マルテンサイト系又はオーステナイ
ト系ステンレス合金は化学強化時の高温域における耐食
性が優れているので、鉄、ニッケル、クロム等金属片又
は金属酸化物の発塵を防止できる。石英ガラスやノンア
ルカリガラスは、これらの効果がより以上に発揮でき
る。
【0029】化学強化処理液による化学強化工程におけ
る化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法で
あれば特に制限されない。ガラス転移点の観点からは、
転移温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型化学
強化などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩
としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、あるいは、
それらを混合した硝酸塩などが挙げられる。化学強化処
理液はフィルター等を通して清浄度を高めたり、磁石等
により化学強化処理液中の鉄粉等を捕捉して化学強化処
理液の清浄度を高めることが好ましい。化学強化処理液
の加熱温度は200〜500℃ぐらいが好ましい。
【0030】ガラス基板に付着した異物の除去を目的と
する酸処理工程では、塩酸を使用することが好ましい。
塩酸処理は、特に鉄コンタミを効果的に溶解して除去す
ることができるが、他の異物(例えば、ニッケル、ステ
ンレス、クロム、あるいはそれらの酸化物)も除去する
ことができる。塩酸処理する工程は、情報記録媒体用ガ
ラス基板の製造工程のどの工程で実施してもよいが、研
磨工程から完成したガラス基板を梱包する前工程間での
間の一工程又は複数の工程で行うことが効果的である。
特に、化学強化工程を含む情報記録媒体用ガラス基板の
製造方法においては、この化学強化工程の前工程で行う
と、ガラス基板表面における異物による未化学強化部分
の発生を効果的に防止できる。また、化学強化工程以降
の工程をクリーン・ブース等により清浄度の高い空気を
循環させた雰囲気下で行い、ガラス基板の梱包前に塩酸
処理しても良い。塩酸処理においては、単に塩酸とガラ
ス基板を接触させるだけでなく、塩酸処理中に超音波を
かけたりして効果を高めることができる。塩酸は、1〜
12規定の濃度の希塩酸又は濃塩酸が好ましい。
【0031】アルカリを封入してアルカリの溶出を防止
する目的で行われる酸による表面処理工程では、化学強
化処理後のガラス基板の表面を、加熱された酸で処理す
ることが好ましい。その際、加熱された酸の種類や温度
及び濃度等を制御することによって、ガラス基板に付着
した析出溶融塩を除去すると同時に、ガラス表面の変質
を高いレべルで防止しうる表面状態とする。加熱された
酸による処理によって、ガラス表面の変質(やけ等)を
高いレべルで防止できる理由は完全には明らかではない
が、ガラス表面が、Si−O−Naの非架橋状態から、
Si−O−NaのNa+がヒドロニウムイオンとイオン
交換されて水和状態になり、その後、加熱脱水によって
シラノール基が形成され、そのシラノール基が脱水され
てガラス表面でSi−O−Siの架橋化がなされるため
であると考えられる。表面にヤケや析出溶融塩等のない
ガラス基板を使用することで、磁気ディスクとしても高
品質となる。すなわち、磁気ディスク等とした場合にヤ
ケや析出溶融塩等に基づく突起に起因するベッドクラッ
シュを起こすことがなく、磁性層等の膜にヤケや析出溶
融塩等に起因する欠陥が発生しエラーの原因となるとい
うこともない。また、ガラス表面の変質を高いレべルで
防止できる磁気ディスク用ガラス基板を使用すること
で、耐候性及び寿命に優れ高い信頼性を有する磁気ディ
スク等を製造できる。
【0032】加熱された酸による処理は、例えば、熱濃
硫酸(例えば、濃度96%以上の濃硫酸)、加熱した硫
酸、リン酸、硝酸、フッ酸、塩酸などの酸や、これらの
酸の混酸、あるいはこれらの酸にこれらの酸の塩(フッ
化アンモニウム、硝酸カリウムなど)を加えた処理液に
ガラス基板を浸漬して行う。この場合、超音波を印加し
つつ処理を行ってもよい。なお、これらの酸のうちで
も、析出溶融塩の除去及びガラス表面の変質防止の面
で、熱濃硫酸(例えば、100℃超の濃度96%以上の
熱濃硫酸)が好ましい。加熱された酸による処理は、同
一又は異なる酸の処理層を複数設け、ガラス基板を順次
浸漬して行なってもよい。この場合、酸の温度や濃度を
異ならしめても良い。加熱された酸の加熱温度は、ガラ
ス基板表面近傍のアルカリイオンの溶出を抑制しうる温
度であればよい。加熱された酸の加熱温度は、40℃〜
ガラス転移点程度の温度が好ましく、80℃〜300℃
程度がさらに好ましく、100℃超〜300℃程度がよ
り以上に好ましい。加熱された酸の加熱温度が低いとガ
ラス表面でSi−O−Siの架橋化がなされないためガ
ラス表面が変質しやすくなる。また、300℃を超える
とガラス基板中のKイオンが基板内部に移動するため、
ガラス基板の強度が低下する。なお、加熱された酸の加
熱温度が100℃超えると、ガラス基板表面の変質防止
能力が飛躍的に向上する。酸の濃度は、析出溶融塩の除
去及びガラス表面の変質防止を考慮して決定される。使
用する酸によって最適濃度が異なるが、例えば、硫酸を
用いる場合は、50wt%以上が好ましく、95wt%
以上がさらに好ましい。加熱された酸による処理時間
は、1分〜2時間程度が好ましい。熱濃硫酸を用いる場
合は1分〜1時間程度が好ましい。
【0033】本発明では、各工程の前後で必要に応じ適
宜一般的な洗浄を行う。一般的な洗浄としては、市販の
洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤な
ど)による洗浄、スクラブ洗浄、純水洗浄、溶剤洗浄、
溶剤蒸気乾燥、遠心分離乾燥等が挙げられる。各洗浄で
は、加熱や超音波印加を行ってもよい。超音波は、ある
周波数範囲で発振する多周波数型のもの、あるいは、一
定の周波数で発振する固定周波数型のもののいずれであ
ってもよい。周波数は低いほど洗浄効果は高いが、ガラ
ス基板に与えるダメージも大きくなるので、これらのこ
とを考慮して決定する。蒸気乾燥は、乾燥速度が速いの
で乾燥によるシミが発生しにくい。蒸気乾燥に用いる溶
剤としては、イソプロピルアルコール、フロン、アセト
ン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0034】本発明で処理する、ガラス基板の種類、サ
イズ、厚さ等は特に制限されない。ガラス基板の材質と
しては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダラ
イムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボ
ロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラ
ス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等
のガラスセラミックなどが挙げられる。
【0035】アルミノシリケートガラスとしては、Si
2:62〜75重量%、Al23:5〜15重量%、
Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%、
ZrO2:5.5〜15重量%を主成分として含有する
とともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.
0、Al23/ZrO2の重量比が0.4〜2.5であ
る化学強化用ガラス等が好ましい。また、ZrO2の未
溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起をなくすた
めには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、Zn
2を0〜2.8%、Al23を3〜15%、LiO2
7〜16%、Na2Oを4〜14%含有する化学強化用
ガラス等を使用することが好ましい。このような組成の
アルミノシリケートガラス等は、化学強化することによ
って、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌ
ープ硬度にも優れる。
【0036】上記で得られる本発明の情報記録媒体用ガ
ラス基板は、磁気記録媒体用のガラス基板、光磁気ディ
スク用のガラス基板、光ディスクなどの電子光学用ディ
スク基板として利用できる。特に、磁気抵抗型(大型磁
気抵抗型ヘッドも含む)ヘッドで記録再生する磁気抵抗
型ヘッド用の磁気ディスク基板、及びそれを用いた情報
記録媒体の製造方法に好適に利用できる。
【0037】次に、本発明の情報記録媒体の製造方法に
ついて説明する。
【0038】本発明の情報記録媒体の製造方法は、上記
本発明で得られる情報記録媒体用ガラス基板上に、少な
くとも磁性層等の記録層を形成することを特徴とする。
【0039】本発明では、特に、磁気記録媒体の場合、
サーマル・アスフェリティーあるいはヘッドクラッシュ
の原因となる異物等が発生することがないので、ガラス
基板上に磁性層等を形成した磁気記録媒体を高歩留まり
で製造することができる。この磁気記録媒体は、磁気抵
抗型ヘッドの機能を十分に引き出すことができる。ま
た、磁気抵抗型ヘッドに好適に使用することができるC
oPt系等の磁気記録媒体としてもその性能を十分に引
き出すことができる。同様に、磁気記録媒体の記録・再
生面においてもサーマル・アスフェリティーの原因とな
る異物等によって形成される凸部が発生せず、より高い
レベルでヘッドクラッシュを防止できる。また、サーマ
ル・アスフェリティーの原因となる異物等によって、磁
性層等の膜に欠陥が発生しエラーの原因となるというこ
ともない。
【0040】磁気記録媒体は、通常、所定の平坦度、表
面粗さを有し、必要に応じ表面の化学強化処理を施した
磁気ディスク用ガラス基板上に、下地層、磁性層、保護
層、潤滑層を順次積層して製造する。
【0041】磁気記録媒体における下地層は、磁性層に
応じて選択される。
【0042】下地層としては、例えば、Cr、Mo、T
a、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ば
れる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げ
られる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特
性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好
ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種
の層を積層した複数層構造とすることもできる。例え
ば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、Cr
V/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/C
r、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多
層下地層等が挙げられる。
【0043】磁気記録媒体における磁性層の材料は特に
制限されない。
【0044】磁性層としては、例えば、Coを主成分と
するCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、C
oCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNi
CrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、Co
CrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層
は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、Cr
Vなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例
えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoC
rTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)として
もよい。
【0045】磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型
磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層として
は、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、G
e、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれら
の不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれ
る。
【0046】また、磁性層としては、上記の他、フェラ
イト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる
非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の
磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであって
もよい。また、磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記
録形式であってもよい。
【0047】磁気記録媒体における保護層は特に制限さ
れない。
【0048】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合
金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げら
れる。これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにイ
ンライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、
これらの保護膜は、単層としてもよく、あるいは、同一
又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。
【0049】本発明では、上記保護層上に、あるいは上
記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例え
ば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキ
シランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダ
ルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化
ケイ素(SiO2)膜を形成してもよい。
【0050】磁気記録媒体における潤滑層は特に制限さ
れない。
【0051】潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパー
フロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶
媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を
行って形成する。
【0052】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明をさらに具体
的に説明する。
【0053】実施例1
【0054】(1)荒ずり工程 まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研
削砥石で直径66mmφ、厚さ3mmの円盤状に切り出
したアルミノシリケイトガラスからなるガラス基板を、
比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径66
mmφ、厚さ1.5mmに成形した。この場合、ダウン
ドロー法の代わりに、溶融ガラスを、上型、下型、胴型
を用いてダイレクト・プレスして、円盤状のガラス体を
得てもよい。また、フロート法で形成しても良い。
【0055】なお、アルミノシリケイトガラスとして
は、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2
0〜2.8%、Al23を3〜15%、LiO2を7〜
16%、Na2Oを4〜14%、を主成分として含有す
る化学強化用ガラス(例えば、モル%表示で、Si
2:67.0%、ZnO2:1.0%、Al23:9.
0%、LiO2:12.0%、Na2O:10.0%を主
成分として含有する化学強化用ガラス)を使用した。
【0056】次いで、上記砥石よりも粒度の細かいダイ
ヤモンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加
工した。このときの荷重は100kg程度とした。これ
により、ガラス基板両面の表面粗さをRmax(JIS
B 0601で測定)で10μm程度に仕上げた。
【0057】次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の
中央部分に孔を開けるとともに、外周端面も研削して直
径を65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の
面取り加工を施した。このときのガラス基板端面の表面
粗さは、Rmaxで4μm程度であった。
【0058】(2)端面鏡面加工工程 次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させなが
らガラス基板の端面の表面粗さを、Rmaxで1μm、
Raで0.3μm程度に研磨した。
【0059】上記端面鏡面加工を終えたガラス基板の表
面を水洗浄した。
【0060】(3)砂掛け(ラッピング)工程 次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工
程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。
砂掛け加工は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒
度を#400、#1000と替えて2回行った。
【0061】詳しくは、はじめに、粒度#400のアル
ミナ砥粒を用い、荷重Lを100kg程度に設定して、
内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリ
ア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、
表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
【0062】次いで、アルミナ砥粒の粒度を#1000
に替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)2μ
m程度とした。
【0063】上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、中
性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0064】(4)第一研磨工程 次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上
述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的と
するもので、研磨装置を用いて行った。
【0065】詳しくは、ポリシャ(研磨粉)として硬質
ポリシャ(セリウムパッドMHC15:スピードファム
社製)を用い、以下の研磨条件で第一研磨工程を実施し
た。
【0066】研磨液:酸化セリウム+水 荷重:300g/cm2(L=238kg) 研磨時間:15分 除去量:30μm 下定盤回転数:40 rpm 上定盤回転数:35 rpm 内ギア回転数:14 rpm 外ギア回転数:29 rpm
【0067】上記第一研磨工程を終えたガラス基板を、
中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、
洗浄した。
【0068】(5)第二研磨工程 次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシ
ャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:ス
ピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施し
た。研磨条件は、荷重を100g/cm2、研磨時間を
5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程
と同様とした。上記第二研磨工程を終えたガラス基板を
洗浄する。この洗浄工程からケースへの梱包に至るプロ
セスは、石英ガラス製の基板ホルダーを用いて各工程及
び搬送を実施した。また、これらの各工程及び搬送は、
クリーンブースによって供給された清浄な空気の環境下
で実施した。石英ガラス製の基板ホルダーは、ガラス基
板の配列方向に等間隔でV溝を複数個形成した3本の支
柱を、その両端面で連結部材に融着して形成されてい
る。複数のガラス基板は、各ガラス基板が3本の支柱の
同一平面内にあるV溝によって3点支持されて保持さ
れ、支柱の延在する方向に複数枚配列されている。先
ず、最初の洗浄はガラス基板を、中性洗剤、中性洗剤、
純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IP
A(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
【0069】(6)塩酸処理 次に、このガラス基板を塩酸で処理してガラス基板の表
面と内周及び外周端面に付着している微細な鉄コンタミ
を溶解して除去した。塩酸処理の方法は、処理槽に収容
された塩酸に石英ガラス製基板ホルダーに複数枚保持さ
れたガラス基板を浸漬して(約10分)行った。このよ
うに、次工程の化学強化の前に鉄コンタミを除去するこ
とにより、膜下欠陥を防止できる。特にこの塩酸処理を
化学強化前に行うことは重要である。つまり、鉄コンタ
ミがガラス基板上に付着した状態で化学強化を行うと、
鉄コンタミの下のガラス基板の表面部分が化学強化され
ないで残ってしまい、この未強化部分が膜下欠陥となる
からである。このような膜下欠陥の発生を上述の塩酸処
理で防止できる。また、有機物の除去も同時に行うこと
ができる。
【0070】(7)化学強化工程 次に、上記工程を終えたガラス基板に化学強化を施し
た。化学強化は、化学強化処理液を化学強化処理槽に入
れ、石英ガラス製基板ホルダーに複数枚保持されたガラ
ス基板を化学強化処理液に浸漬して行う。
【0071】本実施例の石英ガラス製基板ホルダーは化
学強化の際必要となる高温域での耐食性に優れ、化学強
化されることもない。なお、化学強化処理槽は,オース
テナイト系ステンレス合金のSUS304で構成してい
る。化学強化処理槽の内壁は石英ガラス等で形成しても
良い。本実施例の化学強化処理液は、フィルターを通し
て循環しているので、化学強化処理液が清浄に保たれて
いる。
【0072】化学強化の具体的方法は、硝酸カリウム
(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学
強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱
し、300℃に予熱されたガラス基板を約3時間浸漬し
て行った。この浸漬の際に、石英ガラス製基板ホルダー
で、複数のガラス基板が端面で保持されるように保持さ
れているので、ガラス基板の表面全体が化学強化され
る。このように、化学強化溶液に浸漬処理することによ
って、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイ
オンは、化学強化溶液中のナトリウムイオン、カリウム
イオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化される。
【0073】ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層
の厚さは、約100〜200μmであった。また、化学
強化の際、高温の化学強化処理液に接触する基板ホルダ
ーとして石英ガラス製基板ホルダーを用いたこと、化学
強化処理槽を化学的耐久性に優れたオーステナイト系ス
テンレス合金で構成したこと、並びに化学強化処理液を
フィルターを通して循環していることにより、化学強化
の工程で、鉄粉、クロム等の金属片や金属酸化物等がガ
ラス基板に付着することを防止できた。
【0074】上記化学強化を終えたガラス基板を、20
℃の水槽に浸漬して急冷し約10分間維持した。これに
より、微小クラックが入った不良品を除去できる。
【0075】(8)洗浄・梱包工程 上記急冷を終えたガラス基板を、約140℃に加熱した
濃度96wt%の熱濃硫酸に浸漬し、加熱した酸による
表面処理を行った。この硫酸処理によってガラス基板の
アルカリイオンの溶出を防止することができると同時
に、ガラス基板上の化学強化処理液による析出塩を除去
できる。また、有機物の除去も同時に行うことができ
る。この後、最終洗浄を行いベーパー乾燥してケースに
梱包した。最終洗浄は、ガラス基板を、中性洗剤、中性
洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗
浄した。なお、各洗浄槽には超音波(周波数40kH
z)を印加した。
【0076】上記の工程を経て得られたガラス基板の主
表面の表面粗さRaは0.5〜1nmであった。また、
ガラス表面を精密検査したところサーマル・アスフェリ
ティーの原因となる異物等は認められなかった。特に
0.1〜5ミクロン以上の微小鉄粉は全く認められなか
った。本実施例では、第二研磨工程に続く各工程及び搬
送を石英ガラス製の基板ホルダーを用いて行っているこ
と以外に、鉄コンタミ等の除去のための塩酸処理、清浄
な環境コントロール、化学強化処理液の清浄化コントロ
ールも行っているので、鉄コンタミをほぼ完全に除去す
ることができた。さらに、ガラス基板の表面を、顕微鏡
で検査したところ、5μm以上のアルカリ溶出によるヤ
ケは発見されなかった。これに対して、加熱された酸に
よる処理を行わないものは5μm以上ヤケが数十〜数百
個認められた。さらに、温度85℃、湿度85%で高温
多湿環境試験を120時間実施したところ、やけ等のガ
ラス基板表面の変質は認められなかった。なお、上述し
た実施例では塩酸処理を化学強化の前工程で行ったが、
化学強化後、硫酸処理後に行ってもよい。あるいは、化
学強化の前、化学強化の後、硫酸洗浄の後の全て、又は
選択的に組み合わされた複数工程で行っても良い。
【0077】(9)磁気ディスク製造工程 上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板
の両面に、インライン式のスパッタリング装置を用い
て、AlNのスパッタによるテクスチャー層、Cr下地
層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、C保護
層を順次成膜して磁気ディスクを得た。
【0078】得られた磁気ディスクについてグライドテ
ストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク
表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気
ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかっ
た。また、サーマル・アスフェリティーの原因となる異
物等によって、磁性層等の膜に欠陥が発生していないこ
とも確認できた。
【0079】なお、本実施例のように石英ガラス製の基
板ホルダーを用いて各処理及び搬送を行った基板と、ス
テンレス製の基板ホルダーを用いて各処理及び搬送を行
った比較例とを比較したところ、比較例のものは、ガラ
ス基板の表面上に10ミクロン〜80ミクロンの微小鉄
粉が数多く認められた。上述の本実施例とこの比較例の
結果を比べると、本実施例の優位性が判る。
【0080】また、グライドテストを終えた本実施例の
磁気ディスクについて、磁気抵抗型ヘッドで再生試験を
行ったが、複数のサンプル(500枚)の全数について
サーマル・アスフェリティーによる再生の誤動作は認め
られなかった。石英ガラス製の基板ホルダーの代わり
に、ノンアルカリガラス製の基板ホルダーを用いて本実
施例と同様に試験したところ、ノンアルカリガラス製の
基板ホルダーについても石英ガラス製の基板ホルダーと
同様の効果を確認した。
【0081】実施例2〜4 ガラス基板として、アルミノシリケートガラスの代わり
にソーダライムガラス(実施例2)、ソーダアルミノケ
イ酸ガラス(実施例3)を用いたこと以外は実施例1と
同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディス
クを得た。その結果、実施例1と同様に表面に鉄粉等の
金属片がない化学強化ガラスが得られた。
【0082】次に、ガラスの種類を結晶化ガラスに変
え、化学強化工程、塩酸処理工程を実施せずに、研磨後
に塩酸処理を行った(実施例4)。この場合も上述の実
施例と同様の鉄等のコンタミ除去の効果が得られた。
【0083】実施例5 実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面
に、Al(膜厚50オングストローム)/Cr(100
0オングストローム)/CrMo(100オングストロ
ーム)からなる下地層、CoPtCr(120オングス
トローム)/CrMo(50オングストローム)/Co
PtCr(120オングストローム)からなる磁性層、
Cr(50オングストローム)保護層をインライン型ス
パッタ装置で形成した。
【0084】上記基板を、シリカ微粒子(粒経100オ
ングストローム)を分散した有機ケイ素化合物溶液(水
とIPAとテトラエトキシシランとの混合液)に浸し、
焼成することによってSiO2からなるテクスチャー機
能を持った保護層を形成し、さらに、この保護層上をパ
ーフロロポリエーテルからなる潤滑剤でディップ処理し
て潤滑層を形成して、MRヘッド用磁気ディスクを得
た。
【0085】得られた磁気ディスクについてグライドテ
ストを実施したところ、ヒットやクラッシュは認められ
なかった。また、磁性層等の膜に欠陥が発生していない
ことも確認できた。さらに、磁気抵抗型ヘッドによる再
生試験の結果、サーマル・アスフェリティーによる再生
の誤動作は認められなかった。
【0086】実施例6 下地層をAl/Cr/Crとし、磁性層をCoNiCr
Taとしたこと以外は実施例5と同様にして薄膜ヘッド
用磁気ディスクを得た。上記磁気ディスクについて実施
例5と同様のことが確認された。
【0087】以上好ましい実施例を挙げて本発明を説明
したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるもの
ではない。
【0088】例えば、ガラス基板の種類や磁性層の種類
は実施例のものに限定されない。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、低フラ
イング・ハイト化やサーマル・アスフェリティーの防止
の阻害要因になる異物等が付着していない情報記録媒体
用ガラス基板を得られる。またこの情報記録媒体用ガラ
ス基板を用いて情報記録層等を製造すれば、膜下欠陥の
ない情報記録媒体が得られる。
【0090】特に、磁気記録媒体の場合、へッドクラッ
シュの無い低フライングハイトを実現できる。更に、磁
気抵抗型ヘッドにより電磁変換する磁気記録媒体の場
合、サーマル・アスフェリティーの原因となる異物等が
発生しないので、サーマル・アスフェリティーによる再
生機能の低下を防止することができる。また、サーマル
・アスフェリティーの原因となる異物等に起因する製造
不良を回避でき、より高品質の磁気記録媒体が高歩留ま
りで得られる。
【0091】さらに、各種工程において同一の基板ホル
ダーを使用できるので、基板ホルダーを取り替えるため
の基板の入れ替え作業が不要となり、異物が付着する機
会が減少するともに、作業効率も向上する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録媒体用ガラス基板の製造におけ
    る少なくとも液処理工程において、耐酸性を有するガラ
    スからなる基板ホルダーでガラス基板を保持して前記液
    処理を行うことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記液処理工程が、酸による酸処理工
    程、化学強化処理液による化学強化工程、洗浄液による
    洗浄工程のうちから選ばれる一以上の工程であることを
    特徴とする請求項1記載の情報記録媒体用ガラス基板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 ガラス基板を研磨後に、搬送を含めた全
    ての工程を耐酸性を有するガラスからなる基板ホルダー
    でガラス基板を保持して行うことを特徴とする請求項1
    又は2記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 耐酸性を有するガラスからなる基板ホル
    ダーが、ノンアルカリガラスからなることを特徴とする
    請求項1乃至3記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 耐酸性を有するガラスからなる基板ホル
    ダーが、石英ガラスからなることを特徴とする請求項1
    乃至4記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 情報記録媒体用ガラス基板が磁気ディス
    ク用ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至5
    記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 情報記録媒体用ガラス基板が磁気抵抗ヘ
    ッド用の磁気ディスク用ガラス基板であることを特徴と
    する請求項6記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7記載の情報記録媒体用ガ
    ラス基板の製造方法によって得られたガラス基板上に少
    なくとも記録層を形成することを特徴とする情報記録媒
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】 記録層が磁性層であることを特徴とする
    請求項8記載の情報記録媒体の製造方法。
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